(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】心血管装置用歪み緩和スリーブ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230920BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2021576546
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 US2020041178
(87)【国際公開番号】W WO2021007310
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-23
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】イノウエ、ジョシュア エム.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、ジェームズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】エッジェル、ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】クランペルマン、グラハム
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533446(JP,A)
【文献】米国特許第09180005(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0235526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/04
A61F 2/82
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントであって、
フレームを備え、該フレームは、近位端と、遠位端と、頂部において接合された隣接するストラットとを有し、
前記頂部の周囲に配置されたスリーブを備え、該スリーブは、前記隣接するストラットに沿った1つ以上の接触点において前記フレームに力を加えるように構成され、該スリーブは、前記1つ以上の接触点における前記力からもたらされる応力を低減させるように選択された弾性特徴部を含
み、
前記弾性特徴部は複数のスリーブスロットを含み、前記スリーブスロットが、スロット範囲にわたり前記スリーブの遠位端から近位側に延び、
前記複数のスリーブスロットのうちの少なくとも2つが、長さ、幅、範囲、又はパターンのうちの少なくとも1つによって異なる、
インプラント。
【請求項2】
前記
弾性特徴部が、ポリマー、ニチノール、ステンレス鋼、グラフェン、及びコバルトクロムのうちの1つ以上を含むスリーブ材料を含む、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記スリーブ材料が、前記スリーブの長さに沿って変形能が変化する、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記スリーブが、スリーブ本体を備え、該スリーブ本体は、当該スリーブ本体を通って延びるボアを有し、前記スリーブが、ボア
壁に配置された第1材料と、前記ボアの周囲に少なくとも部分的に配置された第2材料とを含む、請求項3に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第2材料が、前記第1材料よりも弾性が低い、請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第1材料が、少なくとも1つの接触点に近接するボア
壁の少なくとも一部をコーティングしている、請求項
4又は5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記第1材料が、少なくとも1つの接触点に近接する前記ボアの少なくとも一部に固定的に取り付けられるバンパ
からなる、請求項5に記載のインプラント。
【請求項8】
前記スリーブスロットが、前記スロット範囲にわたり異なる幅を有する、請求項
1に記載のインプラント。
【請求項9】
スリーブが幅を有し、前記スリーブスロットの前記幅が、前記スリーブの前記幅の半分よりも大きい、請求項
8に記載のインプラント。
【請求項10】
前記スリーブスロットが、スリーブ軸に沿って前記スリーブの前記遠位端から前記スリーブの近位端に向かって前記スロット範囲にわたり長手方向に延びる、請求項
8に記載のインプラント。
【請求項11】
前記スリーブスロットが、前記スリーブの少なくとも一部の周囲にらせん状に延びる、請求項
8又は
9に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、植込み型医療装置の分野に関し、より詳細には、心臓機能を調整する植込み型装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
僧帽弁は、心臓の左心房と左心室との間に位置する。僧帽弁は、心収縮中に接合する前尖及び後尖を含む。僧帽弁輪は、僧帽弁を包囲するとともに弁の弁尖を支持する鞍状線維輪である。僧帽弁閉鎖不全(MI)は、僧帽弁輪が過度に拡張し、心収縮中に弁尖が有効に接合しなくなる、心疾患の形態である。心室収縮中に逆流が発生し、心拍出量が減少する。
【0003】
正常な僧帽弁の生理学的形態及び機能を回復することにより、僧帽弁能力を取り戻すために、弁輪形成術が実施される。弁輪形成処置は、心臓内にリング、ステント、フレーム等の構造体を植え込むことを含む可能性がある。心臓インプラントは、心筋動悸に関連する慢性的な応力及び歪みを受け、従って、心臓インプラントに対する慢性的な力の影響を低減させることが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施態様は、使用中のインプラントに対する慢性的な力の影響を低減させるように構成された弾性構成要素を備える弁輪インプラントに関する。1つの態様によれば、インプラントは、フレームを含み、該フレームは、近位端と、遠位端と、頂部において接合された隣接するストラットとを有する。インプラントはまた、頂部の周囲に配置されたスリーブも含むことができ、スリーブは、1つ以上の接触点においてフレームに力を加えるように構成され、スリーブは、1つ以上の接触点における力からもたらされる応力を低減させるように選択された弾性特徴部を含む。弾性特徴部は、スリーブ材料及び/又はスリーブデザインのうちの1つを含み得る。スリーブ材料は、ニチノール、ステンレス鋼、ポリマー、及びコバルトクロム、又は他の同様の材料のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施態様において、スリーブ材料は、スリーブの異なる場所において伸縮性及び/又は弾性が異なり得る。さらに、スリーブは、スリーブ本体を備えることができ、該スリーブ本体は、当該スリーブ本体を通って延びるボアを有し、スリーブ材料は、ボア内に配置された第1材料と、ボアの周囲に少なくとも部分的に配置された第2材料とを含むハイブリッド材料である。第2材料は、第1材料よりも弾性が低い可能性がある。第1材料は、少なくとも1つの接触点に近接するボアの少なくとも一部をコーティングし得る。第1材料は、代替的に、少なくとも1つの接触点に近接するボアに固定的に取り付けられるバンパを備え得る。追加的に又は代替的に、スリーブデザインは、1つ以上のスリーブスロットを含み得る。スリーブスロットは、スロット範囲にわたりスリーブの遠位端から近位側に延び得る。スリーブスロットは、スロット範囲にわたり幅が異なり得る。スリーブスロットは、スリーブの幅の半分よりも大きい可能性がある。追加的に又は代替的に、スリーブスロットは、スリーブに沿って長手方向に、又はスロット範囲にわたり、スリーブの周囲にらせん状に延び得る。スリーブスロットは、1つ以上の巻きで、スリーブの周囲にらせん状に延び得る。スリーブスロットは、1つ以上の巻きにわたりピッチが異なり得る。さらに、インプラントは複数のスリーブスロットを備え得る。複数のスリーブスロットのうちの少なくとも2つは、スリーブの反対側又はスリーブの同じ側に配置し得る。複数のスリーブスロットのうちの少なくとも2つは、異なるスロット範囲を含み得る。
【0005】
別の態様によれば、インプラント送達システムは、送達カテーテルと、フレームとを含み、フレームは、送達カテーテルを通って弁輪まで前進するための圧縮形態と、修復のために弁輪に近接してフレームを配置するための拡張形態とを有する。フレームは、近位端と、遠位端と、頂部において接合された隣接するストラットとを含むとともに、頂部の周囲に配置されたスリーブを備えるアクチュエータを含むことができ、アクチュエータは、アクチュエータを押すか又は回転させることにより、スリーブを頂部の上で推し進め、隣接するストラットに力が加えられる緊締形態にフレームを圧縮して、隣接するストラットの間の空間を調整するように構成されている。スリーブは、スリーブによってフレームにかけられる力を低減させるように構成されたスリーブ組成又はスリーブデザインのうちの一方又は両方を含む弾性特徴部を含み得る。
【0006】
さらなる態様によれば、弁輪部位において弁輪を再形成するためのインプラントを展開する方法は、弁輪部位にインプラントを展開するステップを含み、インプラントは、頂部において接合された一対のストラットを含むフレームと、頂部の周囲に配置されたスリーブを備えるアクチュエータとを備える。本方法は、アクチュエータを駆動し、アクチュエータを押すか又は回転させることにより頂部を下るようにスリーブを推し進め、隣接するストラットに力が加えられる緊締形態にフレームを圧縮して、隣接するストラットの間の空間を調整するステップを含み、アクチュエータの駆動により、スリーブは少なくとも部分的に変形して、スリーブによりフレームにかけられる力を低減させ得る。
【0007】
こうした配置構成により、弾性特徴部は、フレームに対する慢性的な応力及び歪みの影響を減少させることにより、破断のリスクを低減させ得る。
本発明の非限定的な実施態様について、概略的であるとともに正確な縮尺で描かれるようには意図されていない添付の図を参照して、例として記載する。図において、図示されている各同一の又は略同一の構成要素は、概して単一の数字で表されている。明確にする目的で、当業者が本発明を理解するのを可能にするために例示が不要である場合は、すべての図においてすべての構成要素に符号が付されてはおらず、各実施態様のすべての構成要素が示されてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の1つの実施形態による弾性アクチュエータスリーブを含むインプラントを示す図。
【
図2A】本発明による弾性スリーブの一実施形態の側面図。
【
図2B】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図3A】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図3B】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図4】本発明による弾性スリーブの一実施形態を示す図。
【
図5A】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図5B】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図5C】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図6A】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図6B】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図6C】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図7A】本発明による弾性スリーブの一実施形態を示す図。
【
図7B】本発明による弾性スリーブの一実施形態を示す図。
【
図8】本発明による弾性スリーブの一実施形態を示す図。
【
図9A】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図9B】本発明による弾性スリーブの一実施形態の斜視図。
【
図9C】本発明による弾性スリーブの一実施形態の
図9Aの線9C-9Cに沿った断面図を示す。
【
図10】本発明によるインプラントの実施形態と使用し得る例示的な展開システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
弁輪形成インプラントは、インプラントの慢性的な動作中に相互作用するとともに疲労する可能性がある構成要素を含む場合がある。1つの態様によれば、改善された弁輪形成インプラントは、構成要素相互作用の有害な影響を低減させるように構成された1つ以上の弾性構成要素を含む。1つの実施形態において、アクチュエータスリーブやアクチュエータフレームの相互作用によってもたらされる応力及び歪みを吸収するアクチュエータスリーブの能力を向上させるために、緊締インプラントのアクチュエータスリーブを、少なくとも1つの弾性特徴部を備えるように構成し得る。さまざまな実施形態において、弾性特徴部は、アクチュエータスリーブの材料、製造、寸法、及び/又はデザイン属性のうちの1つ以上に関連し得る。いくつかの実施形態において、弾性特徴部は、接触点において応力を吸収するようにアクチュエータスリーブの弾性を向上させ得る。代替的に又は組み合わせて、弾性特徴部は、アクチュエータスリーブの変形能を向上させ、それにより、接触面積を増大させてスリーブに沿って応力をより適切に分散させ得る。
【0010】
弾性スリーブ並びに製造及び/又は使用方法のこれら及び他の有益な態様について、以下より詳細に説明する。本発明の実施形態について、具体的に僧帽弁に関して記載する可能性があるが、本明細書に開示する原理は、例えば三尖弁輪を含む任意の弁輪の再建を促進するように容易に適合させることができ、及び/又は、他の任意の拡張、弁閉鎖不全、弁逆流及び他の同様の心不全状態に対して同様に利益になり得る。
【0011】
本明細書で用いる場合の「遠位」という用語は、患者の体内に医療装置を導入しているときの医療従事者から最も遠い端部を指し、「近位」という用語は、患者の体内に医療装置を導入しているときの医療従事者に最も近い端部を指す。
【0012】
図1Aは、弁150の周囲に配置されたフレーム120を備えるインプラント100を示す。インプラント100のフレーム120は、アクチュエータ113及びアンカ110a、110bを支持し、ここでは、明確にする目的で、インプラントの構成要素のすべてには番号を付していない。1つの実施形態において、フレーム120は、フレームの中心点を通って近位-遠位方向に延びる中心フレーム軸の周囲に周方向に且つその中心フレーム軸に沿って部分的に軸方向に延び、フレーム120の遠位端に配置されたアンカ110a、110bが弁輪155に近接して位置決めされるようにし得る。フレーム120は、中心フレーム軸に対して概して対称であり得るが、対称であることは必須ではない。フレーム120は、概して管状の形状を形成することができ、本明細書における「管状」は、円形とともに他の曲線的な又は他の態様で閉じた形状を含む。フレーム120は、形状、サイズ及び/又は形態を変化させるように構成し得る。例えば、フレーム120は、送達前、送達、組織係合及び緊締の間等、展開の異なる段階中に、さまざまな形状、サイズ、形態等を呈し得る。
【0013】
1つの実施形態によれば、フレーム120は、フレーム120のすべて又は一部を形成し得る1つ以上のストラット112a、112b及び112cから形成することができ、ストラット112a、112b及び112cは、1種の金属合金、ニッケルチタン若しくは他の材料の合金等の形状記憶材料、複数種の金属合金、プラスチック、ポリマー、複合材、他の好適な材料、又はそれらの組合せから形成された、長尺状構造部材を含み得る。
図1Aでは、14のストラットが示されているが、いくつかの実施形態において、14よりも少ないか又は多いストラットがあり得ることが理解される。
【0014】
1つの実施形態において、フレーム120のストラットは、同じ、一体構造の材料片(例えば、素管)から形成し得る。従って、ストラット112a、112b及び112cというとき、それは、同じ長い構成要素の異なる部分を指す場合がある。代替的に、ストラット112a、112b及び112cというとき、それは、別個に形成され、例えば溶接又は他の方法により恒久的に合わせて取り付けられている構成要素を指す場合がある。いくつかの実施形態において、ストラット112a、112b及び112cは、着脱可能に合わせて結合されて近位頂部及び遠位頂部を形成する別個の構成要素であり得る。例えば、ストラット112a、112bは、それらの近位端で接合されて近位頂部を形成し、そこにアクチュエータ113が取り付けられているように示されている。ストラット112b及び112cは、それらの遠位端で接合され、そこにアンカ110bが結合されている。
【0015】
いくつかの実施形態において、別段の定めのない限り、本明細書で用いられるように、且つ参照により本明細書に援用される任意の参照文献で用いられているように、「頂部(apex)」、「複数の頂部(apices)」等の用語は、「クラウン(crown)」、「複数のクラウン(crowns)」という用語と同義で用いる場合がある。1つの実施形態において、「頂部」は、フレームの近位端部分又は遠位端部分を含む場合がある。例えば、
図1Bは、フレーム120の一部を示し、そこでは、アクチュエータは、フレーム120の近位頂部170を露出させるために取り除かれている。近位頂部170は、フレームの、ストラット112a、112bが隣接する部分を含むことができ、遠位頂部180は、フレームの、ストラット112b及び112cが隣接する部分を含み得る。頂部は、フレームの、ストラットと隣接して頂部を形成する構造体によって制約され得る部分も含み得る。例えば、遠位頂部180は、ストラット112b、112cの、アンカ110bを支持する開口部を有する部分を含む。近位頂部170は、アクチュエータ(図示せず)を支持するように構成されるストラット112a、112bの一部分を含み、かつ、当該一部分に沿ってアクチュエータが移動し得る、ストラット112a、112bの一部分を含む。
図1Bの実施形態において、各ストラットは、フランジ121等のフランジを含むように示される。同フランジは、アクチュエータの遠位側への移動の範囲を制限するように構成されており、このように近位頂部170は、フランジ121からストラット112a、112bの近位チップ172a、172bまで延びる、ストラットの一部分を含む。
図1Bの実施形態において、フレーム120の近位頂部170は、アクチュエータシャフトの頭部を担持するように構成されている窓175を形成するように配置されている。アンカがスリーブよりも近位側に位置して、遠位頂部がスリーブを担持し、近位頂部がアンカを担持するようにフレームが向けられる他の実施形態もまた、本発明の範囲内にある。
【0016】
再び
図1Aを参照すると、1つの実施形態において、アクチュエータ113は、アクチュエータシャフト115を含む。同アクチュエータシャフト115は、フレーム120の近位端によって回転可能に担持されており、例えば、アクチュエータシャフト115の頭部はフレーム120の近位頂部170の窓175(
図1B)によって担持し得る。スリーブ114は内部特徴部を含み得る。該内部特徴部は、アクチュエータシャフト115の特徴部と相互作用し、それによって、カプラ118を駆動するように結合された駆動シャフト(図示せず)によるアクチュエータシャフト115が回転することにより、アクチュエータシャフト115とストラット112a、112bとに被さるスリーブ114が軸方向に動くように構成されている。いくつかの実施形態において、スリーブの軸方向移動又は抑制に対して適用される「軸方向」は、少なくとも部分的に近位方向又は遠位方向である方向を含むとともに、フレームを(例えば、近位-遠位方向に)通って延びる中心軸に対して平行又は略平行である方向を含む。
図1Aに示すように、ストラット112a及び112bは、近位頂部から離れるように反対方向に延びる。ストラット112a、112bに被さるスリーブ114の遠位側前進により、ストラットがともにスリーブ内で引っ張られ、その結果、アンカ110a、110b間の距離が短くなって、弁150の周囲で弁輪155が再形成される。1つの実施形態において、各スリーブ114は、関連するアンカ対に対する再形成目的に従って独立して作動させ得る。各スリーブを作動させてそれらの関連するアンカ対を構成すると、インプラントから、カプラ118を駆動するように結合された駆動シャフト(図示せず)を解放し得る。
【0017】
1つの態様によれば、各スリーブ114は、スリーブ114とストラット112a、112bとの間の慢性的な接触の影響を低減させるように構成された、1つ以上の弾性特徴部を含み得る。こうした弾性特徴部により、スリーブ114がストラット112aに被さって遠位側に動くとき、ストラット112aの圧力点P1等、縁部接触点においてストラットに対するスリーブ114の圧力を低減させ得る。こうした弾性特徴部がない場合、圧力P1により、ストラット112aの応力点S1に応力がかかることになり、経時的にフレーム120の疲労がもたらされる可能性がある。弾性特徴部により、スリーブ114の伸縮性及び/又は変形能を増大させて、圧力P1及び関連する応力S1の影響を低減させ得る。例えば、
図1Aにおいて、スリーブ114は、スリーブ114がその遠位端で変形して、スリーブ114によりストラット112a、112bに加えられる応力を軽減させ得るようにする、スリーブ窓130を含むように示されている。
【0018】
図2A及び
図2Bは、
図1Aのスリーブ114と同様である弾性スリーブ200の1つの実施形態の図を示す。スリーブ200は、スリーブ200が回転作動するように構成され、本体210を貫通して延びるボア205を有する、一体的な本体210を含むように示されている。ボア205は、フレーム(図示せず)の頂部によって支持されたシャフトのねじ山と相互作用して、
図1Aに関して記載したようにフレームのストラットの上でスリーブ200の遠位端207を動かせる、ねじ切り内面を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、スリーブの一例は、7.62ミリメートル(0.300インチ)の長さLSLEEVE(高さ)と2.54ミリメートル(0.100インチ)の幅WSLEEVEとを有する場合があるが、スリーブの長さ及び幅は設計の問題であり、フレームの構造に関連することが理解される。
【0020】
1つの態様によれば、アクチュエータスリーブは、インプラントに沿ってより有効に接触点応力を分散させるように構成されたスリーブスロット202等の弾性特徴部を含み得る。例えば、弾性特徴部は、スリーブ114がストラットの上でより有効に変形し得るようにすることにより、スリーブ200とストラット112a、112b(
図1)との間の接触面積を増大させるように構成し得る。
【0021】
スリーブスロット202は、部分的に又は全体的にスリーブの本体210を通ってボア205内に延び得る。代替的に、スリーブスロットは、ボアから本体210を通って又は部分的に通って、スリーブ表面まで内側に延び得る。スリーブスロット202は、長さL
SLOT及び幅W
SLOTを有する。
図2Aにおいて、スリーブスロット202は、スリーブ200の少なくとも正面を2つの脚部204a、204bに分割している。さまざまな実施形態において、スリーブスロット202の長さL
SLOTは、スリーブ200の長さL
SLEEVEの5%~55%又は50%~75%の範囲であり得る。いくつかの実施形態において、長さL
SLOTは、スリーブ200が最遠位範囲まで動いたとき、例えば、スリーブ200の遠位端207がフレームのフランジ121(
図1B)と接触した場合、フレームの近位頂部を覆うスリーブ200の全体又は一部に沿って延び得る。例示的な実施形態において、スリーブ200の長さL
SLEEVEが6~12mmであり、スリーブ200がフレームの近位頂部の上を3~8mm移動するように構成されている場合、長さL
SLOTは、1~4mmの範囲とすることができ、幅W
SLOTは、0.25~2mmの範囲とし得る。スリーブスロット202は概して矩形であるように示されているが、スロット202の形状に制限はなく、例えば、正弦波状、ジグザグ、破線、角張った、反復性、半反復性等であるスロット形状もまた、本発明によって包含される。
図2A及び
図2Bでは、スリーブスロット202は、スリーブ200の遠位端207を通って延びるように示されているが、それは必須要件ではない。むしろ、スリーブスロット202がスリーブの遠位端を通って延びていないスリーブ200の実施形態がより少ない鋭い縁部を含み得ることが理解される。
【0022】
スリーブスロット202の幅WSLOTは、1つ以上の考慮事項に基づいて選択し得る。該考慮事項は、限定されないが、ストラットの幅、ストラット間の間隔、(ボア205内の特徴部に関連し得る)作動の形態、フレームの材料、スリーブの材料等を含む。いくつかの実施形態において、幅WSLOTは、例えば、三角形状、半円形状、菱形状又は他の切欠き型パターンを形成するように、長さLSLOTにわたって変化し得る。1つの態様によれば、スリーブスロット202は、スリーブ200の弾性に影響を与えて、破断のリスクを妨げるようにスリーブによってフレームに加えられる力を減衰及び/又は分散させるように、スリーブのある程度の拡張及び収縮を可能にし得る。
【0023】
弾性特徴部の(長さ、幅等に関する)正確な形状は、フレーム材料、スリーブ材料、作動タイプ、フレーム設計、インプラント位置等、設計考慮事項に従って変更し得ることが理解される。概して、弾性特徴部は、スリーブが、フレームと係合しフレームを保持するその意図された機能を実施しながら、こうした係合の慢性的な影響を低減させ得るように、選択される。
【0024】
1つの態様によれば、スリーブ200は、単一の弾性特徴部に限定されず、複数の同様の又は異なる弾性特徴部を組み込み得る。例えば、
図3A及び
図3Bは、複数のスリーブスロット322a、322b、322c及び322dを有するスリーブ320の斜視図を示し、各スリーブスロットは、スリーブ320の異なる表面321a、321b、321c及び321dに配置されている。4つのスリーブスロット322a~322dが示されているが、フレームと慢性的に接触するスリーブの任意の部分又は表面の上に弾性特徴部を配置し得ることが理解される。いくつかの実施形態において、スリーブ表面321aのスリーブスロット322a及び表面321cのスロット322c等、スリーブの対向する表面にスロットを設けることが有利であり得る。
図2A及び
図2Bでは、スロット322a、322b、322c及び322dは、実質的に同様であるように示されているが、選択される特定の弾性特徴部は、特定の位置におけるフレームとスリーブとの接触の形態に基づいて変更し得ることが理解される。例えば、いくつかの実施形態において、スリーブ320の側面のスリーブスロット322b及び322dは、側面321b及び321dのスリーブ完全性及び緊締能力を保持するようにスリーブスロット322a及び322cよりも短くすることができ、一方で、相対的に長いスロット322a、322cは、スリーブ320の変形を可能にする。
【0025】
図4はスリーブ400の一実施形態を示し、スリーブ400は、スリーブの表面410を通って延びるスリーブスロット402等の複数のスリーブスロットを含む。スリーブスロット402は、スリーブ400の遠位端407をタブ404等の複数のタブに分割している。スリーブスロット402は一様な長さで示されているが、それは必須要件ではなく、いくつかの実施形態において、スロット402の長さは変化することができ、例えば、表面410の中心部分に配置された相対的に長いスロットからテーパ状になり、スロット長がスリーブの縁部に沿って相対的に短いスロットまでテーパ状になり、又はその逆もあり得る。
図4では1つの表面のみが示されているが、スリーブ400の他の表面に同様の又は異なるパターンのスロットを設けることが理解される。さらに、スロット402の幅及び間隔は比較的一様であるように示されているが、さまざまな実施形態において、スロット402の幅及び間隔は変化することができ、それにより、タブ404が異なる幅を有してそれらの間に異なる変形の程度を提供する。
【0026】
図5A~
図5Cは、弾性スリーブ500の別の実施形態を示す。
図5Aでは、スリーブ500の正面510と2つの側面520a、520bとを見ることができる。1つの態様によれば、スリーブ500の弾性特徴部は、スリーブ500の正面及び/又は背面を通って切り取られた窓515を含み、窓は、スリーブ500の側面520a、520bに沿ってスリーブ500の遠位端507まで延びる一対のアーム502a、502bを画定している。本質的に、窓515は、スリーブの正面510及び/又は背面(図示せず)を横切るか又は部分的に横切って延びる幅広スロットである。1つの態様によれば、スリーブ500のアーム502a、502bは、使用中にスリーブ500によってフレームにかけられる圧力を吸収する。
【0027】
例えば、
図5Bは、スリーブ500の「ヒートマップ」である。該ヒートマップは、ストラットに被さるスリーブ500が遠位側に動いた結果として、アーム502a、502bがスリーブの中心長手方向軸から離れて撓んだ場合に、スリーブ500のアーム502a、502bが受ける歪みを示すように意図される。色が明るいほど、アーム502a、502bのその場所で受ける歪みが大きい。
図5Bにおいて、歪みが、スリーブの単一点で発生するのではなく、アーム502a、502bに沿って分散されていることを見ることができる。従って、アーム502a、502bは、それらの可撓性により、ストラットと接触する際に外向きに撓んで、使用中にスリーブ500とストラットとの間の接触縁部を軟化させるとともに関連する歪みを和らげることができる。いくつかの実施形態において、より軟質であり、より弾性の高いアーム502a、502bほど、ストラットに被さって変形し、使用中に接触表面積を増大させて応力をより有効に分散させ得る。
【0028】
図5Cは、フレーム505の一部を示し、使用中のスリーブ500を示し、スリーブ500は、ストラット512a、512bの上で遠位側に動いてストラット512a、512b及びアンカ510a、510bを合わせて引っ張っている。
図5Cに示すように、スリーブ500が遠位側に動くと、アーム502a、502bはそれぞれのストラット512a、512bに沿ってその上を進み、フレームの形状にならってスリーブ500の遠位端を変形させる。その結果、アーム502a、502bに沿ってより均一に応力が分散され、経時的な疲労の可能性が低減する。必須ではないが、いくつかの実施形態において、アーム502a、502bによるフレームの摩擦及び摩耗の影響をさらに低減させるように、アーム502a、502bの内面を平滑ポリマー又は他の材料をコーティングし得る。
【0029】
次に
図6A~
図6Cを参照すると、使用時、環状インプラントが、心筋の動きによってもたらされる慢性的なねじり及び他の3次元応力を受けることが理解される。
図6Aは、らせん状スリーブスロット620を含む弾性スリーブ600の1つの実施形態を示し、らせん状スリーブスロット620は、スリーブ本体610を貫通して又は部分的に通って延びるとともに、スリーブ600の遠位端607において周方向に配置されている。1つの態様によれば、らせん状スロットは、3次元応力を減衰させるために使用し得る。1つの実施形態において、らせん状スリーブスロット620は、スリーブ600の入口点615で開始し、スリーブの遠位端607によって画定された軸に対して角度をなして近位側に延びる。らせん状スリーブスロット620は、スリーブ600の範囲605にわたって配置されるまで、複数の巻きでスリーブ620の周りに続き、本質的に、スリーブ600の遠位端607を範囲605に沿って少なくとも3次元で拡張可能であるらせんコイルに変形させ得る。従って、
図6A~
図6Cの実施形態において、らせん状スロット620はスリーブの周囲にわたって配置されているため、入口点615から終端切れ目までのらせん状スロット620の全長は、スリーブ600の長さを超え得る。さらに、同様の範囲を有するらせん状スロットは、らせん状切れ目のピッチに応じて長さが変化し得る。らせん状スロット620を含む弾性スリーブのさまざまな実施形態において、範囲605は、スリーブ600の長さの5%~55%又は50%~75%で変化し得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、らせん状スロットは、スリーブの周囲を部分的に又は完全に延び得る。いくつかの実施形態において、らせん状スロットは、複数の巻きでスリーブの周囲に延び得る。いくつかの実施形態において、らせん状スロットは、連続的であり得るか、又は代替的に非連続的(破線)であり得る。いくつかの実施形態において、らせん状スロットは、スリーブの外面を切り込んでいるが、スリーブボアの内面に切り込んでいない場合がある。いくつかの実施形態において、らせん状スロットは、スリーブボアの内面を切り込んでいるが、スリーブの外面を切り込んでいない場合がある。いくつかの実施形態において、らせん状スロットは、スリーブ600に沿って上昇/下降するのに応じてピッチを変化させ得る。
【0031】
図6Bは、スリーブ600の遠位端607をより詳細に示す。いくつかの実施形態において、らせん状スロット620は、スリーブ600の表面610内又は表面610を通る開始点615における角度付き切れ目で開始しているため、且つ、角度付き切れ目は、望ましくないが、インプラントに鋭い縁部を与える可能性があるため、鋭い縁部と環状組織との間の接触を最小限にするために、くぼみ618等の鈍い特徴部を設けることができる。本明細書では、当業者により、らせんを開始する前に垂直に切り込むか、又は、縁部を形成することなく表面を通して切り込むことによりらせんを開始する等、縁部を軟化させる他の方法に容易に置換し得る。
【0032】
図6Cは、スリーブ600がストラット612a、612bの上を遠位側に前進したフレーム633を含む、インプラント640の一部を示す。
図6Cに示すように、らせん状スロット620により、スリーブ600の遠位端は、ストラット612a、612bに形状が一致し得る。その結果、フレーム633の疲労の可能性を最小限にするように、3次元ねじり力が分散される。
【0033】
図7A及び
図7Bは、スリーブスロット710と同様に切欠き720等のいくつかの切欠き等、弾性特徴部の組合せを含む、スリーブ700の代替実施形態を示す。本明細書の目的で、切欠きは、スリーブ700の表面を貫通するか又は部分的に通る切れ目であり、そこでは、スリーブ材料の少なくとも一部が除去され、及び/又はスリーブの厚さが他の方法で変更されている。
図7A及び
図7Bでは、切欠きは、スリーブ700の周囲を周方向に延びるように示されている。いくつかの実施形態において、切欠きは、スリーブ700の周囲に部分的に延び、又は、可撓性の増大から利益を得ることができるスリーブ700のさまざまな表面上のさまざまな位置に配置される個々の孔又は他の形態の切欠きとして設けられ得る。
図7A及び
図7Bは、スリーブ700の外面からの切欠きを示すが、他の実施形態において、ボア壁等、内面にもまた、又は代替的に、切欠きを配置し得る。
【0034】
図7Bは、使用時、例えば、スリーブのアーム722a、722bがフレームの上を進むに従い広げられるように、スリーブ700がフレームの近位頂部の上を前進した場合の、スリーブ700の典型的な図である。
図7Bに示すように、切欠き720は、切欠き720の範囲にわたってスリーブ700の厚さを変化させ、それにより、切欠き720においてスリーブ700の可撓性を増大させ且つ/又は変形能を向上させる。切欠き720は、一様な間隔及びパターンで示されているが、さまざまな実施形態において、切欠きは、フレームが受ける特定の力を補償するように、サイズ、幅又は間隔を変更し得ることが理解される。例えば、いくつかの実施形態において、より密な間隔で配置されている切欠きは、可撓性が追加されたスリーブ部分を提供することができ、より間隔を空けて配置された切欠きは、スリーブ構造により高い剛性を提供し得る。
【0035】
スロット又は他の切欠きを使用してスリーブ弾性を変更するさまざまな方法について記載した。1つの態様によれば、スリーブの組成を変化させることにより、スリーブ弾性をさらに向上させ得る。例えば、さまざまな実施形態において、スリーブ力をより有効に分散させるように、伸縮性とスロットの上でより容易に変形し得る能力とが向上した弾性材料を少なくとも一部使用するスリーブを製造することにより、スリーブの弾性特性を向上させ得る。こうした材料としては、限定されないが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタン等が挙げられる。
【0036】
いくつかの実施形態において、スリーブは、弾性が向上した単一材料から作製し得る。他の実施形態において、スリーブは、弾性が異なる複数の材料を含むように製造し得る。例えば、
図8は、相対的に低い弾性を有する材料から製造されたスリーブの部分が、相対的に高い弾性を有するスリーブの部分よりも暗いように陰影がつけられている、スリーブ800の図である。例えば、駆動シャフトを支持するスリーブの部分818は、駆動シャフトの動作を容易にするための相対的に高い剛性と、遠位端がストラット上の遠位端819の変形を容易にし得るようにする相対的に低い剛性すなわち増大した可撓性とを有し得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、スリーブは、グラフェン、及び/又は、グラファイト及び/又は薬剤溶出コーティング等、固体コーティングでコーティングし得るポリマーから形成し得る。スリーブの本体は、ポリマーシース内に包含される、カテーテルのような編組コイルチューブを備え得る。いくつかの実施形態は、コイルの上に配置された編組を備え、その組合せはポリマーによって封入される。代替的に、成形された、熱成形された構成要素であるねじ切り内部構成要素を封入する編組シースを使用し得る。さらに、本明細書では、ねじ切り内部ボアを組み込んだコイル状の補強シースを使用し得る。
【0038】
一体型の本体を形成するために異なる材料を使用して異なるスリーブを製造し得ることを上述したが、他の実施形態において、スリーブは、複数の材料から形成することができ、且つ/又は、フレームにおける応力を低減させるように追加の構成要素を含むように適合させ得る。例えば、
図9A~
図9Cは、弾性スリーブ900へのバンパの導入を示す。
図9Aは、弾性スリーブ900を通して延びるボア950を有する弾性スリーブ900の1つの実施形態の遠位端部分を示す。上述したように、スリーブ900は、使用中にストラットとの慢性的な接触から、矢印919a、919bによって示すように、下方遠位角部において応力を受ける可能性があり、バンパ920、922は、慢性的な接触の影響を減衰させるように構成し得る。
【0039】
図9Bは、スリーブ900の遠位端をより詳細に示す。バンパ920は、好ましくは、スリーブ900の材料よりも軟質であり且つ/又は弾性が高い材料から形成されている。例えば、バンパ920は、疲労に至る可能性がある摩耗を低減させるように、微粒子を残すことなくストラットの形状にフィットするポリマー等のより軟質の材料から作製し得る。いくつかの実施形態において、バンパ920は、スリーブ900と一体的である内部ボアコーティングを含み得る。他の実施形態において、バンパ920は、製造プロセス中にスリーブ900のボア950内に圧入し得る別個の構成要素から構成されることができる。例えば、各バンパ920は、スリーブ900のボア950内の孔又は凹部932内に圧入し得るこぶ又はタブ930を含み得る。
【0040】
図9Cは、
図9Aの線9C-9Cに沿った断面である。
図9Cに示すように、バンパ920、922は、特に、使用中にフレーム(図示せず)がボア950の内面と接触する場合、ボア950の両側に配置し得る。バンパ920、922のサイズ、位置及び形状は、フレーム及びフレームとスリーブ900との接触点の特定の形状に従って変更し得る。2つのバンパが示されているが、バンパの数は限定されず、ボア内の接触点に配置されたコーティング及び/又はバンパのさまざまな組合せが、使用中にフレーム完全性を維持するようにフレーム疲労を有利に低減させ得ることが理解される。
【0041】
このように、弾性アクチュエータスリーブを備えるカスタマイズ可能な弁形成を提供する環状弁インプラントのさまざまな実施形態について、図示し及び記載した。こうしたインプラントは、
図10に示すもの等の弁輪再形成システム1000の一部とすることができ、弁輪再形成システム1000は、遠位チップ1020を有する展開カテーテル1010を備えるように示されており、展開カテーテル1010は、遠位シース1040と、展開カテーテル1010を弁輪1060に近接する位置まで誘導するように展開カテーテル1010を通って延びる延長可能ガイドワイヤ1025とを有する。展開カテーテル1010は、心臓の頂部を通して心房1065及び僧帽弁輪1060にアクセスするために、約20~30センチメートルの長さを有し得る。展開カテーテル1010は、心臓弁輪への経管的展開のために、脚の血管系、特に大腿静脈又は腸骨静脈にアクセスし得る。
【0042】
展開中、展開カテーテルの遠位シース1040内に、本明細書に開示するもの等の1つ以上の弾性特徴部を有するアクチュエータスリーブを含むインプラント1030を配置し得る。
【0043】
図11は、本明細書に記載するような環状再形成のためにインプラント1101を展開するために使用し得る展開システム1100を示す。展開システム1100は、ベース1110によって支持された、操縦可能なシース1102と、シース操縦つまみ1104と、緊締つまみ1106と、アンカつまみ1108と、インプラント1101と、可視化プローブ1127とを備える。緊締つまみ1106及びアンカつまみ1108は、張力を維持するようにばね荷重がかけられ得る。緊締つまみ1106は、拡張可能フレームを圧縮するように、フレームを固定するように、且つ/又は、ストラットに沿って弾性アクチュエータスリーブを前進させることにより弁輪を縮小させるように、操作者が操作し得る。
【0044】
本発明は、フレームの上を回転可能に駆動されるアクチュエータスリーブの使用に焦点を当てているが、本明細書に開示する原理は、回転アクチュエータとの使用に限定されないことが留意されるべきである。ストラット間隔を調整するためにフレームストラットの上で押し下げられるか又は他の方法で徐々に下方に動かされるスリーブを含む他の作動スリーブは、本明細書に記載するもの等の弾性特徴部を含むことから同様に利益を得ることができる。例えば、本明細書に開示する原理は、例えば、「僧帽弁輪を再形成するための調整可能な管腔内インプラント(ADJUSTABLE ENDOLUMENAL IMPLANT FOR RESHAPING MITRAL VALVE ANNULUS)」と題する、2015年9月22日に出願された(米国特許第9,615,926号明細書として2017年4月11日に発行された)米国特許出願第14/861,877号明細書に開示されているもの等、例えば、「血管内超音波撮像を使用する心臓弁装置の送達方法(METHODS FOR DELIVERY OF HEART VALVE DEVICES USING INTRAVASCULAR ULTRASOUND IMAGING)」と題する、2016年9月29日に出願された(米国特許第10,335,275号明細書として2019年7月2日に発行された)米国特許出願第15/280,004号明細書に記載されているような、例えば、「回転アンカを使用する弁置換(VALVE REPLACEMENT USING ROTATIONAL ANCHORS)」と題する、2016年2月12日に出願された(米国特許第9,848,983号明細書として2017年12月26日に発行された)米国特許出願第15/043,301号明細書に記載されているような、例えば、「心臓弁輪を再形成する植込み可能装置及び送達システム(IMPLANTABLE DEVICE AND DELIVERY SYSTEM FOR RESHAPING A HEART VALVE ANNULUS)」と題する、2016年11月15日に出願された(米国特許第10,555,813号明細書として2020年2月11日に発行された)米国特許出願第15/352,288明細書に記載されているような、例えば、「僧帽弁反転プロテーゼ(MITRAL VALVE INVERSION PROSTHESES)」と題する、2015年3月12日に出願された(米国特許第9,610,156号明細書として2017年4月4日に発行された)米国特許出願第14/427,909号明細書に記載されているような、且つ/又は、例えば、「心臓弁輪を再形成するための植込み可能装置及び送達システム(IMPLANTABLE DEVICE AND DELIVERY SYSTEM FOR RESHAPING A HEART VALVE ANNULUS)」と題する、2018年2月9日に出願された(米国特許第10,548,731号明細書として2020年2月4日に発行された)米国特許出願第15/893,122号明細書に記載されているようなインプラントのためにもまた疲労耐性を向上させることができ、上記出願の各々の開示全体が、すべての目的で参照により本明細書に援用され、本明細書の一部を形成する。このように、本明細書における特定の特徴及び機能の記載は、参照により本明細書に援用される参照文献に記載されているもの、又は進展の範囲内にある他のもの等、他の特徴及び機能を排除するようには意図されていない。
【0045】
本発明に記載する実装形態に対するさまざまな変更は、当業者であれば容易に明らかとなり、本明細書に定義する包括的な原理は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実装形態に適用し得る。従って、本発明は、本明細書に示す実装形態に限定されるように意図されておらず、特許請求の範囲、本明細書に開示した原理及び新規な特徴と一貫する最も広い範囲が与えられるべきである。「例」という語は、本明細書では、「例、事例又は例示としての役割を果たすこと」を意味するように排他的に用いられる。「例」として本明細書に記載するいかなる実装形態も、別段の定めのない限り、必ずしも、他の実装形態に対して好ましいか又は有利であるものとして解釈されるべきではない。
【0046】
本明細書において別個の実装形態の文脈で記載するいくつかの特徴は、単一の実装形態において組み合わせて実施される場合もある。逆に、単一の実装形態の文脈で記載するさまざまな特徴は、複数の実装形態において別個に又は任意の好適なサブコンビネーションで実施される場合もある。さらに、特徴が、いくつかの組合せで作用するものとして上述しており、さらにはそのように最初から特許請求されている場合があるが、特許請求されている組合せからの1つ以上の特徴は、場合により、その組合せから削除することができ、特許請求されている組合せは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象とし得る。同様に、図面において動作が特定の順序で示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、こうした動作が図示されている特定の順序で又は連続した順序で実施されること、又は、図示するすべての動作が実施されることを必要とするものとして解釈されるべきではない。さらに、他の実装形態が、以下の請求項の範囲内にある。場合により、請求項に記載されている作用は、異なる順序で実施することができ、依然として望ましい結果を達成し得る。
【0047】
当業者であれば、概して、本明細書で用いる用語が、「非限定的な(open)」用語として概して意図されていることが理解されよう(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「含んでいるが限定されない」と解釈されるべきであり、「有している(having)」という用語は、「少なくとも有している」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、限定されない」と解釈されるべきである等)。さらに、当業者であれば、導入された請求項記載の所定の数が意図されている場合、こうした意図は、その請求項において明示的に記載され、こうした記載がない場合、こうした意図は存在しないことがさらに理解されよう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項記載を導入するために「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」という導入句の使用を含む場合がある。しかしながら、こうした句の使用は、「1つの(“a”又は“an”)」という不定詞による請求項記載の導入により、同じ請求項が、「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入句と、「1つの」等の不定詞とを含む場合であっても、こうした導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、1つのこうした記載のみを含む実施形態に限定されることを意味するように解釈されるべきではなく(例えば、「1つの(“a”及び/又は“an”)」は、通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するように解釈されるべきである)、同じことは、請求項記載を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。さらに、導入された請求項記載の所定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者であれば、こうした記載が、通常、少なくとも記載された数を意味するよう解釈されるべきであることを理解するであろう(例えば、他の修飾語のない単なる「2つの記載」という記載は、通常、少なくとも2つの記載又は2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」に類似する慣用表現が使用される場合において、概して、こうした構文は、当業者がその慣用表現を理解する意味で意図されている(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、及び/又はA、B及びCともに等を有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B又はC等のうちの少なくとも1つ」に類似する慣用表現が使用される場合、概して、こうした構文は、当業者がこの慣用表現を理解するという意味で意図されている(例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、及び/又はA、B及びCともに等を有するシステムを含むが、それに限定されない)。当業者であれば、明細書、特許請求の範囲又は図面のいずれであっても、2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の離接語及び/又は離接句は、その用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、又は両方の用語を含む可能性を想定することが理解されるべきであることが理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、「A」若しくは「B」又は「A及びB」の可能性を含むように理解されよう。
【0048】
本明細書に開示するとともに請求項に記載する装置及び/又は方法は、本発明を考慮して、過度の実験なしに作成及び実行し得る。本発明の装置及び方法の実施形態について記載したが、当業者であれば、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、装置及び/又は方法に対して、且つ本明細書に記載する方法のステップにおいて又は一続きのステップにおいて、変形形態を適用し得ることが明らかであり得る。当業者に対して明らかなこうした同様の置換形態及び変更形態のすべてが、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の趣旨、範囲及び概念内にあると考えられる。