(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】光学デバイスのための縁シーラント閉じ込めおよびハロー低減
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20230920BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B5/00 Z
(21)【出願番号】P 2022055188
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2019510780の分割
【原出願日】2017-08-24
【審査請求日】2022-03-30
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317000625
【氏名又は名称】モレキュラー インプリンツ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Molecular Imprints,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マイク ネビン ミラー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ワイ. シュー
(72)【発明者】
【氏名】ビクラムジット シン
(72)【発明者】
【氏名】エリック シー. ブロウィ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ディー. テコルステ
(72)【発明者】
【氏名】ビクター カイ リウ
(72)【発明者】
【氏名】サマース バルガヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ディーン シュムレン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ティー. ショーウェンゲルト
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-093399(JP,A)
【文献】特開2009-282488(JP,A)
【文献】国際公開第2016/020643(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0116739(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0215244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受け取り、前記光を伝搬するように構成された導波管である基板を備えている光学構造であって、
前記基板は、
前記基板の光学機能的領域を形成する第1の格子パターンと、
前記基板上で、前記基板の縁の近位にある第2の格子パターンであって、前記第2の格子パターンは、前記基板の周全体に形成された第1の特徴と、前記基板の前記周全体に形成された第2の特徴とを備え、前記第1の特徴および前記第2の特徴は、
材料を前記第2の格子パターンに閉じ込め、これにより、前記基板の前記光学機能的領域内への前記材料の
毛細管流を阻止することによって、
前記基板の前記縁からの前記材料の前記毛細管流を制御するために配置されている、第2の格子パターンと
を含む、光学構造。
【請求項2】
前記第1の格子パターンは、前記基板の第1の表面上にあり、前記第2の格子パターンは、前記基板の第2の表面上にある、請求項1に記載の光学構造。
【請求項3】
前記第1の格子パターンおよび前記第2の格子パターンは、前記基板の第1の表面上にある、請求項1に記載の光学構造。
【請求項4】
前記基板は、前記基板の第2の光学機能的領域を形成する第3の格子
パターンをさらに含む、請求項1に記載の光学構造。
【請求項5】
前記基板の前記光学機能的領域は、直交瞳エキスパンダ(OPE)領域および射出瞳エキスパンダ(EPE)領域のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の光学構造。
【請求項6】
前記第2の格子パターンは、前記基板の前記縁
に平行であるように配置されている1つ以上の特徴を含む、請求項1に記載の光学構造。
【請求項7】
前記第2の格子パターンは、V形格子パターン、S形格子パターン、および長方形格子パターンのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の光学構造。
【請求項8】
前記第2の格子パターンは、前記基板の前記縁
に垂直であるように配置されている1つ以上の第1の特徴を含み、
前記第2の格子パターンは、前記基板の前記縁
に平行であるように、かつ前記第2の格子パターンを越える前記材料の前記毛細管流を阻止するために配置されている1つ以上の第2の特徴を含み、
前記1つ以上の第2の特徴は、少なくとも部分的に、深度、高さ、および幅のうちの少なくとも1つにおいて前記1つ以上の第1の特徴とは異なる、請求項1に記載の光学構造。
【請求項9】
前記材料は、前記基板の屈折率より低い屈折率を有する、請求項1に記載の光学構造。
【請求項10】
前記材料は、
前記基板の前記縁からの距離に従って変動する屈折率の勾配を有する、請求項1に記載の光学構造。
【請求項11】
前記第2の格子パターンは、
前記基板の上面から見たときに少なくとも1つの多角形の断面形状を有する1つ以上の特徴を含む、請求項1に記載の光学構造。
【請求項12】
前記少なくとも1つの多角形
の断面形状は、三角形、正方形、および長方形のうちの1つ以上を含む、請求項11に記載の光学構造。
【請求項13】
前記材料は、前記導波管から光を受け取り、前記光を吸収するように構成された光可変吸収性縁材料である、請求項1に記載の光学構造。
【請求項14】
前記材料および前記基板は、
同じ屈折率を有する、請求項1に記載の光学構造。
【請求項15】
前記材料は、ドープ剤と、接着剤とを備えている、請求項1に記載の光学構造。
【請求項16】
前記ドープ剤は、前記基板の縁からの距離とともに変動する勾配で分配されている、請求項15に記載の光学構造。
【請求項17】
前記ドープ剤は、カーボンブラックナノ粒子を備えている、請求項15に記載の光学構造。
【請求項18】
前記カーボンブラックナノ粒子は、50~70nmの範囲の直径を有する、請求項17に記載の光学構造。
【請求項19】
前記材料は、ドープ剤と、接着剤とのうちの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載の光学構造。
【請求項20】
前記第1の特徴は、前記第1の格子パターンと前記第2の特徴との間に位置付けられている、請求項1に記載の光学構造。
【請求項21】
前記基板は、前記光学構造に含まれる基板の複数の層のうちの1つ
の層であり、
前記基板の前記複数の層の各
層は、
各層のそれぞれの縁の近位に前記第2の格子パターンを含み、
前記材料は、前記基板の複数の層を固定するために前記光学構造の外周の少なくとも一部に沿って適用された縁接着剤である、請求項1に記載の光学構造。
【請求項22】
前記基板の複数の層の各々は、それぞれの層のそれぞれの光学機能的領域上の前記第1の格子パターンをさらに含む、請求項21に記載の光学構造。
【請求項23】
前記第1の格子パターン
のピッチは、ナノスケールであり、前記光学機能的領域における光伝搬のための導波管を提供するように配置され、前記第2の格子パターン
のピッチは、マイクロスケールまたはナノスケールである、請求項22に記載の光学構造。
【請求項24】
前記光学構造は、接眼レンズである、請求項1に記載の光学構造。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の引用)
本開示は、米国仮特許出願第62/380,066号(2016年8月26日出願、名称「Edge Sealant Confinement and Halo Reduction for Optical Devices」)に関連し、それに対する優先権を主張し、上記出願の全体は、参照により本開示に引用される。
【0002】
(背景)
Molecular ImprintsTMによって開発されたジェットおよびフラッシュインプリント技術(J-FILTM)は、ナノ構造を用いて形成される金型を使用して、表面上に種々の3次元ナノ構造をパターン化する能力を提供する。紫外線(UV)硬化性液体フォトレジストが、金型を通して流され、光を用いて硬化させられる。金型は、次いで、硬化したフォトレジストから分離され、表面上に形状を残す。接眼レンズは、ガラスの複数の層から成り得、J-FIL技法は、ガラスの種々の層上に回折格子を作成するために使用され得る。層は、積層され得、糊が、光学性能のための層間の空気間隙とともに、機械的完全性を提供し、アセンブリをシールするために採用され得る。伝統的に、そのようなアセンブリでは、糊は、縁からアセンブリの機能的エリアの中にウィッキングし(例えば、流れ)、光学劣化につながり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の実施形態は、概して、複数の層を含む光学構造および/または光学デバイスを対象とする。より具体的には、実施形態は、縁パターンが層の少なくともいくつかの上にインプリントされ、種々の層上にインプリントされる格子パターンの中への縁接着剤の流動を阻止または防止し、別様に制御する多層光学構造を対象とする。
【0004】
概して、本明細書に説明される主題の発明的側面は、基板の縁の近位にある縁格子パターンを含む、基板であって、縁格子パターンは、基板の縁から縁格子パターンの中への材料の毛細管流を制御するために配置された1つ以上の特徴を含む、基板を含む、構造(例えば、光学構造)として具現化されることができる。
【0005】
実施形態は、随意に、以下の特徴のうちの1つ以上のものを含むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、縁格子パターンは、基板の第1の表面上にあり、基板は、基板の第2の表面上に第2の格子パターンをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2の格子パターンは、直交瞳エキスパンダ(OPE)領域および射出瞳エキスパンダ(EPE)領域のうちの1つ以上のものを含む機能的格子パターンである。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ以上の特徴は、基板の縁に実質的に垂直であるように配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、1つ以上の特徴は、V形格子パターン、S形格子パターン、および長方形格子パターンのうちの1つ以上のものを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、縁格子パターンは、縁格子パターンを越える材料の毛細管流を阻止するために配置された1つ以上の第2の特徴をさらに含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の特徴は、基板の縁に実質的に平行であるように配置される。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第2の特徴は、少なくとも部分的に、深度、高さ、および幅のうちの少なくとも1つにおいて1つ以上の特徴とは異なる。
【0013】
いくつかの実施形態では、材料は、基板のそれより低い屈折率を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、材料は、適用されているとき、基板の縁からの距離に従って変動する屈折率の勾配を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つ以上の特徴は、少なくとも1つの多角形の断面形状を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの多角形は、三角形、正方形、および長方形のうちの1つ以上のものを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、基板は、光を受け取り、それを伝搬するように構成された導波管であり、材料は、導波管から光を受け取り、それを吸収するように構成された光可変吸収性縁材料である。
【0018】
いくつかの実施形態では、材料および基板は、実質的に同じ屈折率を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、材料は、ドープ剤と、接着剤とを備えている。
【0020】
いくつかの実施形態では、ドープ剤は、導波管の縁からの距離とともに変動する勾配において分配される。
【0021】
いくつかの実施形態では、ドープ剤は、カーボンブラックナノ粒子を備えている。
【0022】
いくつかの実施形態では、カーボンブラックナノ粒子は、50~70nmの範囲の直径を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、材料は、接着テープの少なくとも1つの層を備えている。
【0024】
いくつかの実施形態では、接着テープは、ドープ剤と、接着剤とを備えている。
【0025】
いくつかの実施形態では、接着テープおよび基板は、実質的に同じ屈折率を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、基板は、光学構造に含まれる基板の複数の層のうちの1つであり、複数の層の各々は、それぞれの層の縁の近位に縁格子パターンを含み、材料は、基板の複数の層を固定するために、光学構造の外周の少なくとも一部に沿って適用された縁接着剤である。
【0027】
いくつかの実施形態では、基板の複数の層の各々は、第2の格子パターンをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、縁格子パターンは、縁格子パターンの中に縁接着剤の毛細管流を提供するために配置され、第2の格子パターンの中への縁接着剤の毛細管流を阻止するためにさらに配置される。
【0029】
いくつかの実施形態では、第2の格子パターンは、ナノスケールであり、光伝搬のための導波管として動作し、縁格子パターンは、マイクロスケールおよびナノスケールのうちの1つ以上のものである。
【0030】
本開示による側面および特徴は、本明細書に説明される側面および特徴の任意の組み合わせを含み得ることを理解されたい。つまり、本開示による側面および特徴は、本明細書に具体的に説明される側面および特徴の組み合わせに限定されず、また、提供される側面および特徴の任意の組み合わせを含む。
【0031】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細が、付随の図面および下記の説明に記載される。本開示の他の特徴および利点が、説明ならびに図面から、および請求項から明白となるであろう。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
基板を備えている光学構造であって、
前記基板は、前記基板の縁の近位にある縁格子パターンを含み、前記縁格子パターンは、前記基板の前記縁から前記縁格子パターンの中への材料の毛細管流を制御するために配置された1つ以上の特徴を含む、光学構造。
(項目2)
前記縁格子パターンは、前記基板の第1の表面上にあり、
前記基板は、前記基板の第2の表面上の第2の格子パターンをさらに含む、項目1に記載の光学構造。
(項目3)
前記第2の格子パターンは、直交瞳エキスパンダ(OPE)領域および射出瞳エキスパンダ(EPE)領域のうちの1つ以上のものを含む機能的格子パターンである、項目2に記載の光学構造。
(項目4)
前記1つ以上の特徴は、前記基板の前記縁に実質的に垂直であるように配置されている、項目1に記載の光学構造。
(項目5)
前記1つ以上の特徴は、V形格子パターン、S形格子パターン、および長方形格子パターンのうちの1つ以上のものを含む、項目1に記載の光学構造。
(項目6)
前記縁格子パターンは、前記縁格子パターンを越える前記材料の毛細管流を阻止するために配置された1つ以上の第2の特徴をさらに含む、項目1に記載の光学構造。
(項目7)
前記1つ以上の第2の特徴は、前記基板の縁に実質的に平行であるように配置されている、項目6に記載の光学構造。
(項目8)
前記1つ以上の第2の特徴は、少なくとも部分的に、深度、高さ、および幅のうちの少なくとも1つにおいて前記1つ以上の特徴とは異なる、項目6に記載の光学構造。
(項目9)
前記材料は、前記基板のそれより低い屈折率を有する、項目1に記載の光学構造。
(項目10)
前記材料は、適用されているとき、前記基板の前記縁からの距離に従って変動する屈折率の勾配を有する、項目1に記載の光学構造。
(項目11)
前記1つ以上の特徴は、少なくとも1つの多角形の断面形状を有する、項目1に記載の光学構造。
(項目12)
前記少なくとも1つの多角形は、三角形、正方形、および長方形のうちの1つ以上のものを含む、項目11に記載の光学構造。
(項目13)
前記基板は、光を受け取り、それを伝搬するように構成された導波管であり、
前記材料は、前記導波管から光を受け取り、それを吸収するように構成された光可変吸収性縁材料である、項目1に記載の光学構造。
(項目14)
前記材料および前記基板は、実質的に同じ屈折率を有する、項目1に記載の光学構造。
(項目15)
前記材料は、ドープ剤と、接着剤とを備えている、項目1に記載の光学構造。
(項目16)
前記ドープ剤は、前記導波管の前記縁からの距離とともに変動する勾配で分配されている、項目15に記載の光学構造。
(項目17)
前記ドープ剤は、カーボンブラックナノ粒子を備えている、項目15に記載の光学構造。
(項目18)
前記カーボンブラックナノ粒子は、50~70nmの範囲の直径を有する、項目17に記載の光学構造。
(項目19)
前記材料は、接着テープの少なくとも1つの層を備えている、項目1に記載の光学構造。
(項目20)
前記接着テープは、ドープ剤と、接着剤とを備えている、項目19に記載の光学構造。
(項目21)
前記接着テープおよび前記基板は、実質的に同じ屈折率を有する、項目19に記載の光学構造。
(項目22)
前記基板は、前記光学構造に含まれる基板の複数の層のうちの1つであり、
前記複数の層の各々は、それぞれの前記層の縁の近位に前記縁格子パターンを含み、
前記材料は、前記基板の複数の層を固定するために前記光学構造の外周の少なくとも一部に沿って適用された縁接着剤である、項目1に記載の光学構造。
(項目23)
前記基板の複数の層の各々は、第2の格子パターンをさらに含む、項目22に記載の光学構造。
(項目24)
前記縁格子パターンは、前記縁格子パターンの中への前記縁接着剤の毛細管流を提供するために配置され、前記縁格子パターンは、前記第2の格子パターンの中への前記縁接着剤の毛細管流を阻止するためにさらに配置されている、項目23に記載の光学構造。
(項目25)
前記第2の格子パターンは、ナノスケールであり、光伝搬のための導波管として動作し、
前記縁格子パターンは、マイクロスケールおよびナノスケールのうちの1つ以上のものである、項目23に記載の光学構造。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1A-1Dは、接眼レンズが層間の間隙の中への縁材料のウィッキングを示す従来技術による例示的接眼レンズを描写する。
【
図2】
図2A-2Dは、本開示のいくつかの実施形態による縁材料を閉じ込めるための縁パターンを含む例示的接眼レンズを描写する。
【
図3A】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による縁材料のウィッキングを防止するために採用され得る実質的に線形の縁パターンの例を描写する。
【
図3B】
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による縁材料のウィッキングを防止するための採用され得る柱縁パターンの例を描写する。
【
図4A】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による複数の層を含む例示的接眼レンズの断面図を描写する。
【
図4B】
図4Bは、接眼レンズが層間の間隙の中への縁材料のウィッキングを示す従来技術による例示的接眼レンズの断面図を描写する。
【
図4C】
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による縁材料を閉じ込めるための縁パターンを含む例示的接眼レンズの断面図を描写する。
【
図5A】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による接眼レンズの例示的層を描写する。
【
図5B】
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による多層接眼レンズを採用する例示的仮想現実および/または拡張現実システムを描写する。
【
図6】
図6Aおよび6Bは、それぞれ、本開示のいくつかの実施形態による黒くされていない縁および黒くされた縁を伴う接眼レンズにおける例示的試験画像を描写する。
【
図7】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による連続的層による漸進的勾配縁シーラントの例を描写する。
【
図8】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による格子ピッチを変動させることによる漸進的勾配縁シーラントの例を描写する。
【
図9】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による光軽減材料および接着材料の組み合わせを含む例示的接眼レンズの断面図を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の実施形態は、多層光学アセンブリの光学活性エリアの中へのシーラントポリマー(例えば、糊)のウィッキングを低減させるために、または防止するために、閉じ込め構造および/またはパターン格子を使用することを対象とする。実施形態は、光学アセンブリの層間の接着を改良し、したがって、構造的完全性を改良することをさらに対象とする。実施形態は、漸進的にドープされるシーラント材料を利用し、光学アセンブリ内の反射性事例またはハロー効果を低減させ、したがって、接眼レンズまたは他の多層回折格子アセンブリの光学機能を改良するためにさらに説明される。
【0034】
接眼レンズは、スタックにおける(例えば、高率)ガラスの複数の層から成り得る。J-FIL技法は、接眼レンズのガラスの層上に回折格子を作成し、導波管ディスプレイを作成するために使用され得る。各層は、J-FILを使用してその表面上に作成されるポリマー格子を伴うガラスの薄層であり得る。回折格子は、接眼レンズの基本的作業機能性を提供し得る。回折格子が大きく広いガラス層上に形成されると、ガラス層は、接眼レンズの形状にレーザ切断され得る。ガラスの各層は、異なる色であり得、複数の深度平面が存在し得る。多数の平面は、接眼レンズを使用するユーザのためにより良好な仮想体験を提供し得る。層は、シーラントポリマー(例えば、糊ドット)を使用して積層され得、スタック全体は、シーラントを使用してシールされ得る。層間の空気間隙が、接眼レンズの光学性能のために必要とされ得る。層間の間隙は、制御された寸法(例えば、実質的に均一な幅)を有し得る。縁シーラントポリマー(本明細書では糊としても説明される)は、外側環境からスタックおよび空気間隙をシールするために、層状構造の縁の周囲に適用され得る。縁シール糊は、汚染物および水分を締め出しながら構造の機械的完全性を確実にするための物理的係止も提供する。そのようなシールを伴わないと、層は、ばらばらになり、互いから層剥離し得る。しかしながら、縁シール糊は液体であるので、これは、層間の間隙の中に、かつ構造の機能的エリア(例えば、回折格子)の中にウィッキングし(例えば、流れ)、接眼レンズの光学性能を劣化させ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、導波管スタックの両方の層と接触する。そのような二重接触は、紫外線(UV)アクリレート系ポリマー硬化材料を採用するそれらの実施形態のために特に重要である。これらの実施形態では、ウィッキングされるポリマーの上方および下方の両方の層との接触は、適切なUV硬化を確実にし、酸素阻害を限定する。硬化させられていない、または硬化不足のポリマーは、ガラスへの接着不良、劣った機械的性質、より低いガラス遷移温度、および/またはその他等の望ましくない特性を生成する。
図4Bは、導波管スタックの層間の接触不良を伴うウィッキングを図示する。
図4Cは、本開示全体を通して説明されるような縁閉じ込め構造によって促進されるような適切な接触を図示する。
【0036】
いくつかの実施形態は、ガラス上にインプリントされる追加の特徴、すなわち、縁閉じ込め構造を提供する。そのような縁閉じ込め構造は、構造の内部における非縁回折格子のそれらと比較して、異なる形状(例えば、格子、柱、多角形、ハニカム六角形ライン等)および/または高さを有し得る。縁閉じ込め構造は、ガラス層の縁から差し込まれ得、縁シール糊が接眼レンズの内部の中、機能的非縁回折格子のエリアの中にウィッキングすることを防止するための堰堤としての役割を果たし得る。J-FILは、光学の機能的領域、例えば、非縁回折格子と、このデバイスの機械的包装のための縁閉じ込め特徴との両方を作成し、機能的領域の中への縁シール糊のウィッキングを防止するために使用され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、J-FILドロップオンデマンドプロセスを使用して、回折格子接眼レンズの外周に沿って閉じ込め領域を形成するUV硬化性材料が、光学機能的回折格子とともに共同でインプリントされる。光学活性回折格子の閉じ込め構造との組み合わせは、接眼レンズ回折格子のための元々の源として利用されるパターン化マスタに閉じ込め構造を組み込むことによって効率的に達成され得る。マスタからサブマスタへの複製プロセス時、そして、基板に、これらの閉じ込め構造は、回折格子がインプリントされる同じプロセス中にインプリントされ得る。いくつかの実施形態では、閉じ込め構造は、より大きい基板がJ-FILを使用してパターン化され、その後、接眼レンズの形状に単体化(例えば、レーザ切断)された後、これらの閉じ込め構造が単体化された縁に平行に(または実質的に平行に)、および/または隣接して延びるように、接眼レンズの外周に沿って配置される。閉じ込め構造は、接眼レンズスタック(例えば、多層回折格子接眼レンズ)の縁から機能的非縁接眼レンズ格子に向かう縁シーラントポリマー(例えば、接合糊ドット)の側方流を低減させ、および/または制限するために配置され得る。そのような流動は、自然の毛細管作用を通して別様に起こり、層間のより狭い間隙が、構造の内部の中への糊の一連の毛細管作用引きを提供するであろう。さらに、
図4Cに関連して上で説明されるように、そのような閉じ込め構造は、層間のポリマー接触をさらに改良し、硬化および構造的完全性を改良し得る。
【0038】
そのような閉じ込め構造は、J-FILプロセスにおいて低粘度フォトレジストの流動に抵抗し得るが、ポリマーシーラントのウィッキングを防止するために以前は使用されていなかった。さらに、本明細書に説明される閉じ込め構造は、J-FILプロセスにおいて低粘度フォトレジストの流動に抵抗するために使用される構造と比較して、異なってインプリントおよび/または構造化され得る。特に、単に、フォトレジストの流動に抵抗するために使用される構造は、シーラントの毛細管作用ウィッキングを防止するために不適正であり得る。例えば、グリッドレイアウトが、フォトレジストの流動に抵抗するために既に使用されていたが、本明細書に開示されるような閉じ込め構造の実施形態は、シーラントの毛細管流を遮断するために、外周に沿って延びる平行な隆起の組を含み得る。概して、以前に使用された構造は、特定の構造形成を通してフォトレジストの流動を制御するために設計されていたこともあるが、本明細書に開示される実施形態は、シーラントの流動を完全に防止し、構造の内部の中へのウィッキングを防止するために外周に沿ったシーラントの流動を向け直しる、および/または、製造および構造メトリックを改良するために配置される閉じ込め構造を提供する。いくつかの実施形態では、シーラントは、フォトレジストよりも高い粘度を有し得る。シーラントは、J-FILプロセスにおいて分注されるフォトレジスト等の個別的な液滴として分注される代わりに、接眼レンズの積層された層の縁に沿って適用(例えば、コーティング)され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、閉じ込め構造は、接眼レンズの縁に平行に(または実質的に平行に)延びるナノインプリントされ、硬化した平行ラインの組を含み得る。縁シールが接眼レンズ層間の間隙に浸透し始めると、毛細管力は、接眼レンズスタックの内部の中にではなく、外周に沿って縁シールポリマーを引き込む。シーラントの使用は、本開示に後で説明されるように、接眼レンズ層の縁に当たる迷光を吸収することによって、高コントラスト接眼レンズの作成を可能にする。シーラントは、接眼レンズの機械的間隙および共平面性のために構造的完全性も提供する(例えば、それを「閉じ込める」)。本明細書に説明されるような閉じ込め構造の使用なしでは、溜まったシーラントは、最終的に、接眼レンズの2つの層状基板間の間隙の内側にある接眼レンズ回折格子に接触することによって、有害な性質を有し得る。これらに接触すると、毛細管力は、回折格子の中にシーラント樹脂または糊を引き込み、したがって、少なくとも部分的に回折格子を充填することによって、接眼レンズの光学機能を劣化させるであろう。
【0040】
さらに、いくつかの実施形態では、外周に沿ってシーラントを引き込むであろう毛細管力は、閉じ込め構造のナノ構造によって強化され得る。例えば、閉じ込め構造は、接眼レンズの内部の中へのシーラントのウィッキングを防止する一方、接眼レンズの縁に沿ったシーラントの伝搬も促進し得る。毛細管力は、縁に沿ったシーラントの分配を補助し得るので、シーラント押し出し機または他のシーラント送達デバイスは、接眼レンズの円周全体に沿ってシーラントを適用することを必要とされないこともある。代わりに、シーラント送達デバイスは、シーラントを円周に沿った1つ以上の場所に適用し得る。接眼レンズの縁に平行であるナノ構造化ラインを含む閉じ込め構造は、毛細管作用を通して、シーラントを円周の残りに均一に分配し得る。したがって、閉じ込め構造は、シーラントを接眼レンズの縁に適用するためのより単純なより低コストの機構の使用も可能にし得る。
【0041】
本明細書における例は、接眼レンズの内部の中への接着性および/または光吸収性縁材料のウィッキング流を迂回させるため、または別様に制御するための縁パターンの使用を説明するが、実施形態は、そのように限定されない。本明細書に説明される技法は、接着性および/または光吸収性ではないこともある材料の流動を制御するためにも使用されることができる。加えて、説明される多くの実施形態が、接眼レンズの機能的エリア内の回折格子と同じ導波管の側に縁パターンを有するが、縁パターンと回折格子とは、導波管の反対側に製作されることが可能である。いくつかの実施形態では、縁パターンおよび回折格子のうちの1つ以上のものは、導波管基板の1つ以上の側に配置され得る。
【0042】
図1A-1Dは、接眼レンズが層間の間隙の中への縁材料のウィッキングを示す従来技術による例示的接眼レンズ100を描写する。上で説明されるように、接眼レンズは、ガラスまたは他の材料の任意の好適な数の層を有し得、各層は、種々の周波数の光の通過を可能にするための導波管としての役割を果たし得る。層は、特定の色の光を伝搬するための特定の導波管のために構成され得、接眼レンズは、導波管を通した光が知覚され得るいくつかの深度平面を作成するために、特定の屈折率のために構成され得る。例えば、導波管層の第1の組は、第1の深度平面において赤色、緑色、および青色のための層を含み得、導波管層の第2の組は、第2の深度平面に対応する赤色、緑色、および青色光のための層の第2の組を含み得る。色の順序は、接眼レンズにおいて所望の光学効果を達成するために、異なる深度平面において異なるように配置され得る。いくつかの実施形態では、単一の(例えば、青色)層が、複数の深度平面を対象とし得る。
【0043】
基板104は、J-FIL方法または他の好適な技法を使用して、格子パターン106をインプリントされ得る。
図1Aおよび1Bの例では、基板104の一部が、パターン106をインプリントされている。
図1Cおよび1Dの例では、基板104の表面全体が、パターン106をインプリントされている。概して、任意の好適な距離が、基板104の縁とインプリントされる格子パターン106の始点とを分離し得る。
【0044】
図1Bおよび1Dの例に示されるように、縁材料108が、接眼レンズの縁に沿って適用されている。縁材料108は、糊、樹脂、ポリマーシーラント、インク、および/または他の粘性材料であり得る。図示されるように、従来技術において一般的に起こるように、縁材料108の一部は、ウィッキング縁材料110として、縁から離れるように、接眼レンズの内部の中に流動している。上で説明されるように、そのようなウィッキングは、接眼レンズ内の層間の間隙の中に縁材料108を引き込む毛細管作用によって引き起こされ得る。そのようなウィッキングは、接眼レンズの光学機能を劣化させ得る。
【0045】
図2A-2Dは、本開示のいくつかの実施形態による縁材料を閉じ込めるための縁パターンを含む例示的接眼レンズ200を描写する。
図1A-1Dの例のように、基板104は、J-FIL方法または他の好適な技法を使用して、格子パターン106をインプリントされている。
図2Aおよび2Bの例では、基板104の一部が、パターン106をインプリントされている。
図2Cおよび2Dの例では、基板104の表面のより広い部分が、パターン106をインプリントされている。
【0046】
図2A-2Dの例では、縁パターン202が、接眼レンズ200の縁に沿って適用されている。いくつかの事例では、接眼レンズの各層が、縁パターン202を適用され得る。代替として、複数の層のうちの一部が、縁パターンを適用され得る。可能な縁パターンが、
図3Aおよび3Bを参照してさらに説明される。いくつかの事例では、
図2Cおよび2Dのように、縁パターン202は、格子パターン106の始点まで延び得る。いくつかの事例では、
図2Aおよび2Bのように、縁パターン202と格子パターン106との間にある程度の空間が存在し得る。
図2Bおよび2Dに示されるように、縁材料108の流動は、閉じ込められた縁材料204が、少なくとも部分的に(または完全に)縁材料が格子パターン106に到達すること、したがって、層の光学活性部分の機能性を劣化させることを防止するように、縁パターン202に閉じ込められ得る。
【0047】
いくつかの事例では、接眼レンズの層間の間隙は、約数十ミクロン(例えば、30ミクロン間隙)であり得る。適用される縁材料の幅は、約数ミリメートルであり得る。パターン106および/または縁パターン202のための格子パターンは、より小さいスケール、例えば、ナノスケール格子であり得る。小さいスケールのナノスケール格子を所与として、そのような格子は、格子パターン106の中に縁材料108を引き込む非常に強い毛細管作用を示し得る。縁材料108が各層の内部の中の奥深くにウィッキングすること、したがって、格子パターン106を充填することによって層の光学性能を劣化させることを防止するために、縁パターン202は、各層の縁から内部の中に約数ミリメートルの距離延び得る。縁パターン202は、縁材料108が閉じ込め構造の「ダミー」パターンにおいてその毛細管作用を効果的に使い果たすことを可能にし得、それによって、縁材料108は、格子パターン106の中に流動することを防止される。いくつかの実施形態では、縁パターン202は、接眼レンズの中に10ミクロン延びている。代替として、縁パターン202は、さらに遠く、例えば、5ミリメートル延びていることができる。所望される接着剤性質、シーラント材料のために使用されるポリマーのタイプ、および/または所望される光吸収の量等の付随考慮事項が、利用されるシーラントの量、したがって、使用されるべき縁パターンの深度を決定することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、縁パターン202は、格子パターン106と同じステップまたは同じパターン適用プロセスにおいて、例えば、J-FILを使用して適用され得る。縁パターン202は、同じパターン化プロセスにおいて格子パターン106とともに共同でパターン化され得る。代替として、縁パターン202は、格子パターン106の適用の前または後、別個のプロセスにおいて適用され得る。J-FIL適用プロセスは、基板に適用されるフォトレジストの体積密度を空間的に制御することができる。J-FILを使用して適用されるマスタパターンは、異なるサイズの特徴の混合物であり得る。例えば、ナノスケール格子が、接眼レンズ格子パターン106のために使用され得る一方、より深いマイクロスケールまたはナノスケール格子が、縁材料108の流動を制御する縁パターン202のために使用され得る。パターン化は、同時に、および/または、同じ適用プロセス中、実施され得、接眼レンズの光学機能的格子パターン106領域等のナノスケールパターン化を有するべきであるエリア内のフォトレジストのより薄い堆積と比較して、より多い(例えば、より厚い層の)フォトレジストが、縁制御のためのより深い特徴を有するべきであるエリアに堆積され得る。いくつかの事例では、接眼レンズの最適な機能は、導波管表面と格子との間に、ナノスケール格子106の下にパターン化されていないフォトレジストの非常に薄い残留層を要求し得る。フォトレジストの異なる厚さの層を堆積させるためのJ-FILの使用は、格子パターン106のエリアが、フォトレジストの薄層(例えば、実行可能な限り薄い)が堆積されることを要求する一方、縁パターン202のエリアが、より深くエッチングされる縁パターンを支持するためにフォトレジストのはるかに厚い層、例えば、格子パターン106のナノスケールエッチングと比較してマイクロスケールを要求すると仮定すると、伝統的な技法に優る利点を提供する。本明細書で使用されるように、ナノスケールは、約数(例えば、1~数百)ナノメートルの距離スケールを指す一方、マイクロスケールは、約1~数百ミクロンの距離スケールを指し、ミリメートルスケールは、約1~数百ミリメートルの距離スケールを指す。
【0049】
本明細書における例は、特定のパターン(例えば、垂直ライン)を含むが、実施形態は、この例に限定されない。任意の好適なパターンが、接眼レンズにおける所望の光学機能性を達成するためにインプリントされ得る。さらに、本明細書における例示的接眼レンズは、特定の形状(例えば、眼鏡におけるレンズのもの)を有し得るが、接眼レンズは、任意の好適な形状を有し得る。
【0050】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による縁材料のウィッキングを防止するために採用され得る例示的縁パターン202を描写する。
図3Aに図示されるように、接眼レンズの縁は、例202(1)-202(4)の各々の左に位置し、各例の右側は、接眼レンズの内部に向かい、例えば、格子パターン106に向かう。例202(1)-202(4)に示されるように、縁パターン202は、2つのタイプの特徴を含み得る。第1の特徴302は、縁に平行に(またはほぼ平行に)延びる1つ以上のエッチングされたラインを含み得る。そのような特徴は、縁材料108(例えば、糊、樹脂、シーラント等)が格子パターン106に浸透することを妨げ得る。特徴302は、縁に垂直(例えば、格子パターン106に向かって内向き)ではなく縁に平行に流動するように縁材料108を向け直し得る。第2の特徴304は、縁に垂直または実質的に垂直に延びるラインを含み、縁材料108が第1の(例えば、平行な)特徴302によって妨げられる前に縁からある程度の距離にわたって内向きに流動することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、縁パターンは、例202(1)、202(3)、および202(4)のように、縁に垂直に(または実質的に垂直に)延びるラインの組等の第2の特徴304を含み得る。いくつかの実施形態では、縁パターンは、例202(2)のV形または逆V形パターン等のより複雑な経路に沿って縁材料108を誘導する第2の特徴304を含み得る。いくつかの実施形態は、縁パターン202のための任意の好適なパターンの使用をサポートする。例えば、パターン202は、例202(2)のV形逆V形パターンの代わりに、蛇行またはS形曲線等の第2の特徴を含み得る。V形、S形、または他のタイプのパターンの使用は、それがパターン化されたチャネルに沿って進行するにつれて、縁材料108の粘性流を徐々に減速させるように機能し得る。
【0051】
第2の特徴304は、縁材料108が、縁材料108が内部の中にそれ以上浸透することを防止するための堰堤または障害物として作用する第1の特徴302に走り寄るまで、制御された様式で内向きに縁材料108を引っ張るように機能し得る。第2の特徴304は、縁の円周に沿った縁材料108の均衡のとれた分配も促進し得る。いくつかの実施形態では、第1の特徴302は、第2の特徴304と比較して異なる幅寸法を有し得る。例えば、例202(2)-202(4)に示されるように、第1の特徴302は、第2の特徴304と比較してより広いエッチングされたチャネルを含み得る。第2の特徴304は、第1の特徴302と比較して異なる高さも有し得る。例えば、第1の特徴302は、第2の特徴304よりも高く延びているか、または深くエッチングされ得る。第1の特徴302の異なる寸法、例えば、高さ、深度、および/または幅は、縁材料108の流動を阻止するためのより効果的な堰堤または障害物を提供し得る。
【0052】
図3Aは、採用され得る縁パターン202の種々の例を示すが、実施形態は、示される例に限定されない。いくつかの実施形態は、接眼レンズの機能的部分から離れて縁材料108の流動を閉じ込めるための任意の好適な設計、サイズ、または他の配置の縁パターン202を採用し得る。いくつかの事例では、縁パターン202の特定の深度、幅、および/または設計は、少なくとも部分的に、縁材料108の粘度もしくは他の特性に基づき得る。例えば、第1の縁パターン202は、特定の粘度の縁材料108を最適に閉じ込め得る一方、第2の異なる縁パターン202は、異なる粘度を有する異なる縁材料108を最適に閉じ込め得る。
【0053】
図3Bは、例示的パターン202(1)―202(4)の使用からもたらされるそれらと類似する結果をもたらすために利用され得る柱状構造202(5)―202(10)としての例示的格子パターンを描写する。各柱状格子パターンは、断面幾何学形状に加えて、基板の表面からz方向に延びている高さを有し得る。複数の間隔を置かれた柱は、可変幾何学形状を有することに加えて、可変サイズも同様に有し得る。
【0054】
図3Bに描写されるように、描写される柱の間でz方向における可変高さを有し得る例示的三角形柱202(5)は、共通のサイズおよび幾何学形状を有する一方、例示的三角形柱202(6)は、種々の柱の間で可変サイズを有し、パターンにわたって柱間の可変ピッチ体積の関数としての毛細管作用によってウィッキングの速度を制御し得る。円形パターン202(7)、六角形パターン202(8)、および/または正方形パターン202(9)等の他の形状および組み合わせも、類似する機能を達成し得る。加えて、いくつかの実施形態は、縁により近い円形柱と機能的エリアにより近い三角形柱と等、または、パターンの中へのウィッキングを促進するための正方形柱と所望の向きにおける流動制御を提供するための線形格子とを伴う例示的パターン202(10)等の組み合わせを利用し得る。いくつかの実施形態では、例示的パターン202(10)に示されるような線形格子は、導波管の1つ以上の縁と実質的に平行であり得る。実施形態は、
図3Aおよび3Bに示される例示的構成からの任意の好適な修正および派生物を含む他の好適なパターンを採用し得る。
【0055】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による複数の層を含む例示的接眼レンズ200の断面図を描写する。
図4Aの例に示されるように、接眼レンズ200は、間隙によって互いから分離される任意の適切な数の層404を含み得る。層404間の間隙は、所望の光学機能性を達成するための任意の好適な幅にあり得る。各層404は、基板と、接眼レンズの光学機能的領域内の格子パターン106と、格子パターン106の中への縁材料の流動を阻止または防止するための縁パターンをエッチングされている縁閉じ込めエリアとを含み得る。
【0056】
図4Bは、接眼レンズが層間の間隙の中への縁材料のウィッキングを示す従来技術による例示的接眼レンズ100の断面図を描写する。この断面図に示されるように、縁材料は、層間の間隙を通して、格子パターン106を含む機能的領域に向かって流動している。上で説明されるように、格子パターン106の中への縁材料108の衝突は、接眼レンズの機能性を劣化させるか、または事実上破壊し得る。
【0057】
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による格子パターン106から縁材料108を閉じ込めるための縁パターン202を含む例示的接眼レンズ200の断面図を描写する。
図4Cの例に示されるように、縁パターン202は、異なる高さおよび/または深度を有する特徴302および304の2つの組を含む。縁パターン202の存在は、縁材料108を効果的に閉じ込め、それが毛細管作用を通して格子パターン106に到達することを防止し、製造中の縁材料108の接着および硬化性質を改良する。
【0058】
いくつかの実施形態では、
図4Cの例に示されるように、縁パターン202と格子パターン106との間に間隙402が存在し得る。この間隙402は、接眼レンズの層404間の間隙と混同されるべきではない。いくつかの実施形態では、間隙402は、約数十ミクロンである幅を有し得る。いくつかの実施形態では、間隙402は、接眼レンズに沿った異なる位置において異なる幅を有し得る。例えば、間隙402は、接眼レンズが個人によって装着されているとき、こめかみの近くと比較して、鼻の近くに異なる幅を有し得る。間隙402の幅は、例えば、縁の周囲に沿った特定の位置における所望の光学性質による光学の関数であり得る。いくつかの実施形態では、縁パターン202は、層404の両側にインプリントされ得る。
【0059】
図5Aは、本開示の実施形態による接眼レンズ200の例示的層404を描写する。
図5Aの例では、長方形形状を有する層が、描写される。いくつかの実施形態は、先の図に示される接眼レンズ形状等の異なる形状の層も採用し得る。
図5Aは、XおよびY方向が層の表面に沿ったものであり、Z方向が層の表面に直交する層の上下図を示す。
【0060】
図5Aに示されるように、層は、光が層の中に導入され得る1つ以上の内部結合格子(ICG)504を含み得る。
図5Aの例では、ICG504は、3つの小点として示される。追加の実施形態は、ICGのための他の好適な配置を支援する。光506は、格子パターン106によって層内に作成される導波管に従って、ICG504からX方向に沿って層の左縁に向かって伝搬し得る。光は、X方向に沿って層の右縁に向かっても伝搬し得る。いくつかの実施形態では、導波管は、より多くの光を優先的に1つの方向に、例えば、右に向かってではなく左に向かって送光するように配置され得る。
【0061】
例えば、層は、黒くされた縁502(2)と、黒くされた縁502(1)とを含み得る。縁が黒くされない場合、伝搬光506は、縁から層の内部に向かって戻るように反射し得る。そのような反射は、例えば、接眼レンズがウェアラブル仮想現実および/または拡張現実デバイスにおけるコンポーネントとして使用されるとき、接眼レンズにおいて望ましくない「ゴースト」画像を引き起こし得る。故に、縁を黒くすることは、ゴースト画像の強度を防止し、および/または低減させ得る。いくつかの実施形態では、層の右側および/または下側に沿った縁も、それぞれの縁から反射する光に起因するゴースト画像の発生を防止するために黒くされ得る。言い換えると、接眼レンズの全周(または少なくともその実質的部分)が、いくつかの実施形態では、黒くされる。実施形態は、特定の場所に対して、黒くすることを適用すべき場所の選択に対する任意の好適な変形例を提供し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、層は、少なくとも2つの異なる領域、すなわち、直交瞳エキスパンダ(OPE)領域508と、射出瞳エキスパンダ(EPE)領域510とを含み得る。光506がOPE領域内でX方向に沿って伝搬するとき、光の少なくとも一部は、格子パターンによって、Y方向にEPE領域510に向かい、その中に回折される。接眼レンズが仮想現実および/または拡張現実デバイスにおいて採用される実施形態では、光は、EPE領域510からユーザの眼に外部結合され、光は、仮想画像として知覚される。上で議論されるように、上縁502(1)も、そのような反射光が望ましくない光学効果を生成し得るとすると、Y方向に伝搬している光の反射を低減または防止するために黒くされ得る。
【0063】
図5Bは、本開示の実施形態による多層接眼レンズを採用する例示的仮想現実および/または拡張現実システム500を描写する。
図5Bの例に示されるように、システム500は、光を反射性コリメータ512上に向かわせる発光ダイオード(LED)光源514を含み得る。コリメータ512は、コリメートされた光を液晶オンシリコン(LCOS)SLM518に送光し、それは、光信号をプロジェクタリレー516を介してICG504に向かわせ得る。光信号は、システム500を通してユーザに示されるべき仮想現実および/または拡張現実画像を提供し得る。上で説明されるように、接眼レンズは、インプリントされた基板の任意の好適な数の層404を含み得、接眼レンズは、OPE領域508と、EPE領域510とを含み得る。OPE領域の中に指向される光は、OPE領域を横断して、EPE領域の中に伝搬し得、それは、光を視認者の眼520に外部結合し、光は、仮想および/または拡張現実画像として知覚される。
【0064】
多層接眼レンズの縁を黒くすることは、縁に衝突する光の吸収を引き起こし、および/または、縁に衝突する光の低減させられた反射を提供し得る。例えば、以前に利用可能であったデバイスでは、接眼レンズの縁から反射された光は、視認者の眼520に外部結合し得、視認者の眼520への反射光のより長い経路により、意図された元々の光路と比較して反射光の望ましくない位相変化が存在し得、光によって具現化されたいずれの画像も、結果として生じる位相干渉によって歪んで見えるであろう。他の場合、反射光は、接眼レンズ層404を通して完全に伝搬し、LCOS SLM518上に再び現れ得、それは、「ゴースト」画像としてシステムを通して向け直されるであろう。そのような効果は、種々の実施形態によって提供される縁を黒くすることを使用して低減させられ、または排除される。
【0065】
本明細書に議論される種々の実施形態は、接眼レンズの縁を黒くするための任意の好適なプロセスの使用を支援する。例えば、屈折率n≒1.6を伴うMasterbond EP42HT-2等のエポキシが、カーボンブラックと2:1の比率において混合され得る。黒くされたエポキシは、上で説明されるように、接眼レンズをシールし、多層配置のための機械的完全性を提供するために採用される縁材料108であり得る。他の好適なタイプの光吸収材料も、採用され得る。本明細書における例は、縁材料108としてのカーボンブラックドープエポキシの使用を説明するが、実施形態は、そのように限定されない。縁シーラントは、任意の好適な材料であり得、縁シーラントは、黒色クロメート、カーボンブラック、および/または他の光吸収物質を用いた糊、樹脂、エポキシ、もしくは他の接着剤のドープを通して光吸収性であり得る。
【0066】
図6Aおよび6Bは、それぞれ、本開示の実施形態による黒くされていない縁および黒くされた縁を伴う接眼レンズにおける例示的試験画像を描写する。これらの図は、
図5Aを参照して説明される縁を黒くすることの光学効果を図示する。黒くされた縁を伴わないと、試験画像は、縁が黒くされているときと比較して、より低いコントラストおよびより少ない鮮明度を示す。
【0067】
表1は、縁を黒くする処理を伴わない接眼レンズを使用する3つの実験的試行に対するANSIコントラストおよび連続的コントラストの測定値を示す。表2は、縁を黒くする処理を伴う接眼レンズを使用する(単一の実験的試行に関する)類似する測定値を示す。
【表1】
【表2】
【0068】
表1および2に示されるように、ANSIコントラストは、黒くされた縁を用いて実質的に改良される(例えば、36.7対4.75)一方、連続的コントラストは、似ている(例えば、181.3対177.9)。連続的コントラストは、オフ画像をオン画像と比較することによって、例えば、画像がオンおよびオフに切り替えられるような経時的なコントラストを比較することによって測定される。ANSIコントラストは、特定の時間における特定の画像に対する黒色と白色との間のコントラストである。縁を黒くすることは、黒くすることを伴わない接眼レンズにおいて起こり得るハロー効果の発生および/または目立つことも低減させ、そのようなハロー効果は、縁からの光の反射によって引き起こされ得る。
【0069】
表3は、縁材料108として異なるタイプの接着剤、特に、カーボンブラックドープNorland 81(n=1.56を伴う)、n≒1.6を伴うカーボンブラックドープMasterbond、およびn=1.77、例えば、接眼レンズの層において使用される基板の屈折率にほぼ対応する屈折率を伴うSapphire(@523nm)を使用する吸収試験の結果を列挙する。
【表3】
【0070】
表1に示されるように、より低い屈折率を伴う黒くされた接着剤(例えば、縁材料108)の使用は、数ミリワットから数十マイクロワットへの約2桁の反射電力の(例えば、縁から反射する光の)低減、および縁において吸収される光の高パーセンテージを提供する。吸収されたパーセンテージは、100‐100×接着剤の反射電力/Sapphire接着剤の反射電力(例えば、ベースライン比較として使用される)として計算される。
【0071】
いくつかの実施形態では、光学性能を促進する縁接着剤が、利用され得る。いくつかの実施形態では、縁接着剤は、接眼レンズを通して戻るような光の反射を防止するために吸収性であり得る。いくつかの実施形態では、縁接着剤は、光が縁接着剤の中に伝搬することを可能にし、接眼レンズを通して戻るように伝搬する光散乱を低減させるために、接眼レンズのそれと実質的に類似する屈折率と、縁からの距離の関数としての吸収性材料の増加する濃度を示す。例えば、縁接着剤は、縁に接近するにつれて、炭素ドープ(直径が50~70ナノメートルの炭素ナノ粒子等)の増加する濃度を有し得る。そのような勾配は、光の漸進的吸収を可能にし、それに衝突する全ての光を吸収しようと試みる実施形態に関して起こり得るような、接眼レンズの内部と比較した屈折率の急激な変化を用による接着剤からの光散乱を低減させ得る。
【0072】
図7は、吸収性材料(例えば、炭素)の漸進的に変動する濃度を伴う1つ以上の実施形態を図示する。本明細書における例は、吸収性材料としての炭素の使用を説明するが、実施形態は、種々の濃度または配置における他の好適な吸収性材料を採用し得る。
図7は、接眼レンズ700の縁部分720の拡大図とともに接眼レンズ700を描写する。接眼レンズ700は、光学コンポーネントの層を備えている接眼レンズスタック702を含む。接眼レンズスタック702は、外側汚染物質に対して外縁704をシールするために、光学層の層剥離に抵抗するための補強を提供するために、および/または、光学コンポーネントを通した迷光710の反射および/または散乱を軽減するために、その上に縁材料706が配置される外縁704を含む。縁材料706は、より少ないまたはより多い層が可能であるが、
図7に図示されるような材料の複数の層708を備え得る。各層は、他の層のうちの1つ以上のものと同じ材料であり、互いにおよび接眼レンズスタック702に対して実質的に類似する屈折率有し得るか、または、代替として、異なる層は、異なる材料から作製され得る。いくつかの実施形態では、層のうちの少なくとも1つは、炭素ナノ粒子等の1つ以上の構成材料から構成されるドープ材料を備え得る。構成材料の比率は、各ドープ層に対して異なり得るか、または実質的に同一であり得る。
図7に示される実施形態では、4つの層708A、708B、708C、および708Dが、接眼レンズスタック702の外縁704の周囲に配置され、それらは、本明細書に下記で説明される。
【0073】
図7によって図示される実施形態では、第1の層708Aは、第1の屈折率を有するエポキシ等の材料を備え得る。第1の層708Aの第1の屈折率は、接眼レンズスタック702の屈折率と類似するか、または実質的に同一であり得、それによって、接眼レンズスタック702の外縁704に向かって進行する光710は、接眼レンズスタック702の外縁704と縁材料706との間の界面を通過し、第1の層708Aの中に入り得る。接眼レンズスタック702と第1の層708Aとの間の屈折率を合致させることは、光710が、接眼レンズスタック702に向かって戻るような最小限の光の屈折、反射、および/または散乱を伴い界面を通過することを可能にする。第1の層708Aは、接眼レンズスタック702から縁材料706の中への光710の大部分を受け取るように動作する。いくつかの実施形態では、光710は、次いで、第2の層708Bに向かって第1の層708Aを通過し得る。いくつかの実施形態では、第1の層708Aは、それを通過する光の少なくとも一部を吸収するために、所望の濃度における吸収性ドープ材料を含む。
【0074】
第2の層708Bは、ドープ材料を含み得る。
図7に示される例では、第2の層708Bは、基材714中に埋め込まれた粒子716を伴うエポキシ等の基材714を含み得る。いくつかの設計変数は、層708Bおよび縁材料706の所望の性能を提供するように調節され得る。例えば、粒子材料、粒子サイズ、粒子と基材との比率、およびエポキシ材料が、最適化のために調節され得る設計変数のうちのいくつかである。
【0075】
いくつかの実施形態では、埋め込まれた粒子716は、カーボンブラックナノ粒子等の光吸収性粒子であり得、約数ナノメートルにサイズを決定され得る。例えば、埋め込まれた粒子716は、サイズが50~70nmに及び得る。埋め込まれた粒子716の基材714に対する比率は、層の所望の性能に応じて変動し得る。例えば、接眼レンズスタック702の外部に適用される接着テープ等の単一の層は、5%の重量パーセント(w/w)を有し得る。いくつかの実施形態では、より高いまたはより低い埋め込まれた粒子716の基材714に対する比率も、複数の層を横断する縁材料706の性能を最適化するために使用され得る。例えば、第2の層708Bは、1%の炭素ナノ粒子w/wを有し得、第3の層708Cは、3%の炭素ナノ粒子w/wを有し得る。
【0076】
第2の層708Bの基材714は、第2の層708Bの屈折率が層708Aの屈折率と類似するか、または実質的に同一であるように、第1の層708Aと同じ材料であり得る。2つの屈折率間の類似性は、最小限の屈折または反射を伴い第1の層708Aから第2の層708Bに進入する光710を促進する。
【0077】
第2の層708B内の基材714内に配置される埋め込まれた粒子716の組成は、光710の一部が第2の層708Bによって吸収されることを可能にする。例えば、第2の層708Bの中に進行する光710は、それが吸収される1つ以上の埋め込まれた粒子716に遭遇し得る。埋め込まれた粒子716に遭遇しない光710は、第2の層708Bの基材714を通して第3の層708Cに向かって継続して進行し得る。
【0078】
第3の層708Cは、基材714内に配置される埋め込まれた粒子716を有するドープ材料であり得る。第3の層708Cの基材714は、第2の層708Bの基材と同一または類似する屈折率を有するように選択され得る。層間で同一または類似する屈折率を有することは、第2および第3の層708B、708C間の界面を横断する光710を促進する。いくつかの実施形態では、第3の層708Cの基材714は、エポキシ材料等の第2の層708Bの基材と同じ材料であり得る。
図7に示される実施形態では、第3の層708Cは、埋め込まれた粒子716をさら含む。埋め込まれた粒子の基材に対する比率は、別の層と実質的に同一であり得るか、または代替として、異なる比率を有し得る。示される例では、第3の層708Cは、第2の層708Bと比較して、より高い埋め込まれた粒子の基材に対する比率を有し得る。第2の層708Bと同様に、第3の層708Cに進入する光は、光を吸収する埋め込まれた粒子716に遭遇し得る。埋め込まれた粒子に遭遇しない光710は、基材714を通して第4の層708Dに向かって進む。第2の層708Bを透過する光710の少なくとも一部が、第2の層708Bと第3の層708Cとの間の界面上で反射または散乱するであろうことが可能である。第2の層708B内の埋め込まれた粒子716は、次いで、そのような反射または散乱光をさらに吸収し得る。
【0079】
第4の層708Dは、埋め込まれた粒子716を伴う基材714を有する第3の層708Cと類似するドープ材料であり得る。第4の層708Dの基材は、第3の層708Cの基材と類似する屈折率を有するように選択され、第3の層708Cから第4の層708Dに進入する光を促進し得る。ある実施形態では、第4の層708Dの基材は、エポキシ材料等の第3の層708Cの基材と同一であり得る。埋め込まれた粒子716は、光吸収性粒子であり得、カーボンブラック材料から作製され得る。埋め込まれた粒子の基材に対する比率は、別の層と実質的に同一であり得るか、または異なる比率を有し得る。
図7に示されるように、第4の層708Dは、第2の層708Bまたは第3の層708Cと比較して、より高い埋め込まれた粒子の基材に対する比率を有し得る。第4の層708Dに進入する光は、埋め込まれた粒子716に遭遇し、それによって吸収され得る。埋め込まれた粒子に遭遇しない光は、基材714を通して継続して進行し得る。第3の層708Cを透過する光710の少なくとも一部が、第3の層708Cと第4の層708Dとの間の界面上で反射または散乱するであろうことが可能であり、第3の層708C内の埋め込まれた粒子716は、次いで、そのような反射または散乱光をさらに吸収し得る。
【0080】
縁材料706の層の全てを通過した後、ごくわずかな光が、吸収されないままであるであろう。しかしながら、縁材料706の最も外側の縁718に到達しない光710は、第4の層708Dの中に戻るように反射され得る。この光は、複数の層708D、708C、708Bを継続して通過し得、それは、それぞれの複数の層の埋め込まれた粒子716による追加の吸収事象を有するであろう。
【0081】
当業者は、多くの変数が本開示の範囲内で改変され得ることを理解するであろう。例えば、層の数および組成は、より多いまたはより少ない光吸収、反射、および屈折を提供するように調節され得る。加えて、各層の厚さは、変動させられ得る。上で議論されるように、基材および埋め込まれた粒子は、それぞれ、エポキシおよびカーボンブラック粒子であり得るが、しかしながら、他の糊、接着剤、ならびに公知のシール材料も、基材として使用され得、他のタイプおよびサイズの粒子も、開示されるカーボンブラック粒子に加えて、またはその代わりに使用され得る。これらの設計変更は、縁材料構成を最適化し、光吸収、コスト、審美的アピール、製造の容易さ、重量、耐久性、または任意の他の選択される変数を改良するために使用され得る。
【0082】
開示される縁材料は、接眼レンズスタックの縁の周囲に各層材料のドットを滴下し、一度に1つの層を硬化させ、所望に応じた数の層を形成することによって製造され得る。層毎に、材料組成、特に、埋め込まれた粒子の基材に対する比率は、上で説明されるシールを作成するために変更され得る。代替として、接眼レンズスタックの縁は、層材料の中に浸漬され、硬化させられ、次いで、隣接する層のための材料の中に浸漬され、硬化させられ、所望の層蓄積が終了されるまで以下同様であり得る。
【0083】
さらに別の代替実施形態では、各層は、接眼レンズスタックの縁の周囲に巻かれ得る接着テープとして事前形成され得る。例えば、
図7に示される縁材料を参照すると、4つの異なるテープが、使用されることができる。接眼レンズスタック702の外縁704の周囲に直接巻かれる第1のテープは、第1の層708Aを備えているであろう。このテープは、均一なエポキシ材料から構成され得る。第2の層708Bを形成するために、エポキシおよび選択された濃度の炭素粒子から構成されるテープの区分が、第1の層708Aを覆って巻かれ得る。第3および第4の層708Cおよび708Dは、縁材料706の最終厚さを構築するために、前の層の周囲に順に巻かれるであろう。いくつかの実施形態では、テープの複数の層は、より少ない巻きステップが実施されるように、接眼レンズ700の周囲にテープを巻くことに先立って積層され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、ウィッキングを制御するための格子構造は、埋め込まれた粒子716の勾配濃度を制御し得る。例えば、格子、柱、または別様に起伏構造間のピッチ、または空間を伴うウィッキング勾配パターンにおいて、接眼レンズスタックの外側縁の近傍の400~600nmは、接眼レンズの機能的エリアに接近して100nmのピッチを有するように徐々により狭くなる。そのような実施形態では、炭素材料をドープされる接着剤は、より小さいピッチの中よりもより大きいピッチの中により容易にウィッキングし、したがって、外側縁により近傍の接着剤と比較して、機能的エリアにより近接する接着剤の中により少ない炭素粒子を導入するであろう。炭素ナノ粒子のサイズは、そのような実施形態では、埋め込まれた粒子の濃度をさらに制御し得、すなわち、100nmを上回る炭素ナノ粒子または種々の寸法の炭素ナノ粒子を一般的接着剤もしくはエポキシの中にドープさせることによって、あるサイズのみが、構造のある部分の中にウィッキングするであろう。そのような実施形態では、一般的パーセンテージw/wであるが、可変炭素粒子サイズが、層を横断して炭素分布における勾配を生成し得る。
【0085】
図8は、そのような可変ピッチによる勾配炭素黒色化の例を図示する。
図8は、接眼レンズ800の縁部分802の拡大
図804とともに例示的接眼レンズ800を描写する。
図8に描写されるように、格子構造820は、格子構造825と比較して接眼レンズの機能的エリアにより近接する。格子構造825は、格子構造820間のより狭いピッチ810と比較してより広いピッチ815を有する。その結果、格子パターンに進入する炭素ドープ接着剤またはシーラントは、ピッチエリア810よりもピッチエリア815を通してより容易に移動し、埋め込まれた炭素ナノ粒子サイズを考慮すると、より多くの炭素粒子が、ピッチエリア810よりもピッチエリア815を占有し、格子パターンの関数として勾配吸収プロファイルを提供するであろう。そのような実施形態では、接着剤全体を通して一定の密度の炭素粒子であっても、格子815または825間の空間を占有し得るプロファイルを横断する種々の量の接着剤に起因して、勾配吸収プロファイルをもたらすであろう。いくつかの実施形態では、シーラント(例えば、縁材料108)は、接眼レンズの材料の屈折率(例えば、接眼レンズ構造の種々の層の基板の屈折率)と同一または実質的に同一である屈折率を有し得る。いくつかの実施形態では、シーラントは、シーラントが接眼レンズへの直接界面および/または適用と対向する表面において密度がより高く、接眼レンズとのその界面のより近傍で密度がより低いように、その断面を通して可変密度を有し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、
図9に描写されるように、縁を黒くすることおと別個の接着剤との組み合わせが、適用される。そのような実施形態では、黒くする層が、最初に、縁パターンの中に最初にウィッキングするように適用され、次いで、第2の接着材料が、層を一緒に結合するように適用され得る。そのような組み合わせは、接着を強化するための潜在的なトレードオフを伴わずに黒くする材料の反射軽減を最大化することを可能にし、接着剤の性質を同様に最大化する。
図9は、本開示のいくつかの実施形態による光軽減材料902と接着材料904との組み合わせを含む例示的接眼レンズ200の断面図を描写する。
図9に示されるように、いくつかの実施形態では、接着材料904は、接眼レンズ200において基板104の層を互いに結合するために使用され得、別個の異なる縁材料902は、光軽減のために使用され得る。示されるように、縁材料902は、縁に到達する光を吸収するために種々の層の縁領域に適用される黒くする材料であり得る。いくつかの実施形態では、接着材料904は、基板104のそれと同じ(または実質的に類似する)屈折率を有する。
【0087】
本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、本開示または請求され得るものの範囲に関する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書に説明されるある特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせにおいて実装され得る。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される種々の特徴は、複数の実施形態において別個に、または任意の好適な副次的組み合わせにおいても実装され得る。さらに、特徴がある組み合わせにおいて作用するものとして上で説明され、さらに、そのようなものとして最初に請求され得るが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、いくつかの例では、組み合わせから削除され得、請求される組み合わせは、副次的組み合わせまたは副次的組み合わせの変形例を対象とし得る。
【0088】
いくつかの実施形態が、説明された。それにもかかわらず、種々の修正が、本開示の精神および範囲から逸脱することなく成され得ることを理解されたい。例えば、上で示される種々の構造は、再配置される、異なるように位置付けられる、異なるように配向される、追加される、および/または除去される要素とともに使用され得る。故に、他の実施形態も、以下の請求項の範囲内である。
【0089】
請求されるものは、以下である。