(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】器具を製造するためのツール、ツールを用いて器具を製造するための方法、および器具
(51)【国際特許分類】
H01R 43/048 20060101AFI20230920BHJP
H01R 4/18 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
H01R43/048 A
H01R4/18 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022064963
(22)【出願日】2022-04-11
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】10 2021 109 290.6
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ブリュメル
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-007289(JP,U)
【文献】実開昭57-018280(JP,U)
【文献】特開平01-176955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0007041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R43/027-43/28
H01R 4/00- 4/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線(20)と、圧着スリーブ(60)を有するコンタクトデバイス(15)とから構成される器具(10)を製造するためのツール(300)であって、
前記ツール(300)は、少なくとも1つの第1のプレスジョーユニット(305)および1つのガイドユニット(310)を有し、
前記第1のプレスジョーユニット(305)は、内側において、直線(320)に沿って延在し、前記圧着スリーブ(60)および前記電線(20)を受けるように機能するツール受け部(325)を画定し、
前記第1のプレスジョーユニット(305)は、前記ツール受け部(325)に面する側に配置されている第1のプレス面(345)を有する第1のプレスジョー(330)と、前記ツール受け部(325)に面する側に配置されている第2のプレス面(350)を有する第2のプレスジョー(335)と、第1の設置デバイス(340)とを有し、
前記第1のプレスジョー(330)の前記第1のプレス面(345)は、前記直線(320)に関する軸方向において前記第2のプレスジョー(335)の前記第2のプレス面(350)に対してオフセットして配置され、
前記第1の設置デバイス(340)は、前記第1のプレスジョー(330)を前記第2のプレスジョー(335)に機械的に接続し、
前記第2のプレス面(350)は、第1の径方向内側プレス位置と、前記第1のプレス位置に対して径方向外側に位置する第2のプレス位置との間で前記第1の設置デバイス(340)によって調節可能であり、
前記ガイドユニット(310)により提供可能な第1の押圧力(F1)の第1の割合が、前記第1のプレスジョー(330)を介して前記第1のプレス面(345)へと伝達可能であり、前記第1の設置デバイス(340)は、前記第1の押圧力(F1)の第2の割合を前記第1のプレスジョー(330)から前記第2のプレスジョー(335)へと伝達するように構成され、
前記圧着スリーブ(60)を前記電線(20)に圧着する目的で、前記圧着スリーブ(60)に、前記第1のプレス面(345)が第1の型打ち凹部(140)を型打ちするように構成され、前記第2のプレス面(350)が第2の型打ち凹部(190)を型打ちするように構成されて
おり、
前記ツール(300)は、第2のプレスジョーユニット(315)をさらに備え、
前記第2のプレスジョーユニット(315)は、前記直線(320)に関する周方向において前記第1のプレスジョーユニット(305)に対してオフセットして配置され、前記ツール受け部(325)に面する第3のプレス面(370)を有する第3のプレスジョー(355)と、前記ツール受け部(325)に面する第4のプレス面(375)を有する第4のプレスジョー(360)と、第2の設置デバイス(365)とを有し、
前記第3のプレス面(370)は、前記第4のプレス面(375)に対して前記軸方向にオフセットして配置され、
前記第2の設置デバイス(365)は、前記第3のプレスジョー(355)を前記第4のプレスジョー(360)に機械的に接続し、
前記第4のプレス面(375)は、第3の径方向内側プレス位置と、前記第3のプレス位置に対して径方向外側に位置する第4のプレス位置との間で前記第2の設置デバイス(365)によって調節可能であり、
前記圧着スリーブ(60)を前記電線(20)に圧着する目的で、前記圧着スリーブ(60)に、前記第3のプレス面(370)が第3の型打ち凹部(145)を型打ちするように構成され、前記第4のプレス面(375)が第4の型打ち凹部(195)を型打ちするように構成されている、
ツール(300)。
【請求項2】
前記第1のプレス面(345)および前記第3のプレス面(370)は、前記直線(320)に関する共通のさらなる平面(380)に配置され、前記直線(320)を中心とする共通の第1の円形経路で延びるように周方向に延在し、
前記第
2のプレス面(
350)および前記第4のプレス面(375)は、前記直線(320)に関する軸方向において前記さらなる平面(380)に対してオフセットして配置されている共通の第5の平面(385)に配置され、前記直線(320)を中心とする共通の第2の円形経路で延びるように周方向に延在する、
請求項
1に記載のツール(300)。
【請求項3】
前記第1のプレスジョー(330)は、プレス部分(500)および支持部分(505)を有し、前記支持部分(505)は、いずれも前記プレス部分(500)に隣接し、軸方向において前記プレス部分(500)に接続されており、
前記第1のプレス面(345)は、前記プレス部分における径方向内側に配置され、
前記第2のプレスジョー(335)は、前記支持部分(505)に対して径方向内側に配置され、
前記第1の設置デバイス(340)は、径方向において前記支持部分(505)と前記第2のプレスジョー(335)との間に配置され、前記第1の押圧力F1の前記第2の割合を前記支持部分(505)から前記第2のプレスジョー(335)へと伝達するように構成されている、
請求項1に記載のツール(300)。
【請求項4】
前記プレス部分(500)および前記支持部分(505)は、単体構造かつ物質的に一体な形態である、請求項
3に記載のツール(300)。
【請求項5】
前記第1の設置デバイス(340)は、少なくとも1つのばねユニット(515)および1つのガイド(525)を有し、
前記ガイド(525)は、前記第1のプレス位置と前記第2のプレス位置との間での移動において前記第2のプレスジョー(335)を案内するように構成され、
前記ばねユニット(515)は、少なくとも特定の部分において前記第1のプレスジョー(330)と前記第2のプレスジョー(335)との間に配置され、前記第2のプレスジョー(335)を径方向において前記第2のプレス位置から径方向内方に前記第1のプレス位置へと押すように構成されている、
請求項1に記載のツール(300)。
【請求項6】
前記ガイド(525)は、少なくとも1つのガイド要素(565)と、前記ガイド要素(565)に対応して構成されている1つのガイド受け部(575)とを有し、
前記第1のプレスジョー(330)は、プレス部分(500)および支持部分(505)を有し、
前記ガイド要素(565)は、前記支持部分(505)における径方向内側に配置され、前記支持部分(505)に機械的に接続され、
前記ガイド要素(565)は、前記支持部分(505)から径方向内方に延在し、
前記ガイド受け部(575)は、前記第2のプレスジョー(335)に配置されるか、
または、
前記ガイド要素(565)は、前記第2のプレスジョー(335)における径方向外側に配置され、前記第2のプレスジョー(335)に機械的に接続され、
前記ガイド要素(565)は、前記第2のプレスジョー(335)から径方向外方に延在し、
前記ガイド受け部(575)は、前記支持部分(505)に配置され、
前記ガイド要素(565)は、前記ガイド受け部(575)に係合する、
請求項
5に記載のツール(300)。
【請求項7】
前記ガイド(525)は、前記第2のプレスジョー(335)に配置されている溝穴付きガイド受け部(580)を有し、
前記ガイド(525)は、前記第1のプレスジョー(330)に接続され、止め面(590)を有する止め要素(585)を有し、
前記第1のプレス位置において、前記止め面(590)は、前記溝穴付きガイド受け部(580)の端部に接し、前記第1のプレスジョー(330)に対する前記第2のプレスジョー(335)の移動を制限する、
請求項
5に記載のツール(300)。
【請求項8】
前記止め要素(585)は、ピン状に構成され、前記直線(320)と平行に向けられている、
請求項
7に記載のツール(300)。
【請求項9】
前記第1のプレス位置において、前記ばねユニット(515)にはプレストレスがかかっている、
請求項
5に記載のツール(300)。
【請求項10】
前記第1の設置デバイス(340)は、少なくとも1つのばねユニット(515)および1つのガイド(525)を有し、
前記第1の設置デバイス(340)は、調節ユニット(520)をさらに有し、
前記調節ユニット(520)は、前記支持部分(505)に結合され、
前記調節ユニット(520)は、前記支持部分(505)に配置され径方向に延びる第1のねじ穴(545)と、第1のねじ(550)とを有し、
前記第1のねじ(550)は、前記第1のねじ穴(545)にねじ込まれ、
前記第1のプレス位置における前記ばねユニット(515)のプレストレス力(FS1)が、前記第1のねじ(550)が前記第1のねじ穴(545)にねじ込まれる深さに応じて規定可能である、
請求項
3に記載のツール(300)。
【請求項11】
前記第1のプレスジョー(330)は、前記第2のプレスジョー(335)に面する側において、前記直線(320)に対して斜めに傾斜するように延びる第1の傾斜面(620)を有し、
前記第1の設置デバイス(340)は、締結手段(595)、調節ユニット(520)および留め付け要素(605)を有し、
前記留め付け要素(605)は、径方向において前記支持部分(505)と前記第2のプレスジョー(335)との間に配置され、
前記第2のプレスジョー(335)は、前記留め付け要素(605)に接し、
前記第1の傾斜面(620)に面する前記留め付け要素(605)の側において、前記留め付け要素(605)は、前記直線(320)に対して斜めに傾斜するように延びる第2の傾斜面(645)を有し、
前記締結手段(595)は、前記第2のプレスジョー(335)を前記支持部分(505)に対して保持し、前記留め付け要素(605)を前記支持部分(505)と前記第2のプレスジョー(335)との間に押し込み、
前記留め付け要素(605)と前記プレス部分(500)との間の軸方向間隔が、前記調節ユニット(520)によって調節可能である、
請求項
3に記載のツール(300)。
【請求項12】
電線(20)と、圧着スリーブ(60)を有するコンタクトデバイス(15)とから構成される器具(10)を製造するためのツール(300)であって、
前記ツール(300)は、少なくとも1つの第1のプレスジョーユニット(305)および1つのガイドユニット(310)を有し、
前記第1のプレスジョーユニット(305)は、内側において、直線(320)に沿って延在し、前記圧着スリーブ(60)および前記電線(20)を受けるように機能するツール受け部(325)を画定し、
前記第1のプレスジョーユニット(305)は、前記ツール受け部(325)に面する側に配置されている第1のプレス面(345)を有する第1のプレスジョー(330)と、前記ツール受け部(325)に面する側に配置されている第2のプレス面(350)を有する第2のプレスジョー(335)と、第1の設置デバイス(340)とを有し、
前記第1のプレスジョー(330)の前記第1のプレス面(345)は、前記直線(320)に関する軸方向において前記第2のプレスジョー(335)の前記第2のプレス面(350)に対してオフセットして配置され、
前記第1の設置デバイス(340)は、前記第1のプレスジョー(330)を前記第2のプレスジョー(335)に機械的に接続し、
前記第2のプレス面(350)は、第1の径方向内側プレス位置と、前記第1のプレス位置に対して径方向外側に位置する第2のプレス位置との間で前記第1の設置デバイス(340)によって調節可能であり、
前記ガイドユニット(310)により提供可能な第1の押圧力(F1)の第1の割合が、前記第1のプレスジョー(330)を介して前記第1のプレス面(345)へと伝達可能であり、前記第1の設置デバイス(340)は、前記第1の押圧力(F1)の第2の割合を前記第1のプレスジョー(330)から前記第2のプレスジョー(335)へと伝達するように構成され、
前記圧着スリーブ(60)を前記電線(20)に圧着する目的で、前記圧着スリーブ(60)に、前記第1のプレス面(345)が第1の型打ち凹部(140)を型打ちするように構成され、前記第2のプレス面(350)が第2の型打ち凹部(190)を型打ちするように構成されており、
前記第1の設置デバイス(340)は、少なくとも1つのばねユニット(515)および1つのガイド(525)を有し、
前記ガイド(525)は、前記第1のプレス位置と前記第2のプレス位置との間での移動において前記第2のプレスジョー(335)を案内するように構成され、
前記ばねユニット(515)は、少なくとも特定の部分において前記第1のプレスジョー(330)と前記第2のプレスジョー(335)との間に配置され、前記第2のプレスジョー(335)を径方向において前記第2のプレス位置から径方向内方に前記第1のプレス位置へと押すように構成されている、
ツール(300)。
【請求項13】
コンタクトデバイス(15)と、第1の導電体(25)および被覆(35)を有する電線(20)とを備え、
前記コンタクトデバイス(15)は、圧着スリーブ(60)と、前記圧着スリーブ(60)に機械的かつ電気的に接続されているコンタクト要素(65)とを有し、
前記圧着スリーブ(60)は、軸(30)に沿って延在し、
少なくとも前記圧着スリーブ(60)の第1のサブ部分(70)において、第1の内周面(95)が前記第1の導電体(25)に押し付けられ、前記第1の内周面(95)は、前記第1の導電体(25)と電気的に接触する、
請求項1から12のいずれか一項に記載のツール(300)を用いて製造される器具(10)であって、
前記圧着スリーブ(60)は、第2のサブ部分(75)を有し、
前記第2のサブ部分(75)は、前記軸(30)に関して前記第1のサブ部分(70)に対してオフセットして配置され、
第2の型打ち凹部(190)と、前記軸(30)に関する周方向において前記第2の型打ち凹部(190)に対してオフセットして配置されている第4の型打ち凹部(195)とが、少なくとも前記第2のサブ部分(75)において前記圧着スリーブ(60)に型打ちされ、
前記第2のサブ部分(75)において、前記圧着スリーブ(60)は、前記電線(20)の前記被覆(35)を周方向に包囲し、前記被覆(35)は、前記第1の導電体(25)を周方向に包囲するとともに電気的に絶縁し、
前記圧着スリーブ(60)の第2の内周面(105)は、前記第2の内周面(105)が前記被覆(35)に押し付けられて摩擦係合を生じさせるように、前記第2の型打ち凹部(190)および前記第4の型打ち凹部(195)により成形されている、
ことを特徴とする、器具(10)。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載のツール(300)を用いて器具を製造するための方法であって、
コンタクトデバイス(15)と、第1の導電体(25)を有し、前記第1の導電体(25)を覆う被覆(35)を有する電線(20)とが提供され、
前記被覆(35)は、剥離部分(130)において前記第1の導電体(25)から取り除かれ、前記被覆(35)は、前記剥離部分(130)に隣接する被覆部分(125)において前記第1の導電体(25)に残存し、
前記圧着スリーブ(60)は、前記電線(20)の前記剥離部分(130)および前記被覆部分(125)にわたって押し込まれ、これらは、ともに前記ツール受け部(325)に配置され、
前記第1のプレスジョーユニット(305)は、第1の位置から径方向内方に第2の位置へと移動され、第1の押圧力(F1)が前記第1のプレスジョーユニット(305)に加えられ、
前記第1の押圧力(F1)の前記第1の割合により、前記第1のプレスジョー(330)は、前記第1のプレス面(345)において、前記第1の型打ち凹部(140)を前記圧着スリーブ(60)に型打ちし、前記圧着スリーブ(60)の第1の内周面(95)が前記第1の導電体(25)に押し付けられ、
前記第1の押圧力(F1)の前記第2の割合により、前記第2のプレスジョー(335)は、前記第2のプレス面(350)において、軸方向において前記第1の型打ち凹部(140)に対してオフセットして配置されている第2の型打ち凹部(190)を前記圧着スリーブ(60)に型打ちし、前記圧着スリーブ(60)の第2の内周面(105)が前記被覆(35)に押し付けられる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1に係るツール、特許請求項13に係る方法、および特許請求項14に係る器具(装置、arrangement)に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願第10 2020 101 236.5号は、コンタクトデバイス、電気ケーブルおよび被覆を有する器具を開示している。コンタクトデバイスは、圧着スリーブおよびコンタクト要素を有し、圧着スリーブは、電気ケーブルのシールド導体をコンタクト要素に接続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、器具を製造するための改善されたツール、器具を製造するための改善された方法、および器具を提供することである。上記の目的は、特許請求項1に係るツール、特許請求項13に係る方法、および特許請求項14に係る器具によって実現される。有利な実施形態が従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
電線と、圧着スリーブを有するコンタクトデバイスとから構成される器具(装置、arrangement)を製造するための改善された方法は、少なくとも1つの第1のプレスジョーユニットおよび1つのガイドユニットを有するツールによって提供することができることが明らかになってきた。第1のプレスジョーユニットは、内側において、直線に沿って延在し、圧着スリーブおよび電線を受けるように機能するツール受け部を画定する。第1のプレスジョーユニットは、ツール受け部に面する側に配置されている第1のプレス面を有する第1のプレスジョーと、ツール受け部に面する側に配置されている第2のプレス面を有する第2のプレスジョーと、第1の設置デバイスとを有する。
第1のプレスジョーの第1のプレス面は、直線に関する軸方向において第2のプレスジョーの第2のプレス面に対してオフセットして配置される。第1の設置デバイスは、第1のプレスジョーを第2のプレスジョーに機械的に接続する。第1のプレス面は、第1の径方向内側プレス位置と、第1のプレス位置に対して径方向外側に位置する第2のプレス位置との間で第1の設置デバイスによって調節可能である。ガイドユニットにより提供可能な第1の押圧力の第1の割合が、第1のプレスジョーを介して第1のプレス面へと伝達可能である。第1の設置デバイスは、第1の押圧力の第2の割合を第1のプレスジョーから第2のプレスジョーへと伝達するように構成される。
圧着スリーブを電線に圧着する目的で、圧着スリーブに、第1のプレス面が第1の型打ち凹部を型打ちするように構成され、第2のプレス面が第2の型打ち凹部を型打ちするように構成される。
【0005】
この実施形態は、ツールを用いて、1つの圧着工程において圧着スリーブをコンタクト要素および電線の被覆の両方に接続することができるという利点を有する。これにより、ツールを用いて特に高いサイクル速度を実現することができる。
【0006】
さらなる実施形態において、ツールは、第2のプレスジョーユニットを有し、第2のプレスジョーユニットは、直線に関する周方向において第1のプレスジョーユニットに対してオフセットして配置され、ツール受け部に面する第3のプレス面を有する第3のプレスジョーと、ツール受け部に面する第4のプレス面を有する第4のプレスジョーと、第2の設置デバイスとを有し、第3のプレス面は、第4のプレス面に対して軸方向にオフセットして配置され、第2の設置デバイスは、第3のプレスジョーを第4のプレスジョーに接続し、第4のプレス面は、第3の径方向内側プレス位置と、第3のプレス位置に対して径方向外側に位置する第4のプレス位置との間で第2の設置デバイスによって調節可能であり、圧着スリーブを電線に圧着する目的で、圧着スリーブに、第3のプレス面が第3の型打ち凹部を型打ちするように構成され、第4のプレス面が第4の型打ち凹部を型打ちするように構成される。
この実施形態は、第4のプレスジョーが第3のプレスジョーに対して移動可能であるとともに、同様に第2のプレスジョーが第1のプレスジョーに対して移動可能であることにより、ツール受け部を、圧着スリーブ、および被覆の幾何学的実施形態にフレキシブルに適合させることができるという利点を有する。具体的には、第2のプレス面および第4のプレス面が調節可能であることにより、圧着スリーブが電線の被覆に高信頼に圧着することが確実になることが保証される。これにより、特に効果的に電線の張力が緩和されることを確実にすることができる。
【0007】
さらなる実施形態において、第1のプレス面および第3のプレス面は、直線に関する共通の第4の平面に配置される。さらに、第1のプレス面および第3のプレス面は、周方向において直線を中心とする共通の第1の円形経路に延在する。第3のプレス面および第4のプレス面は、直線に関する軸方向において第4の平面に対してオフセットして配置されている共通の第5の平面に配置され、周方向において直線を中心とする共通の第2の円形経路に延在する。この実施形態は、圧着スリーブがコンタクト要素および電線の被覆に特に密接することを確実にするという利点を有する。
【0008】
さらなる実施形態において、第1のプレスジョーは、プレス部分および支持部分を有し、支持部分は、いずれもプレス部分に隣接し、軸方向においてプレス部分に接続されている。第1のプレス面は、プレス部分における径方向内側に配置される。第2のプレスジョーは、支持部分に対して径方向内側に配置される。第1の設置デバイスは、径方向において支持部分と第2のプレスジョーとの間に配置される。第1の設置デバイスは、第1の押圧力の第2の割合を支持部分から第2のプレスジョーへと伝達するように構成される。この実施形態は、構成要素の数を特に小さく保つことができるという利点を有する。さらに、軸方向において、第2のプレスジョーを第1のプレスジョーの特に近くに配置することができ、よって第1のプレス面を第2のプレス面の特に近くに配置することができる。
第1のプレスジョーは、プレス部分および支持部分が単体構造かつ物質的に一体な形態である場合に、機械的剛性が特に高い。
【0009】
さらなる実施形態において、設置デバイスは、少なくとも1つのばねユニットおよび1つのガイドを有し、ガイドは、第1のプレス位置と第2のプレス位置との間での移動において第2のプレスジョーを案内するように構成される。ばねユニットは、少なくとも特定の部分において、径方向において第1のプレスジョーと第2のプレスジョーとの間に配置され、第2のプレスジョーを第2のプレス位置から径方向内方に第1のプレス位置へと押すように構成される。これにより、ばねユニットによって、第2のプレスジョーが第1のプレスジョーに対して自己整合方式で位置決めされる。
【0010】
さらなる実施形態において、ガイドは、少なくとも1つのガイド要素と、ガイド要素に対応して構成されている1つのガイド受け部とを有する。ガイド要素は、支持部分における径方向内側に配置され、支持部分に機械的に接続される。ガイド要素は、支持部分から径方向内方に延在する。ガイド受け部は、第2のプレスジョーに配置される。代替的に、ガイド要素は、プレスジョーにおける径方向外側に配置され、第2のプレスジョーに機械的に接続される。ガイド要素は、プレスジョーから径方向外方に延在し、ガイド受け部は、支持部分に配置される。ガイド要素は、ガイド受け部に係合する。これにより、第1のプレス位置と第2のプレス位置との間での移動における第2のプレスジョーの高信頼な案内を確実にすることができる。
【0011】
さらなる実施形態において、ガイドは、第2のプレスジョーに配置されている溝穴付きガイド受け部を有する。ガイドはさらに、第1のプレスジョーに接続され、止め面を有する止め要素を有する。第1のプレス位置において、止め面は、溝穴付きガイド受け部の端部に接し(lies against)、第1のプレスジョーに対する第2のプレスジョーの移動を制限する。これにより、第2のプレスジョーが第1のプレスジョーから不所望に離脱するまたは外れることが防止される。
【0012】
さらなる実施形態において、止め要素は、ピン状に構成され、直線と平行に向けられる。これにより、特に直接的かつ安価な方式で、止め要素を製造し、第1のプレスジョーに接続することができる。
【0013】
さらなる実施形態において、第1のプレス位置において、ばねユニットにはプレストレスがかかっている。この実施形態は、第2のプレスジョーによって第2の型打ち凹部を圧着スリーブに高信頼に型打ちすることができることを確実にするという利点を有する。
【0014】
さらなる実施形態において、設置デバイスは、調節ユニットを有し、調節ユニットは、支持部分に結合される。調節ユニットは、支持部分に配置され径方向に延びる第1のねじ穴と、第1のねじとを有する。第1のねじは、第1のねじ穴にねじ込まれ、第1のプレス位置におけるばねユニットのプレストレス力が、第1のねじがねじ穴にねじ込まれる深さに応じて規定可能である。これにより、第2の型打ち凹部、加えて第1の型打ち凹部を圧着スリーブに型打ちする間における第2のプレスジョーの型打ち挙動を意図した通りに調節することができる。
【0015】
さらなる実施形態において、第1のプレスジョーは、第2のプレスジョーに面する側において、直線に対して斜めに傾斜するように延びる第1の傾斜面を有する。第1の設置デバイスは、締結手段、調節ユニットおよび留め付け要素を有する。留め付け要素は、径方向において支持部分内に配置され、第2のプレスジョーは、留め付け要素に接する(lies against)。第1の傾斜面に面する留め付け要素の側において、留め付け要素は、直線に対して斜めに傾斜するように延びる第2の傾斜面を有する。締結手段は、第2のプレスジョーを支持部分に対して保持し、留め付け要素を支持部分と第2のプレスジョーとの間に押し込む。第2のプレスジョーを第1のプレス位置と第2のプレス位置との間で調節するために、調節ユニットにより、留め付け要素とプレス部分との間の軸方向間隔が調節可能である。
【0016】
ツールを用いて製造される器具は、コンタクトデバイスと、第1の導電体および被覆を有する電線とを有する。コンタクトデバイスは、圧着スリーブと、圧着スリーブに機械的かつ電気的に接続されているコンタクト要素とを有する。圧着スリーブは、第1のサブ部分において、第1の導電体に押し付けられる。第1の内周面は、電気的に接触する。圧着スリーブは、第2のサブ部分を有し、第2のサブ部分は、軸に関して第1のサブ部分に対してオフセットして配置される。第2の型打ち凹部と、軸に関する周方向において第2の型打ち凹部に対してオフセットして配置されている第4の型打ち凹部とが、少なくとも第2のサブ部分において圧着スリーブに型打ちされる。第2のサブ部分において、圧着スリーブは、電線の被覆を周方向に包囲し、被覆は、第1の導電体を周方向に包囲するとともに電気的に絶縁する。
圧着スリーブの第2の内周面は、第2の内周面が被覆に押し付けられて摩擦係合を生じさせるように、第2の型打ち凹部および第4の型打ち凹部により成形される。
【0017】
上述のツールを用いて器具を製造するための方法において、コンタクトデバイスと、第1の導電体を有し、第1の導電体を覆う被覆を有する電線とが提供される。被覆は、剥離部分において第1の導電体から取り除かれ、被覆は、剥離部分に隣接する被覆部分において第1の導電体に残存する。圧着スリーブは、電線の剥離部分および被覆部分にわたって押し込まれ、これらは、ともにツール受け部に配置される。第1のプレスジョーユニットは、第1の位置から径方向内方に第2の位置へと移動され、第1の押圧力が第1のプレスジョーユニットに加えられる。
第1の押圧力の第1の割合により、第1のプレスジョーは、第1のプレス面において、第1の型打ち凹部を圧着スリーブに型打ちし、圧着スリーブの第1の内周面が第1の導電体に押し付けられる。第1の押圧力の第2の割合により、第2のプレスジョーは、第2のプレス面において、軸方向において第1の型打ち凹部に対してオフセットして配置されている第2の型打ち凹部を圧着スリーブに型打ちする。圧着スリーブの第2の内周面は、摩擦係合を生じさせるように、被覆に押し付けられる。
【0018】
以下、図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図1に示す器具の、
図1に示す切断面A-Aに沿った断面図である。
【
図3】
図1および
図2に示す器具および第1の実施形態に係るツールの、
図1に示す切断面A-Aに沿った断面図である。
【
図4】
図3に示すツールの第1のプレスジョーユニットの側面図である。
【
図5】非圧着状態における
図1~
図3に示す器具の圧着スリーブの斜視図である。
【
図6】非圧着状態における
図1~
図3に示す器具のコンタクト要素の斜視図である。
【
図7】
図1~
図3に示す器具を製造するための方法の流れ図である。
【
図8】第2の方法ステップの後の電線の斜視図である。
【
図9】第5の方法ステップの後の器具の斜視図である。
【
図10】第6の方法ステップの後の器具の斜視図である。
【
図11】第2の実施形態に係る
図3に示すツールの側面図の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
【0021】
器具10は、コンタクトデバイス15および電線20を有する。電線20は例えば、自動車において電力を伝送するための、特に自動車において充電電力または駆動電力を伝送するための、シールドケーブル、特に高電圧シールドケーブルとして構成される。電線20は、第1の導電体25を有する。第1の導電体25は、シールドおよび/または外部導体として構成されてよい。第1の導電体25は、軸30に沿って延在する。ここで、第1の導電体25は、軸30に関して略中空円筒状である。第1の導電体25は例えば、例えば細線または極細線で形成されたワイヤメッシュを有していてよい。ワイヤメッシュは、編み組まれていてもよく、または軸30と平行に延びる個別のワイヤを有していてもよい。
【0022】
以下、理解を容易にするために、軸30に関する円筒座標系に基づいて器具10を説明する。
【0023】
第1の導電体25は、径方向の外側において被覆35によって覆われる。被覆35は、電気絶縁性の第1の材料を有し、第1の導電体25を周囲40に対して電気的に絶縁する。ここで、被覆35は、第1の導電体25を周方向に完全に取り囲んでいることが好ましい。
図1において、被覆35は例えば、外形が実質的に円筒形である。ここで、被覆35は、軸30を中心として周方向に延びる。
【0024】
第1の導電体25に対して径方向内側において、電線20は、例えば電気絶縁性の中間層45を有する。実施形態において、電気絶縁性の中間層45は、第1の導電体25によって周方向に包囲されている。
【0025】
中間層45に対して径方向内側において、電線20は、例えば第2の導電体50を有する。第2の導電体50は、単一のワイヤから形成されていてよい。第2の導電体50は、例えば細線または極細線の形態のワイヤの束から形成されていてもよい。第2の導電体50は、内部導体と称されてもよい。第2の導電体50は、例えば、データ信号の伝送に用いられてよい。ここで、伝送される電流は、1アンペア未満である。第2の導電体50の幾何学的構成によって
図1に好ましく示されているように、第2の導電体50は、電力を伝送するように、例えば電気モータへの電力供給を行うように構成されていてもよい。電気モータは、例えば自動車の駆動モータまたはトラクションモータであってよい。充電電力も、器具10および第2の導電体50を介して伝送されてよい。
好ましくは、この目的で、第2の導電体50は、少なくとも2mm
2、好ましくは5mm
2、特に10mm
2、好ましくは少なくとも25mm
2の断面積を有する。第2の導電体50は、例えば、第2の導電体50の断面積が200mm
2以下、100mm
2以下、または50mm
2であるように構成されてよい。
【0026】
第2の導電体50は、導電性の第2の材料、好ましくは銅および/またはアルミニウムおよび/または金および/または銀を有する。第1の材料および/または第2の材料は、同一であってもよく、または異なっていてもよい。第1の材料も、例えば銅および/またはアルミニウムおよび/または金および/または銀を有していてよい。
【0027】
中間層45は、軸30を中心として中空円筒状に延びるように構成されてよく、径方向において第1の導電体25と第2の導電体50との間に配置される。中間層45は、第2の導電体50を第1の導電体25に対して絶縁する。実施形態において、第1の導電体25は、第2の導電体50を周囲40に対して電磁的に遮蔽するように構成される。具体的には、第1の導電体25により、第2の導電体50により伝送される高電流、例えば100アンペアの電流が、電線20の周囲40におけるさらなる電気機器と干渉する電磁場を生成することを防止することが図られる。よって、第1の導電体25により、器具10の電磁両立性が改善される。
【0028】
コンタクトデバイス15は、圧着スリーブ60と、圧着スリーブ60に接続されたコンタクト要素65とを有する。コンタクト要素65は、例えば、少なくとも特定の領域において、軸30を中心として中空円筒状に延びるように構成されてよい。コンタクト要素65は、軸30に沿って延在する。コンタクト要素65は、導電性であり、さらなるコンタクトデバイス(
図1では不図示)に対する電気的接触部を形成するように機能する。
【0029】
圧着スリーブ60は第3の材料を有し、第3の材料は、導電性を有し、かつ機械的に容易に変形可能である。コンタクト要素65が同様に第3の材料を有するならば特に有利である。
【0030】
圧着スリーブ60は、第1のサブ部分70と、第2のサブ部分75と、軸方向において第1のサブ部分70と第2のサブ部分75との間に配置された移行部分80とを有する。
【0031】
軸方向において、第1のサブ部分70は、コンタクト要素65に面する側に配置された第1の端面85に隣接する。第1のサブ部分70は、第1の径方向長さを有する。第1の端面85とは軸方向に反対の側において、第1のサブ部分70は、移行部分80に直接隣接している。移行部分80は、軸30を中心として実質的に円錐形であり、第1のサブ部分70を第2のサブ部分75に機械的かつ電気的に接続する。第2のサブ部分75は、第1の端面85とは反対の側において移行部分80に軸方向に隣接するように配置される。第2のサブ部分75は、第2の径方向長さを有し、第2の径方向長さは、第1のサブ部分70の第1の径方向長さよりも細い。第2のサブ部分75は、第1の端面85の軸方向反対側に位置する第2の端面90において終端する。
【0032】
第1の端面85および第2の端面90は、軸30に実質的に垂直に延びるように構成され、側面図において実質的に環状の基本的形状を有する。ここで、第2のサブ部分75の径方向長さがより小さいことにより、第2の端面90は、第1の端面85よりも小さい径方向長さを有する。
【0033】
コンタクトデバイス15が電気ケーブル20に装着された状態において、圧着スリーブ60は、第1のサブ部分70において少なくとも1つの第1の型打ち凹部140を有する。さらに、第2のサブ部分75において、圧着スリーブは、第1の型打ち凹部140に関して実質的に同一の角度部分にわたって周方向に延在する第2の型打ち凹部190を有する。
【0034】
第1のサブ部分70における第1の内周面95を介して、圧着スリーブ60は、第1の圧着受け部100を画定する。さらに、第2のサブ部分75における圧着スリーブ60の第2の内周面105を介して、圧着スリーブ60は、第2の圧着受け部110を画定する。第2の圧着受け部110は、軸30に関して第1の圧着受け部100に対して軸方向にオフセットされるように配置される。実施形態において、第1の内周面95および第2の内周面105の両方は、間隙なく構成されている。これは、実施形態において、軸30に沿った全長にわたり、圧着スリーブ60が内周面95、105から圧着スリーブ60のそれぞれのサブ部分70、75の外周面115、120まで径方向外方に延在する溝穴または間隙を有しないことを意味する。
【0035】
電線20は、被覆部分125および剥離部分130を有する。被覆部分125において、電線20は、上記で説明したように構成される。剥離部分130において、被覆35は、径方向外側において第1の導電体25から除去されている。その結果、径方向外側において、第1の導電体25は、第1の被覆35によって保護されていない。第1の導電体25は、剥離部分130において自由に接触することが可能な第3の外周面135を有する。
【0036】
さらに、圧着スリーブ60は、第1のサブ部分70において第3の型打ち凹部145を有する。第3の型打ち凹部145は、第1の型打ち凹部140に対して周方向にオフセットされるように配置される。第1の型打ち凹部140および第3の型打ち凹部145は、周方向において実質的に同一の長さを有し、例として軸30の方向においても実質的に同一の長さを有する。ここで、
図1において、例えば、第1の型打ち凹部140および/または第3の型打ち凹部145は、軸30と平行な方向において第1のサブ部分70の実質的に全長にわたって延在することになる。第1の型打ち凹部140および/または第3の型打ち凹部145は、第1の端面85とは反対の側において、移行部分80と軸方向に直接隣接している。
第1の肉厚部分150が、周方向において第1の型打ち凹部140と第3の型打ち凹部145との間に配置される。第1の肉厚部分150は、ウエブの形態で構成され、径方向外方に第1の型打ち凹部140および第3の型打ち凹部145を越えて突出する。第1の肉厚部分150は、第1の型打ち凹部140および/または第3の型打ち凹部145よりも周方向において著しく幅狭であるように構成される。
【0037】
図1に示すように、圧着スリーブ60は、第1のサブ部分70の第1の外周面115に型打ちされた複数の第1の型打ち凹部140および第3の型打ち凹部145を有することが好ましい。ここで、第1の型打ち凹部140および/または第3の型打ち凹部145の各々が、略20°~60°、好ましくは30°~45°の第1の角度部分にわたって延在するならば特に有利である。第1の肉厚部分150は、第1の型打ち凹部140および/または第3の型打ち凹部145よりも周方向において著しく幅狭であるように構成される。第1の肉厚部分150は、略0.5°~2°、特に0.7°~1.5°の角度部分にわたって、軸30に関して周方向に延在していてよい。
【0038】
実施形態において、互いに実質的に同一となるように構成された複数の第1の型打ち凹部140および第3の型打ち凹部145は、第1のサブ部分70の第1の外周面115に型打ちされている。ここで、第1の型打ち凹部140および第3の型打ち凹部145は、いずれの場合も、周方向において互いに同一の間隔を有する。
【0039】
さらに、コンタクトデバイス15が電線20に装着された状態において、圧着スリーブ60は、第2のサブ部分75において少なくとも第2の型打ち凹部190および第4の型打ち凹部195を有する。第2の型打ち凹部190および第4の型打ち凹部195は、周方向において互いに対してオフセットされるように配置される。ここで、第2の肉厚部分200が、周方向において第2の型打ち凹部190と第4の型打ち凹部195との間に配置される。第2の肉厚部分200は、第2の型打ち凹部190および/または第4の型打ち凹部195よりも周方向において著しく幅狭であるように構成される。
【0040】
第2の型打ち凹部190および第4の型打ち凹部195は、軸30に関して周方向および好ましくは軸方向において実質的に同一の長さを有する。ここで、第2の型打ち凹部190および第4の型打ち凹部195は、移行部分80と第2の端面90との間の全体にわたって軸方向に延在することが好ましい。
【0041】
第2の型打ち凹部190と第4の型打ち凹部195との間に配置された第2の肉厚部分200は、ウエブの形態で構成され、径方向において第2の型打ち凹部190および第4の型打ち凹部195を越えて突出する。
【0042】
第2のサブ部分75において、周方向に交互になるように配置された複数の第2の型打ち凹部190および第4の型打ち凹部195が、第2の外周面120において第2のサブ部分75に型打ちされるならば好ましい。ここで、第2の型打ち凹部190および/または第4の型打ち凹部195の各々が、略20°~60°、好ましくは30°~45°の第2の角度部分にわたって延在するならば特に有利である。
【0043】
第2の肉厚部分200は、略0.5°~2°、特に0.7°~1.5°の第4の角度部分にわたって、軸30に関して周方向に延在していてよい。周方向における第2の型打ち凹部190と第4の型打ち凹部195との間の間隔は、同一であることが好ましい。
【0044】
第2の型打ち凹部190および第1の型打ち凹部140が、いずれの場合も同じ角度部分にわたって延在し、周方向において重なるように配置されるならば特に有利である。ここで、周方向における角度の重なりは、第1の型打ち凹部140および第2の型打ち凹部190が、角度部分の三次元配置においても同じ角度部分にわたって延在することを意味すると理解されるべきである。よって、第1の型打ち凹部140が、軸30に垂直に配置された共通の第1の平面において第2の型打ち凹部190に対して径方向外側に位置する場合、軸30が延びる第2の平面に第1の型打ち凹部140および第2の型打ち凹部190を投影したとすると、第1の型打ち凹部140および第2の型打ち凹部190は、径方向内方において第2の平面に重なることになる。
換言すると、第1の型打ち凹部140および第2の型打ち凹部190は、いわば軸30に関して同軸で配置される。
【0045】
第1の型打ち凹部140および第2の型打ち凹部190と同様に、第3の型打ち凹部145および第4の型打ち凹部195もまた、周方向において互いに角度が重なるように配置される。この配置は、第1の肉厚部分150および第2の肉厚部分200が、同様に軸30が延びる共通の第3の平面205において延びるという効果を有する。これにより、特に機械的に安定な圧着スリーブを提供することができる。
【0046】
図2は、
図1に示す器具10の、
図1に示す切断面A-Aに沿った断面図を示す。
【0047】
コンタクト要素65は、接続部分155を有し、接続部分155に軸方向に隣接するコンタクト部分160を有する。コンタクト部分160は、接続部分155に面する側において、軸30に垂直に向けられ、コンタクト要素65への肩部を形成する第3の端面165を有する。コンタクト部分160は、径方向外方に接続部分155を越えて延在し、径方向に接続部分155を越えて突出していてよい。
【0048】
接続部分155は、例として、軸30を中心とする中空円筒状である。内側において、コンタクト要素65は、軸30に沿ってコンタクト要素65全体を通じて延在する開口部170を有する。ここで、例として、軸30は、開口部170に関して中心位置に配置される。コンタクト部分160は、
図2において単に記号的に示されており、さらなるコンタクトデバイス(不図示)との接触を確立するように機能する。
【0049】
実施形態において、接続部分155およびコンタクト部分160は、互いに機械的かつ電気的に接続されている。接続部分155およびコンタクト部分160は、単体構造かつ物質的に一体な形態であることが好ましい。ここで、特に、コンタクト要素65は、軸30に関して回転対称であるように構成されてよい。
【0050】
径方向外側において、接続部分155は、第3の外周面175を有する。第3の外周面175は、例えば、軸30を中心として円筒状に延びるように構成されてよい。接続部分155は、例えば、軸30と平行な軸方向において圧着スリーブ60の第1のサブ部分70よりも長いように構成されてよい。
【0051】
第1の導電体25は、径方向において接続部分155の第3の外周面175と第1のサブ部分70の第1の内周面95との間に配置される。接続部分155に対して径方向内側において、電線20の剥離部分130は、第2の導電体50および中間層45と共に開口部170を通って導かれる。ここで、剥離部分130は、接続部分155全体を通して延在し、コンタクト部分160へと突出していてよい。
【0052】
圧着スリーブ60は、第1のサブ部分70におけるその第1の内周面95を介して、接続部分155の第3の外周面175と共に環状間隙180を形成する。第1の導電体25は、環状間隙180に配置される。ここで、第1の導電体25は、線20の被覆部分125に対して広がっている。第1のサブ部分70における第1の内周面95は、第1の導電体25の第4の外周面185に密接し、第4の外周面185を押圧する。ここで、第4の外周面185は、第1の内周面95との第1の摩擦係合を生じさせる。
【0053】
円錐形の移行部分80に対して径方向内側において、第1の導電体25は、同様に円錐形の構成であり、被覆部分125に対して広がっている。
【0054】
第2の内周面105を介して、第2のサブ部分75は、被覆部分125における被覆35の第5の外周面210に密接し、被覆35の第5の外周面210を押圧する。具体的には、ここで、第2の内周面105は、第5の外周面210との第2の摩擦係合を生じさせ、その結果、これにより圧着スリーブ60と被覆35との間の張力の緩和を実現することができる。第2の内周面105が被覆35に密接することの結果として、また第2の摩擦係合およびそれによる張力の緩和の結果として、第1の導電体25が接続部分155および圧着スリーブ60において引張荷重を受ける状況が防止される。第1の摩擦係合および第2の摩擦係合により、引張力を軸30に沿ってコンタクト要素65へと伝達することができる。
【0055】
図3は、
図1および
図2に示す器具10および器具10を製造するための第1の実施形態に係るツール300の、
図1に示す切断面A-Aに沿った断面図を示す。
【0056】
ツール300は、
図3において、単に模式的かつ大きく簡略化された形態で示されている。ツール300は、少なくとも1つの第1のプレスジョーユニット305および1つのガイドユニット310を有する。ツール300は加えて、少なくとも1つの第2のプレスジョーユニット315を有してよい。第1のプレスジョーユニット305は、第2のプレスジョーユニット315に対して周方向にオフセットされるように配置される。具体的には、複数のプレスジョーユニット305、315を設けることが考えられる。ガイドユニット310は、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315の両方に接続され、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315を、第1の位置と、第1の位置に対して径方向内側に位置する第2の位置との間で移動および案内するように構成される。
【0057】
第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315は、内側において、直線320に沿って延在するツール受け部325を画定する。
図3において、直線320および軸30は重なっている。圧着スリーブ60、コンタクト要素65の接続部分155、および電線20は、ツール受け部325に配置される。
【0058】
第1のプレスジョーユニット305は、第1のプレスジョー330および第2のプレスジョー335ならびに第1の設置デバイス340を有する。第1のプレスジョー330は、ツール受け部325に面する内面において第1のプレス面345を有する。第2のプレスジョー335は、ツール受け部325に面する内面において第2のプレス面350を有する。第2のプレス面350は、例として、第1のプレス面345に対して径方向内側に配置される。さらに、第2のプレス面350は、直線320に関して第1のプレス面345に対して軸方向にオフセットして配置される。
【0059】
第1の設置デバイス340は、第1のプレスジョー330を第2のプレスジョー335に機械的に接続する。ここで、第2のプレスジョー335は、第1のプレスジョー330が同じ位置に保持された場合であっても、第2のプレス面350が第1のプレス面345に対する第1の径方向内側プレス位置と第2の径方向外側プレス位置との間で調節可能であるように、第1の設置デバイス340によって径方向に調節可能である。第1のプレス面345に対する第2のプレス面350の調節は、ガイドユニット310による第1のプレスユニット305の作動と独立して行われてよく、第1のプレス面345と第2のプレス面350との間の第1の径方向間隔の適応/調整を可能とする。
【0060】
第2のプレスユニット315は、第1のプレスユニット305と同様に構成される。第2のプレスユニット315は、第3のプレスジョー355、第4のプレスジョー360および第2の設置デバイス365を有する。第2の設置デバイス365は、第4のプレスジョー360を第3のプレスジョー355に機械的に接続する。第3のプレスジョー355は、径方向外側においてガイドユニット310に機械的に接続される。第3のプレスジョー355に対して径方向内側において、第3のプレスジョー355は、ツール受け部325に面する内面において第3のプレス面370を有する。第4のプレスジョー360は、第3のプレス面370に対して軸方向にオフセットされるように配置される。
【0061】
ツール受け部325に面する径方向の側において、第4のプレスジョー360は、第4のプレス面375を有する。第4のプレス面375は、第3のプレス面370に対して径方向内側に配置される。実施形態において、第1のプレス面345および第3のプレス面370は、例として、直線320に関する共通の第4の平面380において、かつ直線320を中心とする共通の第1の円形経路で延びるように配置される。同様に、第2のプレス面350および第4のプレス面375は、第4の平面380に対して軸方向にオフセットされた共通の第5の平面385に配置される。第2のプレス面350および第4のプレス面375は、直線320を中心とする共通の第2の円形経路で延びるように構成される。
【0062】
第2の設置デバイス365は、径方向において第3のプレスジョー355と第4のプレスジョー360との間に配置される。第2の設置デバイス365は、第3のプレスジョー355を第4のプレスジョー360に機械的に接続する。第2の設置デバイス365により、第4のプレス面375は、案内デバイス310とは独立に、第3の径方向内側プレス位置と、第3のプレス位置とは異なる第4の径方向外側プレス位置との間で第3のプレス面370に対して調節可能である。
【0063】
図4は、
図3に示すツール300の第1のプレスジョーユニット305の側面図を示す。
図4において、第1のプレスジョーユニット305は、部分的に、よりよい図示を提供するために切取図の形態で示されている。
【0064】
実施形態において、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315は、互いに同一であるように構成される。そのため、以下では、第1のプレスジョーユニット305をプレスジョーユニット305、315の両方の例として論じる。以下の説明は、名称を対応するように適合させれば、第2のプレスジョーユニット315にも同様に当てはまる。
【0065】
第1のプレスジョー330は、プレス部分500および支持部分505を有し、支持部分505は、軸方向においてプレス部分500と軸方向に隣接する。支持部分505は、径方向においてプレス部分500よりも幅狭であるように構成される。さらに、第1のプレスジョー330の第1の外面506は、例として、段差がないように構成される。
【0066】
第1のプレス面345は、プレス部分500における径方向内側に配置される。これに軸方向に隣接して、かつ支持部分505の径方向内側に、プレスジョー受け部510が配置される。プレスジョー受け部510は、軸方向においてプレス部分500により、かつ径方向外側において支持部分505により画定される。プレスジョー受け部510は、径方向内方に開口するように構成される。第2のプレスジョー335は、特定の部分において、プレスジョー受け部510に配置される。ここで、第2のプレスジョー335は、第2のプレス面350と共に、径方向において第1のプレス面345を越えて、かつプレスジョー受け部510から出るように突出する。
【0067】
第1の設置デバイス340は、少なくとも1つのばねユニット515、1つの調節ユニット520、および1つのガイド525を有する。ばねユニット515はばね要素530を有してよく、ばね要素530は、例えばコイルばねとして構成される。ばね530のいくつかの他の実施形態も可能であることは明白である。ばね530は、径方向に延びるように向けられる。ばね530は、第2のプレスジョー335の径方向内側において支持される。この目的で、例えば止まり穴として構成されるばね受け部535が、第2のプレスジョー335に設けられてよい。ばね530は、第1のばね端部540でばね受け部535に係合する。
【0068】
調節ユニット520は、第2のプレスジョー335に対して径方向外側に設けられる。調節ユニット520は、例として、支持部分505において径方向の内側から外側まで配置された第1のねじ穴545を有する。第1のねじ550、例えばグラブねじが、第1のねじ穴545にねじ込まれる。ばね530の第2の外側端部555は、第1のねじ550の径方向内側において第1のねじ550に支持される。第1のねじ550は、径方向外側において、第1のねじ550を回転させる目的で、さらなるツールをその中に係合することができるツールプロファイル560を有していてよい。第1のねじ550、および第1のねじ穴545への第1のねじ550の対応するねじ込み深さにより、ねじ550がねじ込まれるまたはねじ取られることで、ばね530のプレストレス力FS1を調節することができる。
【0069】
ガイド525は、第1のプレス位置と第2のプレス位置との間での移動において、周方向および軸方向に第2のプレスジョー335を案内するように機能する。ガイド525は、例として、例えばピン状および/または円筒形の構成の少なくとも1つのガイド要素565を有し、第2のプレスジョー335のガイド要素受け部570に係合する。ガイド要素565は、例えば、ガイド要素受け部570に押し込まれてよい。ガイド要素565は、好ましくは径方向に延在する。
【0070】
ガイド要素565は、径方向外側の部分でガイド受け部575に係合し、ガイド受け部575は、ガイド要素565に対応して構成される。ここで、ガイド受け部575は、ガイド要素565と共に隙間嵌め系(clearance fit system)を形成するように選択されてよい。例として、ガイド受け部575は、支持部分505において径方向内側から径方向外側まで通じる止まり穴として形成される。ガイド受け部575は、例えば、軸方向において、第1のねじ穴545と、プレス部分500とは反対方向の支持部分505の側に配置される第1のプレスジョー330の第3の端面580との間に配置されてよい。
図4に示すように、さらなるガイド要素565、ガイド要素受け部570およびガイド受け部575を設けることも可能であることは明白である。
例えば、軸方向におけるプレス部分500と第1のねじ穴545との間には、さらなるガイド要素受け部570に配置され、さらなるガイド受け部575に係合する、さらなるガイド要素565が追加的に設けられてもよい。
【0071】
図4に示すガイド525の配置の代替として、ガイド要素受け部570を支持部分505に配置し、ガイド受け部575を第2のプレスジョー335に配置することも可能である。しかしながら、
図4に示す実施形態は、これにより第2のプレスジョー335に配置されたガイド要素受け部にガイド要素565を特に容易に押し込むことができるので、組み立てが特に容易であるという利点を有する。この場合、ガイド要素565は、径方向外側から径方向内側まで延在し、支持部分505に機械的に接続される。
【0072】
ガイド525は、溝穴付きガイド受け部580をさらに有し、溝穴付きガイド受け部580は、プレス部分500に面する第2のプレスジョー335の側の端面に配置される。溝穴付きガイド受け部580は、細長い孔の形態で構成されてよい。ガイド525は、止め要素585をさらに有する。止め要素585は、ピンの形態および/または円筒の形態で構成されてよく、止め要素585は、その主たる長さ方向において直線320と平行に延在する。止め要素585は、止め面590を周囲に有する。止め要素585は、例として、プレス部分500に押し込まれる。第1のプレス位置において、止め面590が溝穴付きガイド受け部580の端部に接し(lies against)、プレストレスを受けたばね530が不所望に緩むことを防止するならば特に有利である。
さらに、止め要素585が溝穴付きガイド受け部580に当接することにより、第2のプレスジョー335が第2のプレス位置を越えて移動することが制限される。
【0073】
径方向における第1のプレス面345に対する第2のプレス面350の突出長さeは、第1のプレス位置と第2のプレス位置との間での第2のプレスジョー335の最大移動距離fよりも大きい。第1のプレス位置において、第2のプレスジョー335が径方向外側において支持部分505に当接することにより、第2のプレスジョー335の移動が阻止される。同様に、さらに溝穴付きガイド受け部580が止め要素585に当接することにより、第2のプレスジョー335が径方向外方に第1のプレス位置を越えて移動することを阻止することが可能である。
【0074】
第2のプレスジョーユニット315が第1のプレスジョーユニット305と同一であるように構成されることにより、第2の設置デバイス365によって第4のプレス面375を第3のプレス位置と第4のプレス位置との間で調節することができる。第2のプレスジョーユニット315のガイド525は、第3のプレス位置と第4のプレス位置との間での移動において、周方向および軸方向に第4のプレスジョー360を案内するように機能する。ばね530は、第4のプレスジョー360にプレストレスを加える。
【0075】
図5は、非圧着状態における
図1~
図3に示す器具10の圧着スリーブ60の斜視図である。
【0076】
非圧着状態において、圧着スリーブ60は、実質的に中空円筒として構成される。ここで、圧着スリーブ60は、軸30に関する径方向において実質的に一定の材料厚さを有する。圧着スリーブは例えば、薄肉の材料、例えば金属薄板から形成されてよい。
【0077】
図6は、非圧着状態における
図1~
図3に示す器具10のコンタクト要素65の斜視図である。
【0078】
実施形態において、例として、圧着スリーブ60の内径dは、コンタクト要素65の接続部分155の最大外径dMAXよりも大きくなるように選択されている。
【0079】
接続部分155は、圧着スリーブ60よりも機械的剛性が高い。これは、例えば、さらに接続部分155の肉厚を圧着スリーブ60の肉厚よりも著しく厚く(好ましくは1.5~10倍に)することにより実現される。
【0080】
図7は、
図1~
図3に示す器具10を製造するための方法の流れ図を示す。
図8は、第2の方法ステップ410の後の電線20の斜視図である。
図9は、第5の方法ステップ425の後の器具10の斜視図である。
図10は、第6の方法ステップ430の後の器具10の斜視図である。
【0081】
第1の方法ステップ405において、さらにはさらなる方法ステップが実行される前に、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニットが較正される。この目的で、第1のプレス面345と第3のプレス面370との間におけるツール受け部325の開口幅は、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315の第2の位置において定められ、開口幅の設定値に基づいて、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315が第2の位置に配置および設定される。
【0082】
さらに、第1のねじ550を用いて、ばね530のプレストレス力FS1の1度限りの設定が所望の圧着力に基づいて行われ、第1のねじ550は、任意選択的に、ねじ固定手段、例えばねじ固定塗料を用いて不所望な回転を生じないように固定される。
【0083】
プレスジョーユニット305、315はその後、ガイドユニット310によって第1の位置へと径方向外方に移動される。プレスジョーユニット305、315は、径方向外側の第1の位置に至ると、ガイドユニット310によって保持され、それにより、ツール受け部325が径方向に特に広く開く。さらに、それぞれにプレストレスがかけられたばね530により、第2のプレスジョー335が第1のプレス位置に配置され、第4のプレスジョー360が第3のプレス位置に配置される。
【0084】
まず、第1の方法ステップ405に続く第2の方法ステップ410(
図8参照)において、例えばロールから届いた電線20が切断され、その直後、切断点390において、切断点390と被覆部分125との間に剥離部分130を形成するために被覆35が導電体25から除去される。
【0085】
第3の方法ステップ415において、圧着スリーブ60(
図5参照)およびコンタクト要素65(
図6参照)が非圧着状態で設けられる。
【0086】
第4の方法ステップ420において、圧着スリーブ60が被覆部分125を完全に包囲するまで、圧着スリーブ60が電線20に押し付けられる。
【0087】
第4の方法ステップ420に続く第5の方法ステップ425(
図9参照)において、第1の導電体25が例えば広げられる。これは、例えば(中空状の)マンドレルを用いて行われてよい。
【0088】
さらに、第2の導電体50および中間層45が接続部分155とは反対方向のコンタクト要素65の側においてコンタクト要素65を越えて突出するように、中間層45および第2の導電体50がコンタクト要素65の開口部170を通して挿入される。
【0089】
ここで、コンタクト要素65は、接続部分155が径方向において中間層45と第1の導電体25との間に配置されるように、第1の導電体25に対して位置付けられる。第1の導電体25は、接続部分155を放射状に周方向に包囲し、接続部分155の第3の外周面175に接する。
【0090】
第5の方法ステップ425に続く第6の方法ステップ430(
図10参照)において、圧着スリーブ60が接続部分155および接続部分155上の第1の導電体25に押し付けられる。ここで、圧着スリーブ60は、第3の外周面175と共に環状間隙180を形成する。広がった第1の導電体25は、環状間隙180に配置される。
【0091】
第6の方法ステップ430の後、第7の方法ステップ435(
図3参照)において、器具10がツール受け部325に配置される。ここで、器具10は、プレス面345、350、370、375が圧着スリーブ60と径方向に重なるように位置するように位置付けられる。ここで、径方向に重なるとは、軸30および直線320が延在する平面への径方向の投影において、2つの構成要素、例えばプレス面345、350、370、375および圧着スリーブ60が重なることを意味すると理解されるべきである。同様に、第1のプレス面345および第3のプレス面370は、接続部分155、および剥離部分130における広がった第1の導電体25と径方向に重なる。
【0092】
実施形態において、圧着スリーブ60および第1のプレスジョーユニット305および/または第2のプレスジョーユニット315は、軸30または直線320に沿って実質的に同じ軸方向長さを有する。ここで、器具10は、圧着スリーブ60が第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315と好ましくは完全に径方向に重なるように、ツール受け部325に配置される。
【0093】
第7の方法ステップ435に続く第8の方法ステップ440において、ガイドユニット310は、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315を径方向外側の第1の位置から径方向内方に第2の位置(
図3参照)へと移動する。プレスジョー330、335、355、360の各々は、局所的にそれぞれ関連するプレス面345、350、370、375で圧着スリーブ60の外周面115、120に接する。
【0094】
プレスジョーユニット305、315が第1の径方向外側位置から径方向内側の第2の位置へと内方に移動されると、まず第2のプレス面350および第4のプレス面375が圧着スリーブ60の第2のサブ部分75の第2の外周面120と接触することになる。
【0095】
ガイドユニット310は、第1のプレスジョーユニット305における第1の押圧力F1および第2のプレスジョーユニット315における第2の押圧力F2を提供する。第1の押圧力F1および第2の押圧力F2は各々、径方向外側から内側に方向付けられ、好ましくは大きさが実質的に同一である。
【0096】
圧着、および径方向外側の第1の位置から径方向内側の第2の位置への移動の間、かつ第1のプレスジョー330および第3のプレスジョー355が第1のプレス面345および第3のプレス面370において圧着スリーブ60の第1の外周面から離隔している間において、第1の押圧力F1は、もっぱら第1のプレスジョー330から第1の設置デバイス340を介して第2のプレスジョー335へと、また第2のプレスジョー335から第2のプレス面350へと伝達される。同様に、第3のプレス面370が依然として第1の外周面から離隔して配置されている間において、ガイドユニット310によって第2のプレスジョーユニット315に加えられた第2の押圧力F2は、第3のプレスジョー355から第2の設置デバイス365を介して第4のプレスジョー360へと伝達される。
【0097】
圧着スリーブ60は、第1の押圧力F1および第2の押圧力F2の反対方向にかかるそれぞれの対向力FG1、FG2を提供する。押圧力F1、F2が増大することにより、いずれの場合もプレスジョーユニット305、315のばね530を圧縮することができ、第2のプレス面350および第4のプレス面375が圧着スリーブ60の第2のサブ部分75に高信頼に当接することが確実になる。ここで、第2のプレスジョー335は、径方向外方に第1のプレス位置から第2のプレス位置へと移動され、第4のプレスジョー360は、第3のプレス位置から第4のプレス位置へと移動される。
【0098】
圧着スリーブ60の柔軟な形態により、第1の押圧力F1は、もっぱら第1のプレスジョーユニット305から第2のプレス面350を介して圧着スリーブ60の第2の外周面120へと加えられる。
【0099】
第1のプレスジョーユニット305内で第1のプレスジョー330から第1の設置デバイス340を介して第2のプレスジョー335へと伝達される第1の押圧力F1により、第2のプレスジョー335は、第2のサブ部分75における圧着スリーブ60の周囲に第2の型打ち凹部190を形成する。周方向において第2の型打ち凹部190に対してオフセットして、第4の型打ち凹部195が、第2の押圧力F2によって第4のプレス面375により周方向に第2のサブ部分75に型打ちされる。ここで、第2の肉厚部分200が、第2の型打ち凹部190と第4の型打ち凹部195との間に形成される。
【0100】
第1の押圧力F1および第2の押圧力F2は、継続して提供され、ガイドユニット310は、第1のプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315を径方向にさらに第1の位置から脱して第2の位置の方向に案内する。この過程において、押圧力F1、F2の大きさが増大する。また、ばね530が圧縮される。第2の位置に達する直前、第1のプレスジョー330の第1のプレス面345も、コンタクト要素65の第1の外周面115と接触する。同様に、第3のプレス面370が、第1のサブ部分70における圧着スリーブ60の第1の外周面115と接触する。
【0101】
ここで、第1のプレスジョー330は、直接第1のプレス面345に第1の押圧力F1の第1の割合を伝達し、第1のプレス面345は、第1のサブ部分70に第1の型打ち凹部140を型打ちする。ここで、第1の押圧力F1の第1の割合により、第1のサブ部分70における第1の内周面95は、第1の導電体25の第3の外周面135に密接する。さらに、第1の押圧力F1の第2の割合が、第1の設置デバイス340を介して第2のプレスジョー335に伝達され、これがさらに圧着スリーブ60の第2の外周面120に第2の型打ち凹部145を型打ちする。ここで、第2のプレスジョー335は、第2のプレス位置へと径方向外方に押され得る。
【0102】
圧着スリーブ60の押圧および圧着の間、第2の内周面105は、被覆35の第5の外周面210に密接し、第2の摩擦係合を生じさせる。ここで、第2のプレスジョー335が支持部分505に当接してもよく、または第1の押圧力F1の第2の割合が実質的にもっぱらばね530を介して伝達されてもよい。
【0103】
実施形態において、ばね530のプレストレス力FS1を調節することにより、第2のプレスジョー335が当接していなくても、第1の押圧力F1の第2の割合を、支持部分505およびばね530を介して第2のプレスジョー335へと伝達することができ、第2のプレスジョー335は、径方向にフレキシブルに移動可能なように取り付けられることにより、第2のサブ部分75において圧着スリーブ60に特に効果的に接することができる。この目的で、ばね530は、押圧力F1、F2に応じて選択される必要があり、プレストレス力FS1により、対応するようにプレストレスがかけられる。
【0104】
代替的な実施形態において、第2のプレスジョー335は、径方向外側において支持部分505に当接し、その結果、第1の押圧力F1の特に高い第2の割合を第1のプレスジョー330から支持部分505を介して第2のプレスジョー335へと伝達することができる。
【0105】
第2のプレスジョーユニット315による、第3の型打ち凹部145および第4の型打ち凹部195の型打ちのための力の印加も、同様にして生じる。ここで、第2のプレスジョーユニット315が第2の位置に移動されることに伴い、第3のプレス面370が圧着スリーブ60の第1のサブ部分70と接触するときに、第2の押圧力F2の第1の割合が、直接第3のプレスジョー355から第3のプレス面370へと伝達される。ここで、第2の押圧力F2の第1の割合により、第3のプレス面370が第3の型打ち凹部145を圧着スリーブに形成し、その結果、第3の型打ち凹部145において、圧着スリーブ60の第1の内周面95が第1の導電体25に密接し、第1の内周面95と導電体25との間に、一方で第1の導電体25と接続部分155との間にも、第1の摩擦係合接続を生じさせる。
さらに、第3のプレスジョー355は、第2の押圧力F2の第2の割合を第2の設置デバイス365へと伝達する。第2の設置デバイス365は、第2の押圧力F2の第2の割合を第4のプレスジョー360へと伝達し、第4のプレスジョー360はさらに、第4の型打ち凹部195を圧着スリーブ60の第2の外周面120に型打ちする。
【0106】
型打ち凹部140、190、145、195の型打ちの間において、圧着スリーブ60の材料の一定割合が、第1のプレスジョーユニット305と第2のプレスジョーユニット315との間のそれぞれの間隙に流れ込み、それぞれ第1の肉厚部分150および第2の肉厚部分200を形成する。よって、圧着スリーブ60は、周方向において異なる材料厚さを有し、その結果、第1~第4の型打ち凹部140、190、145、195の径方向内側の材料厚さは、第1の肉厚部分150および第2の肉厚部分200における材料厚さよりも小さい。
【0107】
第8の方法ステップ440に続く第9の方法ステップ445において、プレスジョーユニット305、315は、第8の方法ステップ440における圧着の完了後に、ガイドユニット310により径方向外方に第2の位置から再び第1の位置へと移動され、その結果、ツール受け部325が再び開き、圧着されたコンタクトデバイス15を、電線20と共にツール受け部325から取り除くことができる。
【0108】
型打ち凹部140、190、145、195の型打ちおよび肉厚部分150、200の形成は、圧着スリーブ60がこれにより補強され、よって、プレスジョーユニット305、315が取り外されたときに圧着スリーブ60が不所望に広がることが回避されるという利点を有する。これにより、第1の導電体25と圧着スリーブ60との間の特に良好な第1の圧着接続、および被覆35と、同じ圧着スリーブ60との間の特に良好な第2の圧着接続がもたらされる。
【0109】
さらに、同時に、圧着スリーブ60が被覆35に接続することにより、またツール300における単一の圧着/押圧工程で圧着スリーブ60が第1の導電体25、および接続部分155と圧着することにより、張力の緩和が生じる。
【0110】
型打ち凹部140、190、145、195の型打ち、およびそれに伴う接続部分155および被覆35における圧着スリーブ60の内径の減少の結果として、ツール300が取り除かれた後であっても、圧着スリーブ60が第1の押圧力F1および第2の押圧力F2を少なくとも部分的に維持し、第1の導電体25を径方向内側に接続部分155に押し付けることになる。その結果、第1の導電体25と接続部分155、および圧着スリーブ60の第1のサブ部分70の第1の内周面95との間の第1の摩擦係合接続、ならびに圧着スリーブ60の第2のサブ部分75の第2の内周面105と被覆35の第5の外周面210との間の第2の摩擦係合接続が維持される。
【0111】
第1の内周面95が第1の導電体25に密接し、第2の内周面105が被覆35の第5の外周面210に密接することの結果として、型打ち凹部140、190、145、195の型打ちおよび圧着の間に圧着スリーブ60の一部が第1の導電体25および被覆35に突き抜ける状況が回避される。反対に、型打ち凹部140、190、145、195の型打ちの後、圧着スリーブ60は、第1の内周面95および第2の内周面105の各々において実質的に円筒形の形状を有するが、それぞれに異なる減少した内径を有する。この実施形態は、圧着スリーブ60の型打ちの結果として第1の導電体25および被覆35への損傷が回避されるという利点を有する。
【0112】
図11は、第2の実施形態に係る
図3に示すツール300の側面図の詳細を示す。
【0113】
ツール300は、
図3および
図4に示す第1の実施形態に係るツール300と実質的に同一である。以下では、
図3および
図4に示す第1の実施形態に係るツール300に対する、
図11に示す第2の実施形態に係るツール300の差異のみを論じる。
【0114】
改めて、以下では第1のプレスジョーユニット305のみを論じることとする。例として、第2のプレスジョーユニット315は、第1のプレスジョーユニット305と同一であるように構成される。そのため、第1のプレスジョーユニット305に関する下記の説明は、第1の押圧力F1でなく第2の押圧力F2が第2のプレスジョーユニット315に加えられることを除き、第2のプレスジョーユニット315にも同様に当てはまる。
【0115】
図11では、ばねユニット515が省略されている。ばねユニット515に代えて、第1のプレスジョーユニット305は、締結手段595および留め付け要素605を有する。締結手段595は例えば、第2のねじ610を有していてよい。
【0116】
第2のねじ610はねじ開口部615に挿入され、ねじ開口部615は、径方向に延びるように支持部分505に配置される。支持部分505において、第1のプレスジョー330は、第1の傾斜面620を有し、第1の傾斜面620は、直線320に対して斜めに傾斜するように配置される。ここで、第1の傾斜面620は、直線320と第1の傾斜面620との間の径方向間隔が、第1の傾斜面620とプレス部分500との間の軸方向間隔の増大と共に増大するように配置されてよい。第1の傾斜面620はさらに、平面形状であり、平面内において延在していてよい。第1の傾斜面620は、直線320に関する部分円錐の形態で構成されていてもよい。
【0117】
実施形態においては、ガイド要素受け部570、ガイド要素565およびガイド受け部575が省略されている。代替的に、ガイド525は、径方向内方に延在するガイド部分625を有し、ガイド部分625は、直線320に対して垂直に第6の平面において延びるように向けられる。ここで、ガイド部分625は、径方向外側において支持部分505に接続される。具体的には、プレス部分500、支持部分505およびガイド部分625は、単体構造かつ物質的に一体な形態であってよい。
【0118】
プレス部分500に面する第1の軸方向の側において、ガイド部分625は、平面状の第1のガイド面630を有する。ガイド部分625に面する軸方向の側において、プレス部分500は、例として第1のガイド面630と平行に配置された第2のガイド面635を有する。第1のガイド面630および第2のガイド面635は、例として、直線320に対して垂直に延びるように向けられる。第1のガイド面630および第2のガイド面635は、第1の傾斜面620と共に、プレスジョー受け部510を画定し、第2のプレスジョー335および留め付け要素605の両方は、プレスジョー受け部510に配置される。ここで、留め付け要素605は、径方向において第2のプレスジョー335と第1の傾斜面620との間に配置される。
【0119】
径方向外側において、留め付け要素605は第2の傾斜面645を有し、第2の傾斜面645は、第1の傾斜面620と平行に向けられる。組み立て状態において、第2の傾斜面645は、径方向内側において第1の傾斜面620に接する(lies against)。軸方向において、留め付け要素605は、第1のガイド面630と第2のガイド面635との間に配置され、留め付け要素605の軸方向長さは、第1のガイド面630と第2のガイド面635との間におけるプレスジョー受け部510の最大の軸方向幅よりも小さい。
【0120】
径方向内側、かつ径方向における第2の傾斜面645の反対側において、留め付け要素605は、第1のコンタクト面650を有する。第1のコンタクト面650は、直線320と平行に延びるように構成される。径方向における第1のコンタクト面650の反対側において、第2のプレスジョー335は第2のコンタクト面655を有し、第2のコンタクト面655は、第1のコンタクト面650に対応して構成される。第1のコンタクト面650および第2のコンタクト面655は、直線320を中心とする円形経路で周方向に延びるように構成されてよい。
【0121】
留め付け要素605は、径方向において第1の通過開口部660を有し、第1の通過開口部660は、例として、第2のガイド面635に面する側において開口するように構成される。第1の通過開口部660は、径方向において第2の傾斜面645から第1のコンタクト面650へと径方向内方に延在する。第1の通過開口部660は、溝の形態で構成されてよい。
【0122】
調節ユニット520は、
図4に示すものとは異なるように構成される。それとは対照的に、調節ユニット520の第1のねじ穴545は、留め付け要素605に配置され、好ましくは直線320と平行に延びる。ここで、第1のねじ穴545は、第1のガイド面630に面する留め付け要素605の側に配置され、よって、プレス部分500とは反対方向の留め付け要素605の側に配置される。第1のねじ穴545は、止まり穴として構成されてよい。第1のねじ穴545は、第1の通過開口部660に開口していてもよい。代替的に、第1の通過穴660および第1のねじ穴545は、周方向において互いに対してオフセットして配置されてよい。
【0123】
さらに、実施形態においては例えば軸付きの六角穴ねじとして構成される第1のねじ550に加えて、調節ユニット520は、第2の通過開口部670を有する。第2の通過開口部670は、ガイド部分625に配置され、実質的に直線320と平行な軸方向においてガイド部分625を通じて延在する。第1のねじ550は、第2の通過開口部670を通して挿入され、第1のねじ穴545にねじ込まれる。プレス部分500に対する留め付け要素605の軸方向位置は、第1のねじ550が第1のねじ穴545にねじ込まれる長さに応じて設定される。
【0124】
追加的に、プレス部分500とは反対方向の側において、ホルダ675が支持部分505に配置されてよい。ホルダ675は、例えばねじ接続により、ガイド部分625において支持部分505に対して可逆的に非破壊で着脱可能に締結されることが好ましい。ホルダ675は、径方向において第1のねじ550のねじ頭部676を越えて突出し、ねじ頭部676が軸方向においてガイド部分625から引き抜かれる、または留め付け要素605の軸方向のたわみによって押しやられることが可能な状態を防止する。
【0125】
追加的に、ねじ頭部676によって第1のねじ550を回転させる目的で組み立てツールをねじ頭部676に挿入するために、第3の通過開口部680がホルダ675に配置されてよい。よって、第3の通過開口部680は、軸方向において第1のねじ550と重なるように配置される。これにより、ねじ550によって留め付け要素605を軸方向に変位させることができる。
【0126】
例えば軸方向におけるホルダ675とガイド部分625との間の、第1のねじ550のねじ頭部676の軸方向の移動ゆとりは、一方では第1のねじ550のねじ頭部676の詰まりが防止され、同時にホルダ675とガイド部分625との間における第1のねじ550の軸方向の移動ゆとりが最小限になるように選択される。
【0127】
第2のプレスジョー335は、第2のねじ穴665を有し、第2のねじ穴665は、径方向外側から第2のプレス面350の方向に延在するが、第2のプレス面350から離隔して終端する。第2のねじ610は、ねじ開口部615を通して挿入され、第2のねじ穴665にねじ込まれる。ここで、ねじ610は、第1の通過開口部660を通って係合する。
【0128】
第2のプレス面350および第4のプレス面375の配置について、以下で論じる。
【0129】
ねじ610は、径方向に働き、第2のプレスジョー335を第2のコンタクト面655で締め付け要素605の第1のコンタクト面650に押し付ける締め付け力FS2を提供する。さらに、締め付け力FS2は、第2の傾斜面645を第1の傾斜面620に押し付ける。
【0130】
第2のプレス面350を径方向において第1のプレス位置と第2のプレス位置との間で移動させ、第4のプレス面375を第3のプレス位置と第4のプレス位置との間で移動させるために、留め付け要素605を、第1のねじ550によって第1のガイド面630と第2のガイド面635との間で軸方向に変位させることができる。この目的で、第2のねじ610が緩められる。
【0131】
第1のガイド面630と第2のガイド面635との間における留め付け要素605の軸方向位置が第1のねじ550によって設定された後、第2のねじ610が締められ、その結果、第1の傾斜面620および第2の傾斜面645、ならびに第1のコンタクト面650および第2のコンタクト面655が互いに接する。ここで、第2のプレスジョー335および第4のプレスジョー360がガイド面630、635に軸方向に当接することで、第1のガイド面630および第2のガイド面635は、第2のプレスジョー335を第1のプレス位置と第2のプレス位置との間で案内し、第4のプレスジョー360を第3のプレス位置と第4のプレス位置との間で案内する。
【0132】
第2のねじ610が締められ、締め付け力FS2が提供されると、ホルダ675は、斜めに延びる傾斜面645、620および締め付け力FS2によって留め付け要素605がホルダ675の方向に押されないようにし、第1のガイド面630と第2のガイド面635との間における留め付け要素605の軸方向位置はむしろ、第1のねじ550のねじ頭部676がホルダ675に当接することにより規定されることを確実にする。
【0133】
図11に示す実施形態は、第1のプレス面345に対する第2のプレス面350の径方向位置を、設置デバイス340、365によって規定された方式で調節することができるという利点を有する。さらなるプレスジョーユニット305および第2のプレスジョーユニット315の場合も、第2のプレスジョー335および第4のプレスジョー360の各々を、それぞれ
図11に示す設置デバイス340、365により、第1のプレス面345に対しておよび第3のプレス面370に対して調節することができる。これにより、器具10の製造中に、圧着スリーブ60の第2のサブ部分75により被覆35が高信頼に圧着されることが確実になることが保証される。
【0134】
図11に示すツール300を用いて器具10を製造するための製造方法は、
図7において説明した方法と実質的に同一である。これと比較すると、第7の方法ステップ435において第2のプレスジョー335および第4のプレスジョー360の調節が行われず、むしろ第2のプレスジョー335および第4のプレスジョー360のそれぞれのプレス位置、よって第2のプレス面350および第4のプレス面375のプレス位置が、第1の方法ステップ405において事前に較正されるとともに、第1のプレスジョー330および第3のプレスジョー355が調節される。
【符号の説明】
【0135】
10 器具
15 コンタクトデバイス
20 電線
25 第1の導電体
30 軸
35 被覆
40 周囲
45 中間層
50 第2の導電体
60 圧着スリーブ
65 コンタクト要素
70 第1のサブ部分
75 第2のサブ部分
80 移行部分
85 第1の端面
90 第2の端面
95 第1の内周面
100 第1の圧着受け部
105 第2の内周面
110 第2の圧着受け部
115 第1の外周面
120 第2の外周面
125 被覆部分
130 剥離部分
135 第3の外周面
140 第1の型打ち凹部
145 第3の型打ち凹部
150 第1の肉厚部分
155 接続部分
160 コンタクト部分
165 第3の端面
170 開口部
175 第3の外周面
180 環状間隙
185 第4の外周面
190 第2の型打ち凹部
195 第4の型打ち凹部
200 第2の肉厚部分
205 第3の平面
210 第5の外周面
300 ツール
305 第1のプレスジョーユニット
310 ガイドユニット
315 第2のプレスジョーユニット
320 直線
325 ツール受け部
330 第1のプレスジョー
335 第2のプレスジョー
340 第1の設置デバイス
345 第1のプレス面
350 第2のプレス面
355 第3のプレスジョー
360 第4のプレスジョー
365 第2の設置デバイス
370 第3のプレス面
375 第4のプレス面
380 第4の平面
385 第5の平面
390 切断点
405 第1の方法ステップ
410 第2の方法ステップ
415 第3の方法ステップ
420 第4の方法ステップ
425 第5の方法ステップ
430 第6の方法ステップ
435 第7の方法ステップ
440 第8の方法ステップ
445 第9の方法ステップ
450 第10の方法ステップ
500 プレス部分
505 支持部分
506 第1の外面
510 プレスジョー受け部
515 ばねユニット
520 調節ユニット
525 ガイド
530 ばね
535 ばね受け部
540 第1の端部
545 第1のねじ穴
550 第1のねじ
555 第2の端部
560 ツールプロファイル
565 ガイド要素
570 ガイド要素受け部
575 ガイド受け部
580 溝穴付きガイド受け部
585 止め要素
590 止め面
595 締結手段
605 留め付け要素
610 第2のねじ
615 ねじ開口部
620 第1の傾斜面
625 ガイド部分
630 第1のガイド面
635 第2のガイド面
640 プレスジョー受け部
645 第2の傾斜面
650 第1のコンタクト面
655 第2のコンタクト面
660 第1の通過開口部
665 第2のねじ穴
670 第2の通過開口部
675 ホルダ
676 ねじ頭部
680 第3の通過開口部