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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】部品実装システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230920BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20230920BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022071268
(22)【出願日】2022-04-25
(62)【分割の表示】P 2020572030の分割
【原出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2022090072
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-04-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 義博
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/041640(WO,A1)
【文献】特開平05-075293(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010084(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/139793(WO,A1)
【文献】特開2003-229697(JP,A)
【文献】特開平06-006084(JP,A)
【文献】特開昭63-060599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品供給装置がパレットに着脱可能にセットされ前記部品供給装置が供給した部品を実装対象物に実装する部品実装機と、
前記部品実装機にセットされたパレット上の前記部品供給装置を自動で個別交換するローダと、
前記パレットの交換により前記部品供給装置の一括交換を行う際に利用され、前記部品実装機の前記パレットを無人で搬送する無人搬送車と、
を備え、
前記パレットは、前記部品実装機に着脱可能に構成され、前記実装機に供給される部品供給装置を一括で交換可能であり、
切り替えた後の生産ジョブが切り替える前の生産ジョブと同じグループに割り振られており、生産ジョブを切り替えた時の前記部品供給装置の個別交換の回数が所定回数以下の場合、または生産ジョブを切り替えた時の前記部品供給装置の個別交換の回数が前記パレットが保持可能な前記部品供給装置の総数の所定割合以下の場合に、前記ローダによる個別交換を行うように設定され、
切り替えた後の生産ジョブが切り替える前の生産ジョブと異なるグループに割り振られており、生産ジョブを切り替えた時の前記部品供給装置の個別交換の回数が所定回数を超える場合、または生産ジョブを切り替えた時の前記部品供給装置の個別交換の回数が前記パレットが保持可能な前記部品供給装置の総数の所定割合を超える場合に、前記無人搬送車を利用した一括交換を行うように設定される、
部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装機が前記実装対象物の搬送方向に沿って複数並べて構成された部品実装機群を有し、
前記ローダは、前記搬送方向に沿って移動し、前記部品実装機群に含まれる各部品実装機に対して前記部品供給装置の取り出し及び/又は取り付けを自動で行う、
請求項1に記載の部品実装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、部品実装システム及びデータ作成装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来より、部品実装機を基板の搬送方向に沿って複数並べて構成された部品実装機群と、複数の生産ジョブをいくつかのグループに割り振るグルーピング実行部とを備えた部品実装システムが知られている。こうした部品実装システムにおいて、特許文献1では、部品実装機にセットできる部品数に制限がある場合、生産ジョブをグルーピングするにあたり、使用部品種の類似した基板を集約することで、段取り替えの回数を削減している。具体的には、同じグループに属する生産ジョブを処理する際には段取り替えも部品交換も行わないようにし、異なるグループに属する生産ジョブを処理する際には段取り替えを行う。なお、段取り替えとは、部品供給部にセットされた部品を一括して交換する作業である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-75600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同じグループに属する生産ジョブを処理する際には段取り替えも部品交換も行わないとすると、同じグループに属する生産ジョブの数が少なくなり、結果的にグループ数が増えてしまうことがあった。グループ数が増えると、段取り替えの回数が増えるので好ましくない。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、生産ジョブを適切にグルーピングすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の部品実装システムは、
複数の部品供給装置がパレットに着脱可能にセットされ前記部品供給装置が供給した部品を実装対象物に実装する部品実装機を前記実装対象物の搬送方向に沿って複数並べて構成した部品実装機群と、
基板にどの種類の部品を実装するかの情報を含む複数の生産ジョブを記憶する記憶部と、
前記複数の生産ジョブをグルーピングするにあたり、各生産ジョブに含まれる部品の種類の共通度が所定の判定基準を満たすものを同じグループに割り振るグルーピング実行部と、
を備え、
前記グループは、同じグループに属する前記生産ジョブを処理する際には各部品実装機の前記パレットの一括交換を行わず前記部品供給装置の個別交換を行うように、且つ、異なるグループに属する前記生産ジョブを処理する際には各部品実装機の前記パレットの一括交換を行い前記部品供給装置の個別交換を行わないように設定される、
ものである。
【0007】
この部品実装システムでは、複数の生産ジョブをグルーピングするにあたり、各生産ジョブに含まれる部品の種類の共通度が所定の判定基準を満たすものを同じグループに割り振る。異なるグループに属する生産ジョブは、部品の種類の共通度が低いため、交換すべき部品供給装置の数が多くなることから、部品共有装置の個別交換よりもパレットの一括交換の方が短時間で済む。一方、同じグループに属する生産ジョブは、部品の種類の共通度が高いため、個別交換すべき部品供給装置の数を抑制することができ、パレットの一括交換よりも部品供給装置の個別交換の方が短時間で済む。したがって、生産ジョブを適切にグルーピングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】部品実装システム10の概略を示す斜視図。
図2】部品実装機20の概略を示す斜視図。
図3】部品実装システム10の制御に関わる構成を示すブロック図。
図4】生産ジョブのグルーピングルーチンのフローチャート。
図5】生産ジョブのグルーピングの一例を示すテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態の部品実装システム10の概略を示す斜視図、図2は部品実装機20の概略を示す斜視図、図3は部品実装システム10の制御に関わる構成を示すブロック図である。なお、図1の左右方向がX方向であり、前後方向がY方向であり、上下方向がZ方向である。
【0010】
部品実装システム10は、図1に示すように、部品実装ライン12と、ローダ50と、管理コンピュータ80とを備える。部品実装ライン12には、部品実装機群14とフィーダ保管庫60とがX方向に並べられている。部品実装機群14には、複数の部品実装機20がX方向に並べられている。部品実装機20は、フィーダ30から供給された部品を基板S(図2参照)に実装する。基板Sは、X方向に沿って部品実装ライン12の左側(上流側)から右側(下流側)へと搬送される。フィーダ保管庫60は、部品実装機群14の上流側に配置され、部品実装機20で使用予定のフィーダ30や使用済みのフィーダ30を保管する。ローダ50は、部品実装機20との間やフィーダ保管庫60との間でフィーダ30を自動交換可能である。管理コンピュータ80は、システム全体を管理する。
【0011】
部品実装機20は、図2に示すように、基板SをX方向に搬送する基板搬送装置21と、フィーダ30が供給した部品を吸着するノズルを有するヘッド22と、ヘッド22をXY方向に移動させるヘッド移動機構23と、タッチパネルディスプレイ27(図1参照)とを備える。また、部品実装機20は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成された実装制御装置28(図3参照)を備える。実装制御装置28は、部品実装機20の全体を制御する。実装制御装置28は、基板搬送装置21やヘッド22、ヘッド移動機構23、タッチパネルディスプレイ27などと信号の入出力が可能となっている。また、部品実装機20は、前方にフィーダ30を取り付け可能な上下2つのエリアを有する。上のエリアはフィーダ30が部品を供給可能な供給エリア20Aであり、下のエリアはフィーダ30をストック可能なストックエリア20Bである。供給エリア20Aとストックエリア20Bには、側面視がL字状に形成されたパレット40が設けられている。各パレット40には、複数のフィーダ30が取り付けられる。
【0012】
フィーダ30は、図2に示すように、部品を所定ピッチで収容するテープを送り出すテープフィーダとして構成されている。フィーダ30は、テープが巻回されたテープリール32と、テープリール32からテープを送り出すテープ送り機構33と、フィーダ制御装置34(図3参照)とを備える。パレット40は、図2に示すように、フィーダ30を挿入可能な間隔でX方向に複数配列されたスロット42を備える。パレット40のスロット42にフィーダ30が挿入されると、フィーダ30の図示しないコネクタがパレット40のコネクタ45に接続される。これにより、フィーダ制御装置34は、フィーダ30の取付先の制御部(実装制御装置28や管理コンピュータ80など)と通信可能となる。フィーダ制御装置34は、テープに収容された部品をテープ送り機構33により所定の部品供給位置まで繰り出し、部品供給位置の部品がヘッド22のノズルによって吸着されると、再びテープに収容された部品をテープ送り機構33により所定の部品供給位置まで繰り出す。
【0013】
ローダ50は、図1に示すように、複数の部品実装機20の前面およびフィーダ保管庫60の前面に基板の搬送方向(X方向)に対して平行に設けられたX軸レール18に沿って移動可能となっている。ローダ50は、図2及び図3に示すように、ローダ移動機構51と、フィーダ移載機構53とを備える。ローダ移動機構51は、X軸レール18に沿ってローダ50を移動させるものである。フィーダ移載機構53は、ローダ50から部品実装機20やフィーダ保管庫60へフィーダ30を取り付けたり、部品実装機20やフィーダ保管庫60からフィーダ30を取り外してローダ50に収納したり、上部移載エリア50Aと下部移載エリア50Bとの間でフィーダ30を移動させたりするものである。ローダ50は、また、図3に示すように、エンコーダ55と、ローダ制御装置57とを備える。エンコーダ55は、ローダ50のX方向の移動位置を検出するものである。ローダ制御装置57は、周知のCPUやROM、RAMなどで構成されている。ローダ制御装置57は、エンコーダ55からの検知信号を入力し、ローダ移動機構51やフィーダ移載機構53に駆動信号を出力する。
【0014】
フィーダ保管庫60は、図1に示すように、複数のフィーダ30を収容するために、部品実装機20と同様のパレット40を有している。
【0015】
管理コンピュータ80は、図3に示すように周知のCPU80aやROM80b、RAM80c、HDD80dなどで構成されており、LCDなどのディスプレイ82やキーボードやマウスなどの入力デバイス84などに接続されている。管理コンピュータ80のHDD80dは、生産計画や生産ジョブなどを記憶している。本明細書では、予め定められた各種部品が実装された基板Sを、製品と称する。生産計画は、いつどのような製品を何枚作成するかなどが定められた計画である。生産計画は、オペレータが入力デバイス84を操作することにより管理コンピュータ80のHDD80dに保存される。生産ジョブは、製品ごとに定められており、部品実装機20ごとにどの部品種の部品をどういう順番で基板Sへ実装するかなどが定められたジョブである。生産ジョブは、管理コンピュータ80のCPU80aによって生産計画に基づいて設定され、HDD80dに保存される。管理コンピュータ80は、実装制御装置28やローダ制御装置57と双方向通信可能に接続される。管理コンピュータ80は、実装制御装置28から部品実装機20の実装状況に関する情報を受信したり、ローダ制御装置57からローダ50の駆動状況に関する情報を受信したりする。管理コンピュータ80は、フィーダ30のフィーダ制御装置34と通信可能に接続され、フィーダ保管庫60に保管されたフィーダ30の情報や各部品実装機20に取り付けられたフィーダ30の情報を取得可能となっている。
【0016】
次に、こうして構成された部品実装システム10の管理コンピュータ80が実施する生産ジョブのグルーピングルーチンについて説明する。ここでは、部品実装ライン12が多種類の製品を生産する場合について説明する。管理コンピュータ80は、多種類の製品のそれぞれについて既に生産ジョブを設定し終えており、それらの生産ジョブはHDD80dに保存されているものとする。生産ジョブは、部品実装ライン12の生産効率を高めるために最適化されている。具体的には、生産ジョブは、基板Sに実装する部品の実装順序を最適化したり、部品実装機20にセットするフィーダ30の配置を最適化してヘッド22の移動距離や移動時間を最短にしたりすることにより、部品実装ライン12の生産効率が最も高くなるように設定されている。こうした生産ジョブの最適化は、部品実装機20の分野において周知であるため、その詳細は省略する。
【0017】
図4は生産ジョブのグルーピングルーチンのフローチャートである。このグルーピングルーチンが開始されると、管理コンピュータ80のCPU80aは、今回の生産計画に含まれる複数の生産ジョブをHDD80dから読み込む(S110)。
【0018】
次に、CPU80aは、生産ジョブに含まれる部品の種類の共通度が所定の判定基準を満たすものを同じグループに割り振る(S120)。グループは、同じグループに属する生産ジョブを処理する際には各部品実装機20のパレット40の一括交換を行わずフィーダ30の個別交換を行うように、且つ、異なるグループに属する生産ジョブを処理する際には各部品実装機20のパレット40の一括交換を行いフィーダ30の個別交換を行わないように設定される。同じグループに割り振られた生産ジョブ同士は、部品の種類の共通度が高いため交換すべきフィーダ30の数は少ない。したがって、フィーダ30の個別交換を行ったとしても、作業は比較的短時間で済む。一方、異なるグループに割り振られた生産ジョブ同士は、部品の種類の共通度が低いため、交換すべきフィーダ30の数は多い。したがって、フィーダ30の個別交換を行うと作業は長時間を要することになることから、パレット40の一括交換を行う。
【0019】
ここで、判定基準は、生産ジョブを切り替えたときのフィーダ30の個別交換の回数が所定回数以下という条件としてもよい。あるいは、生産ジョブを切り替えたときのフィーダ30の個別交換の回数がフィーダ30の総数の所定割合以下という条件としてもよい。なお、グルーピングの手法としては、一般的なクラスター分析処理等を使用すればよい。
【0020】
次に、CPU80aは、各生産ジョブがどのグループに属するのかをHDD80dに記憶し(S130)、本ルーチンを終了する。
【0021】
生産ジョブのグルーピングの一例を図5に示す。ここでは、部品実装機群14に含まれる部品実装機20は4台であり、パレット40のスロット数は45本であり、12種類の製品を生産するために12種類の生産ジョブ(ジョブJ1~J12)が設定されているものとする。図5において、スロットn-1~n-45の数字nは部品実装機20の位置を表し、ハイフンの後ろの枝番はパレット40のスロット42の位置を表す。数字nは、部品実装機群14の最上流に位置する部品実装機20を1番目(n=1)とし、そこから下流に向かって昇順にカウントする。
【0022】
図5では、ジョブJ1~J3は、お互いに部品の種類の共通度が高いため同じグループG1に振り分けられている。ジョブJ4~J8は、お互いに部品の種類の共通度が高いため同じグループG2に振り分けられている。ジョブJ4~J8は、ジョブJ1~J3と部品の種類の共通度が低いためグループG1に振り分けられていない。ジョブJ9~J12は、お互いに部品の種類の共通度が高いため同じグループG3に振り分けられている。ジョブJ9~J12は、ジョブJ1~J3と部品の種類の共通度が低いためグループG1に振り分けられておらず、ジョブJ4~J9とも部品の種類の共通度が低いためグループG2に振り分けられていない。なお、同じグループに振り分けられたジョブ同士の部品の配置は、複数のジョブ間で共通して使用する部品は同じ位置に配置する。一方、互いに異なる部品は、各部品実装機20のスロットに空きがある範囲で異なる位置に配置し、スロットに空きがない分は互いに重なる位置に配置する。この場合、互いに異なる部品であるものの、互いに重なる位置に配置された部品が、個別交換される部品となる。
【0023】
部品実装機群14は、グループG1に属するジョブJ1~J3の処理をこの順に実行し、続いてグループG2に属するジョブJ4~J8の処理をこの順に実行し、続いてグループG3に属するJ9~J12の処理をこの順に実行する。以下にこの手順を詳説する。
【0024】
まず、ジョブJ1の処理開始前に、各部品実装機20のパレット40をオペレータが準備する。具体的には、オペレータは、部品実装機群14とは異なる場所の倉庫で各パレット40にジョブJ1で使用するフィーダ30をセットし、それらのパレット40を倉庫から部品実装機群14まで運び、各部品実装機20にパレット40を取り付ける。そして、ジョブJ1の処理終了後、ジョブJ2の処理開始前に、2番目の部品実装機20のパレット40のうち2つめのスロット42のフィーダ30をローダ50により自動交換する。他のスロット42はフィーダ交換を行わない。ジョブJ2の処理終了後、ジョブJ3の処理開始前には、フィーダ30を交換する必要がないため、そのままジョブJ3の処理を実行する。
【0025】
一方、グループG1の処理中、もしくはグループG1の処理開始前に、グループG2において各部品実装機20で使用するパレット40をオペレータが準備する。具体的には、オペレータは、倉庫で各パレット40にグループG2のジョブJ4で使用するフィーダ30をセットする。そして、グループG1のジョブJ3の処理終了後、オペレータはジョブJ4のパレット40を部品実装機群14まで運び、各部品実装機20にパレット40を取り付ける。そして、ジョブJ4の処理終了後、ジョブJ5の処理開始前に、1番目の部品実装機20のパレット40のうち3つめのスロット42のフィーダ30と3番目の部品実装機20のパレット40のうち3つめのスロット42のフィーダ30をローダ50により自動交換する。他のスロット42はフィーダ交換を行わない。ジョブJ5の処理終了後、ジョブJ6の処理開始前に、1番目の部品実装機20のパレット40のうち3つめのスロット42のフィーダ30と4番目の部品実装機20のパレット40のうち3つめのスロット42のフィーダ30をローダ50により自動交換する。他のスロット42はフィーダ交換を行わない。以下、同様にしてジョブJ8まで処理を行う。
【0026】
グループG2の処理中、もしくはグループG2の処理開始前、もしくはグループG1の処理開始前に、グループG3において各部品実装機20で使用するパレット40をオペレータが準備する。具体的には、オペレータは、倉庫で各パレット40にジョブJ9で使用するフィーダ30をセットする。そして、グループG2のジョブJ8の処理終了後、オペレータはジョブJ9のパレット40を部品実装機群14まで運び、各部品実装機20にパレット40を取り付ける。そして、ジョブJ9の処理終了後、ジョブJ10の処理開始前に、1番目の部品実装機20のパレット40のうち2つめのスロット42のフィーダ30と4番目の部品実装機20のパレット40のうち3つめのスロット42のフィーダ30をローダ50により自動交換する。他のスロット42はフィーダ交換を行わない。ジョブJ10の処理終了後、ジョブJ11の処理開始前に、3番目の部品実装機20のパレット40のうち2つめのスロット42のフィーダ30と4番目の部品実装機20のパレット40のうち3つめのスロット42のフィーダ30をローダ50により自動交換する。他のスロット42はフィーダ交換を行わない。以下、同様にしてジョブJ12まで処理を行う。
【0027】
図5の例では、生産ジョブのグルーピングルーチンのS120における判定基準は、生産ジョブを切り替えたときのフィーダ30の個別交換の回数が3回以下という条件としてもよいし、生産ジョブを切り替えたときのフィーダ30の個別交換の回数がフィーダ30の総数(あるいはスロット42の総数、ここでは45本)の1/15以下という条件としてもよい。
【0028】
ここで、構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態の管理コンピュータ80のHDD80dが本開示の部品実装システムにおける記憶部に相当し、CPU80aが本開示の部品実装システムにおけるグルーピング実行部に相当する。また、本実施形態の管理コンピュータ80が本開示のデータ作成装置に相当し、HDD80dが本開示のデータ作成装置における記憶部に相当し、CPU80aが本開示のデータ作成装置におけるグルーピング実行部に相当する。
【0029】
以上説明した本実施形態では、複数の生産ジョブをグルーピングするにあたり、各生産ジョブに含まれる部品の種類の共通度が所定の判定基準を満たすものを同じグループに割り振る。異なるグループに属する生産ジョブは、部品の種類の共通度が低いため、交換すべきフィーダ30の数が多くなることから、フィーダ30の個別交換よりもパレット40の一括交換の方が短時間で済む。一方、同じグループに属する生産ジョブは、部品の種類の共通度が高いため、個別交換すべきフィーダ30の数を抑制することができ、パレット40の一括交換よりもフィーダ30の個別交換の方が短時間で済む。したがって、生産ジョブを適切にグルーピングすることができる。
【0030】
また、同じグループに属する生産ジョブは個別交換すべきフィーダ30の数が抑制されるため、ローダ50が一度に自動交換できるフィーダ30の数に制限があったとしても、自動交換に要する時間が大幅に長くなるようなことはない。
【0031】
更に、生産ジョブのグルーピングルーチンのS120における判定基準は、生産ジョブを切り替えたときのフィーダ30の個別交換の回数が所定回数以下という条件か、生産ジョブを切り替えたときのフィーダ30の個別交換の回数がスロット42の総数の所定割合以下という条件にしている。そのため、生産ジョブを切り替えたときのフィーダ30の個別交換の回数に応じて適切に生産ジョブをグルーピングすることができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上述した実施形態では、フィーダ30の個別交換については、ローダ50が自動的に行うものとしたが、ローダ50の代わりにオペレータが行ってもよい。特に、部品実装システム10がローダ50を備えていない場合には、フィーダ30の個別交換をオペレータが行うようにすればよい。その場合、フィーダ30の個別交換の案内を部品実装機20のタッチパネルディスプレイ27や管理コンピュータ80のディスプレイ82に表示し、その案内にしたがってオペレータがフィーダ30の交換を行うようにしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、パレット40の一括交換については、オペレータがパレット40を倉庫から部品実装機群14まで運ぶものとしたが、無人搬送車がパレット40を倉庫から部品実装機群14まで運ぶようにしてもよい。こうすれば、オペレータの作業負担が軽減される。
【0035】
上述した実施形態において、部品実装ライン12に、部品実装前の基板Sにはんだを印刷するはんだ印刷機を加えたり、部品実装後の基板Sに部品が正しく実装されているか否かを検査する検査機を加えたりしてもよい。また、部品実装機群14とフィーダ保管庫60とは隣接していてもよいが、部品実装機群14とフィーダ保管庫60との間にはんだ印刷機などが配置されていてもよい。
【0036】
上述した実施形態では、部品供給装置としてフィーダ30を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば部品供給装置として複数の部品を載置したトレイを採用してもよい。
【0037】
上述した実施形態において、部品実装機20のパレット40のスロット42に余裕がある場合には、空きスロット42に、予め次回以降の生産ジョブで使用する部品を備えたフィーダ30をセットしておいてもよい。そのようなフィーダ30については生産ジョブが切り替わったときに交換する必要はないため、その分、作業時間が短縮化される。
【0038】
上述した実施形態では、同じグループに振り分けられたジョブ同士の部品の配置において、複数のジョブ間で共通しない部品を、互いに重なる位置に配置した。しかし、複数のジョブで共通する部品の数が部品実装機のスロット数を超える場合には、共通するジョブ数の少ない部品を優先して他の部品と重なる位置に配置して、個別交換してもよい。
【0039】
本開示の部品実装システムは、以下のように構成してもよい。
【0040】
本開示の部品実装システムは、前記搬送方向に沿って移動し、前記部品実装機群に含まれる各部品実装機に対して前記部品供給装置の取り出し及び/又は取り付けを自動で行うローダを備え、前記ローダは、前記部品供給装置の個別交換を行うようにしてもよい。上述したように、同じグループに属する生産ジョブは部品の種類の共通度が高いため個別交換すべき部品供給装置の数を抑制することができる。そのため、ローダが一度に自動交換できる部品供給装置の数に制限があったとしても、自動交換に要する時間が大幅に長くなるようなことはない。
【0041】
本開示の部品実装システムは、前記部品実装機群に含まれる各部品実装機のパレットを無人で搬送する無人搬送車を備え、前記無人搬送車は、前記パレットの一括交換を行う際に利用されるようにしてもよい。こうすれば、パレットの一括交換を行う作業負担が軽減される。
【0042】
本開示の部品実装システムにおいて、前記判定基準は、前記生産ジョブを切り替えたときの前記部品供給装置の個別交換の回数が所定回数以下という条件としてもよいし、前記生産ジョブを切り替えたときの前記部品供給装置の個別交換の回数が前記部品供給装置の総数の所定割合以下という条件としてもよい。こうすれば、生産ジョブを切り替えたときの部品供給装置の個別交換の回数に応じて適切に生産ジョブをグルーピングすることができる。
【0043】
本開示のデータ作成装置は、以下のように構成してもよい。
【0044】
本開示のデータ作成装置は、
複数の部品供給装置がパレットに着脱可能にセットされ前記部品供給装置が供給した部品を実装対象物に実装する部品実装機を前記実装対象物の搬送方向に沿って複数並べて構成した部品実装機群の各部品実装機に付与される、基板にどの種類の部品を実装するかの情報を含む生産ジョブを記憶する記憶部と、
前記複数の生産ジョブをグルーピングするにあたり、各生産ジョブに含まれる部品の種類の共通度が所定の判定基準を満たすものを同じグループに割り振るグルーピング実行部と、
を備え、
前記グループは、同じグループに属する前記生産ジョブを処理する際には各部品実装機の前記パレットの一括交換を行わず前記部品供給装置の個別交換を行うように、且つ、異なるグループに属する前記生産ジョブを処理する際には各部品実装機の前記パレットの一括交換を行い前記部品供給装置の個別交換を行わないように設定される、
ものである。
【0045】
このデータ作成装置では、複数の生産ジョブをグルーピングするにあたり、各生産ジョブに含まれる部品の種類の共通度が所定の判定基準を満たすものを同じグループに割り振る。そのため、生産ジョブに含まれる部品の種類の共通度が所定の基準を満たす生産ジョブが別のグループに割り振られることがない。また、異なるグループに属する生産ジョブは、パレットの一括交換を行うため部品供給装置の個別交換に比べて交換時間が短縮され、同じグループに属する生産ジョブは、部品の種類の共通度が高いため個別交換すべき部品供給装置の数を抑制することができる。したがって、生産ジョブを適切にグルーピングすることができる。
【0046】
本開示のデータ作成装置において、前記判定基準は、前記生産ジョブを切り替えたときの前記部品供給装置の個別交換の回数が所定回数以下という条件であるか、又は、前記生産ジョブを切り替えたときの前記部品供給装置の個別交換の回数が前記部品供給装置の総数の所定割合以下という条件としてもよい。こうすれば、生産ジョブを切り替えたときの部品供給装置の個別交換の回数に応じて適切に生産ジョブをグルーピングすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、部品実装機群を用いて実装対象物に部品を実装する技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 部品実装システム、12 部品実装ライン、14 部品実装機群、18 X軸レール、20 部品実装機、20A 供給エリア、20B ストックエリア、21 基板搬送装置、22 ヘッド、23 ヘッド移動機構、27 タッチパネルディスプレイ、28 実装制御装置、30 フィーダ、32 テープリール、33 テープ送り機構、34 フィーダ制御装置、40 パレット、42 スロット、45 コネクタ、50 ローダ、50A 上部移載エリア、50B 下部移載エリア、51 ローダ移動機構、53 フィーダ移載機構、55 エンコーダ、57 ローダ制御装置、60 フィーダ保管庫、80 管理コンピュータ、80a CPU、80b ROM、80c RAM、80d HDD、82 ディスプレイ、84 入力デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5