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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】予測装置、予測方法及び予測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230920BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20230920BHJP
   G06Q 30/0241 20230101ALI20230920BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/04
G06Q30/0241
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022112232
(22)【出願日】2022-07-13
【審査請求日】2023-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100174528
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 晋朗
(72)【発明者】
【氏名】岸本 渉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真由子
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 研
(72)【発明者】
【氏名】余根田 耕
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6902636(JP,B1)
【文献】広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ「ミニ枠の視聴率は前番組と後番組とどちらの影響を受けるのか?」,[online],2014年06月07日,[2023年8月15日検索],インターネット,<URL:https://yyhhyy.hatenablog.com/entry/20140607/1402142354>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去番組の視聴率の基準特徴量を記憶する記憶部と、
対象番組の少なくとも1つにリクエスト枠を設定する設定部と、
前記リクエスト枠の特徴量を抽出する抽出部と、
前記基準特徴量と、前記リクエスト枠の前記特徴量とに基づいて、前記リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する取得部と、
を有することを特徴とする予測装置。
【請求項2】
前記抽出部は、前記リクエスト枠の前記特徴量として、前記リクエスト枠の放送分数と、平日の祝日フラグと、時跨りフラグと、日跨りフラグとを抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測装置。
【請求項3】
前記抽出部は、前記リクエスト枠の前記特徴量として、前記リクエスト枠の放送分数と、曜日と、時間帯と、放送局と、土日フラグと、祝日フラグと、平日の祝日フラグと、時跨りフラグと、日跨りフラグとを抽出する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の予測装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記対象番組のうち、相対的に長い放送分数のメイン番組に隣接する、相対的に短い放送分数のサブ番組を前記リクエスト枠に設定する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の予測装置。
【請求項5】
前記記憶部は、複数の過去番組に跨る所定期間の視聴率の特徴量を記憶するとともに、予測基準日と同じ曜日の時系列視聴率を前記基準特徴量として記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の予測装置。
【請求項6】
前記記憶部は、複数の過去番組に跨る所定期間の視聴率の特徴量を記憶するとともに、予測基準日を含む当週視聴率と、前記予測基準日より前の所定期間における指数移動平均視聴率との差分を前記基準特徴量として記憶する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の予測装置。
【請求項7】
過去番組の視聴率の基準特徴量を記憶するステップと、
対象番組の少なくとも1つにリクエスト枠を設定するステップと、
前記リクエスト枠の特徴量を抽出するステップと、
前記基準特徴量と、前記リクエスト枠の前記特徴量とに基づいて、前記リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得するステップと、
コンピュータにより実行することを特徴とする予測方法。
【請求項8】
過去番組の視聴率の基準特徴量を記憶するステップと、
対象番組の少なくとも1つにリクエスト枠を設定するステップと、
前記リクエスト枠の特徴量を抽出するステップと、
前記基準特徴量と、前記リクエスト枠の前記特徴量とに基づいて、前記リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予測装置、予測方法及び予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、放送情報に関する条件に応じて放送接触情報を精度良く予測する予測装置について特許出願を行い、特許権を取得している(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の予測装置は、記憶部と、計算部と、予測部とを備えている。記憶部は、放送媒体で放送された複数の放送情報それぞれに対する受信者からの接触の度合いを示す放送接触情報を記憶する。計算部は、第1統計値、第2統計値、及び第3統計値のうち少なくとも2つ以上の統計値を計算する。予測部は、少なくとも2つ以上の統計値に基づいて、放送予定の放送情報に対する受信者からの接触の度合いを示す予測接触情報を求める。第1統計値は、放送媒体で放送された複数の放送情報のうち、放送予定の放送情報が放送される放送予定日の直近の複数の日に放送された複数の放送情報それぞれの放送接触情報の移動平均を表す。第2統計値は、放送媒体で放送された複数の放送情報のうち、放送予定日と同じ曜日に対応する、放送予定日の直近の複数の日に放送された複数の放送情報それぞれの放送接触情報の移動平均を表す。第3統計値は、放送媒体で放送された複数の放送情報のうち、放送予定日と同じ曜日に対応する、放送予定日の直近の複数の日において同時間帯に放送された複数の放送情報それぞれの放送接触情報の移動平均を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6902636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術は、視聴率の予測を高精度に行うという観点において、改良の余地がある。
【0006】
そこで本開示は、視聴率の予測を高精度に行うことができる予測装置、予測方法及び予測プログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る予測装置は、過去番組の視聴率の基準特徴量を記憶する記憶部と、対象番組の少なくとも1つにリクエスト枠を設定する設定部と、前記リクエスト枠の特徴量を抽出する抽出部と、前記基準特徴量と、前記リクエスト枠の前記特徴量とに基づいて、前記リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する取得部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、視聴率の予測を高精度に行うことができる予測装置、予測方法及び予測プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来の長期トレンド予測における予測算出方法の一例を示す図である。
図2】従来の長期トレンド予測における説明変数の過去視聴率及び対象期間との関係の一例を示す図である。
図3】過去番組の視聴率の基準特徴量の記憶処理の第1の例を示す図である。
図4】過去番組の視聴率の基準特徴量の記憶処理の第2の例を示す図である。
図5】基準特徴量とリクエスト枠の特徴量に基づくリクエスト枠の予測特徴量の取得の一例を示す図である。
図6】予測装置を含むシステムの概略構成の一例を示す図である。
図7】予測装置の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。
図8】コスト算出装置、放送配信装置、予測装置の機能構成の一例を示す図である。
図9】コスト算出装置、放送配信装置、予測装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
対象番組の視聴率を予測する仕組み(モデル)として、例えば、最近トレンド予測(SHAREST_RT、Recent Trend Prediction Version)と、長期トレンド予測(SHAREST_LT、Long-term Trend Prediction Version)とがある。
【0011】
最近トレンド予測は、放送予定日が近い対象番組の視聴率を予測するものであり、例えば、番組編成、ジャンル、インターネット上の評価等の詳細なデータに基づいて高精度に視聴率を予測する予測処理である。最近トレンド予測における予測対象日(対象番組の放送日)は、例えば、現在から1日後~7日後(OA7日前~1日前)であってもよい。
【0012】
長期トレンド予測は、放送予定日が遠い対象番組の視聴率を予測するものであり、例えば、視聴率の経年推移やシーズナリティ(季節変化)を考慮した中長期予測にかかる予測処理である。長期トレンド予測における予測対象日(対象番組の放送日)は、例えば、現在から8日後~70日後(OA70日前~8日前)であってもよい。
【0013】
長期トレンド予測では、現在から8日後~70日後(OA70日前~8日前)の10分毎のリアルタイム視聴率(平均視聴率)に基づいて、対象番組の視聴率を予測している。その際、所定期間、例えば、過去2年分を週次で学習(毎週水曜日19時開始)したものを学習データとして用いてもよい。また、予測対象期間として、例えば、日次での予測(毎日3時開始)を採用してもよい。この場合、速報データの最新日から起算して70日前までを予測対象期間としてもよい。予測対象期間は延長可能であってもよい。
【0014】
図1は、従来の長期トレンド予測における予測算出方法の一例を示す図である。図1のモデルでは、再帰型ニュートラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)を利用して、全ターゲット(例えば31階層)×全局にて毎日視聴率予測を行っている。図1の例では、ある年の7月20日までの実測値を用いて7月21日の視聴率を予測したいとき、実測値を時系列に沿って学習し、予測値を出力している。具体的に、5:00-5:10の時間帯において、7月20日までの実測値(図示しているのは7月18日から7月20日までの実測値)に基づいて、7月21日の予測値である0.3を出力している。同様に、5:10-5:20の時間帯において、7月20日までの実測値(図示しているのは7月18日から7月20日までの実測値)に基づいて、7月21日の予測値である0.2を出力している。また、5:20-5:30の時間帯において、7月20日までの実測値(図示しているのは7月18日から7月20日までの実測値)に基づいて、7月21日の予測値である0.6を出力している。また、5:30-5:40の時間帯において、7月20日までの実測値(図示しているのは7月18日から7月20日までの実測値)に基づいて、7月21日の予測値である0.7を出力している。また、28:50-29:00の時間帯において、7月20日までの実測値(図示しているのは7月18日から7月20日までの実測値)に基づいて、7月21日の予測値である0.1を出力している。
【0015】
このように、従来の長期トレンド予測にあっては、過去の10分毎の平均視聴率を学習・予測するモデルであるため、視聴率の予測精度が悪くなる(予測視聴率と実測視聴率に乖離がある)という傾向(技術課題)がある。
【0016】
図2は、従来の長期トレンド予測における説明変数の過去視聴率及び対象期間との関係の一例を示す図である。図2の例では、ある年の2月18日が予測基準日に設定されており、そのn日前までの過去平均視聴率を計算してこれを説明変数と定義している。ここで、n日前平均は予測基準日の前日より計算するものとし、n=28、つまり前4週平均(曜日を問わない各日の平均)で計算するものとする。具体的に、ある年の1月21日から2月17日の過去平均視聴率を計算してこれを説明変数と定義し、2月18日での視聴率予測に利用している。このように、日次連携に基づいた予測基準日の前日データが存在し、可能な限り直近データを活用することで、予測基準日時点での連携済最新データから過去平均視聴率を取得する。また、直近のトレンドを加味するために、予測基準日の前日より起算して過去視聴率を計算する。過去視聴率は、予測基準日における視聴率予測を高精度に行うための変数として使用する。さらに、予測対象をある年の2月19日~4月29日とした場合、予測基準日である2月18日から70日先の4月29日の予測値は、2月17日より起算した過去n日前平均視聴率を説明変数として使用してもよい。
【0017】
従来の長期トレンド予測にあっては、例えば、OA60日前予測値の一部が誤りであるため正しい値に修正したとしても、予測精度が前8週平均に負けてしまう(劣ってしまう)ケースがある。また、番組放送分数毎の精度比較に注目した場合、前8週平均よりも、放送時間によっては(例えば6分程度のミニ番組では)、予測精度が悪くなってしまう(劣ってしまう)ケースがある。とりわけ、視聴率が最も良いとされる平日の19時~23時や土日の18時~23時といったAタイムに含まれるミニ番組の視聴率を実際よりも高く予測してしまう傾向がある。これは、従来の長期トレンド予測が過去の10分毎の平均視聴率を学習・予測するモデルであることに起因すると推察される。同様の理由により、Aタイムに挿入されたミニ番組に隣接する(あおりを受ける)56分番組でも、視聴率の予測精度が悪化する傾向がある。このように、長期トレンド予測の視聴率予測の精度は、全体として上昇傾向にあったとしても、実際の伸びに追いつけない場合がある。すなわち、トレンドを捉えていたとしても、過去に例が少ない急激な伸びの場合に予測しきれない可能性がある。
【0018】
本発明者は、上記の問題点を重要な技術課題として捉えて、とりわけ長期トレンド予測における視聴率の予測を高精度に行うために、以下の構成要件を具備する予測装置、予測方法及び予測プログラムを着想するに至った。
【0019】
再帰型ニュートラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)を改善するべく、曜日毎の時系列変化を学習し易いモデル構造に変更するとともに、時系列トレンドを学習し易い目的変数に変更する。また、視聴率予測に影響を与え易い番組枠であるリクエスト枠を設定するとともに、リクエスト枠に応じた予測値補正を行う。具体的に、視聴率予測が悪化し易い(高く見積もり易い)ミニ番組枠をリクエスト枠に設定して、リクエスト枠の特徴量に基づいて長期トレンド予測における予測値を変換出力するモデルを構築(新規追加)する。
【0020】
<記憶処理(記憶ステップ)>
過去番組の視聴率の基準特徴量を記憶する。基準特徴量は、過去番組の視聴率そのものであってもよいし、過去番組の視聴率と関連する何らかのパラメータであってもよい。
【0021】
図3は、過去番組の視聴率の基準特徴量の記憶処理(記憶ステップ)の第1の例を示す図である。図3のモデルでは、再帰型ニュートラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)を利用して、全ターゲット(例えば31階層)×全局にて毎日視聴率予測を行っている。
【0022】
図3に示すように、ある放送局(●放送)の月曜日の5:00-5:10、5:10-5:20、5:20-5:30といった10分刻みの時間帯において、予測基準日(予測対象日)の20週前~1週前までの実測値(実測視聴率、実測特徴量)を記憶する。また、ある放送局(●放送)の火曜日の5:00-5:10、5:10-5:20、5:20-5:30といった10分刻みの時間帯において、予測基準日の20週前~1週前までの実測値(実測視聴率、実測特徴量)を記憶する。同様にして、ある放送局(●放送)の水曜日~日曜日についても、10分刻みの時間帯において、予測基準日の20週前~1週前までの実測値(実測視聴率、実測特徴量)を記憶する。予測基準日は月曜日~日曜日のいずれかの曜日に当てはまるので、複数の過去番組に跨る所定期間の視聴率の特徴量を記憶するとともに、予測基準日と同じ曜日の時系列視聴率を基準特徴量として記憶することになる。つまり、基準特徴量の記憶に際して、曜日毎の時系列変化をより学習し易い構造に変更している。また、詳しくは後述するが、基準特徴量に、対象番組の少なくとも1つに設定したリクエスト枠の特徴量に基づいた補正を掛けることで、当該リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得することができる。この予測特徴量は、リクエスト枠の予測視聴率そのものであってもよいし、リクエスト枠の予測視聴率と関連する何らかのパラメータであってもよい。なお、図3において、2週目以降は、予測特徴量をパラメータ補正のための特徴量に追加して再帰予測(予測視聴率の更新)を実行してもよい。
【0023】
図4は、過去番組の視聴率の基準特徴量の記憶処理(記憶ステップ)の第2の例を示す図である。図4のモデルでは、再帰型ニュートラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)を利用して、全ターゲット(例えば31階層)×全局にて毎日視聴率予測を行っている。
【0024】
図4に示すように、ある放送局(●放送)の月曜日の5:00-5:10、5:10-5:20、5:20-5:30といった10分刻みの時間帯において、予測基準日(予測対象日)の20週前~1週前までの実測値(実測視聴率、実測特徴量)を記憶する。同様にして、ある放送局(●放送)の火曜日~日曜日についても、10分刻みの時間帯において、予測基準日(予測対象日)の20週前~1週前までの実測値(実測視聴率、実測特徴量)を記憶する。これらの実測値は、予測基準日を含む当週視聴率と、予測基準日の24週指数移動平均視聴率との差分とすることができる。なお、実測値の差分をとる標準値は、24週指数移動平均視聴率に限定されることはなく、4週指数移動平均視聴率、8週指数移動平均視聴率、12週指数移動平均視聴率、48週指数移動平均視聴率であってもよい。このように、複数の過去番組に跨る所定期間の視聴率の特徴量を記憶するとともに、予測基準日を含む当週視聴率と、予測基準日より前の所定期間における指数移動平均視聴率との差分を基準特徴量として記憶する。つまり、時系列のトレンドを学習し易い目的変数に変更している。また、詳しくは後述するが、基準特徴量に、対象番組の少なくとも1つに設定したリクエスト枠の特徴量に基づいた補正を掛けることで、当該リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得することができる。この予測特徴量は、リクエスト枠の予測視聴率そのものであってもよいし、リクエスト枠の予測視聴率と関連する何らかのパラメータであってもよい。なお、図4において、2週目以降は、予測特徴量をパラメータ補正のための特徴量に追加して再帰予測(予測視聴率の更新)を実行してもよい。
【0025】
ここで、過去番組の視聴率の基準特徴量の一例である過去視聴率は、例えば、所定期間前の番組平均視聴率、所定期間前の終了時視聴率、前年同日の平均視聴率、及び前年同時間帯の平均視聴率を含む。過去視聴率は、さらに、直近移動平均視聴率、同曜日の移動平均視聴率、欠損フラグ1、同曜日かつ同時間帯の移動平均視聴率、及び欠損フラグ2を含む。直近移動平均視聴率、同曜日の移動平均視聴率、及び同曜日かつ同時間帯の移動平均視聴率は、放送接触情報の統計値の一例である。
【0026】
所定期間前の番組平均視聴率は、予測対象日の所定期間前に放送された、自枠、裏枠、前枠、及び前裏枠それぞれの番組の番組平均視聴率を表す。所定期間前の終了時視聴率は、予測対象日の所定期間前に放送された自枠の番組の終了時における視聴率を表す。前年同日の平均視聴率は、前年同日における平均視聴率を表す。前年同時間帯の平均視聴率は、前年同時間帯における平均視聴率を表す。
【0027】
直近移動平均視聴率は、予測対象日の直近のN回(Nは2以上の整数)の放送それぞれの番組平均視聴率の移動平均を表す。N回の放送は、自枠の番組の放送であり、日次番組、週次番組、年次番組、又は不定期番組のような、番組毎の放送間隔に合わせて抽出される。予測対象日の直近のN回は、前N回と呼ばれることもある。前N回の放送それぞれの番組平均視聴率を計算し、N回分の番組平均視聴率を用いて直近移動平均視聴率を計算してもよい。
【0028】
同曜日の移動平均視聴率は、予測対象日と同じ曜日に対応する前N回の移動平均視聴率を表す。欠損フラグ1は、予測対象日と同じ曜日に放送された番組の有無を示すフラグである。同曜日かつ同時間帯の移動平均視聴率は、予測対象日と同じ曜日かつ同時間帯に対応する前N回の移動平均視聴率を表す。欠損フラグ2は、予測対象日と同じ曜日かつ同時間帯に放送された番組の有無を示すフラグである。
【0029】
移動平均としては、例えば、単純移動平均又は加重移動平均を用いることができる。加重移動平均としては、例えば、線形加重移動平均又は指数加重移動平均を用いることができる。加重移動平均の重みは、放送日が遅い放送ほど大きくなるように設定される。加重移動平均により計算される移動平均視聴率は、第1放送情報よりも後に放送された第2放送情報の放送接触情報の寄与が、第1放送情報の放送接触情報の寄与よりも大きくなる統計値の一例である。
【0030】
加重移動平均を用いることで、放送日が遅い放送が移動平均視聴率に対して与える寄与が、放送日が早い放送が移動平均視聴率に対して与える寄与よりも大きくなるため、最近の視聴トレンドを大きく反映した移動平均視聴率を求めることができる。これにより、最近の視聴トレンドが予測視聴率に反映されやすくなり、予測精度が向上する。前4回の移動平均視聴率、前8回の移動平均視聴率、及び前10回の移動平均視聴率のように、Nの値が異なる複数の移動平均視聴率を併用してもよい。
【0031】
移動平均の対象となる前N回の放送は、必ずしも予測対象の番組と同じ番組である必要なく、予測対象の番組と同じ番組カテゴリに属する様々な番組であってもよい。さらに、前N回の放送に含まれる各番組の番組記述情報は、予測対象の番組の番組記述情報に含まれている所定キーワード又はその同義語を含んでいてもよい。所定キーワードの同義語は、シソーラスにより特定することができる。
【0032】
<設定処理(設定ステップ)>
視聴率予測の対象となる対象番組の少なくとも1つにリクエスト枠を設定する。リクエスト枠の設定の仕方には自由度があり、種々の設計変更が可能であるが、一例として、対象番組のうち、相対的に長い放送分数のメイン番組に隣接する、相対的に短い放送分数のサブ番組(ミニ番組)をリクエスト枠に設定することが好ましい。これは、上述した通り、番組放送分数毎の精度比較に注目した場合、放送時間によっては、例えば6分程度のミニ番組の予測精度が悪くなってしまうケースがあり、とりわけ、視聴率が最も良いとされる平日の19時~23時や土日の18時~23時といったAタイムに含まれるミニ番組の視聴率を実際よりも高く予測してしまう傾向があるためである。あるいは、同様に視聴率の予測精度が悪化する傾向がある、ミニ番組に隣接する(あおりを受ける)56分番組をリクエスト枠に設定してもよい。
【0033】
<抽出処理(抽出ステップ)>
設定したリクエスト枠、例えばミニ番組枠の特徴量を抽出する。リクエスト枠の特徴量の一例として、以下の(1)~(9)が挙げられる。
(1)リクエスト枠の放送分数
(2)リクエスト枠の曜日(開始時曜日、終了時曜日)
(3)リクエスト枠の時間帯(開始時hour、終了時hour、開始時minute、終了時minute)
(4)リクエスト枠の放送局
(5)リクエスト枠の土日フラグ(開始時、終了時)
(6)リクエスト枠の祝日フラグ(開始時、終了時)
(7)リクエスト枠の平日の祝日フラグ(開始時、終了時)
(8)リクエスト枠の時跨りフラグ(開始時hour-終了時hourが同一かどうか)
(9)リクエスト枠の日跨りフラグ(29時跨りかどうか)
【0034】
上記の(1)をリクエスト枠の特徴量(変数)として採用する目的としては、放送分数が短いミニ枠番組の場合、ベースの10分間平均予測視聴率よりも実測視聴率が低くなる可能性が高く、そういった傾向を視聴率予測に学習(反映)させることが挙げられる。
【0035】
上記の(2)~(4)をリクエスト枠の特徴量(変数)として採用する目的としては、特定放送局・曜日・時間帯の枠によって、ベースの10分間平均予測視聴率よりも実測視聴率が上がる・下がる・変動しないといった傾向が異なり、その違いを視聴率予測に学習(反映)させることが挙げられる。
【0036】
上記の(5)~(7)をリクエスト枠の特徴量(変数)として採用する目的としては、土日・祝日・平日の祝日の場合は、平日よりも視聴者の行動が変わる可能性が高く、そういった傾向を視聴率予測に学習(反映)させることが挙げられる。
【0037】
上記の(8)をリクエスト枠の特徴量(変数)として採用する目的としては、視聴者は時間(●時)の区切りでチャンネルを切り替える傾向があり、0分ぴったりに始まる番組とその数分前に始まる番組とではベースの10分間平均予測視聴率と実測視聴率の差分が異なることが多く、そういった傾向を視聴率予測に学習(反映)させることが挙げられる。
【0038】
上記の(9)をリクエスト枠の特徴量(変数)として採用する目的としては、時跨りによる視聴率の傾向は、早朝の番組(とりわけ4時-5時の跨ぎ)では通常の番組とは異なり、そういった違いを視聴率予測に学習(反映)させることが挙げられる。
【0039】
以上を踏まえて、設定したリクエスト枠、例えばミニ番組枠の特徴量を抽出する際に、リクエスト枠の放送分数と、平日の祝日フラグと、時跨りフラグと、日跨りフラグとを抽出することが好ましい。これらの特徴パラメータは、従来の長期トレンド予測が過去の10分毎の平均視聴率を学習・予測するモデルであることに起因する弊害を除去して、高精度な視聴率予測を実行するために極めて有用である。あるいは、設定したリクエスト枠、例えばミニ番組枠の特徴量を抽出する際に、リクエスト枠の放送分数と、曜日と、時間帯と、放送局と、土日フラグと、祝日フラグと、平日の祝日フラグと、時跨りフラグと、日跨りフラグとを抽出してもよい。この場合であっても、従来の長期トレンド予測が過去の10分毎の平均視聴率を学習・予測するモデルであることに起因する弊害を除去して、高精度な視聴率予測を実行することができる。
【0040】
<取得処理(取得ステップ)>
記憶した基準特徴量と、抽出したリクエスト枠の特徴量とに基づいて、リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する。別言すると、記憶した基準特徴量を、抽出したリクエスト枠の特徴量に基づいて補正することで、リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する。ここで、予測特徴量は、リクエスト枠の予測視聴率そのものであってもよいし、リクエスト枠の予測視聴率と関連する何らかのパラメータであってもよい。
【0041】
図5は、基準特徴量とリクエスト枠の特徴量に基づくリクエスト枠の予測特徴量の取得の一例を示す図である。図5に示すように、10分間平均予測視聴率に基づく過去番組の視聴率の基準特徴量と、対象番組に設定したリクエスト枠の特徴量とが入力される。基準特徴量について、予測時点では、番組枠の情報は把握できないため、番組枠の情報は使用せずに、10分間平均予測視聴率を算出して、これに基づいて、基準特徴量を算出する。また、予測基準日と同じ曜日の時系列視聴率を用いるか、24週移動平均差分(最近のトレンド)を足し引きしてトレンドを加味した予測値を算出する。リクエスト枠の特徴量は、上述した通り、リクエスト枠の放送分数と、曜日と、時間帯と、放送局と、土日フラグと、祝日フラグと、平日の祝日フラグと、時跨りフラグと、日跨りフラグとの少なくとも1つが含まれてもよい。そして、入力した基準特徴量とリクエスト枠の特徴量とに基づいて、リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する(基準特徴量をリクエスト枠の特徴量に基づいて補正することで予測特徴量を取得する)。このように、リクエスト枠の特徴量(放送時間等)に基づいて予測特徴量を補正するモデル(リクエスト枠の予測値変換モデル)が追加される。例えば、番組情報より時間帯や時跨りなどの特徴量を読み取って、ミニ番組枠などの短い分数の番組に対して補正を掛けることで、視聴率予測の高精度化を図ることができる。より具体的に、ミニ番組枠の予測視聴率が高く見積もられやすいことを考慮して、ミニ番組枠の予測視聴率を低めに補正して、実測値に近付けることができる。
【0042】
図6は、予測装置(視聴率予測装置)を含むシステムの概略構成の一例を示す図である。システム1は、コスト算出装置10と、放送配信装置20と、予測装置(視聴率予測装置)30とを有している。コスト算出装置10と放送配信装置20と予測装置30は、ネットワーク40によって互いに通信可能に接続されている。
【0043】
コスト算出装置10は、例えば、テレビCMのコストを算出する。コスト算出装置10は、テレビCMを挿入する対象番組の視聴率(予測視聴率)を含んだ計算式に基づいて、テレビCMのコストを算出する。
【0044】
コスト算出装置10は、例えば、ある放送局(チャンネルで読み替えられてもよい)の所定の期間(例えば、一週間)におけるスポットCMの出稿パターンごとのコストを取得する。ここで、本開示におけるコストは、視聴率1GRP(1%)あたりの料金を示すパーコスト(Cost Per Rating)を意味してもよい。出稿パターンは、既存の(任意の)出稿パターン(例えば、逆L型、全日型、ヨの字型、コの字型、一の字型、深夜型、全日昼型など)を含んでもよい。また、コスト算出装置10は、外部からの入力(例えば、放送局による設定)に基づいて、各出稿パターンについてのコスト、出稿パターンを構成する時間帯などを取得してもよい。
【0045】
コスト算出装置10は、コスト算出のための情報を取得(例えば、受信)してもよい。例えば、コスト算出装置10は、各広告枠に関する視聴率の情報(例えば、世帯視聴率、個人視聴率、個人全体視聴率であってリアルタイム視聴及び放送後7日目までのタイムシフト視聴を合算した視聴率(「All&P+C7(Program + Commercial 7)」などと呼ばれてもよい)など)を、予測装置30から取得(受信)してもよい。コスト算出装置10は、例えば、放送局によるAタイム1本単価の設定と、予測装置30から取得された視聴率の情報と、に基づいて、Aタイム1枠のコストを導出してもよい。
【0046】
コスト算出装置10は、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末などの携帯端末(移動通信端末)であってもよいし、パソコン(PC:Personal Computer)、サーバなどの固定通信端末であってもよい。つまり、本開示におけるコスト算出装置10は、通信デバイスで読み替えることができる。また、コスト算出装置10は、有線及び/又は無線(例えば、LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)、Wi-Fi(登録商標)など)を介して、ネットワーク(インターネットなど)と通信してもよい。
【0047】
放送配信装置20は、テレビ(TV:television)に対して放送を配信する装置である。ここで、テレビ(テレビ受像機)は、地上波放送、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)/通信衛星(CS:Communications Satellite)による放送、インターネット放送(インターネットテレビ)などの少なくとも1つを受信する機能を有する装置であってもよい。例えば、テレビは、多機能テレビ、スマートTV、IP(Internet Protocol)TV、セットトップボックスなどであってもよい。なお、放送は、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を意味し、無線放送、インターネット放送などを含んでもよい。
【0048】
予測装置30は、テレビにおいて放送される番組の実際の視聴率を集計する装置である。また、予測装置30は、テレビにおいてこれから放送される番組(対象番組)の視聴率を予測する装置である。視聴率は、所定の時間単位(例えば、秒、分、時)で記憶されてもよい。予測装置30は、ネットワークを介して他の装置(例えば、コスト算出装置10)に対して、視聴率に関する情報(例えば、テレビCMを挿入する対象番組の視聴率(予測視聴率))を送信してもよい。
【0049】
予測装置30は、例えば、テレビ視聴率調査者によって管理される装置であってもよい。予測装置30は、所定の世帯(例えば、調査協力世帯)のテレビに接続された測定機器から視聴履歴のデータを取得して管理してもよい。なお、当該データから視聴率が算出又は予測されてもよい。予測装置30には、所定のターゲット(所定の属性に該当するユーザ)ごとの視聴率(ターゲットの個人視聴率)が記録されてもよい。なお、本開示において、ターゲットは、マーケティングの分野で用いられる性・年齢別区分(C(Child)層、T(Teen)層、M(Male)1-M3層、F(Female)1-F3層)であると想定するが、この分類に限られない。
【0050】
予測装置30は、ビッグデータを扱うという新たな分析手法を用いて、テレビの「視聴者の広告視聴率」を高い精度で予測することができるように構成されている。予測装置30は、データソース情報を入力するデータ入力部と、データ入力部から入力されたデータソース情報に特定の加工処理を施してデータソース情報を説明変数化する説明変数化部と、所定のアルゴリズムのプログラムを実装しているプログラム実装・実行部と、プログラム実装・実行部による結果を出力するデータ出力部と、を有することができる。データ入力部から入力されたデータソース情報と、説明変数化部により説明変数化して得られた説明変数とを用いてプログラム実装・実行部が実装されているプログラムのアルゴリズムを実行し、アルゴリズムを実行して得られた予測視聴率データを出力部から出力して、出力された予測視聴率データに基づいて、広告枠を最適化することができる。ここで、テレビCMを挿入する対象番組の視聴率(予測視聴率)を算出するためのデータソース情報として、対象番組に関連する関連番組(例えば、連続ドラマの前回以前の放送分、特別番組の前回以前の放送分など)の視聴率を用いることができる。
【0051】
なお、当該システム構成は一例であり、これに限られない。例えば、各装置は、図6ではそれぞれ1つずつ含まれる構成としたが、各機器の数はこれに限られず、複数存在してもよい。システム1は、一部の装置を含まない構成としてもよいし、1つの装置の機能が複数の装置により実現される構成としてもよい。逆に、複数の装置の機能が1つの装置により実現される構成としてもよい。例えば、コスト算出装置10と放送配信装置20と予測装置30の少なくとも2つが、1つのサーバ上で実装されてもよい。
【0052】
図7は、予測装置30の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。予測装置30は、記憶部31と、設定部32と、抽出部33と、取得部34とを有している。本開示の予測方法及び予測プログラムは、予測装置30(記憶部31、設定部32、抽出部33、取得部34)に含まれるコンピュータに所定の処理ステップを実行させることにより実現される。
【0053】
記憶部31は、過去番組の視聴率の基準特徴量を記憶する。記憶部31は、複数の過去番組に跨る所定期間の視聴率の特徴量を記憶するとともに、予測基準日と同じ曜日の時系列視聴率を基準特徴量として記憶する。記憶部31は、複数の過去番組に跨る所定期間の視聴率の特徴量を記憶するとともに、予測基準日を含む当週視聴率と、予測基準日より前の所定期間における指数移動平均視聴率との差分を基準特徴量として記憶する。
【0054】
設定部32は、対象番組の少なくとも1つにリクエスト枠を設定する。設定部32は、対象番組のうち、相対的に長い放送分数のメイン番組に隣接する、相対的に短い放送分数のサブ番組(ミニ番組)をリクエスト枠に設定する。
【0055】
抽出部33は、リクエスト枠の特徴量を抽出する。抽出部33は、リクエスト枠の特徴量として、リクエスト枠の放送分数と、平日の祝日フラグと、時跨りフラグと、日跨りフラグとを抽出する。抽出部33は、リクエスト枠の特徴量として、リクエスト枠の放送分数と、曜日と、時間帯と、放送局と、土日フラグと、祝日フラグと、平日の祝日フラグと、時跨りフラグと、日跨りフラグとを抽出する。
【0056】
取得部34は、基準特徴量と、リクエスト枠の特徴量とに基づいて、リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する。取得部34は、基準特徴量を、リクエスト枠の特徴量に基づいて補正することで、リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する。
【0057】
なお、本開示は、「視聴率」を特定の指標(又は特定の指標の向上度合、オフセットなど)で読み替えた内容もカバーしている。当該特定の指標は、広告効果を判断するための指標、広告主の重要業績指標(KPI:Key Performance Indicators)を向上するための中間指標などであってもよく、例えば、認知率、リーチ、ROAS(Return On Advertising Spend)、ROI(Return on Investment)などを含んでもよい。「視聴率」という記載の少なくとも一部が上記特定の指標のいずれかで読み替えられてもよい。
【0058】
図8は、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置(視聴率予測装置)30の機能構成の一例を示す図である。図8に示すように、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、出力部150と、を有する。なお、図8では、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30の機能ブロックの一例を示しており、図8に描いていない他の機能ブロックを有していてもよい。また、一部の機能ブロックを含まない構成としてもよい。
【0059】
制御部110は、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30の制御を実施する。制御部110は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置により構成することができる。
【0060】
記憶部120は、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30で利用する情報を記憶する。記憶部120は、例えば、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるメモリ、ストレージ、記憶装置などにより構成することができる。
【0061】
通信部130は、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30の通信(例えば両者の相互通信)を行う。通信部130は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置により構成することができる。なお、通信部130は、送信部及び受信部から構成されてもよい。
【0062】
入力部140は、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30における入力を受け付ける。また、入力部140は、所定の機器、記憶媒体などと接続され、データの入力を受け付けてもよい。入力部140は、入力結果を例えば制御部110に出力してもよい。入力部140は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるキーボード、マウス、ボタンなどの入力装置、入出力端子、入出力回路などにより構成することができる。また、入力部140は、表示部と一体となった構成(例えば、タッチパネル)としてもよい。
【0063】
出力部150は、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30における出力を行う。例えば、出力部150は、画像を表示する表示部、音声を出力する音声出力部などを含んで構成されてもよい。表示部は、例えば、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるディスプレイ、モニタなどの表示装置により構成することができる。また、音声出力部は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるスピーカーなどの出力装置により構成することができる。
【0064】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線又は無線によって接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0065】
例えば、本開示の一実施形態における装置(コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30)は、本開示の予測処理(視聴率予測処理)を行うコンピュータとして機能してもよい。図9は、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。上述のコスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0066】
なお、本開示において、装置、回路、デバイス、ユニット、サーバなどは、互いに読み替えることができる。コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0067】
例えば、プロセッサ1001は1つだけ図示されているが、複数のプロセッサがあってもよい。また、処理は、1のプロセッサによって実行されてもよいし、処理が同時に、逐次に、又はその他の手法を用いて、2以上のプロセッサによって実行されてもよい。なお、プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。
【0068】
コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みなどを制御することによって実現される。
【0069】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。なお、上述の制御部110などの各部は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0070】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御部110は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
【0071】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、RAM(Random Access Memory)、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、一実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0072】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD-ROM(Compact Disc ROM)など)、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、リムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、磁気ストライプ、データベース、サーバ、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。なお、上述の記憶部120は、メモリ1002及び/又はストレージ1003によって実現されてもよい。
【0073】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、SIMカードを含んでもよい。なお、上述の通信部130は、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0074】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウスなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカーなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。なお、上述の入力部140及び出力部150は、それぞれ入力装置1005及び出力装置1006によって実現されてもよい。
【0075】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1008によって接続される。バス1007は、単一のバスによって構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0076】
また、コスト算出装置10、放送配信装置20、予測装置30は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0077】
(変形例)
なお、本開示において説明した用語及び/又は本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0078】
本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。また、本開示においてパラメータなどに使用する名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
【0079】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0080】
情報、信号などは、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。入出力された情報、信号などは、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報、信号などは、上書き、更新又は追記をされ得る。出力された情報、信号などは、削除されてもよい。入力された情報、信号などは、他の装置へ送信されてもよい。
【0081】
また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗示的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって又は別の情報の通知によって)行われてもよい。
【0082】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0083】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体及び信号波形の少なくとも1つを介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0084】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用され得る。
【0085】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0086】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0087】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素の参照は、2つの要素のみが採用され得ること又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0088】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びこれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0089】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0090】
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。
【符号の説明】
【0091】
1 システム
10 コスト算出装置
20 放送配信装置
30 予測装置(視聴率予測装置)
31 記憶部
32 設定部
33 抽出部
34 取得部
40 ネットワーク
【要約】
【課題】視聴率の予測を高精度に行うことができる予測装置、予測方法及び予測プログラムを提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る予測装置は、過去番組の視聴率の基準特徴量を記憶する記憶部と、対象番組の少なくとも1つにリクエスト枠を設定する設定部と、前記リクエスト枠の特徴量を抽出する抽出部と、前記基準特徴量と、前記リクエスト枠の前記特徴量とに基づいて、前記リクエスト枠の視聴率の予測に関する予測特徴量を取得する取得部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9