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特許7351976大腿骨後位切断前に屈曲間隔が確認可能なギャップゲージ及びユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-19
(45)【発行日】2023-09-27
(54)【発明の名称】大腿骨後位切断前に屈曲間隔が確認可能なギャップゲージ及びユニット
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/15 20060101AFI20230920BHJP
   A61F 2/38 20060101ALN20230920BHJP
【FI】
A61B17/15
A61F2/38
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022113929
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2020572453の分割
【原出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2022153485
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0080012
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520159455
【氏名又は名称】コレンテク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オ,スン フン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193048(JP,A)
【文献】特許第7108722(JP,B2)
【文献】米国特許第05735904(US,A)
【文献】特表2001-522686(JP,A)
【文献】特開2007-075517(JP,A)
【文献】特開2011-004848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/15
A61F 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大腿骨後位切断面と脛骨近位切断面との間の間隔を測定可能な測定部を含み、
前記測定部は、
脛骨近位切断面と大腿骨後位切断カッティングガイドとの間の空間に位置する第1測定部であって、大腿骨遠位切断面に位置するように構成された前記大腿骨後位切断カッティングガイドのスロットに結合して位置設定される第1測定部
を含み、前記第1測定部は、
前記カッティングガイドのスロットに結合するカッティングスロット結合部と、
前記脛骨近位切断面に着座する脛骨着座部と
を含み、
前記カッティングスロット結合部には、
大腿骨後位切断前に屈曲間隔を測定するため、前記カッティングガイドのカッティングスロットに挿入されるブレードと、
前記ブレードを前記第1測定部に固定するための固定手段と、
を含み、
前記測定部に、大腿骨遠位切断後に屈曲間隔と伸張ギャップを測定可能な第2測定部が含まれる、
ギャップゲージであって、
前記ギャップゲージの一端に前記第1測定部が形成され、他端に前記第2測定部が形成される、
ことを特徴とするギャップゲージ。
【請求項2】
前記ブレードが脛骨着座部を収容する中空状のハウジングの形態で提供されていることを特徴とする請求項1に記載のギャップゲージ。
【請求項3】
前記第1測定部がスパナ状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載のギャップゲージ。
【請求項4】
前記カッティングスロット結合部は、前記ブレードの挿入時にカッティングガイドの下部を収容してギャップゲージの挿入深さを確保するカッティングブロック収容溝含み、
前記カッティングブロック収容溝の深さd1は、前記カッティングガイドのカッティングスロット深さd2よりも浅いことを特徴とする請求項に記載のギャップゲージ。
【請求項5】
前記ブレードの下面から前記脛骨着座部の上面までの高さaは、前記カッティングスロットから前記カッティングガイドの下面までの高さyよりも高いことを特徴とする請求項4に記載のギャップゲージ。
【請求項6】
前記ブレードは、屈曲間隔測定時にブレードの強度を確保するための金属からなることを特徴とする、請求項に記載のギャップゲージ。
【請求項7】
前記第1測定部及び第2測定部は、治療対象の十字靭帯を収容可能な溝部を含む、請求項1に記載のギャップゲージ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のギャップゲージと、
前記ギャップゲージに結合し、大腿骨遠位切断面上に位置するカッティングガイドと、
を含む、ギャップゲージユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療対象の脛骨と大腿骨を含む膝関節に用いられる膝関節置換術(Total Knee Anrthroplasty)に関し、より詳細には、人工膝関節手術時に、大腿骨後位切断面と脛骨近位切断面との間の間隔を測定できる測定部を含み、前記測定部は、大腿骨遠位切断面に位置する大腿骨後位切断カッティングガイドのスロットに結合して位置設定されることによって、大腿骨後位切断前に屈曲間隔を確認することができ、前記測定部は、大腿骨後位切断前に、脛骨近位切断面と前記カッティングガイドとの間の空間に位置して屈曲間隔を測定する第1測定部を含み、前記第1測定部は、前記カッティングガイドのスロットに結合するカッティングスロット結合部と、前記脛骨近位切断面に着座する脛骨着座部とを含み、前記カッティングスロット結合部は、前記カッティングガイドのカッティングスロットに結合可能に構成されて前記カッティングガイドのカッティングスロットに挿入されるブレードと、前記ブレードの挿入時にカッティングガイドの下部を収容してギャップゲージの挿入深さを確保するカッティングブロック収容溝とを含み、大腿骨後位部切断前に屈曲間隔を確認できるギャップゲージ及びユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
膝関節とは、膝を囲んでいる3個の骨である大腿骨(Femur)、脛骨(Tibia)、膝蓋骨(Patella)がなす関節のことを意味し、人の体重を支え、関節運動によって歩いたり走ったりするなどの脚を用いる運動に関連した中枢的な関節に該当する。
【0003】
大腿骨端には関節軟骨(Articular Cartilage)が存在し、脛骨端には半月状軟骨(Meniscus)が存在するが、老化や激しい運動などにより軟骨が損傷すると骨と骨が直接ぶつかって深刻な疼痛を誘発することがある。
【0004】
膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty)は、このように膝関節が損傷したとき、大腿骨と脛骨の一部を切開して人工膝関節を挿入する手術で、大腿骨端に大腿骨結合部材を連結し、脛骨端に脛骨要素を挿入固定し、その上にベアリング部材を設置して人工膝関節を施す。
【0005】
従来、このような膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty)は、大きく、次のような過程によって行われた。
【0006】
手術部切開及び露出->大腿遠位部切断->脛骨近位部切断->伸張間隔測定及びバランシング->大腿部大きさ及び角度の測定及びバランシング->大腿部の前位/後位/縁部切断->屈曲間隔測定->脛骨部材試験->膝蓋骨切断->最終構成要素移植
【0007】
上記の過程から分かるように、従来ではカッティング前に屈曲間隔を正確に測定できる器具がなく、大腿骨後位部切断後に、ギャップゲージ又は別途の装置を用いて屈曲間隔(Flexion Gap)を測定して確認する方式を用いるしかなかった。しかし、このような方式は、一度カッティングし誤ると取り返しできないという問題があった。このような場合、再びカッティングを進行したり、カッティングされた面をそのまま置き、残りの部材を調整して手術を進行しなければならない状況が発生し、これによって不正確なインプラントが移植されることにより、患者の不便と疼痛、さらには再手術の危険まで招くことがあった。しかも、カッティングの誤差が大きい場合、手術前に準備しておいた脛骨部材が合わない状況が発生し、手術の進行そのものが不可能になり得る問題もあった。
【0008】
このような問題を補完するために、大腿骨遠位切断面に取り付けられるカッティングガイド上に、カッティングスロット以外の新しい溝を構成し、切断前に間隔を測定するための新しい器具を導入し、大腿骨後位部切断前にあらかじめ屈曲間隔を測定できる方法が登場したが、このような方法も、切削後ギャップゲージと切削前測定ゲージが別個として構成され、手術に用いられる器具の数が大きく増加することにより、手術便宜性を損ない、既存の一般的に互換される手術器具の他に新しい器具を購入しなければならず、経済的負担を負わせる問題があった。
【0009】
米国特許第US7,156,853号明細書は、図1に示す屈曲間隔測定器具を開示している。図1を参照すると、前記屈曲間隔測定器具は、大腿の遠位面及び後位面切断後に伸張間隔及び屈曲間隔を測定できる装置である。
【0010】
しかしながら、前記指摘した通り、上の発明のような間隔測定器具は、大腿骨後位部カッティング前に屈曲間隔の確認が不可能なため、手術過程中にカッティングに誤りが生じた場合、取り返しのつかない問題が発生し、特に、誤ってカッティングした面だけが問題になることに留まらず、脛骨インプラント部材の数値を全面的に再修正しなければならない場合も発生し得る。
【0011】
したがって、新しい器具又は手術過程の追加無しで、大腿骨後位部切断前に屈曲ギャップを確認し、正確な膝関節置換術を施行可能にするギャップゲージの導入の必要性が増大している現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、大腿骨後位切断面と脛骨近位切断面との間の間隔を測定できる測定部を含み、前記測定部は、大腿骨遠位切断面に位置する大腿骨後位切断カッティングガイドのスロットに結合して位置設定されることによって、大腿骨後位切断前に屈曲間隔を確認して正確な膝関節置換術を可能にし、手術副作用及び再手術を防止するギャップゲージを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、前記測定部は、大腿骨後位切断前に、脛骨近位切断面と前記カッティングガイドとの間の空間に位置する屈曲間隔を測定する第1測定部を含み、切断過程前に屈曲間隔を測定できるギャップゲージを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記第1測定部は、前記カッティングガイドのスロットに結合するカッティングスロット結合部と、前記脛骨近位切断面に着座する脛骨着座部とを含み、ギャップゲージをカッティングガイドと脛骨切断面に安定して固定させることによって、手術中に正確な測定を可能にする、ギャップゲージを提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、前記カッティングスロット結合部は、前記カッティングガイドのカッティングスロットに結合可能に構成し、既存に用いられていたカッティングガイドのカッティングスロットを活用することによって、新しい手術器具の導入又は既存手術器具の修正無しで既存装備と互換可能な、ギャップゲージを提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、前記カッティングスロット結合部は、前記カッティングガイドのカッティングスロットに挿入されるブレードと、前記ブレードの挿入時にカッティングガイドの下部を収容してギャップゲージの挿入深さを確保するカッティングブロック収容溝とを含み、カッティングガイドに十分の深さで挿入されて所定の固定力を確保することによって、間隔測定時に誤差を最小化できる、ギャップゲージを提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、前記ブレードは、屈曲間隔測定時にブレードの強度を確保するための金属からなり、手術中に厚さの薄いブレードの破損を防止できる、ギャップゲージを提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的は、前記カッティングスロット結合部は、前記ブレードを第1測定部に固定するための固定手段を含み、前記金属で構成されるブレードと他の素材からなり得る残り部分との固定力を確保し、ブレードの変位や離脱を防止することによって、手術中に安定的に且つ正確に間隔を測定できる、ギャップゲージを提供することにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、前記ギャップゲージは、大腿骨遠位切断後に伸張ギャップを測定できる第2測定部を含み、カッティング前測定ゲージとカッティング後測定ゲージを一体に構成することによって、手術に用いられる器具の数を大きく減少させることができる、ギャップゲージを提供することにある。
【0020】
本発明のさらに他の目的は、前記第1測定部及び第2測定部は、治療対象の十字靭帯を収容できる溝部を含み、間隔測定過程中に手術部位周辺の後方十字靭帯の損傷を防止できる、ギャップゲージを提供することにある。
【0021】
本発明のさらに他の目的は、大腿骨遠位切断面上に位置するカッティングガイドを含み、大腿骨後位切断前に屈曲間隔を確認できるギャップゲージユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記の目的を達成するために、次のような構成を有する実施例によって具現される。
【0023】
本発明の一実施例によれば、本発明に係るギャップゲージは、大腿骨後位切断面と脛骨近位切断面との間の間隔を測定できる測定部を含み、前記測定部は、大腿骨遠位切断面に位置する大腿骨後位切断カッティングガイドのスロットに結合して位置設定されることによって、大腿骨後位切断前に屈曲間隔が確認できることを特徴とする。
【0024】
本発明の他の実施例によれば、前記測定部は、大腿骨後位切断前に、脛骨近位切断面と前記カッティングガイドとの間の空間に位置して屈曲間隔を測定する第1測定部を含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の他の実施例によれば、前記第1測定部は、前記カッティングガイドのスロットに結合するカッティングスロット結合部と、前記脛骨近位切断面に着座する脛骨着座部とを含むことを特徴とする。
【0026】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記カッティングスロット結合部は、前記カッティングガイドのカッティングスロットに結合可能に構成されることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記カッティングスロット結合部は、前記カッティングガイドのカッティングスロットに挿入されるブレードと、前記ブレードの挿入時にカッティングガイドの下部を収容してギャップゲージの挿入深さを確保するカッティングブロック収容溝とを含むことを特徴とする。
【0028】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記ブレードは、屈曲間隔測定時にブレードの強度を確保するための金属からなることを特徴とする。
【0029】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記カッティングスロット結合部は、前記ブレードを第1測定部に固定するための固定手段を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記ギャップゲージは、大腿骨遠位切断後に伸張ギャップを測定できる第2測定部を含むことを特徴とする。
【0031】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記第1測定部及び第2測定部は、治療対象の十字靭帯を収容できる溝部を含むことを特徴とする。
【0032】
本発明のさらに他の実施例によれば、大腿骨遠位切断面上に位置するカッティングガイドを含むギャップゲージユニットであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、上記の本実施例と後述する構成、結合及び使用関係によって次のような効果を得ることができる。
【0034】
本発明は、大腿骨後位切断面と脛骨近位切断面との間の間隔を測定できる測定部を含み、前記測定部は、大腿骨遠位切断面に位置する大腿骨後位切断カッティングガイドのスロットに結合して位置設定されることによって、大腿骨後位切断前に屈曲間隔を確認して正確な膝関節置換術を可能にし、手術副作用及び再手術を防止する効果を有する。
【0035】
また、本発明は、前記測定部が、大腿骨後位切断前に、脛骨近位切断面と前記カッティングガイドとの間の空間に位置して屈曲間隔を測定する効果を有する。
【0036】
また、本発明は、前記第1測定部が、前記カッティングガイドのスロットに結合するカッティングスロット結合部と、前記脛骨近位切断面に着座する脛骨着座部とを含み、ギャップゲージをカッティングガイドと脛骨切断面に安定して固定させることによって、手術中に正確な測定を可能にする効果をもたらす。
【0037】
また、本発明は、前記カッティングスロット結合部が、前記カッティングガイドのカッティングスロットに結合可能に構成され、既存に用いられていたカッティングガイドのカッティングスロットを活用することによって、新しい手術器具の導入又は既存手術器具の修正無しで既存装備と互換可能な効果を得ることができる。
【0038】
また、本発明は、前記カッティングスロット結合部が、前記カッティングガイドのカッティングスロットに挿入されるブレードと、前記ブレードの挿入時にカッティングガイドの下部を収容してギャップゲージの挿入深さを確保するカッティングブロック収容溝とを含み、カッティングガイドに十分の深さで挿入されて所定の固定力を確保することによって、間隔測定時に誤差を最小化できる効果を図ることができる。
【0039】
また、本発明は、前記ブレードが、屈曲間隔測定時にブレードの強度を確保するための金属からなり、手術中に厚さの薄いブレードの破損を防止できる効果を有する。
【0040】
また、本発明は、前記カッティングスロット結合部が、前記ブレードを第1測定部に固定するための固定手段を含み、前記金属で構成されるブレードと他の素材からなり得る残り部分との固定力を確保し、ブレードの変位や離脱を防止することによって、手術中に安定的に且つ正確に間隔を測定できる効果をもたらす。
【0041】
また、本発明は、前記ギャップゲージが、大腿骨遠位切断後に伸張ギャップを測定できる第2測定部を含み、カッティング前測定ゲージとカッティング後測定ゲージを一体に構成することによって、手術に用いられる器具の数を大きく減少させることができる効果が得られる。
【0042】
また、本発明は、前記第1測定部及び第2測定部が、治療対象の十字靭帯を収容できる溝部を含み、間隔測定過程中に手術部位周辺の後方十字靭帯の損傷を防止できる効果をもたらす。
【0043】
また、本発明は、大腿骨遠位切断面上に位置するカッティングガイドを含み、大腿骨後位切断前に屈曲間隔を確認できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】従来の膝関節置換術間隔測定器具の一実施例を示す図である。
図2】大腿骨及び脛骨切断面及び屈曲間隔を示す断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る大腿骨後位部切断前に屈曲間隔が確認できるギャップゲージ及びユニットの結合前の斜視図である。
図4】本発明の他の実施例に係る大腿骨後位部切断前に屈曲間隔が確認できるギャップゲージ及びユニットの結合後の斜視図である。
図5】本発明の他の実施例に係る大腿骨後位部切断前に屈曲間隔が確認できるギャップゲージの分解斜視図である。
図6】本願発明の他の実施例に係る大腿骨後位部切断前に屈曲間隔が確認できるギャップゲージの斜視図である。
図7】本願発明である大腿骨後位部切断前に屈曲間隔が確認できるギャップゲージの側面図である。
図8図3のA-A’断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、本発明に係る大腿骨後位切断前に屈曲間隔が確認可能なギャップゲージ及びユニットを、添付の図面を参照して詳細に説明する。図中、同一の構成要素は、異なる図面においても可能なかぎり同一の符号で表していることに留意しなければならない。また、本発明の要旨を却って曇らせ得る公知機能及び構成に関する詳細な説明は省略する。特に定義がない限り、本明細書における全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する技術者が理解する当該用語の一般的な意味と同じであり、仮に本明細書に使われる用語の意味と衝突する場合には、本明細書に使われる定義に従う。
【0046】
治療対象の身体部位を説明するとき、胴に近い側を胴側或いは近位部(proximal)といい、逆に、胴から遠い側を遠位部(distal)という。また、治療対象の身体の前側を前位部(anterior)といい、逆に、後側を後位部(posterior)という。また、治療対象の左側と右側を均一に分ける仮想の線を中間線(midline)といい、この中間線に向かう方向を内側(medial)、中間線から遠ざかる方向を外側(lateral)という。
【0047】
図2は、膝関節置換術において、大腿骨Fと脛骨Tの切断面及び屈曲間隔を示す図である。治療対象の大腿骨はF、大腿遠位切断面はF、大腿後位切断面はFと表記し、脛骨はT、脛骨近位切断面はTである。
【0048】
伸張間隔(extension gap)は、大腿骨と脛骨が一直線をなす時、大腿遠位切断面Fと脛骨近位切断面Tとの間の間隔を示すものであり、屈曲間隔(flexion gap)は、大腿骨と脛骨が曲がった場合又は約90°の角度をなす場合、大腿後位切断面Fと脛骨近位切断面Tとの間の間隔を示すものであり、膝関節置換術の試行後に治療対象の正常な関節動きを再現するために、膝関節置換術過程において大腿後位部切断前後に測定が要求される数値である。
【0049】
図3は、本発明の一実施例に係る大腿骨後位部切断前の屈曲間隔が確認可能なギャップゲージ及びユニットの結合前の斜視図であり、図4は、本発明の他の実施例に係る大腿骨後位部切断前の屈曲間隔が確認可能なギャップゲージ及びユニットの結合後の斜視図であり、図5は、本発明の他の実施例に係る大腿骨後位部切断前の屈曲間隔が確認可能なギャップゲージの分解斜視図である。
【0050】
図3図5を参照して説明すると、本願発明のギャップゲージユニット1は、ギャップゲージ10及びカッティングガイド70で構成され得る。前記ギャップゲージ10は、測定部30及び連結部50を含むことができる。前記測定部30は、第1測定部31及び第2測定部33を含むことができる。
【0051】
前記ギャップゲージ10は、大腿骨切断後に屈曲間隔及び伸張間隔の測定に通常用いられていた従来のギャップゲージと類似な、中間部分がくびれている瓢又はスパナ形状を借用することによって、大腿骨後位部切断前の間隔測定はもとより、切断後にも従来のギャップゲージの通常の使用方法によって、後述する第1測定部31又は第2測定部33を用いて屈曲間隔及び伸張間隔を測定することができる。
【0052】
前記第1測定部31は、上述した通り、瓢又はスパナと類似の形状を有する前記ギャップゲージ10の一端に形成され、頂点が丸くなった長方形の上下面を有する広めの柱の形状を有することができ、必要によって、前記第1測定部31の端部にU字状の溝部315が形成されるによってスパナの頭部分と類似の形状を有することができる。前記第1測定部31は、大腿後位面切断前に屈曲間隔を測定できる構成を含むことができ、後述するように、通常のギャップゲージの外形をそのまま借用することによって、大腿遠位面又は大腿後位面切断後の屈曲間隔及び伸張間隔の測定が可能な構成を含むことができる。
【0053】
図3図5に示すように、前記第1測定部31は、後述するカッティングスロット結合部311、脛骨着座部313、溝部315、ねじ結合部317を含むことができる。好ましくは、図3図5に示すように、前記第1測定部31の上面及び下面の縁部分は、周辺軟組織の損傷を防止するために、前記第1測定部31の上面及び下面の外周面に沿って所定の勾配を有する傾斜部319a,319bを形成することができる。
【0054】
前記第2測定部33は、上述したように、瓢又はスパナの形状を有する前記ギャップゲージ10の他端に形成され、頂点が丸くなった長方形の上下面を有する広めの柱の形状を有することができ、必要によって、前記第2測定部33の端部にU字状の溝部331が形成されることによって、スパナの頭部分と類似の形状を有することができる。後述するように、前記第2測定部33は、従来一般に用いられていたギャップゲージの形状を借用し、大腿遠位面及び大腿後位面切断後の伸張間隔及び屈曲間隔を、従来のギャップゲージの使用方法によって測定することができる。好ましくは、前記第2測定部33は、ギャップゲージ10の挿入時、治療対象の後方十字靭帯を収容するためのU字状の溝部331をさらに含むことができる。より好ましくは、図3図5に示すように、前記第2測定部33上面及び下面の縁部分は、周辺軟組織の損傷を防止するために、前記第2測定部33の上面及び下面の外周面に沿って所定の勾配を有する傾斜部333a,333bを形成することができる。
【0055】
前記連結部50は、ギャップゲージ10の中間部に位置して前記第1測定部31及び第2測定部33をつなぐ棒状の構成であり、前記両測定部30をつなぐと同時に前記ギャップゲージ10の挿入又は離脱のための取っ手の役目を担うことができる。好ましくは、手術時に治療対象の骨を整列してカッティング面の基準を提供する整列棒(alignment rod)の挿入のためのホールが形成され得る。
【0056】
図3図5を参照して説明すると、従来、手術過程において切断後の伸張間隔と屈曲間隔を測るギャップゲージ10は存在していたが、本願発明のように大腿骨後位部切断前に屈曲間隔を測定する器具は存在していなかった。また、変形されたカッティングガイド70と新しい測定道具を用いて測定する方法があったものの、既存の通常のカッティングガイド70及び道具をそのまま使用できないため、手術過程や器具を新しく追加しなければならず、面倒だった。
【0057】
しかし、本願発明のように、両端に別個の機能を持つ測定部30を一つの器具として作ると、既存に通常用いられているカッティングガイド70をそのまま使用しながらも、従来のギャップゲージ10の形状及び使用方法をそのまま維持し、手術の便宜性を高めると同時に手術時に要求される器具の数を大幅に減らすことが可能になる。これによって、本願発明は、前記ギャップゲージ10の一端に第1測定部31を形成し、他端に第2測定部33を形成し、両測定部の間に第1測定部31と第2測定部33とをつなぐ連結部50を構成することによって一体の手術器具とし、手術過程で要求される測定の種類に応じて適切な測定部30を選択して骨間の間隔を測定でき、測定された間隔に合う脛骨部材を選ぶことができる。
【0058】
また、図3及び図4に示すように、本発明である前記ギャップゲージ10は、大腿遠位切断面Fに取り付けられてカッティング面を案内するカッティングガイド70と一つのユニット1をなすことができる。治療対象の大腿遠位切断面F上に取り付けられたカッティングガイド70のスロットに前記ギャップゲージのブレード3111が挿入され、前記ギャップゲージはカッティングガイド70の下部と脛骨近位切断面Tとの間の空間に位置して屈曲間隔を測定する。好ましくは、図4に示すように、既存のカッティングガイド70に通常形成される大腿骨後位部カッティングスロットCに前記ブレード3111が挿入されるので、従来のカッティングガイド70を、新しい手術器具の追加や既存のカッティングガイド70の変形無しでそのまま屈曲間隔の測定に用いることができる。
【0059】
図6は、本願発明の他の実施例に係る大腿骨後位部切断前の屈曲間隔が確認可能なギャップゲージの第2測定部を用いた伸張間隔測定時の斜視図である。
【0060】
図6を参照して説明すると、膝関節置換術の手術過程において、治療対象の屈曲間隔又は伸張間隔がそれぞれ異なるため、該間隔を測定するには様々なサイズのギャップゲージが要求されるが、前記伸張間隔又は屈曲間隔測定装置を個別に構成すると、手術過程で要求される手術器具の数が相対的に多くなってしまう。しかし、上述したように、本発明の前記第2測定部33は、大腿骨切断後の間隔測定のための従来のギャップゲージの形状をそのまま借用しているので、手術過程において前記ギャップゲージの測定部30のうち必要な測定部30を選択して使用することによって、手術器具の数を大きく減少させることができる。したがって、前記第2測定部33は、既存のギャップゲージ使用方法によって、大腿骨後位部切断後に伸張間隔を測定できることはもとより、図1に示す従来技術のように、大腿骨後位部切断後の屈曲間隔測定にも利用可能である。また、前記第1測定部31も、前記ブレード3111及びカッティングガイド収容溝3113以外は第2測定部33と類似の形状及び構成を有するので、切断前の屈曲間隔測定だけでなく、切断後の屈曲間隔及び伸張間隔の測定にも利用可能である。
【0061】
図7は、本願発明である大腿骨後位部切断前の屈曲間隔が確認可能なギャップゲージの側面図であり、図8は、本願発明である大腿骨後位部切断前の屈曲間隔が確認可能なギャップゲージ10とカッティングガイド70との結合時の詳細断面図である。
【0062】
以下において、aは前記ブレード下面から前記脛骨着座部の上面までの高さ、bは脛骨着座部の上面から下面までの高さ、xは前記カッティングガイドのカッティングスロットの高さ、yは前記カッティングガイドの下部の高さ、zは前記カッティングガイドの下面から脛骨近位切断面までの高さである。
【0063】
図3図8を参照して説明すると、前記第1測定部31は、カッティングスロット結合部311、脛骨着座部313、溝部315、ねじ結合部317を含むことができる。
【0064】
前記カッティングスロット結合部311は、大腿骨遠位面切断後に切断面上に取り付けられるカッティングガイド70のスロットに結合及び固定される構成であり、広めの四角柱の形状を有する前記第1測定部31の上端に位置し、前記ギャップゲージ10の挿入の容易性を確保するために、広めの四角柱の縁部分のうち、挿入方向の四角柱側面を丸めに形成でき、必要によって、後述するU字状の溝部315が設けられ、スパナの頭部分の形状と同じ形状を有することができる。前記カッティングスロット結合部311は、ブレード3111とカッティングガイド収容溝3113を含むことができる。好ましくは、前記カッティングガイド70のスロットは、既存に通常用いられるカッティングガイド70に形成されている大腿後位部カッティングスロットCでよい。
【0065】
前記ブレード3111は、前記カッティングスロット結合部311の上端から前記ギャップゲージ10の挿入方向に突出した薄い板状の構成であり、上述したカッティングガイド70のカッティングスロットに挿入されて間隔測定の基準点になると同時に、ギャップゲージ10を固定する役割を担う。一般に、カッティングガイド70上のカッティングスロットCは薄くて長い溝の形状を有しており、これに沿って挿入されるブレード3111も薄くて長い形状を有することによって容易な挿入を可能にする。好ましくは、前記ブレード3111が薄く構成されることから手術過程で挿入時に破損及び変形の恐れがあり、これを防止するために、前記ブレード3111は金属材質で構成することができる。より好ましくは、治療対象の大腿骨後位部に位置する後方十字靭帯を収容するために、U字状の溝部315を前記ブレード3111の端部に形成することができる。より好ましくは、前記ブレード3111はこれを含むハウジングの形態で提供され、前記ハウジングは前記ねじ結合部317と脛骨着座部313を収容できるように中空状に設けられ、上側はブレード3111となり、下側は脛骨着座部313の下面を構成することになる。これは、前記ブレード3111が金属からなる場合、ブレードの堅固な結合のために前記第1測定部31の外部の全部又は一部を囲む形状にするためである。
【0066】
前記カッティングガイド収容溝3113は、前記ブレード3111と脛骨着座部313との間に深く窪んだ溝を形成し、前記ブレード3111がカッティングガイド70に挿入されながらカッティングガイド70の下部とギャップゲージ10の端部又は脛骨着座部313がぶつかることを防止することによって、ブレード3111の挿入深さを確保する構成である。好ましくは、過度な挿入による治療対象の大腿遠位部切断面の損傷を防止するために、前記カッティングガイド収容溝3113の深さdは、カッティングガイド70のカッティングスロット深さdよりも浅い深さにすることができ、前記ブレード3111の下面から脛骨着座部313上面までの高さaは、カッティングガイド70の下部を十分に収容するために、カッティングスロットCからカッティングガイド70の下面までの高さyよりも高い高さにすることができる。
【0067】
前記脛骨着座部313は、前記ギャップゲージ10の挿入時に、治療対象の骨切断面の間にギャップゲージ10の挿入を容易にし、屈曲間隔の測定のための骨間の間隔を確保すると同時に、ギャップゲージ10を安定して固定させることによって、正確な間隔の測定を助ける。好ましくは、図3図5に示すように、前記脛骨着座部313の上面の縁部分は、ギャップゲージの挿入時に周辺軟組織の損傷を防止するために、前記脛骨着座部313の上面の外周面に沿って所定の勾配を有する傾斜部313aを形成することができる。
【0068】
前記溝部315は、第1測定部31の端部中央に位置し、前記連結部50に向かって深く窪んだ形状に形成された空いた空間であり、前記ギャップゲージ10の挿入時に、治療対象の大腿骨後位部に存在する後方十字靭帯を収容して靭帯の損傷を防止する構成である。好ましくは、ギャップゲージ10の挿入時に靭帯の損傷を防止するために、内側が丸くなったU字状の形状を有することができる。
【0069】
前記ねじ結合部317は、前記カッティングスロット結合部311又は第1測定部31の上面に形成され、ブレード3111が着座して固定される部分であり、前記ブレード3111が薄い金属性の材質からなり得ることから、前記ブレード3111と前記第1測定部31間の結合力を確保するために、固定手段であるねじなどを結合させてブレード3111を強固に固定する構成である。
【0070】
図7及び図8に基づいて説明すると、本願発明である前記ギャップゲージ10の一端に第1測定部31が位置し、前記第1測定部31の上側にはブレード3111が形成され、カッティングガイド70のカッティングスロットCに結合することによって測定の一基準点を提供し、前記第1測定部31の下側には脛骨着座部313が位置して間隔測定の他の基準点を提供し、前記ブレード3111と脛骨着座部313との間にカッティングガイド収容溝3113が位置することによって、カッティングガイド70の下部を収容すると同時に前記ブレード3111の挿入深さを確保する。上述したように、挿入の容易性のために、前記ブレード下面から前記脛骨着座部の上面までの高さaが前記カッティングガイドの下部の高さyよりも十分に大きいことが好ましい。
【0071】
図7に示すように、屈曲間隔はy+zとなり、初めに用いられた前記ギャップゲージ10の間隔(a+b)が治療対象の屈曲間隔に合わない場合、他の高さ又は間隔(a+b)を持つ前記ギャップゲージ10を数回選択して試験してみることによって、治療対象の屈曲間隔(y+z)と一致する前記ギャップゲージ10の間隔(a+b)を探すことができる。
【0072】
以上の詳細な説明は、本発明を例示するものである。また、前述した内容は本発明の好ましい実施形態を図示して説明するものであり、本発明は様々な他の組合せ、変更及び環境における使用が可能である。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、述べられた開示内容と均等な範囲及び/又は当業界における技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施例は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明するものであり、本発明の具体的な適用分野及び用途において要求される様々な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は、開示された実施状態で本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付する特許請求の範囲は、他の実施状態も含むものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8