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▶ 飯田 英樹の特許一覧

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  • 特許-自走玩具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】自走玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 29/18 20060101AFI20230921BHJP
   A63H 17/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A63H29/18
A63H17/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022132197
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2023-03-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515094305
【氏名又は名称】飯田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】飯田 英樹
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許発明第01043401(FR,A)
【文献】実公第007685(大正12年)(JP,Y1T)
【文献】特開2005-342103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車台と、該車台の前後に回転可能に軸支され左右にそれぞれ車輪を有する前側車軸と後側車軸と、この後側車軸を駆動する駆動手段とを備えた自走玩具であって、前記後側車軸は、前記車台の左右に軸支される際に、その左右の軸支部分の間の外周は解放されるとともに前記駆動手段は伸縮可能なゴム部材で構成され、その一方が前記車台の前側部分に固定されるとともに、その他方が前記後側車軸の左右方向の中心部から所定距離離間した位置に直接固定されており、この駆動手段の前記ゴム部材の他方側は前記後側車軸に形成された開口を通して結び目を形成することで固定されていることを特徴とする自走玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸張性あるゴムバンドを用いた駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自走玩具を実現するには自らが車輪を回すための駆動装置の仕組みが必要である。ゼンマイや歯車を用いて強力な動力をつくり走らせるものは実現している。また、ゴムバンドの駆動力によって走行させる提案はあるが(例えば特許文献2参照)、構造が複雑で、複数の部品を必要とする。それによって実現された玩具は一般的にみることがない。その理由として、玩具はシンプルで壊れにくく、安心して遊戯できる構造が望ましいが実現できていないこと。ゴムバンドの劣化は周知の事実であり、交換が容易であるべきだが実現できていないことにある。このため、駆動装置はシンプルな構造で、ゴムバンドの交換が容易にできる構造をもち、安心して遊戯できる玩具の実現が期待されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実全昭50-072392
【文献】特開2010-253241
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、駆動装置の部品数を少なくシンプルにすることで、壊れにくく、ゴムバンドの交換も容易に実現できること。さらに、ゴムバンドの円滑な巻き取りの仕組みを実現できる構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされもので、車台と、該車台の前後に回動可能に軸支され左右にそれぞれ車輪を有する前側車軸と後側車軸と、この後側車軸を駆動する駆動手段とを備えた自走玩具であって、前記駆動手段は、伸縮可能なゴム部材で構成され、その一方が前記車台の前側部分に固定されるとともに、その他方が前記後側車軸の左右どちらか一方側に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、伸張性あるゴムバンドを用いたシンプルな構造の駆動装置であり、後側車軸の穴位置を左右方向の中心より横方向にずらした位置とすることによって、ゴムバンドの結び目がゴムバンドを巻き取る際の障害とならず、結び目から横方向にずれてゴムバンドを円滑に巻き取ることができる。その結果として、玩具の前方向へのスムーズな走行が可能となり、遊戯する人の楽しみをより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例における自走玩具の斜視からの全体図
図2】本発明の一実施例における自走玩具の底面図
図3図2におけるMk-Mk線断面図
図4】本発明の一実施例における自走玩具のゴムバンド固定軸にゴムバンドを固定する図
図5】本発明の一実施例における自走玩具の後側車軸にゴムバンドを固定する図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施例について図面に基づいて、自走玩具の形の一例である自動車であるとして説明する。図1図2及び図3は本発明の一実施例における自走玩具Aを示している。自走玩具Aは、窓5を配した自動車の形をした車台1を備えている。この車台1の底面にワークスペース6として駆動手段が納まる空洞化したスペースが形成されている。車台1の側面には前側車軸穴1aと後側車軸穴1b、およびゴムバンド固定軸穴1cが形成されている。そして前記前側車軸穴1aには、丸い棒状の前側車軸2が挿通されるとともに、その左右には前側車輪2a、2aが固定されている。また、前記後側車軸穴1bには、丸い棒状の後側車軸3が挿通されるとともに、その左右には、後側車輪3a、3aが固定されている。一方、前記後側車軸3の前方で前記前側車軸2の後側近傍に形成されているゴムバンド固定軸穴1cに棒状のゴムバンド固定軸4が挿通されて回動不能に固定されている。
なお、前記前側車軸2、および後側車軸3は、前記車台1に形成された前側車軸穴1aと後側車軸穴1bに対して回動可能となっている。
【0009】
前側車輪2aおよび後側車輪3aは、車台1との接触を極力防止するため約1mm程度の隙間8(図2参照)を備え、本発明の駆動装置と直結する後側車軸3の左右に固定された後側車輪3aには、滑り止めラバー9を装着し、後側車輪3aが空転することなく床やテーブルなどの上面に動力が伝えられるように整えられている。
【0010】
本発明の車台1は木材で構成するようにしているが、木材に限られるものではなく、プラスチックなどで形成されてもよいものである。
【0011】
図2に示すように、駆動手段としてのゴムバンド7は、一方をゴムバンド固定軸4に固
定するとともに、他方を後側車軸3に配置されたゴムバンド通し穴3bに通し、この通したゴムバンド7のゴム先に結び目7f(例えば、ひとつ結び)をつくり、ゴムバンド通し穴3bから抜けないようにして固定される。ゴムバンド通し穴3bの位置は、前記後側車軸3の左右方向の中心部3cから所定距離離間した位置に形成されている。このゴムバンド通し穴3bの位置は、例えば玩具Aを動かして前側車輪2a、後側車輪3aが多少左右にふられた際にも車台1とゴムバンド7の結び目7f(例えば、ひとつ結び)が干渉しない位置で車台1側にできるだけ寄せた隅に開穴する。ゴムバンド通し穴3bは、車台1側にできるだけ寄せた位置であれば、左右どちら側でもよい。
【0012】
ゴムバンド7のゴムバンド固定軸4への取り付け方は、ゴムバンド7を折りたたみ、ゴムバンド固定軸4にひっかけ (図4A参照) 、ゴムバンド7の一方の先端7aを他方側の輪7bのなかに通して奥側にしっかり引っ張り、結び目7c(例えば、ひばり結び)をつくることで、ゴムバンド7の一方をゴムバンド固定軸4に固定する(図4B参照)。
ゴムバンド7の後側車軸3への取り付け方は、糸10を挿通補助具として使い、その糸10を折り曲げループ状10aにし、その折り曲げた側をゴムバンド通し穴3bに通す。つぎに、一方はゴムバンド固定軸4に固定されたゴムバンド7の他方の先端7dを、糸10の折り曲げたループ状10aの中にすこしだけ通した状態(図5A参照)で、糸10の糸先10bを表側に引き抜き、ゴムバンド通し穴3bに通す。最後に、ゴムバンド7の他方の先端7dに輪7eをつくり(図5B参照)、ゴムバンド7の他方の先端7dを輪7eに潜らせて結び目7f(例えば、ひとつ結び)をつくり、後側車軸3と固定する(図5C参照) 。ゴムバンド7の長さは、ゴムバンド固定軸4から後側車軸3の長さLを目安とし、張りすぎない、やや緩みを持たせた長さとする。結び目7f(例えば、ひとつ結び)の結び先7gは、余りがあればハサミで切り、結び目7f(例えば、ひとつ結び)が大きくなりすぎないように整える。なお、このゴムバンド7の取付位置は、ゴムバンド固定軸4の中央部とするのが望ましい。
【0013】
上記した本発明の構成によれば、玩具1を床やテーブルなどの上面に置いた状態で玩具1を後方にスライドさせることで、駆動手段としてのゴムバンド7が後側車軸3に巻き取られるようになる。この状態で手を離すとゴムバンド7が元の状態に戻ろうとするため(弾性)、車台1が前方に動くようになる。このとき、前記したゴムバンド7の他方側は、後側車軸3の左右方向の中心部3cよりも所定距離離間した左右どちらかの側方側3d(隅)で結び目7f(例えば、ひとつ結び)をつくり固定されているため、ゴムバンド7を巻き取る際、結び目7e(例えば、ひとつ結び)が障害とならず、後側車軸3の結び目7f(例えば、ひとつ結び)を起点に反側方側3e全体に、円滑にゴムバンド7の巻き取ることが可能となる。もし、ゴムバンド通し穴3bが後側車軸3の左右方向の中心部3cにあり、結び目7e(例えば、ひとつ結び)をつくり固定させている場合、ゴムバンド7を巻き取る際、結び目7e(例えば、ひとつ結び)が障害となり、にゴムバンド7が結び目7f(例えば、ひとつ結び)にひっかかる可能性がある。その結果として、玩具Aがスムーズに前方向に走行できず、安心して遊戯できない。
【0014】
なお、本発明においては自動車について説明したが、自動車に限らず自動車以外の乗り物、動物、及び昆虫のデザインに採用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明によれば、伸張性あるゴムバンドを用いたシンプルな構造の駆動装置であり、後側車軸の穴位置を左右方向の中心より横方向にずらした位置とすることによって、ゴムバンドの結び目がゴムバンドを巻き取る際の障害とならず、結び目から横方向にずれてゴムバンドを円滑に巻き取ることができる。その結果として、玩具の前方向へのスムーズな走行が可能となり、遊戯する人の楽しみをより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0016】
A 自走玩具
1 車台
1a 前側車軸穴
1b 後側車軸穴
1c ゴムバンド固定軸穴
2 前側車軸
2a 前側車輪
3 後側車軸
3a 後側車輪
3b ゴムバンド通し穴
6 ワークスペース
7 ゴムバンド
【要約】
【課題】
そこで本発明は、駆動装置の部品数を少なく、シンプル化すること。その結果として、ゴムバンドの交換を容易に実現すること。更に、ゴムバンドの円滑な巻き取りの仕組みを実現する構造を提供することを課題とする。
【解決手段】
車台と、該車台の前後に回動可能に軸支され左右にそれぞれ車輪を有する前側車軸と後側車軸と、この後側車軸を駆動いる駆動手段とを備えた自走玩具であって、前記駆動手段は、伸縮可能なゴム部材で構成され、その一方が前記車台の前側部分に固定されるとともに、その他方が前記後側車軸の一方側に固定する。前記駆動手段の前記伸縮可能なゴム部材の他方側は前記後側車軸に形成された開口を通して固定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5