(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】焼結鉱冷却装置
(51)【国際特許分類】
F27B 21/00 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
F27B21/00 B
(21)【出願番号】P 2019068022
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一臣
(72)【発明者】
【氏名】牧 睦夫
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】古賀 昭信
【審査官】川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-232519(JP,A)
【文献】特開2016-094630(JP,A)
【文献】特開昭49-029203(JP,A)
【文献】特開2016-031224(JP,A)
【文献】特開昭62-112736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 1/00-21/14
F27D 1/00-99/00
C22B 1/00-1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記第1周壁と前記気体導入部材との間の最短距離が、前記第2周壁と前記気体導入部材との間の最短距離よりも、大きくなるように、前記気体導入部材が設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項2】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記第1周壁に対向する前記気体導入部材の側面が、上方から下方へ向かうにつれて前記第1周壁から遠ざかる側に、鉛直方向に対し傾いて設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項3】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記第2周壁に対向する前記気体導入部材の側面が、上方から下方へ向かうにつれて前記第2周壁に近づく側に、鉛直方向に対し傾いて設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項4】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記気体導入部材の下面が、前記第1周壁の側から前記第2周壁の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項5】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記気体導入部材の上面が、前記第1周壁の側から前記第2周壁の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項6】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記気体導入部材の上面に板状部材を設け、前記気体導入部材の上部の断面を、前記外周壁の側に開口するL字状とすることにより、前記第1周壁の側から前記第2周壁の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて焼結鉱が堆積した状態が保持されるように、前記気体導入部材が設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項7】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記排出口の鉛直方向寸法に対する、前記堆積槽の底面の径方向幅の比が、2.0以下となるように設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項8】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記堆積槽の底面と前記気体導入部材の下端との間の最短距離に対する、前記堆積槽の底面の径方向幅の比が、2.0以下となるように設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項9】
焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、
焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて前記堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、前記冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、
前記堆積槽の周方向に延びるように前記堆積槽の内部に配置され、前記冷却気体を前記堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、
を備え、
前記外周壁と前記内周壁のうち、前記排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、前記排出口が設けられた周壁を第2周壁とし
、
前記気体導入部材の下端が、前記排出口の上端よりも高く設けられている、焼結鉱冷却装置。
【請求項10】
前記堆積槽の内部に配置され、前記第1周壁および前記第2周壁の少なくとも一方に接続するとともに前記気体導入部材に接続し、前記堆積槽の外部から前記冷却気体が供給される通気ダクトをさらに備え、
前記気体導入部材は、前記通気ダクトから供給される前記冷却気体を焼結鉱へ向けて供給可能に設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の焼結鉱冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼結機から供給される高温の焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置が知られている。例えば特許文献1には、焼結機からの焼結鉱が上方から堆積されると共に下方の外周部から排出される環状の堆積槽と、堆積槽の下部の内側と外側の間を横断するように配置された複数の通風ダクトと、隣り合う通風ダクト同士を接続して環状に配置された複数の中央ルーバ部とを備える焼結鉱冷却装置が開示されている。この焼結鉱冷却装置は、通風ダクトから外部の空気を取り込み、取り込んだ空気を中央ルーバ部のルーバ間から堆積槽の下部中央へ供給し、堆積槽に堆積された焼結鉱の下方から上方へ上記空気を通過させて、該焼結鉱全体を冷却するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、以下のような課題を新たに見出した。すなわち、堆積槽の外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に焼結鉱の排出口を設ける場合、排出口が設けられた周壁の側では、焼結鉱が下方へ流動する速度が比較的速く、排出口に到達するまでの時間、言い換えると堆積槽における滞留時間が短くなりがちとなる。一方、排出口が設けられていない周壁の側では、焼結鉱が下方へ流動する速度が比較的遅く、滞留時間が長くなりがちとなる。このように堆積槽における流動速度の分布が不均一になると、冷却性能の悪化につながるおそれがある。すなわち、流動速度が速い側では焼結鉱が冷却不足となる一方、流動速度が遅い側では焼結鉱が過冷却となる。これにより、排出される焼結鉱の温度がばらつくおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、冷却性能の悪化を抑制することが可能な、新規かつ改良された焼結鉱冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、焼結鉱を冷却するための焼結鉱冷却装置であって、焼結機からの焼結鉱が上部から供給されて堆積し、冷却気体が下部から供給されて堆積した焼結鉱の間を通過して上部へ向かうように設けられ、冷却気体により冷却された焼結鉱を、外周壁または内周壁のいずれか一方の下部に設けられた排出口から排出する環状の堆積槽と、堆積槽の周方向に延びるように堆積槽の内部に配置され、冷却気体を堆積槽の内部に導入する気体導入部材と、を備え、外周壁と内周壁のうち、排出口が設けられていない周壁を第1周壁とし、排出口が設けられた周壁を第2周壁とし、堆積槽の内部において上部から排出口へ向けて流動する焼結鉱の通路のうち、第1周壁と気体導入部材との間の空間を含んで排出口に連通する通路を第1流動通路とし、第2周壁と気体導入部材との間の空間を含んで排出口に連通する通路を第2流動通路とするとき、第1流動通路における焼結鉱の流動速度と第2流動通路における焼結鉱の流動速度との差を所定範囲内とするように、気体導入部材が設けられている、焼結鉱冷却装置が提供される。
【0007】
第1周壁と気体導入部材との間の最短距離が、第2周壁と気体導入部材との間の最短距離よりも、大きくなるように、気体導入部材が設けられてもよい。
【0008】
第1周壁に対向する気体導入部材の側面が、上方から下方へ向かうにつれて第1周壁から遠ざかる側に、鉛直方向に対し傾いて設けられてもよい。
【0009】
第2周壁に対向する気体導入部材の側面が、上方から下方へ向かうにつれて第2周壁に近づく側に、鉛直方向に対し傾いて設けられてもよい。
【0010】
気体導入部材の下面が、第1周壁の側から第2周壁の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて設けられてもよい。
【0011】
気体導入部材の上面が、第1周壁の側から第2周壁の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて設けられてもよい。
【0012】
気体導入部材の上面に、第1周壁の側から第2周壁の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて焼結鉱が堆積した状態が保持されるように、気体導入部材が設けられてもよい。
【0013】
排出口の鉛直方向寸法に対する、堆積槽の底面の径方向幅の比が、2.0以下となるように設けられてもよい。
【0014】
堆積槽の底面と気体導入部材の下端との間の最短距離に対する、堆積槽の底面の径方向幅の比が、2.0以下となるように設けられてもよい。
【0015】
気体導入部材の下端が、排出口の上端よりも高く設けられてもよい。
【0016】
堆積槽の内部に配置され、第1周壁および第2周壁の少なくとも一方に接続するとともに気体導入部材に接続し、堆積槽の外部から冷却気体が供給される通気ダクトをさらに備え、気体導入部材は、通気ダクトから供給される冷却気体を焼結鉱へ向けて供給可能に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明に係る焼結鉱冷却装置によれば、冷却性能の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る焼結鉱冷却装置の軸方向断面図である。
【
図2】同実施形態に係る焼結鉱冷却装置の上面図である。
【
図3】同実施形態に係る通気ダクトの斜視図である。
【
図4】同実施形態に係るルーバユニットの斜視図である。
【
図5】同実施形態に係る堆積槽の下部の軸方向断面図である。
【
図6】同実施形態に係る堆積槽の下部を上方から見た模式図である。
【
図7】同実施形態に係る堆積槽の下部の軸方向断面図であり、空気および焼結鉱の流れを示す。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る堆積槽の下部の軸方向断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る堆積槽の下部の軸方向断面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る堆積槽の下部の軸方向断面図である。
【
図11】同実施形態の変形例に係る堆積槽の下部の軸方向断面図である。
【
図12】本発明の第5実施形態に係る堆積槽の下部の軸方向断面図である。
【
図13】本発明の第6実施形態に係る堆積槽の下部の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、
図1~7を参照して、本発明の第1実施形態に係る焼結鉱冷却装置の概略構成について説明する。
図1および
図2は、本実施形態に係る焼結鉱冷却装置1の概略構成を示す模式図である。
図1は、堆積槽2の軸200を通る平面で焼結鉱冷却装置1を切った断面を示す。
図2は、焼結鉱冷却装置1の一部を上方から見た上面図である。
【0021】
焼結鉱冷却装置1は、焼結鉱11を冷却するためのクーラであり、本体部、掻き出し部、駆動部、吸引部および焼結鉱供給部を備える。本体部は、堆積槽2、複数の通気ダクト3、複数のルーバユニット4および架橋5を備える。掻き出し部はスクレーパ6を有する。駆動部は、複数の支持ローラ70、および駆動モータ71を有する。吸引部は、フード80、排気ダクト81、吸引ファン82およびボイラ83を有する。焼結鉱供給部は供給シュート9を有する。説明の便宜上、
図1において、通気ダクト3とルーバユニット4の図示を省略している。
【0022】
図3は、通気ダクト3の模式的な斜視図である。
図4は、ルーバユニット4の模式的な斜視図である。
図5は、本体部の下部を、軸200を通る平面で切った部分断面を模式的に示す。
図6は、本体部の下部の模式的な上面図である。
図7は、本体部の下部、具体的にはスクレーパ6の近傍を、軸200を通る平面で切った部分断面を模式的に示す。
【0023】
図1,
図5に示すように、堆積槽2は、テーブル20、内周壁21および外周壁22を有する。テーブル20は、軸200の周りに延びる円環状の底板であり、水平方向に広がる。以下、軸200の周り方向を周方向という。軸200を中心とする半径方向、言い換えると軸200を通り水平に延びる直線方向を、径方向という。テーブル20の下面側には、周方向に延びる円環状のレール23が2列設けられている。
【0024】
堆積槽2は、周方向に延びる環状である。軸200を通る平面で切った堆積槽2の断面は、テーブル20、内周壁21および外周壁22に囲まれた逆台形状である。内周壁21は、内側の周壁であり、下端がテーブル20の内周縁に接続し、上方へ向かうにつれて径方向内側(すなわち軸200の側)へ向かうように鉛直方向に対し傾いている。外周壁22は、外側の周壁であり、下端がテーブル20の上面に対向し、上方へ向かうにつれて径方向外側へ向かうように鉛直方向に対し傾いている。焼結鉱11の排出口24は、堆積槽2の下部に設けられている。排出口24は、内周壁21に設けられておらず、外周壁22の側に設けられている。排出口24は、外周壁22の下端とテーブル20の上面との間の隙間であり、堆積槽2の全周にわたって設けられている。
【0025】
図6に示すように、内周壁21の下部には、複数の開口部210と複数のルーバ部211が設けられている。開口部210とルーバ部211は、内周壁21の周方向で交互に隣接して、内周壁21の全周にわたって設けられている。
図5に示すように、各ルーバ部211において、周方向に延びる複数のルーバ(すなわち羽板)212が上下方向に並んで配置されている。各ルーバ212は、堆積槽2の径方向における内側から外側へ向かうにつれて下方へ傾斜するように配置されている。言い換えると、上下で隣接するルーバ212の間の間隙が、堆積槽2の内部へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対して傾いている。
【0026】
図6に示すように、外周壁22の下部には、排出口24の上側に、複数の開口部220と複数のルーバ部221が設けられている。開口部220とルーバ部221は、外周壁22の周方向で交互に隣接して、外周壁22の全周にわたって設けられている。開口部220は、内周壁21の開口部210に対し径方向で対向する位置にある。
図5に示すように、各ルーバ部221において、周方向に延びる複数のルーバ222が上下方向に並んで配置されている。各ルーバ222は、堆積槽2の径方向における外側から内側へ向かうにつれて下方へ傾斜するように配置されている。言い換えると、上下で隣接するルーバ222の間の間隙が、堆積槽2の内部へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対して傾いている。
【0027】
図5,
図6に示すように、通気ダクト3は、堆積槽2の内部に径方向に延びるように配置され、内周壁21と外周壁22に接続する。複数の通気ダクト3は、堆積槽2の周方向に並んで配置されている。
図3,
図5に示すように、通気ダクト3は、堆積槽2の周方向から見て逆台形の箱型形状である。
図3に示すように、堆積槽2の径方向における通気ダクト3の両端に吸気口30が設けられている。通気ダクト3の上面と下面は閉じており、通気ダクト3の幅広の側面に接続開口部31が設けられている。通気ダクト3には、第1仕切板331、第2仕切板332が設けられている。両仕切板331,332は、上下方向に広がり、通気ダクト3の内部を4つに分割するように仕切る。第1仕切板331は、幅広の側面に沿う方向に広がる。第2仕切板332は、第1仕切板331と直交し、通気ダクト3の内部を仕切るとともに、接続開口部31を2つに仕切る。
【0028】
図6に示すように、吸気口30を有する通気ダクト3の一端は、内周壁21の下部の開口部210に嵌まる。吸気口30を有する通気ダクト3の他端は、外周壁22の下部の開口部220に嵌まる。
【0029】
図4に示すように、ルーバユニット4は、上面および下面が閉じた箱型形状である。ルーバユニット4のうち、幅狭の2つの側面に、通風口40を有する筒状の端部が設けられている。幅広の2つの側面にルーバ部41が設けられている。ルーバ部41は、複数のルーバ411を有する。ルーバユニット4には、第1仕切板421と第2仕切板422が設けられている。第1仕切板421は、幅広の側面に沿う方向に広がり、幅広の両側面に設けられたルーバ部41を互いに仕切るとともに、通風口40を2つに仕切る。第2仕切板422は、幅広の各側面のルーバ部41を2つに仕切る。複数のルーバ411は、上下方向に並んで配置されている。ルーバ411は、第1仕切板421から離れるにつれて下方へ傾斜するように配置されている。言い換えると、上下で隣接するルーバ411の間の間隙が、第1仕切板421から離れるにつれて下方へ向かうように、水平方向に対して傾いている。
【0030】
図6に示すように、ルーバユニット4は、通気ダクト3に接続する。通風口40を有するルーバユニット4の端部は、通気ダクト3の接続開口部31に嵌まる。これにより、通風口40が接続開口部31に接続する。なお、通風口40の形状または位置に合わせるように、接続開口部31の形状または位置を適宜変更してよい。ルーバユニット4は、堆積槽2の周方向で隣り合う通気ダクト3同士を接続するように配置される。複数のルーバユニット4は、全体として、堆積槽2の全周にわたって周方向に延びる環状に配置される。
図5に示すように、ルーバユニット4の第1仕切板421は、鉛直方向に広がるとともに、堆積槽2の周方向に沿うように配置される。ルーバユニット4の一方の側面のルーバ部41は内周壁21に対向し、他方の側面のルーバ部41は外周壁22に対向する。内周壁21の内面と外周壁22の内面から等距離にあり鉛直方向に延びる線を堆積槽2の中間線202とするとき、第1仕切板421は、中間線202よりも外周壁22の側に位置する。すなわち、ルーバユニット4は、外周壁22の側に偏倚して配置される。よって、内周壁21とルーバユニット4との間の最短距離W1が、外周壁22とルーバユニット4との間の最短距離W2よりも、大きくなる
【0031】
図1に示すように、架橋5は、堆積槽2の内周側に設けられ、堆積槽2を支持する。架橋5は、基礎50の上に設置された軸受51を介して、基礎50に対して回転自在に設けられている。架橋5の回転中心すなわち軸受51は軸200と重なる。
【0032】
スクレーパ6は、棒状の部材であり、排出口24から堆積槽2の内部に挿入されている。
図2,
図7に示すように、スクレーパ6は、通気ダクト3およびルーバユニット4よりも下方に、堆積槽2の径方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。堆積槽2の周方向におけるスクレーパ6の両側面(すなわち前面および後面)は、鉛直方向に広がる。
【0033】
複数の支持ローラ70は、周方向に延びる円環状に2列、基礎50の上に配置されており、テーブル20のレール23に接している。駆動モータ71は、複数の支持ローラ70のうちいくつかに接続され、これらの支持ローラ70を回転させる力を発生する。回転駆動される支持ローラ70とレール23との摩擦力により、テーブル20が回転駆動され、堆積槽2が軸200の周りに回転する。
【0034】
図2に示すように、フード80は、円環状であり、堆積槽2の上部の開口を覆うように配置される。基礎50に対して位置が固定されたフード80に対して、堆積槽2が回転する。排気ダクト81の一端は、フード80に接続され、フード80の内部と連通する。排気ダクト81の他端の先には、
図1に示すように、吸引ファン82が接続されている。吸引ファン82は、排気ダクト81を介してフード80の内部の空気10を吸引する。吸引ファン82の手前に、ボイラ83が接続されている。ボイラ83は、熱交換を行うことで、フード80からの高温の空気10から熱エネルギを回収する。なお、フード80と堆積槽2の上端との間の隙間からの空気10のリークを防止するためのシール構造が設けられている。また、ボイラ83とフード80との間に、除塵機84が接続されている。
【0035】
供給シュート9は、フード80を貫通するように配置されている。供給シュート9には、焼結機から、冷却前の高温の焼結鉱11が供給される。供給シュート9に供給された焼結鉱11は、供給シュート9を通過して堆積槽2の上部から堆積槽2の内部に供給され、堆積する。なお、供給シュート9の内部に常時所定量の焼結鉱11が充填されているように設けられてよい。この場合、堆積槽2の回転に応じて焼結鉱11が供給シュート9から堆積槽2へ連続的に供給されるため、堆積槽2に堆積する焼結鉱11の高さの変動を抑制できる。
【0036】
吸引ファン82によりフード80の内部の空気10が吸引されることにより、外部の空気10が堆積槽2の内部に取り込まれる。
図7に示すように、空気10は、堆積槽2の内周壁21のルーバ部211では、ルーバ212同士の間の隙間から堆積槽2の内部へ直接取り込まれる。外周壁22のルーバ部221でも同様である。一方、空気10は、両周壁21,22に接続された通気ダクト3の吸気口30からも、堆積槽2の内部へ取り込まれる。吸気口30から通気ダクト3の内部に取り込まれた空気10は、仕切板331,332により流路を分割された後、通気ダクト3に接続されたルーバユニット4のルーバ部41に導入され、ルーバ部41を介して堆積槽2の内部に供給される。ルーバユニット4は、堆積槽2の内部に空気10を導入する気体導入部材として機能する。
【0037】
堆積槽2の内部に取り込まれた外部の空気10は、堆積した焼結鉱11の間を通過して堆積槽2の下部から上部へ移動する。この間、空気10が焼結鉱11の熱を吸収することにより、焼結鉱11が冷却される。空気10は、堆積槽2の内部の焼結鉱11を冷却するための気体(以下、冷却気体という。)として機能する。堆積槽2は冷却槽として機能する。フード80の内部へ移動した高温の空気10は、排気ダクト81から排気される。冷却された焼結鉱11は、堆積槽2の下部において、排出口24から、堆積槽2の回転に伴い連続的に排出される。すなわち、堆積槽2の周方向における堆積槽2とスクレーパ6との相対移動により、堆積槽2の下部の焼結鉱11が、スクレーパ6により押され、排出口24から堆積槽2の外部へ排出される。焼結鉱11は、堆積槽2の上部から連続的に供給されるとともに、外部から吸引された空気10と熱交換して冷却され、順次堆積槽2の内部を降下し、最後にスクレーパ6により掻き出されることになる。この際、堆積槽2の内部の焼結鉱11は、徐々に下方へ移動することになり、下方へ徐々に移動する間に、吸引された外部の空気10により冷却されるため、焼結鉱11の全体が効率的に冷却される。このように、焼結鉱冷却装置は、空気等の冷却気体を下から上に流す対向流式の熱交換を可能にしたものである。なお、冷却気体は空気に限らない。
【0038】
より具体的には、堆積槽2の周方向において、堆積槽2に対してスクレーパ6が進行する方向を前方とし、スクレーパ6に対して堆積槽2が進行する方向を後方とする。
図2において、スクレーパ6に対する堆積槽2の進行方向(すなわち後方)を、矢印201で示す。堆積槽2が回転することで、スクレーパ6の前方にある焼結鉱11が押されるとともに、スクレーパ6の後方に空洞が発生する。この空洞に焼結鉱11が上方から入り込むことで、堆積槽2の内部において、焼結鉱11が上方から下方へ流動する荷下がりが発生する。
【0039】
次に、
図7を参照して、本実施形態の焼結鉱冷却装置1の利点を説明する。以下、堆積槽2の周壁のうち、排出口24が設けられていない周壁である内周壁21を第1周壁21とし、排出口24が設けられた周壁である外周壁22を第2周壁22とする。
図7において、焼結鉱11の流れを実線の矢印で示し、空気10の流れを一点鎖線の矢印で示す。堆積槽2の内部において上記荷下がりにより上部から排出口24へ向けて流動する焼結鉱11の通路、すなわち流動通路は、堆積槽2の径方向で、第1流動通路111と第2流動通路112に大別される。第1流動通路111は、第1周壁21の側の通路であり、堆積槽2の下部において堆積槽2の径方向外側へ流れの向きを変えて排出口24に連通する。第2流動通路112は、第2周壁22の側の通路であり、堆積槽2の下部において排出口24に連通する。
【0040】
本実施形態の焼結鉱冷却装置1は、気体導入部材としてのルーバユニット4を備える。ルーバユニット4は、堆積槽2の周方向に延びるように、堆積槽2の内部に配置されている。この場合、第1流動通路111は、第1周壁21とルーバユニット4との間の通路111A、およびテーブル20とルーバユニット4との間の通路111Bを含んで、排出口24に連通する。第2流動通路112は、第2周壁22とルーバユニット4との間の通路を含んで排出口24に連通する。
【0041】
第2流動通路112を構成する第2周壁22には排出口24が設けられており、第2流動通路112は下方で排出口24にそのまま連続する。一方、第1流動通路111を構成する第1周壁21には排出口24が設けられていない。通路111Aは、下方で折れ曲がり、堆積槽2の底面であるテーブル20の上面に沿う通路111Bを介して、排出口24に接続する。よって、堆積槽2の下部において堆積槽2の径方向外側すなわち排出口24の側へ向かう焼結鉱11の流れの長さ、および向きの変化は、第1流動通路111のほうが第2流動通路112よりも、大きい。このため、第2流動通路112の焼結鉱11は、第1流動通路111の焼結鉱11よりも、流動速度が速く、排出口24に到達するまでの時間、言い換えると堆積槽2における滞留時間が短くなりがちであり、より速やかに排出口24から排出されやすい。一方、第1流動通路111の焼結鉱11は、第2流動通路112の焼結鉱11よりも、流動速度が遅く、停滞しており、排出口24に到達するまでの時間(滞留時間)が長くなりがちであり、より後になってから排出口24から排出されやすい。
【0042】
このように、堆積槽2の径方向において流動速度の分布が不均一になると、冷却性能の悪化につながるおそれがある。すなわち、流動速度が速い第2流動通路112において、焼結鉱11は冷却不足となる一方、流動速度が遅い第1流動通路111Aにおいて、焼結鉱11は過冷却の状態となりうる。これにより、排出される焼結鉱11の温度がばらつくおそれがある。特に、大量の焼結鉱11の冷却処理を可能とするために、堆積槽2の径方向寸法、言い換えると周壁21,22の間の距離を大きくした場合、上記径方向における流動速度の分布の不均一度が高くなるおそれがある。
【0043】
これに対し、本実施形態の焼結鉱冷却装置1では、第1流動通路111Aにおける焼結鉱11の流動速度と第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度との差を所定範囲内とするように、ルーバユニット4が設けられている。これにより、第1流動通路111Aにおける焼結鉱11の流動速度が、第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度に近づく。よって、堆積槽2の径方向における流動速度の分布の均一化を図り、冷却性能の悪化を抑制できる。流動速度の差の上記所定範囲は、所与の堆積槽2の諸元(例えば周壁21,22の傾きまたは周壁21,22の間の距離等)および運転条件(例えば焼結鉱11および空気10の供給経路もしくは供給量、または堆積槽2の回転速度等)の下、所定の冷却性能を確保できる程度に、流動速度の分布の均一化が実現される速度差の範囲であってよい。
【0044】
図5に示すように、第1周壁21とルーバユニット4との間の最短距離W1が、第2周壁22とルーバユニット4との間の最短距離W2よりも、大きくなるように、ルーバユニット4が設けられている。この場合、第1流動通路111Aの流路断面積の最小値を、第2流動通路112の流路断面積の最小値よりも大きくすることが容易となる。よって、第1流動通路111Aにおける抵抗を小さくし、流動速度を増大させて、第2流動通路112における流動速度に近づけることができる。言い換えると、第2流動通路112における抵抗を大きくし、流動速度を減少させて、第1流動通路111Aにおける流動速度に近づけることができる。これにより、第1流動通路111Aにおける焼結鉱11の流動速度と第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度との差を所定範囲内とすることが容易となる。
【0045】
ルーバユニット4は、冷却気体としての空気10を堆積槽2の内部に供給するための通路を形成する部材として機能する。よって、周壁21,22から直接的に外部の空気10を堆積槽2の内部に供給するだけでなく、ルーバユニット4を介して堆積槽2の内部から空気10を供給することで、堆積槽2の内部の焼結鉱11の全体をより効果的に冷却できる。例えば、堆積槽2の径方向寸法を大きく設けた場合にも、ルーバユニット4を介して堆積槽2の内部に冷却気体を供給することで、堆積槽2の内部の焼結鉱11を効果的に冷却できる。このような観点からは、気体導入部材は、ルーバユニット4に限らず、冷却気体が流通可能な通路を形成する任意の部材であってよい。また、気体導入部材により形成される通路を流通する冷却気体は、空気10に限らず他の気体でもよい。
【0046】
焼結鉱冷却装置1は通気ダクト3を備える。例えば、通気ダクト3は、堆積槽2の内部に配置され、第1周壁21および第2周壁22に接続するとともに、ルーバユニット4に接続する。これにより、ルーバユニット4は堆積槽2の内部に支持される。通気ダクト3には、堆積槽2の外部から冷却気体としての空気10が供給され、ルーバユニット4は、通気ダクト3から供給される空気10を焼結鉱11へ向けて供給可能である。この場合、堆積槽2の内部へ空気10を取り込む経路として、周壁21,22のルーバ部211,221のみならず、ルーバユニット4のルーバ部41を用いることができるため、冷却気体として空気10を有効利用できる。堆積槽2の内部から空気10を供給することで、堆積槽2の内部の焼結鉱11の全体をより効果的に冷却できる。なお、通気ダクト3は、第1周壁21または第2周壁22のいずれか一方のみに接続していてもよい。通気ダクト3は、ルーバユニット4への空気供給通路としての機能だけでなく、それ自体が開口部を有して堆積槽2の内部に空気10を供給する機能を有してもよい。
【0047】
[第2実施形態]
まず、第2実施形態に係る焼結鉱冷却装置1の構成を説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図8は、本実施形態における本体部の下部を示す。
図5と同様の部分断面図である。
【0048】
図8に示すように、ルーバユニット4の上部が内周壁21に近づき、ルーバユニット4の下部が外周壁22に近づくように、ルーバユニット4が鉛直方向に対して傾いている。具体的には、ルーバユニット4の第1仕切板421は、上方から下方へ向かうにつれて、内周壁21から遠ざかる側に、言い換えると外周壁22に近づく側に、中間線202に対し傾いている。これに伴い、内周壁21に対向するルーバユニット4の側面431が、上方から下方へ向かうにつれて内周壁21から遠ざかる側に、鉛直方向に対し傾いている。外周壁22に対向するルーバユニット4の側面432が、上方から下方へ向かうにつれて外周壁22に近づく側に、鉛直方向に対し傾いている。ここで、側面431は、内周壁21に対向するルーバ部41における複数のルーバ411の先端を通る包絡面であってよい。側面432は、外周壁22に対向するルーバ部41における複数のルーバ411の先端を通る包絡面であってよい。鉛直方向に対して側面431,432が傾く角度は例えば10°以上であってよい。
【0049】
次に、本実施形態の焼結鉱冷却装置1の利点を説明する。第1実施形態と同様、内周壁21を第1周壁21とし、外周壁22を第2周壁22とする。
【0050】
ルーバユニット4のうち、第1周壁21に対向する側面431が、上方から下方へ向かうにつれて第1周壁21から遠ざかる側に、鉛直方向に対し傾いて設けられている。この場合、上方から下方へ向かうにつれて、第1周壁21とルーバユニット4の側面431との間における第1流動通路111Aの流路断面積を大きくし、第1流動通路111Aにおける抵抗を小さくすることができる。または、本実施形態のように第1周壁21が傾いている場合であっても、側面431が上記のように傾くことで、上方から下方へ向かうにつれて、第1流動通路111Aの流路断面積の減少度合いを小さくし、第1流動通路111Aにおける抵抗の増大度合いを小さくすることができる。また、
図8に示すように、第1流動通路111が、第1周壁21とルーバユニット4との間の通路111Aから、テーブル20とルーバユニット4との間の通路111Bへと折れ曲がる際の角度θが大きくなるので、第1流動通路111における抵抗を低下させることができる。よって、第1流動通路111Aにおける焼結鉱11の流動速度を増大させ、第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度に近づけることができる。
【0051】
一方、ルーバユニット4のうち、第2周壁22に対向する側面432が、上方から下方へ向かうにつれて第2周壁22に近づく側に、鉛直方向に対し傾いて設けられている。この場合、上方から下方へ向かうにつれて、第2流動通路112の流路断面積の減少度合いを大きくし、第2流動通路112における抵抗の増大度合いを大きくすることができる。または、本実施形態のように第2周壁22が傾いている場合には、ルーバユニット4の側面432が上記のように傾くことで、上方から下方へ向かうにつれて、第2周壁22と側面432との間における第2流動通路112の流路断面積の減少度合いをさらに大きくし、第2流動通路112における抵抗の増大度合いをさらに大きくすることができる。よって、第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度を減少させ、第1流動通路111Aにおける焼結鉱11の流動速度に近づけることができる。
【0052】
さらに、第1実施形態と同様、第1周壁21とルーバユニット4との間の最短距離が、第2周壁22とルーバユニット4との間の最短距離よりも、大きくなるように、ルーバユニット4が設けられてよい。
【0053】
[第3実施形態]
まず、第3実施形態に係る焼結鉱冷却装置1の構成を説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図9は、本実施形態における本体部の下部を示す。
図5と同様の部分断面図である。
【0054】
図9に示すように、ルーバユニット4の下面44が、内周壁21の側から外周壁22の側へ向かうにつれて、すなわち堆積層2の径方向外側へ向かうにつれて、下方へ向かうように、水平方向に対し傾いている。言い換えると、テーブル20に対向し、テーブル20とともに第1流動通路111Bを形成するルーバユニット4の下面44は、上方から下方へ向かうにつれて、内周壁21から遠ざかるように、傾いている。水平方向に対し下面44がなす角度は例えば45°以上であってよい。
【0055】
次に、本実施形態の焼結鉱冷却装置1の利点を説明する。第1実施形態と同様、内周壁21を第1周壁21とし、外周壁22を第2周壁22とする。
【0056】
ルーバユニット4の下面44が、第1周壁21の側から第2周壁22の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて設けられている。この場合、第1流動通路111が、第1周壁21とルーバユニット4との間の通路111Aから、ルーバユニット4とテーブル20との間の通路111Bへと折れ曲がる際の角度θが大きくなる。また、通路111Bのうち通路111Aとの接続部の側における流路断面積が大きくなる。下面44と第1周壁21との間の空間を通路111Aの一部としてみると、上方から下方へ向かうにつれて、通路111Aの上記一部における流路断面積が大きくなる。よって、通路111Aを降下する焼結鉱が通路111Bへ流入しやすくなり、また、第1流動通路111における抵抗を低下させることができる。したがって、第1流動通路111における焼結鉱11の流動速度を増大させて第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度に近づけることができる。
【0057】
さらに、第1実施形態と同様、第1周壁21とルーバユニット4との間の最短距離が、第2周壁22とルーバユニット4との間の最短距離よりも、大きくなるように、ルーバユニット4が設けられてよい。例えば、第1実施形態と同様、第1仕切板421が中間線202よりも外周壁22の側に位置してもよい。
【0058】
[第4実施形態]
まず、第4実施形態に係る焼結鉱冷却装置1の構成を説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図10は、本実施形態における本体部の下部を示す。
図5と同様の部分断面図である。
図10に示すように、ルーバユニット4の上面45が、内周壁21の側から外周壁22の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いている。言い換えると、上面45は、上方から下方へ向かうにつれて、外周壁22に近づくように、傾いている。水平方向に対し上面45がなす角度は例えば45°以上であってよい。
【0059】
次に、本実施形態の焼結鉱冷却装置1の利点を説明する。第1実施形態と同様、内周壁21を第1周壁21とし、外周壁22を第2周壁22とする。
【0060】
ルーバユニット4の上面45が、第1周壁21の側から第2周壁22の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて設けられている。この場合、ルーバユニット4の上面45が、流下してくる焼結鉱11を上方かつ外周壁22の側へ押す反力を発生する。これにより、第2流動通路112における抵抗が増大するから、第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度を減少させて第1流動通路111Aにおける焼結鉱11流動速度に近づけることができる。
【0061】
さらに、第1実施形態と同様、第1周壁21とルーバユニット4との間の最短距離が、第2周壁22とルーバユニット4との間の最短距離よりも、大きくなるように、ルーバユニット4が設けられてよい。
【0062】
(変形例)
図11に示すように、ルーバユニット4の上端に板状部材46が設けられてよい。板状部材46は、ルーバユニット4の上面のうち内周壁21の側の端縁に、鉛直方向に広がるように設置されてよい。なお、板状部材46は、ルーバユニット4の上面を構成する板状部材と一体であってもよいし別体であってもよい。これにより、ルーバユニット4の上部の断面が、外周壁22の側に開口するL字状となる。この場合、上方から下方へ流動する焼結鉱11の流れの中で、ルーバユニット4の上面と板状部材46との間のL字状の凹部に、焼結鉱11が堆積して滞留しうる。このように滞留する焼結鉱11は、内周壁21の側から外周壁22の側へ向かうにつれて下方へ向かうように、水平方向に対し傾いて堆積しており、上記流れの中でこの状態が保持される。
【0063】
この場合も、ルーバユニット4の上部に堆積した焼結鉱11の傾斜面113が、上方から流動してくる焼結鉱11を上方かつ第2周壁22の側へ押す反力を発生することで、第2流動通路112における抵抗が増大するから、第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度を減少させて第1流動通路111Aにおける焼結鉱11流動速度に近づけることができる。
【0064】
[第5実施形態]
まず、第5実施形態に係る焼結鉱冷却装置1の構成を説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図12は、本実施形態における本体部の下部を示す。
図5と同様の部分断面図である。
図12に示すように、ルーバユニット4の下面44が、排出口24の上端よりも高い位置であって、通気ダクト3の下面35よりも高い位置に設けられている。
【0065】
次に、本実施形態の焼結鉱冷却装置1の利点を説明する。第1実施形態と同様、内周壁21を第1周壁21とし、外周壁22を第2周壁22とする。
【0066】
ルーバユニット4の下端、具体的には下面44が、排出口24の上端よりも高く設けられている。この場合、第1流動通路111のうち、ルーバユニット4とテーブル20との間の通路111Bの鉛直方向幅H1を、テーブル20を下端とする排出口24の高さ(すなわち排出口24の鉛直方向寸法)H0よりも大きくすることで、通路111Bにおける抵抗を小さくすることができる。また、第1流動通路111が、第1周壁21とルーバユニット4との間の通路111Aから、ルーバユニット4とテーブル20との間の通路111Bへと折れ曲がる際の角度θが大きくなる。また、通路111Aと通路111Bとの接続部における流路断面積が大きくなる。よって、通路111Aを降下する焼結鉱11が通路111Bへ流入しやすくなり、また、第1流動通路111における抵抗を低下させることができる。したがって、第1流動通路111における焼結鉱11の流動速度を増大させて第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度に近づけることができる。
【0067】
さらに、第1実施形態と同様、第1周壁21とルーバユニット4との間の最短距離が、第2周壁22とルーバユニット4との間の最短距離よりも、大きくなるように、ルーバユニット4が設けられてよい。
【0068】
[第6実施形態]
まず、第6実施形態に係る焼結鉱冷却装置1の構成を説明する。第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略する。
図13は、本実施形態における本体部の下部を示す。
図5と同様の部分断面図である。
【0069】
図13に示すように、排出口24の鉛直方向寸法H0に対する、堆積槽2の底面の径方向幅Lの比が、2.0以下となっている(L/H0≦2.0)。ここで堆積槽2の底面とは、テーブル20の上面のうち、外周壁22の内面の下端から垂線を引いてテーブル20の上面と交わらせた部位と、内周壁21の内面の下端がテーブル20の上面と交わる部位との間の領域を指す。上記径方向幅Lとは、堆積槽2の径方向における上記領域の寸法を指す。また、堆積槽2の底面とルーバユニット4の下端との間の最短距離H1に対する、堆積槽2の底面の径方向幅Lの比が、2.0以下となっている(L/H1≦2.0)。上記最短距離H1は、ルーバユニット4の下面44とテーブル20の上面との間の距離であってよい。
【0070】
次に、本実施形態の焼結鉱冷却装置1の利点を説明する。第1実施形態と同様、内周壁21を第1周壁21とし、外周壁22を第2周壁22とする。
【0071】
排出口24の鉛直方向寸法H0に対する、堆積槽2の底面の径方向幅Lの比が、2.0以下となるように設けられている場合、第1流動通路111のうち、通路111Bを含んでテーブル20の上面に沿い排出口24に至る通路の長さLが相対的に短くなるため、第1流動通路111における抵抗を小さくすることができる。言い換えると、上記通路の長さLが相対的に短くなることで、第1流動通路111の通路111Aから排出口24までの距離を短くすることができる。よって、第1流動通路111における流動速度を増大させて第2流動通路112における流動速度に近づけることができる。
【0072】
また、堆積槽2の底面とルーバユニット4の下端との間の最短距離H1に対する、堆積槽2の底面の径方向幅Lの比が、2.0以下となるように設けられている場合、第1流動通路111のうち、ルーバユニット4とテーブル20との間の通路111Bを含んでテーブル20の上面に沿い排出口24に至る通路の長さLが、相対的に短くなる。また、当該通路の最小幅となりうる距離H1が、相対的に大きくなる。このため、第1流動通路111における抵抗を小さくすることができる。また、距離H1が相対的に大きくなるため、通路111Bにおける抵抗が小さくなるとともに、通路111Aから通路111Bへ折れ曲がる際の角度θが大きくなる。また、通路111Aと通路111Bとの接続部における流路断面積が大きくなる。よって、通路111Aを降下する焼結鉱11が通路111Bへ流入しやすくなり、また、第1流動通路111における抵抗を低下させることができる。したがって、第1流動通路111における焼結鉱11の流動速度を増大させて第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度に近づけることができる。なお、第5実施形態と同様、ルーバユニット4の下端、具体的には下面44が、排出口24の上端よりも高く設けられてよい。この場合、上記効果を向上できる。
【0073】
さらに、第1実施形態と同様、第1周壁21とルーバユニット4との間の最短距離が、第2周壁22とルーバユニット4との間の最短距離よりも、大きくなるように、ルーバユニット4が設けられてよい。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0075】
例えば、各実施形態のルーバユニット4の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0076】
内周壁21に排出口24が設けられ、外周壁22に排出口24が設けられていなくてもよい。すなわち、外周壁22が上記第1周壁であり、内周壁21が上記第2周壁であってもよい。また、堆積槽2の断面形状は任意であり、逆台形状に限らず、矩形状または台形状等であってもよい。言い換えると、堆積槽2の周壁21,22の鉛直方向に対する傾きは任意に設定可能である。
【0077】
なお、第1流動通路111における焼結鉱11の流動速度と第2流動通路112における焼結鉱11の流動速度との差を実機設備で検出することが困難である場合、例えば、堆積槽2の模型を用いて検出するようにしてもよい。具体的には、模型として、各実施形態(
図5、
図7~13)を模した断面形状を有し、各流動通路に個別に焼結鉱が供給されることが可能とされ、かつ、一方の周壁の下部に排出口が設けられたものを準備する。この模型では、少なくとも一方の流動通路に焼結鉱を供給して一定量堆積させたうえで、排出口から焼結鉱を排出させると、当該流動通路の焼結鉱が減少する。この減少速度から、当該流動通路における焼結鉱の流動速度を算出できる。これにより、各流動通路における流動速度の差を算出可能となる。なお、各流動通路の焼結鉱の減少速度の差から直接、各流動通路の流動速度の差を算出してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 焼結鉱冷却装置
11 焼結鉱
111 第1流動通路
112 第2流動通路
2 堆積槽
21 内周壁(第1周壁)
22 外周壁(第2周壁)
24 排出口
4 ルーバユニット(気体導入部材)