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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】基礎構造体及び基礎構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
E04B1/58 510C
E04B1/58 506T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019203190
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021075898
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】田畑 治
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-303583(JP,A)
【文献】特開平11-131588(JP,A)
【文献】中国実用新案第203514339(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38- 1/61
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートからなる基礎スラブと、
上記基礎スラブに埋設された埋設部、及び当該埋設部から上方に延びており、上記基礎スラブの上面から上方へ突出するボルト部をそれぞれ有する複数のアンカーボルトと、
上記ボルト部が挿通された孔であって、上記ボルト部の直径よりも大きな直径を有する複数の挿通孔を有する第1片、当該第1片の上方に位置する第2片、当該第1片と当該第2片とを接続する接続片、及び当該第2片の上面から上方へ突出する結合片を有する鋼製の梁材と、
上記結合片が嵌入された嵌入溝を有する木製の柱と、
上記結合片及び上記柱を結合する結合部材と、
上記挿通孔の内周面と上記ボルト部との隙間に配置された包装部材が、上記ボルト部に締結されたナットと上記基礎スラブとの間で加圧により破断されて、当該包装部材の内部空間から当該隙間へ流出して硬化した硬化部材と、を備える基礎構造体。
【請求項2】
上記基礎スラブは、上記梁材より屋外へ延びるポーチ部を有する請求項1に記載の基礎構造体。
【請求項3】
上記梁材の屋外側を覆う化粧カバーをさらに備える請求項2に記載の基礎構造体。
【請求項4】
上記化粧カバーは、通気口を有する請求項3に記載の基礎構造体。
【請求項5】
上記化粧カバーの一部は、上記梁材の上記第2片と上記柱との間に位置しており、当該一部には、上記結合片が挿通される貫通孔が形成されている請求項3又は4に記載の基礎構造体。
【請求項6】
上記ボルト部が挿通された貫通孔を有しており、上記ボルト部に締結されたナットと上記包装部材との間に位置しており、上記ボルト部に締結された上記ナットによって押圧されて上記包装部材を加圧する板状の押え部材をさらに備える請求項1から5のいずれかに記載の基礎構造体。
【請求項7】
上記梁材は、H形或いはI形の断面形状であって、上記結合片の下方において、上記第1片及び上記第2片に結合されたスチフナをさらに有する請求項1から6のいずれかに記載の基礎構造体。
【請求項8】
複数のアンカーボルトを型枠内に設置する第1工程と、
上記型枠内に生コンクリートを流し入れて基礎スラブを打設する第2工程と、
上記アンカーボルトのボルト部の直径よりも大きな直径の複数の挿通孔を有する鋼製の梁材を、上記各ボルト部を各挿通孔にそれぞれ挿通させて上記基礎スラブに載置する第3工程と、
上記挿通孔の内周面と上記ボルト部との隙間に、硬化部材を内包する包装部材を配置する第4工程と、
上記ボルト部にナットを締結して、上記包装部材を破断する第5工程と、
上記梁材の上面から突出する結合片に柱の嵌入溝を嵌めて、上記梁材に当該柱を設置する第6工程と、
結合部材を用いて上記柱及び結合片を結合する第7工程と、を備える基礎構造体の施工方法。
【請求項9】
上記第5工程において、上記包装部材から流出した上記硬化部材を硬化させる請求項8に記載の基礎構造体の施工方法。
【請求項10】
上記第6工程において、上記梁材と上記柱との間に一部が位置し、上記梁材の屋外側を覆う化粧カバーを取り付ける請求項8または9に記載の基礎構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建築物の躯体を構成する基礎構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、土間コンクリート、H形鋼或いはI形鋼を短尺に切断した部材である基礎材本体、及び木製の柱からなる基礎構造体を開示する。基礎材本体は、土間コンクリートから突出するアンカーボルトとナットとを用いて土間コンクリートに固定されている。基礎材本体の上面からは、取付板が突出している。柱の下端は、取付板が嵌る溝を有している。柱は、柱及び取付板を貫通する連結ボルト及びナットによって基礎材本体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-220223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された基礎構造体では、柱毎に独立した基礎材本体を要するので施工が煩わしいという問題がある。他方、長尺のH形鋼やI形鋼などである梁材を、コンクリートからなる基礎スラブの上にアンカーボルトを用いて固定し、梁材の上に柱を固定するとすれば、土間コンクリートに埋設された複数のアンカーボルトの位置やピッチと、梁材に形成された孔の位置やピッチを精度よく合わせる必要がある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長尺のH形鋼やI形鋼などの梁材を基礎スラブに固定してなる基礎構造体において、アンカーボルトの位置や梁材の挿通孔の位置に高い精度が要求されず、梁材を容易に固定できることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る基礎構造体は、コンクリートからなる基礎スラブと、上記基礎スラブに埋設された埋設部、及び当該埋設部から上方に延びており、上記基礎スラブの上面から上方へ突出するボルト部をそれぞれ有する複数のアンカーボルトと、上記ボルト部が挿通された孔であって、上記ボルト部の直径よりも大きな直径を有する複数の挿通孔を有する第1片、当該第1片の上方に位置する第2片、当該第1片と当該第2片とを接続する接続片、及び当該第2片の上面から上方へ突出する結合片を有する鋼製の梁材と、上記結合片が嵌入された嵌入溝を有する木製の柱と、上記結合片及び上記柱を結合する結合部材と、上記挿通孔の内周面と上記ボルト部との隙間に配置された包装部材が、上記ボルト部に締結されたナットと上記基礎スラブとの間で加圧により破断されて、当該包装部材の内部空間から当該隙間へ流出して硬化した硬化部材と、を備える。
【0007】
梁材は、基礎スラブから突出する複数のボルト部が各挿通孔にそれぞれ挿通されて基礎スラブ上に載置される。挿通孔の直径はボルト部の直径より大きいので、挿通孔とボルト部との若干の位置ズレが許容される。挿通孔の隙間において、ボルト部に締結されたナットは基礎スラブとの間に挟まれて破断した包装部材の内部空間から、硬化部材が流出する。流出した硬化部材は、挿通孔とボルト部との隙間に充填された状態で硬化する。これにより、梁材が基礎スラブの上面を移動することが防止される。
【0008】
(2) 上記基礎スラブは、上記梁材より屋外へ延びるポーチ部を有していてもよい。
【0009】
基礎スラブによってポーチが一体に形成されるので、施工が容易である。
【0010】
(3) 本発明に係る基礎構造体は、上記梁材の屋外側を覆う化粧カバーをさらに備えていてもよい。
【0011】
化粧カバーにより、梁材の屋外側の意匠性が向上する。
【0012】
(4) 上記化粧カバーは、通気口を有していてもよい。
【0013】
通気口により、化粧カバーと梁材との間の通気性が向上する。
【0014】
(5) 上記化粧カバーの一部は、上記梁材の上記第2片と上記柱との間に位置しており、当該一部には、上記結合片が挿通される貫通孔が形成されていてもよい。
【0015】
化粧カバーの貫通孔に結合片が挿入されて第2片と柱との間に挟まれているので、化粧カバーが梁材から外れ難い。
【0016】
(6) 本発明に係る基礎構造体は、上記ボルト部が挿通された貫通孔を有しており、上記ボルト部に締結されたナットと上記包装部材との間に位置しており、上記ボルト部に締結された上記ナットによって押圧されて上記包装部材を加圧する板状の押え部材をさらに備えていてもよい。
【0017】
包装部材の上面を覆う板状の押え部材がナットと包装部材との間に配置されるので、ナットがボルト部に締結されると、押え部材が包装部材の上面を均一に押圧する。したがって、ナットの種類に拘わりなく、包装部材を確実に押圧して破断させることができる。
【0018】
(7) 上記梁材は、H形或いはI形の断面形状であって、上記結合片の下方において、上記第1片及び上記第2片に結合されたスチフナをさらに有していてもよい。
【0019】
スチフナにより、梁材において柱を支持する第2片の強度が向上する。
【0020】
(8) 本発明に係る基礎構造体の施工方法は、複数のアンカーボルトを型枠内に設置する第1工程と、上記型枠内に生コンクリートを流し入れて基礎スラブを打設する第2工程と、上記アンカーボルトのボルト部の直径よりも大きな直径の複数の挿通孔を有する鋼製の梁材を、上記各ボルト部を各挿通孔にそれぞれ挿通させて上記基礎スラブに載置する第3工程と、上記挿通孔の内周面と上記ボルト部との隙間に、硬化部材を内包する包装部材を配置する第4工程と、上記ボルト部にナットを締結して、上記包装部材を破断する第5工程と、上記梁材の上面から突出する結合片に柱の嵌入溝を嵌めて、上記梁材に当該柱を設置する第6工程と、結合部材を用いて上記柱及び結合片を結合する第7工程と、を備える。
【0021】
本発明は、基礎構造体の施工方法として捉えることもできる。
【0022】
(9) 上記第5工程において、上記包装部材から流出した上記硬化部材を硬化させる。
【0023】
(10) 上記第6工程において、上記梁材と上記柱との間に一部が位置し、上記梁材の屋外側を覆う化粧カバーを取り付けてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る基礎構造体は、長尺のH形鋼やI形鋼などの梁材を水平方向において固定することができ、また、梁材を水平方向において固定する作業を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、基礎構造体10の一部の斜視図である。
図2図2は、基礎構造体10の一部の分解斜視図である。
図3図3は、基礎構造体10の縦断面図である。
図4図4(A)は、グラウトパック18の平面図であり、図4(B)は、グラウトパック18のセンター断面図であり、図4(C)は、グラウトパック18の下面図である。
図5図5は、梁材12をアンカーボルト14に固定する各部材の分解斜視図である。
図6図6は、梁材12の水平断面図である。
図7図7は、基礎構造体10の施工を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0027】
図1は、本実施形態に係る基礎構造体10の一部を示す斜視図である。基礎構造体10は、木造の建築物の躯体を構成する。当該建築物は、例えば、コンビニエンスストアなどの店舗に用いられる。
【0028】
基礎構造体10は、基礎スラブ11と、複数の梁材12と、複数の柱13と、複数のアンカーボルト14及びナット15(図3)と、複数の結合部材16と、一乃至複数の化粧カバー17と、グラウトパック18、押え部材19、及びワッシャ20(図5)と、を備える。
【0029】
基礎スラブ11は、図3に示されるように、内部に複数の配筋21を有するコンクリートスラブである。基礎スラブ11は、面一の上面22を有する。すなわち、基礎スラブ11は、例えば布基礎のような立上り部を有さない。ただし、基礎スラブ11の上面22は、必ずしも一つの平面を構成していなくてもよい。
【0030】
基礎スラブ11は、梁材12が載置される基礎部23と、ポーチを形成するポーチ部24と、を有する。すなわち、基礎構造体10は、建築物の躯体及びポーチを構成する。基礎部23及びポーチ部24は、形状などによって明確に区別される必要はなく、一体の基礎スラブ11の一部分として構成されていてもよい。
【0031】
アンカーボルト14は、基礎スラブ11に埋設された埋設部31と、埋設部31から延びる複数のボルト部32と、を有する。図3に示す例では、アンカーボルト14は、2つのボルト部32を有している。ただし、アンカーボルト14は、1つのボルト部32のみを有していてもよい。
【0032】
埋設部31は、厚み方向が上下方向に一致する板状である。埋設部31は、配筋21の下に位置している。ボルト部32は、埋設部31の上面から上方に向かって延びており、一部分が基礎スラブ11の上面22から上向きに突出している。2つのボルト部32の間に、配筋21が位置している。すなわち、アンカーボルト14は、2つのボルト部32の間に配筋21が位置し、かつ埋設部31が配筋21の下となる位置に配置されている。したがって、アンカーボルト14における上方への移動は、埋設部31が配筋21に当接することによって規制される。
【0033】
アンカーボルト14は、柱13の設置位置の直下となる位置に配置されている。ただし、アンカーボルト14は、柱13の直下となる位置に加え、その他の位置に設置されていてもよいし、柱13の設置位置に拘わりなく、例えば梁本体41の長手方向9に沿って等間隔で設置されてもよい。以下では、アンカーボルト14が、少なくとも柱13の設置位置の直下となる位置に配置された例を説明する。
【0034】
図2に示されるように、梁材12は、梁本体41と、梁本体41に溶接などによって取り付けられた結合片42及びスチフナ43と、を備える。図示例では、梁本体41は、断面がH形状である、いわゆるH形鋼である。梁本体41は、水平方向に沿って延びる上フランジ44及び下フランジ45と、垂直方向に沿って延びるウェブ46と、を有する。下フランジ45は、第1片の一例である。上フランジ44は、第2片の一例である。ウェブ46は、接続片の一例である。
【0035】
ウェブ46は、上フランジ44と下フランジ45とを連結している。具体的には、ウェブ46の上端は、上フランジ44の下面の幅方向8における中央部と接続しており、ウェブ46の下端は下フランジ45の上面の、幅方向8における中央部と接続している。また、ウェブ46は、ウェブ46を貫通する円形の通気口30を有している。通気口30は、屋内と屋外とを連通させる。
【0036】
以下では、ウェブ46を挟んだ下フランジ45の両側の部位を、それぞれ第1下フランジ部47、第2下フランジ部48と記載して説明する。また、以下では、第1下フランジ部47は、屋内側となるフランジ部であり、第2下フランジ部48は、屋外側となるフランジ部であるものとして説明する。
【0037】
下フランジ45は、アンカーボルト14のボルト部32が挿通される複数の挿通孔49を備える。挿通孔49は、アンカーボルト14の個数に、アンカーボルト14が有するボルト部32の個数を乗じた数だけ下フランジ45に設けられている。例えば、アンカーボルト14が2つのボルト部32を有する場合、2個の挿通孔49を1組の挿通孔49として、アンカーボルト14の個数と同数の組の挿通孔49が下フランジ45に設けられる。
【0038】
図6に示されるように、1組の挿通孔49の一方は、第1下フランジ部47に設けられており、他方は、第2下フランジ部48に設けられている。すなわち、梁本体41は、幅方向8における下フランジ45の両側において基礎スラブ11に固定されている。したがって、梁本体41は、幅方向8における下フランジ45の片側のみにおいて基礎スラブ11に固定されるよりも、基礎スラブ11に確実に固定される。ただし、挿通孔49は、第1下フランジ部47にのみ、或いは第2下フランジ部48にのみ設けられていてもよい。
【0039】
一の組の挿通孔49と、他の組の挿通孔49とは、梁本体41の長手方向9において互いに離間する。一の組の挿通孔49と他の組の挿通孔49との相対位置は、製造上の誤差を含む。また、複数のアンカーボルト14間の相対位置は、施工上の誤差を含む。挿通孔49間の相対位置の誤差及びアンカーボルト14間の相対位置の誤差に拘わらず全てのボルト部32が挿通孔49に挿通され得るように、挿通孔49の直径D1(図2)は、ボルト部32の直径D2(図2)よりも大きくされている。例えば、挿通孔49の直径D1は、ボルト部32の直径D2よりも、数cmから十数cmだけ大きい。
【0040】
図2に示される梁材12の結合片42は、柱13と梁材12とを結合するためのものである。詳しく説明すると、結合片42は、板状であって、上フランジ44の上面から上向きに突出している。例えば、結合片42は、鋼板を切断或いは打ち抜いて作製した板材を梁本体41の上フランジ44に溶接することによって形成される。
【0041】
結合片42の厚み方向は、梁本体41の幅方向8に一致する。ただし、結合片42の厚み方向は、梁本体41の長手方向9に一致していてもよい。結合片42は、後述の柱13に設けられた嵌入溝61に嵌入されている。
【0042】
結合片42は、厚み方向において結合片42を貫通する貫通孔50を有する。図示例では、結合片42は、長手方向9に沿って並ぶ2つの貫通孔50を有する。後述の結合部材16が貫通孔50及び後述の柱13に設けられた貫通孔62に圧入されている。すなわち、結合部材16により、柱13が結合片42に固定されている。
【0043】
図4に示されるように、グラウトパック18は、本体51、シール52、及びグラウト53を有する。本体51は、例えば樹脂成形品である。グラウトパック18は、包装部材の一例である。
【0044】
本体51は、上面が開口する箱状である。また、本体51は、ドーナツ形状であり、中央に貫通孔54を有する。貫通孔54の直径D3は、アンカーボルト14のボルト部32の直径D2(図2)と略同一、或いは直径D2よりも僅かに大きい。すなわち、ボルト部32は、貫通孔54を挿通可能である。
【0045】
本体51は、液状のグラウト53を内包する。グラウト53は、例えばセメント(モルタル)系のグラウトを使用することができる。グラウト53は、本体51から流出した後に、時間経過とともに硬化する硬化剤である。グラウト53は、硬化することにより、後述の硬化部材55(図3)となる。硬化による収縮率が小さいグラウトが、グラウト53に適する。
【0046】
本体51の直径D4は、下フランジ45が有する挿通孔49の直径D1(図2)と略同一であってもよいし、直径D1より僅かに小さくてもよいし、直径D1より大きくてもよい。本体51の直径D4は、本体51が、アンカーボルト14のボルト部32の外周面と、下フランジ45の挿通孔49の内周面との間の隙間56を充填可能な十分な量のグラウト53を内包可能な大きさとされる。
【0047】
本体51の高さHは、少なくとも下フランジ45の板厚T(図3)より大きい。したがって、本体51は、隙間56(図3)を充填するのに十分な量のグラウト53を内包することができる。例えば、本体51の高さHは、下フランジ45の板厚Tの1.5倍から3倍とされる。
【0048】
本体51の肉厚は、ボルト部32へのナット15の締結によって本体51が変形可能なように十分薄い。例えば、本体51の肉厚は、0.3mmから1mmの範囲内である。
【0049】
本体51は、破断部59を底面に備える。破断部59は、例えば、底面からV字状に凹む溝である。破断部59は、本体51の円形状の貫通孔54の同心円上となる位置に設けられている。すなわち、破断部59は、円環状である。本体51は、後述の押え部材19によって上方から加圧されることにより、破断する。本体51が破断部59において破断することにより、本体51が内包するグラウト53が本体51から隙間56に流出する。
【0050】
シール52は、本体51の開口を閉塞可能な大きさの矩形、かつシート状である。シール52は、本体51の上面に溶着や接着によって貼り付けられており、本体51の開口を閉塞する。すなわち、グラウト53は、本体51及びシール52によって区画された空間内に封入されている。なお、本体51は、シール52が接着される上面の面積を拡大させるフランジ57を上部に有している。すなわち、シール52は、本体51の開口を確実に閉塞し、本体51からグラウト53が漏れ出すことを防止する。
【0051】
シール52は、本体51が有する貫通孔54の直径と略同一の直径の円形状の貫通孔58を中央部に有する。シール52は、貫通孔58が本体51の貫通孔54に重なるように本体51の上面に貼り付けられている。
【0052】
押え部材19は、図5に示されるように鋼製の板状であり、例えば、鋼板を切断或いは打ち抜いて製造される。押え部材19は、アンカーボルト14のボルト部32が挿通された円形状の貫通孔60を有する。貫通孔60の直径は、ボルト部32の直径D2よりも僅かに大きい。押え部材19は、ナット15及びワッシャ20と、グラウトパック18との間に位置している。ナット15がアンカーボルト14のボルト部32に締結されると、ワッシャ20を介して押え部材19がナット15に押されて下方に移動する。下方に移動した押え部材19は、グラウトパック18を上方から加圧する。加圧されたグラウトパック18は、本体51の破断部59において破断し、内包するグラウト53を隙間56流出させる。
【0053】
ワッシャ20は、ナット15と押え部材19との間に位置する。例えば既成のワッシャがワッシャ20に用いられる。
【0054】
図2に示される柱13は、木製である。例えば、木製の板材を張り合わせた集成材が柱13に用いられる。柱13は、下面から凹む嵌入溝61を備える。嵌入溝61は、梁材12の結合片42を嵌入されている。
【0055】
柱13は、柱13を水平方向に貫通する円形状の貫通孔62を有する。貫通孔62は、嵌入溝61に嵌入された結合片42の貫通孔50と水平方向において重なる位置に設けられている。貫通孔62の直径は、結合片42の貫通孔50の直径と略同一である。結合部材16が、貫通孔62に挿通されている。
【0056】
結合部材16は、柱13の幅と略同一の長さを有する円柱形状である。また結合部材16の直径は、柱13の貫通孔62の直径及び結合片42の貫通孔50の直径と略同一である。結合部材16は、柱13の貫通孔62及び結合片42の貫通孔50に圧入されており、柱13を結合片42に固定している。なお、結合部材16は、柱13の貫通孔62及び結合片42の貫通孔50に挿通されるボルト及び当該ボルトに締結されるナットであってもよい。
【0057】
化粧カバー17は、梁材12を覆い、建築物の見栄えを良くする部材である。化粧カバー17は、例えば、合成樹脂が成型された樹脂成型品である。
【0058】
化粧カバー17は、梁材12の長手方向9に沿って延びる、断面が逆L字状の長尺の部材である。長手方向9における化粧カバー17の長さは、長手方向9における梁材12の長さと略同一である。ただし、複数の化粧カバー17が一の梁材12に取り付けられる場合、化粧カバー17の長さは、梁材12の長さよりも短くされていてもよい。
【0059】
化粧カバー17は、梁材12に取り付けるための取付板71と、梁材12を覆う化粧板72と、を有する。
【0060】
取付板71は、水平方向に沿って延びる板状である。取付板71は、梁材12の結合片42が挿通された矩形状の複数の貫通孔74を有している。取付板71は、柱13と梁材12の上フランジ44との間に位置しており、柱13と上フランジ44とに挟まれて梁材
取付板71は、化粧カバーの一部の一例である。
【0061】
化粧板72は、垂直方向に沿って延びる板状である。垂直方向における化粧板72の長さ、すなわち化粧板72の高さは、梁材12の高さと略同一である。化粧板72の上端は、取付板71の幅方向における端部と連結している。幅方向に直交する化粧板72の一面であって、屋外側となる方の一面には、化粧カバー17の意匠性を高める文字や図形などが形成されていてもよい。
【0062】
化粧板72は、一乃至複数の通気口73を有する。通気口73は、円形状である。ただし、通気口73は、矩形など、他の形状であってもよい。
【0063】
メッシュ部材76が、化粧板72の通気口73を閉塞している。メッシュ部材76は、例えば、メッシュ状に成型された樹脂成型品である。メッシュ部材76は、屋内と屋外との間で空気を流通させ、虫や小動物や異物などが屋外から屋内に進入することを防止する。
【0064】
次に、基礎構造体10の施工について、図7を参照して説明する。まず、作業者は、第1工程において、地面に型枠を設置する。そして、作業者は、型枠内に、複数の配筋21と、アンカーボルト14とを配置する。複数の配筋21は、例えば格子状に配置される。アンカーボルト14は、埋設部31が配筋21の下に位置し、かつ2つのボルト部32の間に配筋21が位置するように配置された後、ワイヤなどを用いて配筋21に固定される。
【0065】
次に、作業者は、第2工程において、生コンクリートを型枠内に流し込んで、基礎スラブ11を打設する。打設された基礎スラブ11は、梁材12が載置される基礎部23に加え、ポーチ部24を有する。すなわち、基礎構造体10と一体にポーチが施工される。
【0066】
作業者は、第2工程の後であって、生コンクリートが完全に硬化した後、第3工程において、梁材12を設置する。具体的には、作業者は、基礎スラブ11の上面22から突出するアンカーボルト14のボルト部32を、梁材12の下フランジ45の挿通孔49に挿通させて、梁材12を基礎スラブ11に載置する。
【0067】
次に、作業者は、第4工程において、梁材12を基礎スラブ11に固定する。具体的には、作業者は、アンカーボルト14のボルト部32をグラウトパック18の貫通孔54、58に挿通させてグラウトパック18を取り付ける。次いで、作業者は、ボルト部32を押え部材19の貫通孔60に挿通させて押え部材19を取り付ける。そして、作業者は、ワッシャ20をボルト部32に嵌める。
【0068】
次に、作業者は、第5工程において、アンカーボルト14のボルト部32にナット15を嵌め、ナット15を締める。締められたナット15は、押え部材19を下方に向かって押す。ナット15によって押された押え部材19は、グラウトパック18を下方に向かって押す。押え部材19に押されたグラウトパック18の本体51は、梁本体41の下フランジ45の挿通孔49の内周面とボルト部32との隙間56に押し込まれる。作業者がナット15をさらに締めると、押え部材19によってグラウトパック18が上方から加圧され、破断部59において本体51が破断する。破断した本体51から、本体51が内包するグラウト53が流出する。すなわち、本体51の底からグラウト53が流出する。グラウトパック18から流出したグラウト53は、隙間56に流れ込む。作業者は、ナット15をボルト部32に締結した後、グラウト53が硬化するのに要する期間だけ待機する。硬化したグラウト53は、隙間56を充填する硬化部材55となる。隙間56に充填された硬化部材55は、梁材12が水平方向に移動して位置ずれが生じることを防止する。
【0069】
次に、作業者は、第6工程において、化粧カバー17及び柱13を梁材12に固定する。具体的には、作業者は、梁材12の結合片42を化粧カバー17の取付板71の貫通孔74に挿通させて化粧カバー17を梁材12に取り付ける。次に、作業者は、梁材12の結合片42を柱13の嵌入溝61に嵌入して、柱13を梁材12に載置する。梁材12に載置された柱13は、梁材12の上フランジ44とともに、化粧カバー17の取付板71を挟む。
【0070】
次に、作業者は、第7工程において、柱13の貫通孔62及び梁材12の結合片42の貫通孔50に結合部材16を圧入して、柱13を梁材12に固定する。梁材12に固定された柱13は、化粧カバー17を梁材12に固定する。
【0071】
作業者によって第1工程から第7工程が実行されることにより、基礎構造体10及びポーチが施工される。
【0072】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、梁材12の下フランジ45の挿通孔49の直径D1は、アンカーボルト14のボルト部32の直径D2よりも大きいので、製造誤差による挿通孔49間の相対位置のずれや、施工におけるボルト部32間の相対位置の誤差に拠らず、作業者は、ボルト部32を挿通孔49に挿通させて梁材12を基礎スラブ11に設置することができる。
【0073】
また、本実施形態では、挿通孔49とボルト部32との隙間56が硬化部材55で充填されるので、硬化部材55によって、梁材12が水平方向に移動することが防止される。そして、硬化部材55の形成にグラウトパック18が用いられるので、硬化部材55で隙間56を充填するのに要する作業が容易である。
【0074】
また、本実施形態では、基礎スラブ11によって、ポーチが基礎構造体10と一体に形成されている。したがって、基礎構造体10とポーチとを別個に施工するよりも、施工が容易である。
【0075】
また、本実施形態では、化粧カバー17が梁材12を覆っている。したがって、基礎構造体10の意匠性が向上している。
【0076】
また、本実施形態では、化粧カバー17に通気口73が設けられている。したがって、屋内と屋外との間の通気性が向上している。
【0077】
また、本実施形態では、化粧カバー17の取付板71に設けられた貫通孔74に結合片42を挿通させ、柱13と梁材12の上フランジ44とで取付板71を挟むことによって化粧カバー17が梁材12に固定される。したがって、化粧カバー17を梁材12に確実に固定することができる。また、ネジなどを用いずに化粧カバー17を梁材12に固定することができるので、基礎構造体10の施工性が向上する。
【0078】
また、本実施形態では、グラウトパック18とナット15との間に板状の押え部材19が配置されるので、ナット15がアンカーボルト14のボルト部32に締結されると、押え部材19がグラウトパック18を上方から均一に加圧して本体51の破断部59を破断させる。したがって、ナット15の種類に拘わりなく、グラウトパック18を確実に破断させてグラウトパック18からグラウト53を流出させることができる。その結果、梁材12の挿通孔49の内周面とボルト部32との隙間56を硬化部材55で確実に充填することができる。
【0079】
また、本実施形態では、柱13と結合される梁材12の結合片42の直下に、上フランジ44と下フランジ45とに連結されたスチフナ43が設けられている。したがって、スチフナ43によって、垂直方向における梁材12の強度が向上し、柱13が梁材12によって確実に支持される。
【0080】
また、本実施形態では、グラウトパック18の本体51に設けられた破断部59は、円環状であるので、グラウトパック18からグラウト53が偏って流出することが抑制される。その結果、硬化部材55によって隙間56を確実に充填することができる。
【0081】
また、本実施形態では、鋼製の梁材12と木製の柱(不図示)との間に、樹脂製の化粧カバー17の取付板71が位置している。したがって、鋼製の梁材12に結露が生じたとしても、木製の柱が、結露によって生じた水分を吸収することが防止される。その結果、柱の耐久性が向上する。なお、化粧カバー17は樹脂製であるので、化粧カバー17の取付板71においては、結露は生じにくい。また、柱が、結露によって生じた水分を吸収しないように防水が可能であれば、化粧カバー17は、ステンレス鋼板などの金属板を切断、切削、曲げ加工などを行って成形した金属成形品であってもよい。
【0082】
[変形例]
上述の実施形態では、基礎スラブ11が基礎部23及びポーチ部24を有する例が説明された。しかしながら、基礎スラブ11は、ポーチ部24を有さなくてもよい。その場合、基礎構造体10とは別個にポーチが打設されてもよい。
【0083】
上述の実施形態では、梁本体41がH形鋼である例が説明された。しかしながら、梁本体41は、断面形状がI形である、いわゆるI形鋼など、他の形状の鋼材であってもよい。
【0084】
上述の実施形態では、グラウトパック18の本体51が円筒状である例が説明された。しかしながら、グラウトパック18の本体51は、上面が開口する箱状であれば、他の形状であってもよい。
【0085】
上述の実施形態では、グラウトパック18が、箱状の本体51と、本体51に貼り付けられたシール52とで構成された例が説明された。しかしながら、グラウトパック18は、グラウト53が封入された袋などであってもよいし、他の構成であってもよい。
【0086】
上述の実施形態では、化粧カバー17が取付板71を有し、取付板71によって化粧カバー17を梁材12に固定する例が説明された。しかしながら、化粧カバー17は、取付板71を有さなくてもよい。その場合、例えば、ネジやボルトや接着剤などによって化粧カバー17が梁材12に取り付けられる。
【0087】
上述の実施形態では、化粧カバー17に設けられた通気口73にメッシュ部材76が取り付けられた例が説明された。しかしながら、メッシュ部材76が化粧カバー17に用いられなくてもよい。その場合、例えば、虫や小動物や異物が進入しない程度の小さな複数の通気口が化粧カバー17の化粧板72に設けられる。
【0088】
上述の実施形態では、梁本体41がスチフナ43を有する例が説明された。しかしながら、梁本体41は、スチフナ43を有していなくてもよい。
【0089】
上述の実施形態では、押え部材19によってグラウトパック19を押える例が説明された。しかしながら、ナット15によってグラウトパック19が押えられてもよい。押え部材19は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10・・・基礎構造体
11・・・基礎スラブ
12・・・梁材
13・・・柱
14・・・アンカーボルト
15・・・ナット
16・・・結合部材
17・・・化粧カバー
18・・・グラウトパック(包装部材)
19・・・押え部材
24・・・ポーチ部
31・・・埋設部
32・・・ボルト部
42・・・結合片
43・・・スチフナ
44・・・上フランジ(第2片)
45・・・下フランジ(第1片)
46・・・ウェブ(接続片)
49・・・挿通孔
53・・・グラウト
55・・・硬化部材
56・・・隙間
71・・・取付板
73・・・通気口
74・・・貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7