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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/10 20060101AFI20230921BHJP
   A61G 3/08 20060101ALI20230921BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20230921BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A61G5/10 703
A61G3/08
B60P3/00 A
B60J5/04 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020043768
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021142195
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 貴志
(72)【発明者】
【氏名】任田 功
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09463121(US,B1)
【文献】米国特許第04365924(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 1/00 - A61G 5/14
B60P 3/00
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車椅子利用者が着座する着座部と、
前記着座部を支持するボディフレームと、
前記ボディフレームに回転自在に軸支された車輪と、
車両の乗降口を開閉するドアと係合することが可能な係合部
を備え
前記係合部は、前記ドアの車室内側に形成されたトリム部材の凹部を形成する前記ドアの前記トリム部材に設けられたドアポケットに係合可能な構成を有する、
車椅子。
【請求項2】
車椅子利用者が着座する着座部と、
前記着座部を支持するボディフレームと、
前記ボディフレームに回転自在に軸支された車輪と、
車両の乗降口を開閉するドアと係合することが可能な係合部
を備え、
前記係合部は、前記ドアの下端部に係合可能な下端係合部を有する、
車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
車椅子は、高齢者や身体障害者(肢体不自由者)などが使用する。このような車椅子利用者も自動車等の車両に乗降する場合がある。このとき、介助者の介助を受けながら車両に乗降する場合や、車椅子利用者自身が自力で乗降する場合がある。
【0003】
車椅子利用者の車両への乗降をアシストするための構成の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1では、車両のシートにおける背当て部を構成するシートバックに軸支されたアームと、アームの先端に取り付けられた乗降板と、を備える乗降アシスト機構が開示されている。
【0004】
アームは、シートバックにおけるドア側のフレームに軸支されており、先端部の直線部分がシートバックの側面に沿う姿勢とシート座部の側面に沿う姿勢との間で回動できるようになっている。乗降板は、アームの先端部に対して回転自在となっており、開いた状態ではシート座部と略平行であって他端がドアの外に突出するようになっている。そして、乗降板の先端には、車椅子のフレームを係止するためのフックが設けられている。
【0005】
特許文献1に開示の乗降アシスト機構は、車椅子利用者が車両に乗降する際に乗降板を開いてフックを車椅子のフレームに係止させた状態とし、当該乗降板を介して車椅子の座部と車両のシート座部との間を移動することができるようにアシストする構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平07-31456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された乗降アシスト機構は、車両のシートや車椅子とは別部材であるアームおよび乗降板を介して当該シートと車椅子と係止する構造のため、車椅子利用者の車両への乗降に際して車椅子が不安定になるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記のような課題の解決を図ろうとなされたものであって、車椅子利用者の車両への乗降に際して、車両に対して安定した状態で固定することができる車椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る車椅子は、車椅子利用者が着座する着座部と、前記着座者を支持するボディフレームと、前記ボディフレームに回転自在に軸支された車輪と、車両の乗降口を開閉するドアと係合することが可能な係合部を備え、前記係合部は、前記ドアの車室内側に形成されたトリム部材の凹部を形成する前記ドアの前記トリム部材に設けられたドアポケットに係合可能な構成を有することを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、車椅子が備える係合部が、車両における乗降口を開閉するドアと係合することが可能である。したがって、車椅子と車両とが別部材を介在することなく直接連結されるので、車椅子利用者の車両への乗降に際して、車両に対して安定した状態で車椅子を固定することが可能である。
【0011】
上記の車椅子では、前記係合部は、前記ドアの車室内側に形成されたトリム部材の凹部に係合可能な構成を有する。
【0012】
かかる構成によれば、係合部がドアの車室内側に形成された凹部に係合することにより、車椅子をドアに容易にかつ安定して固定することが可能である。そのため、車椅子利用者は、車椅子から車両のシートへ容易に乗り移ることが可能である。しかも、シートへ乗り移った後は、係合部をドアの凹部から取り外すことにより、車椅子と車両との固定状態を容易に解除することが可能である。
【0013】
また、上記の車椅子では、前記凹部は、前記ドアの前記トリム部材に設けられたドアポケットによって形成され、前記係合部は、前記ドアポケットに係合可能な構成を有する
【0014】
かかる構成によれば、係合部は、ドアポケットによって形成された凹部に係合することにより、車椅子をドアに容易に固定することが可能である。また、既存のドアポケットを車椅子の固定に用いることにより、車椅子の固定専用の凹部をドアに形成する必要がなくなる。その結果、車椅子を固定するための車両の変更や改造が不要になる。
【0015】
本発明の他の態様に係る車椅子は、車椅子利用者が着座する着座部と、前記着座者を支持するボディフレームと、前記ボディフレームに回転自在に軸支された車輪と、車両の乗降口を開閉するドアと係合することが可能な係合部を備え、前記係合部は、前記ドアの下端部に係合可能な下端係合部を有することを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、車椅子が備える係合部が、車両における乗降口を開閉するドアと係合することが可能である。したがって、車椅子と車両とが別部材を介在することなく直接連結されるので、車椅子利用者の車両への乗降に際して、車両に対して安定した状態で車椅子を固定することが可能である。
また、上記の構成では、係合部の下端係合部がドアの下端部に係合することにより、車椅子をドアに容易に固定することが可能である。この構成では、とくに、車高の高い車両においても、車椅子をドアに容易に固定することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
上記の各態様に係る車椅子では、車椅子利用者の車両への乗降に際して、車両に対して安定した状態で車椅子を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る車椅子が車両側面の乗降口において開状態のフロントドアの近傍に配置されている状態を示す斜視説明図である。
図2図1のフロントドアを車両内側から見た図である。
図3図1の車椅子の側面図である。
図4図1の車椅子の斜視図である。
図5図4の着座部をボディフレームから分離した状態を示す車椅子の分解斜視図である。
図6図3の係合部のフックがフロントドアのドアポケットに係合することによって、フロントドアに車椅子が固定された状態を示すフロントドア周辺の断面説明図である。
図7】本発明の変形例における係合部のフックが上向きに設けられた車椅子の側面図である。
図8図7の係合部のフックがフロントドアの下端部に係合することによって、車椅子がフロントドアに固定された状態を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0020】
本実施形態の車椅子11は、図1に示されるように、車両1の側面に形成された乗降口3を開閉するフロントドア4に固定可能な構成を有する。
【0021】
図1の車両1は、具体的には、乗降口3を有する車体2と、当該乗降口3を閉じるフロントドア4およびリアドア5と、車体2の内部に取り付けられたシート6とを有する。なお、図1では、フロントドア4およびリアドア5は、観音開きの構成(すなわち、フロントドア4およびリアドア5の合わせ面で開く構成)である。乗降口3は、乗降口3の下縁を構成するサイドシル、サイドシルの前後両端から上方に延びるピラー、およびアッパーレールによって形成されている。
【0022】
フロントドア4は、図2に示されるように、ドア本体4aと、ドア本体4aの車室内側を向く面に取り付けられたトリム部材4bに設けられたドアポケット4b1とを有する。ドアポケット4b1は、小物などを収容できるように車両内側に膨らんでおり、車両内側に開口している。この構成では、ドアポケット4b1は、ドア本体4aから車両内側に離間する開口縁4b2を有する。
【0023】
車両1は、フロントドア4を所定の開度で開いた位置(例えば半開きの位置)に保持するための既存の保持機構を備える。保持機構としては、例えば、電動アクチュエータを用いた自動ドア開閉機構、または凹凸を有するチェックリンクと当該チェックリンクを挟む一対のローラ部材とを備えたドアチェッカー機構などの従来公知の機構が用いられる。
【0024】
図3~5に示されるように、車椅子11は、着座部13と、ボディフレーム14と、複数の車輪、すなわち、一対の後輪15および一対の前輪16と、車椅子11を車両1に固定することが可能な係合部12とを備えている。
【0025】
図5に示されるように、着座部13は、車椅子利用者が着座可能な構成を有し、具体的には、利用者の臀部が接触するシートクッション13aと、利用者の背部が接触するシートバック13bと、介助者が車椅子11を後方から握るための持ち手13cと、シートクッション13aを下方から支持する一対の支持部材13dとを有する。着座部13は、ボディフレーム14の上部に着脱自在に取り付けられている。
【0026】
さらに、図4~5に示されるように、ボディフレーム14は、着座部13を支持することが可能な構成を有し、具体的には、車椅子11の左右両側に離間して配置された一対のメインフレーム17と、前記一対のメインフレームにそれぞれ取り付けられた一対のサブフレーム18と、一対のメインフレーム17の間を連結するクロスバー19と、一対のフットレスト21と、一対のフットレストアーム22とを有する。
【0027】
一対のメインフレーム17のそれぞれには、一対の後輪15のそれぞれがそれぞれ回転自在に取り付けられている。
【0028】
本実施形態の一対のメインフレーム17のそれぞれは、図5に示されるように、L字状の部材であり、上記の着座部13の一対の支持部材13dを下方および車椅子11の幅方向両側から支持することが可能である。一対のメインフレーム17と一対の支持部材13dとは、いずれか一方に設けられた凸部と他方に設けられた凹部とが嵌合するなどの既知の連結方法によって着脱自在に連結される。
【0029】
一対のサブフレーム18のそれぞれは、各メインフレーム17において後輪15よりも前方でかつメインフレーム17よりも下方に延びるように設けられている。一対のサブフレーム18のそれぞれの前端部には、一対の前輪16のそれぞれが回転自在に取り付けられている。
【0030】
図3に示される後輪15は、金属または硬質樹脂(FRPなど)製のスポークホイール15aと、ゴムまたは軟質樹脂製のタイヤ15bとを備えている。スポークホイール15aは、側面視で円環状のリム15cと、メインフレーム17に回転自在に軸支されたハブ15dと、ハブ15dから放射状に延びてリム15cの内周面に連結された複数本(図3では3本)のスポーク15eとから構成されている。一方、前輪16は、キャスタなどからなり、サブフレーム18の先端部に対して上下方向の軸を中心として首振り可能であり、転動方向を変えることが可能である。
【0031】
一対のフットレスト21は、車椅子利用者の足が載置される部分である。一対のフットレスト21は、一対のフットレストアーム22を介して一対のサブフレーム18における前輪16よりも上方の位置に取り付けられている。
【0032】
係合部12は、車両1における乗降口3を開閉するフロントドア4と係合することが可能な構成を有する。
【0033】
係合部12は、ボディフレーム14の任意の位置に配置することが可能である。本実施形態では、ボディフレーム14の中でも剛性が高いメインフレーム17に取り付けられている。
【0034】
本実施形態の係合部12は、具体的には、本体部であるフック12aと、回転ばね12bとを有する。フック12aは、その先端部に下向きに突出したかぎ12a1を有し、メインフレーム17の外側面において回転ばね12bを介して上下方向に揺動自在に取り付けられている。回転ばね12bは、フック12aを常時下方へ回転する向きに付勢している。なお、係合部12は、回転ばね12bが無くてもよく、フック12aが板ばねの性質を有していてもよい。その場合、フック12aは、先端部に上方へ外力が加わったときに自己の弾性力によって下方へ復帰することが可能であればよい。
【0035】
図6に示されるように、本実施形態では、上記の係合部12のフック12aは、車両1の側面の乗降口3を開閉するフロントドア4が所定の開度で開いて(例えば、半開きの状態で)既存の保持機構によって保持された状態において、車椅子11をフロントドア4に近づけたときには、係合部12のフック12aは、車室内側のドアポケット4b1の開口縁4b2に接触して上方へ押し上げられた後、回転ばね12bの付勢力によって下方へ移動する。これにより、フック12a(具体的には、フック12aの下向きに突出したかぎ12a1)はドアポケット4b1の開口縁4b2に係合することが可能である。
【0036】
なお、フック12aは、フロントドア4に係合する係合部として機能できればよく、ドアポケット4b1の開口縁4b2の代わりにフロントドア4の車両内側のトリムなどのドア部品の凹部または凸部に係合してもよい。
【0037】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の車椅子11は、車椅子11の利用者が着座する着座部13と、着座部13を支持するボディフレーム14と、ボディフレーム14の左右両側に回転自在に軸支された車輪(一対の後輪15および一対の前輪16)と、車両1における乗降口3を開閉するドア、例えばフロントドア4と係合することが可能な係合部12を備えている。
【0038】
かかる構成によれば、車椅子11が備える係合部12が、車両1における乗降口3を開閉するフロントドア4(具体的には、ドアポケット4b1)と係合することが可能である。したがって、車椅子11と車両1とが別部材を介在することなく直接連結されるので、車椅子利用者の車両1への乗降に際して、車両1に対して安定した状態で車椅子11を固定することが可能である。
【0039】
なお、車椅子11の係合部12が係合するドアは乗降口3を開閉するドアであればよく、フロントドア4以外にも、リアドア5でもよい。
【0040】
また、上記実施形態の車椅子11は、車椅子11が係合部12を備えているので、特許文献1記載の従来技術のように車両1内部に乗降板を含む乗降アシスト機構を設置しなくてもよいので、車室内のスペースを狭くすることがないという利点もある。
【0041】
(2)
本実施形態の車椅子11では、係合部12は、フロントドア4の車室内側に形成されたトリム部材4bの凹部であるドアポケット4b1に係合可能な構成として、フック12aを有する。
【0042】
かかる構成によれば、係合部12のフック12aがフロントドア4の車室内側に形成された当該ドアポケット4b1に係合することにより、車椅子11をフロントドア4に容易にかつ安定して固定することが可能である。そのため、車椅子利用者は、車椅子11から車両1のシート6へ容易に乗り移ることが可能である。しかも、シート6へ乗り移った後は、フック12aをドアポケット4b1から取り外すことにより、車椅子11と車両1との固定状態を容易に解除することが可能である。
【0043】
なお、ドアポケット4b1などの凹部の代わりに凸部をフロントドア4の表面(とくに車室内側のトリム部材4などの表面)に設けてもよい。例えば、ドアポケット4b1以外のトリム部材4bの他の部位にフック12aが係合可能な凸部または凹部を設けてもよい。
【0044】
(3)
本実施形態の車椅子11では、凹部は、フロントドア4のトリム部材4bに設けられたドアポケット4b1によって形成されている。係合部12のフック12aは、ドアポケット4b1によって形成された凹部に係合可能な構成として、ドアポケット4b1に係合できるように、下方に突出するかぎ12a1を有する。
【0045】
かかる構成によれば、係合部12のフック12a(具体的には、フック12aの下向きに突出したかぎ12a1)は、ドアポケット4b1によって形成された凹部に係合することにより、車椅子11をフロントドア4に容易に固定することが可能である。また、既存のドアポケット4b1によって形成された凹部を車椅子11の固定に用いることにより、車椅子11の固定専用の凹部をフロントドア4に形成する必要がなくなる。その結果、車椅子11を固定するための車両の変更や改造が不要になる。
【0046】
(変形例)
(A)
上記の実施形態では、図6に示されるように、車椅子11の係合部12は、フロントドア4のドアポケット4b1に係合可能な下向きのフック12aを有しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
本発明のさらに他の変形例として、図7~8に示されるように、係合部12は、フロントドア4のドア本体4aの下端部4cに係合可能な下端係合部としてのフック12aを有する構成であってもよい。
【0048】
図7~8の係合部12は、フック12aと、回転ばね12bとを有する点では上記の図3~5に示される係合部12と共通する。ただし、図7~8に示されるフック12aは、その先端部に上向きに突出したかぎ12a1を有し、メインフレーム17の外側面において回転ばね12bを介して上下方向に揺動自在に取り付けられている。回転ばね12bは、フック12aを常時上方へ回転する向きに付勢している。なお、係合部12は、回転ばね12bが無くてもよく、フック12aが板ばねの性質を有していてもよい。その場合、フック12aは、先端部に下方へ外力が加わったときに自己の弾性力によって上方へ復帰することが可能であればよい。
【0049】
図8に示されるように、この変形例では、車椅子11を所定の開度で開いた状態のフロントドア4に近づけたときには、係合部12のフック12aは、フロントドア4のドア本体4aの下端部4cに接触して下方へ押し上げられた後、回転ばね12bの付勢力によって上方へ移動する。これにより、フック12a(具体的には、フック12aの上向きに突出したかぎ12a1)はフロントドア4の下端部4c1に係合することが可能である。
【0050】
上記の図7~8に示される変形例では、係合部12の下端係合部としてのフック12aがフロントドア4の下端部4cに係合することにより、車椅子11をフロントドア4に容易に固定することが可能である。この構成では、とくに、車高の高い車両においても、車椅子11をフロントドア4に容易に固定することが可能である。
【0051】
なお、係合部12は、図7~8に示されるフロントドア4の下端部4cに係合するフック12a(すなわち、下端係合部)および図3~6に示されるフロントドア4のドアポケット4b1に係合するフック12a(すなわち、ドアポケット係合部または上側係合部)の両方を備えていてもよく、その場合、車椅子11をフロントドア4にさらに安定して固定することが可能である。
【0052】
(B)
本発明では、車両1の乗降口は、車両1の側面の乗降口3でなくてもよく、車両1の後部に開口するリアゲートであってもよい。その場合も、係合部12によって、車椅子11を車両1の後部に開口するリアゲートを開閉する扉部材に固定することが可能である。これにより、車椅子11から車両1後部のリアゲートを通して車両1に乗降することが可能である。
【0053】
(C)
本発明では、係合部12の一例として、車両1の乗降口3を開閉するフロントドア4のドアポケット4b1や下端部4cなどの凸部または凹部に係合可能なフック12aを有する例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。係合部12の他の例として、車両のドアのロック機構などに用いられるラッチ機構および当該ラッチ機構に係合するストライカなどの被係合部のうちのいずれか一方が車椅子11に取り付けられてもよい。その場合、ラッチ機構および被係合部のうちの他方がドアに取り付けられるようにすればよい。
【符号の説明】
【0054】
1 車両
2 車体
3 乗降口
4 フロントドア
5 リアドア
6 シート
11 車椅子
12 係合部
12a フック
13 着座部
14 ボディフレーム
15 後輪
16 前輪
17 メインフレーム
18 サブフレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8