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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】コンクリート打設用圧送管固定金具
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20230921BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20230921BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
E04G21/02
F16B2/12 B
F16B2/06 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019151579
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021025399
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000157197
【氏名又は名称】丸井産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 啓
(72)【発明者】
【氏名】宮川 慎也
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3118572(JP,U)
【文献】特開2001-276267(JP,A)
【文献】特開2004-328881(JP,A)
【文献】特開2014-190539(JP,A)
【文献】特開2007-292272(JP,A)
【文献】特開平09-133111(JP,A)
【文献】特開2000-346242(JP,A)
【文献】特開2009-249918(JP,A)
【文献】特開平03-217558(JP,A)
【文献】特開昭62-244969(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109138431(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/00-21/10
F16B 2/00-2/26
F16L 3/00-3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
H形鋼を用いた柱や梁にコンクリートを圧送する圧送管を固定するための固定金具であって、H形鋼のフランジ部に固定する固定部材と、該固定部材に接合され圧送管を支持する支持部材とを有し、
前記支持部材は、一対の透孔が間隔をあけて設けられた支持板と、端部に形成された一対のネジ部及び該一対のネジ部を繋ぐU字屈曲部を有し、該一対のネジ部が該支持板の一方側から他方側へ向かって該一対の透孔に挿通され、U字屈曲部と支持板の該一方側の面との間に前記圧送管を挟み込んで固定するUボルトと、該支持板の該他方側から該ネジ部へ螺合するナットと、を備え、
前記固定部材は、対向する一対の挟持片と該一対の挟持片間の挟持口とにより略コの字形をなし、該挟持口において前記H形鋼のフランジ部を固定する挟持体と、一方の該挟持片に設けた貫通ネジ穴から前記他方の挟持片に向かって進退可能に螺着した押圧ボルトと、を有するクランプ金具と、該クランプ金具が内面に沿うように固着する略L字状の支持座とを備え、該支持座を介して前記支持板の該他方側に接合されていることを特徴とするコンクリート打設用圧送管固定金具。
【請求項4】
前記アーム部は、長手方向に沿って延びる長孔有し、
前記固定部材は、該長孔におけるボルト及びナットの締緩により、該長孔に沿って移動可能に前記アーム部と接合されていることを特徴とする請求項に記載のコンクリート打設用圧送管固定金具。
【請求項5】
前記アーム部は、少なくとも2つの前記固定部材が接合され、
前記固定部材は、前記H形鋼の前記一方側及び前記他方側に配置され、該一方側及び該他方側から該H形鋼のフランジ部にそれぞれ固定されることを特徴とする請求項又はに記載のコンクリート打設用圧送管固定金具。
【請求項7】
前記固定部材は、前記押圧ボルトが前記圧送管の長手方向と略直交する方向へ進退可能な状態で、前記支持部材に接合されることにより、前記H形鋼の長手方向と前記圧送管の長手方向とを略並行に固定可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のコンクリート打設用圧送管固定金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、構造物の柱や梁に用いるH形鋼にスラブ等に打設するコンクリートを送る圧送管を固定するためのコンクリート打設用圧送管固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柱や梁にH形鋼を用いた構造物として鉄骨造があるが、例えば、鉄骨造のスラブにコンクリートを打設する場合で、特に高層階の場合には地上面に配置するコンクリートポンプ車から圧送管を通してコンクリートを圧力で打ち上げて階上のスラブ等にコンクリートを打設していた。
その際、圧送管は梁や柱のH形鋼のフランジ部に圧送管を固定するUボルトを直接、あるいは、支持プレート等を介して溶着、あるいは、ボルト挿通用透孔を穿設してボルト、ナットで固着するなど、構造材となるH形鋼に加工を施していたことが開示されている。(特許文献1)
【0003】
しかし、構造材となるH形鋼に固定部材を溶接すること、あるいは、ボルト挿通用透孔を穿設することは、H形鋼自体の強度劣化を招くことになり構造上の問題が発生すると共に、作業性においても、圧送管の固定位置はコンクリートを運搬するミキサー車やコンクリートポンプ車の配置場所や構造物の状況により現場で判断して決定されるために、固定部材の溶接や穿孔の作業が現場作業となるため非常に煩雑で作業性が悪いなどの問題点が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3118572号公報
【文献】実開昭60-87964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記従来の課題に鑑みなされたもので、その目的は、構造物の梁や柱としてH形鋼を使用する際、そのフランジ部に溶接やボルト挿通用透孔の穿設等の加工を施すことなく、H形鋼のフランジ部に圧送管を強固に固定できる共に、脱着作業も簡単にできることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するためのコンクリート打設用圧送管固定金具は、H形鋼を用いた柱や梁にコンクリートを圧送する圧送管を固定するための固定金具であって、H形鋼のフランジ部に固定する固定部材と、該固定部材に接合され圧送管を支持する支持部材とを有し、
前記支持部材は、一対の透孔が間隔をあけて設けられた支持板と、端部に形成された一対のネジ部及び該一対のネジ部を繋ぐU字屈曲部を有し、該一対のネジ部が該支持板の一方側から他方側へ向かって該一対の透孔に挿通され、U字屈曲部と支持板の該一方側の面との間に前記圧送管を挟み込んで固定するUボルトと、該支持板の該他方側から該ネジ部へ螺合するナットと、を備え、
前記固定部材は、対向する一対の挟持片と該一対の挟持片間の挟持口とにより略コの字形をなし、該挟持口において前記H形鋼のフランジ部を固定する挟持体と、一方の該挟持片に設けた貫通ネジ穴から前記他方の挟持片に向かって進退可能に螺着した押圧ボルトと、を有するクランプ金具と、該クランプ金具が内面に沿うように固着する略L字状の支持座とを備え、該支持座を介して前記支持板の該他方側に接合されていることを特徴とする。
【0007】
圧送管固定金具について、前記固定部材が複数個の前記クランプ金具を有してもよい。
【0008】
圧送管固定金具について、前記支持部材は、前記支持板から前記他方側へ向かって延出するアーム部を有し、該支持板と該アーム部とが略T字形をなしてもよい。
【0009】
圧送管固定金具について、前記アーム部は、長手方向に沿って延びる長孔を有し、前記固定部材は、該長孔におけるボルト及びナットの締緩により、該長孔に沿って移動可能に前記アーム部と接合されてもよい。
【0010】
圧送管固定金具について、前記アーム部は、少なくとも2つの前記固定部材が接合され、前記固定部材は、前記H形鋼の前記一方側及び前記他方側に配置され、該一方側及び該他方側から該H形鋼のフランジ部にそれぞれ固定されてもよい。
【0011】
圧送管固定金具について、前記固定部材は、前記押圧ボルトが前記圧送管の長手方向と略平行する方向へ進退可能な状態で、前記支持部材に接合されることにより、前記H形鋼の長手方向と前記圧送管の長手方向とを略直交させて固定可能であってもよい。
なお、「略直交」とは、各部材の公差及び製造誤差等を考慮して、H形鋼の長手方向と圧送管の長手方向とが交差する角度が90度±数度の範囲も含まれるものとする。
【0012】
圧送管固定金具について、前記固定部材は、前記押圧ボルトが前記圧送管の長手方向と略直交する方向へ進退可能な状態で、前記支持部材に接合されることにより、前記H形鋼の長手方向と前記圧送管の長手方向とを略平行にして固定可能であってもよい。
なお、「略平行」とは、各部材の公差及び製造誤差等を考慮して、H形鋼の長手方向と圧送管の長手方向との角度の差異が数度の範囲も含まれるものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、H形鋼のフランジ部に固定する固定部材と、該固定部材に接合され圧送管を支持する支持部材とからなり、前記固定部材は対向する一対の挟持片とそれら挟持片間の挟持口とにより略コの字形をなす挟持体と、該挟持体の一方の挟持片に設けた貫通ネジ穴から他方の挟持片に向かって進退可能に螺着した押圧ボルトからなるクランプ金具と、該クランプ金具が内面に沿うように固着する略L字状の支持座とを備え、該支持座を介して前記支持板の該他方側に接合されていることにより、H形鋼のフランジ部に該挟持口を外嵌した状態で押圧ボルトをフランジ面に向かって締め込むことで、クランプ金具を強固に固定することができると共に、圧送管で送るコンクリートに掛る圧力に抗する必要な固定力を得ることができる。また、複数の金具を必要とする場合には、複数の金具を支持座に固着して一体化できるので、取り扱いやすくなる。
前記支持部材は、一対の透孔が間隔をあけて設けられた支持板と、端部に形成された一対のネジ部及び該一対のネジ部を繋ぐU字屈曲部を有し、該一対のネジ部が該支持板の一方側から他方側へ向かって該一対の透孔に挿通され、U字屈曲部と支持板の該一方側の面との間に前記圧送管を挟み込んで固定するUボルトと、該支持板の他方側から該ネジ部へ螺合するナットとを備えたことにより、圧送管を支持板に当接した状態でUボルトを抱合させ、ナットを締め付けることで、容易にしかも確実に固定することができる。すなわち、圧送管をH形鋼のフランジ部に強固に固定することができる。
【0014】
固定部材が複数個のクランプ金具を有するため、H形鋼に取り付ける固定力を高めることができる。
【0015】
支持部材は、支持板から他方側へ向かって延出するアーム部を有し、支持板とアーム部とがT字形をなすことにより、固定部材に対し、アーム部が任意の位置で接合することで、圧送管をH形鋼から適宜離れた位置でも対応して固定することができる。
【0016】
アーム部は、長手方向に沿って延びる長孔を有し、前記固定部材は、該長孔におけるボルト及びナットの締緩により、前長孔に沿って移動可能にアーム部と接合されていることにより、H形鋼に支持部材を固定した際に、支持板がH形鋼から離反方向に進退可能になるので、H形鋼から圧送管が任意に離れて距離が一定でない場合であっても、支持部材が進退することで対応して確実に固定することができる。
【0017】
前記アーム部は、少なくとも2つの前記固定部材が接合され、前記固定部材は、前記H形鋼の前記一方側及び前記他方側に配置され、該一方側及び該他方側から該H形鋼のフランジ部にそれぞれ固定されることにより、圧送管の振動による固定金具からの外れを防止して信頼性の高い固定金具を提供することができる。
【0018】
前記固定部材は、前記押圧ボルトが前記圧送管の長手方向と略平行する方向へ進退可能な状態で、前記支持部材に接合されることにより、前記H形鋼の長手方向と前記圧送管の長手方向とを略直交させて固定可能であることにより、該固定部材を梁のH形鋼に固定した場合に鉛直方向の圧送管を確実に固定することができる。
【0019】
前記固定部材は、前記押圧ボルトが前記圧送管の長手方向と略直交する方向へ進退可能な状態で、前記支持部材に接合されることにより、前記H形鋼の長手方向と前記圧送管の長手方向とを略平行にして固定可能であることにより、該固定部材を柱のH形鋼に固定した場合に鉛直方向の圧送管を確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1を示す斜視図1である。
図2】本発明の実施形態1を示す斜視図2である。
図3】本発明の実施形態1を示す側面図である。
図4】本発明の実施形態1を示す斜視図3である。
図5】本発明の実施形態2を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態3を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態1の使用状態図である。
図8】本発明の実施形態2の使用状態図である。
図9】本発明の実施形態3の使用状態図である。
図10】本発明の実施形態4を示す斜視図1である。
図11】本発明の実施形態4を示す側面図である。
図12】本発明の実施形態4を示す斜視図2である。
図13】本発明の実施形態4の組立を示す説明図である。
図14】本発明の実施形態4を示す斜視図3である。
図15】本発明の実施形態5を示す斜視図である。
図16】本発明の実施形態6を示す斜視図である。
図17】本発明の実施形態4の使用状態図である。
図18】本発明の実施形態5の使用状態図である。
図19】本発明の実施形態6の使用状態図である。
図20】本発明の実施形態4の外れ防止部材を除外した形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
なお、本明細書では説明の便宜上、支持板の面に対して、圧送管が固定される方向を「一方側」と呼び、H形鋼が固定される方向を「他方側」と呼ぶ。また、圧送管の長手方向を上下方向とする。ただし、この上下方向は本実施形態を説明するために規定した方向であり、圧送管及びコンクリート打設用圧送管固定金具が取り付けられる方向を限定するものではない。
本発明の実施形態に係るコンクリート打設用圧送管固定金具は、H形鋼を用いた梁にコンクリートを圧送する圧送管を固定するための固定金具であって、H形鋼のフランジ部に固定する固定部材20と、固定部材20に接合され圧送管を支持する支持部材10とを有する。
H形鋼Aは長手方向から見てH形であり、ウェブ部D と、ウェブ部Dの両端部に形成されたフランジ部B、Bとを有する。圧送管Cは、円筒状である。
まず、本発明の実施形態1の各構成について、図1図3により説明する。
図1から図3に示すように、10は支持部材であり、薄鋼鈑からなる支持板11には、一対の透孔12、12が左右に間隔をあけて設けられる。それら透孔12、12にはUボルト13の両端に設けた一対のネジ部14、14が支持板11の一方側から他方側へ向かって挿通され、支持板11の他方側からナット15、15をそれぞれ螺着する。ナット15、15は、緩み防止のため2重に締め込むことが望ましいので、各2個設ける。
支持板11の上下縁はプレス加工により他方側に一体的に屈曲させて、長手方向の剛性を高めると共に、圧送管の外周が当接する当接部16、16とし、圧送管の外径に沿うように円弧状に切欠いている。Uボルト13の一対のネジ部14、14を繋ぐU字屈曲部17 と支持板11の他方側に設けられた該切欠き部の面との間に圧送管を挟み込み、安定して保持することができる。
20は固定部材であり、並列する2つのクランプ金具21、21とからなる。
クランプ金具21、21は、上下に対向する一対の挟持片22、23とそれら挟持片22、23間となる挟持口24とにより、側面視して略コの字形をなす挟持体25と、一方の挟持片22に設けた貫通ネジ穴26に他方の挟持片23に向かって上下方向に進退可能に螺着した押圧ボルト27からなる。
挟持体25は、押圧ボルト27が他方の挟持片23に向かって締め付けられることにより、挟持口24においてH形鋼のフランジ部を固定する。挟持体25は冷間あるいは熱間鍛造加工により一体的に成形して、安定した強度を得る形態とする。
【0022】
固定部材20と支持部材10との接合は、支持部材10の支持板11の圧送管が当接する一方側とは反対の他方側に挟持体25を溶接により固定するが、挟持体25を溶接する向きを変えることで、H形鋼を柱に使用しその柱に沿って圧送管を固定する場合、あるいは、H形鋼を梁に使用してその梁に圧送管を固定する場合に対応することができるので以下に説明する。
(実施形態1)
H形鋼を梁に使用する場合は図4に示すように、固定部材20を取付けるH形鋼のフランジ部の長手方向に対して、圧送管は略直交した状態となる。支持板11の他方側面に、挟持体25の挟持口24を他方側へ向いて開口させ、押圧ボルト27が圧送管の長手方向と略平行する方向へ進退可能な状態になるように、溶接により2体の挟持体25、25を左右に並列して接合する。
(実施形態2)
H形鋼を柱で使用し、圧送管をその柱のフランジ縁部の長手方向に沿って略平行に固定する場合を説明する。図5に示すように、H形鋼Aのウェブ部Dは支持板11と略平行に対向し、フランジ部B、Bは支持板11と略直交する方向に突出し、固定部材20を取付けるH形鋼のフランジの長手方向に対して、圧送管は略平行状態となる。支持板11の他方側面には、挟持体25の挟持口24を他方側へ向いて開口させ、押圧ボルト27が圧送管の長手方向と略直交する方向へ進退可能な状態となるように、溶接により2体の挟持体25、25を上下に並列して固定する。
(実施形態3)
H形鋼を柱で使用し、圧送管をその柱のフランジ広面の長手方向に沿って略平行に固定する場合を説明する。図6に示すように、H形鋼Aのウェブ部Dは支持板11と略直交し、フランジ部B、Bの面は支持板11と略平行であり、固定部材20を取付けるH形鋼のフランジ部の長手方向に対して、圧送管は略平行状態となる。支持板12の他方側面には、挟持体25の一方の挟持片23の外面側を、押圧ボルト27が圧送管の長手方向と略直交する方向へ進退可能な状態となるように、溶接により2体の挟持体25、25を上下に並列して固定する。
【0023】
圧送管で送るコンクリートに掛る圧力は、コンクリートを送る時間当たりの量や打設場所までの距離、階高により異なり、このコンクリートを送る圧力が大きくなれば、コンクリートを送る際の圧送管の振動が大きくなるので、より大きな固定力が必要となり、それらの条件により固定部材20のクランプ金具21の個数を変えることで対応することができる。すなわち、ここでは2つのクランプ金具が並列した形態で説明したが、圧力が小さい場合は1つにすることや、反対に圧力が大きく、より大きな固定力を求める場合には個数を増やすことも可能である。(図示省略)
【0024】
実施形態1の使用状態を図7に基づいて説明する。
図7に示すように、まず、固定部材20のクランプ金具21、21を梁のH形鋼Aのフランジ部Bに対して挟持口23を外嵌した状態で押圧ボルト27をフランジ面に向かって締め込むことで、挟持体25、25は、H形鋼Aの一方のフランジ部Bの片側をそれぞれ固定する。
次に圧送管Cを支持板11の当接部16、16に当接した状態でUボルト13を抱合させ、裏側からナット15、15を締め付けて固定させる。
このように使用することにより、H形鋼の長手方向と圧送管の長手方向とを略直交させて固定することができる。
コンクリート打設後、圧送管の撤去の際に本発明の固定金具もH形鋼から取り外して、転用することができるものである。
【0025】
また、実施形態2及び実施形態3も上記と同様の手順で、柱のH形鋼Aのフランジ部Bに固定部材20を取り付け、支持部材で圧送管Cを固定することで、それぞれの目的に応じた使用状態となるので説明は省略する(図8及び図9参照)。
【0026】
(実施形態4)
本発明の実施形態4の各構成について、図10図13により説明する。
図10から図13に示すように、100は支持部材であり、薄鋼鈑からなる支持板110に一対の透孔120、120が左右に間隔をあけて設けられる。
115はアーム部であり、長手方向の剛性を高めるために両端が下方に向けて屈曲した断面略コの字型の支持面116のほぼ中央に長手方向に沿って長孔117を設けた。また、アーム部115は、支持板110から他方側へ向かって延出するようにその先端を支持面116の他方側の面に溶接により固定し、支持板110とアーム部115とにより略T字形に形成する。
前記支持板の形態及び、その他構成となるUボルト、ナットについては実施形態1と同じであるので説明を省略する。
また、長孔117に代えて複数個の透孔(図示省略)を設けてもよく、適宜間隔で段階的に調整することができる効果が期待できる。
200は固定部材であり、長孔117におけるボルト300及びナット310の締緩により、長孔117に沿って移動可能にアーム部115と接合されている。固定部材200のクランプ金具210の形態は実施形態1と同じであるので省略するが支持座280に2つ溶接により固定する。
支持座280は、前記アーム部115の幅長さより幅広のアングル状であり、上下方向に延出するX座面281と左右方向に延出するY座面282の2辺からなり、X座面281の内面に前記挟持片230の外面が、Y座面282の内面に前記クランプ金具210の挟持口240の外面が沿うように配置、固定され、挟持体25の挟持口24は他方側へ向いて開口している。
ここでは溶接で接合する説明をしたが、挟持体にネジ穴を穿設し、そのネジ穴に合う透孔を支持座に設け、前記ネジ穴にボルトをねじ込んで固定することもできる。(図示省略)
400はフランジ部Bからコンクリート打設用圧送管固定金具が外れるのを防止するための固定部材(以下、外れ防止部材と呼ぶ)であり、固定部材200と対向させて配置され、長孔117におけるボルト300及びナット310の締緩により、長穴117に沿って移動可能にアーム部115と接合されている。外れ防止部材400は、前記固定部材200と同形態であるがクランプ金具210は1つとしている。
また、外れ防止部材400を備えることなく、固定部材200にアーム部115をボルト300ナット310で固定することもできるが、その場合は前記ボルト300ナット310を2本使用することで安定して固定することができる。(図20参照)
【0027】
支持部材100と固定部材200との接合は、支持部材100のアーム部115と長孔117を介して前記固定部材200の支持座280の透孔283とをボルト300及びナット310で固定する。
また、支持部材100と外れ防止部材400との接合も同様に、支持部材100のアーム部115と長孔117を介して前記外れ防止部材400の支持座410の透孔420とをボルト300及びナット310で固定する。
これらボルト300ナット310の締緩により、前記固定部材200及び外れ防止部材400に対して前記支持部材100がアーム部115の長孔117に沿って移動可能となるように接合するが、支持部材100の支持板110とアーム部115を固定する向き及び支持部材100と固定部材200の接合位置の組み合わせにより、H形鋼を柱に使用しその柱に沿って圧送管を固定する場合、あるいは、H形鋼を梁に使用してその梁に圧送管を固定する場合に対応することができるので以下に説明する。
また、外れ防止部材400は固定部材200に常に対向状態となるよう、それぞれ挟持体250の挟持口240を対向させて長孔117に固定される。支持部材100を固定する位置は固定部材200と同じになるために説明を省略する。
(実施形態4)
H形鋼を梁に使用する場合は図14に示すように、固定部材200を取付けるH形鋼のフランジ部の長手方向に対して、圧送管は略直交した状態となる。支持板110とアーム部115を固定する向きは、支持面116が圧送管の長手方向と略直交になるように固定すると共に、支持部材100のアーム部115を固定部材200の支持座280のX座面281側に前記ボルト300ナット310で固定する。固定部材200はH形鋼の一方側に配置され、外れ防止部材400はH形鋼の他方側に配置され、一方側及び他方側からH形鋼のフランジ部にそれぞれ固定可能である。
(実施形態5)
H形鋼を柱で使用し、圧送管をその柱のフランジ縁部の長手方向に沿って略平行に固定する場合を説明する。図15に示すように、固定部材200を取付けるH形鋼のフランジ部の長手方向に対して、圧送管は略平行状態となるので、支持板110とアーム部115を固定する向きは、支持面116が圧送管の長手方向と略平行になるように固定すると共に、支持部材100のアーム部115を固定部材200の支持座280のX座面281側に前記ボルト300ナット310で固定する。
(実施形態6)
H形鋼を柱で使用し、圧送管をその柱のフランジ広面の長手方向に沿って略平行に固定する場合を説明する。図16に示すように、固定部材200を取付けるH形鋼のフランジ部の長手方向に対して、圧送管は略平行状態となる。支持板110とアーム部115を固定する向きは、支持面116が圧送管の長手方向と略平行になるように固定すると共に、支持部材100のアーム部115を固定部材200の支持座280のY座面282側に前記ボルト300ナット310で固定する。
【0028】
実施形態4の使用状態を図17に基づいて説明する。
図17に示すように、固定部材200及び外れ防止部材400の押圧ボルト270は、圧送管Cの長手方向と略平行する方向へ進退可能な状態である。まず、固定部材200のクランプ金具210、210を梁のH形鋼Aのフランジ部Bに対して挟持口230を外嵌した状態で押圧ボルト270をフランジ面に向かって締め込むことでそれぞれ固定する。
次に固定部材200と支持部材100を接合するボルト300ナット310を緩めて、支持板115をアーム部115の長孔117に沿って、圧送管Cに向かって移動させ、当接部160、160に当接した状態でUボルト130を抱合させ、裏側からナット150、150を締め付けて固定させる。
コンクリート打設後、圧送管の撤去の際に本発明の固定金具もH形鋼から取り外して、転用することができるものである。
【0029】
また、実施形態5及び実施形態6も上記と同様の手順で、柱のH形鋼Aのフランジ部Bに固定部材200を取り付け、支持部材100で圧送管Cを固定することで、それぞれの目的に応じた使用状態となるので説明は省略する(図18及び図19参照)。
【符号の説明】
【0030】
10、100 支持部材
11、110 支持板
115 アーム部
116 支持面
117 長孔
12、120 透孔
13、130 Uボルト
14、140 ネジ部
15、150 ナット
16、160 当接部
17 U字屈曲部
20、200 固定部材
21、210 クランプ金具
22、220 挟持片
23、230 挟持片
24、240 挟持口
25、250 挟持体
27、270 押圧ボルト
280 支持座
281 X座面
282 Y座面
283 透孔
300 ボルト
310 ナット
400 固定部材(外れ防止部材)
410 支持座
420 透孔
A H形鋼
B フランジ部
C 圧送管
D ウェブ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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