IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NAKANの特許一覧

<>
  • 特許-保護シート貼付ユニット 図1
  • 特許-保護シート貼付ユニット 図2
  • 特許-保護シート貼付ユニット 図3
  • 特許-保護シート貼付ユニット 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】保護シート貼付ユニット
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/00 302
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023113359
(22)【出願日】2023-07-10
【審査請求日】2023-07-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522502439
【氏名又は名称】株式会社NAKAN
(74)【代理人】
【識別番号】100123939
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 和仁
(72)【発明者】
【氏名】中田 昌文
(72)【発明者】
【氏名】方 建華
【審査官】村上 遼太
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-007871(JP,A)
【文献】特開2015-215587(JP,A)
【文献】特開2017-007163(JP,A)
【文献】特開2017-161575(JP,A)
【文献】特開2020-134952(JP,A)
【文献】特開2021-043283(JP,A)
【文献】特開2023-019826(JP,A)
【文献】中国実用新案第215156001(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C1/00-11/06
G09F9/00-9/46
H04M1/02-1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電子機器に貼り付けるための保護シートと、携帯電子機器に対する保護シートの貼り付け作業を支援するための貼付支援治具と、を有する保護シート貼付ユニットであって、
前記保護シートは、
前記携帯電子機器に貼り付けるべき粘着面を有する保護シート本体と、
前記保護シート本体の粘着面を剥離可能な状態で覆うように構成された剥離シートと、
前記剥離シートを剥離するために前記剥離シートに接続されるとともに、その一部が前記貼付支援治具の外部に露出するように構成された帯状の引出シートと、
前記保護シート本体の粘着面の反対側の面に剥離可能に貼り付いた位置固定シートと、
を有し、
前記貼付支援治具は、
前記保護シート本体を収容可能な開口部を有する平面視で額縁状の保護シート支持部と、
前記保護シート支持部に接続されるとともに前記携帯電子機器の側面に係合可能な側壁部と、
前記保護シート本体と前記携帯電子機器との間に間隙を設けるための位置決め部と、
を有し、
前記保護シート本体が前記開口部に収容された状態において、前記位置固定シートが前記保護シート本体および前記保護シート支持部に剥離可能に貼り付いており、
前記位置決め部が、前記携帯電子機器に当接する当接面と、前記保護シート本体の前記携帯電子機器の方への移動を案内する案内面と、を有することを特徴とする保護シート貼付ユニット。
【請求項2】
前記側壁部の一部または全部が二重構造であることを特徴とする請求項1に記載の保護シート貼付ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器に貼り付けるための保護シートと、携帯電子機器に対する保護シートの貼り付け作業を支援するための貼付支援治具と、を有する保護シート貼付ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットPC等の携帯電子機器(モバイル機器)は、頻繁に持ち運ばれるため、落下等によって損傷するリスクが高い。そのため、携帯電子機器のユーザは、携帯電子機器を保護するためのケースやカバーを利用することが多い。とりわけ、携帯電子機器の表示画面を保護するための透明保護シートが利用されることが特に多い。
【0003】
ところが、表示画面の保護用の透明保護シートは、塵埃の侵入や気泡の発生を防ぎつつ、適正な位置に貼り付ける必要があり、塵埃が侵入したり気泡が発生したり斜めに貼り付けてしまったりすると、携帯電子機器の外観を損ねたり、表示画面が見にくくなったりするという不都合があった。
【0004】
そこで、近年では、保護シートを携帯電子機器の適正な位置に貼り付ける作業を支援するための様々な治具等が開発されるようになった(例えば、特許文献1~5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-043283号公報
【文献】特開2023-007871号公報
【文献】特許第7008351号公報
【文献】特許第6984934号公報
【文献】特許第6693623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1~5を含む従来技術は、保護シートを貼り付けるべき携帯電子機器を下から支持するための下側支持部材や、この下側支持部材の上側を覆うためのカバー部材等の多くの部品を用いており、部品点数が多くなるというデメリットがあった。
【0007】
この発明の目的は、部品点数を少なく抑えつつ、塵埃の侵入や気泡の発生を防ぎつつ、携帯電子機器の適正な位置に保護シートを適正に貼り付けることを可能にする保護シート貼付ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る保護シート貼付ユニットは、携帯電子機器に貼り付けるための保護シートと、携帯電子機器に対する保護シートの貼り付け作業を支援するための貼付支援治具と、を有する。
【0009】
保護シートは、保護シート本体、剥離シート、引出シート、および位置固定シートを有する。これらの部品は、透明部材で構成され、透明度(透過性)が高いことが好ましい。保護シート本体の素材の例としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0010】
保護シート本体は、携帯電子機器(通常は、携帯電子機器の表示面)に貼り付けるべき粘着面を有する。剥離シートは、保護シート本体の粘着面を剥離可能な状態で覆うように構成される。
【0011】
引出シートは帯状を呈しており、剥離シートを剥離するために剥離シートに接続されるとともに、その一部が貼付支援治具の外部に露出するように構成される。この構成により、貼付支援治具の外部に露出した引出シートの一部を手指でつまんで、剥離シートを剥離させやすくなる。
【0012】
位置固定シートは、保護シート本体の粘着面の反対側の面に剥離可能に貼り付いている。位置固定シートは、保護シートの位置を固定するためのものであり、通常、保護シートよりも面積が大きくなるように設計される。
【0013】
一方で、貼付支援治具は、保護シート支持部、側壁部、および位置決め部を有する。貼付支援治具の素材の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)等が挙げられる。保護シート支持部は、保護シート本体を収容可能な開口部を有する平面視で額縁状を呈している。保護シート支持部は、保護シート本体の周囲の大部分を取り囲む額縁部を有しておれば良く、必ずしも保護シート本体の周囲の全域を取り囲む額縁部が必要となるわけではない。
【0014】
側壁部は、保護シート支持部に接続されるとともに携帯電子機器の側面に係合可能に構成されている。通常、側壁部は保護シート支持部の端部から直交するように延び出すことによって、携帯電子機器の側面をガッチリとホールドするように構成される。
【0015】
位置決め部は、保護シート本体と携帯電子機器との間に間隙を設けるための構成である。位置決め部の構成の例としては、携帯電子機器の当接面の端部に当接するように配置されたスペーサ部材等が挙げられる。
【0016】
上述の保護シート貼付ユニットにおいて、保護シート本体が開口部に収容された状態において位置固定シートが保護シート本体および保護シート支持部に剥離可能に貼り付いている。つまり、位置固定シートによって、保護シートおよび保護シート支持部が覆われることになる。
【0017】
このような構成を採用することにより、保護シートの位置固定のための位置固定シートが貼付作業領域を覆うことになるため、保護シート本体と携帯電子機器との間に塵埃等の異物が侵入する可能性が低い。
【0018】
また、保護シート本体の位置固定を解除するために位置固定シートを剥離した後には、保護シート本体の全域が外部に解放されることになり、保護シート本体の任意の箇所を手指等で押圧することが可能になる。 この結果、保護シート本体と携帯電子機器との間に気泡が入りにくく、たとえ気泡が入った場合であっても適宜手指の押圧によって気泡を排出させ易い。
【0019】
さらに、剥離シートを剥離することによって保護シート本体の粘着面を露出させたときにおいて、位置決め部によって保護シート本体と携帯電子機器との間に間隙(例えば、1~3mm程度)が設けられるため、保護シート本体および携帯電子機器の状態や位置関係等を最終的に確認した上で、貼付作業に移行することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、部品点数を少なく抑えつつ、塵埃の侵入や気泡の発生を防ぎつつ、携帯電子機器の適正な位置に保護シートを適正に貼り付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る保護シート貼付ユニットの概略構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る保護シート貼付ユニットの使用例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る保護シート貼付ユニットの使用例を示す図である。
図4】保護シート貼付ユニットのバリエーションの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1(A)および図1(B)に示すように、保護シート貼付ユニット10は、保護シート12および貼付支援治具14を備える。保護シート12は、透明部材で構成されており、スマートフォンやタブレット端末等の携帯電子機器100に貼り付けるように構成されている。貼付支援治具14は、携帯電子機器100に対する保護シート12の貼り付け作業を支援するように構成されている。
【0023】
保護シート12は、図1(B)に示すように、保護シート本体122、剥離シート124、引出シート126、および位置固定シート128を備える。保護シート本体122は、携帯電子機器100に貼り付けるべき粘着面を有する。剥離シート124は、保護シート本体122の粘着面を剥離可能な状態で覆うように構成される。
【0024】
引出シート126は、帯状を呈しており、剥離シート124を剥離するために剥離シート124に接続されるとともに、その一部が貼付支援治具14の外部に露出するように構成される。
【0025】
位置固定シート128は、保護シート本体122の粘着面の反対側の面に剥離可能に貼り付いている。位置固定シート128は、保護シート本体122の全域と後述の保護シート支持部142の両方に適正に貼り付けるために、保護シート本体122よりも少しサイズが大きくなっている。また、位置固定シート128は、手指でつまみやすいように輪郭形状の一部が外側に広がっている。
【0026】
貼付支援治具14は、保護シート支持部142、側壁部144、および位置決め部146を備える。保護シート支持部142は、保護シート本体122を収容可能な開口部148を有しており、平面視で額縁状を呈している。ここで、額縁状とは、開口部148の周囲の大部分を取り囲む額縁部を有する形状を意味している。
【0027】
側壁部144は、保護シート支持部142に接続されるとともに携帯電子機器100の側面に係合可能に構成されている。位置決め部146は、図2(C)に示すように、保護シート本体122と携帯電子機器100との間に間隙を設けるために設けられている。
【0028】
この実施形態では、位置決め部146は、保護シート支持部142および側壁部144の接続部に凸状に設けられたスペーサ部材として機能する。さらに、図2(D)に示すように、携帯電子機器100の位置決めのための面と直交する面が保護シート本体122を携帯電子機器100に貼り付ける際のガイド面として機能する。なお、位置決め部146の配置位置や構成は図2(C)および図2(D)に示すものに限定されるものではない。
【0029】
続いて、図2(A)~図2(D)を用いて、保護シート貼付ユニット10を用いた保護シート貼付作業の概要を説明する。保護シート貼付ユニット10を使用する前に、携帯電子機器100の上面等を十分に清掃し、塵埃や油汚れ等を除去しておくことが好ましい。
【0030】
保護シート貼付ユニット10は、通常、対象となる携帯電子機器100の機種ごとに最適なサイズに設計されている。このため、図2(A)に示すように、適合するサイズの携帯電子機器100の上から保護シート貼付ユニット10をかぶせると、図2(B)に示すように、貼付支援治具14に携帯電子機器100がぴったりとはまり、側壁部144が携帯電子機器100に係合する。
【0031】
貼付支援治具14に携帯電子機器100がぴったりはまった状態において、図2(C)に示すように、位置決め部146が携帯電子機器100上面の端部に当たることによって、携帯電子機器100の上面と保護シート12との間に間隙が設けられることになる。間隙は、引出シート126の動作を円滑に行うためには大きい方が好ましい一方で、貼付作業中に携帯電子機器100の上面と保護シート12との間に塵埃が侵入することを防止する観点からは小さい方が好ましい。この実施形態では、間隙が1mm程度になるように、位置決め部146のサイズを設計している。
【0032】
貼付支援治具14に携帯電子機器100がぴったりはまり、側壁部144が携帯電子機器100に係合したことが確認できると、まず、図3(A)に示すように、引出シート126をゆっくりと引っ張ることによって、保護シート本体122の粘着面に付いている剥離シート124を剥がす。
【0033】
剥離シート124が完全に剥離されることによって、図3(B)に示すように、保護シート本体122の粘着面が露出した状態になる。このとき、保護シート本体122は、位置固定シート128によって保護シート支持部142側に固定されているため、保護シート本体122の粘着面が携帯電子機器100に接触することはない。このため、保護シート本体122を貼付する前に、保護シート本体122の位置ずれの有無や、携帯電子機器100や保護シート本体122への異物の付着の有無等を最終確認することが可能になる。
【0034】
最終確認の結果、貼付作業の続行を決断したときには、図3(C)に示すように、位置固定シート128をゆっくりと保護シート支持部142から剥がす作業に移行する。位置固定シート128の剥離作業が完了すると、図3(D)に示すように、保護シート本体122を携帯電子機器100側に押し付けることが可能になる。
【0035】
このとき、保護シート本体122の上側は完全に開放されているため、保護シート本体122の全面の任意の箇所を指で押して、携帯電子機器100に貼付することができる。保護シート本体122は、図2(D)で示した位置決め部146のガイド面によって適切に携帯電子機器100の方に案内されるため、最終段階で位置ずれが発生することがない。しかも、保護シート本体122の全面の任意の箇所を指で押すことが可能であるため、万一、保護シート本体122と携帯電子機器100の間に気泡が発生するようなことがあっても、すぐに適切な指の押圧によって気泡を除去する作業を行うことが可能である。
【0036】
上述のように、保護シート貼付ユニット10は、携帯電子機器100との係合と保護シート本体122の位置固定を単一のユニット体で行うことが可能であり、携帯電子機器100の表示面側からかぶせる単一のユニット体として構成が完結しているため、従来品に比較して部品点数を削減することができる。
【0037】
また、携帯電子機器100と保護シート本体122との間に好適に設けられたクリアランスによって、引出シート126の引き出し作業を円滑に行うことができ、しかも、貼付作業の最終段階に移行する前に、位置や異物の最終確認が可能であるため、貼付作業の失敗がほとんど発生しない。
【0038】
さらには、最終確認後に、保護フィルム本体122が携帯電子機器100の表示面に到達して貼り付くまでの間に、位置決め部146のガイド面によって位置ずれの発生が適正に防止される。
【0039】
上述した保護シート貼付ユニット10において、例えば、図4(A)に示すように、側壁部144を二重構造にしても良い。このような構成を採用すれば、貼付支援治具14による携帯電子機器100のホールド性能をより一層向上させることが可能になる。
【0040】
また、図4(B)に示すように、 保護シート貼付ユニット10を携帯電子機器100にかぶせた際に、作業台にぴったりと当たる底面構造を採用しても良い。このような構成を採用することにより、貼付作業をより一層安定した状態で行うことが可能になる。
【0041】
さらに、図4(C)に示すように、保護シート支持部142の額縁部が保護シート本体122の周囲を完全に囲むような構成を採用しても良い。この構成を採用することにより、位置固定シート128による保護シート本体122の固定力をより一層強化することができ、保護シート本体122が不意に携帯電子機器100に接触するような不都合が発生しなくなる。
【0042】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
10-保護シート貼付ユニット
12-保護シート
14-貼付支援治具
100-携帯電子機器
122-保護シート本体
124-剥離シート
126-引出シート
128-位置固定シート
142-保護シート支持部
144-側壁部
146-位置決め部
148-開口部
【要約】
【課題】部品点数を少なく抑えつつ、塵埃の侵入や気泡の発生を防ぎつつ、携帯電子機器の適正な位置に保護シートを適正に貼り付けることを可能にする保護シート貼付ユニットを提供する。
【解決手段】保護シート貼付ユニット10は、保護シート12および貼付支援治具14を有する。保護シート12は、保護シート本体122と、剥離シート124と、引出シート126と、位置固定シート128と、を有する。貼付支援治具14は、保護シート支持部142と、側壁部144と、保護シート本体122と携帯電子機器100との間に間隙を設けるための位置決め部146と、を有する。保護シート本体122が開口部148に収容された状態において、位置固定シート128が保護シート本体122および保護シート支持部142に剥離可能に貼り付いている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4