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特許7352259アンモニア燃料電池システムおよび電動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】アンモニア燃料電池システムおよび電動装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04014 20160101AFI20230921BHJP
   C01B 3/04 20060101ALI20230921BHJP
   H01M 8/0606 20160101ALI20230921BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20230921BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20230921BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALI20230921BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20230921BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20230921BHJP
   H01M 8/1039 20160101ALI20230921BHJP
   H01M 8/103 20160101ALI20230921BHJP
   F23C 99/00 20060101ALI20230921BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20230921BHJP
【FI】
H01M8/04014
C01B3/04 B
H01M8/0606
H01M8/04701
H01M8/00 A
H01M8/0662
H01M8/0438
H01M8/10 101
H01M8/1039
H01M8/103
H01M8/00 Z
F23C99/00 308
B60L50/70
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020015474
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021002512
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】201910537684.1
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520039216
【氏名又は名称】フージョウ ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】520039227
【氏名又は名称】ベイジン ハイシン エナジー テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ ルオ
(72)【発明者】
【氏名】リロン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】チョンチ チェン
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-028269(JP,A)
【文献】特開2019-053855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0356738(US,A1)
【文献】特開2017-148745(JP,A)
【文献】特開2014-165042(JP,A)
【文献】特開2010-146994(JP,A)
【文献】特開2019-131454(JP,A)
【文献】特開2009-272214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 - 8/2495
C01B 3/04
F23C 99/00
B60L 50/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア燃料電池システムであって、
アンモニア分解反応装置と、
前記アンモニア分解反応装置の内部温度を制御する加熱装置と、
前記アンモニア分解反応装置により水素燃料電池に水素ガスを供給するように、前記アンモニア分解反応装置と連通する水素燃料電池と、
順次接続されたDC/DCコンバータとインバータを備え、前記水素燃料電池の電圧を昇圧するように、前記DC/DCコンバータが前記水素燃料電池と接続される変換装置と、
前記水素燃料電池から発生する電気エネルギーを蓄積したり、電池スタック内の電気エネルギーを外部に輸送したりするように、前記インバータと双方向に連通し、前記加熱装置とともに、前記アンモニア分解反応装置にエネルギーを供給する電池スタックと、
前記アンモニア分解反応装置と前記水素燃料電池との間に設けられ、熱交換器によりアンモニア分解後に発生したエネルギーでアンモニアを予熱し、予熱されたアンモニアガスが前記アンモニア分解反応装置の内部に入るように、一端が外部からアンモニア供給装置を連設し、他端が前記アンモニア分解反応装置のアンモニアガス入口と連通する熱交換器と、を備え
前記水素燃料電池と連通する第1の空気管路および前記加熱装置と連通する第2の空気管路を含む空気管路をさらに含み、一部の空気、アノード吐出口の出口ガスおよび一部のアンモニアガスが前記熱交換器で熱交換された後、前記加熱装置の内部に入り、前記アンモニア分解反応装置にエネルギーを供給するように、前記アンモニア供給装置と前記水素燃料電池のアノード吐出口は、共に前記第2の空気管路と連通し、前記加熱装置は多孔質燃焼バーナーまたは触媒燃焼バーナーであることを特徴とするアンモニア燃料電池システム。
【請求項2】
前記熱交換器と前記水素燃料電池との間に設けられるアンモニア除去装置をさらに備え、前記アンモニア除去装置によって未分解のアンモニアを除去することを特徴とする請求項1に記載のアンモニア燃料電池システム。
【請求項3】
前記アノード吐出口の出口ガスと一部のアンモニアガスとの空間速度比は(6~20):1であり、前記アノード吐出口の出口ガスと一部の空気との空間速度比は1:(2~4)であることを特徴とする請求項に記載のアンモニア燃料電池システム。
【請求項4】
前記加熱装置は電気ヒータであり、前記加熱装置にエネルギーを供給するように、前記電池スタックは前記電気ヒータに接続され、
前記水素燃料電池はプロトン交換膜燃料電池であり、
前記電池スタックはニッケル水素電池スタックまたはリチウムイオン電池スタックであることを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア燃料電池システム。
【請求項5】
前記プロトン交換膜燃料電池は低温パーフルオロ酸型PEMFC電池または高温PBI(ポリベンゾイミダゾール)型PEMFC電池であり、
前記プロトン交換膜燃料電池が低温パーフルオロ酸型PEMFC電池である場合、前記プロトン交換膜燃料電池の作動温度は50~90°Cであり、
前記プロトン交換膜燃料電池が高温PBI(ポリベンゾイミダゾール)型PEMFC電池である場合、前記プロトン交換膜燃料電池の作動温度は150~190℃であることを特徴とする請求項に記載のアンモニア燃料電池システム。
【請求項6】
前記アンモニア分解反応装置内にルテニウム系触媒が装填され、前記アンモニア分解反応装置の作動温度は400~650℃であり、空間速度は500~10000mL/(gcat・h)であることを特徴とする請求項に記載のアンモニア燃料電池システム。
【請求項7】
電動装置であって、請求項1~のいずれか1項に記載のアンモニア燃料電池システムを用いた電動装置。
【請求項8】
順次接続されるモータコントローラと駆動モータを備える駆動装置をさらに備え、前記モータコントローラにより前記駆動モータを制御するように、前記モータコントローラが前記インバータと双方向に接続されることを特徴とする請求項に記載の電動装置。
【請求項9】
前記電動装置が電動自動車であることを特徴とする請求項またはに記載の電動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア分解技術分野に属し、具体的には、アンモニア燃料電池システムおよび電動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する化学装置であり、電気化学発電機とも呼ばれ、水力発電、熱エネルギー発電と原子力発電に続く第4種の発電技術である。燃料電池は、電気化学反応によって燃料の化学エネルギー中のギブス自由エネルギーの一部を電気エネルギーに変換するため、カルノーサイクル効果の制限を受けず、効率が高い。また、燃料電池は、酸素を原料として使用され、且つメカニカル伝動部材もなく、騒音公害もなく、排出される有害ガスが比較的に少ない。これにより、省エネと生態環境の保護という観点からみれば、燃料電池は比較的良い将来の見通しがあることがわかる。
【0003】
燃料電池は主に酸素や他の酸化剤と燃料で電気化学反応を行うものであり、燃料電池は燃料中の化学エネルギーを電気エネルギーに変換する電池であり、燃料電池で燃料と空気をそれぞれ燃料電池のアノードとカソードに送り込むと、電気が発生する。水素燃料は現在の燃料電池の応用の中で最も理想的な燃料で、効率が高く、燃料の産物が水で、灰や排ガスがなく、環境を汚染することがなく、そして循環使用が可能で、源が広いため、水素燃料は21世紀の最も理想的なエネルギーと考えられている。しかし、水素の貯蔵技術には多くの挑戦があり、常温常圧での水素ガスの体積エネルギー密度は0.0108MJ・L-1で、車両用燃料電池の航続距離のニーズを満たすために、水素の体積エネルギー密度を3MJ・L-1に高めるには、水素ガスを35MPaまで昇圧する必要があり、対応する投資コストが増大しつつ、車両用燃料電池の安全性が低下する。アンモニアは水素ガスの代替燃料として、水素含有量が17.6wt%に達することができ、液化しやすく、エネルギー密度が高く、炭素排出がなく、安全性が高く、燃料コストが低いなどのメリットがあり、2MPaだけでアンモニアを体積エネルギー密度が13MJ・L-1に達する液体に液化でき、圧縮水素貯蔵よりも3~4倍高く、将来の車両用燃料電池車の理想的な燃料の一つである。しかし、アンモニアを車両用燃料電池車に使用した場合、プロトン交換膜燃料電池中のパーフルオロスルホン酸セパレータ中のプロトンが高濃度アンモニアと反応してNH4+イオンを生成し、プロトン交換膜燃料電池(PEMFC)性能の不可逆な減衰を招きやすい。したがって、アンモニア燃料電池システムはアンモニア分解、アンモニア除去、水素燃料電池などの一連の部材装置を結合する必要があり、これらの部材装置の効率的な集積は複雑なエネルギー管理とシステム制御ストラテジーに関し、アンモニア燃料電池システムの運転が不安定になり、エネルギー消費が高くなりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、本発明が解決しようとしている技術的な課題は、従来技術におけるアンモニア燃料電池システムの非設計状況の性能が悪く、エネルギー消費が高く、起動が遅いなどの欠点を克服して、アンモニア燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、下記のような技術的解決手段を提供している。
【0006】
本発明はアンモニア燃料電池システムを提供しており、
アンモニア分解反応装置と、
前記アンモニア分解反応装置の内部温度を制御する加熱装置と、
前記アンモニア分解反応装置により水素燃料電池に水素ガスを提供するように前記アンモニア分解反応装置と連通する水素燃料電池と、
順次接続されたDC/DCコンバータとインバータを備え、前記水素燃料電池の電圧を昇圧するように前記DC/DCコンバータが前記水素燃料電池と接続される変換装置と、
前記水素燃料電池から発生する電気エネルギーを蓄積したり、電池スタック内の電気エネルギーを外部に輸送したりするように前記インバータと双方向に連通し、前記加熱装置とともに、前記アンモニア分解反応装置にエネルギーを供給する電池スタックと、
前記アンモニア分解反応装置と前記水素燃料電池との間に設けられ、熱交換器によりアンモニア分解後に発生したエネルギーでアンモニアを予熱し、予熱されたアンモニアガスが前記アンモニア分解反応装置の内部に入るように、一端が外部からアンモニア供給装置を連設し、他端が前記アンモニア分解反応装置のアンモニアガス入口と連通する熱交換器と、を備える。
【0007】
前記アンモニア燃料電池システムは、前記熱交換器と前記水素燃料電池との間に設けられるアンモニア除去装置をさらに備え、前記アンモニア除去装置によって未分解のアンモニアを除去する。
アンモニアを除去する方法は、吸着方法、絡合方法と選択的触媒酸化方法を含む。
吸着方法として、前記アンモニア除去装置にゼオライト分子篩、活性炭などの吸着剤を装填してアンモニアガスを吸着する。絡合方法として、MgCl2、CuCl2等とアンモニアガスを絡合反応させてアンモニアガスを除去する。選択的触媒酸化方法として、V25、Cr23、MoOx、WOx等の遷移金属酸化物を触媒にしてアンモニアガスを酸化することで、アンモニアガスを除去する。
【0008】
前記アンモニア燃料電池システムは、前記水素燃料電池と連通する第1の空気管路および前記加熱装置と連通する第2の空気管路を含む空気管路をさらに含み、一部の空気、アノード吐出口の出口ガスおよび一部のアンモニアガスが前記熱交換器で熱交換された後、前記加熱装置の内部に入り、前記アンモニア分解反応装置にエネルギーを供給するように、前記アンモニア供給装置と前記水素燃料電池のアノード吐出口は、共に前記第2の空気管路と連通し、前記加熱装置は多孔質燃焼バーナーまたは触媒燃焼バーナーである。
【0009】
さらに、前記アノード吐出口の出口ガスと一部のアンモニアガスとの空間速度比は(620):1であり、前記アノード吐出口の出口ガスと一部の空気との空間速度比は1:(24)である。
【0010】
さらに、前記加熱装置は電気ヒータであり、前記加熱装置にエネルギーを供給するように前記電池スタックは前記電気ヒータと接続され、
前記水素燃料電池はプロトン交換膜燃料電池であり、
前記電池スタックはニッケル水素電池スタックまたはリチウムイオン電池スタックである。
【0011】
前記プロトン交換膜燃料電池は低温パーフルオロ酸型PEMFC電池または高温PBI(ポリベンゾイミダゾール)型PEMFC電池であり、
前記プロトン交換膜燃料電池が低温パーフルオロ酸型PEMFC電池である場合、前記プロトン交換膜燃料電池の作動温度は50~90°Cであり、
前記プロトン交換膜燃料電池が高温PBI(ポリベンゾイミダゾール)型PEMFC電池である場合、前記プロトン交換膜燃料電池の作動温度は150~190℃である。
【0012】
前記アンモニア分解反応装置内にルテニウム系触媒が装填され、前記アンモニア分解反応装置の作動温度は400~650℃であり、空間速度は500~10000mL/(gcat・h)である。
【0013】
本発明は、上述のアンモニア燃料電池システムを用いた電動装置をさらに提供している。
【0014】
前記電動装置は駆動装置をさらに備え、前記駆動装置が順次接続されたモータコントローラと駆動モータを備え、前記モータコントローラにより前記駆動モータを制御するように、前記モータコントローラが前記インバータと双方向に接続される。
【0015】
前記電動装置が電動自動車である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る技術的解決手段は下記のメリットを有している。
【0017】
1. 本発明によって提供されるアンモニア燃料電池システムは、アンモニア分解反応装置、加熱装置、水素燃料電池、順次接続されるDC/DCコンバータとインバータ、電池スタックおよび熱交換器を備える。該システムは、熱交換器をアンモニア分解反応装置と水素燃料電池との間に設け、一端が外部からアンモニア供給装置を連設し、他端がアンモニア分解反応装置のアンモニアガス入口と連通することによって、アンモニア分解後に発生したエネルギーでアンモニアを予熱することで、余熱の回収利用を実現する。該システムは、電池スタックをインバータと連通することで、電池スタックに素早く応答させ、安定的に出力させることができ、電動装置の加速、減速の状況に素早く対応し、システムの動的特性と運転安定性を高めるとともに、電池スタックは水素燃料電池によって発生した電気エネルギーや電池スタック内の電気エネルギーを外部に輸送でき、電気エネルギー利用の最適化を実現し、システムの利用効率を向上させる。該システムは、アンモニア分解反応装置を水素燃料電池と連通することで、水素燃料電池に水素ガスを供給し、DC/DCコンバータが水素燃料電池と接続されることで、水素燃料電池の電圧を昇圧すると、水素燃料電池によって発生した電気エネルギーを外部に輸送できるとともに、外部からアンモニア分解反応装置にエネルギーを供給する必要がなく、電池スタックや加熱装置はアンモニア分解反応装置にエネルギーを供給できる。該アンモニア燃料電池システムは、長期的に安定して運転し、リサイクル利用ができ、柔軟性が高く、エネルギー消費が低く、システム利用率が高いというメリットがある。
【0018】
2. 本発明によって提供されるアンモニア燃料電池システムについて、該システムは、アンモニア除去装置を設けることで、PEMFCへの毒性を効果的に避けることができ、または、高温PBI型PEMFCを用いることで、アンモニア中毒に対する燃料電池の耐性を高めることができ、それによりアンモニア燃料電池システムの耐アンモニアガス毒性を向上させる。
該システムは、加熱装置を多孔質燃焼バーナーまたは触媒燃焼バーナーに設けることで、水素燃料電池の排ガスの再利用が可能となり、燃料の利用率を高めることができる。
該システムは、電池スタックを加熱装置と連通すると、5min内でアンモニア分解反応装置を反応温度に達させることができ、反応温度に達した後、電池スタックの起動時の1/5の電気エネルギーだけでアンモニア分解反応を維持でき、起動が速く、消費電力が少なく、効率が高い。
【0019】
3. 本発明によって提供される電動装置は、順次接続されるモータコントローラと駆動モータを備える駆動装置を備え、モータコントローラにより駆動モータを制御するように、モータコントローラがインバータと双方向に接続され、該駆動装置は、電動装置の加速、減速状況を制御できると同時に、電動装置が減速時に、減速の電気エネルギーを回収でき、電気エネルギーの利用効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の説明において必要な図面を簡単に説明するが、下記の説明における図面は本発明のある実施形態であり、当業者にとって創造的な労働を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは自明である。
【0021】
図1】本発明に係る実施例1におけるアンモニア燃料電池システムの構成模式図である。
図2】本発明に係る実施例2におけるアンモニア燃料電池システムの構成模式図である。
図3】本発明に係る実施例3におけるアンモニア燃料電池システムの構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明をよりよく理解するために、下記の実施例を提供するが、本発明の内容と保護範囲を限定するものではなく、前述の最適な実施形態に限定されるものではなく、誰でも本発明の示唆の下、あるいは本発明と他の従来技術の特徴を組み合わせて得た、本発明と同一または類似の製品は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0023】
実施例において具体的な実験手順や条件が明記されていないものは、本分野の文献に記載されている常の実験手順の操作や条件で行えばよい。使用した試薬や機器にメーカーが明記されていないものは、いずれも市販で入手できる常の試薬製品である。
【0024】
実施例1
図1に示すように、本実施例はアンモニア燃料電池システムを提供しており、
【0025】
アンモニア分解反応装置1と、
アンモニア分解反応装置の内部温度を制御する加熱装置2であって、具体的には、本実施例において、加熱装置は電気ヒータであり、アンモニア分解反応装置内にルテニウム系触媒が装填され、作動温度は500°Cである加熱装置2と、
アンモニア分解反応装置により水素燃料電池に水素ガスを供給するように、アンモニア分解反応装置と連通すると同時に、空気管路とも連通する水素燃料電池3について、具体的には、本実施例において、水素燃料電池は低温パーフルオロ酸型PEMFC(プロトン交換膜燃料電池)であり、低温パーフルオロ酸型PEMFCの作動温度は80℃であり、アノード流路は空気管路と連通し、カソード流路は空気管路と連通する水素燃料電池3と、
順次接続されるDC/DCコンバータ4とインバータ5を備え、水素燃料電池の電圧を昇圧するように、DC/DCコンバータが水素燃料電池と接続される変換装置と、
水素燃料電池から発生する電気エネルギーを蓄積したり、電池スタック内の電気エネルギーを外部に輸送したりするように、インバータと双方向に連通する電池スタック6であって、電気ヒータと接続され、アンモニア分解反応装置にエネルギーを供給し、具体的には、本実施例において、電池スタックはニッケル水素電池である電池スタック6と、
アンモニア分解反応装置と水素燃料電池との間に設けられる熱交換器7であって、熱交換器によりアンモニア分解後に発生したエネルギーでアンモニアを予熱し、予熱されたアンモニアガスがアンモニア分解反応装置の内部に入るように、一端が外部からアンモニア供給装置を連設し、他端がアンモニア分解反応装置のアンモニアガス入口と連通する熱交換器7について、具体的には、本実施例において、アンモニア供給装置はアンモニア貯蔵タンク8である熱交換器7と、
熱交換器と水素燃料電池との間に設けられるアンモニア除去装置9であって、アンモニア除去装置によって未分解のアンモニアを除去し、具体的には、本実施例において、アンモニア除去は、吸着方法を用い、アンモニア除去装置にゼオライト分子篩を装填し、窒素水素混合物におけるアンモニアガスを吸着するために用いられることで、窒素水素混合物におけるアンモニアガスの含有量を0.1ppm未満にすることができるアンモニア除去装置9と、を備える。
【0026】
本実施例は上述のアンモニア燃料電池システムを備える電動装置をさらに提供しており、具体的には、本実施例において、電動装置は電動自動車であり、電動自動車は、
順次接続されるモータコントローラ10と駆動モータ11を備える駆動装置をさらに備え、モータコントローラ10により駆動モータ11を制御するように、モータコントローラ10がインバータと双方向に接続される。
【0027】
ニッケル水素電池が起動すると、電気ヒータに電力を供給し始め、電気ヒータはアンモニア分解反応装置を加熱し、5min内でアンモニア分解反応装置が500℃に達し、アンモニア分解反応装置が設定温度に達した後、ニッケル水素電池は起動時の出力の1/5を保つだけでアンモニア分解反応装置の温度を安定にし、アンモニア分解反応を正常に行わせることを確保でき、アンモニア分解反応装置が500℃に達すると反応し始めて窒素水素混合物が発生し、PEMFCに燃料を供給し、PEMFCが作動し始め、PEMFCはSOCが90%を上回るまでニッケル水素電池を充電し、該システムは可能な配置として、PEMFCの出力は120kWであり、電池スタックは60kWhであり、駆動モータ11の定格出力は120kWである。
【0028】
実施例2
図2に示すように、本実施例はアンモニア燃料電池システムを提供しており、
アンモニア分解反応装置1と、
アンモニア分解反応装置の内部温度を制御する加熱装置2であって、具体的には、本実施例において、加熱装置は燃焼ヒータであり、アンモニア分解反応装置内にルテニウム系触媒が装填され、作動温度は500°Cである加熱装置2と、
アンモニア分解反応装置により水素燃料電池に水素ガスを供給するように、アンモニア分解反応装置と連通する水素燃料電池3であって、具体的には、本実施例において、水素燃料電池は低温パーフルオロ酸型PEMFC(プロトン交換膜燃料電池)であり、低温パーフルオロ酸型PEMFCの作動温度は80℃である水素燃料電池3と、
順次接続されるDC/DCコンバータ4とインバータ5を備える変換装置であって、水素燃料電池の電圧を昇圧するようにDC/DCコンバータが水素燃料電池と接続される変換装置と、
水素燃料電池から発生する電気エネルギーを蓄積したり、電池スタック内の電気エネルギーを外部に輸送したりするようにインバータと双方向に連通する電池スタック6であって、具体的には、本実施例において、電池スタックはリチウムイオン電池である電池スタック6と、
アンモニア分解反応装置と水素燃料電池との間に設けられる熱交換器7であって、熱交換器によりアンモニア分解後に発生したエネルギーでアンモニアを予熱し、予熱されたアンモニアガスがアンモニア分解反応装置の内部に入るように、一端が外部からアンモニア供給装置を連設し、他端がアンモニア分解反応装置のアンモニアガス入口と連通し、具体的には、本実施例において、アンモニア供給装置はアンモニア貯蔵タンク8である熱交換器7と、
熱交換器と水素燃料電池との間に設けられるアンモニア除去装置9であって、アンモニア除去装置によって未分解のアンモニアを除去し、具体的には、本実施例において、アンモニア除去は、選択的触媒酸化方法を用いてもよく、Cr23を触媒にして、空気を1%混ぜて、300℃でアンモニアガスを酸化することで、アンモニアガス濃度を1ppm未満にすることができ、代替案として、本実施例において、アンモニア除去も絡合方法を用いてもよく、アンモニア除去装置にMgCl2が装填され、アンモニアガスがアンモニア除去装置を通過したときにMgCl2と絡合反応を発生し、窒素水素混合物中のアンモニアガスの含有量を0.3ppm未満にすることができるアンモニア除去装置9と、
水素燃料電池と連通する第1の空気管路および燃焼ヒータと連通する第2の空気管路を含む空気管路であって、一部の空気、アノード吐出口の出口ガスおよび一部のアンモニアガスを熱交換器で熱交換した後、加熱装置の内部に入り、アンモニア分解反応装置にエネルギーを供給するように、アンモニア供給装置と水素燃料電池のアノード吐出口は、共に第2の空気管路と連通し、具体的には、本実施例において、一部の空気アノード吐出口の出口ガスと一部のアンモニアガスの空間速度比は3:10:1であり、加熱装置は多孔質燃焼バーナーである空気管路と、を備える。
【0029】
本実施例は上述のアンモニア燃料電池システムを備える電動自動車をさらに提供しており、
順次接続されるモータコントローラ10と駆動モータ11を備える駆動装置をさらに備え、モータコントローラ10により駆動モータ11を制御するように、モータコントローラ10がインバータと双方向に接続される。
【0030】
空気、水素燃料電池のアノード吐出口から排出される排ガスとアンモニアガスを燃焼ヒータで混合、燃焼させ、燃焼から放出する熱量はアンモニア分解反応装置の温度を安定にし、アンモニアガス分解反応を正常に行わせることを確保でき、アンモニア分解反応装置が500℃に達すると反応し始めて窒素水素混合物を発生し、PEMFCに燃料を供給し、PEMFCが作動し始め、PEMFCはSOCが90%を上回るまでリチウムイオン電池を充電し、該システムは可能な配置として、PEMFCの電力は120kWであり、バーナーは20kWであり、電池スタックは50kWhであり、駆動モータ11の定格電力は120kWである。
【0031】
実施例3
図3に示すように、本実施例はアンモニア燃料電池システムを提供しており、アンモニア分解反応装置1と、
アンモニア分解反応装置の内部温度を制御する加熱装置2であって、具体的には、本実施例において、加熱装置は電気ヒータであり、アンモニア分解反応装置内にルテニウム系触媒が装填され、作動温度は500°Cである加熱装置2と、
アンモニア分解反応装置により水素燃料電池に水素ガスを供給するように、アンモニア分解反応装置と連通すると同時に、空気管路とも連通する水素燃料電池3であって、具体的には、本実施例において、水素燃料電池は高温PBI-PEMFCであり、高温PBI-PEMFCの作動温度は180℃である水素燃料電池3と、
順次接続されるDC/DCコンバータ4とインバータ5を備え、水素燃料電池の電圧を昇圧するようにDC/DCコンバータが水素燃料電池と接続される変換装置と、
水素燃料電池から発生する電気エネルギーを蓄積したり、電池スタック内の電気エネルギーを外部に輸送したりするようにインバータと双方向に連通する電池スタック6であって、電気ヒータと接続され、アンモニア分解反応装置にエネルギーを供給し、具体的には、本実施例において、電池スタックはニッケル水素電池である電池スタック6と、
アンモニア分解反応装置と水素燃料電池との間に設けられる熱交換器7であって、熱交換器によりアンモニア分解後に発生したエネルギーでアンモニアを予熱し、予熱されたアンモニアガスがアンモニア分解反応装置の内部に入るように、一端が外部からアンモニア供給装置を連設し、他端がアンモニア分解反応装置のアンモニアガス入口と連通し、具体的には、本実施例において、アンモニア供給装置はアンモニア貯蔵タンク8である熱交換器7と、を備える。
【0032】
本実施例は上述のアンモニア燃料電池システムを備える電動装置をさらに提供しており、具体的には、順次接続されるモータコントローラ10と駆動モータ11を備える駆動装置をさらに備え、モータコントローラ10により駆動モータ11を制御するように、モータコントローラ10がインバータと双方向に接続される。
【0033】
ニッケル水素電池が起動すると、電気ヒータに電力を供給し始め、電気ヒータはアンモニア分解反応装置を加熱し、5min内でアンモニア分解反応装置が500℃に達し、アンモニア分解反応装置が設定温度に達した後、ニッケル水素電池は起動時の出力の1/5を保つだけでアンモニア分解反応装置の温度を安定にし、アンモニア分解反応を正常に行わせることを確保でき、アンモニア分解反応装置が500℃に達すると反応し始めて窒素水素混合物が発生し、PEMFCに燃料を供給し、PEMFCが作動し始め、PEMFCはSOCが90%を上回るまでニッケル水素電池を充電し、該システムは可能な配置として、PEMFCの出力は120kWであり、電池スタックは60kWhであり、駆動モータ11の定格出力は120kWである。
【0034】
上記実施例は、明確に説明するための単なる例であるが、実施形態を限定するものではないことが明らかである。当業者にとっては、上記の説明に基づいて、様々な形態の他の変更又は変動を行うことができる。ここでは必要せず且つすべての実施形態を挙げる必要がなく、挙げることもできない。これから生じる明らかな変更又は変動は、依然として本発明の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0035】
1 アンモニア分解反応装置
2 加熱装置
3 水素燃料電池
4 DC/DCコンバータ
5 インバータ
6 電池スタック
7 熱交換器
8 アンモニア貯蔵タンク
9 アンモニア除去装置
10 モータコントローラ
11 駆動モータ
図1
図2
図3