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特許7352263決済システム、携帯端末、および決済方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】決済システム、携帯端末、および決済方法
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/00 20060101AFI20230921BHJP
   G07G 1/01 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G07G1/00 311E
G07G1/01 301D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021112042
(22)【出願日】2021-07-06
(62)【分割の表示】P 2017217283の分割
【原出願日】2017-11-10
(65)【公開番号】P2021182400
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-07-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】碓井 一樹
【審査官】平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-093833(JP,A)
【文献】特開2003-022478(JP,A)
【文献】特開2010-182105(JP,A)
【文献】特表2013-541107(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0175167(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0256395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と情報処理端末とを備え、買物客が購入する商品を決済する際に用いられる決済システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記買物客の操作に応じて、前記購入する複数の商品それぞれ自体に付された第1の識別子を読み取って商品明細を自端末で生成する第1の読取手段と、
前記第1の読取手段により読み取られ前記商品明細に登録された前記複数の商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示手段と、
を備え、
前記情報処理端末は、
決済に関わる識別子として、前記表示された第2の識別子を読み取る第2の読取手段を備えたことを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記情報処理端末は、前記第2の読取手段による読み取りに応じて、決済処理を行う決済処理手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、顧客自身が保有している端末である請求項1または2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記第1の識別子は商品コードに対応し、
前記第2の識別子は、前記複数の商品の商品コードに対応することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の決済システム。
【請求項5】
前記第2の識別子は、前記第1の識別子とは異なる1つの識別子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の決済システム。
【請求項6】
前記携帯端末は商品の個数を入力するための数字入力手段を備え、
前記表示手段は、前記数字入力手段を介して入力された商品の個数、及び、前記第1の読取手段が出力した商品コードに対応する前記第2の識別子を表示する
請求項1ないし5のいずれかに記載の決済システム。
【請求項7】
前記第1の識別子は一次元バーコードであり、前記第2の識別子は二次元バーコードである、請求項1ないし6のいずれかに記載の決済システム。
【請求項8】
前記決済システムは、商品コードとその商品コードが示す商品の価格とを関連付けた商品マスタを格納するための第1の記憶手段を備え、
前記情報処理端末は、入力された商品コードに対応する価格を前記第1の記憶手段から取得し、取得した前記価格に基づいて決済処理を行う、請求項1ないし7のいずれかに記載の決済システム。
【請求項9】
前記決済システムは、商品コードとその商品コードが示す商品の重量とを関連付けた商品マスタを格納する第2の記憶手段を備え、
前記情報処理端末は重量計を備え、
前記情報処理端末は、前記第2の読取手段を介して入力された、前記商品コードが示す商品の重量を、前記第2の記憶手段から取得し、
前記重量計にて計測した、一乃至複数の商品全体の重量と、前記商品マスタから取得した、前記一乃至複数の商品の重量の合計とを比較するための比較手段を、前記情報処理端末は更に備える
請求項1ないし8のいずれかに記載の決済システム。
【請求項10】
買物客の操作に応じて、購入する複数の商品それぞれ自体に付された第1の識別子を読み取って商品明細を自端末で生成する第1の読取手段と、
前記第1の読取手段により読み取られ前記商品明細に登録された前記複数の商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項11】
携帯端末を用いて、買物客の操作に応じて、購入する複数の商品それぞれ自体に付された第1の識別子を読み取って商品明細を自端末で生成する第1の読取段階、
前記携帯端末を用いて、前記第1の読取段階で読み取られ前記商品明細に登録された前記複数の商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示段階、及び、
情報処理端末を用いて、決済に関わる識別子として、前記表示された第2の識別子を読み取る第2の読取段階
を含む決済方法。
【請求項12】
携帯端末を用いて、買物客の操作に応じて、購入する複数の商品それぞれ自体に付された第1の識別子を読み取って商品明細を自端末で生成する第1の読取段階、及び、
前記携帯端末を用いて、前記第1の読取段階で読み取られ前記商品明細に登録された前記複数の商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示段階
を含む携帯端末の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POS(Point Of Sales)端末等からなる決済システムに関し、特に、購入した商品を入力して決済する決済システム、携帯端末、および決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
労働者人口の減少に伴う人手不足は、近年の日本が抱える重要な課題のひとつであり、これからの日本では少ない労働者で業務をこなしていく必要がある。
【0003】
小売業界でも労働者不足が問題になっている。現在の一般的なPOS端末では、買物客一人当たりのPOS端末占有時間が長い。このために買物客がレジの前に長い行列を作りやすい。レジ待ちの行列を短い時間で消化するためには、POS端末を増やしてレジ担当者を増員することが解決策として考えられるが、労働者不足のためにこの解決策を取るのは困難である。
【0004】
他の解決策にセミセルフレジ、セルフレジがある。ここで、商品のバーコード読み取り等、商品の単価及び個数を入力する操作を入力操作と呼ぶものとする。また、入力に基づく合計金額の算出、現金、カード等による支払の受付までの操作を決済操作と呼ぶものとする。セルフレジの場合、入力操作から決済操作まで買物客がPOS端末にて行う。セミセルフレジの場合、通常、入力操作のみをレジ担当者がPOS端末にて行う。決済操作についてはPOS端末とは別に決済端末を設置し、買物客が行う。
【0005】
セルフレジ、セミセルフレジでは決済処理の一部乃至全部を買物客が行う。このため、店舗側は同数のレジ担当者でより多くの決済処理をより短時間で済ませることができる。
【0006】
本発明に関連する技術が記載された文献に特許文献1がある。特許文献1では、店舗内にセルフレジ端末、POS端末を設置する。セルフレジ端末は顧客が自ら購入商品の商品情報を入力する端末であり、入力した購入商品の情報を印刷したレシートを発行する(同文献第0028段落)。この後、顧客がセルフレジ端末で発行されたレシートを持参して、POS端末へ行き、POS端末の担当者にそのレシートを渡すと、その担当者が、POS端末に備えられたスキャナにより、レシートに印刷された2次元コードを読み取らせる(同文献第0030段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-190246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
セミセルフレジ、セルフレジを用いた解決策によれば、セミセルフレジ、セルフレジに対応するPOS端末を新規に導入する必要がある。
【0009】
本発明はこのような状況を鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、決済処理の際に買物客一人当たりが決済端末を占有する時間を短縮することが可能な決済システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、携帯端末と情報処理端末とを備えた決済システムにおいて、前記携帯端末は、顧客の操作に応じて、複数の商品それぞれに付された第1の識別子を読み取る第1の読取手段と、前記第1の読取手段により読み取られた商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示手段と、を備え、前記情報処理端末は、決済に関わる識別子として、前記表示された第2の識別子を読み取る第2の読取手段を備える、決済システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、他の一態様として、顧客の操作に応じて、複数の商品それぞれに付された第1の識別子を読み取る第1の読取手段と、前記第1の読取手段により読み取られた商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示手段とを備える、携帯端末を提供する。
【0012】
また、本発明は、他の一態様として、顧客の操作に応じて、複数の商品それぞれに付された第1の識別子を読み取る第1の読取段階、及び、前記第1の読取手段により読み取られた商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示段階を含む携帯端末の操作方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、他の一態様として、顧客の操作に応じて、複数の商品それぞれに付された第1の識別子を読み取る第1の読取段階、前記第1の読取段階で読み取られた商品に関する情報を含む第2の識別子を表示する表示段階、及び、決済に関わる識別子として、前記表示された第2の識別子を読み取る第2の読取段階を含む決済方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、決済端末において個々の商品から一次元コードを読み取る時間を省略し、買物客一人当たりの決済端末の占有時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態である決済システム1のブロック図である。
図2】決済システム1の動作を説明するための図である。
図3】本発明の第2の実施の形態である決済システム50のブロック図である。
図4】決済システム50の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態である決済システム1について説明する。決済システム1では、買物客がレジに並ぶ前に、買物客自身の携帯端末2を用いて、商品の一次元コード(バーコード)を読み取り、購入する複数商品の一次元コードに対応する商品コードを、ひとつの二次元コードに変換して表示する。決済端末(POS端末)は、表示された二次元コードを読み取り、決済処理を行う。
【0017】
決済システム1は携帯端末2、決済端末3、データベース(DB)4を備える。決済システム1は、例えばスーパーマーケット、コンビニエンスストア等の店舗において、買物客が購入する商品を決済する際に用いられる。店舗内の各商品にはその商品を識別するための識別子として商品コードが付与されていて、その商品コードを表す1次元コード、いわゆるバーコードが商品に添付されているものとする。
【0018】
バーコードを商品に添付する形態は問わない。例えば商品或いはその包装に直接バーコードを印刷してもよいし、バーコードを印刷したシールを商品或いはその包装に貼付してもよい。商品或いはその包装そのものにバーコードを添付する代わりに、その商品を陳列した棚等に表示してもよい。
【0019】
携帯端末2は携帯可能な情報処理装置である。例えば、スマートフォン、携帯電話端末、PDA(Personal Data Assistant)、タブレット、ラップトップコンピュータを携帯端末2として用いることができるが、特に、スマートフォン、タブレットが好適である。スマートフォン、タブレットの場合、携帯端末2は、スマートフォン、タブレットが備える固体撮像素子、表示装置、プロセッサ等のハードウェアと、Android、iOS、Windows mobile等のOS(Operating System)、これらOS上で動作するアプリケーションソフトウェアの組み合わせとして実現される。
【0020】
携帯端末2は、買物客個人の所有物を想定している。携帯端末2が買物客のスマートフォン、タブレットの場合、買物客は、予め上述のアプリケーションソフトウェアをインストールしておくものとする。
【0021】
携帯端末2は、一次元コード読取部21、二次元コード生成部22、表示部23、入力部24、制御部25を備える。
【0022】
一次元コード読取部21は、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal-Oxcide-Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子を備え、商品に添付のバーコードからその商品の商品コードを読み取る。買物客が購入する商品の1次元コードをこの固体撮像素子で撮影する毎に、一次元コード読取部21は、撮影したバーコードからその商品の商品コードを抽出する。また、一次元コード読取部21は、抽出した商品コードに基づいて、商品コードからなる商品明細を生成する。一次元コード読取部21は、一次元コードを読み取る毎に、対応する商品コードを商品明細に追加する。
【0023】
二次元コード生成部22は、商品明細に登録された一乃至複数の商品コードに対応する二次元コードを求め、その二次元コードを示す画像情報を出力する。二次元コードの種類は問わない。例えばQRコード(登録商標)のように、小さな正方形を四隅に配置したマトリックス式の二次元コードであってもよい。或いは、複数のバーコードを上下に重ねたスタック式の二次元コードであってもよい。入力された商品コードの数が多い場合には、複数の二次元コードを生成する。
【0024】
表示部23は液晶ディスプレイ装置、OEL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ装置等のディスプレイ装置である。表示部23は、一次元コード読取部21が生成した最新の商品明細を表示する。また、表示部23は、二次元コード生成部22が生成した二次元コードを表示する。
【0025】
入力部24はキーボード、マウス等の入力装置である。スマートフォン、タブレットの場合は、表示部23と入力部24とを組み合わせてタッチパネルとして実装される。入力部24は数字入力手段としても動作する。
【0026】
制御部25は携帯端末2の各部を制御する制御装置であり、プロセッサ、メモリ等を備える。
【0027】
決済端末3は例えばPOS(Point Of Sales)端末である。決済端末3は店舗のレジに設置される。店舗のレジ担当者は、決済端末3を操作して決済処理を行い、買物客から代金を受け取り、釣銭とレシートを買物客に渡す。決済端末3は二次元コード読取部31、決済処理部32を備える。尚、決済端末3は、セルフレジ、セミセルフレジであってもよい。この場合、レジ担当者が行う操作を買物客が行う。
【0028】
二次元コード読取部31は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を備え、携帯端末2の表示部23に表示された二次元コードを読み取り、一乃至複数の商品コードを抽出する。
【0029】
決済処理部32は、二次元コード読取部31が出力する商品コードに基づいて、決済処理を行う。決済処理部32は、二次元コード読取部31から受け取った商品コードに対応する価格を、後述する商品マスタ41から受け取り、その価格に基づいて買物客が購入しようとしている商品の合計金額を算出する。その後、決済処理部32は、算出した合計金額に基づいて、現金、カード等による決済を行う。
【0030】
データベース4は商品マスタ41を格納するデータベース管理システムである。商品マスタ41は、店舗が販売している商品のそれぞれについて、その商品を示す商品コード、その商品の商品名、その商品の価格、その商品の在庫数等を互いに関連付けて格納したテーブルである。データベース4及び商品マスタ41は、商品コードとその商品コードが示す商品の価格とを関連付けた商品マスタを格納するための記憶手段として機能する。
【0031】
尚、決済端末3の構成は、二次元コード読取部31を備えること以外については一般的な構成である。つまり、店舗に既に設置済みのPOS端末に、二次元コード読取部31として例えばQRバーコードリーダーを追加すれば決済端末3を実現可能である。このため、既存のPOS端末を基に比較的低コストで店舗に決済端末3を設置することができ、導入コストを抑えることができる。
【0032】
決済システム1の動作の概要について説明する。買物客は、自身が所有する携帯端末2の一次元コード読取部21を用いて、購入する商品毎に、その商品の一次元コード(バーコード)を読み取り、買物カゴに入れていく。買物客は、購入する商品をすべて買物カゴに入れるまで、この作業を繰り返す。購入する商品すべてから一次元コードを一次元コード読取部21で読み取り、それら商品を買物カゴに入れた後、買物客は携帯端末2に所定の操作を行う。この所定の操作に応じて、携帯端末2の二次元コード生成部22は、読み取った複数の商品の商品コードから二次元コードを生成し、その二次元コードを表示部23で表示する。レジ担当者は、決済端末3の二次元コード読取部31を用いて、その表示された二次元コードを読み取る。決済端末3の決済処理部32は、その二次元コードに対応する一乃至複数の商品コードを取得する。決済端末3の決済処理部32は、取得した商品コードに基づいて、データベース4の商品マスタ41に商品の価格を問い合わせる。
【0033】
決済システム1の動作について図2を参照して詳しく説明する。
【0034】
買物客は、店舗内に陳列された商品の中から購入したい商品を選択し、選択した商品を買物カゴに入れる。商品を買物カゴに入れる際、買物客は携帯端末2の一次元コード読取部21を用いてその商品のバーコードを読み取る。一次元コード読取部21は、バーコードを読み取った商品を商品明細に順次登録する(ステップS1)。商品明細は一次元コード読取部21で読み取った一次元コードが示す商品コードのリストである。同一の商品を複数購入する場合には、その商品の個々についてバーコードを読み取ることとしてもよい。或いは、1個の商品からバーコードを読み取った後、入力部24を介して個数を入力することとしてもよい。商品明細に登録した商品の購入を中止する場合、買物客は、入力部24を介して、表示部23に表示された商品明細から該当する明細行を削除する操作を行う。
【0035】
購入するすべての商品が決まったら、買物客は、入力部24を介して所定の操作を行う。この所定の操作に応じて、二次元コード生成部22は、商品明細に基づいて二次元コードを生成する。表示部23はその二次元コードを表示する(ステップS2)。そのまま買物客は決済端末3の前に移動する。
【0036】
レジ担当者は、二次元コード読取部31を用いて、表示部23に表示された二次元コードを読み取る(ステップS3)。決済端末3がセルフレジ、セミセルフレジのような無人端末の場合には、買物客が決済端末3を用いてこの操作を行う。
【0037】
決済端末3の決済処理部32は、二次元コードが示す商品コードに基づいて、データベース4の商品マスタ41から各商品の価格を取得(ステップS4)し、購入する商品全体の合計金額を算出し、決済を行う(ステップS5)。
【0038】
決済システム1によれば次のような効果がある。
【0039】
一般に、端末間のデータを連携する際には、端末間で有線または無線通信を行うことが多い。しかし、買物客が所有する携帯端末を店舗のネットワークに接続することはセキュリティ面から望ましいとはいえない。また、通信設備の敷設が困難な催事場等のオフライン環境では、通信を前提とする手法を用いるのは困難である。しかし、決済システム1では、ディスプレイ装置に表示した二次元コードの光学的な読取を介してデータを伝送する。このため、上述のセキュリティ問題を生じることがなく、また、オフライン環境にも容易に適用することができる。
【0040】
また、決済システム1では、商品のバーコード読取作業を、決済端末3があるレジ周辺以外の場所で行うことができる。このため、決済端末3は、商品のバーコード読取作業を行う必要がない。決済端末3はほぼ決済処理のみを行うだけでよい。決済端末3にて行う処理量が少なくなるため、一人の買物客が決済端末3を占有する時間は短くなり、決済端末3の前で買物客が待つ時間を短縮することができる。または、店舗に設置する決済端末の台数を削減することができ、店舗運営に必要なレジ担当者の数を削減することができる。
【0041】
本発明の第2の実施の形態である決済システム50について説明する。上述の決済システム1では、買物客が商品明細に登録した商品と、買物客が買物カゴに入れた商品とが一致しているか否かを判定していなかった。決済システム50では、両者の一致、不一致を判定する。
【0042】
図3を参照して上述の決済システム1と比較すると、決済システム50は、決済端末3に対応する決済端末3Aが重量計33、重量比較部34を備えることと、商品マスタ41は、店舗が販売している商品のそれぞれについて、その商品の商品コード、その商品の商品名、その商品の価格、その商品の在庫数等に加えて、その商品の重量を互いに関連付けて格納したテーブルであることが異なる。
【0043】
重量計33は、買物客が購入しようとしている商品の重量を計測するための重量計である。重量比較部34は、二次元コード読取部31から取得した商品コードに基づいて、各商品の重量を商品マスタ41から取得する。そして、重量比較部34は、商品マスタ41から取得した重量の合計と、重量計33で計測した商品の重量の合計とを比較する。比較結果に基づいて、重量比較部34は、買物客が商品明細に登録した商品と、買物客が購入しようとしている商品とが一致しているか否かを判定する。不一致の場合、重量比較部34は不一致を通知するメッセージを出力する。
【0044】
図4を参照して決済システム50の動作について説明する。
【0045】
ステップS11~S14は上述のステップS1~S4と同様である。続いて、レジ担当者は、重量計33を使って、買物客が購入しようとしている全商品の重量を計測する(ステップS15)。商品を買物カゴに入れた状態で買物カゴごと重量を計測した後、予め計測した買物カゴ単体の重量を引いてもよい。或いは、買物カゴから商品を出して、商品の重量をひとつずつ計測し、その合計を算出してもよい。
【0046】
次に、重量比較部34は、二次元コード読取部31から取得した商品コードに基づいて、商品マスタ41から各商品の重量を取得し、その合計値を算出する(ステップS16)。
【0047】
次に、重量比較部34は、重量計33で計測した、購入しようとしている商品全体の重量と、商品マスタ41から取得した商品の重量の合計値とを比較する(ステップS17)。
【0048】
両者が一致する場合、重量比較部34は、商品明細に登録された商品と、買物客が購入しようとして持参した商品とが一致していると判定する。この場合は、そのまま決済処理部32が決済処理を実行する。決済処理は上述のステップS5と同様である。
【0049】
一方、両者が不一致の場合、重量比較部34は、不一致を通知するメッセージを出力する。メッセージの出力形態としては、決済端末3Aの不図示のスピーカーから音声として出力する、決済端末3Aの不図示の表示装置から画像或いは動画として出力することが考えられる。これらの組み合わせを用いることとしてもよい。この場合、決済処理部32は決済処理を行わない。
【0050】
尚、決済端末3Aが無人端末であり、レジ担当者がいない場合には、上述のレジ担当者が行う作業を買物客が行う。
【0051】
このように、決済システム50によれば、決済システム1の効果に加えて、購入商品の重量合計について論理値と計測値を比較して、売上明細の妥当性を確認することができるという効果を奏する。
【0052】
本発明は上述の第1及び第2の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、携帯端末2で読み取るコードを一次元コードとし、携帯端末2で表示し、決済端末3/3Aで読み取るコードを二次元コードとして説明した。しかし、これらのコードについては光学的に読取可能なコードであればよい。例えば、一次元コード読取部21の代わりに、OCR(Optical Character Recognition)を行うこととしてもよい。この場合、商品或いはその商品を陳列する棚等には、一次元コードの代わりに人間が可読な文字等(ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、記号等)を用いて、商品名等の商品に関する情報が提示される。この提示された文字等を携帯端末2がOCRによって機械認識する。二次元コード生成部22で生成し、二次元コード読取部31で読み取るコードについても同様である。
【0053】
また、第1及び第2の実施の形態では、携帯端末2は、商品コードからなる商品明細を生成し、表示部23に表示するものとして説明したが、商品コードからなる商品明細の代わりに、或いは、商品名からなる商品明細、商品コード及び商品名からなる商品明細を生成、表示することとしてもよい。例えば、店舗の商品の一部乃至全部の商品コードと商品名の対応関係を示すテーブルを、アプリケーションソフトウェアの一部として携帯端末2の記憶装置に予め格納しておき、商品明細を生成する際にこのテーブルを参照することにより、こうした商品明細を生成することが考えられる。このような商品明細を表示することとすれば、買物客は商品明細に現に登録されている商品を容易に把握することができる。
【0054】
上記の実施形態の一部又は全部は以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0055】
(付記1)
携帯端末及び決済端末を備える決済システムであって、
前記携帯端末は、
光学読取可能な識別子である第1の識別子を光学読取して、前記第1の識別子に対応する商品コードを出力するための第1の読取手段と、
前記商品コードに対応し、光学読取可能な識別子であって、前記第1の識別子とは異なる第2の識別子を出力するための識別子変換手段と、
前記第2の識別子の画像を表示するための表示手段とを備え、
前記決済端末は、
前記表示手段に表示された前記第2の識別子の画像を光学読取して、前記第2の識別子に対応する前記商品コードを出力するための第2の読取手段と、
前記第2の読取手段によって読み取った前記商品コードに基づいて、決済処理を行う決済処理手段とを備える、決済システム。
【0056】
(付記2)
前記識別子変換手段は、複数の前記商品コードに対応する一の前記第2の識別子を出力する、付記1に記載の決済システム。
【0057】
(付記3)
前記携帯端末は商品の個数を入力するための数字入力手段を備え、
前記識別子変換手段は、前記数字入力手段を介して入力された商品の個数、及び、前記第1の読取手段が出力した前記商品コードに対応する前記第2の識別子を出力する
付記1または付記2に記載の決済システム。
【0058】
(付記4)
前記第1の識別子は一次元バーコードであり、前記第2の識別子は二次元バーコードである、付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の決済システム。
【0059】
(付記5)
前記決済システムは、商品コードとその商品コードが示す商品の価格とを関連付けた商品マスタを格納するための記憶手段を備え、
前記決済端末は、入力された商品コードに対応する価格を前記記憶手段から取得し、取得した前記価格に基づいて前記決済処理を行う、付記1乃至付記4のいずれかに記載の決済システム。
【0060】
(付記6)
前記決済システムは、商品コードとその商品コードが示す商品の重量とを関連付けた商品マスタを格納する記憶手段を備え、
前記決済端末は重量計を備え、
前記決済端末は、前記第2の読取手段を介して入力された、前記商品コードが示す商品の重量を、前記記憶手段から取得し、
前記重量計にて計測した、一乃至複数の商品全体の重量と、前記商品マスタから取得した、前記一乃至複数の商品の重量の合計とを比較するための比較手段を、前記決済端末は更に備える
付記1乃至付記5のいずれかに記載の決済システム。
【0061】
(付記7)
光学読取可能な識別子である第1の識別子を光学読取して、前記第1の識別子に対応する商品コードを出力するための第1の読取手段と、
前記商品コードに対応し、光学読取可能な識別子であって、前記第1の識別子とは異なる第2の識別子を出力するための識別子変換手段と、
前記第2の識別子の画像を表示するための表示手段とを備える、携帯端末。
【0062】
(付記8)
前記識別子変換手段は、複数の商品コードに対応する一の前記第2の識別子を出力する、付記7に記載の携帯端末。
【0063】
(付記9)
商品の個数を入力するための数字入力手段を備え、
前記識別子変換手段は、前記数字入力手段を介して入力された商品の個数、及び、前記第1の読取手段が出力した前記商品コードに対応する前記第2の識別子を出力する
付記7または付記8に記載の携帯端末。
【0064】
(付記10)
前記第1の識別子は一次元バーコードであり、前記第2の識別子は二次元バーコードである、付記7乃至付記9のいずれか1つに記載の携帯端末。
【0065】
(付記11)
光学読取可能な識別子である第1の識別子を光学読取して、前記第1の識別子に対応する商品コードを出力する第1の読取手順、
前記商品コードに対応し、光学読取可能な識別子であって、前記第1の識別子とは異なる第2の識別子を出力する識別子変換手順、及び、
前記第2の識別子の画像を表示装置に表示する表示手順
を携帯端末の処理装置に実行させるためのプログラム。
【0066】
(付記12)
前記識別子変換手順は、複数の商品コードに対応する一の前記第2の識別子を出力する、付記11に記載のプログラム。
【0067】
(付記13)
商品の個数を入力する数字入力手順を更に前記処理装置に実行させるプログラムであって、
前記識別子変換手順は、前記数字入力手順を介して入力された商品の個数、及び、前記第1の読取手順が出力した前記商品コードに対応する前記第2の識別子を出力する
付記11または付記12に記載のプログラム。
【0068】
(付記14)
前記第1の識別子は一次元バーコードであり、前記第2の識別子は二次元バーコードである、付記11乃至付記13のいずれか1つに記載のプログラム。
【0069】
(付記15)
携帯端末を用いて、光学読取可能な識別子である第1の識別子を光学読取して、前記第1の識別子に対応する商品コードを求める第1の読取段階、
前記携帯端末を用いて、前記商品コードに対応し、光学読取可能な識別子であって、前記第1の識別子とは異なる第2の識別子を求める識別子変換段階、
前記携帯端末を用いて、前記第2の識別子の画像を表示する表示段階、
前記携帯端末にて表示された前記第2の識別子の画像を、決済端末を用いて光学読取し、前記第2の識別子に対応する前記商品コードを求める第2の読取段階、及び、
前記決済端末を用いて、前記第2の読取段階で読み取った前記商品コードに基づいて、決済処理を行う決済処理段階
を含む決済方法。
【0070】
(付記16)
前記識別子変換段階は、複数の前記商品コードに対応する一の前記第2の識別子を求める、付記15に記載の決済方法。
【0071】
(付記17)
前記携帯端末を介して商品の個数を入力する数字入力段階を更に含み、
前記識別子変換段階は、前記数字入力段階で入力された商品の個数、及び、前記第1の読取段階で求めた前記商品コードに対応する前記第2の識別子を求める
付記15または付記16に記載の決済方法。
【0072】
(付記18)
前記第1の識別子は一次元バーコードであり、前記第2の識別子は二次元バーコードである、付記15乃至付記17のいずれか1つに記載の決済方法。
【0073】
(付記19)
前記決済処理段階は、商品コードに対応する価格を、商品コードとその商品コードが示す商品の価格とを予め関連付けた商品マスタから取得して、取得した前記価格に基づいて前記決済処理を行う、付記15乃至付記18いずれか1つに記載の決済方法。
【0074】
(付記20)
一乃至複数の商品全体の重量を計測する段階、
商品コードとその商品コードが示す商品の重量とを予め関連付けた商品マスタから、前記一乃至複数の商品それぞれの重量を取得する段階、及び、
前記一乃至複数の商品全体の計測した重量と、前記商品マスタから取得した、前記一乃至複数の商品の重量の合計とを比較する段階
を更に含む、付記15乃至付記19のいずれか1つに記載の決済方法。
【符号の説明】
【0075】
1、50 決済システム
2 携帯端末
3、3A 決済端末
4 データベース(DB)
21 一次元コード読取部
22 二次元コード生成部
23 表示部
24 入力部
25 制御部
31 二次元コード読取部
32 決済処理部
33 重量計
34 重量比較部
41 商品マスタ
図1
図2
図3
図4