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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】転造鋼管
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/03 20060101AFI20230921BHJP
   B21H 3/00 20060101ALI20230921BHJP
   B21C 37/16 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
E04C5/03
B21H3/00 A
B21C37/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022094547
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】522233119
【氏名又は名称】セガン スチーラス カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522233120
【氏名又は名称】イ、ジョン グォン
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジョン グォン
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-261153(JP,A)
【文献】特開2002-239670(JP,A)
【文献】特公昭49-012836(JP,B1)
【文献】実用新案登録第2519849(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/03
B21H 3/00 - 3/12
B21C 37/16
E04G 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転造鋼管(300、500)であって、
中空の鋼管胴体部(301、501)の外周面に沿って螺旋状に連続しながら円弧形の凹状に陥没部(303、503)が形成されることによって、前記鋼管胴体部(301、501)の断面方向において陥没している前記陥没部(303、503)と断面方向において突出している突出部(305、505)が長手方向の交互に形成され、
前記鋼管胴体部(301、501)の前記突出部(305、505)の1つの長手方向の長さ(D1)に対する、前記陥没部(303、503)の1つの長手方向の長さ(D2)比率は、1:1.3乃至1:3である構成において、
前記陥没部(303、503)の前記円弧形の曲率半径(R)は、8mm、12mm、及び20mmのうち一つである
ことを特徴とする転造鋼管。
【請求項2】
前記鋼管胴体部(301、501)の断面のうち最小直径(D_min)に対する最大直径(D_max)比率は、1:1.8乃至1:2.1であることを特徴とする、請求項1に記載の転造鋼管。
【請求項3】
前記鋼管胴体部(301、501)の断面における前記陥没部(303、503)の最低点から前記突出部(305、505)の最高点までの長さである前記突出部(305、505)の高さ(H、D3)に対する前記陥没部(303、503)の長さ(D2)比率は、1:5.5乃至1:8.5であることを特徴とする、請求項1に記載の転造鋼管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転造鋼管に関し、より詳細には、付着性に優れながら、折り曲げ性にも優れた転造鋼管に関する。
【背景技術】
【0002】
転造(form rolling、転造)加工とは、転造ダイスの間に素材を挟んで塑性変形させることによって所望の形状に作る加工法である。
【0003】
一方、従来の転造加工作業を行える装置として、韓国登録特許第10-1820641号には、非処理管での多様なサイズに適用可能であり、管端から任意の位置に溝を作成できる転造加工装置が開示されている。
【0004】
上述した特許文献に記載した転造加工装置は、軸部、第1溝掘削部、第2溝掘削部、管端位置決定部材、支持部材などを備える。
【0005】
その他にも、転造加工作業を行える多様な装置が開発されており、転造加工装置によって転造鋼管が製作されている。
【0006】
しかし、従来の転造鋼管の場合、転造鋼管の折り曲げ時に、折り曲げ部位の破損が頻繁に発生するので、転造鋼管の折り曲げ性を向上させるための各条件の研究が切実である。
【0007】
併せて、転造鋼管の付着性を向上させるための各条件の研究も必要である。
【0008】
ここで、付着性は、鉄筋コンクリート構造で鉄筋の応力をコンクリートに伝達するものであり、鉄筋コンクリート構造の基本条件である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国登録特許第10-1820641号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上述した背景でなされたものであって、中空の鋼管胴体部の外周面に沿って螺旋状に円弧形の凹状に陥没部を形成することによって、鋼管胴体部の断面に陥没部と突出部が交互に形成され、突出部の長さに対する陥没部の長さ比率を1:1.3乃至1:3に形成することによって、付着性及び折り曲げ性に優れた転造鋼管を提供することを目的とする。
【0011】
また、鋼管胴体部の断面のうち最小直径と最大直径との比率を1:1.8乃至1:2.1に形成することによって、付着性及び折り曲げ性に優れた転造鋼管を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の目的は、これに制限されるものではなく、言及していない他の目的は、下記の記載から通常の技術者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために、本発明の一実施例は、転造鋼管300、500として、中空の鋼管胴体部301、501の外周面に沿って螺旋状に連続しながら円弧形の凹状に陥没部303、503が形成されることによって、前記鋼管胴体部301、501の断面方向において陥没している前記陥没部303、503と断面方向において突出している突出部305、505が長手方向の交互に形成され、前記鋼管胴体部301、501の断面における前記突出部305、505の1つの長手方向の長さ(D1)に対する、前記陥没部303、503の1つの長手方向の長さ(D2)比率は、1:1.3乃至1:3であることを特徴とする転造鋼管を提供する。
【0014】
また、前記鋼管胴体部301、501の断面のうち最小直径(D_min)に対する最大直径(D_max)比率は、1:1.8乃至1:2.1であることを特徴とする転造鋼管を提供する。
【0015】
また、前記陥没部303、503の前記円弧形の曲率半径(R)は、8mm、12mm、及び20mmのうち一つであることを特徴とする転造鋼管を提供する。
【0016】
また、前記鋼管胴体部301、501の断面における前記陥没部303、503の最低点から前記突出部305、505の最高点までの長さである前記突出部305、505の高さ(H、D3)に対する前記陥没部303、503の長さ(D2)比率は、1:5.5乃至1:8.5であることを特徴とする転造鋼管を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施例によると、中空の鋼管胴体部に形成された陥没部の長さと突出部の長さとの間の特定の比率、突出部の高さと陥没部の長さとの間の特定の比率、鋼管胴体部の最小直径と最大直径との間の特定の比率、陥没部の特定の曲率半径などを通じて転造鋼管の付着性及び折り曲げ性が優秀になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例に係る転造鋼管の斜視図である。
図2図1の部分断面及び部分拡大図である。
図3】本発明の他の実施例に係る転造鋼管の斜視図である。
図4図3の部分断面及び部分拡大図である。
図5】本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
図6】本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
図7】本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
図8】本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
図9】本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
図10】本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
図11】本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳細に説明する。各図面の各構成要素に参照符号を付加するにおいて、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図面上に表示されたとしても、可能な限り、同一の符号を付していることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知の構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合は、それについての詳細な説明は省略する。
【0020】
また、本発明の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎなく、その用語によって該当の構成要素の本質や順序などが限定されることはない。一つの構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載した場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接連結又は接続され得るが、各構成要素の間に更に他の構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」されることもあると理解すべきであろう。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る転造鋼管の斜視図である。図2は、図1の部分断面及び部分拡大図である。図3は、本発明の他の実施例に係る転造鋼管の斜視図である。図4は、図3の部分断面及び部分拡大図である。図5乃至図11は、本発明の実施例である転造鋼管の試作品を多くの曲率半径でベンディングテストした結果、折り曲げ部位が破損しない状態を示した写真である。
【0022】
これらの図面に示したように、本発明の実施例によると、転造鋼管300、500として、中空の鋼管胴体部301、501の外周面に沿って螺旋状に連続しながら円弧形の凹状に陥没部303、503が形成されることによって、鋼管胴体部301、501の断面方向において陥没している陥没部303、503と断面方向において突出している突出部305、505が長手方向の交互に形成され、鋼管胴体部301、501の断面における突出部305、505の長さ(D1)に対する陥没部303、503の長さ(D2)比率は、1:1.3乃至1:3であることを特徴とする。
【0023】
鋼管胴体部301、501は中空を有する。
【0024】
中空の鋼管胴体部301、501は、その外周面に沿って螺旋状に連続しながら円弧形の凹状に形成された陥没部303、503を有する。
【0025】
このような鋼管胴体部301、501の中心軸基準の部分断面は、図2及び図4に示されている。
【0026】
図2及び図4を参照すると、鋼管胴体部301、501の断面は、長手方向の交互に形成される陥没部303、503及び突出部305、505を有する。
【0027】
ここで、突出部305、505の長さ(D1)に対する陥没部303、503の長さ(D2)比率は、1:1.3乃至1:3に形成される。
【0028】
実施例において、突出部305の長さ(D1)が7.69mmで、陥没部303の長さ(D2)が12.31mmであってもよく、突出部305の長さ(D1)が7.69mmで、陥没部303の長さ(D2)が20mmであってもよく、突出部505の長さ(D1)が10.9mmで、陥没部503の長さ(D2)が19.1mmであってもよい。
【0029】
一方、鋼管胴体部301、501の断面のうち最小直径(D_min)に対する最大直径(D_max)比率は、1:1.8乃至1:2.1であってもよい。
【0030】
実施例において、鋼管胴体部301の断面のうち最小直径(D_min)は9.5mmで、最大直径(D_max)は19.71mmであってもよく、最小直径(D_min)は12.6mmで、最大直径(D_max)は22.81mmであってもよく、鋼管胴体部501の断面のうち最小直径(D_min)は17.8mmで、最大直径(D_max)は32.42mmであってもよい。
【0031】
一方、陥没部303、503の深さ(D3)は、1.6mm乃至2.4mmに形成されてもよい。
【0032】
実施例において、陥没部303の深さ(D3)は1.61mmで、陥没部503の深さ(D3)は2.31mmであってもよい。
【0033】
ここで、陥没部303、503の深さ(D3)は、言い換えれば、突出部305、505の高さ(H)で、これは、陥没部303、503の最低点から突出部305、505の最高点までの長さに該当する。
【0034】
一方、本発明の実施例である転造鋼管300、500において、付着性(付着能力-鉄筋コンクリート構造で鉄筋の応力をコンクリートに伝達すること)を向上させるための突出部305、505の高さ(H、D3)と陥没部303、503に対する長さ(D2)比率は、1:5.5乃至1:8.5であってもよい。
【0035】
また、突出部305、505の高さ(H、D3)に対する陥没部303、503の長さ(D2)比率は、1:6.1乃至1:13.6であってもよい。
【0036】
一例として、突出部305、505の高さ(H、D3)は0.9mm乃至2mmで、陥没部303、503の長さ(D2)は12.31mmであってもよい。
【0037】
実施例(実験体2)において、突出部305、505の高さ(H)は1.7mmに、陥没部303、503の長さ(D2)は10mmに形成されてもよい。
【0038】
他の実施例(実験体3)において、突出部305、505の高さ(H)は1.9mmに、陥没部303、503の長さ(D2)は16mmに形成されてもよい。
【0039】
下記の[表1]は、突出部305、505の高さ(H)が1.6mmで、陥没部303、503の長さ(D2)が15.3mmである実験体1の付着強度を1としたときの、上述した実験体2と実験体3の付着強度を示したものである。
【0040】
【表1】
【0041】
[表1]から確認できるように、実験体2と実験体3の付着強度が実験体1に比べて優れることが分かる。
【0042】
一方、陥没部303、503の円弧形の曲率半径(R)は、8mm、12mm、及び20mmのうち一つであってもよい。
【0043】
実施例において、陥没部303の曲率半径(R)は8mm又は12mmで、陥没部503の曲率半径(R)は20mmであってもよい。
【0044】
以上で説明した、本発明に係る転造鋼管の試作品を製作して折り曲げ加工作業を行った結果、図5乃至図11に示したように、折り曲げ部位に破損が発生しなかった。
【0045】
これは、本発明に係る転造鋼管の場合、折り曲げ時、凹状に陥没した陥没部303、503が広がったり折り畳まれながら、折り曲げ部位に加えられる応力を消散及び分散させるためである。
【0046】
以上説明したように、本発明の一実施例によると、中空の鋼管胴体部に形成された陥没部の長さと突出部の長さとの間の特定の比率、突出部の高さと陥没部の長さとの間の特定の比率、鋼管胴体部の最小直径と最大直径との間の特定の比率、陥没部の特定の曲率半径などを通じて転造鋼管の付着性及び折り曲げ性が優秀になるという効果がある。
【0047】
以上で、本発明の実施例を構成する全ての構成要素が一つに結合されたり、これらが結合されて動作すると説明されたからと言って、本発明が必ずしもこのような実施例に限定されるのではない。すなわち、本発明の目的範囲内であれば、その全ての構成要素が一つ以上に選択的に結合して動作することもできる。
【0048】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示された各実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであって、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるのではない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈しなければならなく、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきであろう。
【符号の説明】
【0049】
300、500 転造鋼管
301、501 鋼管胴体部
303、503 陥没部
305、505 突出部
【要約】
【課題】中空の鋼管胴体部の外周面に沿って螺旋状に凹状に陥没部を形成することによって、鋼管胴体部の断面に陥没部と突出部が交互に形成され、突出部の長さと陥没部の長さとの比率を1:1.3乃至1:3に形成することによって、付着性及び折り曲げ性に優れた転造鋼管を提供する。
【解決手段】転造鋼管300、500であって、中空の鋼管胴体部301、501の外周面に沿って螺旋状に連続しながら凹状に陥没部303、503が形成されることによって、前記鋼管胴体部301、501の断面に前記陥没部303、503と突出部305、505が交互に形成され、前記鋼管胴体部301、501の断面における前記突出部305、505の長さD1と前記陥没部303、503の長さD2に対する比率は、1:1.3乃至1:3である転造鋼管を構成する。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11