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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】ゴミ箱
(51)【国際特許分類】
   B65F 1/16 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
B65F1/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019087290
(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2020183300
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 文勇
(72)【発明者】
【氏名】塚田 悠太
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実公昭39-036561(JP,Y1)
【文献】特開2002-037402(JP,A)
【文献】特開2014-136583(JP,A)
【文献】特開平11-005603(JP,A)
【文献】実開平06-014106(JP,U)
【文献】実開昭51-60168(JP,U)
【文献】米国特許第4865214(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部開口のゴミ収容容器と、
該ゴミ収容容器の開口部に軸支される左右両開きの一対の左右蓋と、
該左右蓋の少なくともいずれか一方を、開方向にバネ付勢するバネ部材と、
バネ付勢された蓋を常時、係止して閉状態にし、該係止を解除して開状態とする開閉操作部と、
該左右蓋の基端側を連結し、一方の蓋の開閉に連動して他方の蓋を開閉させる連結体と、を有し、
該開閉操作部の係止を解除することで、該左右蓋は自動的に両開きとなるものであり、該連結体はグースネック状の屈曲部を有することを特徴とするゴミ箱。
【請求項2】
該左右蓋は、天板と、該天板の両側端部から下方に延びる前後側板を有し、
該前後側板の少なくとも一方の側板の基端側には、該開口部に軸支される、前後方向の外側に延びる左右の第1及び第2回転軸を形成し、
該左蓋の該側板であって該第1回転軸から半径Rの位置に連結体の一方の端を軸支する第1突起を形成し、該右蓋の該側板であって該第2回転軸から半径Rの位置に連結体の他方の端を軸支する第2突起を形成し、
(i)該第1突起の回動前及び回動後の位置が該第1回転軸の水平中心線上又はそれより上方に位置し、該第2突起の回動前の位置から回動後の位置が該第2回転軸の水平中心線上又はそれより下方に位置し、該連結体は該第1回転軸の軸中心と該第2回転軸の軸中心を結ぶ線をクロスするか、または
(ii)該第1突起の回動前及び回動後の位置が、該第1回転軸の水平中心線より下方に位置し、該第2突起の回動前の位置から回動後の位置が該第2回転軸の水平中心線より上方に位置し、該連結体は該第1回転軸の軸中心と該第2回転軸の軸中心を結ぶ線をクロスするものであることを特徴とする請求項1記載のゴミ箱。
【請求項3】
該ゴミ収容容器の開口縁に嵌る中央部がくり抜きの蓋枠体を有し、一対の左右蓋、バネ部材、開閉操作部及び連結体は、該蓋枠体に付設されることを特徴とする請求項1記載のゴミ箱。
【請求項4】
該左蓋は、該ゴミ収容容器の上端近傍で、正面視で反時計周りに回動自在に軸支され、該右蓋は、該ゴミ収容容器の上端近傍で、正面視で時計周りに回動自在に軸支されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のゴミ箱。
【請求項5】
該連結体は、該第1突起に一端側が回動自在に嵌る第1軸支孔と、該第2突起に他端側が回動自在に嵌る第2軸支孔と、両端側に延びる長尺状の連結本体とを有することを特徴とする請求項2に記載のゴミ箱。
【請求項6】
該バネ部材は、左右蓋のいずれか一方に付設されており、該開閉操作部は、天板、後方側板及び左右側板を有し、該左右側板には、外側に延びる軸支用の小突起が形成され、該後方側板には、該左右蓋のバネ付勢される蓋に係止する係止部が形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のゴミ箱。
【請求項7】
該左右蓋のバネ付勢される蓋の側板の先端側には、外側の突出する該係止部に係止する蓋側係止部を付設することを特徴とする請求項6に記載のゴミ箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンタッチで左右蓋を両開き状態とするゴミ箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペダル方式の開閉蓋を有するゴミ箱は、種々提案されている。米国特許4865214には、上部開口部を有する容器と、容器に取り付けられ、旋回軸の周りを旋回して上部開口部を開閉する蓋と、蓋を回動自在とする機構が設けられている。この機構は、ペダル部と、蓋と一体に結合された蓋フランジと、ペダル部と蓋フランジとを相互に連結するロッド連結体とを有する。また、蓋フランジは、その厚さを通して形成された細長い孔を有する。細長い孔は、チャネルと、その両端に位置する2つの拡大部とを有する。このゴミ箱によれば、ペダル部を踏むことで、ペダル部が回動して後方端部が上方へ動き、ロッド連結体を押し上げ、これによりロッド連結体の上端部が、チャネルを通って2つの拡大部の内のひとつに係止することで、蓋フランジが回動し、これに伴い蓋が開くものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許4865214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ペダル方式の開閉蓋を有するゴミ箱は、通常、使用時、蓋は略起立状に開く。このため、蓋の開きを許容するための上方の空間が必要となる。ゴミ箱の設置位置は、設置場所の都合、使用者の使用勝手や趣向など種々の要因で決定され、その内、システムキッチンの引き出しの中や棚の下など、上部空間が制限された場所に設置される場合がある。この場合、ペダル方式の開閉蓋を有するゴミ箱は、蓋が半開きとなり、実質的に使用できないという問題がある。また、ダイニングキッチンの引き出しの中では、ペダルは踏めず、当然の如く、使用できない。
【0005】
近年、家庭用のダイニングキッチンは、清潔感及び意匠性の観点から、収納部分が引き出しタイプのものが多くなっている。しかし、従来の台所で使用するゴミ箱は、ダイニングキッチンの引き出しの中に収納できず、足元に置かざるを得ず、ダイニングキッチンの清潔感や意匠性を阻害しているという問題がある。すなわち、ダイニングキッチンの引き出しの中に収納して使用するゴミ箱は、特に高さが限られたスペースの中で、常時、閉状態とし、引き出した後は、収納状態のまま、ワンタッチで開状態にできる必要があるものの、このようなゴミ箱は、未だ、開発されていない。
【0006】
従って、本発明の目的は、限られた高さスペースの引き出し内であっても使用でき、ワンタッチで左右蓋を両開き状態とするゴミ箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するものであって、
上部開口のゴミ収容容器と、
該ゴミ収容容器の開口部に軸支される左右両開きの一対の左右蓋と、
該左右蓋の少なくともいずれか一方を、開方向にバネ付勢するバネ部材と、
バネ付勢された蓋を常時、係止して閉状態にし、該係止を解除して開状態とする開閉操作部と、
該左右蓋の基端側を連結し、一方の蓋の開閉に連動して他方の蓋を開閉させる連結体と、を有し、
該開閉操作部の係止を解除することで、該左右蓋は自動的に両開きとなることを特徴とするゴミ箱を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、該左右蓋は、天板と、該天板の両側端部から下方に延びる前後側板を有し、該前後側板の少なくとも一方の側板の基端側には、該開口部に軸支される、前後方向の外側に延びる左右の第1及び第2回転軸を形成し、
該左蓋の該側板であって該第1回転軸から半径Rの位置に連結体の一方の端を軸支する第1突起を形成し、該右蓋の該側板であって該第2回転軸から半径Rの位置に連結体の他方の端を軸支する第2突起を形成し、
(i)該第1突起の回動前及び回動後の位置が該第1回転軸の水平中心線上又はそれより上方に位置し、該第2突起の回動前の位置から回動後の位置が該第2回転軸の水平中心線上又はそれより下方に位置し、該連結体は該第1回転軸の軸中心と該第2回転軸の軸中心を結ぶ線をクロスするか、または
(ii)該第1突起の回動前及び回動後の位置が、該第1回転軸の水平中心線より下方に位置し、該第2突起の回動前の位置から回動後の位置が該第2回転軸の水平中心線より上方に位置し、該連結体は該第1回転軸の軸中心と該第2回転軸の軸中心を結ぶ線をクロスするものであることを特徴とする前記ゴミ箱を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該ゴミ収容容器の開口縁に嵌る中央部がくり抜きの蓋枠体を有し、一対の左右蓋、バネ部材、開閉操作部及び連結体は、該蓋枠体に付設されることを特徴とする前記ゴミ箱を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、該左蓋は、該ゴミ収容容器の上端近傍で、正面視で反時計周りに回動自在に軸支され、該右蓋は、該ゴミ収容容器の上端近傍で、正面視で時計周りに回動自在に軸支されることを特徴とする前記ゴミ箱を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、該連結体は、該第1突起に一端側が回動自在に嵌る第1軸支孔と、該第2突起に他端側が回動自在に嵌る第2軸支孔と、両端側に延びる長尺状の連結本体とを有することを特徴とする前記ゴミ箱提供するものである。
【0012】
また、本発明は、該バネ部材は、左右蓋のいずれか一方に付設されており、該開閉操作部は、天板、後方側板及び左右側板を有し、該左右側板には、外側に延びる軸支用の小突起が形成され、該後方側板には、該左右蓋のバネ付勢される蓋に係止する係止部が形成されていることを特徴とする前記ゴミ箱提供するものである。
【0013】
また、本発明は、該左右蓋のバネ付勢される蓋の側板の先端側には、外側の突出する該係止部に係止する蓋側係止部を付設することを特徴とする前記ゴミ箱提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、左右蓋のいずれか一方にバネ部材が付設される場合、開閉操作部を作動させ、開状態とすれば、左右蓋の中、バネ付勢された蓋がバネ力により回動し、左右蓋を連結する連結体の動きにより、バネ付勢されていない蓋が連動して回動する。このため、上部空間が制限された場所において、従来の片開き蓋のゴミ箱に対して、半分の上部空間があればよく、使用できる場所の選択が広まる。また、開閉操作部を押すのみで開状態とすることができ、引き出しの中など不安定な設置状態であっても、簡単に蓋の開閉ができる。また、バネ部材を、左右蓋の両者に付設した場合、両開きとなった左右蓋を閉じる際、一方の蓋を閉じるのみで、連結体を作動させ、左右蓋を連動して閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態におけるゴミ箱の斜視図である。
図2図1のゴミ箱の半開き状態に斜視図である。
図3図1のゴミ箱の全開状態の斜視図である。
図4図1のゴミ箱の一部の分解斜視図である。
図5図1のゴミ箱を構成する蓋部の分解斜視図である。
図6図1のゴミ箱の左右両開きの動きを説明する図である。
図7図1のゴミ箱の左右両開きの動きを説明する他の図であり、図6に続く動きである。
図8図1のゴミ箱の左右両開きの動きを説明する他の図であり、図7に続く動きである。
図9図1のゴミ箱の左右両開きの動きを説明する他の図であり、図8に続く動きである。
図10図1のゴミ箱の開閉操作部の閉状態の図である。
図11図1のゴミ箱の開閉操作部の開操作を説明する図である。
図12図1のゴミ箱の開閉操作部の開状態の図である。
図13】本発明のゴミ箱の第1突起及び第2突起の形成位置を説明する図である。
図14】本発明のゴミ箱の第1突起及び第2突起の形成位置を説明する他の図である。
図15】本発明のゴミ箱の第1突起及び第2突起の形成位置を説明する他の図である。
図16】本発明のゴミ箱の第1突起及び第2突起の形成位置を説明する他の図である。
図17】連結体の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態におけるゴミ箱を図1図16を参照して説明する。本明細書において、「前後」および「左右」は、使用者側を正面(手前)側として見た方向を言い、本例では、開閉操作部側である。従って、一対の左右蓋3は、正面から見て、左蓋が反時計回りに回動し、右蓋が時計回りに回動する。
【0017】
ゴミ箱10は、上部開口のゴミ収容容器1と、蓋枠体2と、一対の左右蓋3(31a、31b)と、開閉操作部4と、連結体5と、トーションバネ(バネ部材)6の組付け体である。ゴミ収容容器1は、所定高さと四角形状の上部開口を有する。
【0018】
蓋枠体2は、ゴミ収容容器1の開口縁に嵌る中央部がくり抜きであって、内側面、天面及び外側面を有する底無しの略コ字断面形状であり、前方側部21a、後方側部21b、左側部21c及び右側部21dの四角枠である。本例では、蓋枠体2に、開閉操作部4が付設され、一対の左右蓋31a、31bが取り付けられる。蓋枠体2を使用することで、ゴミ収容容器1と蓋枠体2間にレジ袋等の内容器を取り付けることができ、ゴミ収納容器1を汚さずに済む。
【0019】
蓋枠体2の前方側部21aには、開閉操作部4を収容する収容凹部24が形成されており、収納凹部24の左右内壁面22a、22bには、開閉操作部4の軸支用の小突起43a、43bが係止する係止孔(不図示)が形成されている。また、蓋枠体2の前後側部21a、21bの内壁面であって、左右側部21c、21dの近傍には、左右蓋31a、31bの第1回転軸33a、36a及び第2回転軸33b、36b(不図示)が回動自在に嵌る係止孔25a~25cが形成されている。
【0020】
一対の左右蓋3は、蓋枠体2に回動自在に軸支される左右両開きである。一対の左右蓋3が回動する基端側は、蓋枠体2の左右側部21c、21d側であり、軸支用の回転軸が取り付けられるのは、前後側部21a、21bに付設される係止孔25a~25cである。すなわち、左蓋31aの第1回転軸33aは、ゴミ収容容器1の上端近傍で、正面視で反時計周りに係止孔25a、25cに回動自在に軸支され、右蓋31bの第1回転軸33bは、ゴミ収容容器1の上端近傍で、正面視で時計周りに係止孔25b、25dに回動自在に軸支される。
【0021】
一対の左右蓋3の中、左蓋31aは、略四角形の板状体である天板311aと、天板311aの前後端側の裏面から下方に延びる前方側板312a、後方側板312cを有する。前方側板312aの回動中心側(基端側)には、左蓋31aを回動自在に軸支する第1回転軸33aが付設され、第1回転軸33aの軸中心から半径Rの位置で斜め先端側上方には、連結体5の一端の第1軸支孔51aが係止する第1突起32aが付設されている。Rは大き過ぎると、蓋の厚みが大きく成り過ぎ、小さ過ぎると、第1回転軸33aと第1突起32aが接触し、円滑な開閉操作ができなくなる。具体的には、Rは8~12mm程度である。第1回転軸33a及び第1突起32aは共に、前方側板312aから手前方向に延びる円柱状の小突起である。
【0022】
また、左蓋31aの前方側板312aの先端側には、開閉操作部4の係止孔(係止部)45に嵌る係止突起(蓋側係止部)34が付設されている。また、左蓋31aの天板311aの手前の先端側には、先端側に突出する係止片35aが形成されている。係止片35aは、開いた状態の左右蓋3を手で閉じる際、押圧が必要であることを視認させる目印となるものである。また、第1回転軸33aには、トーションバネ6が取り付けられ、左蓋31aは、蓋枠体2に対して、常時、開方向に付勢される。
【0023】
左蓋31aの後方側板312cの回動中心側(基端側)には、左蓋31aを回動自在に軸支する第1回転軸36aが付設されている。なお、左蓋31aの後方側板312bには、連結体5と係止する第1突起は付設されていない。第1回転軸36aは、後方側板312cから後方側に延びる円柱状の小突起である。
【0024】
一対の左右蓋3の中、右蓋31bは、天板311bと、天板311bの前後端側の裏面から下方に延びる前方側板312b、後方側板312d(不図示)を有する。前方側板312bの回動中心側(基端側)には、右蓋31bを回動自在に軸支する第2回転軸33bが付設され、第2回転軸33bの軸中心から半径Rの位置で斜め反先端側下方には、連結体5の他端の第2軸支孔51bが係止する第2突起32bが付設されている。Rは左蓋31aのRと同じ寸法である。第2回転軸33b及び第2突起32bは共に、前方側板312bから手前方向に延びる円柱状の小突起である。また、右蓋31bの天板311bの手前の先端側には、左蓋31aの係止片35aが嵌る凹部35bが形成されている。これにより、左右蓋が閉状態において、天面は平坦面となる。
【0025】
右蓋31bの後方側板312dの回動中心側(基端側)には、右蓋31bを回動自在に軸支する第2回転軸(図5では見えない)が付設されている。なお、右蓋31bの後方側板312dには、左蓋31aと同様に、連結体5と係止する第2突起は付設されていない。第2回転軸は、後方側板312dから後方側に延びる円柱状の小突起である。
【0026】
連結体5は、左右蓋31a、31bの基端側を連結し、開閉操作部4の開操作により、バネ付勢された蓋の回動に連動してバネ付勢されていない蓋を回動させるものである。本例では、連結体5は、一端側が第1突起32aに回動自在に嵌る第1軸支孔51aと、他端側が第2突起32bに回動自在に嵌る第2軸支孔51bと、両端側に延びる長尺状の連結本体52とを有する。連結本体52は、本例では直線状に延びる細長の板状体が第1軸支孔51a側においてグースネック状に屈曲したものである。これにより、左蓋31aが回動する際、連結体5が第1回転軸33aに当たり動きが阻害されることがない。また、連結体5は、左右蓋3の前方側板312a、312bの手前側の第1突起32a及び第2突起32bに回動自在に係止するため、ゴミ収納容器の開口を狭めることはない。
【0027】
開閉操作部4は、図10図12に示すように、左蓋31aを常時、閉状態に係止し、該係止を解除して開状態とするものであり、本例では、天板41、後方側板44及び左右側板42a、42bを備え、左右側板42a、42bには、左右外側に延びる軸支用の小突起43a、43bが形成され、後方側板44には、左右蓋3の中、バネ付勢される左蓋31aに係止する係止孔(係止部)45が形成されている。開閉操作部4は、軸支用の小突起43a、43bが、蓋枠体2の収納凹部24の左右内壁面22a、22bに付設される係止孔(不図示)に回動自在に嵌ることで、蓋枠体2に取り付けられる。また、図10に示すように、開閉操作部4の係止孔45に、バネ付勢された左蓋31aの係止突起34が係止しており、これにより、左蓋31aは、常時、閉状態となっている。
【0028】
次に、ゴミ箱10の使用方法について説明する。図6図9は、ゴミ箱10の正面視での蓋部の縦断面図である。ゴミ箱10は、不使用時、左右蓋31a、31bが閉じた状態である(図1図6及び図10)。ゴミをゴミ箱10に捨てる際、開閉操作部4の天板41を手で下方に押す。これにより、開閉操作部4は、小突起43a、43bの軸芯を中心として、手前に回動し、左蓋31aの係止が解除される(図11)。左蓋31aは常時、トーションバネ6により、開方向にバネ付勢されているため、左蓋31aは、開方向に回動する。
【0029】
左蓋31aが開方向(図6中、符号X方向)に回動すると、図7に示すように、第1突起32aが、第1回転軸33aの軸芯を中心として、同様に、反時計回り(符号X方向)に回動する。このため、連結体5は図7中、左方向に動き、それに伴い、右蓋31bの第2突起32bを時計回り方向(符号Y方向)に回動させる。従って、右蓋31bは、同様に、開方向に回動する(図7)。
【0030】
左蓋31aは、更に開方向に回動し、半開きとなった状態を図2及び図8に示す。図8のゴミ箱10において、連結体5の一端である第1突起32aは、左蓋31aの第1回転軸33aのほぼ真上に位置しており、これに連動して、連結体5の他端である第2突起32bは、右蓋31bの第2回転軸33bのほぼ真下に位置している。
【0031】
左蓋31aは、更に開方向に回動し、全開きとなった状態を図3及び図9に示す。図9のゴミ箱10において、連結体5の一端である第1突起32aは、左蓋31aの第1回転軸33aの斜め左上(図9)に位置しており、これに連動して、連結体5の他端である第2突起32bは、右蓋31bの第2回転軸33bの斜め左下に位置している。このように、右蓋31bは、左蓋31aと連動して開くため、左蓋31aが全開状態において、右蓋31bも全開状態となり、左右蓋3の両開きがほぼ同時に行われ、都合がよい。この状態において、開口からごみが投入される。本実施の形態例のゴミ箱10によれば、ゴミ箱10の左右両開きとする操作は、最初に、開閉操作部4を指で押すのみであり、開閉操作部4と左蓋31aの係止が解除されれば、自動的に両開きとなる。
【0032】
次に、全開状態のゴミ箱10の蓋を閉じる方法について図6図9を参照して説明する。全開状態のゴミ箱10の蓋を閉じる動きは、図6図9の順序とは反対であり、図9図6への動きとなる。使用者は、左蓋31aの先端には、先端方向に突出する視認機能の係止片35aを見て、左蓋31aを操作することになる。図9の全開状態のゴミ箱10において、左蓋31aをバネ力に抗して、手で閉じる方向(正面視で時計回り)に回動させる。左蓋31aを、更に閉方向に回動させ、半開きとなった状態を図8に示す。図8のゴミ箱10において、連結体5の一端である第1突起32aは、左蓋31aの第1回転軸33aのほぼ真上に位置しており、これに連動して、連結体5の他端である第2突起32bは、右蓋31bの第2回転軸33bのほぼ真下に位置している。
【0033】
更に、左蓋31aを閉方向(図6及び図7中、符号Xとは反対方向)に手で押さえると、第1突起32aが、第1回転軸33aの軸芯を中心として、時計回りに回動する。このため、連結体5は図7中、右方向に動き、それに伴い、右蓋31bの第2突起32bを反時計回りに回動させる。左右蓋3が閉じた時、連結体5の一端である第1突起32aは、左蓋31aの第1回転軸33aの斜め右上(図6)に位置しており、これに連動して、連結体5の他端である第2突起32bは、右蓋31bの第2回転軸33bの斜め右下に位置している。なお、左右蓋3が閉じるには、左蓋31aの係止片35a近傍を、蓋枠体2に対して少し強く押し込む。これにより、左蓋31aの係止突起34が、開閉操作部4の係止孔45に挿入され、左蓋31aは、蓋枠体2に対してロックされる。なお、右蓋31bは、左蓋31aに連動して、閉状態となり、且つ左蓋31aの係止片35aが、右蓋31bの係止凹部35bに嵌るため、左右蓋3が開口を閉じると共に、左右蓋3の上面が平坦面となる。また、左蓋31aの係止片35aが右蓋31bを押させており、右蓋31bが単独で開くことはない。また、左蓋31aの係止突起34は、断面視で上面が水平面の鋭角なエッジ形状であるため、開閉操作部4を操作しない限り、開くことはない。
【0034】
ゴミ箱10によれば、開閉操作部4を作動させ、開状態とすれば、左右蓋3の中、バネ付勢された左蓋31aがバネ力により回動し、左右蓋3を連結する連結体5の動きにより、バネ付勢されていない右蓋31bが連動して回動する。このため、上部空間が制限された場所において、従来の片開き蓋のゴミ箱に対して、半分の上部空間があればよく、使用できる場所の選択が広まる。また、開閉操作部4を押すのみで開状態とすることができ、引き出しの中など不安定な設置状態であっても、簡単に蓋の開閉ができる。
【0035】
本発明において、第1突起32a及び第2突起32bの形成位置は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形例を採ることができる。すなわち、本発明において、左蓋の一方の側板(手前側)であって第1回転軸から半径Rの位置に、連結体の一方の端を軸支する第1突起を形成し、右蓋の一方の側板(手前側)であって第2回転軸から半径Rの位置に、連結体の他方の端を軸支する第2突起を形成する。更に、下記の(i)又は(ii)のいずれかを採る。
【0036】
(i)該第1突起の回動前及び回動後の位置が該第1回転軸の水平中心線上又はそれより上方に位置し、該第2突起の回動前の位置から回動後の位置が該第2回転軸の水平中心線上又はそれより下方に位置し、該連結体は該第1回転軸の軸中心と該第2回転軸の軸中心を結ぶ線をクロスする。
【0037】
(ii)該第1突起の回動前及び回動後の位置が該第1回転軸の水平中心線より下方に位置し、該第2突起の回動前の位置から回動後の位置が該第2回転軸の水平中心線より上方に位置し、該連結体は該第1回転軸の軸中心と該第2回転軸の軸中心を結ぶ線をクロスする。
【0038】
上記(i)及び(ii)の関係を例示したものを、図13図15を参照して説明する。図13図15中、(A)は、左蓋の第1回転軸33a周りを示し、(B)は、右蓋の第2回転軸33b周りを示す簡略図である。図13は、上記実施の形態と同様のものであり、左蓋31aの第1回転軸33aの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第1突起32aと回動後の第1突起32aは、共に、水平中心線(Z-Z線)より上方に位置しており、右蓋31bの第2回転軸33bの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第2突起32bと回動後の第2突起32bは、共に、水平中心線(Z-Z線)より下方に位置しており、更に連結体5は第1回転軸33aの軸中心と第2回転軸33bの軸中心を結ぶ線を右下がりでクロスしている(符号Y)。なお、回動前の第1突起32aと回動後の第1突起32a、及び回動前の第2突起32bと回動後の第2突起32bは、共に90度の開きがある。この図13の実施の形態であれば、左蓋31aの開閉動作に連動して、右蓋31bを開閉させることができる。
【0039】
図14は、左蓋31aの第1回転軸33aの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第1突起32aは、水平中心線(Z-Z線)上で、回動後の第1突起32aは、水平中心線より上方に位置しており、右蓋31bの第2回転軸33bの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第2突起32bは、水平中心線(Z-Z線)上で、回動後の第1突起32aは、水平中心線より下方に位置しており、更に連結体5は第1回転軸33aの軸中心と第2回転軸33bの軸中心を結ぶ線を右下がりでクロスしている(符号Y)。なお、回動前の第1突起32aと回動後の第1突起32a、及び回動前の第2突起32bと回動後の第2突起32bは、共に90度の開きがある。この図14の実施の形態であれば、左蓋31aの開閉動作に連動して、右蓋31bを開閉させることができる。
【0040】
図15は、左蓋31aの第1回転軸33aの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第1突起32aと回動後の第1突起32aは、共に、水平中心線(Z-Z線)より下方に位置しており、右蓋31bの第2回転軸33bの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第2突起32bと回動後の第2突起32bは、共に、水平中心線(Z-Z線)より上方に位置しており、更に連結体5は第1回転軸33aの軸中心と第2回転軸33bの軸中心を結ぶ線を左下がりでクロスしている(符号Y)。なお、回動前の第1突起32aと回動後の第1突起32a、及び回動前の第2突起32bと回動後の第2突起32bは、共に90度の開きがある。この図15の実施の形態であれば、左蓋31aの開閉動作に連動して、右蓋31bを開閉させることができる。
【0041】
図16は、左蓋31aの第1回転軸33aの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第1突起32aは、水平中心線(Z-Z線)上で、回動後の第1突起32aは、水平中心線より下方に位置しており、右蓋31bの第2回転軸33bの軸中心から半径Rの位置で、且つ回動前の第2突起32bは、水平中心線(Z-Z線)上で、回動後の第1突起32aは、水平中心線より上方に位置しており、更に連結体5は第1回転軸33aの軸中心と第2回転軸33bの軸中心を結ぶ線を左下がりでクロスしている(符号Y)。なお、回動前の第1突起32aと回動後の第1突起32a、及び回動前の第2突起32bと回動後の第2突起32bは、共に90度の開きがある。この図16の実施の形態であれば、左蓋31aの開閉動作に連動して、右蓋31bを開閉させることができる。
【0042】
また、本発明において、蓋枠体2は省略できる。すなわち、蓋枠体2がゴミ収容容器1の開口縁部に嵌り一体となったものでもよく、あるいは蓋枠体2を省略し、ゴミ収容容器1の開口近傍に、一対の左右蓋、バネ部材、開閉操作部及び連結体が取り付けられるものであってもよい。また、本発明において、開閉操作部4と左蓋31aの係止は、開閉操作部4側を係止突起とし、左蓋31a側を係止孔としてもよい。また、左蓋31aの係止片35a及び右蓋31bの凹部35bは省略することもできる。また、連結体5の連結本体52の形状としては、左蓋31aの第1回転軸33a側がグースネックのものに限定されず、図17に示すような右蓋31bの第2回転軸33b側がグースネックのもの、中央部がグースネックのもの、全体が緩やかな凹凸状のもの、直線部及び傾斜部が組み合わさってものなど種々の形状を採ることができる。なお、図17の場合、第1突起32a及び第2突起32の形成位置は、図15及び図16に示す位置となる。また、上記(i)及び(ii)において、第1回転軸33aと第2回転軸33bが水平線上にあれば、第1回転軸33aの軸中心と第2回転軸33bの軸中心を結ぶ線は、水平中心線となる。
【0043】
また、ゴミ箱10のトーションバネ6は、左蓋31aに付設する以外に、右蓋31bに取り付けてもよく、また、左右蓋31a、31bの両者に取り付けてもよい。右蓋31bに取り付ける場合、視認性機能の係止片35aは右蓋31bに付設し、対応する凹部35bは、左蓋31aに付設するのが好ましい。右蓋31bの場合、トーションバネ6の付設場所は、左蓋31aと同様の、第2回転軸33bとすればよい。トーションバネ6を、左右蓋31a、31bの両者に付設した場合、左右のバネ力が同じ場合、左右蓋31a、31bの開き回動はバネ力により行われる。一方、両開きとなった左右蓋31a、31bを閉じる際、一方の蓋を閉じるのみで、連結体5が作動し、左右蓋31a、31bを連動して閉じることができる。なお、左右蓋31a、31bの両者に付設したバネ部材のバネ力が異なる場合、蓋が開く際、弱いバネ部材を付設した側の蓋は、連結体の作用により、強いバネ部材側の蓋の動きに連動して開く。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、システムキッチンの引き出し内に収納でき、清潔感のある台所とすることができる。また、ワンタッチで開閉操作ができ、不安定な設置箇所であっても、使い勝手がよい。
【符号の説明】
【0045】
1 ゴミ収容容器
2 蓋枠体
3(31a、31b) 一対の左右蓋
4 開閉操作部
5 連結体
6 トーションバネ(バネ部材)
10 ゴミ箱
32a 第1突起
32b 第2突起
33a 第1回転軸
33b 第2回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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図17