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特許7352274口腔清掃材ホルダー及び口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】口腔清掃材ホルダー及び口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/04 20060101AFI20230921BHJP
   A61B 17/24 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
A61C15/04 503
A61B17/24
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019089595
(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2019198643
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】P 2018091851
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】村中 義生
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0301514(US,A1)
【文献】独国実用新案第29805220(DE,U1)
【文献】特開2002-345850(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0174866(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/04
A61B 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Y字形状であり、かつ、その基部である柄と該柄から二股に枝分かれする一対の第1のアーム部とを一体に有する本体を備え、
前記各第1のアーム部同士の間に、紐状又は帯状の被張架体を成す口腔清掃材を張架することのできる口腔清掃材ホルダーであって、
前記本体の片面側に、Y字形状であり、かつ、その基部である可動部材基部と該可動部材基部から二股に枝分かれする一対の第2のアーム部とを一体に有する可動部材を備え、
前記可動部材基部は前記第2のアーム部よりも長さが短く、
前記可動部材は、前記各第1のアーム部同士を結ぶ回転軸線周りを回動し、前記一対の第2のアーム部が、前記一対の第1のアーム部が前記回転軸線の線方向視において湾曲する外側に位置するとともにそれらに倣って湾曲し、かつ、互いに相対する前記各第1のアーム部と前記各第2のアーム部とが、前記口腔清掃材の両端を挟持可能である
ことを特徴とする口腔清掃材ホルダー。
【請求項2】
前記回転軸線周りの回動の逆向きの回動により、前記可動部材は、挟持している前記口腔清掃材を前記各アーム部から解放可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項3】
前記本体と前記可動部材とを互いに係脱自在に係着する係着手段を有し、
前記可動部材基部は、前記回転軸線周りの回動により前記本体と係着し、
前記各アーム部は、前記本体と前記可動部材との係着状態において前記口腔清掃材を挟持可能である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項4】
前記各第1のアーム部の先端と前記各第2のアーム部の先端とは、前記回転軸線に対してそれぞれ前記柄及び前記可動部材基部の反対側に位置し、
前記互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とは、それぞれ前記各先端と前記回転軸線との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第1の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第2の清掃材挟持部との間で前記口腔清掃材を挟持可能である
ことを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項5】
前記各第1のアーム部同士の間に、複数の前記口腔清掃材を張架することのできる口腔清掃材ホルダーであって、
前記各第1のアーム部の先端と前記各第2のアーム部の先端とは、前記回転軸線に対してそれぞれ前記柄及び前記可動部材基部の反対側に位置し、
前記互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とは、それぞれ前記各先端と前記回転軸線との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第1の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第2の清掃材挟持部との間で先端側の前記口腔清掃材を挟持可能であるとともに、それぞれ前記回転軸線と前記柄又は前記可動部材基部との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第3の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第4の清掃材挟持部との間で柄側の前記口腔清掃材を挟持可能である
ことを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項6】
前記口腔清掃材はデンタルフロスである
ことを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項7】
前記口腔清掃材は帯状のメッシュである
ことを特徴とする請求項1ないしの何れかに記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項8】
前記先端側の口腔清掃材はデンタルフロスであり、
前記柄側の口腔清掃材は帯状のメッシュである
ことを特徴とする請求項に記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項9】
前記帯状のメッシュはシート厚方向に貫通する開孔を有する
ことを特徴とする請求項またはに記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項10】
前記可動部材は、前記の逆向きに回動する際、前記可動部材基部の反回転軸線側端及び前記回転軸線を結ぶ直線と前記本体の長手方向との成す開き角度が90度未満までの範囲において回動可能である
ことを特徴とする請求項に記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項11】
前記可動部材は、使用者が一方の手で前記本体を把持しつつ、前記一方の手の親指を用いた前記可動部材基部の操作によって正逆両方向に回動可能である
ことを特徴とする請求項10に記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項12】
前記各第1の清掃材挟持部の挟持端縁と前記各第2の清掃材挟持部の挟持端縁とはそれぞれ前記回転軸線方向視において直線状に形成されるとともに前記口腔清掃材をその横断面の中央向きに両側から挟持し、
前記第1の清掃材挟持部及び前記第2の清掃材挟持部のいずれか一方又は両方は、相手方の前記清掃材挟持部に向けて屈曲しており、
前記第1の清掃材挟持部の挟持端縁と前記第2の清掃材挟持部の挟持端縁とは、前記口腔清掃材を挟持している状態において、略平行となるように位置する
ことを特徴とする請求項またはに記載の口腔清掃材ホルダー。
【請求項13】
Y字形状であり、かつ、その基部である柄と該柄から二股に枝分かれする一対の第1のアーム部とを一体に有する本体を備え、
前記各第1のアーム部同士の間に、紐状又は帯状の被張架体を成す口腔清掃材が張架された口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーであって、
前記本体の片面側に、Y字形状であり、かつ、その基部である可動部材基部と該可動部材基部から二股に枝分かれする一対の第2のアーム部とを一体に有する可動部材を備え、
前記可動部材基部は前記第2のアーム部よりも長さが短く、
前記可動部材は、前記各第1のアーム部同士を結ぶ回転軸線周りを回動し、前記一対の第2のアーム部が、前記一対の第1のアーム部が前記回転軸線の線方向視において湾曲する外側に位置するとともにそれらに倣って湾曲し、かつ、互いに相対する前記各第1のアーム部と前記各第2のアーム部とが、前記口腔清掃材の両端を挟持するとともに、前記回転軸線周りの回動の逆向きの回動により、前記可動部材は、挟持している前記口腔清掃材を前記各アーム部から解放し、
前記本体を把持する側の手の親指を用いた前記可動部材基部の操作によって正逆両方向に回動可能である
ことを特徴とする口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー。
【請求項14】
前記各第1のアーム部の先端と前記各第2のアーム部の先端とは、前記回転軸線に対してそれぞれ前記柄及び前記可動部材基部の反対側に位置し、
前記互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とは、それぞれ前記各先端と前記回転軸線との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第1の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第2の清掃材挟持部との間で前記口腔清掃材を挟持する
ことを特徴とする請求項13に記載の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔清掃材ホルダー及び口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーに関し、詳細にはY字形状の可動部材を備える口腔清掃材ホルダー及び口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Y字形状であり、かつ、その基部である柄と該柄から二股に枝分かれする一対のアーム部とを一体に有する本体を備え、前記各アーム部同士の間に、紐状又は帯状の被張架体を成す口腔清掃材を張架することのできる口腔清掃材ホルダーがある。
【0003】
従来の口腔清掃材ホルダーには、帯状のシート状材料を円筒形状に成形して口腔清掃材を形成し、この円筒形状の内周部分に一対のアーム部を内嵌させて被張架体を成し、舌苔や歯垢を除去するための舌苔・歯垢清掃材ホルダーとして用いるものがある(特許文献1)。
【0004】
すなわち、従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーは、前記一対のアーム部が外側への弾性力を有しており、前記円筒形状の口腔清掃材に内嵌した後、その外側への付勢力によって前記口腔清掃材を支持する。また、前記一対のアーム部を内側へ変形させることにより、前記口腔清掃材を抜脱することができる。そのため、従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーは前記口腔清掃材を脱着自在に装着することが可能であり、清掃によって舌苔や歯垢が蓄積した後に前記口腔清掃材を取り換えることができる。その結果、複数回の舌苔や歯垢の清掃後においても従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーを何度も繰り返して使用することができる。
【0005】
また、従来の口腔清掃材ホルダーには、一対の第2のアーム部を有するY字形状の可動部材を備え、一方の前記第1のアーム部と、一方の前記第2のアーム部とがそれぞれの端部において互いに軸着し、かつ、他方の前記第1のアーム部と、他方の前記第2のアーム部とがそれぞれの端部において互いに軸着するフロスホルダーがある(特許文献2)。この従来のフロスホルダーは、互いに相対する前記各第1のアーム部と前記各第2のアーム部とがデンタルフロスを挟持可能である。
【0006】
すなわち、従来のフロスホルダーは、前記第1のアーム部と前記第2のアーム部とを連結する支軸の周りにおいて、前記本体に対して前記可動部材が回転することにより、デンタルフロスを挟持する状態と、デンタルフロスを解放する状態とを切り換えることができる。これにより、デンタルフロスを支持するために前記本体などに巻き付ける必要がなく、使用者の、デンタルフロスを取り替えるための手間が少なくてすむ。しかも、従来のフロスホルダーは、前記可動部材を前記本体に係着するための係着手段を備え、前記可動部材を前記本体に係着することにより、前記のデンタルフロスを挟持する状態に保持することができる。これにより使用者は、前記可動部材を、前記のデンタルフロスを挟持する状態の位置に例えば手指によって押さえ続ける必要がなく、容易に歯の清掃を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-336280号公報
【文献】特開2002-345850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーは、使用状態においても、前記一対のアーム部によって前記口腔清掃材が抜脱しないように確実に保持しなければならない。このとき、従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーは、帯状のシート状材料を用いた円筒形状の前記口腔清掃材の内周部分に前記一対のアーム部を内嵌させて張架するため、前記口腔清掃材の内周部分と前記各アーム部との間に、前記口腔清掃材が前記一対のアーム部から抜脱する方向において、前記口腔清掃材を保持するほどの十分な摩擦を生じさせなければならない。その結果、前記帯状のシート状材料には、前記円筒形状の軸心方向において、前記摩擦を生じ得るほどの幅をもたすことが必要である。
【0009】
そのため、従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーにおいては、前記口腔清掃材が前記摩擦力を生じ得るほどの幅を有することになり、前記口腔清掃材を一回取り換えることによって、その分の面積の前記シート状材料を消費しなければならず不経済である。
【0010】
また、前記口腔清掃材を形成するために、前記シート材材料をその都度円筒形状に成形しなければならず、そのための工程を要する。
【0011】
さらに、前記口腔清掃材を前記従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーから抜脱するためには前記一対のアーム部を内側へ変形させる操作を要し、こうした操作のために、使用後の前記口腔清掃材の上から前記一対のアーム部を押さえる際に前記使用後の口腔清掃材に触れなければならない。
【0012】
一方で、従来のフロスホルダーは、Y字形状の前記可動部材の基部が、前記各第2のアーム部よりも長い。そのため、前記可動部材を回動させてデンタルフロスを解放した状態からデンタルフロスを挟持する状態とするには、使用者が、一方の手で前記本体を把持して従来のフロスホルダーを支持しつつ、他方の手で前記可動部材を把持して操作しなければ困難である。そのため、デンタルフロスを解放した状態から、デンタルフロスを挟持する状態とするには、使用者の両方の手を用いなければ困難である。
【0013】
ところで、デンタルフロスは巻き取った状態で専用のケースに収納され、かつ、少なくとも一部が巻き出した状態で露出する。そして使用者は、フロスホルダーを、デンタルフロスを挟持する状態へと切り換えることによって、互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とが前記の露出するデンタルフロスを挟む操作を行う。
【0014】
例えば、デンタルフロスは前後方向に偏平な箱状のケースの内側に、前後方向の支軸によって回転自在に軸支される巻き芯に巻き取られた状態で収容される。このケースは、前記デンタルフロスの一部をケース外に繰り出すことにより露出させることができる。
【0015】
使用者は、フロスホルダーによって、露出する前記のデンタルフロスを挟む操作を行う。
【0016】
このとき、従来のフロスホルダーにより、デンタルフロスを解放した状態からデンタルフロスを挟持する状態とする操作のためには使用者の両方の手を用いなければ困難であることから、使用者がどちらか片方の手で、挟もうとするデンタルフロスを支持することやケースからデンタルフロスを繰り出す操作することが難しい。
【0017】
本発明はこのような問題に鑑み、口腔清掃材を経済的に消費しつつも、口腔清掃材を解放した状態から容易に口腔清掃材を挟持する状態とすることのできる口腔清掃材ホルダー、および、口腔清掃材を解放した状態から、容易に再び口腔清掃材を挟持することのできる口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
(1)Y字形状であり、かつ、その基部である柄と該柄から二股に枝分かれする一対の第1のアーム部とを一体に有する本体を備え、前記各第1のアーム部同士の間に、紐状又は帯状の被張架体を成す口腔清掃材を張架することのできる口腔清掃材ホルダーであって、前記本体の片面側に、Y字形状であり、かつ、その基部である可動部材基部と該可動部材基部から二股に枝分かれする一対の第2のアーム部とを一体に有する可動部材を備え、前記可動部材基部は前記第2のアーム部よりも長さが短く、前記可動部材は、前記各第1のアーム部同士を結ぶ回転軸線周りを回動し、互いに相対する前記各第1のアーム部と前記各第2のアーム部とが、前記口腔清掃材の両端を挟持可能であることを特徴とする口腔清掃材ホルダーを提供するものである。また、前記一対の第1のアーム部は前記回転軸線の線方向視において湾曲し、前記一対の第2のアーム部は、前記一対の第1のアーム部が湾曲する外側に位置するとともにそれらに倣って湾曲してもよい。
【0019】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記口腔清掃材の一方端が一方の前記第1のアーム部と一方の前記第2のアーム部とによって挟持され、また、前記口腔清掃材の他方端が他方の前記第1のアーム部と他方の前記第2のアーム部とによって挟持される。そのため、前記口腔清掃材の各端が前記各第1のアーム部と、これと相対する前記各第2のアーム部との間において堅固に挟持され、保持されることにより、従来の舌苔・歯垢清掃材ホルダーに装着される前記口腔清掃材のように大きな幅を有する必要がない。こうして、本発明の口腔清掃材ホルダーは、口腔清掃材を経済的に消費する。
【0020】
また、前記口腔清掃材を例えば前記円筒形状のような形状に成形する必要がなく、そのための工程を要せず経済的である。
【0021】
ところで、前記可動部材は、前記可動部材基部が前記各第2のアーム部よりも短いため、このような可動部材基部が第2のアーム部よりも長い場合に比べて、前記回転軸線から前記可動部材基部の端までの距離が短い。そのため、本発明の口腔清掃材ホルダーを、口腔清掃材を挟持している挟持状態とするために、使用者は、一方の手で前記本体を把持して口腔清掃材ホルダーを支持しつつ、同じ手の手指で前記可動部材を手前側に引き寄せるように回動させることが容易である。
【0022】
従って、使用者がどちらか片方の手で操作することにより、口腔清掃材ホルダーを、容易に口腔清掃材を解放している解放状態から挟持状態とすることが可能である。
【0023】
(2)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記回転軸線周りの回動の逆向きの回動により、前記可動部材は、挟持している前記口腔清掃材を前記各アーム部から解放可能であってもよい。
【0024】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記可動部材の操作によって前記口腔清掃材を解放可能であることにより、操作のために、使用後の前記口腔清掃材に触れる必要がない。これにより、清潔に操作を行うことができる。
【0025】
また、本発明の口腔清掃材ホルダーを解放状態とするために、使用者は、一方の手で前記本体を把持して口腔清掃材ホルダーを支持しつつ、同じ手の手指で前記可動部材を向こう側に押しやるように回動させることができる。従って、使用者がどちらか片方の手で操作することにより、口腔清掃材ホルダーを容易に挟持状態から解放状態とすることが可能である。
【0026】
(3)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記本体と前記可動部材とを互いに係脱自在に係着する係着手段を有し、前記可動部材基部は、前記回転軸線周りの回動により前記本体と係着し、前記各アーム部は、前記本体と前記可動部材との係着状態において前記口腔清掃材を挟持可能であってもよい。
【0027】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記各アーム部が前記の係着状態において前記口腔清掃材を挟持可能なため、前記口腔清掃材の使用中に舌や歯のような使用者の口腔内の部位などによって外力が加わるときでも、変形によって前記口腔清掃材が抜脱することが防止される。
【0028】
また、使用者は前記可動部材を前記本体に係着させ、口腔清掃材ホルダーを挟持状態に保持して片方の手で容易に歯の清掃を行うことができる。さらに、前記可動部材基部を前記本体から離脱させ、口腔清掃材ホルダーを解放状態とすることにより次の使用に備えることができる。
【0029】
(4)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記各第1のアーム部の先端と前記各第2のアーム部の先端とは、前記回転軸線に対してそれぞれ前記柄及び前記可動部材基部の反対側に位置し、前記互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とは、それぞれ前記各先端と前記回転軸線との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第1の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第2の清掃材挟持部との間で前記口腔清掃材を挟持可能であってもよい。
【0030】
すなわち、第1の清掃材挟持部が前記回転軸線に対して前記柄の反対側に位置し、かつ、第2の清掃材挟持部が前記回転軸線に対して前記可動部材基部の反対側に位置するため、前記可動部材を回動させて、前記可動部材基部を前記本体に近づけるように押し下げるときに、前記各第2の清掃材挟持部は前記回転軸線を中心に回動して持ちあがり、前記各第1の清掃材挟持部に近づく。一方で、前記可動部材を逆向きに回動させて、前記可動部材基部を前記本体から離れるようにはね上げるときに、前記各第2の清掃材挟持部は前記回転軸線を中心に回動して降下し、前記各第1の清掃材挟持部から遠ざかる。
【0031】
これにより、口腔清掃材を前記各アーム部の先端と前記回転軸線との間で挟むことができる。そのため使用者は、口腔清掃材を挟持するために、口腔清掃材を前記回転軸線よりも手前側で前記本体と前記可動部材との間に配置するのではなく、前記回転軸線よりも前記反対側で前記本体と前記可動部材との間に配置する。
【0032】
そのため、本発明の口腔清掃材ホルダーは、例えば、舌や歯茎、歯などの部位に前記口腔清掃材を当てるとき、前記各アーム部が前記口腔清掃材よりも前記部位に近付く向きにはみ出ることが少なく、前記各アーム部がじゃまにならず効率的にこれらの部位の清掃を行うことができる。
【0033】
また、使用者は口腔清掃材を前記回転軸線よりも前記反対側に配置するため、例えば、ケースから予め繰り出して露出させた口腔清掃材を前記各清掃材挟持部によってつまみ上げることができる。このとき、使用者は口腔清掃材を前記アーム部の先端側から前記口腔清掃材に近付けて、容易にこれをつまみ上げることができる。すなわち、前記可動部材を回動させる手指を前記可動部材から離して口腔清掃材を前記本体と前記可動部材との間に導き入れることなく、前記口腔清掃材を挟むことができる。
【0034】
よって使用者は、本発明の口腔清掃材ホルダーにより容易に口腔清掃材を挟持することができる。
【0035】
(5)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記各第1のアーム部同士の間に、複数の前記口腔清掃材を張架することのできる口腔清掃材ホルダーであって、 前記各第1のアーム部の先端と前記各第2のアーム部の先端とは、前記回転軸線に対してそれぞれ前記柄及び前記可動部材基部の反対側に位置し、前記互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とは、それぞれ前記各先端と前記回転軸線との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第1の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第2の清掃材挟持部との間で先端側の前記口腔清掃材を挟持可能であるとともに、それぞれ前記回転軸線と前記柄又は前記可動部材基部との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第3の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第4の清掃材挟持部との間で柄側の前記口腔清掃材を挟持可能であってもよい。
【0036】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記先端側に配置される口腔清掃材である先端側口腔清掃材と、前記柄側に配置される口腔清掃材である柄側口腔清掃材とを挟持可能なため、これらの二段の口腔清掃材によって口腔内の部位を清掃することができる。これにより、効率的に清掃を行うことができる。
【0037】
そして、前記可動部材を回動させることにより、前記先端側口腔清掃材と前記柄側口腔清掃材とを一つの操作により解放状態から挟持状態とすることができる。同じように、前記可動部材を逆向きに回動させることにより、前記先端側口腔清掃材と前記柄側口腔清掃材とを一つの操作により挟持状態から解放状態とすることができる。これにより、本発明の口腔清掃材ホルダーは、口腔清掃材を解放した状態から容易に口腔清掃材を挟持する状態とすることができ、かつ、口腔清掃材を挟持した状態から容易に口腔清掃材を解放する状態とすることができる。
【0038】
(6)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記口腔清掃材はデンタルフロスであってもよい。
【0039】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、使用者がどちらか片方の手で操作することにより、容易にデンタルフロスを解放状態から挟持状態とすることが可能である。
【0040】
(7)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記口腔清掃材は帯状のメッシュであってもよい。
【0041】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、帯状のメッシュを経済的に消費する。また、前記帯状のメッシュを例えば円筒形状のような立体形状に成形する必要がなく、そのための工程を要せず経済的である。
【0042】
しかも、本発明の口腔清掃材ホルダーは、使用者がどちらか片方の手で操作することにより、容易に帯状のメッシュを解放状態から挟持状態とすることが可能である。
【0043】
(8)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記先端側の口腔清掃材はデンタルフロスであり、前記柄側の口腔清掃材は帯状のメッシュであってもよい。
【0044】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、これらの前記先端側のデンタルフロス及び前記柄側の帯状のメッシュによって口腔内の部位を清掃することができる。これにより、一本の口腔清掃材ホルダーを、前記デンタルフロスによる歯間の清掃と、前記帯状のメッシュによる舌の清掃との両方に用いることができ、効率的な清掃を行うことができる。
【0045】
また、前記可動部材を回動させることにより、前記先端側のデンタルフロスを解放状態から挟持状態とすることができ、しかも、前記柄側の帯状のメッシュを解放状態から挟持状態とすることができる。同じように、前記可動部材を逆向きに回動させることにより、前記デンタルフロスを挟持状態から解放状態とすることができ、しかも、前記帯状のメッシュを挟持状態から解放状態とすることができる。
【0046】
(9)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記帯状のメッシュはシート厚方向に貫通する開孔を有してもよい。
【0047】
すなわち、前記帯状のメッシュが前記開孔を有するため、舌表面の糸状乳頭に付着する汚れである舌苔をこうした開孔に当て、かき取ることができる。このように、効率的に口腔内の部位を清掃することができる。また、前記舌苔の先端が前記開孔に位置するほどに小さいときは、より効率的に清掃することができる。
【0048】
さらに、前記開孔がシート厚方向に貫通するため、汚れの清掃後における前記帯状のメッシュの洗浄は流水、洗浄水等を注ぐことによって行うことができ、容易である。
【0049】
(10)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記可動部材は、前記の逆向きに回動する際、前記可動部材基部の反回転軸線側端及び前記回転軸線を結ぶ直線と前記本体の長手方向との成す開き角度が90度未満までの範囲において回動可能であってもよい。
【0050】
すなわち、前記可動部材が90度以上に回動しないため、使用者は、手指によって容易に前記可動部材を手前側に引き寄せるように回動させることができ、かつ、向こう側に押しやるように回動させることができる。これらにより使用者は、口腔清掃材ホルダーを容易に解放状態から挟持状態とすることが可能であり、かつ、挟持状態から解放状態とすることが可能である。
【0051】
(11)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記可動部材は、使用者が一方の手で前記本体を把持しつつ、前記一方の手の親指を用いた前記可動部材基部の操作によって正逆両方向に回動可能であってもよい。
【0052】
すなわち、使用者は、前記本体を把持する側の手の親指で前記可動部材基部を操作することができるため、例えば同じ手の人差し指や中指によって前記可動部材を回動させる場合に比べ、これらの人差し指や中指を、前記本体を把持するために用いたままで前記可動部材を回動させることができる。これにより、口腔清掃材ホルダーをバランス良く支持した状態で前記可動部材を容易に操作することが可能である。
【0053】
(12)本発明の口腔清掃材ホルダーは、前記各第1の清掃材挟持部の挟持端縁と前記各第2の清掃材挟持部の挟持端縁とはそれぞれ前記回転軸線方向視において直線状に形成されるとともに前記口腔清掃材をその横断面の中央向きに両側から挟持し、前記第1の清掃材挟持部及び前記第2の清掃材挟持部のいずれか一方又は両方は、相手方の前記清掃材挟持部に向けて屈曲しており、前記第1の清掃材挟持部の挟持端縁と前記第2の清掃材挟持部の挟持端縁とは、前記口腔清掃材を挟持している状態において、略平行となるように位置してもよい。
【0054】
すなわち、本発明の口腔清掃材ホルダーは、一方の挟持端縁と、相対する他方の挟持端縁とが、前記口腔清掃材を挟持している状態において略平行となるように位置するため、例えば帯状のメッシュのような略長方形の横断面を有する口腔清掃材を挟持するとき、当該略長方形横断面の長辺全体に満遍無く力を加えることができる。これにより、例えば、舌や歯茎、歯などの部位に前記口腔清掃材を強く当てることによって張られるときでも、前記口腔清掃材が、前記横断面の長辺の一部において前記挟持端縁からずれて抜け落ちてしまうことがなく、容易に使用することができる。
【0055】
また、例えばデンタルフロスのような紐状の口腔清掃材を、その横断面の中央向きに180度対向する二方向から、かつ、前記各挟持端縁と正面視において略直交する方向に挟むことが可能である。そのため、例えば挟み込まれる途中に前記口腔清掃材が前記横断面方向に滑って本発明の口腔清掃材ホルダーから抜け落ちてしまうようなことがなく、容易に挟持することができる。
【0056】
また、前記口腔清掃材は、いったん前記各清掃材挟持部によって挟み込まれた後も、摩擦力が前記挟持端縁方向において略均一に加わるため、本発明の口腔清掃材ホルダーからずれて抜け落ちてしまうことがなく、容易に使用することができる。
【0057】
(13)本発明はY字形状であり、かつ、その基部である柄と該柄から二股に枝分かれする一対の第1のアーム部とを一体に有する本体を備え、前記各第1のアーム部同士の間に、紐状又は帯状の被張架体を成す口腔清掃材が張架された口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーであって、前記本体の片面側に、Y字形状であり、かつ、その基部である可動部材基部と該可動部材基部から二股に枝分かれする一対の第2のアーム部とを一体に有する可動部材を備え、前記可動部材基部は前記第2のアーム部よりも長さが短く、前記可動部材は、前記各第1のアーム部同士を結ぶ回転軸線周りを回動し、互いに相対する前記各第1のアーム部と前記各第2のアーム部とが、前記口腔清掃材の両端を挟持するとともに、前記回転軸線周りの回動の逆向きの回動により、前記可動部材は、挟持している前記口腔清掃材を前記各アーム部から解放し、前記本体を把持する側の手の親指を用いた前記可動部材基部の操作によって正逆両方向に回動可能であることを特徴とする口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーを提供するものである。また、前記一対の第1のアーム部は前記回転軸線の線方向視において湾曲し、前記一対の第2のアーム部は、前記一対の第1のアーム部が湾曲する外側に位置するとともにそれらに倣って湾曲してもよい。
【0058】
すなわち、使用者は本発明のデンタルフロス付フロスホルダーや帯状メッシュ付メッシュホルダーのような口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーから、デンタルフロス、帯状のメッシュなどの口腔清掃材を解放するために、本体を把持する側の手の親指で可動部材を向こう側に押しやるように回動させることができ、かつ、この口腔清掃材ホルダーによって再び口腔清掃材を挟持するために、前記本体を把持する側の手の親指で前記可動部材を手前側に引き寄せるように回動することができる。これにより、口腔清掃材を片手でバランス良く支持した状態で前記可動部材を容易に操作することが可能である。
【0059】
(14)本発明の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーは、前記各第1のアーム部の先端と前記各第2のアーム部の先端とは、前記回転軸線に対してそれぞれ前記柄及び前記可動部材基部の反対側に位置し、前記互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とは、それぞれ前記各先端と前記回転軸線との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第1の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第2の清掃材挟持部との間で前記口腔清掃材を挟持してもよい。
【0060】
すなわち、口腔清掃材は前記各第2のアーム部の先端と前記回転軸線との間で挟まれるため、使用者は、挟まれていた口腔清掃材を解放した後に、口腔清掃材を再び挟持するために、前記回転軸線よりも前記反対側で前記本体と前記可動部材との間に配置する。
【0061】
このように、使用者は口腔清掃材を前記回転軸線よりも前記反対側に配置するため、例えば、ケースの前記一端から予め繰り出して露出させた口腔清掃材を前記各アーム部の先端によってつまみ上げることができる。このとき、使用者は口腔清掃材ホルダーを前記アーム部の先端側から前記口腔清掃材に近付けて、容易にこれをつまみ上げることができる。よって使用者は、本発明の口腔清掃材ホルダーにより容易に口腔清掃材を挟持することができる。
【0062】
(15)本発明の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーは、前記各第1のアーム部同士の間に、複数の前記口腔清掃材が張架された口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーであって、前記各第1のアーム部の先端と前記各第2のアーム部の先端とは、前記回転軸線に対してそれぞれ前記柄及び前記可動部材基部の反対側に位置し、前記互いに相対する各第1のアーム部と各第2のアーム部とは、それぞれ前記各先端と前記回転軸線との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第1の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第2の清掃材挟持部との間で先端側の前記口腔清掃材を挟持するとともに、それぞれ前記回転軸線と前記柄又は前記可動部材基部との間に設けられる第1のアーム部における清掃材挟持部である第3の清掃材挟持部と、第2のアーム部における清掃材挟持部である第4の清掃材挟持部との間で柄側の前記口腔清掃材を挟持してもよい。
【0063】
すなわち、本発明の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーは、前記先端側に配置される、例えばデンタルフロスのような口腔清掃材である先端側口腔清掃材と、前記柄側に配置される、例えば帯状のメッシュのような口腔清掃材である柄側口腔清掃材とを挟持可能なため、これらの二段の口腔清掃材によって口腔内の部位を清掃することができる。これにより、効率的に清掃を行うことができる。
【0064】
そして、前記可動部材を逆向きに回動させることにより、前記先端側口腔清掃材と前記柄側口腔清掃材とを同時に挟持状態から解放状態とすることができる。同じように、前記可動部材を回動させることにより、前記先端側口腔清掃材と前記柄側口腔清掃材とを同時に解放状態から挟持状態とすることができる。これらにより、本発明の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーは、口腔清掃材を挟持した状態から容易に口腔清掃材を解放する状態とすることができ、かつ、口腔清掃材を解放した状態から容易に口腔清掃材を挟持する状態とすることができる。
【0065】
(16)本発明の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーは、前記可動部材が、前記の逆向きに回動する際、前記可動部材基部の反回転軸線側端及び前記回転軸線を結ぶ直線と前記本体の長手方向との成す開き角度が90度未満までの範囲において回動可能であってもよい。
【0066】
すなわち、前記可動部材が90度以上に回動しないため、使用者は、手指によって容易に前記可動部材を手前側に引き寄せるように回動させることができ、かつ、向こう側に押しやるように回動させることができる。これらにより使用者は、口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーから口腔清掃材を容易に解放することが可能であり、かつ、この口腔清掃材ホルダーによって容易に再び口腔清掃材を挟持することが可能である。
【発明の効果】
【0067】
このように本発明では、口腔清掃材を経済的に消費しつつも、口腔清掃材を解放した状態から容易に口腔清掃材を挟持する状態とすることのできる口腔清掃材ホルダー、および、口腔清掃材を解放した状態から、容易に再び口腔清掃材を挟持することのできる口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】(a)(b)は、本発明の第1の実施形態を示すデンタルフロス付フロスホルダー9のそれぞれ平面図及び正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示すフロスホルダー1の正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態を示す可動部材3の底面図である。
図4】本発明の第1の実施形態を示すケース10の説明図である。
図5】本発明の第2の実施形態を示す帯状メッシュ付メッシュホルダー19の平面図である。
図6】本発明の第2の実施形態を示す帯状メッシュ18の説明図である。
図7】本発明の第2の実施形態を示す帯状メッシュ18の説明図である。
図8】本発明の第2の実施形態を示す帯状メッシュ18の網目103が舌苔Saをかき取る状態の説明図である。
図9】本発明の第2の実施形態の変形例を示す帯状メッシュ18の説明図である。
図10】本発明の第2の実施形態を示す連続帯状メッシュ14の説明図である。
図11】本発明の第3の実施形態を示すデンタルフロス付フロスホルダー29の正面図である。
図12】本発明の第3の実施形態を示すフロスホルダー21の正面図である。
図13】本発明の第4の実施形態を示す帯状メッシュ付メッシュホルダー39の正面図である。
図14】本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の正面図である。
図15】(a)(b)は、本発明の第5の実施形態を示すデンタルフロス付フロスホルダー49のそれぞれ平面図及び底面図である。また(c)は、可動部材43の平面図である。
図16】(a)(b)は、本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の左側面図及び右側面図である。
図17】本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の正面図である。
図18】(a)(b)は、本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41のそれぞれ平面図及び底面図である。
図19】(a)(b)は、本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の左側面図及び右側面図である。
図20】(a)(b)は本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の一部を拡大した正面図である。
図21】(a)(b)は本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の一部を拡大した斜視図である。
図22】(a)(b)は本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の、それぞれ一部を拡大した平面図及び一部を拡大した正面図である。
図23】(a)(b)は本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41の一部を拡大した斜視図である。
図24】(a)(b)は本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41を斜め上から撮影した写真である。
図25】は本発明の第5の実施形態を示すデンタルフロス付フロスホルダー49を上側Uから撮影した写真である。
図26】(a)(b)は本発明の第5の実施形態を示すフロスホルダー41又はデンタルフロス付フロスホルダー49の説明図である。
図27】本発明の第6の実施形態を示す帯状メッシュ付メッシュホルダー59の平面図である。
図28】本発明の第7の実施形態を示すフロス及びメッシュ付マルチホルダー69の平面図である。
図29】(a)(b)(c)は本発明の第7の実施形態を示すマルチホルダー61の平面図、正面図及び底面図である。
図30】(a)(b)は本発明の第7の実施形態を示すマルチホルダー61の平面図及び正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明の第1の実施形態を、図1図4を用いて説明する。図1(a)(b)において1はフロスホルダーであって、このフロスホルダー1が本体2と、本体2に軸着し、本体2の先端に位置する幅方向の回転軸線Cr周りを自在に回動可能な可動部材3とを備える。
【0070】
フロスホルダー1の長手方向において、図1(a)の左向きの矢印Tがフロスホルダー1の先端向きTを表し、矢印Bが基端向きBを表わす。先端向きTの側を先端側Tといい、基端向きBの側を基端側Bという。また、図1(b)の上下方向において、図1(b)の上向きの矢印Uがフロスホルダー1の上向きUを表し、下向きの矢印Dが下向きDを表わす。上向きUの側を上側Uといい、下向きDの側を下側Dという。
【0071】
さらに、フロスホルダー1の幅方向において、図1(a)の下向きの矢印Lがフロスホルダー1の左向きLを表し、反対向きの矢印Rが右向きRを表わす。左向きLの側を左側Lといい、右向きRの側を右側Rという。
【0072】
フロスホルダー1は、可動部材3が本体2の下側Dに配置され、かつ、図2に示すように回転軸線Crの周りを回動する。このとき、可動部材3は、本体2に近づく側である手前側UB、および、本体2から遠ざかる側である向こう側DTにそれぞれ変位するように回動する。
【0073】
フロスホルダー1の使用者は、一方の手H1によってフロスホルダー1を支持する。このとき使用者は、例えば親指F1、薬指F4及び小指F5から成る3本の手指で本体2を把持しつつ、人差し指F2及び中指F3から成る2本の手指で可動部材3を手前側UBに引き寄せるように回動させ、かつ、向こう側DTに押しやるように逆向きに回動させて操作することができる。
【0074】
本体2は正面視において略長方形であるとともに、平面視においてY字形状であり、かつ、その基部である柄2aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の本体アーム部4,5を一体に有する。一対の本体アーム部4,5は、図1(a)が示すように左側Lの本体アーム部である左本体アーム部4と、右側Rの本体アーム部である右本体アーム部5とから成る。本体2の形状は、フロスホルダー1の中心線Clを挟んで左右対称である。柄2aは各本体アーム部4,5の根元から本体2の基端2bにかけて直線状に延在し、使用者の手指F1,F4,F5によって把持される。
【0075】
可動部材3は平面視においてY字形状であり、かつ、その基部である可動部材基部3aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の可動アーム部6,7を一体に有する。一対の可動アーム部6,7は、左側Lの可動アーム部である左可動アーム部6と、右側Rの可動アーム部である右可動アーム部7とから成る。可動部材3の形状は、フロスホルダー1の中心線Clを挟んで左右対称である。可動部材基部3aは左可動アーム部6と右可動アーム部7とを幅方向に繋ぎ、一対の可動アーム部6,7と共に使用者の手指F2,F3によって操作される。なお、本体アーム部4,5を第1のアーム部とも呼び、可動アーム部6,7を第2のアーム部とも呼ぶ。
【0076】
可動部材3は、本体2に対して閉じた状態で、図1(a)が示すように、平面視において左可動アーム部6が左本体アーム部4の下側Dに重なり、右可動アーム部7が右本体アーム部5の下側Dに重なり、かつ、可動部材基部3aが柄2aの一部の下側Dに重なる。これにより、可動部材3のY字形状と本体2のY字形状の一部とは、フロスホルダー1の上下方向において重なる。
【0077】
可動部材3は、本体2との間で、各アーム部4,5,6,7と平面視において交差するように配置されるデンタルフロス8を挟む。デンタルフロス8は、左側Lの各アーム部4,6と、右側Rの各アーム部5,7との間に張り渡される程の長さを有し、図1(a)が示すように左右の先端が各アーム部4,5,6,7よりもそれぞれ左側L及び右側Rに達し、さらに左向きL及び右向きRに余分な長さを残す。
【0078】
可動部材3のY字形状は、図3に示す底面図において、左右の可動アーム部6,7のそれぞれの根元から先端までの距離である可動アーム部長さLbが、可動部材基部3aの根元から基端3bまでの距離である基部長さLaよりも長い形状である。よって、可動部材基部3aは左右の可動アーム部6,7よりも長さが短い。
【0079】
左本体アーム部4と右本体アーム部5とは、それぞれが回転軸心Crよりも基端2b側にフロス挟持溝4a,5aを有する。各フロス挟持溝4a,5aは、デンタルフロス8の太さよりも小径の、フロスホルダー1の幅方向に長い窪みを下向きDに有する。
【0080】
左可動アーム部6と右可動アーム部7とは、それぞれが回転軸線Crに対して可動部材3の基端3b側にフロス挟持溝6a,7aを有する。各フロス挟持溝6a,7aは、デンタルフロス8の太さよりも小径の、フロスホルダー1の幅方向に長い窪みを上向きUに有する。デンタルフロス8は、これらのフロス挟持溝4a,5a,6a,7aにおいて左右の本体アーム部4,5と左右の可動アーム部6,7とによって確実に挟まれる。
【0081】
左可動アーム部6と右可動アーム部7とは、それぞれ左本体アーム部4及び右本体アーム部5に軸着する。すなわち、左可動アーム部6と右可動アーム部7とは、回転軸線Cr上の支軸6b,7bをそれぞれ一体に有し、左本体アーム部4及び右本体アーム部5のそれぞれに設けられた軸孔4b,5bに各支軸6b,7bが遊嵌して左右の本体アーム部4,5に支持される。
【0082】
これらの構造により可動部材3は、本体2に対して、各アーム部4,5,6,7の先端をフロスホルダー1の幅方向に通る回転軸線Crを中心に正逆の両方向に回動することができる。
【0083】
そのため、可動部材3が回動して本体2に対して閉じた状態のときは、各アーム部4,5,6,7がそれぞれのフロス挟持溝4a,5a,6a,7aにおいてデンタルフロス8の両端を上下方向に挟持することができる。以下において、可動部材3が閉じてデンタルフロス8を挟持している状態を挟持状態という。フロスホルダー1の先端側Tにおける幅は、人の口腔M内に挿入できる程の広さに収まっている。
【0084】
デンタルフロス8は紐状の被張架体を成す口腔清掃材を構成する。すなわち、 デンタルフロス8は口腔を清掃するための天然繊維又は合成繊維であり、一本の繊維により形成され、または、複数の繊維の束により形成される紐状体を成す。また、デンタルフロス8は、各アーム部4,5,6,7がそれぞれのフロス挟持溝4a,5a,6a,7aにおいて上下方向に挟持することにより、本体アーム部4,5同士の間に張架される被張架体を成す。
【0085】
そして、フロスホルダー1は上記のような口腔清掃材であるデンタルフロス8を張架することのできる口腔清掃材ホルダーとも呼ぶ。
【0086】
これらのような、挟持状態におけるフロスホルダー1とデンタルフロス8との組合せをデンタルフロス付フロスホルダー9という。使用者は、デンタルフロス付フロスホルダー9の本体2を一方の手H1によって把持するとともに、デンタルフロス付フロスホルダー9を先端側Tから口腔M内に導き入れ、挟持されているデンタルフロス8によって歯の清掃を行う。使用者は自らの歯の清掃を行うほか、幼児や介護を必要とする高齢者のような他人の歯の清掃を行うこともある。
【0087】
デンタルフロス付フロスホルダー9は上記のような口腔清掃材であるデンタルフロス8が張架された口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーとも呼ぶ。
【0088】
また、挟持状態から可動部材3を逆方向に回動させて本体2に対して開いた状態とすることによって、各フロス挟持溝4a,5a,6a,7aからデンタルフロス8を解放することができる。以下において、可動部材3が開いてデンタルフロス8を解放している状態を解放状態という。
【0089】
使用者は、例えば人差し指F2と中指F3とを解放状態の可動部材3に引っ掛けて、可動部材3を手前側UBに引き寄せるように回動させることによってフロスホルダー1を解放状態から挟持状態へと切り換える。また、挟持状態の可動部材3を、人差し指F2と中指F3とによって向こう側DTに押しやるように回動させることによってフロスホルダー1を挟持状態から解放状態へと切り換える。
【0090】
このとき、基部長さLaが短く、基端3bの位置が回転軸線Crから近いため、使用者は、例えば親指F1、薬指F4及び小指F5によって柄2aを把持しつつ容易に中指F3を解放状態の可動部材3の基端3bに引っ掛けることができ、かつ、容易に人差し指F2及び中指F3によって可動部材3を回動させることができる。
【0091】
各アーム部4,5,6,7は、各本体アーム部4,5が下向きDに面する係止面4c,5cを有する。また、各可動アーム部6,7は可動部材3の本体2に対する開き角であり、基端3b及び回転軸線Crを結ぶ直線と本体2の長手方向との成す角度である開き角θ1が90度よりも小さい角度の状態で向こう側DTが各本体アーム部の係止面4c,5cに当接するように傾斜した係止面6c,7cを有する。
【0092】
すなわち、挟持状態から解放状態へと切り換えるため可動部材3を本体2に対して開くように回動させ、開き角θ1が大きくなって90度に近付くとき、各本体アーム部4,5の係止面4c,5cが各可動アーム部6,7の係止面6c,7cの回転軌道上に配置されることにより、相対する係止面4c,6c,5c,7c同士が当接し、前記開き角θ1が90度を超えないように互いに規制されている。
【0093】
このような係止面4c,6c,5c,7c同士の当接によって開き角θ1が90度未満に抑えられることによって、可動部材3が向こう側DTへ回り過ぎることがない。すなわち、基端3bが人差し指F2及び中指F3から遠く離れることがなく、殊更容易に人差し指F2及び中指F3を解放状態の可動部材3に引っ掛けることができ、かつ、これらの指によって可動部材3を回動させることができる。
【0094】
以上の構成により、使用者は図示しない他方の手H2を用いることなく片方の手H1でフロスホルダー1を容易に解放状態から挟持状態とすることができ、かつ、容易に挟持状態から解放状態とすることができる。また使用者は、片方の手H1でデンタルフロス付フロスホルダー9から容易にデンタルフロス8を解放することができ、かつ、このデンタルフロス付フロスホルダー9がデンタルフロス8を解放した後のフロスホルダー1によって、容易に再びデンタルフロス8を挟持することができる。いったん使用したデンタルフロス8はデンタルフロス付フロスホルダー9から解放された後、再度フロスホルダー1によって挟持して再使用することができ、また、廃棄することができる。
【0095】
ところでデンタルフロス8は、例えば図4に示すケース10に巻き取られて収容されている。ケース10は、図4の手前から奥に向けての前後方向に偏平であり、前後方向に設けられる支軸10aを有する。また、デンタルフロス8を巻き取った巻き芯10bが、支軸10aに遊嵌し自在に回転して、ケース10は繰り出し口10cからデンタルフロス8をケース外に繰り出すことができる。
【0096】
このようなケース10から繰り出して用いられるデンタルフロス8を、糸まきタイプのデンタルフロスと一般に呼ぶ。
【0097】
使用者は、予めケース外に露出する先端部8aを引っ張って、フロスホルダー1の左側Lの各アーム部4,6と、右側Rの各アーム部5,7との間に張り渡される程の長さのデンタルフロス8をケース10から繰り出す。その上で使用者は、一方の手H1によってフロスホルダー1を支持し、他方の手H2によってケース10を支持する。
【0098】
これにより使用者は、一方の手H1によって解放状態から挟持状態へと切り替わるように操作をして、他方の手H2から繰り出されたデンタルフロス8を、フロスホルダー1によって容易に挟持することができる。
【0099】
すなわち、フロスホルダー1を片方の手H1によって操作することができる。そのため、もう片方の手H2によってケース10を支持することにより、例えば、使用者は容易にデンタルフロス8をフロス挟持溝4a,5a,6a,7aへと導くことができ、また、デンタルフロス8が真直ぐに垂れ下がった状態の時に本体2と可動部3とによって挟むことができる。挟んだ後のデンタルフロス8は、アーム部4,5,6,7の間に張り渡された部分と、さらに左向きL及び右向きRに余分な長さに残す部分とを残し、カッターなどにより切り離す。
【0100】
なお、左側のフロス挟持溝4a,6aは本体側と可動側とのどちらか一方だけが設けられてもよい。また、右側のフロス挟持溝5a,7aは本体側と可動側とのどちらか一方だけが設けられてもよい。さらに、デンタルフロス8を確実に挟める隙間が生じるのであれば、フロス挟持溝4a,5a,6a,7aを設けなくてもよい。
【0101】
図5図10は、本発明の第2の実施形態を例示している。図5において11はメッシュホルダーであって、このメッシュホルダー11が本体12と、本体12に軸着し、本体12の先端に位置する幅方向の回転軸線Cr周りを自在に回動可能な可動部材13とを備える。
【0102】
可動部材13は、本体12との間で、各アーム部14,15,16,17と平面視において長手方向が交差するように配置される帯状のメッシュである帯状メッシュ18を挟む。帯状メッシュ18は、左側Lの各アーム部14,16と、右側Rの各アーム部15,17との間に張り渡される程の長さを有し、図5が示すように左右の先端縁が左本体アーム部14及び左可動アーム部16の左側L並びに右本体アーム部15及び右可動アーム部17の右側Rに達し、さらに左向きL及び右向きRに余分な長さを残す。
【0103】
帯状メッシュ18は図5の平面視において長方形を形成し、図の実線によって表される清掃部18aと、清掃部18aと長手方向の両側に連続する挟み代部18b,18bとを含む。左側Lの挟み代18bは左本体アーム部14及び左可動アーム部16に挟まれ、右側Rの挟み代18bは右本体アーム部15及び右可動アーム部17に挟まれる。可動部材13が閉じて帯状メッシュ18を挟持する状態を挟持状態という。メッシュホルダー11の先端側Tにおける幅は、人の口腔M内に挿入できる程の広さに収まっている。
【0104】
また、挟持状態から可動部材13を逆方向に回動させて本体12に対して開いた状態とすることによって、各アーム部14,15,16,17から帯状メッシュ18を解放することができる。以下において、可動部材13が開いて帯状メッシュ18を解放している状態を解放状態という。他の構成は第1の実施形態と共通とする。
【0105】
なお、左本体アーム部14及び左可動アーム部16は、回転軸心Crよりも基端12b側に、図5に示すようなそれぞれ上向きUに凹むメッシュ挟持段部14a及び下向きDに凹むメッシュ挟持段部16aをお互いに向き合うように有していてもよい。また、右本体アーム部15及び右可動アーム部17は、回転軸心Crよりも基端12b側に、それぞれ上向きUに凹むメッシュ挟持段部15a及び下向きDに凹むメッシュ挟持段部17aをお互いに向き合うように有していてもよい。
【0106】
このとき、各メッシュ挟持段部14a,15a,16a,17aはそれぞれのアーム部14,15,16,17の長手方向の直線部分に設けられ、帯状メッシュ18の幅と略同一の長さを有する。これらにより、使用者は狙いを定めて帯状メッシュ18を挟むことができる。
【0107】
帯状メッシュ18は帯状の被張架体を成す口腔清掃材を構成する。すなわち、 帯状メッシュ18は口腔を清掃するため複数の経緯方向の合成繊維により形成され、複数の経緯方向の合成繊維の束により形成される、または、複数の経緯方向の合成繊維及び複数の経緯方向の合成繊維の束により形成される帯状体を成す。また、帯状メッシュ18は、各アーム部14,15,16,17が各挟み代18b,18bを上下方向に挟持することにより、本体アーム部14,15同士の間に張架される被張架体を成す。
【0108】
そして、メッシュホルダー11は上記のような口腔清掃材である帯状メッシュ18を張架することのできる口腔清掃材ホルダーとも呼ぶ。本発明のメッシュホルダー11は、帯状メッシュ18を二重・三重に巻くことなく張架することができるので、例えば下記に説明するメッシュテープMTのようなメッシュ材料を経済的に消費する。また、メッシュテープMTを所定の長さに切って一片の状態に形成すればそのまま使用することができ、例えば円筒形状のような立体形状に成形する必要がなく、そのための工程を要せず経済的である。
【0109】
これらのような、挟持状態におけるメッシュホルダー11と帯状メッシュ18との組合せを帯状メッシュ付メッシュホルダー19という。使用者は、帯状メッシュ付メッシュホルダー19の本体12を一方の手H1によって把持するとともに、帯状メッシュ付メッシュホルダー19を先端側Tから口腔M内に導き入れ、挟持されている帯状メッシュ18によって舌、口蓋、内頬、歯、歯茎、歯間その他の口腔M内の部位の清掃を行う。使用者は自らの口腔M内の部位の清掃を行うほか、幼児や介護を必要とする高齢者のような他人の口腔M内の部位の清掃を行うこともある。帯状メッシュ付メッシュホルダー19は上記のような口腔清掃材である帯状メッシュ18が張架された口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーとも呼ぶ。
【0110】
いったん使用した帯状メッシュ18は帯状メッシュ付メッシュホルダー19から解放された後、再度メッシュホルダー11によって挟持して再使用することができ、また、廃棄することができる。
【0111】
帯状メッシュ18の拡大図を図5に示す。帯状メッシュ18は、合成繊維102v,102hによって織られる網目103を有する。
【0112】
合成繊維102v,102hはポリエチレンテレフタレート(PET)を原料とし、図5の拡大図及び図6が示すように帯状メッシュ18の製織方向Vに長いモノフィラメントの経糸102vと、製織方向Vと直交する織幅方向Hに長いモノフィラメントの緯糸102hとを含む。経糸102v及び緯糸102hは、それぞれの横断面が円形断面であり、各経糸102vと各横糸102hとが互いに同径である。
【0113】
合成繊維102v,102hの原料は、ポリエチレンテレフタレートに限らず、紡糸して帯状メッシュ18への製織が可能であり、かつ、口腔M内において健康被害を与えることのない合成樹脂であればよく、ポリエチレンテレフタレート以外のポリエステル系樹脂、ナイロンをはじめとするポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑樹脂でもよい。ポリエステル系樹脂にはポリ乳酸が含まれる。
【0114】
経糸102vと緯糸102hとは、帯状メッシュ18の面と直交するメッシュ厚方向Tから視てそれぞれ同一ピッチPv,Phに配置される。また、複数本の経糸102vと複数本の緯糸102hとが互いに90度を成すように交絡して平織に織られる。
【0115】
網目103は、帯状メッシュ18を構成する面方向の一単位で、一つの網目103が、帯状メッシュ18の面方向において隣り合う一対の経糸102v,102vと、同じく隣り合う一対の緯糸102h,102hと、これら一対の経糸102v,102vと一対の緯糸102h,102hとに囲まれた開孔103hとによって構成される。従って、帯状メッシュ18全体においては、複数の網目103が製織方向V及び織幅方向Hに連続している。
【0116】
また網目103においては、経糸102vと緯糸102hとがメッシュ厚方向Tに重なるため、一つの網目103aについて、メッシュ厚方向Tの立体構造が形成される。
【0117】
すなわち、各経糸102v及び各緯糸102hは、方向がそれぞれ製織方向V及び織幅方向Hに対してメッシュ厚方向T寄りに傾斜する。そのため、図6に示すような網目103aを表す長方形の仮想線の左上角に位置する第1のコーナー106aにおいて緯糸102hが手前側を左右に通過するとともに経糸102vが奥側を上下に通過する。また、右上角に位置する第2のコーナー106bにおいては経糸102vが手前側を上下に通過するとともに緯糸102hが奥側を左右に通過する。同じように右下角に位置する第3のコーナー106c及び左下角に位置する第4のコーナー106dにおいては、それぞれ第1のコーナー106a及び第2のコーナー106bと同様に経糸102v及び緯糸102hが通過する。
【0118】
このように、網目103は経糸102vと緯糸102hとが交絡することによる立体構造を有する。そして、帯状メッシュ18にはこのような網目103が連続して配置されている。よって帯状メッシュ18は、面全体において立体構造を有する。
【0119】
また、各網目103において経糸102vと緯糸102hとがそれぞれ同一ピッチPv,Phに配置され、かつ、各経糸102v及び各緯糸102hが同径である。そのため帯状メッシュ18の立体構造は、一つの網目103aと同一又は反転した立体構造が面全体において繰り返されたものとなっている。
【0120】
さらに、各網目103は経糸102vと緯糸102hとに取り囲まれ、帯状メッシュ18をメッシュ厚方向Tに貫通する開孔103hを有する。そのため帯状メッシュ18は、面全体において均一に開孔103hが分布する多孔構造を有する。
【0121】
帯状メッシュ18は、図5において製織方向Vが長手方向と一致する。また、後述するように、これとは製織方向が90度異なり、製幅方向Hが長手方向と一致してもよい。
【0122】
帯状メッシュ18は、口腔M内の部位との摩擦等により、その面方向又はシート厚方向Tの力を受けるときでも、各アーム部14,15,16,17により挟持されて支持される。そのため、帯状メッシュ18はある程度の弾性変形、または、弾性変形及び塑性変形を起こすものの、大きな型崩れを生じることがない。
【0123】
その一方で、帯状メッシュ18の清掃部18aは、各アーム部14,15,16,17によって挟まれていない。そのため、例えば口腔M内の歯と歯との間に帯状メッシュ18を挿入するとき、使用者は帯状メッシュ18の先端側の端縁である先端側端縁18cから帯状メッシュ18を進入させることができる。
【0124】
一対の本体アーム部14,15及び一対の可動アーム部16,17は、使用者の唇から口腔M内に挿入できる程度に小さく、かつ、使用者の口腔M内において帯状メッシュ18を上下左右に動かせる程度に小さい。柄12aは、使用者が手指で把持できる程度の太さを有する。
【0125】
これらの構成により、使用者は手指で柄12aをつかみ、帯状メッシュ18を口腔M内に挿入することができる。また、挿入後に使用者は、帯状メッシュ付メッシュホルダー19を帯状メッシュ18の面方向に動かすことにより、帯状メッシュ18を舌、口蓋、内頬、歯、歯茎、歯間その他の口腔M内の部位に当てた状態で、それぞれの部位の表面を帯状メッシュ18の何れかの面又は両面によって擦ることができる。
【0126】
図7を用いて、舌その他の口腔M内の部位の表面を帯状メッシュ18によって擦ることにより、これらの各部位の表面に付着した食後の食べかすや舌苔などの汚れS(図示しない)を、どのように清掃することができるかを説明する。
【0127】
帯状メッシュ18は面全体において経糸102vと緯糸102hとが交絡することによる立体構造を有するため、これらの経糸102v及び緯糸102hによって汚れSをかき取ることができ、かつ、かき取った汚れSを経糸102vの表面、緯糸12hの表面、または、経糸102vの表面および緯糸102hの表面に堆積させることができる。
【0128】
図7が示すように、一つの網目103a内において帯状メッシュ18は、第1のコーナー106aでシート厚方向Tの手前側を左右に通過する第1の緯糸102h(i)は、下向きに面する側面107acが図の手前側に露出する。また、第2のコーナー106bでシート厚方向Tの手前側を上下に通過する第2の経糸102v(ii)は、左向きに面する側面107abが図の手前側に露出する。同様に、第3のコーナー106c及び第4のコーナー106dでシート厚方向Tの手前側をそれぞれ左右及び上下に通過する第2の緯糸102h(ii)及び第1の経糸102v(i)は、それぞれ上向きに面する側面107bc及び右向きに面する側面107cdが図の手前側に露出する。
【0129】
各経糸102v(i),102v(ii)が同一ピッチPvに配置され、各緯糸102h(i),102h(ii)が同一ピッチPhに配置され、かつ、経糸102v(i),102v(ii)と緯糸102h(i),102h(ii)とが直交するため、網目103aは、第1~4のコーナー106a,106b,106c,106dを頂点とする長方形に構成される。
【0130】
各側面107ab,107bc,107cd,107acは、使用者が帯状メッシュ18によって口腔M内の各部位を擦ることによって、付着する汚れSを、帯状メッシュ18の面方向にかき取ることができる。また、かき取った汚れSは各側面107ab,107bc,107cd,107acの表面に堆積する。
【0131】
なお、帯状メッシュ18をシート厚方向Tの奥側から見た場合についても同様である。
【0132】
例えば、口腔M内の部位が舌の場合、帯状メッシュ18は舌表面に数多く存在する糸状乳頭Maを擦ることによって、糸状乳頭Maに付着する汚れSである舌苔Saを面方向にかき取ることができる。図8の縦断面端面図に示すように、糸状乳頭Maは略錐体状を形成し、その先端側から帯状メッシュ18の一方の面を当てることができる。
【0133】
図8は帯状メッシュ付メッシュホルダー19の幅方向に視た図であり、帯状メッシュ18の網目103を製織方向Vに視た図である。そのため、経糸102v,102vの横断面が示されている。帯状メッシュ18の各網目103は経糸102v同士の間に、帯状メッシュ18をメッシュ厚方向Tに貫通する開孔103hを有する。
【0134】
使用者は帯状メッシュ付メッシュホルダー19を帯状メッシュ18の面方向に動かすことによって糸状乳頭Maから舌苔Saをかき取る。このとき、使用者が帯状メッシュ付メッシュホルダー19を糸状乳頭Maに当てて、例えば長手方向に往復動させるときは、一部が開孔103hに位置する舌苔Saを経糸102v,102vが長手方向にかき取る。図7に示す一つの網目103aの開孔103hに舌苔Saの一部が位置するときは、経糸102v(i)の側面107cd及び経糸102v(ii)の側面107abや、これらの側面107ab,107cd以外の外周面が舌苔Saを帯状メッシュ18の面方向にかき取ることができる。
【0135】
上記のように、舌苔Saの一部が開孔103hに位置するため、経糸102v、緯糸102h又は経糸102v及び緯糸102hは、糸状乳頭Maの根元側のより深い位置において舌苔Saをかき取ることができる。これにより、舌苔Saをより効率良くかき取ることができ、帯状メッシュ付メッシュホルダー19は、少ないかき取り回数によって汚れSを清掃することが可能である。
【0136】
しかも、このように汚れSを効率良く清掃することにより、そのぶん、帯状メッシュ付メッシュホルダー19による舌表面を傷つけることのダメージを低減することができる。
【0137】
また、使用者が帯状メッシュ付メッシュホルダー19を糸状乳頭Maに当てて、例えば基端向きBにのみ動かすときは、経糸102v(i)の側面107cdや側面107cd以外の外周面が舌苔Saをかき取ることができる。
【0138】
さらに、使用者が帯状メッシュ付メッシュホルダー19を糸状乳頭Maに当てて、幅方向に往復動させる、または、左向きLにのみ動かす、もしくは、右向きRにのみ動かすときは、緯糸102h(i)の側面107acや緯糸102h(ii)の側面107bc、または、これら側面107ac,107bc以外の外周面が舌苔Saを帯状メッシュ18の面方向にかき取ることができる。
【0139】
また、斜め方向に往復動させる、または、斜め方向の何れかの向きにのみ動かすときも、各側面107ab,107bc,107cd,107acやこれらの側面107ab,107bc,107cd,107ac以外の外周面が舌苔Saを帯状メッシュ18の面方向にかき取ることができる。
【0140】
舌苔Saが大きいため開孔103hに収まっていない状態のとき、または、開孔103hが小さく網目103が詰まっているため舌苔Saが開孔103hに収まっていない状態のときでも、これらの網目103が経糸102vと緯糸102hとが交絡することによる立体構造を有しているため、舌苔Sa側に露出する経糸102v、緯糸102h又は経糸102v及び緯糸102hのいずれかの外周面は舌苔Saに摩擦力を加えることができる。これにより、帯状メッシュ18の面方向に、帯状メッシュ付メッシュホルダー19を動かす向きにおいて舌苔Saを糸状乳頭Maからかき取ることができる。
【0141】
ところで、数多くの糸状乳頭Ma同士は舌表面全体で左右前後に隣り合って存在する。これに対し、本発明の帯状メッシュ付メッシュホルダー19の帯状メッシュ18は長手方向及び幅方向に隣り合った網目103を有する。そのため、帯状メッシュ付メッシュホルダー19を帯状メッシュ18の面方向に動かすことにより、一度に多くの糸状乳頭Maに付着する舌苔Saを効率的にかき取ることができる。
【0142】
また、経糸102v及び緯糸102hが合成繊維のため、帯状メッシュ18は可撓性を有し、舌表面の複雑な形状に倣って汚れSを清掃することができる。
【0143】
さらに、経糸102v及び緯糸102hの線径は、例えば0.05mm程度であり、本発明の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー以外の舌清掃具における線径である、例えばブラシ系の0.075mm以上のものやゴム系の0.1mm以上のものに比べて細い。そのため、本発明の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーは、これらの他の舌清掃具に比べて汚れSを効率良く清掃し、かつ、舌表面を傷つけることのダメージが少ない。
【0144】
汚れSが図7の各側面107ab,107bc,107cd,107acの表面に堆積した後に、使用者は、帯状メッシュ18の表面に流水、洗浄水等を注ぐとともに、漱ぐことによって、汚れSを網目3から除去し、帯状メッシュ18を洗浄することができる。すなわち、汚れSをかき取った各側面107ab,107bc,107cd,107acは手前側に露出するため、同じ側からの流水、洗浄水等によって汚れSを洗い流すことが可能である。
【0145】
しかも、開孔103hがシート厚方向Tに貫通するため、汚れSの洗浄は容易である。たとえ、汚れSが開孔103h内に堆積して目詰まりを起こす場合でも、使用者は、帯状メッシュ18の表面から流水、洗浄水等を注ぐことによって、開孔103h内の汚れSを洗い流し、網目103から除去することができる。
【0146】
以上のように、網目103aの各側面107ab,107bc,107cd,107acにより汚れSがかき取られるとともに、各側面107ab,107bc,107cd,107acの表面に汚れSが堆積することにより、帯状メッシュ18は汚れSを清掃することができる。すなわち、使用者は合成繊維102v,102hによって織られた網目103を有する帯状メッシュ18を備える帯状メッシュ付メッシュホルダー19を準備し、メッシュホルダー11を把持して帯状メッシュ18を口腔M内に誘導して、帯状メッシュ18により口腔M内の汚れSを清掃することができる。また使用者は、メッシュホルダー11により挟持された状態のままで帯状メッシュ18の表面に流水、洗浄水等を注ぐことによって、網目103から汚れSを除去し、使用後の帯状メッシュ18を洗浄することができる。
【0147】
このように使用者は、洗浄した帯状メッシュ18によって再度口腔M内の汚れSを清掃することができる。すなわち、汚れSの清掃と汚れSの除去とを繰り返すことにより帯状メッシュ18を複数回使用することができる。そして、一回又は複数回使用後の帯状メッシュ18を帯状メッシュ付メッシュホルダー19から解放し、廃棄することができる。このとき、可動部材13の操作によって帯状メッシュ18を解放可能であることにより、操作のため、使用後の帯状メッシュ18に触れる必要がない。これにより、清潔に操作を行うことができる。
【0148】
帯状メッシュ18を洗浄して再使用する場合でも、帯状メッシュ18が開孔103hを有するため、洗浄のための流水、洗浄水等は直ぐに蒸発する。そのため、帯状メッシュ18を容易に乾燥し、衛生な状態に保つことができる。
【0149】
なお、図5において帯状メッシュ18が、その長手方向と製織方向Vとが一致するように形成され、配置されている。しかし、帯状メッシュ18の方向はこの方向に限られない。すなわち、帯状メッシュ18はその織幅方向Hが前記長手方向と一致するように形成され、配置されていてもよく、また、製織方向Vが前記長手方向に対して30度、45度、60度のような角度を成して形成され、配置されていてもよい。
【0150】
経糸102vと緯糸102hとが同径でなくとも、各経糸102vどうしが同径であり、かつ、各経糸102hどうしが同径であれば、経糸102vと緯糸102hとの直径は異なっていてもよい。
【0151】
また、経糸102v、緯糸102h、または、経糸102v及び緯糸102hの横断面は、円形断面である必要はなく、異形断面、角形断面等であってもよい。
【0152】
さらに、経糸102vと緯糸102hとによる織物組織は、平織以外の綾織、朱子織などでもよい。帯状メッシュ18は、合成繊維102v,102hによって形成された網目103を有すれば、他の構成であってもよい。しかも、経糸102vと緯糸102hとが交差する角度は、網目103が立体構造を成すことのできる角度であれば90度以外の角度でもよい。
【0153】
図9は、本実施形態における帯状メッシュ18の変形例を示している。図9は、山中産業株式会社製メッシュフィルター「ティーロードシャープ」(「ティーロード」は登録商標)の品番4817のものの顕微鏡写真である。図9において108a,108b,108c,108dは網目103aの第1~4のコーナー106a,106b,106c,106dに位置する熱溶着点であって、各熱溶着点108a,108b,108c,108dにおいて網目103aを構成する経糸102v(i),102v(ii)と緯糸102h(i),102h(ii)とが、帯状メッシュ18のシート厚方向Tに重なり合うものどうし互いに熱溶着されている。他の構成は、図6及び図7に示した実施形態における構成と共通する。
【0154】
このように、経糸102vと緯糸102hとが熱溶着されているため、帯状メッシュ18が口腔M内の部位の表面を擦る際に、網目103によって、帯状メッシュ18の面方向の摩擦力が偏って生じるときでも、隣り合う各経糸102vどうしの間隔のばらつきや、同じく各緯糸102hどうしの間隔のばらつきとが生じることは少ない。
【0155】
すなわち、一部の網目103aと口腔M内の部位との間の摩擦が大きいとき、前記一部の網目103aには帯状メッシュ18の面方向の大きな力が加わる。この場合でも、経糸102v(i),102v(ii)と緯糸102h(i),102h(ii)とが各熱溶着点108a,108b,108c,108dにおいて固着されているため、特定の網目103aだけが他の網目103よりも極端に拡がることはない。
【0156】
そのため、本変形例においては、帯状メッシュ18の面方向の位置によって、口腔M内の部位との間で生じる摩擦の大きさに差が生じるときでも、各網目103の大きさのばらつきを一定の範囲内に抑えることにより、帯状メッシュ18全体の汚れSの清掃効果の度合いを均一に保つことが容易となる。
【0157】
また、本変形例においては、各経糸102vと各緯糸102hとが、帯状メッシュ18のシート厚方向Tに互いに熱溶着されているため、一回の使用によって経糸102vまたは緯糸102hが偏った位置にずれてしまうことが少ない。そのため、二回目以降の使用に際しても経糸102vと緯糸102hとの位置が最初の位置に保たれ易く、廃棄までに可能な使用回数を増やすことが容易となる。
【0158】
なお、本例の経糸102v若しくは緯糸102hの一部、又は経糸102vの一部及び緯糸102hの一部には、モノフィラメントだけでなく、複数の単繊維を撚り合わせたマルチフィラメントが含まれていてもよい。ただし、一部の経糸102vや緯糸102hがマルチフィラメントのときは、これらと交差する緯糸102h又は経糸102vと交絡させるだけで、これらと交差する緯糸102h又は経糸102vと熱溶着させることはしない。
【0159】
このように、繊維本数の密度が高いマルチフィラメントを経糸102v又は緯糸102hの一部に含むことにより、使用者は、帯状メッシュ18によって口腔M内の部位をマルチフィラメントと交差する方向に擦るとき、汚れSをより効率良くかき取ることができる。
【0160】
ところで帯状メッシュ18は、その長手方向に連続するメッシュテープMTの状態で、第1の実施形態において示したケース10に巻き取られて収容されている。メッシュテープMTが巻き芯10bに巻き取られた状態を図9に示す。その他のケース10に関わる構成は第1の実施形態と共通とする。
【0161】
メッシュテープMTが真直ぐに垂れ下がった状態のときに本体12と可動部13とによって挟むことができる。挟んだ後のメッシュテープMTは、アーム部14,15,16,17の間に張り渡された部分と、さらに左向きL及び右向きRに余分な長さに残す部分とを残し、カッターなどにより切り離す。切り離されたことにより、左側Lの各アーム部4,6と、右側Rの各アーム部5,7との間に張り渡される程の長さ及び余分に残す部分の長さを有する一本の帯状メッシュ18が形成される。
【0162】
メッシュテープMTは、幅広のメッシュシートをロール状に巻き取ったメッシュロールから一本のメッシュテープMTの幅となるようにスリットして得ることができる。あるいは、最初から幅狭の状態の製織工程によりメッシュテープMTを織り、巻き取ることにより得てもよい。
【0163】
図11及び図12は、本発明の第3の実施形態を例示している。図11において21はフロスホルダーであって、このフロスホルダー21が本体22と、本体22に軸着し、本体22の先端に位置する幅方向の回転軸線Cr周りを自在に回動可能な可動部材23とを備える。
【0164】
フロスホルダー21は、可動部材23が本体22の上側Uに配置され、かつ、図11及び図12に示すように回転軸線Crの周りを回動する。このとき、可動部材23は、本体22に近づく側である手前側DB、および、本体22から遠ざかる側である向こう側UTにそれぞれ変位するように回動する。なお、他の構成は第1の実施形態と共通とする。
【0165】
フロスホルダー21の使用者は、一方の手H1によってフロスホルダー21を支持する。このとき使用者は、例えば人差し指F2、中指F3、薬指F4及び小指F5から成る4本の手指で本体22を把持しつつ、親指F1で可動部材23を手前側DBに引き寄せるように回動させ、かつ、向こう側UTに押しやるように逆向きに回動させて操作することができる。
【0166】
本体22は、正面視において略長方形であるとともに、平面視においてY字形状であり、かつ、その基部である柄22aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の本体アーム部24,25を一体に有する。柄22aは、本体アーム部24,25の根元から本体22の基端22bにかけて直線状に延在し、使用者の手指F2,F3,F4,F5によって把持される。
【0167】
可動部材23は、平面視においてY字形状であり、かつ、その基部である可動部材基部23aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の可動アーム部26,27を一体に有する。可動部材基部23aは左可動アーム部26と右可動アーム部27とを幅方向に繋ぎ、使用者の親指F1によって操作される。
【0168】
可動部材23は、本体22に対して閉じた状態で、平面視において左可動アーム部26が左本体アーム部24の上側Uに重なり、右可動アーム部27が右可動アーム部25の上側Uに重なり、かつ、可動部材基部23aが柄22aの一部の上側Uに重なる。これにより、可動部材23のY字形状と本体22のY字形状の一部とは、フロスホルダー21の上下方向において重なる。
【0169】
可動部材23は、本体22との間で左本体アーム部24、右本体アーム部25、左可動アーム部26及び右可動アーム部27からなる各アーム部24,25,26,27と平面視において交差するように配置されるデンタルフロス28を挟む。挟持状態におけるフロスホルダー21とデンタルフロス28との組合せをデンタルフロス付フロスホルダー29という。
【0170】
使用者は、例えば親指F1を解放状態の可動部材23に引っ掛けて、可動部材23を手前側DBに引き寄せるように回動させることによってフロスホルダー21を解放状態から挟持状態へと切り換える。また、挟持状態の可動部材23を、親指F1によって向こう側UTに押しやるように回動させることによってフロスホルダー21を挟持状態から解放状態へと切り換える。
【0171】
可動部材23のY字形状は、図3と同様の底面図において、左右の可動アーム部26,27のそれぞれの根元から先端までの距離である可動アーム部長さLbが、可動部材基部23aの根元から基端23bまでの距離である基部長さLaよりも長い形状である。よって、可動部材基部23aは左右の可動アーム部26,27よりも長さが短い。
【0172】
このように、基部長さLaが短く、基端23bの位置が回転軸線Crから近いため、使用者は、例えば人差し指F2、中指F3、薬指F4及び小指F5によって柄22aを把持しつつ容易に親指F1を解放状態の可動部材23の基端23bに引っ掛けることができ、かつ、容易に親指F1によって可動部材23を回動させることができる。
【0173】
各アーム部24,25,26,27は、各本体アーム部24,25が上向きUに面する係止面24c,25cを有する。また、各可動アーム部26,27は、開き角θ1が90度よりも小さい角度の状態で向こう側UTが各本体アーム部の係止面24c,25cに当接するように傾斜した係止面26c,27cを有する。
【0174】
すなわち、挟持状態から解放状態へと切り換えるため可動部材23を本体22に対して開くように回動させ、開き角θ1が大きくなって90度に近付くとき、各本体アーム部24,25の係止面24c,25cが各可動アーム部26,27の係止面26c,27cの回転軌道上に配置されることにより、相対する係止面24c,26c,25c,27c同士が当接し、前記開き角θ1が90度を超えないように互いに規制されている。
【0175】
このような係止面24c,26c,25c,27c同士の当接によって開き角θ1が90度未満に抑えられることによって、可動部材23が向こう側UTに回り過ぎることがない。すなわち、基端23bが親指F1から遠く離れることがなく、殊更容易に親指F1を解放状態の可動部材23に引っ掛けることができ、かつ、親指F1によって可動部材23を回動させることができる。
【0176】
以上の構成により、使用者は図示しない他方の手H2を用いることなく片方の手H1でフロスホルダー21を容易に解放状態から挟持状態とすることができ、かつ、容易に挟持状態から解放状態とすることができる。
【0177】
しかも、使用者は本体22を把持する側の手H1の親指F1で可動部材23を操作することができるため、例えば同じ手H1の人差し指F2や中指F3によって可動部材23を回動させる場合に比べ、これらの人差し指F2や中指F3を、本体22を把持するために用いたままで可動部材23を回動させることができる。これにより、フロスホルダー21をバランス良く支持した状態で可動部材23を容易に操作することが可能である。
【0178】
また使用者は、片方の手H1でデンタルフロス付フロスホルダー29から容易にデンタルフロス28を解放することができ、かつ、このデンタルフロス付フロスホルダー29がデンタルフロス28を解放した後のフロスホルダー21によって、容易に再びデンタルフロス28を挟持することができる。
【0179】
図13は、本発明の第4の実施形態を例示している。図13において31はメッシュホルダーであって、このメッシュホルダー31が本体32と、本体32に軸着し、本体32の先端に位置する幅方向の回転軸線Cr周りを自在に回動可能な可動部材33を備える。メッシュホルダー31は、可動部材33が本体32の上側Uに配置され、かつ、回転軸線Crの周りを回動する。このとき、可動部材33は、本体32に近づく側である手前側DB、および、本体32から遠ざかる側である向こう側UTにそれぞれ変位するように回動する。
【0180】
可動部材33は、本体32との間で左本体アーム部34、右本体アーム部35、左可動アーム部36及び右可動アーム部37からなる各アーム部34,35,36,37と平面視において長手方向が交差するように配置される帯状メッシュ38を挟む。挟持状態におけるメッシュホルダー31と帯状メッシュ38との組合せを帯状メッシュ付メッシュホルダー39という。
【0181】
帯状メッシュ38は、左側の挟み代38bが左本体アーム部34のメッシュ挟持段部34a及び左可動アーム部36のメッシュ挟持段部36aによって挟持される。他の構成は第2の実施形態及び第3の実施形態と共通とする。
【0182】
なお、左本体アーム部34及び左可動アーム部36は、図13に示すように回転軸心Crよりも基端32b側に、それぞれ下向きDに凹むメッシュ挟持段部34a及び上向きUに凹むメッシュ挟持段部36aをお互いに向き合うように有していてもよい。また、図示していない右本体アーム部35及び右可動アーム部37は、同じようにそれぞれメッシュ挟持段部35a及びメッシュ挟持段部37aをお互い向き合うように有していてもよい。そして、図示されてない右側の挟み代38bが右本体アーム部35のメッシュ挟持段部35a及び右可動アーム部37のメッシュ挟持段部37aによって挟持される。
【0183】
図14図26は、本発明の第5の実施形態を例示している。図14において41はフロスホルダーであって、このフロスホルダー41が本体42と、本体42に軸着し、幅方向の回転軸線Cr周りを自在に回動可能な可動部材43とを備える。本体42及び可動部材43は、それぞれアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エンジニアリングプラスチックであるポリアセタール(POM)等の熱可塑性樹脂の成形品である。可動部材43は本体42の上側Uに配置される。
【0184】
本体42は、図14及び図15(a)(b)が示すように、平面視において、Y字形状の本体42の基部である柄42aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の本体アーム部44,45を一体に有する。左本体アーム部44及び右本体アーム部45のそれぞれの先端44d,45dは、回転軸線Crに対して柄42aの反対側に位置する。すなわち、各本体アーム部44,45は、先端44d,45dから、回転軸線Crにかけての本体側フロス挟持部44e,45eと、回転軸線Crから柄42aにかけての本体側梃部44f,45fとを有する。フロスホルダー41は左右対称である。
【0185】
本体42は、正面視において略N字形状を形成し、本体側梃部44f,45fにおいて上向きUに湾曲するとともに、柄42aにおいて下向きDに湾曲する。
【0186】
可動部材43は、平面視において、Y字形状の基部である可動部材基部43aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の可動アーム部46,47を一体に有する。左可動アーム部46及び右可動アーム部47のそれぞれの先端46d,47dは、回転軸線Crに対して可動部材基部43aの反対側に位置する。すなわち、各可動アーム部46,47は、先端46d,47dから、回転軸線Crにかけての可動側フロス挟持部46e,47eと、回転軸線Crから可動部材基部43aにかけての可動側梃部46f,47fとを有する。なお、本体側フロス挟持部44e,45eを第1の清掃材挟持部とも呼び、可動側フロス挟持部46e,47eを第2の清掃材挟持部とも呼ぶ。
【0187】
可動部材基部43aが柄42aよりも長手方向において短く、かつ、柄42aの上側Uに配置されるとともに、本体42と可動部材43とが正面視において回転軸線Crで交差するため、各可動側梃部46f,47fが各本体側梃部44f,45fの上側Uに位置するのに対し、各可動側フロス挟持部46e,47eは、各本体側フロス挟持部44e,45eの下側Dに位置する。このように、可動部材43は本体42の先端側Tの一部と重なることができる。そして、可動部材43を押し下げるとき各可動側フロス挟持部46e,47eが持ち上がり、逆に可動部材43をはね上げるとき各可動側フロス挟持部46e,47eが降下する。これらにより、回転軸線Crよりも先端側Tで、例えばケース50から予め繰り出して露出させたデンタルフロス48をフロスホルダー41によって容易につまみ上げることができる。
【0188】
可動部材43は、可動側梃部46f,47fが、正面視において本体側梃部44f,45fに倣って上向きUに湾曲するため、全体としても本体42の一部に倣って上向きUに湾曲する。
【0189】
可動部材43は、図15(c)に示す平面図において、左右の可動アーム部46,47のそれぞれの根元から先端46d,47dまでの距離である可動アーム部長さLbが、可動部材基部43aの根元から基端43bまでの距離である基部長さLaよりも長い。よって、可動部材基部43は左右の可動アーム部46,47よりも長さが短い。
【0190】
図14図16及び図20(a)がフロスホルダー41の挟持状態を示すのに対して、図17図19図20(b)、図21及び図22はフロスホルダー41の解放状態を示す。可動部材43は、回転軸線Crの周りを、図20及び図22(b)に示すように本体42に近づく側である手前側DB、および、本体42から遠ざかる側である向こう側UTにそれぞれ変位するように回動する。なお、図14図17図20及び図22(b)においてフロスホルダー41は背面図が正面図と対称のため背面図を省略する。
【0191】
本体側フロス挟持部44e,45eは、図17図20(b)及び図21(a)に示すように、回転軸線Crを中心とした正面視反時計回りUCに向いた本体側歯部44t,45tを有する。本体側歯部44t,45tは、回転軸線Crから先端44d,45dを向く方向を長手方向とする三角柱状であるとともに、横断面における底辺が正面視時計回りCLを向き、かつ、頂点が稜線44s,45sを形成する三角柱状である。
【0192】
これらの各本体側歯部44t,45tの稜線44s,45sが、本体側フロス挟持部44e,45eの挟持端縁を形成する。
【0193】
本体側フロス挟持部44e,45eは、図20(a)及び図21(a)に示すように、先端44d,45dの近くで正面視時計回りCLに一段薄くなるように形成される顎受け部44es,45esを有する。
【0194】
また、可動側フロス挟持部46e,47eは、図17図20(a)(b)及び図21(b)に示すように正面視時計回りCLに向いた可動側歯部46t,47tを有する。可動側歯部46t,47tは、回転軸線Crから先端46d,47dを向く方向を長手方向とする三角柱状であるとともに、横断面における底辺が正面視反時計回りUCを向き、かつ、頂点が稜線46s,47sを形成する三角柱状である。
【0195】
各可動側歯部46t,47tの稜線46s,47sは、可動側フロス挟持部46e,47eの挟持端縁を形成する。また、稜線46s,47sを含む各可動側歯部46t,47tは、稜線44s,45sを含む各本体側歯部44t,45tと共にデンタルフロス48をその横断面の中央向きに両側から挟持する。
【0196】
可動側フロス挟持部46e,47eは、図17図20(a)(b)及び図21(b)に示すように、先端46d,47dの近くで正面視時計回りCLに一段厚くなるように形成される顎部46eh,47ehを有する。
【0197】
本体側フロス挟持部44e,45eは、挟持状態において相対する可動アーム部46,47の可動側フロス挟持部46e,47eと噛み合う。
【0198】
このとき、例えば左可動アーム部46の可動側フロス挟持部46eは、可動側歯部46tのうちの最も左側Lの可動側歯部46t1と右向きRに2番目の可動側歯部46t2との間に、本体側歯部44tのうちの最も左側Lの本体側歯部44t1がフロスホルダー41の幅方向に挟まり、同じように可動側歯部46t2,46t3,46t4同士の間に他の本体側歯部44t2,44t3が挟まることにより左本体アーム部44の本体側フロス挟持部44eと噛み合う。
【0199】
右可動アーム部47の可動側フロス挟持部47eも、同様に可動側歯部47t同士の間に本体側歯部45tが挟まることにより右本体アーム部45の本体側フロス挟持部45eと噛み合う。
【0200】
デンタルフロス48は、各歯部44t,45t,46t,47tの稜線44s,45s,46s,47sと平面視において直交するように、相対するフロス挟持部44e,45e,46e,47e同士の間で挟持される。これにより、デンタルフロス48は、各歯部44t,45t,46t,47tの歯形に倣うように挟持されることによって、これらの歯形との間の摩擦により、長さ方向若しくは横断面方向にずれ、または、フロスホルダー41から抜脱する虞が小さい。このように、フロスホルダー41によってデンタルフロス48を挟持することによりデンタルフロス付フロスホルダー49を得る。
【0201】
なお、図21(a)(b)においては本体側歯部44tが3本であり、かつ、可動側歯部46tが4本である場合を示したが、フロスホルダー11の先端側Tにおける幅が人の口腔M内に挿入できる程の広さに収まり、かつ、デンタルフロス48が長さ方向に抜脱する虞が小さければ、各本体側歯部44t,45tが1本以上、6本以内の本数であり、かつ、各可動側歯部46t,47tが2本以上、7本以内の本数であってもよい。また、本体側歯部44t,45tの本数よりも可動側歯部46t,47tの本数の方が多い場合に限られず、これらが同数、または、可動側歯部46t,47tの本数よりも本体側歯部44t,45tの本数の方が多くてもよい。
【0202】
また、本体側フロス挟持部44e,45eの各顎受け部44es,45esには、図20(a)に示すように相対する可動側フロス挟持部46e,47eの各顎部46eh,47ehが組み合わさる。そのため、挟持状態においては顎部46eh,47ehが各歯部44t,45t,46t,47tを、先端44d,45d,46d,47d側から覆うように位置する。
【0203】
これにより、挟持状態におけるデンタルフロス48は、上で述べたように各歯部44t,45t,46t,47tの歯形に倣うように挟持されることによって、長さ方向に抜脱する虞が小さいのに加え、仮に先端44d,45d,46d,47dに向けてデンタルフロス48の横断面方向に滑るようなことが生じても、顎部46eh,47ehによって遮られることにより先端44d,45d,46d,47d側から抜脱する虞が小さい。
【0204】
さらに、フロスホルダー41を解放状態から挟持状態へと切り替えるように操作をして、例えばケース50から繰り出されたデンタルフロス48を挟持する場合に、正面視時計回りCLに突き出した顎部46eh,47ehはデンタルフロス48を引っ掛けることができる。
【0205】
これにより、フロスホルダー41はデンタルフロス48を容易に挟持することができる。また、デンタルフロス付フロスホルダー49は、デンタルフロス48を解放した状態から、容易に再びデンタルフロス48を挟持することができる。
【0206】
本体側梃部44fは、図20(a)(b)が示すように、回転軸線Crを中心とした正面視反時計回りUCに突出し、かつ、反時計回りUCを向く頂面を有する略四角推台状の嵌合凸部44fpを有する。また、可動側梃部46fは、時計回りCLに向いて開口し、かつ、時計回りCLを向く底面を有する略四角推台状の嵌合凹部46frを有する。反対側の本体側梃部45f及び可動側梃部47fも、それぞれ同様の嵌合凸部45fp及び嵌合凹部47frを有する。
【0207】
各嵌合凹部46fr,47frは、回転軸線Crを中心とした各嵌合凸部44fp,45fpの回転軌道上に位置するとともに、内側に各嵌合凸部44fp,45fpが遊嵌する程度に各嵌合凸部44fp,45fpのサイズよりも若干大きく形成されている。そのため、挟持状態において、各嵌合凸部44fp,45fpは相対する可動側梃部46f,47fの嵌合凹部46fr,47frに遊嵌する。
【0208】
これにより、可動部材43が回動して解放状態から挟持状態へと切り替わる際、各嵌合凸部44fp,45fpは各嵌合凹部46fr,47frを案内して、各可動側フロス挟持部46e,47eを相対する各本体側フロス挟持部44e,45eと噛み合う位置に導くことができる。そのため、各歯部44t,45t,46t,47tは、フロスホルダー41の幅方向にずれることなく所定の位置に収まることが可能となる。
【0209】
このように、フロスホルダー41はデンタルフロス48を容易に挟持することができる。
【0210】
なお、嵌合凹部が嵌合凸部を案内して各可動側フロス挟持部46e,47eを相対する各本体側フロス挟持部44e,45eと噛み合う位置に導くことができれば、上記の例とは逆に、本体側梃部44f,45fが嵌合凹部を有し、かつ、可動側梃部46f,47fが嵌合凸部を有して、本体側梃部44f,45fの嵌合凹部に可動側梃部46f,47fの嵌合凸部が遊嵌する構造でもよい。
【0211】
左側Lの可動側フロス挟持部46eは、図20(a)に示すように、屈曲部46enにおいて、回転軸線Crから正面視放射状に延びる直線に対して本体側フロス挟持部44eに向けて屈曲するように形成される。右側Rの可動側フロス挟持部47eについても、図示されていない屈曲部47enにおいて同様に屈曲するように形成される。
【0212】
これらの可動側フロス挟持部46e,47eは、屈曲させられない場合と比べて、挟持状態において各可動側歯部46t,47tの稜線46s,47sを各本体側歯部44t,45tの稜線44s,45sと平行な方向に向けることのできる角度だけ屈曲するように形成される。これにより、挟持状態において各本体側歯部44t,45tの稜線44s,45sと各可動側歯部46t,47tの稜線46s,47sとが平行なため、稜線44s,45s,46s,47sを含む各歯部44t,45t,46t,47tは、デンタルフロス48をその横断面の中央向きに180度対向する二方向から、かつ、各稜線44s,45s,46s,47sと正面視において略直交する方向に挟むことができる。
【0213】
そのため、各歯部44t,45t,46t,47tの稜線44s~47s方向におけるどの位置においてデンタルフロス48が挟持される場合でも、均一な摩擦力をデンタルフロス48に加えることができる。これらの結果、挟持状態においても例えば先端44d,45d,46d,47dに向けて、または、回転軸線Crに向けてデンタルフロス48がその横断面方向に滑るような事態が生じにくい。よって、デンタルフロス48はフロスホルダー41から抜け落ちてしまうことがない。
【0214】
また、解放状態から挟持状態にかけて、可動側フロス挟持部46e,47eが本体側フロス挟持部44e,45eに近づくとき、屈曲するように形成されていない場合に比べ、可動側歯部46t,47tの各稜線46s,47sと、本体側歯部44t,45tの各稜線44s,45sとが成す角度は小さいため、デンタルフロス48は比較的容易に各フロス挟持部44e,45e,46e,47eの間に挟持される。
【0215】
これらのように、フロスホルダー41はデンタルフロス48を容易に挟持することができる。
【0216】
なお、挟持状態において各本体側歯部44t,45tの稜線44s,45sと各可動側歯部46t,47tの稜線46s,47sとを平行にすることができれば、可動側フロス挟持部46e,47eに代わり本体側フロス挟持部44e,45eが可動側フロス挟持部46e,47eに向けて屈曲していてもよい。また、本体側フロス挟持部44e,45eと可動側フロス挟持部46e,47eとの両方が、それぞれの相手方のフロス挟持部46e,47e,44e,45eに向けて屈曲していてもよい。
【0217】
フロスホルダー41は、本体42と可動部材43とを互いに係脱自在に係着する係着手段42c,43cを有する。
【0218】
係着手段42c,43cは、係止突起42c及び係止縁43cにより構成される。本体42が係止突起42cを有し、係止突起42cは、図22(a)(b)に示すように各本体アーム部44,45の根元を上下方向に貫通する平面視略長方形状の本体側貫通孔42hの先端側Tの内壁からいったん基端向きBに張り出した上で正面視L字状に折れ曲がって本体42から上向きUに突出する。また、係止突起42cはその上側U端から、鉤状に折れ曲がって基端向きBに突出する係止爪42dを有する。
【0219】
また、可動部材43が係止縁43cを有し、係止縁43cは、各可動アーム部46,47の根元において可動部材43を厚さ方向に貫通する可動側貫通孔43hにおける基端43b側の内壁と可動部材基部43aの上側U面とが構成する縁である。係止突起42cは、可動部材43が閉じて解放状態から挟持状態へと切り換わる際に可動部材43の下側Dから可動側貫通孔43hへと挿入し、挟持状態において係止爪42dが係止縁43cに引っ掛かることにより、可動部材43を下向きDに係止する。
【0220】
これにより、可動部材43は、手前側DBに変位するように回転軸線Cr周りを回動した後に、挟持状態において本体42と係着する。そして使用者は、フロスホルダー41を挟持状態に保持して片方の手で容易に歯の清掃を行うことができる。
【0221】
また、可動部材43を開いて挟持状態から解放状態へと切り換える際に、使用者は、係止爪42dを係止縁43cから外し、可動部材43を本体42との係着状態から解除させる。その上で、使用者は可動部材43を向こう側UTに回動させる。そして使用者は、フロスホルダー41を解放状態とすることにより次の使用に備えることができる。
【0222】
左本体アーム部44は、図23(a)に示すような回転軸線Crを中心線とする円柱状の支軸44bを有する。左本体アーム部44は、回転軸線Crの周囲に、右向きRに左本体アーム部44の幅方向略1/2まで窪んだ左本体側窪部44kを有する。支軸44bは、左本体側窪部44kにおける左向きLの左本体窪部底壁44g表面から左向きLに突出する円柱を形成している。
【0223】
左可動アーム部46は、図23(b)に示すような回転軸線Crを中心線とし、かつ、幅方向に左可動アーム部46を貫通する円柱状の軸孔46bを有する。左可動アーム部46は、回転軸線Crの周囲に、左向きLに左可動アーム部46の幅方向略1/2まで窪んだ左可動側窪部46kを有する。軸孔46bは、左可動側窪部46kにおける右向きRの左可動窪部底壁46gの表面から左向きに穿設されている。
【0224】
軸孔46bの内径は、支軸44bの外径よりもわずかに大きい。
【0225】
左本体アーム部44と左可動アーム部46とは、左本体窪部底壁44gと左可動窪部底壁46gとが対面するように左本体側窪部44kと左可動側窪部46kとを嵌め合わせることによって組み合わさる。このとき、支軸44bの外周が軸孔46bの内周と対面するように支軸44bが軸孔46bに遊嵌する。
【0226】
右本体アーム部45及び右可動アーム部47についても、上で述べた左本体アーム部44及び左可動アーム部46と同様に、右本体アーム部45と右可動アーム部47とが組み合わさる。また、軸孔47bの内径が支軸45bの外径よりもわずかに大きく、支軸45bの外周が軸孔47bの内周と対面するように支軸45bが軸孔47bに遊嵌する。
【0227】
これらにより、各本体アーム部44,45は回転軸線Crを中心に相対する各可動アーム部46,47を軸支する。各可動アーム部46,47が回動して挟持状態と解放状態との間を切り替わる際に、アーム部44,45,46,47同士が干渉し合わないように、各本体側窪部44k,45kと各可動側窪部46k,47kとは十分な容積を有する。
【0228】
本体42と可動部材43との組み立て時に、例えば本体42と可動部材43との材質がともにポリプロピレン(PP)の場合、各本体アーム部44,45が内側に撓むように弾性変形し、かつ、各可動アーム部46,47が外側に撓むように弾性変形することにより、各本体側窪部44k,45kと各可動側窪部46k,47kとは容易に嵌め合わされる。また、各軸孔46b,47bは、各支軸44b,45bに容易に嵌まることができる。これらの構造により、本体42と可動部材43とを容易に組み立てることが可能である。
【0229】
本体42は、図14に示す挟持状態において、可動部材基部43aが柄42aに当接することにより、可動部43をこれ以上手前側DBに回動しないように規制する。
【0230】
一方で、本体42は、図20(b)に示す解放状態において、各可動アーム部46,47の屈曲部46en,47enから基端43b側に連続する傾斜面46j,47jが図20(a)に示す各本体側窪部44k,45kの先端向きTの内壁である本体窪部先端向き内壁44j,45jに当接することにより、可動部材43をこれ以上向こう側UTに回動しないように規制する。
【0231】
これにより、図22(b)が示すように可動部材43は基端43b及び回転軸線Crを結ぶ直線と本体42の長手方向との成す開き角θ1が最大80度に制限される。すなわち、開き角θ1は90度未満に抑えられている。その結果、使用者はフロスホルダー41を支持している側の手H1の例えば親指F1を基端43bに引っ掛けて、容易に可動部材43を手前側DBに引き寄せるように回動させることができ、かつ、向こう側UTに押しやるように回動させることができる。
【0232】
図24(a)及び図24(b)はそれぞれ可動部材43を閉じた状態及び開いた状態のフロスホルダー41の斜め上から撮影した写真を表す。また、図25はデンタルフロス付フロスホルダー49を上側Uから撮影した写真を表す。なお、他の構成は第3の実施形態と共通する。
【0233】
ところでデンタルフロス48は、例えば図26(a)に示すケース50に巻き取られて収容され、使用者によって、繰り出し口50cからケース外に繰り出されて露出する。ケース50は、カッター50dを備え、繰り出し口50cとカッター50dとの間において、フロスホルダー41の左側Lの各アーム部44,46から、右側Rの各アーム部45,47までの幅よりも長尺のデンタルフロス48を直線状に張り渡すことができる。
【0234】
各アーム部44,45,46,47は、上で述べたように先端44d,45d,46d,47dから回転軸線Crにかけてフロス挟持部44e,45e,46e,47eを有する。そして、デンタルフロス48は、図26(b)に示すように本体側フロス挟持部44e,45eと、可動側フロス挟持部46e,47eとの間において挟持される。
【0235】
このとき、上で述べたように使用者は他方の手H2を用いることなく片方の手H1でフロスホルダー41を容易に解放状態から挟持状態とすることができるため、例えば、フロスホルダー41を一方の手H1によって支持し、かつ、ケース50を他方の手H2によって支持しつつ、解放状態のフロスホルダー41を各アーム部44,45,46,47の先端44d,45d,46d,47d側からデンタルフロス48に近付けて、このデンタルフロス48を容易につかみ取ることができる。
【0236】
しかもこの時、上で述べたように正面視時計回りCLに突き出した顎部46eh,47ehはデンタルフロス48を容易に引っ掛けることができる。
【0237】
例えば、図26(a)のケース50が示すようにデンタルフロス48が繰り出し口50cとカッター50dとの間に直線状に張り渡されている場合、使用者は、第一に、一方の手H1によって支持されるフロスホルダー41の各アーム部44,45,46,47によってこの直線状のデンタルフロス48を挟持するとともに、他方の手H2によってケース50を支持する。第二に、挟持したままフロスホルダー41をケース50から引き離すとともに、次に使用するデンタルフロス48を繰り出し口50cから繰り出す。
【0238】
第三に、繰り出した新たなデンタルフロス48を繰り出し口50cとカッター50dとの間に張り渡した上で、フロスホルダー41によってデンタルフロス48に張力を加え、カッター50dに当てた部分のデンタルフロス48を切ることができる。これによって、次に使用する分のデンタルフロス48は、繰り出し口50cとカッター50dとの間に直線状に張り渡される。
【0239】
このように使用者は、図26(b)に示すようにフロスホルダー41によって容易にデンタルフロス48を必要な分繰り出して挟持することができる。この間、使用者はそれぞれの手H1,H2によって、フロスホルダー41及びケース50を支持したまま、これらの操作を行うことができる。なお、フロスホルダー41は図24図26に示すような半透明体である必要はなく、白色その他の色に着色されていてもよく、また、透明体であってもよい。
【0240】
使用者は、フロスホルダー41がデンタルフロス48を挟持した状態で可動部材43を本体42に係着することによって、挟持状態のフロスホルダー41とデンタルフロス48との組合せであるデンタルフロス付フロスホルダー49を得る。可動部材43がいったん本体42に係着した後、係止爪42dを係止縁43cから外さない限り係着状態は解除されないため、使用者は、デンタルフロス付フロスホルダー49を挟持状態に保持したまま容易に歯の清掃を行うことができる。
【0241】
また、使用者はデンタルフロス付ホルダー49の使用後に、係止爪42dを係止縁43cから外し、可動部材43を本体42との係着状態から解除させ、フロスホルダー41を解放状態とすることにより次の使用に備えることができる。
【0242】
また、各アーム部44,45,46,47は、それぞれの梃部44f,45f,46f,47fにおいて上向きUに湾曲する。そのため、使用者はフロスホルダー41を先端側Tが下向きDに変位するように傾けるだけで、各フロス挟持部44a,45a,46a,47aを挟持前のデンタルフロス48に近付けることができ、フロスホルダー41によって容易にデンタルフロス48を挟持することができる。
【0243】
しかも、使用者は、各梃部44f,45f,46f,47fが湾曲することにより、例えば図示しない第1の奥歯T1と、第1の奥歯T1と隣り合う第2の奥歯T2との間にデンタルフロス48を挿入させるように、口腔M内の奥まった箇所においてデンタルフロス付フロスホルダー49を用いることができる。
【0244】
さらに、使用者は、可動部材43の開き角θ1が90度を超えないように規制されているため、可動部材43の基端43bが親指F1をはじめとする使用者の手指F1~F5から遠く離れることがなく、可動部材43を容易に手前側DB及び向こう側UTにそれぞれ変位するように回動させることができる。
【0245】
このとき、可動側梃部46f,47fが上向きUに湾曲するため、例えば親指F1が可動部材43の基端43bに届きやすく、使用者は容易に操作することができる。親指F1以外の手指F2~F5によって操作する場合も同様である。
【0246】
なお、使用者はデンタルフロス48を切るため、ケース50の有するカッター50dを用いるのではなく、他方の手H2によって支持される鋏などの道具によってもよい。また、ケース50を他方の手H2によって支持した状態で、ケース50から予め繰り出されたデンタルフロス48を一方の手H1によって支持されるフロスホルダー41によって挟持してもよい。さらに、予め所定の長さに切り取られたデンタルフロス48を他方の手H2によって支持した状態で、一方の手H1によって支持されるフロスホルダー41によって挟持してもよい。
【0247】
本実施形態における構成はこれらの構成に限定されるものではなく、様々の変形が可能である。例えば、各フロス挟持部44e,45e,46e,47eについて、各歯部44t,45t,46t,47tの断面形状が三角形でなくてもよく、デンタルフロス48が歯形に倣うように挟持されるのであれば、台形や長方形のような他の形状であってもよい。横断面が台形や長方形の場合は、各歯部44t,45t,46t,47tの頂面が各フロス挟持部44e,45e,46e,47eの挟持端縁を形成する。
【0248】
デンタルフロス48は、平面視において各歯部44t,45t,46t,47tの稜線44s,45s,46s,47sと直交するように挟持されるだけでなく、長さ方向若しくは横断面方向にずれ、または、抜脱しない程の摩擦が各歯部44t,45t,46t,47tの歯形との間において生じるのであれば、前記の直交方向から幾分傾いた角度を成して挟持されてもよい。
【0249】
また、各歯部44t,45t,46t,47tは、挟持の際にデンタルフロス48を所定の位置に導くため、稜線44s,45s,46s,47sの一部に切り欠きを有していてもよい。
【0250】
さらに、可動側フロス挟持部46e,47eが顎部46eh,47ehを有し、かつ、本体側フロス挟持部44e,45eが顎受け部44es,45esを有するのではなく、先端44d,45d,46d,47dに向けてデンタルフロス48がその横断面方向に滑ることが生じるときに、顎部によって遮られるのであれば、本体側フロス挟持部44e,45eが顎部を有し、かつ、可動側フロス挟持部46e,47eが顎受け部を有していてもよい。
【0251】
係着手段は、可動部材43側の係止突起と本体42側の係止縁とによって構成されていてもよい。また、係止突起は先端向きTに張り出していてもよく、さらに、係止爪が基端向きBに突出するだけでなく、先端向きTに突出していてもよい。
【0252】
本体42と可動部材43との組み立てについて、左本体アーム部44が右向きRに突出する支軸を有し、右本体アーム部45が左向きLに突出する支軸を有していてもよい。このときは、各本体アーム部44,45が外側に撓むように弾性変形し、かつ、各可動アーム部46,47が外側に撓むように弾性変形する。
【0253】
また、可動アーム部46,47が支軸を有し、かつ、本体アーム部44,45が軸孔を有していてもよい。
【0254】
さらに、本体アーム部44,45及び可動アーム部46,47の両方が撓むだけでなく、本体42又は可動部材43が弾性変形をすることができれば、本体アーム部44,45及び可動アーム部46,47の何れかが撓むように形成されていてもよい。
【0255】
可動部43の回動は、傾斜面46j,47jが本体窪部先端向き内壁44j,45jに当接することにより規制されるだけでなく、これら以外の部分同士が、または、これらの部分同士に加えてこれら以外の部分同士が当接することにより規制されていてもよい。
【0256】
各フロス挟持部44e,45e,46e,47eを屈曲させなくとも、デンタルフロス48を正面視において各歯部44t,45t,46t,47tの稜線44s,45s,46s,47sと直交する方向に挟めるように、軸孔46b,47bの内径を支軸44b,45bの外径よりもさらに大きなものとし、もしくは、軸孔46b,47bを長円形状のものとし、または、内径を大きなものとしかつ長円形状のものとすることによってデンタルフロス48の太さを吸収してもよい。
【0257】
さらに、各フロス挟持部44e,45e,46e,47eを屈曲させ、かつ、軸孔46b,47bをこれらのものとしてもよい。
【0258】
図27は、本発明の第6の実施形態を例示している。図27において51はメッシュホルダーであって、このメッシュホルダー51が本体52と、本体52に軸着し、幅方向の回転軸線Cr周りを自在に回動可能な可動部材53とを備える。可動部材53は本体52の図の手前側である上側Uに配置される。
【0259】
本体52は、平面視において、Y字形状の本体52の基部である柄52aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の本体アーム部54,55を一体に有する。左本体アーム部54及び右本体アーム部55のそれぞれの先端54d,55dは、回転軸線Crに対して柄52aの反対側に位置する。すなわち、各本体アーム部54,55は、先端54d,55dから、回転軸線Crにかけての本体側メッシュ挟持部54e,55eと、回転軸線Crから柄52aにかけての本体側梃部54f,55fとを有する。メッシュホルダー51は左右対称である。
【0260】
本体52は、図14と同様に正面視において略N字形状を形成し、本体側梃部54f,55fにおいて上向きUに湾曲するとともに、柄52aにおいて下向きDに湾曲する。
【0261】
可動部材53は、図27に示すように、平面視においてY字形状の基部である可動部材基部53aから先端向きTに二股に枝分かれする一対の可動アーム部56,57を一体に有する。左可動アーム部56及び右可動アーム部57のそれぞれの先端56d,57dは、回転軸線Crに対して可動部材基部53aの反対側に位置する。すなわち、各可動アーム部56,57は、先端56d,57dから、回転軸線Crにかけての可動側メッシュ挟持部56e,57eと、回転軸線Crから可動部材基部53aにかけての可動側梃部56f,57fとを有する。なお、本体側メッシュ挟持部54e,55eを第1の清掃材挟持部とも呼び、可動側メッシュ挟持部56e,57eを第2の清掃材挟持部とも呼ぶ。
【0262】
可動部材53は、本体52との間で、各アーム部54,55,56,57と平面視において長手方向が交差するように配置される帯状のメッシュである帯状メッシュ58を挟む。帯状メッシュ58は、左側Lの各アーム部54,56と、右側Rの各アーム部55,57との間に張り渡される程の長さを有し、左右の先端縁が左本体アーム部54及び左可動アーム部56の左側L並びに右本体アーム部55及び右可動アーム部57の右側Rに達し、さらに左向きL及び右向きRに余分な長さを残す。
【0263】
帯状メッシュ58が先端54d,55d,56d,57d側に挟まれるため、舌や歯茎、歯などの部位に当てられるとき、各アーム部54,55,56,57は帯状メッシュ58よりもこれらの部位に近付くように飛び出ることが少ない。また、帯状メッシュ58の先端側Tを先端54d,55d,56d,57dよりもさらに先端向きTにはみ出るように配置することもできる。これらのため、各アーム部54,55,56,57がじゃまにならず、効率的にこれらの部位の清掃を行うことができる。
【0264】
さらに、このため使用者はケース10,50から予め繰り出して露出させたメッシュテープMTを各メッシュ挟持部54e,55e,56e,57eによってつまみ上げることができる。このとき、使用者はメッシュテープMTを各先端54d,55d,56d,57d側からメッシュテープMTに近付けて、容易にこれをつまみ上げることができる。すなわち、メッシュテープMTを本体52と可動部材53との間に導き入れることなくメッシュテープMTを挟むことができる。
【0265】
帯状メッシュ58は図27の平面視において長方形を形成し、図の実線によって表される清掃部58aと、清掃部58aと長手方向の両側に連続する挟み代部58b,58bとを含む。左側Lの挟み代58bは左本体アーム部54及び左可動アーム部56に挟まれ、右側Rの挟み代58bは右本体アーム部55及び右可動アーム部57に挟まれる。可動部材53が閉じて帯状メッシュ58を挟持する状態を挟持状態という。メッシュホルダー51の先端側Tにおける幅は、人の口腔M内に挿入できる程の広さに収まっている。
【0266】
また、挟持状態から可動部材53を逆方向に回動させて本体52に対して開いた状態とすることによって、各メッシュ挟持部54e,55e,56e,57eから帯状メッシュ58を解放することができる。以下において、可動部材53が開いて帯状メッシュ58を解放している状態を解放状態という。
【0267】
可動部材53は、係着手段52c,53cによって挟持状態において本体52と係着する。そのため使用者は、メッシュホルダー51を挟持状態に保持して片方の手で容易に口腔M内の部位の清掃を行うことができる。
【0268】
しかも、各アーム部54,55,56,57が前記の係着状態において帯状メッシュ58を確実に挟持可能なため、帯状メッシュ58の使用中に舌や歯のような使用者の口腔M内の部位などによって外力が加わるときでも、帯状メッシュ58の撚りやメッシュホルダー51の変形によって帯状メッシュ58がメッシュホルダー51から抜脱することが防止される。
【0269】
帯状メッシュ58は帯状の被張架体を成す口腔清掃材を構成する。そして、メッシュホルダー51は帯状メッシュ58を張架することのできる口腔清掃材ホルダーとも呼ぶ。
【0270】
挟持状態におけるメッシュホルダー51と帯状メッシュ58との組合せを帯状メッシュ付メッシュホルダー59という。帯状メッシュ付メッシュホルダー59は口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーとも呼ぶ。他の構成は第4の実施形態及び第5の実施形態共通とする。
【0271】
図28図30は、本発明の第7の実施形態を例示している。図28において61はデンタルフロスと帯状のメッシュとの両方を挟持することのできるマルチホルダーであって、このマルチホルダー61が本体62と、本体62に軸着し、幅方向の回転軸線Cr周りを自在に回動可能な可動部材63とを備える。可動部材63は上側Uに配置される。
【0272】
マルチホルダー61は、左本体アーム部64と右本体アーム部65との間に、紐状の被張架体を成す口腔清掃材を構成するデンタルフロス68F及び帯状の被張架体を成す口腔清掃材を構成する帯状メッシュ(帯状のメッシュ)68Mを張架することのできる口腔清掃材ホルダーである。
【0273】
左本体アーム部64、右本体アーム部65、左可動アーム部66及び右可動アーム部67のそれぞれの先端64d,65d,66d,67dは、回転軸Crに対してそれぞれ柄62a及び可動部材基部63aの反対側に位置する。
【0274】
互いに相対する本体アーム部64,65と可動アーム部66,67とは、それぞれの先端64d,65d,66d,67dと回転軸線Crとの間に設けられる本体アーム部64,65の本体側フロス挟持部64ea,65eaと、同じく可動アーム部66,67の可動側フロス挟持部66ea,67eaとの間でデンタルフロス68Fを挟持することができる。なお、本体側フロス挟持部64ea,65eaを第1の清掃材挟持部とも呼び、可動側フロス挟持部66ea,67eaを第2の清掃材挟持部とも呼ぶ。
【0275】
また、互いに相対する本体アーム部64,65と可動アーム部66,67とは、回転軸線Crと柄62aとの間に設けられる本体アーム部64,65の本体側メッシュ挟持部64eb,65ebと、回転軸線Crと可動部材基部63aとの間に設けられる可動アーム部66,67の可動側メッシュ挟持部66eb,67ebとの間で帯状メッシュ68Mを挟持することができる。なお、本体側メッシュ挟持部64eb,65ebを第3の清掃材挟持部とも呼び、可動側メッシュ挟持部66eb,67ebを第4の清掃材挟持部とも呼ぶ。
【0276】
可動部材63は、本体62との間で、各アーム部64,65,66,67と平面視において長手方向が交差するように配置されるデンタルフロス68F及び帯状メッシュ58Mを挟む。各フロス挟持部64ea,65ea,66ea,67eaがデンタルフロス68Fを挟み、各メッシュ挟持部64eb,65eb,66eb,67ebが帯状メッシュ68Mを挟む。
【0277】
このように、マルチホルダー61はデンタルフロス68Fと帯状メッシュ68Mとを挟持可能なため、これらの二段の口腔清掃材によって口腔M内の部位を清掃することができる。これらにより、一本のマルチホルダー61を、例えばデンタルフロス68Fによる歯間の清掃と、帯状メッシュ68Mによる舌の清掃との両方に用いることができ、効率的に清掃を行うことができる。
【0278】
可動部材63が閉じてデンタルフロス68F及び帯状メッシュ68Mを挟持する状態を挟持状態という。また、可動部材63が開いてデンタルフロス68F及び帯状メッシュ68Mを解放している状態を解放状態という。
【0279】
可動部材63を回動させることにより、デンタルフロス68Fと帯状メッシュ68Mとを一つの操作により解放状態から挟持状態とすることができる。同じように、可動部材63を逆向きに回動させることにより、デンタルフロス68Fと帯状メッシュ68Mとを一つの操作により挟持状態から解放状態とすることができる。これにより、マルチホルダー61は、口腔清掃材を解放した状態から容易に口腔清掃材を挟持する状態とすることができ、かつ、口腔清掃材を挟持した状態から容易に口腔清掃材を解放する状態とすることができる。
【0280】
挟持状態におけるマルチホルダー61とデンタルフロス68F及び帯状メッシュ68Mとの組合せをフロス及びメッシュ付マルチホルダー69という。フロス及びメッシュ付マルチホルダー69は上記のような口腔清掃材であるデンタルフロス68F及び帯状メッシュ68Mが張架された口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーとも呼ぶ。他の構成は第5の実施形態及び第6の実施形態共通とする。
【0281】
図29(a)(b)(c)は、解放状態におけるマルチホルダー61のそれぞれ平面図、正面図及び底面図を示す。各本体アーム部64,65はそれぞれ向こう側UTに突起する凸部64m,65mを有する。そして、帯状メッシュ68Mはその幅方向の略中央の位置に各凸部64m,65mが上向きUに当たるように各本体アーム部64,65の上側Uに配置される。
【0282】
また、図29(b)が示すように左可動アーム部66は向こう側UTに窪む凹部66nを有する。図示しないが、右可動アーム部67も同様に向こう側UTに窪む凹部67nを有する。凸部64m,65mは本体側メッシュ挟持部64eb,65ebから向こう側UTに立設されるように一体に形成される。凹部66n,67nは可動側メッシュ挟持部66eb,67ebから手前側DBに開口するように穿たれて形成される。
【0283】
各凸部64m,65mは向こう側UTに頂点を有する円錐に形成される。また、各凹部66n,67nは向こう側UTに頂点を有する円錐状に形成される。
【0284】
左側Lの凸部64m及び左側Lの凹部66nは、左側Lの凸部64mの頂点が、可動部材63が手前側DBに回動する際の左側Lの凹部66nの頂点の回転軌道又はその延長曲線上に位置するように配置される。右側Rの凸部65m及び右側Rの凹部67nも同様に配置される。
【0285】
帯状メッシュ68Mはその幅方向の略中央の位置に各凸部64m,65mが向こう側UTから当たるように各本体アーム部64,65上に配置される。このとき、帯状メッシュ68Mはその開孔103hの位置が、各凸部64m,65mの頂点と一致するように配置される。
【0286】
図30(a)(b)は、挟持状態におけるマルチホルダー61の平面図及び正面図を示す。図30(b)が示すように、左右の凸部64m,65mの一部又は全部がそれぞれ対応する左右の凹部66n,67nに遊嵌する。このとき、各凸部64m,65mの頂点は開口103hを貫通し、それぞれ対応する各凹部66n,67nの頂点に向けて帯状メッシュ68Mに突き刺さる。
【0287】
これにより、フロス及びメッシュ付マルチホルダー69の使用中に舌や歯、歯茎のような使用者の口腔M内の部位などによって外力が加わるときでも、帯状メッシュ68Mは、各凸部64m,65m及び各凹部66n,67nによってマルチホルダー61に固定されるため、各アーム部64,65,66,67に対して位置がずれてしまったり、マルチホルダー61から抜脱したりすることが防止される。
【0288】
このとき、帯状メッシュ68Mは、経糸102v及び緯糸102h同士が、図9に示すような熱溶着点108a,108b,108c,108dにおいて熱溶着されていてもよい。熱溶着により、経糸102v及び緯糸102hのお互いの位置が固定されるため、帯状メッシュ68Mは、各凸部64m,65m及び各凹部66n,67nによって突き刺されることにより、より確実にずれを防止することができる。
【0289】
なお、各凸部64m,65m及び各凹部66n,67nは円錐状でなくともよく、各凸部64m,65mの頂点が開口103hを貫通すれば、例えば角錐状や錐体以外の針状などの他の形状でもよい。
【0290】
また、各凸部64m,65mの頂点が開口103hを貫通し帯状メッシュ68Mに突き刺さなくともよく、例えば各凸部64m,65mが帯状メッシュ68Mの表面を押し付ける程度でもよい。このとき、一本の本体アーム部64,65につき凸部は複数配設されてもよい。あるいは、可動アーム部63に凹部66n,67nが設けられなくてもよい。
【0291】
凸部が本体アーム部64,65に設けられ、凹部が可動アーム部66,67に設けられる代わりに、凸部が可動側メッシュ挟持部66eb,67ebに設けられ、凹部が本体側メッシュ挟持部64eb,65ebに設けられてもよい。
【0292】
さらに、各メッシュ挟持部64eb,65eb,66eb,67ebは、帯状メッシュ68Mを確実に挟持することができれば、凸部及び凹部の代わりに歯部を有し、帯状メッシュ68Mをそれらの歯形に倣わせてもよい。
【0293】
マルチホルダー61は、本体アーム部64,65と可動アーム部66,67とが回転軸線Crと柄62aとの間で帯状メッシュ68Mを挟持するだけでなく、デンタルフロス68Fに代わり、もう一片の帯状メッシュを先端64d,65d,66d,67dと回転軸線Crとの間で挟持してもよい。このように複数の帯状メッシュを挟持することにより、多岐な口腔M内の部位の清掃に対応することができる。
【0294】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々の変更が可能である。
【0295】
例えば、第6の実施形態における本体アーム部54,55が、第7の実施形態と同様の本体側メッシュ挟持部54e,55eから向こう側UTに立設される凸部を有し、可動アーム部56,57が可動側メッシュ挟持部56e,57eから手前側DBに開口するように穿たれる凹部を有していてもよい。また反対に、凸部が可動側メッシュ挟持部56e,57eに設けられ、凹部が本体側メッシュ挟持部54e,55eに設けられてもよい。
【0296】
これにより、第6の実施形態のように帯状メッシュ58が第1の清掃材挟持部と第2の清掃材挟持部との間に挟持される場合に、舌や歯、歯茎のような使用者の口腔M内の部位などによって外力が加わるときでも、帯状メッシュ58は前記各凸部及び前記各凹部によってメッシュホルダー51に固定されるため、位置がずれてしまったり、脱抜したりされることが防止される。
【0297】
また、本体2,12,22,32,42,52,62、可動部材3,13,23,33,43,53,63又はこれらの両方の材質について、アーム部が、本体と可動部材との組み立てに必要なだけ弾性変形により撓むことが可能であれば、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)若しくはエンジニアリングプラスチックであるポリアセタール(POM)以外の熱可塑性樹脂でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0298】
本発明は、口腔内部位の清掃を行うための口腔清掃材を挟むことのできる口腔清掃材ホルダー及び同じく口腔清掃材を挟んだ状態の口腔清掃材付口腔清掃材ホルダーに利用できる。
【符号の説明】
【0299】
1,21,41 フロスホルダー(口腔清掃材ホルダー)
11,31,51 メッシュホルダー(口腔清掃材ホルダー)
61 マルチホルダー(口腔清掃材ホルダー)
2,12,22,32,42,52,62 本体
3,13,23,33,43,53,63 可動部材
4,14,24,34,44,54,64 左本体アーム部(第1のアーム部)
5,15,25,35,45,55,65 右本体アーム部(第1のアーム部)
6,16,26,36,46,56,66 左可動アーム部(第2のアーム部)
7,17,27,37,47,57,67 右可動アーム部(第2のアーム部)
8,28,48,68F デンタルフロス(口腔清掃材)
18,38,58,68M 帯状メッシュ(帯状のメッシュ、口腔清掃材)
9,29,49 デンタルフロス付フロスホルダー(口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー)
19,39,59 帯状メッシュ付メッシュホルダー(口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー)
69 フロス及びメッシュ付マルチホルダー(口腔清掃材付口腔清掃材ホルダー)
10,50 ケース
Cr 回転軸線
102v 経糸(合成繊維)
102h 緯糸(合成繊維)
103 網目
103h 開孔
106a~106d 第1~第4のコーナー
107ab,107bc,107cd,107ac 側面
108a,108b,108c,108d 熱溶着点
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