(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】組み立て箱の一次組み立て品
(51)【国際特許分類】
B65D 5/36 20060101AFI20230921BHJP
B65D 5/24 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B65D5/36 D
B65D5/24 C
(21)【出願番号】P 2019112875
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】509209650
【氏名又は名称】株式会社エースパッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】川口 源二
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-203403(JP,A)
【文献】特開2002-234526(JP,A)
【文献】特開2002-308249(JP,A)
【文献】特開平09-286429(JP,A)
【文献】登録実用新案第3022609(JP,U)
【文献】特開2014-125245(JP,A)
【文献】特開2015-093676(JP,A)
【文献】実開昭47-037331(JP,U)
【文献】米国特許第02555655(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/36
B65D 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の底壁と、
該底壁の四辺に第1折り目を介してそれぞれ連結された一対の第1外側壁及び一対の第2外側壁と、
前記一対の第1外側壁の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目を介してそれぞれ連結されており、該二重折り目で折り曲げられて前記一対の第1外側壁にそれぞれ対向するように配置される一対の第1内側壁と、
前記一対の第1内側壁の延出端部に第2折り目を介してそれぞれ連結されており、前記第1折り目及び前記第2折り目で折り曲げられて前記底壁にそれぞれ当接するように設けられる一対の第1当接片と、
前記第1外側壁及び前記第2外側壁の長尺方向の端部同士を連結するように設けられ、前記底壁の角部のうち最も近い角部を起点として斜めに延びる斜め折り目で内側に2つ折りされて、前記第2外側壁に一部当接するように配置される複数の連結片と、を備え、
前記一対の第1当接片が前記底壁に当接した状態で接着され、かつ、それぞれの前記連結片のうち、前記斜め折り目に対して前記第2外側壁側にある部分が前記第2外側壁に当接した状態で接着されており、
それぞれの前記連結片のうち、前記斜め折り目又は前記斜め折り目周辺には、前記底壁の角部側から斜めに延びる切り込みラインが形成され
、
一次組み立て品のときに、前記第1外側壁及び前記第1内側壁は、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜し、かつ、前記一次組み立て品の内側に倒れるように配置され、
前記一次組み立て品の前記斜め折り目がそのまま内側に2つ折りされることで組み立て箱が完成することを特徴とする組み立て箱の一次組み立て品。
【請求項2】
前記一対の第2外側壁の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目を介してそれぞれ連結されており、該二重折り目で折り曲げられたときに、前記一対の第2外側壁にそれぞれ対向するように配置される一対の第2内側壁と、
前記一対の第2内側壁の延出端部に第2折り目を介してそれぞれ連結されており、前記第2折り目で折り曲げられたときに、前記底壁にそれぞれ当接するように設けられる一対の第2当接片と、をさらに備え、
前記一次組み立て品のときに、
前記第2外側壁、前記第2内側壁及び前記第2当接片は、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜し、前記一次組み立て品の外側に倒れるように配置され、
前記第1外側壁及び前記第1内側壁は、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜し、前記一次組み立て品の内側に倒れるように配置され、前記第1当接片が前記底壁に当接した状態で接着されることを特徴とする請求項
1に記載の組み立て箱の一次組み立て品。
【請求項3】
前記連結片は、前記斜め折り目を中心線として線対称となる形状を有し、
前記連結片のうち、前記斜め折り目に対して前記第2外側壁側にある部分が前記第2外側壁に当接した状態で接着され、前記斜め折り目に対して前記第1外側壁側にある部分は接着されないことを特徴とする請求項1又は2に記載の組み立て箱の一次組み立て品。
【請求項4】
前記切り込みラインは、前記斜め折り目に沿って実線状に延びており、かつ、前記底壁の角部側から前記斜め折り目の中間点を越えて延びて
おり、
前記切り込みラインは、前記一対の第1外側壁が対向する対向方向において、前記底壁の角部側から、前記底壁に接着された前記第1当接片を越えて延びていることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれか一項に記載の組み立て箱の一次組み立て品。
【請求項5】
前記底壁と、前記第1内側壁とがなす傾斜角度をθ(°)と設定したとき、7°≦θ≦50°であることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の組み立て箱の一次組み立て品。
【請求項6】
前記一対の第2外側壁の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目を介してそれぞれ連結されており、該二重折り目で折り曲げられたときに、前記一対の第2外側壁にそれぞれ対向するように配置される一対の第2内側壁と、
前記一対の第2内側壁の延出端部に第2折り目を介してそれぞれ連結されており、前記第2折り目で折り曲げられたときに、前記底壁にそれぞれ当接するように設けられる一対の第2当接片と、をさらに備え、
前記第2外側壁及び前記第2内側壁の間にある前記二重折り目には、該二重折り目で折り曲げ易くするための折ぐせが形成されており、
前記第2外側壁及び前記第2内側壁が、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の組み立て箱の一次組み立て品。
【請求項7】
前記二重折り目は、前記第2外側壁との境界線上に形成される外側折り目と、該外側折り目とは所定の幅を空けて設けられ、前記第2内側壁との境界線上に形成される内側折り目と、を有しており、
前記外側折り目、前記内側折り目に対して前記折ぐせが所定の圧力をかけて形成されることで、前記第
2外側壁と、前記二重折り目とのなす傾き角度が、前記二重折り目と、前記第2内側壁とのなす傾き角度と同じ又は該傾き角度よりも大きくなっていることを特徴とする請求項
6に記載の組み立て箱の一次組み立て品。
【請求項8】
前記第2内側壁及び前記第2当接片の間にある前記第2折り目には、該第2折り目に沿って破線状に延びている第2切り込みラインが形成され
、
前記第1外側壁及び前記第1内側壁の間にある前記二重折り目には、該二重折り目で折り曲げ易くするための折ぐせが形成されていることを特徴とする請求項
6又は7に記載の組み立て箱の一次組み立て品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て箱の一次組み立て品に係り、特に、平面状に折り畳んだ状態から箱形態に組み立て可能な組み立て箱の一次組み立て品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面状に折り畳んで搬送や保管をすることができ、使用時には全体を組み立てることが可能な組み立て箱(化粧箱)が知られており、例えば、特許文献1、2のような6点貼りの額縁付き組み立て箱や、8点貼りの額縁付き組み立て箱の一次組み立て品が提案されているところである。
【0003】
特許文献1に記載の組み立て箱の一次組み立て品では、矩形状の底壁と、底壁に連結された一対の第1外側壁及び一対の第2外側壁と、一対の第1外側壁及び一対の第2外側壁に連結された一対の第1内側壁及び一対の第2内側壁と、一対の第1内側壁及び一対の第2内側壁に連結されており、底壁に当接するように設けられた一対の第1当接片及び一対の第2当接片と、第1外側壁及び第2外側壁の長尺方向の端部同士を連結する連結片と、を備えており、一対の第1当接片が底壁に当接した状態で接着され、かつ、それぞれの連結片のうち、斜め折り目に対して第2外側壁側にある部分が第2外側壁に当接した状態で接着されている。
また、当該一次組み立て品を最終組み立てするときに、第1内側壁の長尺方向の端部に設けられた第1係止片(係止フラップ)と、第2内側壁の長尺方向の端部に設けられた第2係止片とが係止される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-286429号公報
【文献】特開平11-240532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2のような組み立て箱の一次組み立て品において、より容易に箱形態に組み立てることが可能な技術が求められていた。
例えば、一次組み立て品を箱形態に最終組み立てるときには、まず一対の長尺な側壁(長尺な額縁)を立ち上げるところ、一次組み立て品が平面状となっているため、当該側壁を立ち上げる作業が比較的困難になっていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、平面状に折り畳んだ状態から容易に箱形態に組み立て可能な組み立て箱の一次組み立て品を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、一次組み立て品を最終組み立てするにあたって、一対の側壁(長尺な側壁)を立ち上げる作業が容易な組み立て箱の一次組み立て品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の組み立て箱の一次組み立て品によれば、矩形状の底壁と、該底壁の四辺に第1折り目を介してそれぞれ連結された一対の第1外側壁及び一対の第2外側壁と、前記一対の第1外側壁の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目を介してそれぞれ連結されており、該二重折り目で折り曲げられて前記一対の第1外側壁にそれぞれ対向するように配置される一対の第1内側壁と、前記一対の第1内側壁の延出端部に第2折り目を介してそれぞれ連結されており、前記第1折り目及び前記第2折り目で折り曲げられて前記底壁にそれぞれ当接するように設けられる一対の第1当接片と、前記第1外側壁及び前記第2外側壁の長尺方向の端部同士を連結するように設けられ、前記底壁の角部のうち最も近い角部を起点として斜めに延びる斜め折り目で内側に2つ折りされて、前記第2外側壁に一部当接するように配置される複数の連結片と、を備え、前記一対の第1当接片が前記底壁に当接した状態で接着され、かつ、それぞれの前記連結片のうち、前記斜め折り目に対して前記第2外側壁側にある部分が前記第2外側壁に当接した状態で接着されており、それぞれの前記連結片のうち、前記斜め折り目又は前記斜め折り目周辺には、前記底壁の角部側から斜めに延びる切り込みラインが形成され、一次組み立て品のときに、前記第1外側壁及び前記第1内側壁は、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜し、かつ、前記一次組み立て品の内側に倒れるように配置され、前記一次組み立て品の前記斜め折り目がそのまま内側に2つ折りされることで組み立て箱が完成すること、により解決される。
上記のように、それぞれの連結片のうち、斜め折り目又は斜め折り目周辺には、底壁の角部側から斜めに延びる切り込みラインが形成されているため、より容易に箱形態に組み立て可能な一次組み立て品を実現することができる。
詳しく述べると、それぞれの連結片に切り込みラインが形成されることで、それぞれの連結片が2つ折りされた状態(連結片の一部が立ち上がった状態)となる。そして、それぞれの連結片に支持された第1外側壁が、底壁に対して立ち上がるように傾斜した状態となる。その結果、一対の側壁(一対の長尺な側壁)を立ち上げる作業が容易となり、より容易に箱形態に組み立て可能な一次組み立て品を実現できる。
そのほか、当該切り込みラインが形成されることで、最終組み立て時に底壁の4隅に加わる応力を効率的に分散することができる。その結果、罫線割れや印刷の剥がれを防止し易くなる。
【0008】
このとき、前記一対の第2外側壁の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目を介してそれぞれ連結されており、該二重折り目で折り曲げられたときに、前記一対の第2外側壁にそれぞれ対向するように配置される一対の第2内側壁と、前記一対の第2内側壁の延出端部に第2折り目を介してそれぞれ連結されており、前記第2折り目で折り曲げられたときに、前記底壁にそれぞれ当接するように設けられる一対の第2当接片と、をさらに備え、前記一次組み立て品のときに、前記第2外側壁、前記第2内側壁及び前記第2当接片は、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜し、前記一次組み立て品の外側に倒れるように配置され、前記第1外側壁及び前記第1内側壁は、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜し、前記一次組み立て品の内側に倒れるように配置され、前記第1当接片が前記底壁に当接した状態で接着されると良い。
また、前記連結片は、前記斜め折り目を中心線として線対称となる形状を有し、前記連結片のうち、前記斜め折り目に対して前記第2外側壁側にある部分が前記第2外側壁に当接した状態で接着され、前記斜め折り目に対して前記第1外側壁側にある部分は接着されないと良い。
【0009】
このとき、前記切り込みラインは、前記斜め折り目に沿って実線状に延びており、かつ、前記底壁の角部側から前記斜め折り目の中間点を越えて延びていると良い。
また、前記切り込みラインは、前記一対の第1外側壁が対向する対向方向において、前記底壁の角部側から、前記底壁に接着された前記第1当接片を越えて延びていると良い。
上記構成により、それぞれの連結片に支持された第1外側壁が、底壁に対してより立ち上がるように傾斜した状態となる。その結果、一対の側壁(一対の長尺な側壁)を立ち上げる作業がより容易となる。また、最終組み立て時に底壁の4隅に加わる応力をより効率的に分散することができ、かつ、罫線割れや印刷の剥がれをより防止し易くなる。また、最終組み立て後に、それぞれの外側壁の間に形成される隙間を抑制することができる(目立たなくすることができる)。
【0010】
このとき、前記第1外側壁及び前記第1内側壁は、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜して配置されており、前記底壁と、前記第1内側壁とがなす傾斜角度をθ(°)と設定したとき、7°≦θ≦50°であると良い。
上記のように、第1外側壁及び第1内側壁で構成される額縁(長尺な額縁)の傾斜角度を設定しておくことで、組み立て箱の一次組み立て品を製造するにあたって、ロットのバラツキを抑えることができる。
【0011】
このとき、前記一対の第2外側壁の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目を介してそれぞれ連結されており、該二重折り目で折り曲げられたときに、前記一対の第2外側壁にそれぞれ対向するように配置される一対の第2内側壁と、前記一対の第2内側壁の延出端部に第2折り目を介してそれぞれ連結されており、前記第2折り目で折り曲げられたときに、前記底壁にそれぞれ当接するように設けられる一対の第2当接片と、をさらに備え、前記第2外側壁及び前記第2内側壁の間にある前記二重折り目には、該二重折り目で折り曲げ易くするための折ぐせが形成されており、前記第2外側壁及び前記第2内側壁が、前記底壁に対して立ち上がるように傾斜して配置されていると良い。
また、前記二重折り目は、前記第2外側壁との境界線上に形成される外側折り目と、該外側折り目とは所定の幅を空けて設けられ、前記第2内側壁との境界線上に形成される内側折り目と、を有しており、前記外側折り目、前記内側折り目に対して前記折ぐせが所定の圧力をかけて形成されることで、前記第2外側壁と、前記二重折り目とのなす傾き角度が、前記二重折り目と、前記第2内側壁とのなす傾き角度と同じ又は該傾き角度よりも大きくなっていると良い。
上記構成により、第2外側壁及び第2内側壁で構成される額縁(短尺な額縁)を立ち上げる作業についても容易になる。
【0012】
このとき、前記第2内側壁及び前記第2当接片の間にある前記第2折り目には、該第2折り目に沿って破線状に延びている第2切り込みラインが形成されていると良い。
上記構成により、第2外側壁及び第2内側壁で構成される額縁(短尺な額縁)を立ち上げた後に、第2当接片を底壁に当接させて係止する作業が容易になる。すなわち、第2切り込みラインが形成されることで、第2当接片と、底壁とを面合わせし易くなる。
【0013】
このとき、前記第1外側壁及び前記第1内側壁の間にある前記二重折り目には、該二重折り目で折り曲げ易くするための折ぐせが形成されていると良い。
上記構成により、第1外側壁及び第1内側壁で構成される額縁(長尺な額縁)を立ち上げ易くなる。また、予め折ぐせが形成されているため、当該額縁を精度良く立ち上げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、平面状に折り畳んだ状態からより容易に箱形態に組み立てることが可能な組み立て箱の一次組み立て品を実現することができる。
また、当該一次組み立て品を最終組み立てするにあたって、一対の側壁(長尺な側壁)を立ち上げる作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3A】
図2の要部拡大図であって、連結片に形成された切り込みラインを示す図である。
【
図3B】切り込みラインの第2実施形態を示す図である。
【
図3C】切り込みラインの第3実施形態を示す図である。
【
図5】最終組み立てした組み立て箱の斜視図である。
【
図6】
図4のVI-VI断面図であって、第1外側壁及第1内側壁によって構成される長尺な側壁がやや立ち上がった状態を示す図である。
【
図7】
図4のVII-VII断面図であって、第2外側壁及第2内側壁によって構成される短尺な側壁がやや立ち上がった状態を示す図である。
【
図8A】組み立て箱を完成させる手順を説明した図である(第1ステップ)
【
図8B】組み立て箱を完成させる手順を説明した図である(第2ステップ)
【
図8C】組み立て箱を完成させる手順を説明した図である(第3ステップ)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について
図1-
図8を参照して説明する。
本実施形態は、矩形状の底壁と、底壁の四辺に第1折り目を介して連結された一対の第1外側壁及び一対の第2外側壁と、一対の第1外側壁の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目を介して連結されており、二重折り目で折り曲げられて一対の第1外側壁にそれぞれ対向するように配置される一対の第1内側壁と、一対の第1内側壁の延出端部に第2折り目を介して連結されており、第1折り目及び第2折り目で折り曲げられて底壁に当接するように設けられる一対の第1当接片と、第1外側壁及び第2外側壁の長尺方向の端部同士を連結するように設けられ、底壁の角部のうち最も近い角部を起点として斜めに延びる斜め折り目で内側に2つ折りされて、第2外側壁に一部当接するように配置される複数の連結片と、を備えており、一対の第1当接片が底壁に当接した状態で接着され、かつ、それぞれの連結片のうち、斜め折り目に対して第2外側壁側にある部分が第2外側壁に当接した状態で接着されており、それぞれの連結片の斜め折り目には、底壁の角部から斜めに延びる切り込みラインが形成されていることを特徴とする組み立て箱の一次組み立て品の発明に関するものである。
【0017】
本実施形態の一次組み立て品1は、
図2-
図4に示すように、直方体形状の組み立て箱Bの一次組み立て品であって、一枚のブランクシートを打ち抜いて形成した
図1に示す箱形成シートSを一次組み立てすることで形成されている。
一次組み立て品1は、略平面状に折り畳んで搬送や保管をすることができ、実店舗等で使用する際にユーザーが最終組み立てすることで、
図5に示す組み立て箱Bを完成させることができる。
組み立て箱Bは、例えば、お菓子や果物等の贈り物(進物品)を収納するための化粧箱として用いられる6点貼りの額縁付き組み立て紙箱である。
【0018】
一次組み立て品1は、
図1-
図4に示すように、矩形状の底壁10と、底壁10の短尺方向の両端部となる2辺に第1折り目11を介してそれぞれ連結された一対の第1外側壁20と、一対の第1外側壁20の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目30を介してそれぞれ連結されており、二重折り目30で折り曲げられて一対の第1外側壁20にそれぞれ対向する一対の第1内側壁40と、一対の第1内側壁40の延出端部に第2折り目41を介してそれぞれ連結されており、第1折り目11及び第2折り目41で折り曲げられて底壁10にそれぞれ当接する一対の第1当接片50と、を備えている。
このとき、一対の第1当接片50は、底壁10の短尺方向の両端部にそれぞれ当接した状態で略全体にわたって接着されている。
なお、第1外側壁20、二重折り目30及び第1内側壁40が折り曲げられることで、組み立て箱Bの長尺な側壁(長尺な額縁)が構成されることになる。
第1折り目11、二重折り目30及び第2折り目41は、組み立て箱Bの長尺な額縁を形成するために予め付与されている折り目部分である。
【0019】
また、一次組み立て品1は、底壁10の長尺方向の両端部となる2辺に第1折り目11を介してそれぞれ連結された一対の第2外側壁60と、一対の第2外側壁60の延出端部に、所定の幅を有する二重折り目30を介してそれぞれ連結されており、二重折り目30で折り曲げられたときに、一対の第2外側壁60にそれぞれ対向するように配置される一対の第2内側壁70と、一対の第2内側壁70の延出端部に第2折り目71を介してそれぞれ連結されており、第1折り目11及び第2折り目71で折り曲げられたときに、底壁10にそれぞれ当接するように設けられる一対の第2当接片80と、を備えている。
なお、第2外側壁60、二重折り目30及び第2内側壁70が折り曲げられることで、組み立て箱Bの短尺な側壁(短尺な額縁)が構成されることになる。
第1折り目11、二重折り目30及び第2折り目71は、組み立て箱Bの短尺な額縁を形成するために予め付与されている折り目部分である。
【0020】
さらに、一次組み立て品1は、第1外側壁20及び第2外側壁60の長尺方向の端部同士を連結するように設けられ、底壁10の角部のうち最も近い角部を起点として斜めに延びる斜め折り目91で内側に2つ折りされて、第2外側壁60に一部当接している複数の連結片90を備えている。
このとき、それぞれの連結片90のうち、斜め折り目91に対して第2外側壁60側にある部分が、第2外側壁60の長尺方向の端部に当接した状態で接着されている。
なお、連結片90は、組み立て箱Bを組み立てたときに、長尺な額縁及び短尺な額縁を連結させておくのものである。
斜め折り目91は、組み立て箱Bを組み立てたときに連結片90を内側に二つ折りするために予め付与されている折り目部分である。
【0021】
連結片90は、
図2、
図3Aに示すように、底壁10の複数の角部のうち、最も近い角部を起点として当該角部から離れる方向に向かって斜めに延びている斜め折り目91と、斜め折り目91に沿って直線状に延びている切り込みライン92と、を有している。
斜め折り目91は、連結片90の対角線に沿って底壁10に最も近い端部から、底壁10から最も遠い端部まで延びている。
なお、連結片90のうち、底壁10の角部から最も遠い端部には、底壁10側に向かって切り欠かれた切り欠き部93が形成されている。
【0022】
切り込みライン92は、斜め折り目91に沿って実線状に延びており、かつ、底壁10の角部を起点として斜め折り目91の中間点を越えて延びている。言い換えれば、切り込みライン92の長さは、斜め折り目91の全長の約2/3の長さとなっている。
また、切り込みライン92は、底壁10の短尺方向において(一対の第1外側壁20が対向する対向方向において)、底壁10の角部を起点として底壁10に接着された第1当接片50を越えて延びている。
また、切り込みライン92は、底壁10の短尺方向において底壁10の角部を起点として、第2内側壁70(第2当接片80)の長尺方向の両端部のうち、切り込みライン92側にある端部を越えて延びている。
【0023】
上記構成において、
図4、
図6に示すように、第1外側壁20及び第1内側壁40は、底壁10に対してやや立ち上がるように傾斜して配置されている。
詳しく述べると、底壁10と第1内側壁40(長尺な側壁)とがなす傾斜角度をθ1(°)と設定したときに、7°≦θ1≦50°、好ましくは10°≦θ1≦40°、より好ましくは15°≦θ1≦30°、一層好ましくは20°≦θ1≦30°、理想的にはθ1=25°となっている。
そのため、組み立て箱Bを組み立てるにあたって、第1外側壁20、二重折り目30及び第1内側壁40によって構成される長尺な側壁(長尺な額縁)を立ち上げる作業が容易になる。
また、一次組み立て品1を製造するにあたってロットのバラツキを抑えることができる。
【0024】
傾斜角度θを設定するためには、紙の材質によっても異なってくるが、特に連結片90(切り込みライン92及び切り欠き部93)の形状、配置、そして一次組み立て品1の製造のときに第1外側壁20(第1内側壁40)を底壁10側に向かって押し付ける圧力の加え方によって調整することができる。
詳しく述べると、通常、所定の圧力を加えて第1外側壁20(第1内側壁40)を底壁10側に向かって押し付けるときには、公知な圧縮ベルト(圧着ベルト)を用いて第1外側壁20の面全体にわたって圧力をかけることになる。一方で、本実施形態の一次組み立て品1においては、第1外側壁20の部分的な面に圧力をかけている。詳しく述べると、第1外側壁20のうち、第1当接片50に対応(対向)する面に圧力をかけている。
そのようにすることで、一次組み立て品1では、従来のものと比較して、第1外側壁20及び第1内側壁40が底壁10に対してやや立ち上がるように傾斜する形になる。
【0025】
また上記構成において、
図4、
図7に示すように、第2外側壁60及び第2内側壁70の間にある二重折り目30には、当該二重折り目30で折り曲げ易くするための折ぐせ31が形成されている。そして、第2外側壁60及び第2内側壁70が、底壁10に対してやや立ち上がるように傾斜して配置されている。
詳しく述べると、二重折り目30は、第2外側壁60との境界線上に形成される外側折り目30aと、外側折り目30aとは所定の幅を空けて設けられ、第2内側壁70との境界線上に形成される内側折り目30bと、外側折り目30a及び内側折り目30bの間に設けられる中間壁30cと、を有している。
そして、外側折り目30a、内側折り目30bに対して折ぐせ31が所定の圧力をかけて形成されることで、第2外側壁60と二重折り目30とのなす傾き角度θ2(°)が、二重折り目30と第2内側壁70とのなす傾き角度θ3(°)と同じ又は傾き角度θ3よりも大きくなっている。
より詳しく述べると、145°≦θ2≦175°かつ140°≦θ3≦170°、好ましくは150°≦θ2≦170°かつ145°≦θ3≦165°、より好ましくは160°≦θ2≦170°かつ155°≦θ3≦165°、理想的にはθ2=165°、θ3=160°となっている。
そのため、組み立て箱Bを組み立てるにあたって、第2外側壁60、二重折り目30及び第2内側壁70によって構成される短尺な側壁(短尺な額縁)を立ち上げる作業についても容易になる。
【0026】
また上記構成において、
図2に示すように、第2内側壁70及び第2当接片80の間にある第2折り目71には、当該第2折り目71に沿って破線状に延びている第2切り込みライン72が形成されている。
詳しく述べると、第2切り込みライン72は、所定の間隔(例えば、約5mmの間隔)を空けて形成されており、それぞれの第2切り込みラインの長さは約10mmとなるように設定されている。
上記切り込みライン72が形成されることで、組み立て箱Bを組み立てるにあたって、第2外側壁60及び第2内側壁70で構成される短尺な側壁(短尺な額縁)を立ち上げた後に、第2当接片80を底壁10に当接させて係止する作業が容易になる。
なお、切り込みライン72を形成する代わりに予め折ぐせを付与しておく構成も考えられるが、一次組み立て品1の製造において切り込みライン72を付与する方が複雑な製造装置を必要とせず、製造コストを抑えることができる。
【0027】
また上記構成において、
図2に示すように、第1外側壁20及び第1内側壁40の間にある二重折り目30(外側折り目30a、内側折り目30b)についても、当該二重折り目30で折り曲げ易くするための折ぐせ31が形成されている。
そのため、第1外側壁20、二重折り目30及び第1内側壁40で構成される長尺な側壁(長尺な額縁)を立ち上げ易くなる。予め折ぐせ31が形成されているため、当該額縁を精度良く立ち上げることができる。
【0028】
次に、一次組み立て品1から組み立て箱Bを完成させる手順について
図8A-
図8Cに基づいて説明する。
まず第1ステップとして、
図8Aに示すように、一次組み立て品1において一対の第1外側壁20及び一対の第1内側壁40で構成される「一対の長尺な側壁部分(長尺な額縁部分)」をそれぞれ指で掴んで、箱の内側から外側に向かって立ち上げる作業を行う。
このとき、
図6に示すように、第1外側壁20及び第1内側壁40は、底壁10に対してやや立ち上がるように傾斜して配置されているため、指で掴み易い構成となっている。
【0029】
そして第2ステップとして、
図8Bに示すように、一対の長尺な側壁部分を立ち上げた後、一対の第2外側壁60及び一対の第2内側壁70で構成される「一対の短尺な側壁部分(短尺な額縁部分)」をそれぞれ指で掴んで、箱の外側から内側に向かって立ち上げる作業を行う。
このとき、
図7に示すように、第2外側壁60及び第2内側壁70が、底壁10に対してやや立ち上がるように傾斜して配置されているため、短尺な側壁部分においても指で掴み易い構成となっている。
【0030】
最後に第3ステップとして、
図8Cに示すように、一対の短尺な側壁部分を立ち上げた後、当該一対の短尺な側壁部分に設けられた一対の第2当接片80を底壁10に向かって親指で押し当てる作業を行う。
このとき、
図2に示すように、第2内側壁70及び第2当接片80の間にある第2折り目71には、第2切り込みライン72が形成されているため、第2当接片80を底壁10に当接させて係止する作業が容易になる。すなわち、第2当接片80の面と、底壁10の面とを合わせ易くなる。
【0031】
上記3ステップによって、一次組み立て品1から組み立て箱Bを容易に完成させることができる。
なお、当該組み立て作業に慣れたユーザーであれば、第1ステップを省略して第2ステップ及び第3ステップの2ステップによって組み立て箱Bを完成させることも可能である。
本実施形態の一次組み立て品1であれば、第2ステップにて「一対の短尺な側壁部分」を立ち上げる作業を行ったときに、同時に「一対の長尺な側壁部分」も同時に立ち上がる構成となっているからである。
すなわち、第1外側壁20及び第1内側壁40で構成される「一対の長尺な側壁部分」が、底壁10に対してやや立ち上がるように傾斜しており、かつ、底壁10と第1内側壁40とがなす傾斜角度θ1(°)が予め設定されているからである。
【0032】
なお、
図2に示すように、上記方法で一次組み立て品1を最終組み立てするときに、第1内側壁40の長尺方向の端部に設けられた係止フラップ部40aと、第2内側壁70の長尺方向の端部に設けられた係止片部70aとが係止される構成となっている。
そのため、最終組み立て作業がし易いだけでなく、組み立て後の組み立て箱Bの安定性を確保することができる。
【0033】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、
図2に示すように、一次組み立て品1は、6点貼りの額縁付き組み立て箱Bを組み立てるためのものであるが、特に限定されることなく8点貼りの額縁付き組み立て箱Bを組み立てるもの等であっても良い。
また、組み立て箱Bは、身箱又は蓋箱として用いられるが、身箱及び蓋箱が一体となった一体型の箱として用いられるものであっても良い。または、身箱又は蓋箱に段が設けられた段付き箱等として用いられるものであっても良い。
また、組み立て箱Bは紙箱であるが、特に限定されることなく、紙箱以外の段ボール箱等であっても良い。なお、組み立て箱が段ボール素材である場合には、段ボールの種類がG段、F段又はE段のほか、比較的薄い段ボールを含むものであると好ましい。
【0034】
上記実施形態において、一次組み立て品1によって組み立てられる組み立て箱Bは紙箱であるが、特に限定されることなく、紙箱以外の段ボール箱等であっても良い。
なお、一次組み立て品1が段ボール素材である場合には、好ましくは段ボールの種類がG段、F段又はE段であると良い。
【0035】
上記実施形態において、
図3Aに示すように、切り込みライン92は、斜め折り目91に沿って実線状に延びており、かつ、底壁10の角部を起点として斜め折り目91の中間点を越えて延びているが特に限定されることなく変更可能である。
例えば、
図3Bに示すように、切り込みライン192が、底壁10の角部を起点として斜め折り目191の中間点を越えないように延びていても良い。すなわち、切り込みライン192の長さが約10mm程度であっても良い。
また例えば、
図3Cに示すように、切り込みライン92は、斜め折り目91の周辺に形成されていても良い。切り込みライン92は、略円弧状の実線ラインであって、連結片90の中央部分に形成されている。詳しく述べると、切り込みライン92は、連結片90の中央部分において斜め折り目91に対して第1外側壁20側に膨らむように形成されている。
そのほか、切り込みライン92が、斜め折り目91に沿って所定の間隔を空けて複数形成されていても良いし、斜め折り目91の周辺部分において複数形成されていても良い。
【0036】
上記実施形態では、主として本発明に係る組み立て箱の一次組み立て品に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
B 組み立て箱
S 箱形成シート
1 一次組み立て品(組み立て箱の一次組み立て品)
10 底壁
11 第1折り目
20 第1外側壁
30 二重折り目
30a 外側折り目
30b 内側折り目
30c 中間壁
31 折ぐせ
40 第1内側壁
40a 係止フラップ部
41 第2折り目
50 第1当接片
60 第2外側壁
70 第2内側壁
70a 係止片部
71 第2折り目
72 第2切り込みライン
80 第2当接片
90,190,290 連結片
91,191,291 斜め折り目
92,192,292切り込みライン
93 切り欠き部
θ1 傾斜角度
θ2 傾き角度
θ3 傾き角度