IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ファミリーイナダ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-マッサージ機 図1
  • 特許-マッサージ機 図2
  • 特許-マッサージ機 図3
  • 特許-マッサージ機 図4
  • 特許-マッサージ機 図5
  • 特許-マッサージ機 図6
  • 特許-マッサージ機 図7
  • 特許-マッサージ機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
A61H7/00 323L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019199425
(22)【出願日】2019-10-31
(65)【公開番号】P2021069814
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小森 貴裕
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-224035(JP,A)
【文献】特開2018-029742(JP,A)
【文献】特開2018-051127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が着座するための座部と、
前記座部の後部に取り付けられた背凭れ部と、
前記座部の左右に設けられ、使用者を上方に押し上げる押上部と、
使用者の腰をマッサージ可能なマッサージ部と、
前記背凭れ部を、起立姿勢と、傾倒姿勢と、にリクライニング可能なリクライニング手段と、
前記押上部と前記マッサージ部と前記リクライニング手段の動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記押上部を左右独立に制御可能であり、
前記リクライニング手段で前記背凭れ部を起立姿勢とする起立ステップと、
前記押上部の左右一方押し上げ、前記押上部で押し上げた側と反対側である左右他方側の使用者の体を前記背凭れ部に押し付ける押上ステップと、
前記マッサージ部において腰をマッサージする腰マッサージステップを有し、
少なくとも前記押上ステップの後に前記腰マッサージステップを行い、
前記起立ステップは、前記腰マッサージステップより前に行うよう制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記マッサージ部は、左右で対をなし、
前記マッサージ部を使用者に対して前後方向へ進退させることが可能である進退手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記マッサージ部は、前記進退手段によって、左右独立に進退可能であることを特徴とする請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記マッサージ部は、身長方向に昇降可能なマッサージ機構であることを特徴する請求項1~3のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記座部の前部に取り付けられ使用者の脚を支持するフットレストを有し、
前記フットレストは、前記座部に対して揺動可能とする揺動手段を有し、
前記制御部は、前記揺動手段で前記フットレストを上昇姿勢とする上昇ステップを有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
使用者の上腕又は肩を押圧する押圧手段を有し、
前記制御部は、前記押圧手段で上腕又は肩を押圧する押圧ステップを有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記押上部は、エアセルからなることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記エアセルは、前記座部の後ろ側を膨張支点として、膨張収縮することを特徴とする請求項7に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の腰に対してマッサージやストレッチを行うマッサージ機が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-49087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたマッサージ機は、座のエアバッグによって臀部を拘束した状態で、背凭れに凭れかかっている使用者の腰を施療子で施療することで腰のストレッチを行うものである。しかし、使用者が凭れかかっているだけでは、腰がしっかり背凭れに押し付けられておらず、腰への施療子のマッサージが不十分であるという問題があります。そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、使用者の腰を背凭れ部にしっかり押し付けてマッサージすることができるマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、使用者が着座するための座部と、前記座部の後部に取り付けられた背凭れ部と、前記座部の左右に設けられ、使用者を上方に押し上げる押上部と、使用者の腰をマッサージ可能なマッサージ部と、前記背凭れ部を、起立姿勢と、傾倒姿勢と、にリクライニング可能なリクライニング手段と、前記押上部と前記マッサージ部と前記リクライニング手段の動作を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記押上部を左右独立に制御可能であり、前記リクライニング手段で前記背凭れ部を起立姿勢とする起立ステップと、前記押上部の左右一方の押し上げを行う押上ステップと、前記マッサージ部において腰をマッサージする腰マッサージステップを有し、前記起立ステップと、前記押上ステップと、前記腰マッサージステップを同期して行うよう制御することを特徴とする。
このような構成とすることにより、使用者の体をしっかりと背凭れに押し付けて腰をマッサージすることができる。
【0006】
また、前記マッサージ部は、左右で対をなし、前記マッサージ部を使用者に対して前後方向へ進退させることが可能である進退手段を有することが好ましい。
このような構成とすることにより、マッサージ部を進出させることで、腰へのマッサージを強めることができる。
【0007】
また、前記マッサージ部は、前記進退手段によって、左右独立に進退可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の体が押し付けられている側のマッサージ部を進出させることで施療感を高めることができる。
【0008】
また、前記マッサージ部は、身長方向に昇降可能なマッサージ機構であることが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の腰位置に合わせたマッサージを行うことができる。
【0009】
また、前記座部の前部に取り付けられ使用者の脚を支持するフットレストを有し、前記フットレストは、前記座部に対して揺動可能とする揺動手段を有し、前記制御部は、前記揺動手段で前記フットレストを上昇姿勢とする上昇ステップを有することが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の腰をより背凭れに押し付けることができる。
【0010】
また、使用者の上腕又は肩を押圧する押圧手段を有し、前記制御部は、前記押圧手段で上腕又は肩を押圧する押圧ステップを有することが好ましい。
このような構成とすることにより、使用者の上半身を背凭れ部に押し付けることができるので、より効果的なマッサージを行うことができる。
【0011】
また、前記押上部は、エアセルからなることを特徴とすることが好ましい。
このような構成とすることにより、エアセルにより使用者の腰をしっかりと背凭れ部に押し付けることができることができる。
【0012】
また、前記エアセルは、前記座部の後ろ側を膨張支点として、膨張収縮することが好ましい。
このような構成とすることにより、より背凭れ部側に使用者を押し付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用者の腰を背凭れ部にしっかり押し付けてマッサージすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の正面斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るマッサージ機の模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るブロック図である。
図4】マッサージ機の姿勢を説明する側面図である。
図5】マッサージユニットの正面図である。
図6】押上部の右側を動作させた場合の動作パターンの説明図である。
図7】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
図8】マッサージ機の制御を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[一実施形態に係るマッサージ機の構成]
以下、本発明の一実施形態に係るマッサージ機1の全体構成について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の正面斜視図である。図2は本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1の模式図である。図3はマッサージ機1の機能ブロック図である。図4はマッサージ機1の姿勢を説明する側面図である。図5はマッサージユニット8の正面図である。
なお、以下の説明で用いる方向の概念は、図1に示すマッサージ機1に着座した使用者から見たときの方向の概念と一致するものとし、その他の場合は適宜説明するものとする。また、身体の表裏の定義については、起立した使用者の胸側を「表面」、背中側を「背面」として説明する。
【0016】
[マッサージ機の全体構成]
図1図4に示すとおり、本発明の第1実施形態に係るマッサージ機1は、主として、使用者が着座する座部2と、座部2の後部にリクライニング可能に設けられた使用者が凭れる背凭れ部3と、座部2の前部に上下揺動可能に設けられた使用者の下肢を支持するフットレスト4と、背凭れ部3の上部前面に設けられた使用者の頭及び/又は首を支持する枕部5と、座部2の左右両側には肘掛け部6と、背凭れ部3の左右両側には側壁部7と、を有している。座部2、背凭れ部3、フットレスト4、枕部5、肘掛け部6、及び側壁部7は、使用者の身体を支持する身体支持部として機能する。身体支持部2~7の各所には、使用者の身体に対してマッサージを行う後述するエアセル20や後述するバイブレータ21によるマッサージ部15が設けられている。また、マッサージ機1は、背凭れ部3に揉みマッサージ及び/又は叩きマッサージを行うマッサージ部15としてのマッサージユニット8と、マッサージ機1の各動作を制御する制御部9と、後述する使用者に各種操作を行わせるコントローラ10と、を有している。
【0017】
図1図3及び図4に示すとおり、背凭れ部3は、座部2の下方に設けられたリクライニング手段である第一アクチュエータ11(図3参照)により、座部2に対して前後にリクライニング可能に構成されており、図1に示す起立姿勢から背凭れ面が略水平となる傾倒姿勢(リクライニング姿勢)(図4参照)まで変更可能となっている。なお、肘掛け部6は背凭れ部3のリクライニングに連動して後方へ移動し、背凭れ部3の起立に連動して前方へ移動するよう構成されている。フットレスト4は、座部2の下方に設けられた揺動手段である第二アクチュエータ12(図3参照)により、座部2に対して上下に揺動可能に構成されており、図1に示す垂下姿勢から膝を伸ばした状態で下腿及び足部が支持される上昇姿勢(図4参照)まで変更可能となっている。
【0018】
図2図3に示すとおり、座部2の下方には、エアセル20よりなる各マッサージ部a1~a8に対してエアを給排気するポンプ13a及びバルブ13bを有する給排気装置13と、前述した制御部9と、が設けられている。各マッサージ部a1~a8と同じ場所にモータにより駆動されるバイブレータ21を設けてもよい。エアセル20は、エアを給排気することで使用者を押圧することができる。バイブレータ21は、偏心分銅が回転することで使用者に振動を与えることができる。制御部9は、プログラマブルなマイコン等を有しており、各アクチュエータ11,12、マッサージ部15、及び給排気装置13を駆動制御する。制御部9には、後述するコントローラ10や記憶部50が電気的に接続されている。マッサージ機1は、記憶部50に記憶された所定のプログラム(マッサージコース)に従ってマッサージ部15を動作させる他、後述する使用者によるコントローラ10からの指示に従って動作する。
【0019】
[座部の構成]
図1~3に示すとおり、座部2の左右両側には、使用者の臀部及び/又は大腿部の外側面に対向して設けられた壁部22が設けられている。この壁部22は、座部の側方において上方へ立設されている。そして、壁部22の内側面には、臀部及び/又は大腿部の外側面をマッサージする臀部マッサージ部a4が設けられている。座部2の左右両側の肘掛け部6の内側壁を壁部22として利用してもよく、臀部マッサージ部a4を肘掛け部の内側壁に設ければよい。また、座部2には、使用者の臀部及び/又は大腿部を下方(背面)からマッサージする臀部マッサージ部a5が設けられている。臀部マッサージ部a4,a5は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、臀部マッサージ部a4は左右で対をなしてマッサージ部群A4を構成し、臀部マッサージ部a5は左右で対をなしてマッサージ部群A5を構成している。マッサージ部群A4、A5は、それぞれ左右独立で膨張収縮可能に構成されている。また、臀部マッサージ部a5は、使用者を上方に押し上げる押上部23としても使用される。臀部マッサージ部a5は、座部2の後ろ側を膨張支点a50として膨張収縮するよう構成されていることが好ましい。このようにすることで、押し上げの際に、使用者を背凭れ部3に押し付けることができる。また、臀部マッサージ部a5は、使用者の臀部及び/又は大腿部を下方(背面)からマッサージできるように座部2の左右両側の肘掛け部6に設けてもよい。具体的には、肘掛け部6の前方側に臀部マッサージa5を設ける。このように構成することで、臀部マッサージa5の押し上げにより、使用者の腰を背凭れ部3に押し付けることができる。また、座部2は、前方から後方にかけて下方傾斜していることが好ましい。このようにすることで、使用者は座部2に着座する際に、座部2に深く腰掛けることができ、押上部23による押し上げの際に、使用者の腰を背凭れ部3に押し付けることができる。
【0020】
[背凭れ部の構成]
図1図3に示すとおり、背凭れ部3は、硬質の背フレーム3aと、背フレーム3aに組み付けられたマッサージ部15であるマッサージユニット8の昇降をガイドするガイドレール18と、背フレーム3aを被覆するカバー部材3cと、により構成されている。背フレーム3aは、金属部材及び/又は樹脂部材により構成されている。また、背フレーム3aは、左右中央に形成された前後方向に開口する開口部3bを有し、正面視で略門型をなしている。また、カバー部材3cは、開口部3bを前方から覆っている。マッサージユニット8の施療子62(図5参照)が開口部3bより前方へ突出しており、カバー部材3cを介して使用者の胴体を後方からマッサージできるようになっている。
【0021】
[マッサージユニットの構成]
以下、マッサージユニット8の構成について説明する。
図1図3図5に示すとおり、背凭れ部3には、使用者の上半身を後方(背面)からマッサージするマッサージユニット8が設けられている。このマッサージユニット8は、身長方向に沿って複数(本実施形態では1つ)設けられていてもよい。このマッサージユニット8は、左右で対をなすアーム61と、アーム61の上下両端部に設けられた施療子62と、により構成されており、マッサージモータM1,M2の駆動により左右の施療子62が近接離反する揉みマッサージ、及び左右の施療子62が交互に使用者側へ進退する叩きマッサージを行わせることができる。また、マッサージユニット8は、昇降モータM3の駆動により身長方向に沿って上方又は下方へ移動して、身体に対する位置を変更したり、ローリングマッサージを行わせたりすることができる。背フレーム3aには、身長方向に延設された左右で対をなすガイドレール18が設けられており、マッサージユニット8はガイドレール18に沿って移動する。マッサージユニット8が身長方向に移動可能であるため、使用者の首から腰の間を施療子62でマッサージすることができる。
【0022】
図5に示すとおり、マッサージユニット8は、ベースフレーム60aと、ベースフレーム60aに支持された可動フレーム60bと、を有している。ベースフレーム60aは、その左右両側においてガイドレール18に嵌合するガイドローラ63を有している。そして、ラックピニオン等よりなる昇降機構(図示せず)によって、身長方向に沿って移動することができる。可動フレーム60bは、左右方向の揺動軸64を介してベースフレーム60aに支持されている。ベースフレーム60aと可動フレーム60bの間には、エアセル20aよりなる進退手段65が設けられている。進退手段65であるエアセル20aを膨張収縮させて、可動フレーム60bは揺動軸64を中心として前後方向に進退することができ、使用者の特定部位を進退させることができる。なお、可動フレーム60bを進退させる構造でなくてもよく、アーム61に進退手段65を設けてアーム61のみを進退させる構造であってもよい。
【0023】
アーム61は、左右方向に延設された揉み軸66及び叩き軸67に連結されている。揉み軸66の左右両側には、傾斜軸部66bを有する傾斜カム66aが設けられており、この傾斜カム66aにアーム61が取り付けられている。左右の傾斜軸部66bは、正面視で略ハの字型となるように揉み軸66の軸心に対して傾斜している。叩き軸67の左右両側には、叩き軸67の軸心に対して偏心した偏心軸部67bを有する偏心カム67aが設けられており、この偏心カム67aにアーム61がコンロッド68を介して取り付けられている。左右の偏心軸部67bは、叩き軸67の軸心に対する位相が互いに異なっており、具体的には180度だけ異なっている。揉み軸66及び叩き軸67は、それぞれマッサージモータM1,M2の駆動により回転する。施療子62は、揉み軸66の回転により揉みマッサージを行い、叩き軸67の回転により叩きマッサージを行う。なお、施療子62が設けられたアーム61、揉み軸66、及び叩き軸67は、可動フレーム60bに支持されている。従って、施療子62は、可動フレーム60bの移動を介して使用者に対して進退可能である。
【0024】
アーム61は、前後方向に揺動自在であり、上側の施療子62が前方へ突出するようにバネ等よりなる付勢手段(図示せず)により付勢されている。また、マッサージユニット8は、使用者の身体情報を検出するセンサ69を有している。このセンサ69は、アーム61が所定の揺動位置となったことを検出することで身体情報を得ることができる。具体的に説明すると、マッサージユニット8を身長方向に沿って上昇させる過程で、上側の施療子62が肩の上方に到達すると、施療子62に作用する負荷が解除されて、アーム61が前方へ揺動して所定の揺動位置となる。アーム61が所定の揺動位置となったことをセンサ69が検出し、その際のマッサージユニット8の上下位置に基づいて肩の位置を検出する。肩の位置を基準として、その他の部位(首、背中、腰等)の位置を計算により求める。検出された身体情報は記憶部50に記憶される。
【0025】
[側壁部の構成]
図1図3に示すとおり、背フレーム3a(背凭れ部3)の左右両側には、使用者の肩又は上腕の外側面に対向して設けられた側壁部7が設けられている。この側壁部7は、背凭れ部3の側方において前方へ立設されている。そして、側壁部7の内側面には、肩又は上腕の前方及び/又は側方を保持又はマッサージする肩側マッサージ部a2が設けられている。肩側マッサージ部a2は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、肩側マッサージ部a2は左右で対をなしてマッサージ部群A2を構成している。肩側マッサージ部a2は、上腕又は肩を押圧する押圧手段24としても使用される。
【0026】
[枕部の構成]
図1図3に示すとおり、背凭れ部3の上部前面には、使用者の頭及び/又は首を支持する枕部5が設けられている。枕部5の前面には、頭及び/又は首の後面に対向して設けられた左右で対をなす頭部マッサージ部a1が設けられている。頭部マッサージ部a1は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、頭部マッサージ部a1は、左右で対をなしてマッサージ部群A1を構成している。この頭部マッサージ部a1は、頭及び/又は首の外側面に対向して設けてもよい。この場合は、前方へ立設された壁部(図示せず)の内側面に設けるとよい。また、頭部マッサージ部a1は、枕部5に設けるのではなく、背凭れ部3の上部前面に直接設けてもよい。
【0027】
[肘掛け部の構成]
図1図3に示すとおり、座部2の左右両側には、使用者の手先と前腕を支持する肘掛け部6が設けられている。肘掛け部6の手先と前腕の上下方向には、腕マッサージ部a3が設けられている。腕マッサージ部a3は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、腕マッサージ部a3は、左右で対をなしてマッサージ部群A3を構成している。
【0028】
[フットレストの構成]
図1図3に示すとおり、フットレスト4は、使用者の下腿を支持する左右一対の脚支持部40と、使用者の足部を支持する左右一対の足支持部41と、を有している。脚支持部40は、使用者の下腿の背面に対向して設けられた底壁40aと、底壁40aの左右両端から前方に向かって立設された側壁40bと、底壁40aの左右中央から前方に向かって立設された中央壁40cと、を有している。
【0029】
側壁40bの内側面には、下腿の外側面をマッサージする脚マッサージ部a6が設けられている。中央壁40cの両外側面には、下腿の内側面をマッサージする脚マッサージ部a6が設けられている。また、底壁40aには、使用者の下腿の背面からマッサージする脚マッサージ部a7が設けられている。脚マッサージ部a6,a7は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。脚マッサージ部a6は、下腿の内側面に対向する脚マッサージ部a6と、下腿の外側面に対向する脚マッサージ部a6、により左右で対をなしてマッサージ部群A6を構成している。脚マッサージ部a7は、中央壁40cを挟んで左側の下腿の背面に対向する脚マッサージ部a7と、中央壁40cを挟んで右側の下腿の背面に対向する脚マッサージ部a7と、により左右で対をなしてマッサージ部群A7を構成している。
【0030】
足支持部41は、使用者の足裏を置く底壁41aと、底壁41aの左右両端から上方に向かって立設された側壁41bと、底壁41aの左右中央から上方に向かって立設された中央壁41cと、底壁41aの後部から上方へ立設された足部の背面(踵付近)に対向する後壁41dと、を有している。各壁41a~41dより上方及び前方が開口した凹部42が形成されており、凹部42に足部を収容できるようになっている。
【0031】
各壁41a~41cには、使用者の足をマッサージする足マッサージ部a8が設けられ、左右で対をなしてマッサージ群A8を構成している。足マッサージ部a8は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。
【0032】
[コントローラの構成]
図1図4に示すとおり、肘掛け部6の上部にはコントローラ10が備えられており、使用者が着座した状態で操作することができる。このコントローラ10は、使用者が目視で確認できる画面10aと、使用者が画面10a上を指先操作するタッチパネル10bと、後述する各ステップの動作内容を音声で報知する報知部33であるスピーカー33aを有している。なお、スピーカー33aはコントローラ10が有していると説明したが、これに限定されなく、前述した背凭れ部3の上部(使用者が着座した時の耳周辺)や前述した枕部5に設けてもよい。また、上述では報知部33はスピーカー33aと説明したが、これに限定されなく、このコントローラ10の画面10a上に各ステップの動作内容を表示して使用者に報知してもよい。また、コントローラ10を操作することにより、リクライニングさせて背凭れ部3の姿勢を変更することができ、上下に揺動させてフットレスト4の姿勢を変更することができる。また、動作させるマッサージユニット8,各マッサージ部a1~a8を選択したり、マッサージユニット8,各マッサージ部a1~a8の動作(手技又は強さ等)を変更したりすることもできる。タッチパネル10bによる操作の代わりに、コントローラ10内に配置した物理ボタン31のみやコントローラ10内に設置されたマイク(図示せず)を使った音声認識部32による操作のみであってもよい。このようにすることで、使用者は容易に選択することができる。なお、音声認識部32であるマイク(図示せず)をコントローラ10内ではなく、背凭れ部3の上部や枕部5に設置してもよい。このようにすることで、使用者はわざわざ姿勢を変えなくても背凭れ部3に凭れたまま、音声認識部32で選択を行うことができる。
【0033】
以下、マッサージ機1のマッサージコースについて説明する。図6は、押上部の右側を動作させた場合の動作パターンの説明図である。図7は、マッサージ機1のマッサージコースを示すフロー図である。
【0034】
以下、マッサージ機1のマッサージコースの一連の流れについて、図6図7に基づいて説明する。
制御部9は、コントローラ10を操作し選択されたマッサージコースを開始する。(ステップS1)ステップS1に続いて、背凭れ部3を起立姿勢に変更する起立ステップを行う。(ステップS2)具体的には、第一アクチュエータ11を駆動させて、背凭れ部3を起立姿勢に変更させる。ステップS2に続いて、フットレスト4を上昇姿勢に変更する上昇ステップを行う。(ステップS3)具体的には、第二アクチュエータ12を駆動させて、フットレスト4を上方に揺動させて、上昇姿勢に変更させる。
【0035】
ステップS3に続いて、座部2の押上部23で使用者を上方に押し上げる押上ステップを行う。(ステップS4)具体的には、押上部23である臀部マッサージ部a5の左右一方を膨張させ、使用者を上方に押し上げる。本実施例では、図6に示す通り、右側を押し上げた場合について説明する。これにより、使用者の体は、臀部マッサージ部a5が膨張した方向と反対方向である左側に傾き、使用者の体重を支えるために、使用者の体の左側、特に使用者の腰部が背凭れ部3に深く押し付けられる状態になる。ステップS4に続いて、押圧手段24で使用者の上腕又は肩を押圧する押圧ステップを行う。(ステップS5)具体的には、押圧手段24である肩側マッサージ部a2を膨張させ、使用者の上腕又は肩を押圧する。これにより、押上部23や施療子62によって使用者の体が前方に押し出されることを防ぐことができるので、背凭れ部3にしっかりと押し付けてマッサージすることができる。ステップS5に続いて、マッサージユニット8を使用者の腰部に移動させて、腰をマッサージする腰マッサージステップを行う。(ステップS6)具体的には、昇降モータM3を駆動させマッサージユニット8を使用者の腰部に移動させ、進退手段65であるエアセル20aを膨張させ、マッサージユニット8を使用者の背部に進出させる。さらに、マッサージモータM1、M2の駆動により左右の施療子62が近接離反する揉みマッサージ、及び左右の施療子62が使用者側へ進退する叩きマッサージを行う。このようにすることで、使用者の腰をマッサージすることができる。ステップS6に続いて、腰へのマッサージが完了して、マッサージコースが終了となる。(ステップS7)このようにすることで、ステップS1~S7の一連のステップを行うマッサージコースを実行でき、使用者の腰をマッサージすることができる。また、マッサージコースを終了するとき、第二アクチュエータ12を駆動させて、フットレスト4を下方に揺動させて、垂下姿勢に変更させることが好ましい。このようにすることで、使用者はマッサージコース終了後、マッサージ機1から降りやすくなる。
【0036】
また、ステップS6の後、ステップS4に戻り、押上部23で前述した方と反対側である左側を押し上げ、同様にステップS5、S6を実行してもよい。このようにすることで、使用者の腰の左右両側に同様の施療をすることができる。これを所定の回数繰り返してもよい。
【0037】
また、ステップS2~S6は、上記順番に限らない。例えば、腰マッサージステップを行ってから、押上ステップや押圧ステップを行ってもよい。このように各ステップの順番を変えて行ってもよい。また、複数のステップを同時に行ってもよい。例えば、起立ステップと上昇ステップを同時に行ってもよい。このように複数のステップを同時に行うことで、マッサージが行われるまでの使用者の待ち時間を短縮することができる。
【0038】
また、押圧手段24である肩側マッサージ部a2を左右独立に膨張収縮できるようにしてもよい。この場合、肩側マッサージ部a2は、押上部23である臀部マッサージ部a5の膨張している方向と反対側を押圧することが好ましい。このようにすることで、使用者の体において押上部23の押上によって背凭れ部3に押し付けられる側の体を押圧することになるので、使用者の体の一方に施療を集中させ、より施療感を高めることができる。
【0039】
また、マッサージユニット8の進退手段65は、アーム61に進退手段65を設けて、アーム61のみを進退させる構造であってもよい。この場合、アーム61は左右独立に進退可能であることが好ましい。このようにすることで、押上部23の押上によって背凭れ部3に押し付けられている側の使用者の体にのみ施療することになるので、使用者の体の一方に施療を集中させ、より施療感を高めることができる。
【0040】
また、上記ステップS2~S6において、他のマッサージ部15を組み合わせてもよい。例えば、押圧ステップS5において、頭部マッサージ部a1や腕マッサージ部a3を膨張させてもよい。このようにすることで、使用者の首や腕へのストレッチ動作を行うことができる。また、押上ステップS4を行う前に、脚マッサージ部a6、a7や足マッサージ部a8を膨張させてもよい。このようにすることで、使用者の脚が押上げによって移動しないように保持することができるので、使用者の脚や腰に対して、ストレッチ動作を行うことができる。
【0041】
本実施形態では、押上部23としてエアセル20からなる臀部マッサージa5を使用したが、これに限らない。例えば、座部2の座面を左右で分割し、座面の下にねじ棒などの押上機構を設けてもよい。
【0042】
[他の実施形態1]
図8は、本発明の他の実施形態におけるマッサージ機1のマッサージコースを示すフロー図である。以下、マッサージ機1のマッサージコースの一連の流れについて、図8に基づいて説明する。ステップS1~S5は、前述と同様であるため、省略する。
【0043】
ステップS5に続いて、マッサージユニット8を使用者の腰部に移動させて、腰をマッサージする腰マッサージステップであるローリングステップを行う。(ステップS8)具体的には、昇降モータM3を駆動させマッサージユニット8を使用者の腰部に移動させ、腰部近傍でマッサージユニット8を身長方向に沿って上下方向に移動させ、使用者の背中に対してローリングマッサージを行う。この際、進退手段65であるエアセル20aを膨張させ、マッサージユニット8を使用者の背部に進出させたり、前述のステップS6の動作である揉みマッサージや叩きマッサージを組み合わせたりしても良い。このようにすることで、使用者の腰にローリングマッサージをすることができる。ステップS8に続いて、背凭れ部3をリクライニング姿勢に変更するリクライニングステップを行う。(ステップS9)具体的には、第一アクチュエータ11を駆動させて、背凭れ部3をリクライニング姿勢に変更させる。ステップS9に続いて、フットレスト4を垂下姿勢に変更する垂下ステップを行う。(ステップS10)具体的には、第二アクチュエータ12を駆動させて、フットレスト4を下方に揺動させて、垂下姿勢に変更させる。垂下姿勢に変更する際には、脚マッサージ部a6、a7や足マッサージ部a8を膨張させて足を保持することが好ましい。このようにすることで、使用者の脚を下方に引っ張ることでストレッチ効果を高めることができる。リクライニング姿勢と垂下姿勢に変更することによって、腰マッサージステップで筋肉がほぐれた腰に対して伸縮を行うことができるだけでなく、前述のステップS4によって、使用者の腰部の一方が背凭れ部3に押し付けられているため、リクライニング姿勢に変更することによって、使用者の体にひねりを加えることができる。ステップS10に続いてマッサージが完了して、マッサージコースが終了となるステップS7に移行する。
【0044】
また、ステップS10の後、ステップS2に戻り、押上部23で前述した方と反対側を押し上げ、同様にステップS5、S8~S10を実行してもよい。このようにすることで、使用者の腰の左右両側に同様の施療をすることができる。これを所定の回数繰り返してもよい。
【0045】
ステップS8、ステップS9、ステップS10は、上記の順番に限らず、他のステップと順番を変えてもよく、同時に行ってもよい。例えば、リクライニングステップ(ステップS9)と垂下ステップ(ステップS10)の順番を逆にしたり、同時に行ったりしても良い。また、リクライニングステップと垂下ステップで腰のひねりマッサージを行い、腰の筋肉を伸ばした上で、腰マッサージステップ(ステップS6、ステップS8)を行ってもよい。また、先にリクライニングステップと垂下ステップを行ってから腰マッサージステップを行う場合は、リクライニング姿勢のまま行ってもよいし、起立姿勢に戻してから行ってもよい。また、起立姿勢とリクライニング姿勢でそれぞれ腰マッサージステップを行っても良い。
【0046】
また、前述した実施形態同様に、押圧手段24である肩側マッサージ部a2を左右独立に膨張収縮できるようにしてもよい。この場合、肩側マッサージ部a2は、押上部23である臀部マッサージ部a5の膨張している方向と反対側を押圧することが好ましい。このようにすることで、使用者の体において押上部23の押上によって背凭れ部3に押し付けられる側の体を押圧することになるので、使用者の体の一方に施療を集中させ、より施療感を高めることができる。
【0047】
また、マッサージユニット8の進退手段65は、アーム61に進退手段65を設けて、アーム61のみを進退させる構造であってもよい。この場合、アーム61は左右独立に進退可能であることが好ましい。このようにすることで、押上部23の押上によって背凭れ部3に押し付けられている側の使用者の体にのみ施療することになるので、使用者の体の一方に施療を集中させ、より施療感を高めることができる。
【0048】
また、上記ステップS2~S10において、他のマッサージ部15を組み合わせてもよい。例えば、リクライニングステップS9において、頭部マッサージ部a1や腕マッサージ部a3を膨張させてもよい。このようにすることで、使用者の首や腕へのストレッチ動作を行うことができる。また、リクライニングステップ(ステップS9)において、臀部マッサージ部a4を膨張させてもよい。このようにすることで、使用者の下半身が動かないように保持することができるので、使用者の腰に対してのストレッチ効果を高めることができる。
【0049】
[他の実施形態2]
前述した実施形態では、腰マッサージステップでは、背凭れ部3に設けられたマッサージユニット8を使用する場合について説明したが、これに限らない。例えば、図2図3に示すように、背フレーム3a(背凭れ部3)の左右両側に、使用者の腰に対向して設けられた側壁部71を設け、この側壁部71の内側面に、使用者の腰を側方から保持又はマッサージする腰マッサージ部a9を設けてもよい。側壁部71は、背凭れ部3の側方において前方へ立設されている。腰マッサージ部a9は、エアの給排気により膨張収縮するエアセル20により構成されている。このように、腰マッサージ部a9は左右で対をなしてマッサージ部群A9を構成している。また、腰マッサージ部a9は左右独立で膨張収縮可能に構成されていてもよい。
【0050】
このようにすることで前述したマッサージユニット8を用いた腰マッサージステップ(ステップS6、S8)の代わりに、エアセル20により構成される腰マッサージ部a9を用いた腰マッサージステップを行うことができる。このように、腰マッサージ部a9を用いることで、腰を側方や前方から押圧できるので、保持とひねりの効果を増すことができる。前述した実施形態のマッサージコースにおいて、腰マッサージステップ(ステップS6、S8)の代わりに腰マッサージ部a9を用いた腰マッサージステップを使用しても良いし、ステップS6、S8と組み合わせても良い。腰マッサージ部a9を組み合わせることで、腰を側方や前方から保持できるので、腰マッサージで腰が浮き上がることを防ぐことができる。また、例えば、押上部23で右側を押し上げている場合、使用者の腰の左側が背もたれ部3に押し付けられているので、腰マッサージ部a9の左側のみを膨張させ、マッサージユニット8で腰マッサージを行うことで、腰へのマッサージ効果を高めることができる。一方、腰マッサージ部a9の右側を膨張させ、マッサージユニット8で腰マッサージを行うことで、腰をひねるストレッチ効果を高めることができる。このように、腰マッサージ部a9とマッサージユニット8の動作の組み合わせによって、マッサージとストレッチを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、使用者の腰を背凭れ部にしっかり押し付けてマッサージすることができるマッサージ機に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 マッサージ機
2 座部
3 背凭れ部
4 フットレスト
8 マッサージユニット(マッサージ部)
9 制御部
11 リクライニング手段(第一アクチュエータ)
12 揺動手段(第二アクチュエータ)
15 マッサージ部
20 エアセル(マッサージ部)
23(a5) 押上部(臀部マッサージ部)
24(a2) 押圧手段(肩側マッサージ部)
62 施療子
65 進退手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8