(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】弁装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/70 20060101AFI20230921BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
F16K31/70 A
F16K51/00 A
(21)【出願番号】P 2020003671
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】瀧原 将隆
(72)【発明者】
【氏名】隈元 匡章
(72)【発明者】
【氏名】古畑 直志
(72)【発明者】
【氏名】緒方 達民
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-074416(JP,A)
【文献】特開2007-303630(JP,A)
【文献】特開2002-372166(JP,A)
【文献】特開2019-049351(JP,A)
【文献】実開昭51-151130(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/64-31/72
39/00-51/02
F16T 1/00-1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流通するケーシングと、
所定の軸と同軸に延びて前記ケーシングを貫通し、前記軸を中心に回転することによって前記軸の方向へ移動するようにネジ機構に支持された第1操作部と、
前記軸と同軸に延び、前記第1操作部のうち前記ケーシングから露出する部分に係合し、前記第1操作部を前記軸を中心に回転させて前記軸の方向へ移動させる第2操作部と、
筒状に形成され、前記第1操作部のうち前記ケーシングから露出する部分を囲むように前記ケーシングに取り付けられ、前記第2操作部を部分的に露出させた状態で前記第2操作部を前記軸を中心に回転自在且つ前記軸の方向に移動自在に支持するホルダと、
前記ケーシングと前記第1操作部との隙間をシールする第1シール部材と、
前記ホルダと前記第2操作部との隙間をシールする第2シール部材とを備え、
前記第1操作部のうち前記ケーシングから露出する部分は、前記ホルダ、前記ケーシング、前記第2操作部及び前記第2シール部材によって閉ざされた空間内に位置している弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の弁装置において、
前記ケーシング内に配置され、弁孔を有する弁座と、
前記ケーシング内に配置され、前記弁孔を開閉する弁体と、
前記ケーシング内に配置され、流体の温度に応じて変形することによって前記弁体に前記弁孔を開閉させる熱応動部材とをさらに備え、
前記第1操作部は、前記第2操作部による回転操作に応じて前記熱応動部材を移動させて、前記弁体が閉弁するときの温度を変更する弁装置。
【請求項3】
請求項1に記載の弁装置において、
前記ケーシング内の対象箇所を清掃する清掃部材をさらに備え、
前記清掃部材は、前記第1操作部に連結されており、
前記第1操作部は、前記第2操作部による回転操作に応じて前記清掃部材を前記対象箇所の方へ移動させて前記対象箇所に付着した異物を除去させる弁装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の弁装置において、
前記第2シール部材のシール性は、前記第1シール部材のシール性よりも高い弁装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の弁装置において、
前記第2シール部材は、グランドパッキンである弁装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の弁装置において、
前記ホルダは、前記ケーシングにネジ締結によって取り付けられる弁装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の弁装置において、
前記第1操作部のうち前記軸の方向における一端である第1端は、前記ケーシングから露出しており、
前記第1端には、前記第2操作部が係合する第1係合部が形成され、
前記ホルダから前記第2操作部を取り外した状態においては、前記ホルダの内側に位置する前記第1係合部が前記ホルダの外部から視認できる状態となっている弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流体が流通するケーシングと、所定の軸心の方向に延び、軸心の方向の一端がケーシングから外部に露出する状態でネジ機構によって支持され、軸心を中心に回転することによって軸心の方向へ移動する操作部とを備えた弁装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された弁装置は、前述のようなケーシング及び操作部に加え、弁孔を有する弁座と、弁体と、温度に応じて変形することによって弁体に弁孔を開閉させる熱応動部材とをさらに備えている。ケーシング内の流体の温度に応じて熱応動部材の温度が変化すると、熱応動部材が変形して弁体を移動させる。熱応動部材の温度が或る温度になると、弁体が弁孔を閉じる。特許文献1の操作部の一端部は、ケーシングから外部に露出している。ケーシングには、露出する操作部の一端部を覆うようにキャップが取り付けられている。作業者は、キャップを取り外して操作部を露出させ、操作部を回転させる。これにより、操作部が移動し、それに応じて熱応動部材が移動する。熱応動部材が移動すると、弁体が弁孔を閉じるときの熱応動部材の温度(即ち、ケーシング内の流体の温度)が変更される。つまり、特許文献1の操作部は、閉弁されるときの流体の温度を調節する際に用いられる。
【0004】
また、特許文献1の弁装置においては、操作部は、弁座に付着した異物を除去する際にも用いられる。詳しくは、操作部には、シャフトが連結されている。シャフトの先端は、弁座から異物を削り取ることができる形状に形成されている。操作部が回転すると、シャフトは、シャフトの軸心の方向へ操作部と共に移動する。やがて、シャフトの先端は弁座に接触し、弁座に付着した異物を削り落とす。
【0005】
このように、弁装置には、ケーシングの外部に部分的に露出する操作部を備えるものがある。操作部は、様々な用途に使用される。例えば、前述のように、熱応動部材の位置を変更させるため、又は、対象箇所の異物を除去するために操作部が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のような操作部を備えた弁装置においては、操作部のうちケーシングから露出する部分を覆うようにキャップがケーシングに取り付けられている。操作部を操作するためには、キャップを取り外す必要がある。さらに、キャップの取り外し及び操作部の操作は、弁装置が組み込まれたシステムの停止時に行う必要がある。
【0008】
このように、操作部の操作は、システムの停止を待ったり、キャップを取り外したりする必要があり、煩雑である。
【0009】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、操作部の操作を簡便に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示された弁装置は、流体が流通するケーシングと、所定の軸と同軸に延びて前記ケーシングを貫通し、前記軸を中心に回転することによって前記軸の方向へ移動するようにネジ機構に支持された第1操作部と、前記軸と同軸に延び、前記第1操作部のうち前記ケーシングから露出する部分に係合し、前記第1操作部を前記軸を中心に回転させて前記軸の方向へ移動させる第2操作部と、筒状に形成され、前記第1操作部のうち前記ケーシングから露出する部分を囲むように前記ケーシングに取り付けられ、前記第2操作部を部分的に露出させた状態で前記第2操作部を前記軸を中心に回転自在且つ前記軸の方向に移動自在に支持するホルダと、前記ケーシングと前記第1操作部との隙間をシールする第1シール部材と、前記ホルダと前記第2操作部との隙間をシールする第2シール部材とを備え、前記第1操作部のうち前記ケーシングから露出する部分は、前記ホルダ、前記ケーシング、前記第2操作部及び前記第2シール部材によって閉ざされた空間内に位置している。
【発明の効果】
【0011】
ここに開示された弁装置によれば、操作部の操作を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、弁孔が全開状態における弁装置の断面図である。
【
図2】
図2は、弁孔が全閉状態における弁装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、弁孔21が全開状態における弁装置100の断面図である。
図2は、弁孔21が全閉状態における弁装置100の断面図である。
【0015】
弁装置100は、流体が流通するケーシング1と、所定の軸Xと同軸に延びてケーシング1を貫通し、軸Xを中心に回転することによって軸Xの方向へ移動するようにネジ機構に支持された第1操作部6と、軸Xと同軸に延び、第1操作部6のうちケーシング1から露出する部分に係合し、第1操作部6を軸Xを中心に回転させて軸Xの方向へ移動させる第2操作部7と、ケーシング1に取り付けられ、第2操作部7を部分的に露出させた状態で第2操作部7を軸Xを中心に回転自在且つ軸Xの方向に移動自在に支持するホルダ8と、ケーシング1と第1操作部6との隙間をシールする第1シール部材64と、ホルダ8と第2操作部7との隙間をシールする第2シール部材88とを備えている。弁装置100は、ケーシング1内を流通する流体の流量を調整する。この弁装置100においては、作業者が第2操作部7を回転操作することによって、第2操作部7を介して第1操作部6が回転操作される。第1操作部6は、回転操作に応じた動作を行う。
【0016】
弁装置100は、ケーシング1内に配置され、弁孔21を有する弁座20と、ケーシング1内に配置され、弁孔21を開閉する弁体25と、ケーシング1内に配置され、流体の温度に応じて変形することによって弁体に弁孔を開閉させる熱応動部材81とをさらに備えていてもよい。第1操作部6は、第2操作部7による回転操作に応じて熱応動部材81を移動させて、弁体25が閉弁するときの流体の温度(以下、「閉弁温度」という)を変更する。
【0017】
弁装置100は、弁座20に付着した異物を除去する清掃棒5をさらに備えていてもよい。清掃棒5は、第1操作部6に連結されている。記第1操作部6は、第2操作部7による回転操作に応じて清掃棒5を弁座20の方へ移動させて弁座20に付着した異物を除去させる。尚、清掃棒5は、清掃部材の一例である。弁座20は、清掃される対象箇所の一例である。
【0018】
つまり、弁装置100においては、第1操作部6は、第2操作部7による回転動作に応じて、閉弁温度の調節及び対象箇所(即ち、弁座20)の清掃という2つの動作を択一的に行う。
【0019】
以下、弁装置100の構成を詳しく説明する。
【0020】
ケーシング1は、流体が流入する流入口13、弁室14、及び、流体が流出する流出口15が形成された本体11と、本体11に取り付けられ、本体11と共に弁室14を区画する蓋12とを有している。
【0021】
本体11は、軸Xを中心軸とする略円筒状に形成されている。本体11には、上方へ開口し、底を有する開口11aが形成されている。開口11aの内径は、下方に向かって段階的に小さくなっている。この開口11aは、蓋12によって閉鎖されている。この開口11aによって弁室14が形成されている。本体11には、流入口13と弁室14とを連通させる第1連通路16と、弁室14と流出口15とを連通させる第2連通路17とが形成されている。ケーシング1には、流入口13、第1連通路16、弁室14、第2連通路17及び流出口15によって流路Pが形成されている。
【0022】
以下、本開示においては、特段の断りが無い限り、「周方向」とは、軸Xを中心とする周方向を意味し、「径方向」とは、軸Xを中心とする径方向を意味する。また、軸Xの方向を「X軸方向」とも称する。
【0023】
弁室14には、弁座20が配置されている。第1連通路16は、弁室14のうち弁座20よりも上方の空間に連通している。第2連通路17は、弁室14のうち弁座20よりも下方の空間に連通している。
【0024】
弁室14のうち弁座20よりも上方の空間には、流路Pを流通する流体が通過し、その流体から異物を除去するスクリーン4が設けられている。スクリーン4は、有底の円筒状に形成されている。詳しくは、スクリーン4は、円筒状の周壁41と、周壁41の下端に連結された円形の底壁42とを有している。周壁41及び底壁42には、複数の微少な貫通孔(図示省略)が形成されており、流体が通過可能となっている。スクリーン4は、本体11の開口11aのうち内径が最も大きい部分に配置されている。スクリーン4の外径は、開口11aの内径よりも小さく、スクリーン4の周壁41と開口11aの内周面との間には空間が形成されている。詳しくは後述するが、スクリーン4は、清掃棒5と共にX軸方向に移動するように構成されている。蓋12には、スクリーン4の上部が進入するガイド溝12aが形成されている。ガイド溝12aは、略円形に形成されている。スクリーン4の上部は、ガイド溝12aに摺動自在に嵌っている。
【0025】
さらに、弁室14には、第1連通路16を介して流入してくる流体の流れ方向を規制する規制筒43が設けられている。規制筒43は、弁室14のうち弁座20よりも上方の空間であってスクリーン4よりも下方に設けられている。規制筒43は、円筒状に形成されている。規制筒43の上端縁には、開口11aの内周壁に連結される連結部44が周方向に間隔を空けて複数設けられている。第1連通路16を介して流入する流体は、連結部44が設けられていない部分を通って、弁室14のうちスクリーン4の外側の空間へ流入する。スクリーン4の下部は、規制筒43に摺動自在に嵌っている。
【0026】
弁座20は、軸Xを中心軸とする略円筒状に形成されている。弁座20の内部には、X軸と同軸に延びる貫通孔22が形成されている。貫通孔22には隔壁23が設けられている。弁孔21は、隔壁23に形成されている。弁座20は、弁室14の下部においてケーシング1の本体11にネジ締結されている。
【0027】
流入口13から第1連通路16を介して弁室14へ流入する流体は、規制筒43によって、スクリーン4の周壁41と開口11aの内周面との間に形成された空間へ案内される。この流体は、スクリーン4の周壁41を径方向内側へ向かって通過する。このとき、流体に含まれる異物がスクリーン4によって除去される。周壁41の内側へ流入した流体は、スクリーン4の底壁42を通過して、弁座20の方へ流れる。該流体は、弁座20の弁孔21を通過して、第2連通路17を介して流出口15から流出していく。
【0028】
弁体25は、清掃棒5と一体的に形成されている。
【0029】
清掃棒5は、第1操作部6に連結されている。第1操作部6は、軸Xと同軸に延び、上端が閉じる一方、下端が開放された略円筒状に形成されている。第1操作部6は、ケーシング1(より詳しくは、蓋12)をX軸方向に貫通している。第1操作部6には、下端から軸Xと同軸に延びる挿入孔61が形成されている。第1操作部6の下部には、X軸方向に延びる2本のガイド溝66が形成されている。2本のガイド溝66は、軸Xを中心に180℃異なる位置に形成されている。これらガイド溝66によって、第1操作部6の下部は二叉状に形成されている。ガイド溝66は、X軸方向において、第1操作部6の下端から所定の長さだけ形成されている。
【0030】
清掃棒5は、軸Xと同軸に延びる棒状、より詳しくは略円柱状に形成されている。清掃棒5は、第1操作部6に対して、軸Xを中心に回転不能に且つX軸方向に進退するように連結されている。詳しくは、清掃棒5には、径方向に清掃棒5を貫通する係合ピン51が設けられている。清掃棒5は、第1操作部6の挿入孔61に挿入される。このとき、係合ピン51は、ガイド溝66に係合している。清掃棒5は、挿入孔61及びガイド溝66に案内されることによって、第1操作部6に対して軸Xを中心に回転不能且つX軸方向に進退する。ただし、係合ピン51がガイド溝66の上端に当接することによって、清掃棒5がX軸方向においてそれ以上、上方へ移動することが規制されている。つまり、ガイド溝66の上端は、清掃棒5のX軸方向における上方への移動を規制するストッパ67となっている。
【0031】
清掃棒5の下端部には、平板状のスクレーパ部52が形成されている。スクレーパ部52は、弁座20の貫通孔22に進入する。詳しくは後述するが、スクレーパ部52は、弁座20の隔壁23の上面に付着した異物を削り落とす。
【0032】
弁体25は、このように構成された清掃棒5の下端、即ち、スクレーパ部52の下端に設けられている。すなわち、弁体25は、清掃棒5と一体的に形成されている。弁体25は、略円錐状に形成されており、弁孔21に嵌って弁孔21を密閉する。
【0033】
また、清掃棒5には、スクリーン4が連結されている。詳しくは、清掃棒5は、スクリーン4の底壁42の中央を貫通している。底壁42は、清掃棒5に溶接、嵌め合い、又はその他の手段で固定されている。すなわち、スクリーン4は、清掃棒5に対して、軸Xを中心に回転不能且つX軸方向に移動不能に連結されている。
【0034】
熱応動部材81は、線膨張率の異なる2種類の金属を重ね合わせて円盤状に形成されたバイメタルで構成されている。熱応動部材81は、常温においては、略平板状となっている。熱応動部材81は、温度が上昇するほど、円盤の中央が膨出するように湾曲する。熱応動部材81の中央には、清掃棒5が貫通する貫通孔が形成されている。複数の熱応動部材81は、清掃棒5が貫通した状態で、弁室14におけるスクリーン4の内部(底壁42の上方)に配置されている。複数の熱応動部材81は、膨出する方向が互い違いになるように積層されている。つまり、一の熱応動部材81は、上方へ膨出するように配置され、それと隣接する熱応動部材81は、下方へ膨出するように配置される。こうすることによって、複数の熱応動部材81の上下方向、即ち、X軸方向の全長は、温度が上昇するほど増大し、温度が低下するほど減少する。一番上に位置する熱応動部材81は、第1操作部6と接触している。一番下に位置する熱応動部材81は、スクリーン4の底壁42に接触している。
【0035】
一方、弁室14におけるスクリーン4の下方には、コイルバネ82が配置されている。コイルバネ82の上端部は、スクリーン4の底壁42に接触し、コイルバネ82の下端部は、ケーシング1の本体11に接触している。コイルバネ82は、圧縮された状態で配置されている。コイルバネ82は、スクリーン4の底壁42を上方へ押圧している。これにより、一番上の熱応動部材81が第1操作部6に接触し且つ一番下の熱応動部材81が底壁42に接触した状態が維持される。
【0036】
熱応動部材81及びコイルバネ82は、弁体25を駆動する駆動部を構成する。複数の熱応動部材81の温度が上昇すると、複数の熱応動部材81のX軸方向の全長が増大する。これにより、スクリーン4が複数の熱応動部材81によって下方へ押圧される。
図2に示すように、スクリーン4は、コイルバネ82の付勢力に抗して下方へ移動し、それに伴い、清掃棒5も下方へ移動する。清掃棒5には弁体25が一体的に形成されているので、弁体25も下方へ移動する。弁体25の移動量は、熱応動部材81の温度、即ち、ケーシング1内の流体の温度に依存している。弁体25が最も下方へ移動すると、弁体25が弁孔21を全閉する。以下、閉弁するときの流体の温度を「閉弁温度」と称する。
【0037】
一方、複数の熱応動部材81の温度が低下すると、複数の熱応動部材81のX軸方向の全長が減少する。これにより、スクリーン4は、コイルバネ82の付勢力によって上方へ移動し、それに伴い、清掃棒5及び弁体25も上方へ移動する。こうして、弁体25が弁孔21を開く。
【0038】
つまり、流体の温度が高い場合には弁孔21の開度が絞られ、流量が減少する。一方、流体の温度が低い場合には弁孔21の開度が大きくなり、流量が増大する。流体の温度が閉弁温度になると、弁孔21が閉じられる。
【0039】
尚、前述のように清掃棒5がX軸方向へ移動する際には、第1操作部6は固定されたままなので、清掃棒5は、ガイド溝66及び係合ピン51の係合によって軸Xを中心として回転不能となっている。
【0040】
続いて、第1操作部6及び第2操作部7について詳細に説明する。
【0041】
第1操作部6は、軸Xを中心に回転することによって軸Xの方向へ移動するようにネジ機構に支持されている。詳しくは、第1操作部6の上部には雄ネジ62が形成されている。蓋12には、軸Xと同軸に延びる貫通孔18が形成されている。貫通孔18の上部には雌ネジ18aが形成されている。貫通孔18のうち雌ネジ18aの下方には、円筒状の平滑面が形成されている。第1操作部6は、貫通孔18に挿入される。このとき、雄ネジ62は、雌ネジ18aに螺合されている。雄ネジ62及び雌ネジ18aがネジ機構を構成する。
【0042】
第1操作部6の下端部の外周面には、雄ネジ62が形成されておらず、周方向に延びる溝63が形成されている。溝63には、第1シール部材64が装着されている。第1シール部材64は、貫通孔18の平滑面に摺接している。つまり、第1シール部材64は、ケーシング1と第1操作部6との隙間をシールしている。例えば、第1シール部材64は、Oリングで形成されている。
【0043】
第1操作部6のうちX軸方向における一端である第1端6aはケーシング1から外部に露出している。詳しくは、蓋12の上面には、軸Xと同軸に延びるボス19が形成されている。ボス19の内部にも貫通孔18が形成されている。第1操作部6の第1端6aは、ボス19から突出し、ケーシング1から露出している。第1端6aには、第2操作部7が係合する第1係合部65が形成されている。第1係合部65は、軸Xに直交する溝によって形成されている。
【0044】
ボス19には、第2操作部7を支持するホルダ8が取り付けられている。ホルダ8は、筒状に形成され、第1操作部6のうちケーシング1から露出する部分を囲むようにケーシング1に取り付けられる。詳しくは、ホルダ8は、軸Xと同軸に延びる略円筒状に形成されている。ホルダ8の下部には雌ネジ81が形成されている。一方、ボス19の外周面には雄ネジ19aが形成されている。雌ネジ81は、雄ネジ19aに螺合される。これら雌ネジ81及び雄ネジ19aを介して、ホルダ8がボス19、即ち、ケーシング1に取り付けられる。ボス19からは第1操作部6の第1端6aが突出しているので、ホルダ8は第1端6aを囲むようにケーシング1に取り付けられることになる。ホルダ8は、ケーシング1に取り付けられた状態において、X軸方向の一端、即ち、上端が開口している。ホルダ8の内部には、仕切壁82が設けられている。仕切壁82には、軸Xと同軸の貫通孔82aが形成されている。
【0045】
第2操作部7は、軸Xと同軸に延びる略円柱状に形成されている。第2操作部7は、ホルダ8内に挿入されている。第2操作部7の外径は、貫通孔82aの内径よりも小さい。第2操作部7は、貫通孔82aを貫通している。第2操作部7のX軸方向の一端である第1端7aは、ホルダ8から外部に露出する一方、第2操作部7のX軸方向の他端である第2端7bは、ホルダ8の内側に位置している。
【0046】
第2端7bには、第1操作部6に係合する第2係合部71が設けられている。第2係合部71は、第2端7bからX軸方向に延びる平板状に形成されている。第2係合部71は、第1操作部6の第1係合部65に係合する(即ち、嵌る)。第1端7aには、工具が係合する第3係合部72が設けられている。第3係合部72は、軸Xと直交する溝によって形成されている。
【0047】
ホルダ8には、第2シール部材88が設けられている。第2シール部材88は、第2操作部7の外周面とホルダ8の内周面との隙間をシールする。例えば、第2シール部材88は、グランドパッキンである。ホルダ8は、スタフィングボックス(即ち、パッキン箱)として機能する。すなわち、仕切壁82の上面に、第2シール部材88が環状に配置される。ホルダ8の内周面のうち仕切壁82よりも上方の部分であって仕切壁82に隣接する部分は、第2シール部材88が接触するシール面83となっている。シール面83は、円筒状の平滑面に形成されている。また、ホルダ8の内周面のうち仕切壁82よりも上方の部分であってホルダ8の開口端に近い部分には、雌ネジ84が形成されている。
【0048】
ホルダ8には、パッキン押え85が取り付けられている。パッキン押え85は、軸Xと同軸に延びる略円筒状に形成されている。パッキン押え85の外周面には、雄ネジ85aが形成されている。パッキン押え85は、雄ネジ85aと雌ネジ84との螺合によってホルダ8の上端部に取り付けられる。パッキン押え85の内径は、第2操作部7の外径よりも大きい。
【0049】
第2操作部7は、パッキン押え85、第2シール部材88及び仕切壁82の貫通孔82aを貫通している。パッキン押え85を締め付けることによって、第2シール部材88がホルダ8のシール面83及び第2操作部7の外周面に密着する。こうして、第2シール部材88は、ホルダ8と第2操作部7との隙間をシールする。
【0050】
第2操作部7は、第2シール部材88に対して摺動することができる。詳しくは、第2操作部7は、第2シール部材88に対して、軸Xを中心に回転自在であり且つX軸方向に移動自在となっている。
【0051】
ケーシング1に第2操作部7及びホルダ8等を取り付ける際には、まず、ホルダ8がボス19に取り付けられる。そして、第2シール部材88がホルダ8内の仕切壁82上に載置され、パッキン押え85がホルダ8に取り付けられる。このとき、パッキン押え85は、ホルダ8に緩く取り付けられており、第2シール部材88を完全には締め付けていない。この状態においては、パッキン押え85、第2シール部材88及び仕切壁82の貫通孔82aを介して、ホルダ8の外部からホルダ8内の第1操作部6の第1係合部65を視認することができる。第2係合部71が第1係合部65に嵌るように軸Xまわりの第2操作部7の角度が調節された状態で、第2操作部7がホルダ8に挿入される。第2係合部71が第1係合部65に嵌るまで第2操作部7が挿入される。その後、パッキン押え85が締め付けられ、第2シール部材88が押圧される。これにより、パッキン押え85がホルダ8のシール面83と第2操作部7の外周面とに接触する。こうして、第2操作部7及びホルダ8等の取付が完了する。
【0052】
尚、第2操作部7及びホルダ8等の取付は、前述の手順に限定されるものではない。例えば、ホルダ8に第2シール部材88及びパッキン押え85を取り付けた状態(このとき、パッキン押え85は第2シール部材88を押圧していない)で、ホルダ8がケーシング1に取り付けられる。続いて、第2操作部7がホルダ8内に挿入され、第2係合部71が第1係合部65に係合される。最後に、パッキン押え85が締め付けられる。あるいは、ホルダ8がケーシング1に取り付けられ、第2操作部7がホルダ8内に挿入され、その後に、第2シール部材88及びパッキン押え85がホルダ8に取り付けられてもよい。
【0053】
いずれにしても、ホルダ8から第2操作部7を取り外した状態においては、ホルダ8の内側に位置する第1係合部65がホルダ8の外部から視認できる状態となっている。そのため、第2操作部7をホルダ8に挿入する際に、第1操作部6の第1係合部65への第2操作部7の第2係合部71の係合を容易に実現することができる。
【0054】
このように、筒状のホルダ8が第1操作部6の第1端6aを囲むようにケーシング1に取り付けられている。そして、ホルダ8の開口端、即ち、上端から第2操作部7がホルダ8に挿入され、第2操作部7とホルダ8との隙間が第2シール部材88によってシールされている。これにより、ケーシング1、第2操作部7、ホルダ8及び第2シール部材88によって閉ざされた密閉空間89が形成される。第1操作部6の第1端6aは、密閉空間89内に位置している。第2操作部7の第1端7aは、ホルダ8から外部に露出する一方、第2操作部7の第2端7bは、密閉空間89内に位置している。そして、密閉空間89内において、第2操作部7の第2係合部71が第1操作部6の第1係合部65に係合している。
【0055】
作業者は、第1端7aの第3係合部72に工具を係合させて、第2操作部7を回転させることによって、ホルダ8の外部から第1操作部6を回転操作することができる。第1操作部6は、回転操作されると、ネジ機構に従ってX軸方向に移動する。前述の如く、第1操作部6は、閉弁温度の調節又は弁座20の清掃を行う際に回転操作される。
【0056】
まず、閉弁温度の調節について説明する。第1操作部6が第2操作部7によって回転操作されて第1操作部6がケーシング1内へ進入するようにX軸方向へ移動すると、熱応動部材81がX軸方向において弁座20へ近づくように(即ち、下方へ)移動する。熱応動部材81が下方へ移動すると、スクリーン4も下方へ移動し、それに伴って清掃棒5も下方へ移動する。清掃棒5の下端には弁体25が設けられているので、弁体25と弁座20との距離が減少する。これにより、閉弁するのに必要な熱応動部材81のX軸方向の伸び量、即ち、熱応動部材81の温度上昇量が減少する。その結果、閉弁温度が低下する。一方、第1操作部6がケーシング1から後退するようにX軸方向へ移動すると、熱応動部材81がX軸方向において弁座20から離間するように(即ち、上方へ)移動する。それに応じて、弁体25と弁座20との距離が増大する。これにより、閉弁するのに必要な熱応動部材81の温度上昇量が増大する。その結果、閉弁温度が上昇する。このように、第2操作部7を介して第1操作部6が回転操作されることによって、閉弁温度が調節される。
【0057】
次に、弁座20の清掃について説明する。ここでは、
図1に示すように、弁体25が弁孔21を全開にした状態から清掃を開始する場合について説明する。
図3は、清掃中の弁装置の断面図である。
【0058】
第1操作部6が第2操作部7によって回転操作されて第1操作部6がケーシング1内へ進入するようにX軸方向へ移動すると、清掃棒5の係合ピン51と第1操作部6のストッパ67との接触により、清掃棒5もX軸方向において弁座20へ近づくように(即ち、下方へ)移動する。このとき、また、係合ピン51とガイド溝66との係合によって、清掃棒5は、第1操作部6と共に軸Xを中心に回転する。第1操作部6がX軸方向へ移動していくと、やがて清掃棒5のスクレーパ部52は、
図3に示すように、X軸回りに回転しながら弁座20の隔壁23に接触する。その際、スクレーパ部52は、隔壁23に付着した異物を削り取る。こうして、清掃棒5によって弁座20に付着した異物が清掃される。清掃が完了すると、第1操作部6がケーシング1から後退するように回転操作される。これにより、清掃棒5は弁座20から離間していく。
【0059】
このような第1操作部6を備えた弁装置100においては、ケーシング1から露出する、第1操作部6の第1端6aが、ケーシング1、第2操作部7、ホルダ8及び第2シール部材88によって区画された密閉空間89に収容されている。そのため、第1操作部6の第1端6aを覆う蓋をケーシング1に取り付ける必要がない。それに加えて、第2操作部7の第1端7aがホルダ8から露出している。作業者は、第1端7aの第3係合部72に工具を係合させて、第2操作部7を回転させることによって、ホルダ8の外部から第1操作部6を回転操作することができる。したがって、ケーシング1から蓋を取り外すという作業を要さずに、第2操作部7を介して第1操作部6を操作することができる。
【0060】
さらに、第1操作部6とケーシング1との隙間に第1シール部材64が設けられ、第2操作部7とホルダ8との隙間に第2シール部材88が設けられている。つまり、ケーシング1の内部と外部は、2段階でシールされている。仮に、第1シール部材64の劣化等により、ケーシング1から密閉空間89に流体が漏洩したとしても、第2シール部材88によってホルダ8から外部への流体の漏洩が防止される。それに加えて、第2シール部材88のシール性は、第1シール部材64のシール性よりも高い。これにより、流体の漏洩をより一層防止することができる。
【0061】
このようにキャップが無くても流体の漏洩を十分に防止できるので、弁装置100が組み込まれたシステムを停止させなくても、即ち、弁装置100の使用中であっても、第2操作部7を介して第1操作部6を操作することができる。
【0062】
以上のように、流体が流通するケーシング1と、所定の軸Xと同軸に延びてケーシング1を貫通し、軸Xを中心に回転することによって軸Xの方向へ移動するようにネジ機構に支持された第1操作部6と、軸Xと同軸に延び、第1操作部6のうちケーシング1から露出する部分に係合し、第1操作部6を軸Xを中心に回転させて軸Xの方向へ移動させる第2操作部7と、筒状に形成され、第1操作部6のうちケーシング1から露出する部分を囲むようにケーシング1に取り付けられ、第2操作部7を部分的に露出させた状態で第2操作部7を軸Xを中心に回転自在且つ軸Xの方向に移動自在に支持するホルダ8と、ケーシング1と第1操作部6との隙間をシールする第1シール部材64と、ホルダ8と第2操作部7との隙間をシールする第2シール部材88とを備え、第1操作部6のうちケーシング1から露出する部分は、ケーシング1、ホルダ8、第2操作部7及び第2シール部材88によって閉ざされた密閉空間89内に位置している。
【0063】
この構成によれば、第1操作部6のうちケーシング1から露出する部分、即ち、第1端6aは、ケーシング1、ホルダ8、第2操作部7及び第2シール部材88によって閉ざされた密閉空間89内に配置されている。それに加えて、ケーシング1の内部と密閉空間89とは第1シール部材64でシールされ、密閉空間89とホルダ8の外部とは第2シール部材88でシールされている。つまり、ケーシング1の内部と外部とは、2段階でシールされている。そのため、第1端6aを覆うキャップをケーシング1に取り付ける必要がない。さらに、第1操作部6に係合する第2操作部7がホルダ8から部分的に露出しているので、作業者は第2操作部7を回転操作することができ、それによって第1操作部6を回転操作することができる。その結果、第1操作部6を操作する上でキャップを取り外したり、システムの停止を待ったりする必要がないので、第1操作部6の操作を簡便に行うことができる。
【0064】
また、弁装置100は、ケーシング1内に配置され、弁孔21を有する弁座20と、ケーシング1内に配置され、弁孔21を開閉する弁体25と、ケーシング1内に配置され、流体の温度に応じて変形することによって弁体25に弁孔21を開閉させる熱応動部材81とをさらに備え、第1操作部6は、第2操作部7による回転操作に応じて熱応動部材81を移動させて、弁体25が閉弁するときの温度、即ち、閉弁温度を変更する。
【0065】
この構成によれば、ケーシング1内の流体の温度に応じて熱応動部材81が変形して弁体25を移動させる。流体の温度が閉弁温度になると、弁体25は弁孔21を閉じる、即ち、閉弁する。そして、第1操作部6は、第2操作部7による回転操作に応じて熱応動部材81を移動させる。熱応動部材81の位置が変わると、弁体25を閉弁させるのに必要な熱応動部材81の変形量、即ち、温度変化量が変化する。その結果、閉弁温度が変化する。つまり、第2操作部7の操作、ひいては、第1操作部6の操作によって、閉弁温度が調節される。
【0066】
さらに、弁装置100は、ケーシング1内の弁座20(対象箇所)を清掃する清掃棒5(清掃部材)をさらに備え、清掃棒5は、第1操作部6に連結されており、第1操作部6は、第2操作部7による回転操作に応じて清掃棒5を弁座20の方へ移動させて弁座20に付着した異物を除去させる。
【0067】
この構成によれば、第1操作部6には清掃棒5が連結されている。第1操作部6が第2操作部7によって回転操作されて軸Xの方向へ移動すると、清掃棒5も移動して弁座20の異物を除去する。つまり、第2操作部7の操作、ひいては、第1操作部6の操作によって、弁座20が清掃される。
【0068】
また、第2シール部材88のシール性は、第1シール部材64のシール性よりも高い。
【0069】
この構成によれば、ケーシング1の内部と密閉空間89とは第1シール部材64によってシールされている。そのため、基本的には、ケーシング1から密閉空間89へ流体は漏洩しない。しかし、万が一、ケーシング1内から密閉空間89へ流体が漏洩したとしても、第1シール部材64よりも高いシール性を有する第2シール部材88によって、密閉空間89とホルダ8の外部とがシールされている。そのため、そのような場合であっても、ホルダ8の外部への流体の漏洩がしっかりと防止される。
【0070】
具体的に、第2シール部材88は、グランドパッキンである。
【0071】
この構成によれば、第2シール部材88としてグランドパッキンを採用することによって、第2シール部材88の高いシール性を実現することができる。
【0072】
さらに、ホルダ8は、ケーシング1にネジ締結によって取り付けられる。
【0073】
この構成によれば、ホルダ8及び第2操作部7をケーシング1に容易に取り付けることができる。
【0074】
特に、ケーシング1から部分的に露出する第1操作部6を備え、第1操作部6の露出する部分を覆うキャップがケーシング1に取り付けられた弁装置において、キャップを、ホルダ8及び第2操作部7に容易に置き換えることができる。つまり、前述のようなキャップを備えた弁装置においては、キャップを取り付けるためのネジがケーシング1に設けられている。このネジを利用してホルダ8をケーシング1に取り付けることによって、ケーシング1に追加の加工等を行うことなく、キャップをホルダ8及び第2操作部7に置き換えることができる。
【0075】
また、第1操作部6のうち軸Xの方向における一端である第1端6aは、ケーシング1から露出しており、第1端6aには、第2操作部7が係合する第1係合部65が形成され、ホルダ8から第2操作部7を取り外した状態においては、ホルダ8の内側に位置する第1係合部65がホルダの外部から視認できる状態となっている。
【0076】
この構成によれば、ケーシング1にホルダ8が取り付けられて状態においては、第1操作部6の第1端6aは、ホルダ8に囲まれ、ホルダ8の内部に位置している。この状態から第2操作部7をホルダ8に挿入するときには、ホルダ8の内部において、第2操作部7を第1操作部6の第1係合部65に係合させる必要がある。ホルダ8から第2操作部7を取り外した状態においては、第1係合部65がホルダの外部から視認できる。そのため、第2操作部7をホルダ8に挿入する前に、第2操作部7が第1係合部65に係合するように第2操作部7の姿勢(例えば、軸Xを中心とする角度)を調節しておくことができる。その結果、第2操作部7をホルダ8に挿入するときに、第2操作部7を第1係合部65に容易に係合させることができる。
【0077】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0078】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0079】
第1操作部6の回転操作に応じた動作は、閉弁温度の調節及び対象箇所の清掃に限定されるものではない。ここに開示された技術は、第1操作部6をケーシング1内に進退させることによって引き起こされる動作に限定されるものではない。ここに開示された技術は、ケーシング1から部分的に露出し、回転操作されることによって任意の動作を引き起こす第1操作部6を備える弁装置100に適用できる。第1操作部6の回転操作によって、閉弁温度の調節及び対象箇所の清掃の何れか一方だけが行われる構成であってもよい。
【0080】
例えば、第1操作部6の回転操作によって対象箇所の清掃のみが行われる弁装置においては、弁体25の駆動源は、熱応動部材81に限定されない。弁体25は、液体に浮くフロート式であってもよい。あるいは、弁装置100は、弁体25を備えておらず、オリフィスが形成されたオリフィス部材を備え、流体の流量を調節するものであってもよい。その場合、オリフィス及びその周辺が清掃対象となり得る。
【0081】
また、第1操作部6の回転操作によって閉弁温度の調節のみが行われる弁装置は、清掃部材を備えていなくてもよい。
【0082】
清掃部材は、清掃棒5に限定されるものではない。清掃部材は、ブラシ等であってもよい。清掃棒5は、第1操作部6と単一部材で形成されていてもよい。清掃棒5には、弁体25が形成されていなくてもよい。清掃部材の対象箇所は、弁座20に限定されず、スクリーン4等であってもよい。
【0083】
第1シール部材64は、Oリングに限定されない。第2シール部材88は、グランドパッキンに限定されない。対象の箇所をシールできる限りは、任意のシール部材を第1シール部材及び第2シール部材に採用することができる。例えば、第2シール部材88をOリングで形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、ここに開示された技術は、弁装置について有用である。
【符号の説明】
【0085】
100 弁装置
1 ケーシング
20 弁座
21 弁孔
25 弁体
5 清掃棒(清掃部材)
6 第1操作部
6a 第1端
64 第1シール部材
65 第1係合部
7 第2操作部
8 ホルダ
81 熱応動部材
88 第2シール部材
X 軸