(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】キャパシタ材料を有する溝部を備えるエネルギ貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
H01G 4/33 20060101AFI20230921BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H01G4/33 101
H01G4/30 541
(21)【出願番号】P 2021517197
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 GB2019052691
(87)【国際公開番号】W WO2020065298
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515207499
【氏名又は名称】パワー ロール リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ジョン・トッピング
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-086053(JP,A)
【文献】特開2006-253431(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02210462(GB,A)
【文献】国際公開第2018/069682(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面及び第2表面が設けられている溝部を有する基材と、
上面を有し、前記溝部に設けられているキャパシタ材料と、
を備え、
前記溝部の前記第1表面及び前記第2表面は、それぞれ非絶縁性材料の被膜を有し、
前記第1表面及び前記第2表面の非絶縁性材料の前記被膜は、互いに電気的に分離され、
非絶縁性素子は、前記キャパシタ材料の前記上面と電気的に接触し且つ電気的に接触しているときに前記キャパシタ材料によって前記第1表面及び前記第2表面の非絶縁性材料の前記被膜から電気的に分離されるように構成されている、
エネルギ貯蔵装置。
【請求項2】
前記溝部の前記第1表面及び前記第2表面の非絶縁性材料の前記被膜は、導電性材料である、請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項3】
少なくとも前記第1表面の導電性材料の前記被膜は、前記第1表面を越えて第1基材表面部まで延びる、請求項2に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項4】
少なくとも前記第2表面の導電性材料の前記被膜は、前記第2表面を越えて第2基材表面部まで延びる、請求項3に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項5】
前記キャパシタ材料は、前記溝部を過充填して前記第1基材表面部及び第2基材表面部の少なくとも一方にキャパシタ材料の層を設ける、請求項3又は4に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項6】
前記非絶縁性素子は、第1素子部および第2素子部を含み、前記第1素子部および前記第1表面の導電性材料の前記被膜の間に位置する第1静電容量領域と、前記第2素子部および前記第2表面の導電性材料の前記被膜の間に位置する第2静電容量領域とを形成するように、前記溝部の上の前記キャパシタ材料が配置されている、請求項1~5のいずれか1つに記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項7】
前記非絶縁性素子の前記第1素子部及び前記第2素子部は、電気的に接続されている、請求項6に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項8】
前記第1表面及び前記第2表面は、最小距離Wのキャパシタ材料によって電気的に分離され
る、請求項6または7に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項9】
前記非絶縁性素子の前記第1素子部及び前記第2素子部のそれぞれに隣接する前記キャパシタ材料は、厚さXであり、
Xは、W/2以上W以下の数値範囲にある、請求項8に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項10】
Xは、最小でW/2である、請求項9に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項11】
Wは、1μm以上10μm以下の範囲にある、請求項8~10のいずれか1つに記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項12】
前記非絶縁性素子は、前記キャパシタ材料の前記上面に印刷されている、請求項1~11のいずれか1つに記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項13】
前記基材は、上面及び下面を有する柔軟なシート状であり、前記溝部は、前記基材の上面に沿って延び、更に前記非絶縁性素子は、前記基材の下面に沿って同じ方向に延びている、請求項1~11のいずれか1つに記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項14】
前記非絶縁性素子の露出した表面に二次的なキャパシタ材料が設けられている、請求項13に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項15】
前記非絶縁性素子は、柔軟なシート状の前記基材を圧延又は巻き取りすることにより、前記キャパシタ材料の上面に電気的に接触して配置されている、請求項13又は14に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項16】
第1基材シートの前記非絶縁性素子は、第2基材シートの上に前記第1基材シートを配置することで、前記第2基材シートの前記キャパシタ材料の上面と電気的に接触するように配置されている、請求項13又は14に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項17】
前記二次的なキャパシタ材料は、流れることで前記キャパシタ材料の前記上面との密接な接触又はシールを提供するゲル又は液体である、請求項14に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項18】
前記非絶縁性素子、前記第1表面の前記被膜、及び前記第2表面の前記被膜は、それぞれ電荷引き抜き素子に接続されている、請求項1~17のいずれか1つに記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項19】
前記電荷引き抜き素子は、互いに電気的に分離されている、請求項18に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項20】
前記基材は、支持層及び溝付き層を備え、前記溝部は、前記溝付き層に全体的に形成されている、請求項1~19のいずれか1つに記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項21】
前記基材は、一連の溝部を備え、各溝部は、独立した非絶縁性素子を有する、請求項1~20のいずれか1つに記載のエネルギ貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタのエネルギ貯蔵効率は、キャパシタ又は電気二重層キャパシタの材料として知られる誘電体材料に依存する。誘電率の高いキャパシタ材料は、単位体積当たりの電荷量が多いが、高価であることが多いため、エネルギ貯蔵のコストを管理する場合にはエネルギ貯蔵装置に効率的に使用する必要がある。
【0003】
キャパシタ又は電気二重層キャパシタの材料を効率的に使用する既知の方法の1つは、国際公開第2018/069682号に開示されているように、溝部がキャパシタ材料で充填されている溝付きの基材を備えるエネルギ貯蔵装置を提供するためにそれらを使用することである。この方法は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0004】
しかし、溝付きの基材の溝部への充填は、溝部の寸法やキャパシタ材料の特性によっては制御が困難な場合がある。その結果、各溝部の充填量が不足する、又は、各溝部の充填量が過剰になってキャパシタ材料が基材の複数の溝部に架け渡されることがある。
【0005】
複数の溝部に架け渡されたキャパシタ材料が存在すると、キャパシタ材料の基材への密着性が向上し、エネルギ貯蔵装置内の複数の溝部の静電容量が増加する可能性がある。しかしながら、このように充填量が過剰になった場合、静電容量の増加は、誘電体材料の体積増加によってのみもたらされるため、十分なものではない。
【0006】
更に、複数の溝部に架橋するために溝部を埋めすぎると、キャパシタ材料の表面に凹凸ができてしまう危険性がある。このような不均一な表面は、従来技術で知られているように、キャパシタ装置を形成するために基材を圧延又は積層する場合に、非効率的なパッキングになる可能性がある。
【0007】
本発明は、既存のエネルギ貯蔵装置の欠点の1つ又は複数を軽減することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
本発明の態様及び実施形態は、添付の請求項に記載されたエネルギ貯蔵装置を提供する。
【0009】
本発明の一態様によれば、
第1表面及び第2表面が設けられている溝部を有する基材と、
上面を有し、前記溝部に設けられているキャパシタ材料と、
を備え、
前記溝部の前記第1表面及び前記第2表面は、それぞれ非絶縁性材料の被膜を有し、
前記第1表面及び前記第2表面の非絶縁性材料の前記被膜は、互いに電気的に分離され、
非絶縁性素子は、前記キャパシタ材料の前記上面と電気的に接触し且つ電気的に接触しているときに前記キャパシタ材料によって前記第1表面及び前記第2表面の非絶縁性材料の前記被膜から電気的に分離されるように構成されている、エネルギ貯蔵装置が提供される。
【0010】
特定の実施形態では、溝部の第1表面及び第2表面の非絶縁性材料の被膜は、導電性材料である。より具体的には、導電性材料の被膜は、金属及び炭素のうちの1つ又は複数であってもよい。
【0011】
特定の実施形態では、少なくとも第1表面の導電性材料の被膜は、第1表面を越えて第1基材表面部まで延びる。この実施形態では、第1表面の導電性材料が、隣接する溝部から延びる導電性材料に重なっていてもよいし、隣接する溝部から延びる導電性材料が、第1表面の導電性材料に重なっていてもよい。その結果、溝部は、隣接する別の溝部と連続して接続されていてもよい。
【0012】
特定の実施形態では、少なくとも第2表面の導電性材料の被膜は、第2表面を越えて第2基材表面部まで延びる。この実施形態では、第2表面の導電性材料が、更に隣接する溝部から延びる導電性材料に重なっていてもよいし、更に隣接する溝部から延びる導電性材料が、第2表面の導電性材料に重なっていてもよい。その結果、溝部は、1つ又は複数の隣接する溝部と連続して接続されていてもよい。
【0013】
更に、第1表面、第2表面、又は第1表面及び第2表面からそれぞれの基材表面部に導電性材料の被膜を延ばすことで、非絶縁性素子は、それぞれの基材表面部の導電性材料の被膜との間に静電容量領域を形成することができる。その結果、非絶縁性素子とそれぞれの基材表面部の導電性材料の被膜のそれぞれとの間の間隔をより正確に制御することができる。間隔の正確な制御は、エネルギ貯蔵装置の異なる静電容量領域の電圧破壊特性(voltage breakdown characteristics)のバランスを取る上で重要である。
【0014】
特定の実施形態では、キャパシタ材料は、溝部を過充填(overfill)して第1基材表面部及び第2基材表面部の少なくとも一方にキャパシタ材料の層を設ける。この実施形態では、他の方法では使用量を増やしたとしても基材層間の接着剤としてのみ有用であるかもしれないキャパシタ材料を使用して、追加の静電容量領域を形成することができる。更に、非絶縁性素子と導電性材料の各被膜との間のキャパシタ材料の厚さを正確に決定することができる。言い換えれば、キャパシタ材料が溝部を埋める程度によって、非絶縁性素子と導電性材料の各層との間の分離距離を少なくとも部分的に制御することができる。
【0015】
特定の実施形態では、溝部の上の非絶縁性素子及びキャパシタ材料によって形成されたキャパシタは、非絶縁性素子の第1部分と第2部分とを形成する。この実施形態では、非絶縁性素子は、溝部の第1表面と第2表面との間に置かれる静電容量領域に加えて、2つの静電容量領域を形成することにより、わずかなサイズの増加で、静電容量が大幅に増加したエネルギ貯蔵装置を提供することができる。
【0016】
特定の実施形態では、非絶縁性素子の第1部分及び第2部分は、電気的に接続されている。この実施形態では、非絶縁性素子によって形成された2つの静電容量領域が直列に配置される。
【0017】
特定の実施形態では、溝部の第1表面及び第2表面は、最小距離Wのキャパシタ材料によって電気的に分離されている。この実施形態では、溝部の第1表面と第2表面との間の領域の静電容量を決定することができる。
【0018】
特定の実施形態では、非絶縁性素子の第1部分及び第2部分のそれぞれに隣接するキャパシタ材料の厚さは、厚さXである。この実施形態では、第1部分及び第2部分の静電容量が実質的に同じであることを決定することができる。
【0019】
特定の実施形態では、Xは、W/2以上W以下の数値範囲にある。この実施形態では、非絶縁性素子と基材表面の導電性材料の被膜との間の静電容量領域の電圧破壊特性及び、溝部の第1表面と第2表面との間の静電容量領域の電圧破壊特性のバランスを取ることができる。すなわち、いずれの静電容量領域も他の静電容量領域よりも先に破壊されないようにすることができ、エネルギ貯蔵装置全体の電圧破壊特性を一定に保つことが可能となる。
【0020】
特定の実施形態では、Xは、最小でW/2である。この実施形態では、エネルギ貯蔵装置全体の電圧破壊特性を一定に保つことができる。
【0021】
特定の実施形態では、Wは、1μmから10μmまでの範囲にある。より具体的には、Wは、2μmから6μmまでの範囲であり、更に具体的には、Wは、4μmである。上述の方法と同様に、これらの寸法は、エネルギ貯蔵装置全体の電圧特性と組み合わせて、溝形の貯蔵装置の最適な電荷貯蔵を確保する。
【0022】
特定の実施形態では、非絶縁性素子は、キャパシタ材料の上面に印刷されている。この実施形態では、非絶縁性素子は、溝部の上のキャパシタ材料に容易かつ正確に配置することができる。
【0023】
特定の実施形態では、基材は、上面及び下面を有する柔軟なシート状であり、溝部は、基材の上面に沿って延び、更に非絶縁性素子は、基材の下面に沿って同じ方向に延びている。この実施形態では、基材は、他のプリフォームと積層されエネルギ貯蔵装置の層を形成することができる、又は、空間効率のよい方法で配置されたエネルギ貯蔵装置を形成するように圧延されることができるプリフォーム(preform)として容易に製造することができる。プリフォームが圧延されるとき、柔軟な基材の下面の非絶縁性素子が、溝部の上のキャパシタ材料の上面に接触する。この実施形態では、第2静電容量領域と第3静電容量領域が形成される。この方法で形成されたエネルギ貯蔵装置は、装置内における短絡発生のリスクが低減される。溝部を過充填(オーバーコーティング(overcoating))するキャパシタ材料によって、多少のピンホール不良が発生しても、キャパシタ材料のスペーサー効果(spacing effect)により阻止されるため、非絶縁性素子(第3導体)は、(溝部の第1表面及び第2表面の各々の)第1導体又は第2導体に接触しないであろう。
【0024】
特定の実施形態では、溝部の経路は、溝付き層においてジグザグ状に延びていてもよく、又は、直線状、曲線状、又は、他の適切な形状であってもよい。
【0025】
特定の実施形態では、溝部は0.3mから200mまでの長さであってもよく、通常は3mから300mまでの長さであってもよい。各溝部は、典型的には100mを超える長さであり、任意には1000mを超える長さであり、通常は5000mを超える長さであり、10000mを超える長さであってもよい。
【0026】
特定の実施形態では、各溝部は、典型的には0.3μmから100μmまでの幅であり、通常は0.3μmから10μmまでの幅である。より具体的には、溝部は、1μmから5μmまでの幅である。
【0027】
特定の実施形態では、エネルギ貯蔵装置は、複数の溝部を備え、複数の溝部は、カスケード溝構造(cascaded groove structure)と呼ばれる第1の一連の溝部及び第2の一連の溝部で形成されてもよい。使用時において、エネルギ貯蔵装置は、直列配置で製造され、並列、又は直列と並列とを組み合わせた配置で使用されることができる。
【0028】
特定の実施形態では、基材は、少なくとも1つの溝部又は互いに平行に電気的に接続される複数の溝部を有するパターン化された領域を備えてもよい。
【0029】
特定の実施形態では、一連のパターン化された領域が互いに電気的に接続され、100000000mまでの有効な溝部の長さが得られる。
【0030】
特定の実施形態では、非絶縁性素子の露出した表面に二次的なキャパシタ材料が設けられている。この実施形態では、二次的なキャパシタ材料は、プリフォームが積層されるとき又は代替的にプリフォームが圧延されるときに、非絶縁性素子とキャパシタ材料の表面との間に効果的に電気的な接触が提供されるのを助けてもよい。
【0031】
特定の実施形態では、非絶縁性素子は、基材シートを圧延又は巻き取りすることにより、キャパシタ材料の上面に電気的に接触して配置されている。この実施形態では、1枚の基材シートから空間効率のよい積層を容易かつ単純に提供することができる。このような基材シートの圧延又は巻き取りには、既知のロールツーロール(roll to roll)又はロールツーシート(roll to sheet)の工程を利用してもよい。
【0032】
特定の実施形態では、第1基材シートの非絶縁性素子は、第2基材シートの上に第1基材シートを配置することで、第2基材シートのキャパシタ材料の上面と電気的に接触するように配置されている。この実施形態では、他の空間効率のよい配置は、複数の基材シートから容易に提供され得る。
【0033】
特定の実施形態では、二次的なキャパシタ材料は、キャパシタ材料の上面との密接な接触又はシールを提供するように流れるゲル又は液体である。この実施形態では、二次的なキャパシタ材料は、多少の適合性があってもよく、その結果、巻き取り又は積層によって、例えば、層間のエアポケットを排除することで、静電容量を最大化することができる。
【0034】
特定の実施形態では、非絶縁性素子、溝部の第1表面の被膜、及び溝部の第2表面の被膜は、それぞれ電荷引き抜き素子(charge extraction element)に接続されている。この実施形態では、エネルギ貯蔵装置に蓄えられたエネルギを効率よく取り出して使用できる。
【0035】
特定の実施形態では、電荷引き抜き素子は、互いに電気的に分離されている。この実施形態では、エネルギ貯蔵装置の静電容量領域は、互いに短絡しなくなり、電荷貯蔵を最大化することができる。
【0036】
特定の実施形態では、基材は、一連の溝部を備え、各溝部は、独立した非絶縁性素子を有する。この実施形態では、隣接する溝部の静電容量領域は、電気的に分離されたままとなり、互いに短絡しなくなる。
【0037】
特定の実施形態では、エネルギ貯蔵装置は、無極性キャパシタを備える。この実施形態では、エネルギ貯蔵装置は、任意の定位の電気負荷を有する回路に組み込まれることができる。
【0038】
本発明の別の態様によれば、第1表面及び第2表面が設けられる溝部を有し、第1表面及び第2表面が、それぞれ非絶縁性材料の被膜を有する、基材と、
溝部に配置され、第1表面及び第2表面の非絶縁性材料の被膜の間の第1静電容量領域と電気的に接触し、第1静電容量領域を形成する、第1キャパシタ材料と、
非絶縁性素子と電気的に接触可能な表面を有する第2キャパシタ材料と、
を備え、
第2キャパシタ材料は、非絶縁性素子が接触しているとき、非絶縁性素子と第1表面又は第2表面の非絶縁性材料の被膜との間の第2静電容量領域に電気的に接触するように配置され、第2静電容量領域を形成する、エネルギ貯蔵装置が提供される。
【0039】
特定の実施形態では、第2キャパシタ材料は、非絶縁性素子と第1表面又は第2表面の他方にある非絶縁性材料の被膜との間の第3静電容量領域に電気的に接触するように配置され、第3静電容量領域を形成する。
【0040】
特定の実施形態では、非絶縁性材料は、導電性材料である。
【0041】
特定の実施形態では、第1キャパシタ材料及び第2キャパシタ材料は、異なる。
【0042】
特定の実施形態では、第1キャパシタ材料及び第2キャパシタ材料は、単体のキャパシタ材料を形成する。
【0043】
本発明の別の態様によれば、第1表面及び第2表面が設けられる溝部を有し、第1表面及び第2表面が、それぞれ導電性材料の被膜を有する、基材と、
溝部に配置され、第1表面及び第2表面の導電性材料の被膜の間の第1静電容量領域に接触し、第1静電容量領域を形成する、第1キャパシタ材料と、
第1部分及び第2部分を有する非絶縁性素子と、
非絶縁性素子の第1部分と第1表面の導電性材料の被膜との間の第2静電容量領域に電気的に接触するように配置され、第2静電容量領域を形成する、第2キャパシタ材料と、
非絶縁性素子の第2部分と第2表面の導電性材料の被膜との間の第3静電容量領域に電気的に接触するように配置され、第3静電容量領域を形成する、第3キャパシタ材料と、
を備える、エネルギ貯蔵装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
以下、本発明の実施形態は、あくまで例示として、添付の図面を参照しながら説明される。
【
図1a】
図1aは、従来技術によるエネルギ貯蔵装置の溝部を部分的に示している横断面図である。
【
図1b】
図1bは、従来技術によるエネルギ貯蔵装置の溝部が過充填で満ちている様子を示している横断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係るエネルギ貯蔵装置の横断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第2実施形態に係るエネルギ貯蔵装置の横断面図である。
【
図4a】
図4aは、第1実施形態における寸法W及びXを示している横断面図である。
【
図4b】
図4bは、第2実施形態における代替的な寸法W及びXを示している横断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態又は第2実施形態のいずれかによるエネルギ貯蔵装置の一部を示す破断図である。
【
図6】
図6は、他のプリフォームと圧延又は積層する前の支持基材を備える、本発明に係るエネルギ貯蔵装置用プリフォームの一実施形態の横断面図である。
【
図7】
図7は、
図6の本発明によるエネルギ貯蔵装置用プリフォームを他のプリフォームと積層したときの横断面図である。
【
図8】
図8は、
図2~
図5、
図9a、及び
図9bのいずれかに記載のエネルギ貯蔵装置の回路図であり、
図6のプリフォームが圧延されたときに形成可能なものである。
【
図9a】
図9aは、本発明に係るエネルギ貯蔵装置の更なる実施形態の横断面図であり、寸法W及びXを示している。
【
図9b】
図9bは、
図9aの更なる実施形態における代替的な寸法W及びXを示している横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1a及び
図1bは、それぞれ溝部3と、1つ又は一連の溝部3を備えるエネルギ貯蔵装置1のキャパシタ又はスーパーキャパシタの材料5とを示す。溝部3の壁部は、非絶縁性材料の被膜を有する。非絶縁性材料の被膜は、本実施形態では、金属導体7である。
【0046】
溝部3の第1表面9aの非絶縁性材料の被膜7は、溝部3の第2表面9bの非絶縁性材料の被膜7と電気的に接触していない。非絶縁性材料の被膜7は、本実施形態では、金属である。溝部3の第1表面9aの金属被膜7と、溝部3の第2表面9bの金属被膜7との間である溝部3の底部には、隙間11が設けられている。各金属被膜7は、導体材料と呼ばれることもある。
【0047】
図1bでは、キャパシタ材料5は、溝部3の開口部の上に延びると共に第1表面9a及び第2表面9bを越えて横方向に延びるように、溝部3を過充填する。
図1aは、エネルギ貯蔵装置の同様の特徴を示すが、キャパシタ/スーパーキャパシタ材料5は、溝部3を部分的にのみ満たしている。
【0048】
本発明の第1実施形態は、
図2に示されている。
図1a及び
図1bと同様に、エネルギ貯蔵装置21は、キャパシタ材料5で満たされた溝部3を備える。キャパシタ材料5は、溝部3の第1表面9a及び第2表面9bの金属被膜7とともに第1静電容量領域を形成する。
図1a及び
図1bの従来技術の装置とは対照的に、キャパシタ材料5は、実質的に溝部3を過充填し、意図的に溝部3の開口部の上に所望の厚さで延び、上面25を形成する。
【0049】
非絶縁性素子23は、上面25と電気的に接触するように配置されている。
図2では、非絶縁性素子23は、非絶縁性素子23が溝部3の開口部をわずかに越えて架け渡されるのに十分な大きさを有している。
【0050】
非絶縁性素子23は、キャパシタ材料5によって金属被膜7から電気的に分離されているため、第1表面9aの金属被膜7と第1素子部24aとの間に置かれるキャパシタ材料5内に第2静電容量領域を形成するように配置されている。同様に、非絶縁性素子23の配置は、第2表面9bの金属被膜7と第2素子部24bとの間に置かれるキャパシタ材料5内に第3静電容量領域を形成する。
【0051】
この配置では、溝部3を満たすキャパシタ材料5がより効率的に使用されることで、大幅に多くのキャパシタ材料5を必要とせずに、又は追加の溝部及び金属被膜がなくても、複数の静電容量領域を有するエネルギ貯蔵装置を提供する。追加の静電容量は、従来技術のエネルギ貯蔵装置1と比較して、わずかなサイズの増加のみで得られる。
【0052】
本発明の更なる実施形態は、
図3に示されている。この実施形態では、金属被膜7は、溝部3の中から外へ延び、溝部3の開口部に隣接する基材表面部27a,27bを覆う。1つの溝部が他の溝部に隣接するように基材に配置されている場合、金属被膜7は、複数の溝部が電気的に直列に接続されるように重なってもよい。この実施形態では、第1表面9aの金属被膜7が、第2溝部の金属被膜7’に沿って重なっていてもよいし、重ねられていてもよい一方で、第2表面9bの金属被膜7が、第3溝部の更なる金属被膜7’’に沿って重なっていてもよいし、重ねられていてもよい。
【0053】
溝部の上の非絶縁性素子23の配置は、溝部内の静電容量に対して並列の静電容量を提供する。そのため、エネルギ貯蔵装置が一定の電圧破壊特性を有するためには、異なる静電容量領域の電圧破壊特性のバランスを取ることが重要である。並列の静電容量における電圧破壊が溝部の静電容量とバランスが取れていない場合、ある領域の電圧破壊が他の1つ又は複数の領域よりも先に起こり、装置に弱リンク(weak link)又は短絡をもたらす。
【0054】
任意の単体の静電容量領域の静電容量は、電気的に分離された導体間の誘電体又はキャパシタ材料5の間隔に依存する。従って、本発明の第1実施形態及び第2実施形態では、本発明の溝部の領域における静電容量は、
図4a又は
図4bの距離Wに依存し、言い換えれば、溝部3の第1及び第2金属被膜7を電気的に分離するキャパシタ材料の最も狭い間隔に依存する。
【0055】
その結果、溝部3が完全にキャパシタ材料5で満たされている
図4aの実施形態において、Wは、第1表面9a及び第2表面9bの金属被膜7の間の最小距離である。しかしながら、
図4bの実施形態では、キャパシタ材料5に隙間11が存在するため、Wは、金属被膜7にキャパシタ材料5が接触している部分の最下部の間の距離である。
【0056】
同様に、非絶縁性素子23とキャパシタ材料の上面25との電気的な接触を提供することにより、並列の各静電容量領域の静電容量は、非絶縁性素子23の下面と金属被膜7の最上部37a又は37bとの間の距離X、ずなわち、キャパシタ材料5の最小厚さに依存する。
【0057】
その結果、
図4aの実施形態では、第2静電容量領域の静電容量は、溝部3の開口部に置かれる金属被膜7の第1最上部37aと第1素子部24aとを電気的に分離するキャパシタ材料5の厚さに対応する最小の垂直距離Xを有する。同様に、第3静電容量領域の静電容量は、対応する最上部37bと素子部24bとを電気的に分離するキャパシタ材料5の厚さに対応する最小の垂直距離である。
【0058】
同じ要因が
図4bの実施形態にも当てはまり、静電容量は、最小の垂直距離Xに依存する。従って、例えば、符号26として示される、非絶縁性素子23の周囲に延びるキャパシタ材料5のいかなる部分も、Xの決定には関係しない。溝部は、任意の断面形状であってもよく、対称又は非対称のV字形であってもよいことが理解されるだろう。溝部は、V字形、円形、又は四角形であってもよい。
【0059】
図9a及び
図9bは、
図4a及び
図4bに示された同様の特徴を示す参照番号に100を加えた参照番号により同様の溝部を示す。この溝部は、四角形の断面形状を有する。表面109aの金属被膜137a及び表面109bの金属被膜137bの間の距離Wは、溝部の至る所で一定である。
【0060】
上述の配置において、静電容量領域の電圧破壊特性のバランスを取り、エネルギ貯蔵装置を最適化するために、XとWとの間にX≧W/2なる関係があることが見出される。
【0061】
Wの典型的な値は、1μmから10μmまでの範囲である。より具体的には、Wは、2μmから6μmまでの範囲である。更により具体的には、Wは4μmである。
【0062】
特定の実施形態では、溝部の第1表面及び第2表面は、約2ミクロンから約20ミクロンまでの高さである。つまり、溝部の空の深さは、約2ミクロンから約20ミクロンまで以下である。
【0063】
図2~
図4bの実施形態を有する本発明のエネルギ貯蔵装置は、任意の適切な支持基材又はウェブ(web)を備える。
図5に切断した形で示される実施形態では、本発明のエネルギ貯蔵装置21の溝部3は、溝付き層31内に配置され、溝付き層31自体は、支持層29の上面に配置されている。支持層29及び溝付きの樹脂層31はともに、溝部3の方向に、溝部3の全長に亘って延びる支持基材又はウェブを備える。後述するように、溝部3は、単一の支持基材又はウェブに配置される複数の溝部のうちの1つであってもよい。言い換えれば、支持層29及び溝付きの樹脂層31はともに、示された溝部3の側部又は両側部のいずれかに延びて、追加の溝部(図示せず)が提供されてもよい。
【0064】
溝部3は、溝付きの樹脂層31に沿ってジグザグの経路で延びている。溝部の第1表面及び第2表面の各々の金属被膜が成膜工程中に電気的に分離されたままであることを確実にするため、特定の実施形態では、溝部は、(V字形の溝部の場合、溝部の開口部の)幅よりも深くなっている。
【0065】
上述の実施形態と同様に、
図5の装置21は、既知の方法により溝部3の第1表面9a及び第2表面9bに沿って配置される金属被膜7を備える。
図4bの実施形態でよく分かるように、金属被膜7は、溝部3の中から外へ延び、溝部3の開口部に隣接する基材表面部27a,27b上に延びる。基材表面部27bに形成される金属被膜7は、隣接するエネルギ貯蔵装置(図示せず)の溝部から延びる被膜に対応する更なる金属被膜7’に重ねられる。
【0066】
上述の実施形態と同様に、
図5の溝部3は、第1静電容量領域を形成するためにキャパシタ材料5で満たされている。第1静電容量領域は、溝部3の第1表面及び第2表面の非絶縁性材料と溝部のキャパシタ材料5との間に形成される。キャパシタ材料5は、溝部の開口部の上に上面25まで延び、基材表面部27a,27bに配置される金属被膜7,7’の横方向に延びている。そのため、溝部3は、キャパシタ材料で過充填されている。非絶縁性素子23は、キャパシタ材料5の上面25と接触するように配置され、キャパシタ材料5によって金属被膜7,7’のそれぞれと電気的に分離され、それによって第2静電容量領域及び第3静電容量領域が形成されている。
【0067】
非絶縁性素子23は、溝付きの樹脂層31内におけるジグザグの経路の全幅を1スパンで十分に覆うために、溝部3の開口部の幅を越えて延びるように配置されてもよい。この実施形態では、非絶縁性素子23は、単純な形状であってもよく、溝部3の経路と正確に一致しなくてもよい。代替的に、非絶縁性素子23は、必要に応じて、溝部3の経路と一致してもよい。更に代替的に、
図5に示すように、非絶縁性素子23は、溝部3の全幅よりも狭く、溝部の経路が溝付きの樹脂層31に作る全幅の一部のみに亘っていてもよい。
【0068】
上述のように、溝付きの樹脂層31は、複数の溝部が並んで配置されているように構成されてもよい。この配置では、隣接するエネルギ貯蔵装置の第1静電容量領域が直列に配置されるように、ある溝部の金属被膜は、隣接する溝部の金属被膜に重なっていてもよい。
【0069】
そのように一連の第1静電容量領域が配置された状態で、各溝部は、隣接する非絶縁性素子から電気的に分離された固有の非絶縁性素子23を有する。この実施形態では、各非絶縁性素子23は、第1静電容量領域と並列に配置された固有の第2静電容量領域及び第3静電容量領域を提供できる。
【0070】
図6に示される更なる実施形態では、本発明によるエネルギ貯蔵装置のためのプリフォーム41が提供される。プリフォーム41では、非絶縁性素子23は、支持層29の下面に配置されているが、その他の特徴は、
図2~
図5を参照して説明した任意の実施形態で示したものと同様である。第2静電容量領域及び第3静電容量領域を形成するために、溝部3を過充填するキャパシタ材料5の上面に非絶縁性素子23を接触させるため、支持層29は圧延される。
【0071】
図示しない実施形態では、本発明によるエネルギ貯蔵装置のためのプリフォーム41は、単体の支持基材に並んで配置された一連の溝部を備えてもよい。
【0072】
図7に示された代替的な実施形態では、エネルギ貯蔵装置を形成するために、第1プリフォーム41が同一の第2プリフォームに配置されるため、第1プリフォームの非絶縁性素子23が第2プリフォームの溝部の上あるキャパシタ材料5の上面25に接触する。
【0073】
図示しない実施形態では、更に同一の第3プリフォームが第1プリフォームに配置されるため、第3プリフォームの非絶縁性素子23’が第1プリフォームの溝部の上にあるキャパシタ材料5の上面25に接触する。
【0074】
図示されていない更なる実施形態は、第2プリフォーム及び第3プリフォームにプリフォーム41の追加の層を配置することによって形成されてもよい。追加の層は、例えば、それぞれ1つ又は一連のプリフォームを備えている独立した支持基材又はウェブを互いに重ねて配置し、又は一連のプリフォームを備えている単体の支持基材を自らの周りに巻き取る又は圧延するなどの、任意の適切な手段によって提供されてもよい。
【0075】
任意で、プリフォーム41の非絶縁性素子23は、溝部のキャパシタ材料と接触させるときに効果的な接触を確実にするために、二次的なキャパシタ材料で被覆されてもよい。同様に、他の実施形態の非絶縁性素子23も、同じ理由で二次的なキャパシタ材料で被覆されてもよい。いずれの場合も、非絶縁性素子23とキャパシタ材料との接触は、キャパシタ材料5、二次的なキャパシタ材料、又はその両方が適切な粘度のゲル又は液体である場合に、特に効果的であってもよい。従って、エネルギ貯蔵装置21の組み立て、又はプリフォーム41の積層、巻き取り、又は圧延により、誘電体の適合性を得ることが可能で、エアポケットを除く2つのキャパシタ材料の層の間に密接な接触又はシールを形成し、得られる静電容量を最大化する。
【0076】
図1~
図7、
図9a、及び
図9bに示される実施形態では、エネルギ貯蔵装置のキャパシタは、溝部の面の金属被膜間の領域と基材表面の金属被膜及び非絶縁性素子23の間の領域とに離散的なキャパシタを形成する単体のキャパシタ材料5を使用する。電気的に分離された2つ又は2つよりも多い離散的なキャパシタ材料の他の配置も、本発明の範囲内で採用されてもよい。
【0077】
図8は、本発明のエネルギ貯蔵装置21の電気回路
図33である。回路
図33は、キャパシタ35a,35b,35cを示す。典型的には、本発明のエネルギ貯蔵装置は、第1静電容量領域に作成された第1キャパシタ35aに電気的な負荷をかける。この配置では、第1キャパシタ35aは、溝部の第1表面及び第2表面の金属被膜7の両方とともにキャパシタ材料5を備え、他のキャパシタ35b,35cと並列に配置されている。第2キャパシタ35b及び第3キャパシタ35cは、第2静電容量領域及び第3静電容量領域に対応し、個別に、第1基材表面部の金属被膜7及び第2基材表面部の金属被膜7の一方と非絶縁性素子23とともにキャパシタ材料5を備える。
【0078】
特定の実施形態に関する上記の説明は例示に過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図していないことが理解されるだろう。多くの変更が、想定され、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0079】
金属被膜7は、導電性であってもよい。金属被膜7は、アルミニウム、ビスマス、カドミウム、クロム、銅、ガリウム、金、インジウム、鉛、マグネシウム、マンガン、サマリウム、スカンジウム、銀、スズ、亜鉛、テルビウム、セレン、モリブデン、イットリウム、ホルミウム、カルシウム、ニッケル、タングステン、白金、パラジウム、バナジウムのうちの1つ又は複数を備えてもよい。代替的な実施形態では、非絶縁性材料の被膜は、金属の代わりに炭素であってもよい。
【0080】
溝付き層は、硬化性樹脂、特に紫外線硬化性樹脂を備えてもよい。支持層は、ポリマーを備えてもよい。合わせて、支持基材又はウェブは、ポリ塩化ビニル(PVC)に被覆されたアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)に被覆されたアクリル樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)に被覆されたアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)に被覆されたバイオポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)に被覆されたバイオポリマー、及びポリエチレンナフタレート(PEN)に被覆されたバイオポリマーのうちの1つ又は複数を備えてもよい。
【0081】
キャパシタ材料は、スーパーキャパシタ材料であってもよい。キャパシタは、誘電体材料又は絶縁体材料であってもよく、及び/又は、誘電体材料又は絶縁体材料と呼ばれてもよい。絶縁体は、典型的には、電気絶縁体材料である。
【0082】
キャパシタ材料は、金属/混合金属酸化物(酸化アルミニウム、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム亜鉛、チタン酸ストロンチウム亜鉛、五酸化ニオブ、チタン酸ジルコニウム鉛、五酸化タンタル、酸化ニオブ亜鉛、ニオブ酸マグネシウム、酸化タンタル亜鉛、酸化タンタルマグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸バリウムストロンチウムなど)、有機ポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(フッ化ビニリデン)、及びクロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロフルオロエチレンのうちの1つ又は複数を有するフッ化ビニリデンの共重合体など)、セルロース、及びセルロース誘導体(例えば、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、アルキルシリルセルロース、シアノアルキル化セルロース、アルキル化セルロースなど)のうちの1つ又は複数を材料として形成されてもよい。
【0083】
キャパシタ材料は、上記のポリマーのいずれかと、5nm以上1μm以下の大きさの上記の金属酸化物の1つ又は複数の粒子との複合体を備えてもよい。
【0084】
キャパシタ材料は、上記のポリマーのいずれかと、上記の金属酸化物の1つ又は複数のナノ粒子との複合体を備えてもよい。特定の実施形態では、キャパシタ材料は、塩類溶液を備え、塩類は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、水酸化カリウム、アルキルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、アルキルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、アルキルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、アルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、アルキルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、アルキルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、アルキルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、アルキルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、及び硫酸塩又はアジピン酸塩のうちの1つ又は複数である。本発明の特定の実施形態では、他の適切な塩類溶液が使用されてもよい。
【0085】
キャパシタ材料は、絶縁性骨格の中にイオン(溶液中の他の材料の塩類)溶液を備えてもよい。塩類は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、アルキルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、アルキルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、アルキルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、アルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、アルキルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、アルキルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、アルキルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、アルキルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、硫酸、又はアジピン酸のうちの1つ又は複数である。特定の実施形態では、骨格は、絶縁性ナノ粒子(例えば、酸化ケイ素など)、高誘電性ナノ粒子、多孔質ポリマー、又はイオン溶液を受け入れる任意の絶縁媒体から形成されてもよい。このような実施形態では、非絶縁性電極がキャパシタ材料の上面に支持されることができるように、イオン溶液は、好ましくは、適切な粘度のゲル又は液体の形態である。
【0086】
塩類溶液は、水、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ガンマブチロラクトン、エチレングリコール、及びプロピレングリコールのうちの1つ又は複数の溶媒、及び/又は、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルアルコール)のうちの1つ又は複数のポリマーを備えても良い。このような実施形態では、塩類溶液は、好ましくは、非絶縁性電極がキャパシタ材料の上面に支持されることができるように、適切な粘度のゲル又は液体の形態である。
【0087】
【0088】
溝部は、任意の断面形状であってもよく、対称のV字形であってもよく、非対称のV字形であってもよい。溝部は、V字形、円形、又は四角形であってもよい。
【0089】
溝部の第1表面は、溝部の第2表面より長くてもよいし、又は、溝部の第2表面は、溝部の第1表面より長くてもよい。
【0090】
溝部の第1表面は、支持層29からの法線に対して第1角度をなし、溝部の第2表面は、基材からの法線に対して第2角度をなしていてもよく、第1角度及び第2角度は、25°以上90°以下である。第1角度と第2角度とは、異なっていてもよい。
【0091】
溝部の経路は、溝付き層内で延びてジグザグの形状を形成してもよいし、直線的、曲線的、又は任意のその他の適切な形状であってもよい。
【0092】
溝部は0.3mから200mまでの長さであってもよく、通常は3mから300mまでの長さであってもよい。各溝部は、典型的には100mを超える長さであり、任意には1000mを超える長さであり、通常は5000mを超える長さであり、10000mを超える長さであってもよい。各溝部は、典型的には0.3μmから100μmまでの幅であり、通常0.3μmから10μmまでの幅である。より具体的には、溝部の幅は、1μmから5μmまでの幅である。
【0093】
特定の実施形態では、各溝部又は並列に電気的に接続された一連の溝部は、100000000mまでの有効な長さを有してもよい。
【0094】
上及び下、上側及び下側、及びその他の相対的な方向性を示す用語は、特に明記されていない限り、適宜決定される。