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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】二次電池の情報出力システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230921BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230921BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230921BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20230921BHJP
   G06Q 10/30 20230101ALI20230921BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/16
G06Q10/30
H01M10/42 Z
H02J7/00 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022113502
(22)【出願日】2022-07-14
【審査請求日】2023-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595098011
【氏名又は名称】東洋システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】庄司 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】丹野 諭
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/024500(WO,A1)
【文献】再公表特許第2019/131824(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H01M 10/42 - 10/48
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60W 20/00
G06Q 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが使用する二次電池の劣化状態の指標値の時系列に応じて定まる当該二次電池のある時点における劣化速度と、当該二次電池の使用予定期間における想定の劣化速度である想定劣化速度との対比結果に応じた所定情報を出力インターフェースに出力させる二次電池の情報出力システムであって、
前記想定劣化速度は、前記二次電池をあらかじめ定められた予定時点まで使用した後に当該二次電池を前記ユーザーが希望する希望売却額で売却するために下回るべき劣化速度であり、
前記二次電池の劣化速度が前記想定劣化速度以上である場合に出力される前記所定情報は、当該二次電池の劣化速度を遅くする使用方法による使用を促す情報又は前記予定時点よりも前に当該二次電池を売却することを促す情報を含む
ことを特徴とする二次電池の情報出力システム。
【請求項2】
請求項に記載の情報出力システムにおいて、
前記二次電池の前記ある時点における劣化速度は、前記指標値の時系列に基づく、当該二次電池の劣化状態の時系列を表す第1の近似曲線によって定まり、
前記想定劣化速度は、前記使用予定期間中の時間の経過に伴う前記二次電池の劣化状態の進み具合の想定される傾向を表す第2の近似曲線によって定まり、
前記所定情報の内容は、前記ある時点における前記第1の近似曲線の変化率と、当該ある時点に対応する時点における前記第2の近似曲線の変化率との対比結果に応じて定まる
ことを特徴とする二次電池の情報出力システム。
【請求項3】
請求項に記載の情報出力システムにおいて、
前記二次電池は、電動機器に搭載されており、
前記電動機器は、前記二次電池が搭載されて、前記予定時点に当該電動機器の販売者が当該電動機器を買い戻しする条件で前記ユーザーに販売された電動機器であり、
前記ある時点における劣化速度が前記想定劣化速度以上である場合に出力される前記所定情報は、前記二次電池の当該時点における劣化速度に応じて定まる、当該電動機器の買戻し時の予想価格の情報を含む
ことを特徴とする二次電池の情報出力システム。
【請求項4】
請求項に記載の情報出力システムにおいて、
前記電動機器は、ハイブリッド車両又は電動車両である
ことを特徴とする二次電池の情報出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の情報を出力するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
発明者らは、車両販売システムについて特許を取得している(特許文献1参照)。特許文献1の発明によれば、車両に搭載された駆動用バッテリーの劣化度合が定期的に又は不定期的に認識される。なお当該車両は、駆動用バッテリーが所定の劣化度合である車両を所定の期間後に車両販売者に返却して買い戻させることを条件として車両利用者に販売された車両である。
【0003】
そして、駆動用バッテリーの劣化度合が車両の販売時の条件に含まれる所定の劣化度合に所定程度近づいた場合又は劣化度合が所定の劣化度合に達した場合に、車両を車両販売者へと返却することを車両利用者に促す情報が出力される。
【0004】
これにより、所定の劣化状態が近づいたときなどに、車両利用者は車両の返却を促されるので、所定の劣化状態の駆動用バッテリーが搭載された状態で車両を返却することができる可能性が高まり、車両利用者は高い安心感をもって駆動用バッテリーが搭載された車両を利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6788296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電動機器の電力供給源として二次電池が用いられている場合、電動機器の使い方によって当該二次電池の劣化度合いの進み方は大きく異なる。しかし電動機器の利用者は、どのような使い方をすると当該機器に搭載された二次電池の劣化を進めさせてしまうのか、あるいは劣化をあまり進ませずに使い続けることができるのかについて正しい知識を有しているとは限らない。そのため、利用者が意図せずに二次電池の劣化を速めるような機器の使い方を継続してしまい、予定よりも早期に二次電池の交換を余儀なくされることが考えられる。
【0007】
従って、利用者が二次電池の劣化を速めるような機器の使い方をしている場合にはそのこと知らせる情報を、二次電池の劣化が実際に進んでしまう前に出力できることが望まれる。そうすることにより、二次電池の劣化をあまり進ませずに、利用者が二次電池を使い続けることができる可能性が高まるためである。
【0008】
しかしながら、特許文献1の発明では、所定の劣化度合に所定程度近づいた場合又は劣化度合が所定の劣化度合に達した場合に、車両利用者は車両の返却を促されるため、その時にはすでに二次電池の劣化が一定程度進んでしまった状態にある。そのため、二次電池の劣化をあまり進ませずに、利用者が二次電池を使い続けることができる可能性を高める効果が十分ではなかった。
【0009】
そこで本発明は、ユーザーが使用する二次電池の劣化状態に関する情報を効果的に出力することができる二次電池の情報出力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の二次電池の情報出力システムは、
ユーザーが使用する二次電池の劣化状態の指標値の時系列に応じて定まる当該二次電池のある時点における劣化速度と、当該二次電池の使用予定期間における想定の劣化速度である想定劣化速度との対比結果に応じた所定情報を出力インターフェースに出力させる二次電池の情報出力システムであって、
前記想定劣化速度は、前記二次電池をあらかじめ定められた予定時点まで使用した後に当該二次電池を前記ユーザーが希望する希望売却額で売却するために下回るべき劣化速度であり、
前記二次電池の劣化速度が前記想定劣化速度以上である場合に出力される前記所定情報は、当該二次電池の劣化速度を遅くする使用方法による使用を促す情報又は前記予定時点よりも前に当該二次電池を売却することを促す情報を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ユーザーが使用する二次電池の劣化速度と、当該二次電池の想定の劣化速度とが対比された結果に応じた情報が出力インターフェースに出力される。
【0012】
これにより、例えば使用中の二次電池の劣化速度が、あらかじめ想定された想定劣化速度よりも速ければ、あるいは例えばあらかじめ想定された想定劣化速度よりも緩やかであればその旨を知らせる情報をユーザーに知らせることができる。
【0013】
またこれにより、二次電池の劣化をあまり進ませずに、ユーザーが二次電池を使い続けることができる可能性が高まる。
【0014】
このように本発明によれば、ユーザーが使用する二次電池の劣化状態に関する情報を効果的に出力することができる。
【0015】
なお、使用済みの二次電池を廃棄するのではなく、リユースさせるために売買するビジネスが普及しつつある。二次電池のユーザーは、使用済み二次電池を廃棄するのではなく売却することで得られる金銭を、例えば新たな二次電池の購入に充当することができる。この場合、使用後の二次電池をユーザーが希望する金額で売却できる可能性を高めることができればユーザーにとってより望ましい。
【0017】
本発明によれば、二次電池の劣化速度が想定劣化速度以上である場合に、二次電池の劣化速度を遅くする使用方法による使用を促す情報又は予定時点よりも前に二次電池を売却することを促す情報が出力される。なお、想定劣化速度は、二次電池をあらかじめ定められた予定時点まで使用した後に二次電池をユーザーが希望する希望売却額で売却するために下回るべき劣化速度である。
【0018】
すなわち、二次電池の劣化速度が、ユーザー自身が希望する額での二次電池の売却が可能な劣化速度であるかどうかに応じて、上記のような内容の所定情報が決定されて出力されるため、希望売却額での売却を可能とするために、予定時点までの残された期間において、二次電池の劣化をあまり進ませないような使い方をしようというユーザーの動機づけとなる。
【0019】
あるいは、二次電池の劣化をあまり進ませないような使い方をすることが難しいとユーザーが判断するような場合には、ユーザーは予定時点よりも早期に二次電池を売却するので、ユーザーが希望売却額で二次電池を売却できる確実性が高まる。
【0020】
このように本発明によれば、使用後の二次電池をユーザーが希望する金額で売却できる可能性を高めることができる。
【0021】
本発明の二次電池の情報出力システムにおいて、
前記二次電池の前記ある時点における劣化速度は、前記指標値の時系列に基づく、当該二次電池の劣化状態の時系列を表す第1の近似曲線によって定まり、
前記想定劣化速度は、前記使用予定期間中の時間の経過に伴う前記二次電池の劣化状態の進み具合の想定される傾向を表す第2の近似曲線によって定まり、
前記所定情報の内容は、前記ある時点における前記第1の近似曲線の変化率と、当該ある時点に対応する時点における前記第2の近似曲線の変化率との対比結果に応じて定まる
ことが好ましい。
【0022】
本発明によれば、二次電池の劣化速度を定める第1の近似曲線のある時点における変化率及び、当該二次電池の想定劣化度を定める第2の近似曲線の当該ある時点に対応する時点における変化率という具体的な情報の対比結果に応じて定まる所定情報が出力される。
【0023】
これにより、出力される情報に対するユーザーの納得感が高まり、ひいては、二次電池の劣化をあまり進ませずに、ユーザーが二次電池を使い続けることができる可能性をより高めることができる。
【0024】
なお、使用済みの二次電池単体のみならず、二次電池が搭載された状態の電動機器全体をリユースさせるために売買するビジネスも普及しつつある。電動機器のユーザーは、使用済み電動機器を、搭載された二次電池を含めて売却することで得られる金銭を、例えば新たな電動機器の購入に充当することができる。
【0025】
特に、ハイブリッド車両又は電動車両などの、電力により駆動する車両の販売価格には、車両本体の価格だけでなく駆動用バッテリーの価格が含まれている。そのため、これらの車両の販売価格は一般的なエンジン車に比して高額であり、これらの車両のユーザーにとって購入時の大きな負担となっている。使用済みのハイブリッド車両又は電動車両などのユーザーが、これらの車両を売却することで得られる金銭を、新たな車両の購入に充てることができれば、電力により駆動する車両の購入時のユーザーの経済的負担を軽減することができ、併せてこれらの車両の普及にも寄与できる。
【0026】
この場合、使用中の電動機器がいくらで売れるのかをユーザーに知らせることができれば、ユーザーは使用中の電動機器の売り時を判断する機会が与えられるので、より望ましい。
【0027】
本発明の二次電池の情報出力システムにおいて、
前記二次電池は、電動機器に搭載されており、
前記電動機器は、前記二次電池が搭載されて、前記予定時点に当該電動機器の販売者が当該電動機器を買い戻しする条件で前記ユーザーに販売された電動機器であり、
前記ある時点における劣化速度が前記想定劣化速度以上である場合に出力される前記所定情報は、前記二次電池の当該時点における劣化速度に応じて定まる、当該電動機器の買戻し時の予想価格の情報を含む
ことが好ましい。
【0028】
また、本発明の二次電池の情報出力システムにおいて、
前記電動機器は、ハイブリッド車両又は電動車両であってよい。
【0029】
本発明によれば、ハイブリッド車両又は電動車両をはじめとする電動機器の販売者が買い戻しする条件でユーザーに販売された電動機器について、当該電動機器に搭載された二次電池の劣化速度に応じて定まる、買戻し時の予想価格の情報が出力される。
【0030】
これにより、電動機器のユーザーに、使用中の電動機器がいくらで売れるのかを知らせることができる。また、電動機器の買戻し時の価格は、二次電池の劣化速度という具体的な情報も考慮して予想された価格であるので、出力される情報に対するユーザーの納得感が高めることができる。ひいては、二次電池の劣化をあまり進ませないような電動機器の使い方をしようというユーザーの動機づけとなるので、電動機器のユーザーが、使用済み電動機器を売却することで得られる金銭がその分高まるとともに、新たな電動機器の購入により多くの金銭を充当できる可能性も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の二次電池の情報出力システムの全体像の一例を示すブロック図。
図2】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の一例を示すチャート。
図3】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の一例を示すフローチャート。
図4】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の一例を示すフローチャート。
図5】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の一例を示すイメージ図。
図6】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の一例を示すイメージ図。
図7】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の変更例を示すイメージ図。
図8】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の変更例を示すイメージ図。
図9】本発明の二次電池の情報出力システムの処理内容の変更例を示すイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<二次電池の情報出力システムの構成>
まず図1を用いて、本実施形態の二次電池の情報出力システムの構成について説明する。なお同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。
【0033】
本実施形態の二次電池の情報出力システム本体10は例えば、処理機構110と、記憶機構130と、出力インターフェース150と、入力インターフェース170と、を含んで構成される、コンピューターシステムである。
【0034】
処理機構110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイスなどにより構成されている。処理機構110は、一のプロセッサにより構成されてもよく、相互通信可能な複数のプロセッサにより構成されていてもよい。処理機構110は、例えば記憶機構130から所定のプログラムを読み込んで実行することにより、後述する各処理を実行する。
【0035】
処理機構110は、ユーザーが使用する二次電池310の劣化状態の指標値の時系列に応じて定まる当該二次電池310のある時点における劣化速度と、当該二次電池310の使用予定期間における想定の劣化速度である想定劣化速度との対比結果に応じた所定情報を出力インターフェース150に出力させる。
【0036】
なお、処理機構110自体が所定情報を生成して出力インターフェース150に出力させるように構成されていてもよく、図示しない外部コンピューターなどで生成された情報を、入力インターフェース170を介して受け付けて、所定情報の一部または全部として用いて出力インターフェース150に出力させるように構成されていてもよい。
【0037】
記憶機構130は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成されており、処理機構110による処理に必要な情報及び処理結果などを記憶している。
【0038】
すなわち例えば処理機構110自体が所定情報を生成して出力インターフェース150に出力させるように構成されている場合には、二次電池310の劣化状態の指標値の時系列、第1の近似曲線の情報、第2の近似曲線の情報などを記憶している。
【0039】
あるいは所定情報の一部または全部を図示しない外部コンピューターなどが生成する場合にはこれらの情報の一部または全部が当該外部コンピューターに記憶される。
【0040】
出力インターフェース150は、例えば所定情報を文字又は画像等の形式で表示することにより出力するディスプレイ装置である。あるいは例えば出力インターフェース150は、所定情報を音で出力するスピーカー、所定情報を振動により出力するバイブレーターであってもよい。
【0041】
入力インターフェース170は、情報出力装置の処理に必要な情報の入力を受け付ける、通信機構であるが、必要に応じてたとえばキーボード、マウス、タッチパッド又はタッチパネルその他のポインティングデバイスを含んで構成されてもよい。
【0042】
入力インターフェース170は例えば、図1に示すように、電動機器30に接続されて、情報出力装置の処理に必要な情報の入力を、当該電動機器30に搭載された二次電池310から受け付ける。情報出力装置の処理に必要な情報とはたとえば、ユーザーが使用する二次電池310の劣化状態の指標値の情報である。
【0043】
また二次電池310の劣化状態の指標値とは、例えば二次電池310の、初期の内部抵抗値に対する内部抵抗値の増加率又は増加量、初期の放電容量に対する放電容量の低下率又は低下量、SOH(State Of Health)の低下率又は低下量、充電容量に対する放電容量の割合の値である充放電効率の低下率又は低下量であるが、これに限定されない。
【0044】
電動機器30は、例えば電力により駆動する車両、定置用電源システムのほか、二次電池310から供給される電力により稼働する種々の機器であってよい。
【0045】
電動機器30に搭載される二次電池310は、例えばリチウムイオン電池であるが、ニッケルニカド電池、鉛電池などの、充放電を繰り返すことにより電源として反復的に利用できるあらゆる電池であってよい。
【0046】
<処理の概要>
次に、本実施形態の情報出力システムの処理内容について説明する。まず図2を参照して、本実施形態の情報出力システムによる一連の処理の流れについて説明する。図2は、情報出力システムによる処理の流れを示すチャートである。情報出力システムは、ユーザーが使用する二次電池310のユーザーが使用する二次電池310の劣化状態の指標値の時系列を取得する二次電池情報取得処理(図2/S10)を定期的に又は不定期的に、二次電池310が使用されている間に繰り返して実行する。
【0047】
そして情報出力システムは、定期的に又は不定期的に、あるいはユーザーによる所定情報の出力を求める操作に応じて、対比処理(図2/S30)、所定情報決定処理(図2/S50)、出力処理(図2/S70)を行うことで、所定情報を出力する。以下、個々の処理の内容について、図3図7を用いて説明する。
【0048】
<二次電池情報取得処理>
二次電池情報取得処理において処理機構110は、ユーザーが使用する二次電池310の劣化状態の指標値を取得する(図3/S101)。処理機構110はまず、二次電池310の劣化状態の指標値の元となる情報として例えば二次電池310の電流値、電圧値、周辺の温度の情報のほか、二次電池310の劣化状態の指標値を決定するために求められる情報を取得する。
【0049】
二次電池310の電流値、電圧値、周辺の温度の情報は、それぞれ例えば電流計、電圧計、温度計などの周知のセンサーを用いて取得される。処理機構110は、入力インターフェース170を介して、これらの情報の入力を受け付ける。
【0050】
あるいは処理機構110は、当該センサー等を用いて別途取得されたこれらの情報を、入力インターフェース170を介して、記憶媒体から読み込むことで入力を受け付けてもよく、外部コンピューターなどから有線又は無線の通信を介して受信することで入力を受け付けてもよい。
【0051】
そして処理機構110は、このようにして取得した情報に基づいて、二次電池310の劣化状態の指標値である、内部抵抗値の増加率、SOHの値などを取得する。
【0052】
二次電池310の劣化指標値は例えば、電流値、電圧値、周辺の温度の情報(必要に応じていずれかの情報が省略されてもよい。以下同じ。)と劣化指標値との対応関係を示す対応テーブル、電流値、電圧値、周辺の温度の情報を入力として、劣化指標値を出力とする関数、計算式、学習済みモデルなどの、任意の種々の手法を用いて決定されてよい。
【0053】
そして処理機構110は、取得した劣化状態の指標値を、記憶機構130に時系列的に記憶する(図3/S103)。当該処理が定期的に又は不定期的に繰り返されることにより、ユーザーが使用する二次電池310の劣化状態の指標値の時系列が取得される。
【0054】
なお二次電池310の劣化状態の指標値の元となる情報には、二次電池310の劣化状態に影響を与える、二次電池の使用状態の情報が含まれていてもよい。
【0055】
使用状態の情報とは、電動機器30がハイブリッド車両又は電動車両などの、電力により駆動する車両(2輪車両、4輪車両のほか、その他の種々の形態の車両を含む。以下同じ。)であれば例えばブレーキ、アクセルの踏み具合、ギアが何速に入っているか、速度、XYZ方向の向き、位置、高度、エアコンの動作有無及び設定温度、充放電の回数、充電のうち急速充電が行われた回数あるいは割合などである。あるいは例えば電動機器30が定置用電源システムであれば環境温度、湿度、気象情報、位置、振動などが使用状態の情報に含まれてよい。これらの情報は、周知の種々のセンサー等を用いて取得される。
【0056】
<対比処理>
対比処理は、劣化状態の指標値の時系列に応じて定まる当該二次電池310のある時点における劣化速度と、当該二次電池310の使用予定期間における想定の劣化速度である想定劣化速度との対比を行う処理である。なお、二次電池310の使用予定期間とは、当該二次電池310をユーザーが購入してから、当該二次電池310の使用を終えることを予定しているときまでの期間であり、その長さは例えば3年間など、二次電池310のユーザー又は販売者などによって任意に設定されてよい。
【0057】
処理を開始すると処理機構110は、記憶機構130に記憶されている、ユーザーが使用する二次電池310の劣化状態の指標値の時系列の情報を読み込む(図4/S301)。このときに処理機構110は、記憶機構130に記憶されている二次電池310の劣化状態の指標値の時系列の情報のうち、過去のすべての情報を読み込んでもよいし、例えば直近あるいは特定の数か月、数週間、数日、数時間などの、所定の期間の情報を読み込んでもよい。
【0058】
そして処理機構110は、このようにして読み込んだ二次電池310の劣化状態の指標値の時系列の情報を用いて、当該二次電池310のある時点における劣化速度を定めるための情報を生成する(図4/S303)。
【0059】
処理機構110は、当該二次電池310のある時点における劣化速度を定めるための情報として例えば、二次電池310の劣化状態の指標値の時系列の情報を用いて、当該二次電池310の劣化状態の時系列を表す近似曲線(第1の近似曲線)を示す関数を生成する。
【0060】
図5は、対比処理の処理内容を示すイメージ図である。図5においては、二次電池310の使用開始時点T0から第1時点T1までの期間の、当該二次電池310の劣化状態の指標値の時系列の情報に基づいて生成された関数により示される第1の近似曲線L1が示されている。図5の縦軸は二次電池310の劣化状態を示しており、上側ほど劣化が進んでおらず、下側ほど劣化が進んだ状態を示している。また横軸は、時間の経過を示している。また、使用開始時点T0から、使用終了の予定時点TWまでの期間が二次電池310の使用予定期間である。
【0061】
なお近似曲線には、図5の示すような滑らかなカーブを描く曲線だけでなく、折れ線及び直線も含まれる(以下同じ。)。
【0062】
そして処理機構110は、このようにして得られた第1の近似曲線L1を用いて、劣化速度を求める対象となる時点の、当該第1の近似曲線L1の変化率を算出する。第1の近似曲線L1の変化率とはより具体的には、第1の近似曲線L1の当該時点における時間微分値、すなわち当該時点における第1の近似曲線L1の傾きの値である。処理機構110はこのようにして得られた第1の近似曲線L1の傾きを、二次電池310の劣化速度として決定する(図4/S305)。
【0063】
図5においては、第1の近似曲線L1の第1時点T1における傾きを劣化速度として定め、第1時点T1における第1の近似曲線L1の傾きを表す線S1を得た状態が示されている。
【0064】
なお処理機構110は、一つの時点(例えばT1)の近似曲線の傾きの値を用いて当該二次電池310の劣化速度を定めてもよいし、複数時点(T1を含んでも含まなくともよい)の近似曲線の傾きの値を用いて当該二次電池310の劣化速度を定めてもよい。すなわち例えば、あらかじめ定められた複数時点の近似曲線の傾きの値を算出したうえで、これらのうちから、最も傾きの急な時点、最も傾きの緩やかな時点、傾きの中央値を示した時点、あるいは傾きの平均値を示した時点の傾きの値を、当該二次電池310の劣化速度に定めてもよい。
【0065】
このように「ある時点」とは、ユーザーが使用する二次電池310の劣化状態の指標値が取得された期間における、あらかじめ定められた時点であってよい。あるいは例えばある時点は、二次電池310のユーザー又は販売者により決定されて、入力インターフェースを介して入力された任意の時点でありうる。当該任意の時点は例えば、使用終了の予定時点TWの1年前、数か月前などの、使用終了の予定時点TWを起点として所定期間だけ遡った時点であってよい。
【0066】
そして処理機構110は、例えば二次電池310の使用予定期間中の想定劣化速度を定める情報を記憶機構130から読み込む(図4/S307)。このときに処理機構110が読み込む情報は例えば、二次電池310の使用予定期間中の時間の経過に伴う二次電池310の劣化状態の進み具合の想定される傾向を表す近似曲線(第2の近似曲線)を示す関数の情報である。
【0067】
図6は、対比処理の処理内容を示すイメージ図である。図6においては、第2の近似曲線L2を第1の近似曲線L1と重ね合わせた状態が示されている。第2の近似曲線L2は、使用予定期間中の各時点における二次電池310の想定される劣化状態の高さを示すとともに、各時点における想定劣化速度を示している。
【0068】
第2の近似曲線L2は例えば、処理対象の二次電池310と同一、同種又は類似の複数の二次電池310の劣化状態の指標値の時系列を収集して分析することにより決定され、あらかじめ記憶機構130に記憶されている。あるいは第2の近似曲線L2は例えば、二次電池310の製造元、販売者、ユーザーなどの経験則により定められていてもよい。
【0069】
そして処理機構110は、第2の近似曲線L2を用いて、上記の「ある時点」に対応する時点における第2の近似曲線L2の変化率を算出する。このとき処理機構110は、第1の近似曲線L1から、劣化速度を求める対象となる時点の、当該第1の近似曲線L1の変化率を算出するのと同じ手法を用いて、ある時点に対応する時点における第2の近似曲線L2の変化率を算出する。処理機構110はこのようにして得られた第2の近似曲線L2の変化率を、想定劣化速度として決定する(図4/S309)。
【0070】
図6においては、第2の近似曲線L2の第1時点T1における傾きを劣化速度として定め、第1時点T1における第2の近似曲線L2の傾きを表す線S2を得た状態が示されている。
【0071】
その後に処理機構110は、上記のようにして得られた二次電池310のある時点における劣化速度と、当該時点に対応する時点の想定劣化速度とを対比する(図4/S311)。すなわち処理機構110は、第1時点T1における第1の近似曲線L1の傾きを表す線S1が示す傾きの大きさと、第1時点T1における第2の近似曲線L2の傾きを表す線S2が示す傾きの大きさとを対比する。処理機構110による当該対比結果は、例えば第1時点T1における第1の近似曲線L1の傾きの大きさを示す値と、第1時点T1における第2の近似曲線L2の傾きの大きさを示す値との差分、又はこれらの値の比率(前者に対する後者の割合。)としてあらわされる。
【0072】
図6に示す例においては、第1時点T1における第1の近似曲線L1の傾きを表す線S1が示す傾きは、第1時点T1における第2の近似曲線L2の傾きを表す線S2が示す傾きよりも緩やかであり、第1時点T1における二次電池310の劣化速度は、想定劣化速度よりも遅い状態となる。
【0073】
処理機構110は、例えば当該対比結果に基づいて、二次電池310の劣化速度が想定劣化速度よりも速いか遅いか、速度の差異の程度(例えば、何%速い又は遅い)などの、劣化速度と想定劣化速度との対比結果の情報を決定して(図4/S313)対比処理を終了する。
【0074】
<所定情報決定処理>
処理を開始すると処理機構110は、対比処理の結果の情報を取得して(図7/S501)、当該取得した情報に応じた所定情報を決定する(図7/S503)。処理機構110は、取得した対比結果の情報が「想定劣化速度よりも遅い」であれば、想定劣化速度よりも遅いことを知らせる情報を、所定情報として決定する。あるいは処理機構110は、読み込んだ対比結果に応じて、「想定劣化速度よりも速い」、「想定速度と同程度(例えば2~5%の差に収まるなど)」、「想定速度よりも何%速い(又は遅い)」、「想定速度の傾きよりも傾きが1大きい(又は小さい)」ことを知らせる情報を、所定情報として決定する。あるいは処理機構110は、二次電池310の劣化速度と想定劣化速度とのそれぞれを、当該速度の速さを示すレベル(例えばレベル1~5)などを当該速度とレベルとの対応関係を示す情報を用いて、所定情報として決定するように構成されていてもよい。
【0075】
なお処理機構110は、例えば劣化速度が想定劣化速度を少しでも上回って(あるいは下回って)いれば、劣化速度が想定劣化速度を上回っている(あるいは下回っている)と判定するように構成されていてもよく、当該判定に幅を持たせるように構成されていてもよい。すなわち例えば、劣化速度が想定劣化速度を上回っている程度があらかじめ定められた許容範囲(想定劣化速度の+2%など。当該値は任意に設定されてよい。)に収まるか否かを判定し、当該許容範囲に収まると判定された場合には、劣化速度は想定劣化速度を上回っていないと判定するように構成されていてもよい。
【0076】
<出力処理>
処理を開始すると処理機構110は、所定情報決定処理で決定した所定情報を認識して、当該認識した所定情報を出力インターフェースである例えばディスプレイに表示することにより出力して、一連の処理を終了する。
【0077】
処理機構110は、所定情報として例えば、「二次電池の劣化速度が、想定劣化速度よりも速いです。」という文字をディスプレイに表示してもよいし、あるいは当該文字に加えて又は替えて、例えば図6に示したようなグラフを実際に描画して、ディスプレイに表示してもよい。
【0078】
これにより、例えば使用中の二次電池310の劣化速度が、あらかじめ想定された想定劣化速度よりも速ければ、あるいは例えばあらかじめ想定された想定劣化速度よりも緩やかであればその旨を知らせる情報をユーザーに知らせることができる。
【0079】
またこれにより、二次電池310の劣化をあまり進ませずに、ユーザーが二次電池310を使い続けることができる可能性が高まる。
【0080】
このように本発明によれば、ユーザーが使用する二次電池310の劣化状態に関する情報を効果的に出力することができる。
【0081】
以上、本実施形態の情報出力システムの処理の流れについて説明したが、これに限定されない。本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下において、本発明の変更実施形態について説明する。
【0082】
<変更実施形態1>
図8を用いて、変更実施形態1について説明する。図8は、本変更実施形態における対比処理の処理内容を示すイメージ図である。図8においては、
・二次電池310の使用開始時点T0から第2時点T2までの期間の、当該二次電池310の劣化状態の指標値の時系列に基づいて生成された関数により示される第1の近似曲線L12
・第1の近似曲線L12の第2時点T2における傾きを劣化速度として定めて得られた、第2時点T2における第1の近似曲線L12の傾きを表す線S12
・第2の近似曲線L2
・第2の近似曲線L2の第2時点T2における傾きを劣化速度として定めて得られた、第2時点T2における第2の近似曲線L2の傾きを表す線S22
が示されている。
【0083】
また本実施形態において、想定劣化速度、すなわち第2の近似曲線L2の各時点における傾きは、二次電池310をあらかじめ定められた予定時点TXまで使用した後に当該二次電池310をユーザーが希望する希望売却額で売却するために下回るべき劣化速度である。図8の右側の縦軸は二次電池310の劣化状態に応じた想定の売却額を示しており、上側ほど高い金額で売却が可能であり、下側ほど低い金額での売却となる状態を示している。本実施形態においては、希望売却額は25万円である。また、図8においては、使用開始時点T0から、予定時点TXまでの期間が二次電池310の使用予定期間である。
【0084】
図8に示す例においては、第2時点T2における第1の近似曲線L12の傾きを表す線S12の傾きは、第2時点T2における第2の近似曲線L2の傾きを表す線S22の傾きよりも急であるので、第2時点T2における二次電池310の劣化速度は、想定劣化速度よりも速い状態となる。
【0085】
処理機構110は、対比処理において、このままの劣化速度が継続された場合、二次電池310の劣化状態が、第2の近似曲線L2が示す劣化状態を下回ってしまい、結果として、予定時点TXまで使用した後に当該二次電池310をユーザーが希望する希望売却額で売却することができない可能性があると判定する。
【0086】
この場合に処理機構110は、所定情報決定処理において、当該二次電池310の劣化速度を遅くする使用方法による使用を促す情報又は予定時点TXよりも前に当該二次電池310を売却することを促す情報を、所定情報として決定する。そして出力処理において、当該決定された所定情報がユーザーに向けて出力される。
【0087】
なお、処理機構110は、
処理機構110は、所定情報として例えば、「バッテリーの劣化状態の進みが速いです。予定時点まで使用後にバッテリーを希望売却額(25万円)で売却することができない可能性があります。」という文字と、「バッテリーの劣化状態の進みを緩やかにするために、電力の使い方を見直してみませんか。」又は「バッテリーを希望売却額(25万円)で売却することをご希望の場合は、予定よりもお早めにバッテリーを下取りに出すことをお勧めします。」という文字と、をディスプレイに表示してもよいし、あるいは当該文字に加えて、例えば図8に示したようなグラフを実際に描画して、ディスプレイに表示してもよい。
【0088】
すなわち、二次電池310の劣化速度が、ユーザー自身が希望する額での二次電池310の売却が可能な劣化速度であるかどうかに応じて、上記のような内容の所定情報が決定されて出力されるため、希望売却額での売却を可能とするために、予定時点までの残された期間において、二次電池310の劣化をあまり進ませないような使い方をしようというユーザーの動機づけとなる。
【0089】
あるいは、二次電池310の劣化をあまり進ませないような使い方をすることが難しいとユーザーが判断するような場合には、ユーザーは予定時点よりも早期に二次電池310を売却するので、ユーザーが希望売却額で二次電池310を売却できる確実性が高まる。
【0090】
なお例えば処理機構110は、対比処理において、第2時点T2における二次電池310の劣化速度が、想定劣化速度よりも速い状態であっても、このままの劣化速度が継続された場合に、二次電池310の劣化状態が、第2の近似曲線L2が示す劣化状態を下回ることはないと判定した場合には、二次電池310の劣化速度を遅くする使用方法による使用を促す情報又は予定時点よりも前に当該二次電池310を売却することを促す情報に代わる情報を所定情報として決定するように構成されていてもよい。
【0091】
すなわち例えば処理機構110はこの場合に、二次電池310の劣化速度は想定劣化速度よりも速いがこのまま予定時点TXまで使用を続けても希望売却額で売却することができる見込みであることを示す情報を所定情報として決定し、出力インターフェースに出力するように構成されていてもよい。
【0092】
<変更実施形態2>
図9を用いて、変更実施形態2について説明する。図9は、本変更実施形態における対比処理の処理内容を示すイメージ図である。
【0093】
なお本実施形態において電動機器30は、二次電池310が搭載されて、予定時点TYに電動機器30の販売者が電動機器30を買い戻しする条件でユーザーに販売された電動機器30である。特に、電動機器30が電動車両である場合について説明するが、電動機器30は例えばハイブリッド車であってもよい。
【0094】
図9においては、
・二次電池310の使用開始時点T0から第3時点T3までの期間の、当該二次電池310の劣化状態の指標値の時系列に基づいて生成された関数により示される第1の近似曲線L13
・第1の近似曲線L12の第3時点T3における傾きを劣化速度として定めて得られた、第3時点T3における第1の近似曲線L13の傾きを表す線S13
・第2の近似曲線L2
・第2の近似曲線L2の第3時点T3における傾きを劣化速度として定めて得られた、第3時点T3における第2の近似曲線L2の傾きを表す線S23
が示されている。
【0095】
図9の右側の縦軸は電動車両に搭載された二次電池310の劣化状態に応じた、当該電電動車両の買戻し時の予想価格である。上側ほど高い金額で売却が可能であり、下側ほど低い金額での売却となる状態を示している。
【0096】
本実施形態において当該予想価格は、予定時点TYにおける、車両本体の買戻し価格の予想額(例えば90万円。)と、二次電池310の買戻し価格の予定額(劣化状態に応じて50万円~5万円。)とを合算した金額が設定されている。なおこれらの金額は、例えばユーザーに当該電動車両が販売される際などに、電動車両の販売者等により任意に設定される。また、図9においては、使用開始時点T0から、予定時点TYまでの期間が二次電池310(及び車両自体)の使用予定期間である。
【0097】
図9に示す例においては、第3時点T3における第1の近似曲線L13の傾きを表す線S13の傾きは、第3時点T3における第2の近似曲線L2の傾きを表す線S23の傾きよりも急であるので、第3時点T3における二次電池310の劣化速度は、想定劣化速度よりも速い状態となる。
【0098】
処理機構110は対比処理において、第3時点T3における二次電池310の劣化速度が想定劣化速度以上であると判定する。そして処理機構110は所定情報決定処理において、第3時点T3における二次電池310の劣化速度に基づいて、当該電動車両の買戻し時の予想価格を決定する。
【0099】
処理機構110は例えば、第3時点T3における二次電池310の劣化速度に基づいて、所定のアルゴリズムにより二次電池310の買戻し価格の予定額を決定して、当該決定した金額と車両本体の買戻し価格の予想額とを合算することにより、当該電動車両の買戻し時の予想価格を決定する。図9に示す例における電動車両の買戻し時の予想価格は、例えば95万円(=車両本体90万円+二次電池5万円)となる。
【0100】
この場合に処理機構110は、所定情報決定処理において、電動機器の買戻し時の予想価格が95万円であることを示す情報を、所定情報として決定する。そして出力処理において、当該決定された所定情報がユーザーに向けて出力される。
【0101】
処理機構110は、所定情報として例えば、「劣化状態の進みが速いです。お車の買戻し時の予想価格は95万円です。」という文字をディスプレイに表示してもよいし、あるいは当該文字に加えて又は替えて、例えば図9に示したようなグラフを実際に描画して、電動機器の買戻し時の予想価格の情報とともにディスプレイに表示してもよい。
【符号の説明】
【0102】
10…情報出力システム本体、30…電動機器、110…処理機構、130…記憶機構、150…出力インターフェース、170…入力インターフェース、310…二次電池。
【要約】
【課題】ユーザーが使用する二次電池の情報を効果的に出力することができる二次電池の情報出力システムを提供する。
【解決手段】 本発明の二次電池の情報出力システムはユーザーが使用する二次電池の劣化状態の指標値の時系列に応じて定まる当該二次電池のある時点における劣化速度と、当該二次電池の使用予定期間における想定の劣化速度である想定劣化速度との対比結果に応じた所定情報を出力インターフェースに出力させることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9