(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】プロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230921BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H01L21/302 105Z
H05H1/46 A
H01L21/302 101H
(21)【出願番号】P 2022513437
(86)(22)【出願日】2020-02-29
(86)【国際出願番号】 CN2020077316
(87)【国際公開番号】W WO2021134892
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-04-24
(31)【優先権主張番号】201911413552.4
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519453825
【氏名又は名称】江蘇魯▲もん▼儀器股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU LEUVEN INSTRUMENTS CO. LTD
【住所又は居所原語表記】Liaohe West Road 8, Pizhou Economic Development Zone Xuzhou, Jiangsu 221300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】李 娜
(72)【発明者】
【氏名】胡 冬冬
(72)【発明者】
【氏名】劉 小波
(72)【発明者】
【氏名】劉 海洋
(72)【発明者】
【氏名】程 実然
(72)【発明者】
【氏名】郭 頌
(72)【発明者】
【氏名】呉 志浩
(72)【発明者】
【氏名】許 開東
【審査官】川原 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-356531(JP,A)
【文献】特開2013-179062(JP,A)
【文献】特開2008-047883(JP,A)
【文献】特開2015-023160(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108573891(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110223904(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気フランジ(10)に密接された吸気ノズル(20)を含み、前記吸気ノズル(20)の内部チャンバーには、吸気ガイド本体(30)が設けられ、
前記吸気ガイド本体(30)は、上部構造、中部構造および下部構造を有し、前記上部構造、中部構造および下部構造は一体型の構造であって、いずれも円柱状の形状を呈し、前記上部構造の横断面の直径は、前記中部構造の横断面の直径より小さく、
前記中部構造と前記下部構造との間には、ガス収集エリア(40)が設けられ、前記中部構造と前記下部構造とは、前記ガス収集エリア(40)によって接続されている、プロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項2】
前記吸気ガイド本体(30)の上表面には、少なくとも1つの止まり穴(301)が設けられ、前記止まり穴(301)は前記上部構造の上表面から前記中部構造の内部まで通っており、前記止まり穴(301)の下端は径方向孔(302)の一端と連通しており、前記径方向孔(302)は前記中部構造の上部の外表面に設けられ、前記径方向孔(302)の他端はエッジ溝(303)と連通しており、前記エッジ溝(303)は前記中部構造および前記下部構造の外側面に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項3】
前記上部構造の外側面には、少なくとも1つの上部ガス溝(311)が設けられ、前記上部ガス溝(311)は前記上部構造の外側面において軸方向に設けられ、前記上部ガス溝(311)の底部は、径方向溝(312)の一端に接続されている、ことを特徴とする請求項
1に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項4】
前記径方向溝(312)の他端はねじれ溝(313)に接続され、前記ねじれ溝(313)は前記中部構造の外側面において螺旋状に設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項5】
前記ねじれた溝(313)における螺旋状の巻き数は少なくとも0.5巻きである、ことを特徴とする請求項4に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項6】
前記径方向溝(312)の他端は側壁ガスガイド溝に接続され、前記側壁ガスガイド溝は、複数のガス溝を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項7】
前記側壁ガスガイド溝は、少なくとも1つの右下方向に傾斜したガス溝(322)および少なくとも1つの左下方向に傾斜したガス溝(321)を有し、前記右下方向に傾斜したガス溝(322)と前記左下方向に傾斜したガス溝(321)とは、ガス流の方向にしたがって順番に接続されている、ことを特徴とする請求項6に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項8】
前記側壁ガスガイド溝は、軸方向に真っ直ぐなガス溝(331)、少なくとも1つの右下方向に傾斜したガス溝(322)および少なくとも1つの左下方向に傾斜したガス溝(321)を有する、ことを特徴とする請求項6に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項9】
前記軸方向に真っ直ぐなガス溝(331)は、前記径方向溝(312)の他端に接続され、前記左下方向に傾斜したガス溝(321)と前記右下方向に傾斜したガス溝(322)とは、ガス流の方向にしたがって順番に接続されている、ことを特徴とする請求項8に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【請求項10】
前記吸気フランジ(10)と前記吸気ガイド本体(30)との間には絶縁保護層(50)が設けられている、ことを特徴とする請求項1
~9のいずれか一項に記載のプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマエッチングの技術分野に関し、具体的には、プロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体デバイスの製造工程において、結合窓(coupling window)を徹底的に洗浄するため、静電シールド部品を使用でき、プラズマ処理チャンバー内においてファラデーシールドを使用することにより、チャンバー本体材料に対するプラズマ侵食を減らすことができる。既存技術では、中部セラミック吸気口をファラデーシールドに接続させ、同時に高周波(radio frequency)を供することにより、洗浄プロセスを通じて結合窓および中部セラミック吸気口の両方を徹底的に洗浄できる。しかしながら、高周波電力が最大まで加えられると、洗浄ガスは、吸気通路を通ってチャンバー内に入り、高周波電源の作用下でチャンバー内においてイオン化されてプラズマ流を形成し、その後、吸気孔を通って吸気通路内に逆流する。吸気通路が高周波電力ポイントに近すぎるため、吸気通路内において発火し、吸気ガイド本体が損傷される。したがって、このような方法は使用できない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、既存技術における問題点に鑑みてなされたものであり、プラズマ流が吸気孔を通って吸気通路内に逆流され、吸気通路内において発火してしまい、吸気ガイド本体が損傷される問題を解決できる、プロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置を提供することを目的とする。
本発明に係るプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置は、吸気フランジに密接された吸気ノズルを含み、前記吸気ノズルの内部チャンバーには、吸気ガイド本体が設けられ、
前記吸気ガイド本体は、上部構造、中部構造および下部構造を有し、前記上部構造、中部構造および下部構造は一体型の構造であって、いずれも円柱状の形状を呈し、前記上部構造の横断面の直径は、前記中部構造の横断面の直径より小さく、
前記中部構造と前記下部構造との間には、ガス収集エリアが設けられ、前記中部構造と前記下部構造とは、前記ガス収集エリアによって接続されている。
【0004】
好ましくは、前記吸気ガイド本体の上表面には、少なくとも1つの止まり穴が設けられ、前記止まり穴は前記上部構造の上表面から前記中部構造の内部まで通っており、前記止まり穴の下端は径方向孔(径方向の孔)の一端と連通しており、前記径方向孔は前記中部構造の上部の外表面に設けられ、前記径方向孔の他端はエッジ溝と連通しており、前記エッジ溝は前記中部構造および前記下部構造の外側面に設けられている。
【0005】
好ましくは、前記上部構造の外側面には、少なくとも1つの上部ガス溝が設けられ、前記上部ガス溝は前記上部構造の外側面に配置され、前記上部ガス溝の底部は、径方向溝(径方向の溝)の一端に接続されている。
【0006】
好ましくは、前記径方向溝の他端はねじれ溝に接続され、前記ねじれ溝は前記中部構造の外側面において螺旋状に設けられている。
【0007】
好ましくは、前記ねじれた溝における螺旋状の巻き数は少なくとも0.5巻きである。
【0008】
好ましくは、前記径方向溝の他端は側壁ガスガイド溝に接続され、前記側壁ガスガイド溝は、複数のガス溝を有する。
【0009】
好ましくは、前記側壁ガスガイド溝は、少なくとも1つの右下方向に傾斜したガス溝および少なくとも1つの左下方向に傾斜したガス溝を有し、前記右下方向に傾斜したガス溝と前記左下方向に傾斜したガス溝とは、ガス流の方向にしたがって順番に接続されている。
【0010】
好ましくは、前記側壁ガスガイド溝は、軸方向に真っ直ぐなガス溝、少なくとも1つの右下方向に傾斜したガス溝および少なくとも1つの左下方向に傾斜したガス溝を有する。
【0011】
好ましくは、前記軸方向に真っ直ぐなガス溝は、前記径方向溝の他端に接続され、前記左下方向に傾斜したガス溝と前記右下方向に傾斜したガス溝とは、ガス流の方向にしたがって順番に接続されている。
【0012】
好ましくは、前記吸気フランジと前記吸気ガイド本体との間には絶縁保護層が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の有益な効果を奏する。
本発明では、電子エネルギーをなくし、すなわち、高周波電力を備える吸気フランジに最も近いエリアは、絶縁されて、電気が流れず、高出力部品と連通するパスを形成できない。プラズマが吸気孔を通って吸気通路内に逆流し、吸気通路が高周波電力ポイントに近すぎるため、吸気通路内において発火によって引き起こされる吸気ガイド本体への損傷を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】既存技術に係る吸気ガイド本体の構造を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る吸気ガイド本体の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係る吸気ガイド本体の構造を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る吸気ガイド本体の構造を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る吸気ガイド本体の構造を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態4に係る吸気ガイド本体の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施形態により本発明に係る技術的解決手段について、明確かつ詳細に説明する。
【0016】
図1および
図2に示されるエッチングシステムにおいて、洗浄プロセスが必要とされる場合、上部高周波マッチングデバイス8は、コイル6との接続をオフ(遮断)にし、吸気フランジ10との通路を接続させる。この場合、洗浄ガスは、吸気フランジ10を通って反応チャンバー内に入り、チャンバー内において洗浄プラズマ流にイオン化されて、チャンバー内部および上部の領域を洗浄する。しかしながら、吸気フランジ10は、高出力の洗浄高周波に接続され、かつ、吸気ガイド本体30におけるガス通路343が垂直方向にあるため、チャンバー内において生成されたプラズマは、吸気ノズル20の底部にある排気口を通ってガス通路343内に逆流する可能性が高い。さらに、吸気フランジ10が吸気ガイド本体30の上部に密接されているため、ガス通路343は、吸気フランジ10と連通し、ガスはこの領域において放電され、その結果、ガス通路343内部において高電荷が生成され、吸気ガイド本体を焼損する。上記問題を解決するため、以下では、いくつかの技術的解決手段について説明する。
【0017】
(実施形態1)
図3および4に示されるように、実施形態1に係るプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置は、金属製の吸気フランジ10に密接された吸気ノズル20を含み、吸気ノズル20の内部チャンバーには、吸気ガイド本体30が設けられている。
【0018】
吸気ガイド本体30は、上部構造、中部構造および下部構造を有し、上部構造、中部構造および下部構造は一体型の構造であって、いずれも円柱状の形状を呈し、上部構造の横断面の直径は、中部構造の横断面の直径より小さくなっている。
【0019】
さらに、中部構造と下部構造との間にはガス収集エリア40が設けられ、中部構造と下部構造とは、ガス収集エリア40によって接続されている。
【0020】
プラズマ流が吸気孔を通って吸気通路内に逆流することにより吸気通路内において発火してしまい、吸気ガイド本体が損傷される問題を解決するため、本実施形態において、吸気ガイド本体30の上表面には少なくとも1つの止まり穴301が設けられている。ここで、止まり穴301は、上部構造の上表面の円周に沿って設けられ、上部構造の上表面から中部構造の内部まで加工されている。
【0021】
本実施形態では、さらに、複数の径方向孔302および複数のエッジ溝303を含む。各々の径方向孔302は、中部構造の外表面において径方向に設けられ、1つの止まり穴301の下端と連通し、各々の径方向孔302の他端は、1つのエッジ溝303と連通している。
【0022】
エッジ溝303は、中部構造の外側面に設けられてもよく、ガス収集エリア40を終端とする。
図4に示されるように、エッジ溝303は、また、中間構造および下部構造の外側面に設けられてもよく、中部構造から下部構造まで延伸する。
【0023】
吸気フランジ10と吸気ガイド本体30との間には絶縁保護層50が設けられ、絶縁保護層50によって吸気フランジ10を覆う。絶縁保護層50の材料はプラスチックであり、通常はポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドまたはポリケトンなどである。このような材料は、高電圧に対する絶縁を実現でき、下部の吸気ガイド本体に対する高周波電力の損傷を大幅に減らせる。
【0024】
システムが洗浄プロセスを行う際、洗浄ガスは吸気フランジ10から導入され、吸気ガイド本体30における止まり穴301、径方向孔302およびエッジ溝303を順に通って、最後は、吸気ノズル20底部の排気口から排出される。チャンバー内のプラズマ流が排気口を通って逆流するとき、吸気通路を通ってエッジ溝303に入る必要がある。エッジ溝303の上部が物理的に詰まっているため、この位置において、プラズマ流はエッジ溝303の上部の壁に衝突する可能性が高く、電子は衝突エネルギーとともに徐々に消える。すなわち、高周波電力を備える吸気フランジ10に最も近いエリアは、絶縁されて電気が流れず、高出力部品と連通するパスを形成できないため、吸気ガイド本体30が高熱および高周波の損傷から保護される。
【0025】
(実施形態2)
図5に示されるように、実施形態2に係るプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置は、金属製の吸気フランジ10に密接された吸気ノズル20を含み、吸気ノズル20の内部チャンバーには、吸気ガイド本体30が設けられている。
【0026】
吸気ガイド本体30は、上部構造、中部構造および下部構造を有し、上部構造、中部構造および下部構造は一体型の構造であって、いずれも円柱状の形状を呈し、上部構造の横断面の直径は、中部構造の横断面の直径より小さくなっている。
【0027】
さらに、中部構造と下部構造との間にはガス収集エリア40が配置され、中部構造と下部構造とは、ガス収集エリア40によって接続されている。
【0028】
プラズマ流が吸気孔を通って吸気通路内に逆流することにより吸気通路内において発火してしまい、吸気ガイド本体が損傷される問題を解決するため、本実施形態において、上部構造の外側面には複数の上部ガス溝311が設けられ、複数の上部ガス溝311は、上部構造の外側面において軸方向に設けられ、各々の上部ガス溝311の底部は1つの径方向溝312の一端に接続されている。
【0029】
本実施形態では、さらに、複数の径方向溝312および複数のねじれ溝313を含む。各々の径方向溝312の他端は、ねじれ溝313と連通している。ねじれ溝313は、中部構造の外側面において螺旋状に設けられ、ガス収集エリア40まで延伸している。
【0030】
ねじれ溝313における螺旋状の巻き数は0.5巻き(円周の半分)と設けてもよく、または、加工の難易度およびチャンバー内のガス流の圧力に応じて調整してもよく、螺旋状形状の巻き数を1巻きまたは複数巻きに設けてもよい。
【0031】
吸気フランジ10と吸気ガイド本体30との間には絶縁保護層50が設けられ、絶縁保護層50によって吸気フランジ10を覆う。絶縁保護層50の材料はプラスチックであり、通常はポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドまたはポリケトンなどである。このような材料は、高電圧に対する絶縁を実現でき、下部の吸気ガイド本体に対する高周波電力の損傷を大幅に減らせる。
【0032】
システムが洗浄プロセスを行う際、吸気フランジ10から導入された洗浄ガスは、上部ガス溝311、径方向溝312およびねじれ溝313を順に通って、ガス収集エリア40に集まり、最後は、吸気ノズル20の排気口から排出される。チャンバー内のプラズマ流が排気口を通って逆流するとき、ガス収集エリア40を介してねじれ溝313の底部まで到達する。ねじれ溝313が斜めになっているため、電子を含むプラズマがねじれ溝313の斜めの壁に衝突し、電子は衝突とともにエネルギーが徐々に消え、高出力部品に接続される経路を形成できず、したがって、吸気ガイド本体30を高熱および高周波の損傷から保護する。
【0033】
(実施形態3)
図6に示されるように、実施形態3に係るプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置は、金属製の吸気フランジ10に密接された吸気ノズル20を含み、吸気ノズル20の内部チャンバーには、吸気ガイド本体30が設けられている。
【0034】
吸気ガイド本体30は、上部構造、中部構造および下部構造を有し、上部構造、中部構造および下部構造は一体型の構造であって、いずれも円柱状の形状を呈し、上部構造の横断面の直径は、中部構造の横断面の直径より小さくなっている。
【0035】
さらに、中部構造と下部構造との間にはガス収集エリア40が配置され、中部構造と下部構造とは、ガス収集エリア40によって接続されている。
【0036】
プラズマ流が吸気孔を通って吸気通路内に逆流することにより吸気通路内において発火してしまい、吸気ガイド本体が損傷される問題を解決するため、本実施形態において、上部構造の外側面には複数の上部ガス溝311が設けられ、複数の上部ガス溝311は、上部構造の外側面において軸方向に設けられ、各々の上部ガス溝311の底部は1つの径方向溝312の一端に接続され、径方向溝312の数は、上部ガス溝311の数と同じである。
【0037】
各々の径方向溝312の他端は側壁ガスガイド溝に接続され、側壁ガスガイド溝は、複数のガス溝によって構成され、少なくとも1つの右下方向に傾斜したガス溝322および少なくとも1つの左下方向に傾斜したガス溝321を有する。右下方向に傾斜したガス溝322と左下方向に傾斜したガス溝321とは、ガス流の方向にしたがって順番に接続され、その数は、処理の難易度およびチャンバー内のガス流の圧力に応じて調整される。
【0038】
吸気フランジ10と吸気ガイド本体30との間には絶縁保護層50が設けられ、絶縁保護層50によって吸気フランジ10を覆う。絶縁保護層50の材料はプラスチックであり、通常はポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドまたはポリケトンなどである。このような材料は、高電圧に対する絶縁を実現でき、下部の吸気ガイド本体に対する高周波電力の損傷を大幅に減らせる。
【0039】
図6に示されるように、吸気ガイド本体30の中部構造は、2つの独立した部分によって構成され、両部分のガス溝は、方向が互いに反対であり、断面710によって分割されている。システムが洗浄プロセスを行う際、チャンバー内のプラズマは、排気口を通って逆流され、ガス収集エリア40を介して右下方向に傾斜したガス溝322の底部に到達する。左下方向に傾斜したガス溝321および右下方向に傾斜したガス溝322が斜めになっているため、電子を含むプラズマは、左下方向に傾斜したガス溝321および右下方向に傾斜したガス溝322の斜めの壁に衝突し、電子エネルギーが徐々に消え、高出力部品に接続される経路を形成できず、したがって、吸気ガイド本体30を高熱および高周波の損傷から保護する。
【0040】
(実施形態4)
図7に示されるように、実施形態4に係るプロセスチャンバー内のプラズマ逆流を遮断することにより吸気構造を保護する装置は、金属製の吸気フランジ10に密接された吸気ノズル20を含み、吸気ノズル20の内部チャンバーには、吸気ガイド本体30が設けられている。
【0041】
吸気ガイド本体30は、上部構造、中部構造および下部構造を有し、上部構造、中部構造および下部構造は一体型の構造であって、いずれも円柱状の形状を呈し、上部構造の横断面の直径は、中部構造の横断面の直径より小さくなっている。
【0042】
さらに、中部構造と下部構造との間にはガス収集エリア40が配置され、中部構造と下部構造とは、ガス収集エリア40によって接続されている。
【0043】
プラズマ流が吸気孔を通って吸気通路内に逆流することにより吸気通路内において発火してしまい、吸気ガイド本体が損傷される問題を解決するため、本実施形態において、上部構造の外側面には複数の上部ガス溝311が設けられ、複数の上部ガス溝311は、上部構造の外側面において軸方向に設けられ、各々の上部ガス溝311の底部は1つの径方向溝312の一端に接続され、径方向溝312の数は、上部ガス溝311の数と同じである。
【0044】
各々の径方向溝312の他端は側壁ガスガイド溝に接続され、側壁ガスガイド溝は、複数のガス溝によって構成され、軸方向に真っ直ぐなガス溝331、少なくとも1つの右下方向に傾斜したガス溝322および少なくとも1つの左下方向に傾斜したガス溝321を有する。軸方向に真っ直ぐなガス溝331は、径方向溝312の他端に接続され、左下方向に傾斜したガス溝321と右下方向に傾斜したガス溝322とは、ガス流の方向にしたがって順番に接続されている。
【0045】
吸気フランジ10と吸気ガイド本体30との間には絶縁保護層50が設けられ、絶縁保護層50によって吸気フランジ10を覆う。絶縁保護層50の材料はプラスチックであり、通常はポリテトラフルオロエチレン、ポリイミドまたはポリケトンなどである。このような材料は、高電圧に対する絶縁を実現でき、下部の吸気ガイド本体に対する高周波電力の損傷を大幅に減らせる。
【0046】
図7に示されるように、側壁ガスガイド溝は、複数の部分によって構成され、軸方向に真っ直ぐなガス溝331、そして、互いに反対方向である左下方向に傾斜したガス溝321および右下方向に傾斜したガス溝322を含む。これら3つのガス溝は、完全な円柱状の側壁に設けられても、3つの独立した部分を順番に組み立て構成してもよい。また、本実施形態において、左下方向に傾斜したガス溝321および右下方向に傾斜したガス溝322の数は、処理の難易度およびチャンバー内のガス流の圧力に応じて調整される。
【0047】
システムが洗浄プロセスを行う際、チャンバー内のプラズマは、排気口を通って逆流され、ガス収集エリア40を介して右下方向に傾斜したガス溝322の底部に到達する。左下方向に傾斜したガス溝321および右下方向に傾斜したガス溝322が斜めになっているため、電子を含むプラズマは、左下方向に傾斜したガス溝321および右下方向に傾斜したガス溝322の斜めの壁に衝突し、電子エネルギーが徐々に消え、高出力部品に接続された経路を形成できず、したがって、吸気ガイド本体30を高熱および高周波の損傷から保護する。
【0048】
以上のとおり、本発明の実施形態について説明したが、いわゆる当業者は、本発明の原理および技術的思想から逸脱せずに、これらの実施形態に対して様々な変更、修正、置換および変形を行うことができる。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲およびこれに均等するものによって定められる。
【符号の説明】
【0049】
6 コイル、
8 高周波マッチングデバイス、
10 吸気フランジ、
20 吸気ノズル、
30 吸気ガイド本体、
301 止まり穴、
302 径方向孔、
303 エッジ溝、
311 上部ガス溝、
312 径方向溝、
313 ねじれ溝、
321 左下方向に傾斜したガス溝、
322 右下方向に傾斜したガス溝、
331 軸方向に真っ直ぐなガス溝、
343 ガス通路、
40 ガス収集エリア、
50 絶縁保護層、
710 断面。