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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】フラックス転写装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 3/00 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
B23K3/00 R
B23K3/00 N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022569174
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2021027096
(87)【国際公開番号】W WO2023002557
(87)【国際公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 繁之
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/093232(WO,A1)
【文献】特開2014-159039(JP,A)
【文献】特開平10-76210(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185545(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の中央部に凹部を有するステージと、
フラックスを貯留する貯留部を有し、前記フラックスを前記凹部に供給する供給部が底部に設けられ、前記ステージの表面を往復して前記供給部を通して中に貯留している前記フラックスを前記凹部に供給するフラックスポットと、
前記フラックスポットの中に貯留されている前記フラックスの残量を検出する検出器と、を備えるフラックス転写装置であって、
前記ステージは、光が透過する光透過部を備え、
前記検出器は、前記ステージの前記光透過部の下側に配置され、前記光透過部と前記供給部とを通して前記フラックスポットの中に貯留されている前記フラックスの中に入射し、前記フラックスの液面で反射した光の光量に基づいて前記フラックスポットの中に貯留されている前記フラックスの残量を検出すること、
を特徴とするフラックス転写装置。
【請求項3】
請求項1に記載のフラックス転写装置であって、
前記フラックスポットは、前記フラックスを転写する際に前記凹部の周辺の初期位置に戻り、
前記光透過部は、前記ステージの前記初期位置に取り付けられていること、
を特徴とするフラックス転写装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載のフラックス転写装置であって、
前記検出器は、発光部と受光部とを含み、
前記発光部は、前記光透過部と前記供給部とを通して前記フラックスポットの中に貯留されている前記フラックスの中に光を入射させ、
前記受光部は、前記フラックスの液面で反射して前記光透過部と前記供給部とを透過した光の光量を測定すること、
を特徴とするフラックス転写装置。
【請求項5】
表面の中央部に凹部を有するステージと、
フラックスを貯留する貯留部を有し、前記フラックスを前記凹部に供給する供給部が底部に設けられ、前記ステージの表面を往復して前記供給部を通して中に貯留している前記フラックスを前記凹部に供給するフラックスポットと、
前記フラックスポットの中に貯留されている前記フラックスの残量を検出する検出器と、を備えるフラックス転写装置であって、
前記フラックスポットは、対向する側壁に光が透過する光透過壁部を備え、
前記検出器は、前記フラックスポットの側方に配置され、各光透過壁部を通して前記フラックスポットを透過した透過光の光量に基づいて前記フラックスポットの中に貯留されている前記フラックスの残量を検出すること、
を特徴とするフラックス転写装置。
【請求項6】
請求項5に記載のフラックス転写装置であって、
前記各光透過壁部は、前記フラックスポットの往復移動方向に対向する2つの側壁に設けられており、
前記検出器は、前記フラックスポットの往復移動範囲の外側で往復移動方向の一端側に配置された発光器と他端側に配置された受光器とで構成されること、
を特徴とするフラックス転写装置。
【請求項7】
請求項5に記載のフラックス転写装置であって、
前記各光透過壁部は、前記フラックスポットの往復移動方向と直交方向に対向する2つの側壁に設けられており、
前記検出器は、前記フラックスポットの往復移動方向と直交方向で前記フラックスポットと離間して一方側に配置された発光器と他方側に配置された受光器とで構成されること、
を特徴とするフラックス転写装置。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載のフラックス転写装置であって、
前記検出器は、高さ方向に複数配置されていること、
を特徴とするフラックス転写装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、転写対象物をフラックスに浸漬させてフラックスを転写対象物に転写するフラックス転写装置の構造に関し、特に、フラックスを貯留するフラックスポットの中のフラックスの残量の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
フラックス転写装置では、フラックスの転写を行うとフラックスを貯留するフラックスポットの中のフラックスの残量が減ってくる。このため、フラックスポットの中のフラックスの残量を検出してフラックス不足が発生しないようにすることが求められている。
【0003】
このため、特許文献1に記載のように、フラックスポットの上側に超音波センサを配置し、フラックスの液面で反射した超音波に基づいてフラックスの残量を検出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-159039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フラックス転写装置では、フラックスの一部が発泡し、上側に配置されている機器を汚損させてしまう場合がある。このため、特許文献1に記載された従来技術では、上側に配置された超音波センサが汚損し、安定してフラックスの残量を検出することが困難な場合がある。
【0006】
そこで、本開示は、安定してフラックスの残量を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のフラックス転写装置は、表面の中央部に凹部を有するステージと、フラックスを貯留する貯留部を有し、フラックスを凹部に供給する供給部が底部に設けられ、ステージの表面を往復して供給部を通して中に貯留しているフラックスを凹部に供給するフラックスポットと、フラックスポットの中に貯留されているフラックスの残量を検出する検出器と、を備えるフラックス転写装置であって、検出器は、ステージの下側、又は、フラックスポットの側方に配置されていること、を特徴とする。
【0008】
このように、検出器をステージの下側、又はフラックスポットの側方に配置するので、フラックスの発泡により検出器が汚損することを抑制し、安定してフラックスの残量を検出できる。
【0009】
本開示のフラックス転写装置において、ステージは、光が透過する光透過部を備え、検出器は、ステージの光透過部の下側に配置され、光透過部と供給部とを通してフラックスポットの中に貯留されているフラックスの中に入射し、フラックスの液面で反射した光の光量に基づいてフラックスポットの中に貯留されているフラックスの残量を検出してもよい。
【0010】
この構成により、発泡したフラックスが検出器に付着することを抑制し、より安定してフラックスの残量を検出することができる。
【0011】
本開示のフラックス転写装置において、フラックスポットは、フラックスを転写する際に凹部の周辺の初期位置に戻り、光透過部は、ステージの初期位置に取り付けられてもよい。
【0012】
これにより、フラックスポットが初期位置に停止した状態でフラックスの残量を検出するので、安定してフラックスの残量を検出することができる。
【0013】
本開示のフラックスポット転写装置において、検出器は、発光部と受光部とを含み、発光部は、光透過部と供給部とを通してフラックスポットの中に貯留されているフラックスの中に光を入射させ、受光部は、フラックスの液面で反射して光透過部と供給部とを透過した光の光量を測定してもよい。
【0014】
これにより、簡便な構成でフラックスポットのフラックスの残量を検出することができる。
【0015】
本開示のフラックス転写装置において、フラックスポットは、対向する側壁に光が透過する光透過壁部を備え、検出器は、フラックスポットの側方に配置され、各光透過壁部を通してフラックスポットを透過した透過光の光量に基づいてフラックスポットの中に貯留されているフラックスの残量を検出してもよい。
【0016】
この構成により、発泡したフラックスが検出器に付着することを抑制し、より安定してフラックスの残量を検出することができる。
【0017】
本開示のフラックス転写装置において、各光透過壁部は、フラックスポットの往復移動方向に対向する2つの側壁に設けられており、検出器は、フラックスポットの往復移動範囲の外側で往復移動方向の一端側に配置された発光器と他端側に配置された受光器とで構成されてもよい。
【0018】
これにより、フラックスポットが往復移動している場合でもフラックスの残量を検出することができる。
【0019】
本開示のフラックス転写装置において、各光透過壁部は、フラックスポットの往復移動方向と直交方向に対向する2つの側壁に設けられており、検出器は、フラックスポットの往復移動方向と直交方向でフラックスポットと離間して一方側に配置された発光器と他方側に配置された受光器とで構成されてもよい。
【0020】
これにより、簡便な構成でフラックスポットのフラックスの残量を検出することができる。
【0021】
本開示のフラックス転写装置において、検出器は、高さ方向に複数配置されてもよい。
【0022】
これにより、フラックスの残量をより詳しく検出することができる。
【発明の効果】
【0023】
本開示は、安定してフラックスの残量を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態のフラックス転写装置の平面図である。
図2】実施形態のフラックス転写装置の断面図であって、図1のA-A断面である。
図3】実施形態のフラックス転写装置のフラックスポットのフラックスの残量とフラックスの液面からの反射光の光量との関係を示すグラフである。
図4図1のA-A断面であって、フラックスポットの揺すり動作を示す図である。
図5】他の実施形態のフラックス転写装置の平面図である。
図6】他の実施形態のフラックス転写装置の断面図であって、図5のB-B断面図である。
図7】他の実施形態のフラックス転写装置のフラックスの液面高さとフラックスポットの透過光の光量との関係を示すグラフである。
図8】他の実施形態のフラックス転写装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら実施形態のフラックス転写装置100について説明する。図1、2に示すように、フラックス転写装置100は、フラックス50を溜める凹部13を有するステージ12と、内部28にフラックス50を貯留すると共に、貯留しているフラックス50を凹部13に供給するフラックスポット20と、フラックスポット20の中に貯留されているフラックス50の残量を検出する検出器30とを備えている。フラックスポット20は、図示しない駆動機構で図1、2中に示す矢印91~94の様にX方向に往復移動する。フラックス転写装置100は、電子部品の突起電極等の転写対象物を凹部13に溜まったフラックス50に浸漬させてフラックス50を転写対象物に転写する。以下の説明では、フラックスポット20の往復移動方向をX方向、その直角方向をY方向、上下方向をZ方向とし、検出器30が配置されている側をX方向マイナス側、或いは後方、反対方向をX方向プラス側、或いは前方、Y方向プラス側を左方向、Y方向マイナス側を右方向、Z方向プラス側を上方向、Z方向マイナス側を下方向として説明する。
【0026】
図1、2に示すように、ステージ12は、中央部に表面14,15から凹んでフラックス50を溜める凹部13を有している。凹部13は、幅Wで往復移動方向(X方向)に延びている。凹部13の深さは、電子部品の突起電極等の転写対象物を浸漬できる深さであり、例えば、10~20μm程度であってもよい。ステージ12は、フラックス転写装置100全体を支持するベース(図示せず)に取付けられている。
【0027】
フラックスポット20は、前壁21と、後壁22と、左壁23と、右壁24と、底板25とで構成される上面が開放された長方形の開放箱型部材で、内面の幅は、凹部13の幅と同一のWである。底板25には、前壁21と後壁22とに平行に幅方向に延びるスリット状の貫通孔27が設けられている。前壁21と後壁22とはフラックスポット20の往復移動方向に対向する側壁であり、左壁23と右壁24とはフラックスポット20の往復方向と直交する方向に対向する側壁である。フラックスポット20は、内部28にフラックス50を貯留し、図示しない駆動機構でX方向に往復移動した際に貫通孔27からステージ12の凹部13にフラックス50を供給すると共に、底板25の底面26で凹部13に供給したフラックス50の表面をならすものである。従って、貫通孔27は、フラックスポット20の底部に設けられてフラックスポット20の貯留部である内部28に貯留されているフラックス50を凹部13に供給する供給部を構成する。
【0028】
図1、2に示すように、初期状態では、フラックスポット20は、凹部13の後方の表面14の上側の初期位置に停止している。フラックスポット20が初期位置にある際にフラックスポット20の貫通孔27に対応するステージ12の位置にステージ12の厚さ方向に光を透過させる光透過部16が設けられている。光透過部16は、例えば、ガラスなどの光透過材料で構成され、ステージ12に設けられた取付け穴に液密となるように嵌め込まれてもよい。光透過部16は、例えば、ステージ12、或いはフラックスポット20の幅方向の中央に設けても良いし、中央から左右にずれた位置に配置してもよい。
【0029】
ステージ12の下側にはステージ12を支持するベースの一部である下ベース部19eが配置されている。ステージ12に設けられた光透過部16に対応する位置の下ベース部19eの上には、フラックスポット20の中に貯留されているフラックス50の残量を検出する検出器30が取付けられている。検出器30は、発光部31と、受光部32と、受光部32で検出したフラックス50の液面51からの反射光の光量をフラックス50の残量に変換して出力する演算回路33とを備えている。
【0030】
ここで、以上の様に構成されたフラックス転写装置100の動作について簡単に説明する。
【0031】
先に説明したように、初期状態では、フラックスポット20は、凹部13の後方の表面14の上側の初期位置に停止している。この状態でフラックスポット20の内部28には所定量のフラックス50が充填されており、フラックス50の液面51は所定の高さとなっている。この際、フラックスポット20の底面26は、ステージ12の表面14に密着しているので、フラックス50は貫通孔27から外部に流出せず、フラックスポット20の内部28に保持される。また、光透過部16は、ステージ12に設けられた取付け穴に液密となるように嵌め込まれているので、フラックス50は光透過部16の周りからステージ12の下側に漏れることはない。
【0032】
次に、図示しない駆動機構によって、フラックスポット20をX方向プラス側に向かって移動させる。フラックスポット20の貫通孔27が凹部13の上方に来ると、貫通孔27の中に充填されていたフラックス50がステージ12の凹部13の中に落下してくる。凹部13に落下したフラックス50は、フラックスポット20の底面26で表面がならされて、凹部13の深さと略同一深さのフラックス50となる。フラックスポット20は、凹部13全体が均一厚さのフラックス50で満たされるように、凹部13の上を何回かX方向に往復移動する。そして、凹部13にフラックス50を満たしたら、図示しない駆動機構は、フラックスポット20を初期位置に戻す。
【0033】
そして、フラックス転写装置100は、図示しないボンディングヘッドの先端に電子部品を吸着し、電子部品の突起電極を凹部13に溜まったフラックス50に浸漬させてフラックス50を突起電極に転写する。
【0034】
このように、フラックスポット20をX方向に往復移動させて内部28に貯留しているフラックス50を凹部13に供給すると、フラックスポット20のフラックス50の残量は次第に減少し、フラックス50の液面51は次第に下がってくる。
【0035】
次にフラックス転写装置100のフラックス50の残量の検出動作について説明する。
【0036】
先に説明したように、フラックスポット20は、凹部13の後方の表面14の上側の初期位置に停止している。そして、フラックスポット20の貫通孔27は、光透過部16の上に重なっている。
【0037】
この状態で検出器30の発光部31から光を出射させると、出射された光は、図2の矢印81に示すように、ステージ12の光透過部16と、フラックスポット20の貫通孔27を通ってフラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50の中に入射する。そして、フラックス50の液面51で反射して、図2の矢印82に示すように、フラックスポット20の貫通孔27と、ステージ12の光透過部16を通って受光部32に入射する。検出器30は、受光部32に入射した反射光の光量を測定する。
【0038】
フラックス50の残量と反射光の光量との関係を図3に示す。フラックス50の残量が多くなると、フラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50の液面51が高くなり、反射光の光量は大きくなる。そして、残量が少なくなって液面51が低くなると、反射光の光量は次第に小さくなり、残量がゼロになり、液面51が無くなると反射光の光量はゼロとなる。
【0039】
検出器30は演算回路33の中に図3に示すグラフを格納しており、受光部32で検出したフラックス50の液面51からの反射光の光量を図3に示すグラフに基づいてフラックス50の残量に変換して出力する。
【0040】
尚、フラックスポット20をX方向に往復動作させた後、初期位置に戻った際に、図4に示すようにフラックス50の液面51が傾斜している場合がある。この場合には、図4中に破線と矢印95で示すように、図示しない駆動機構によってフラックスポット20をX方向に何回か揺すり、液面51が水平になった状態にして検出器30によってフラックス50の残量を検出してもよい。
【0041】
そして、フラックス転写装置100は、検出器30からフラックス50の残量がフラックスポット20の交換、或いはフラックス50の充填が必要な量まで減少した信号が入力されたら、アラームを出して作業者にフラックスポット20の交換、或いはフラックス50の充填が必要なことを知らせるようにしてもよい。作業者は、アラームを確認したらフラックスポット20を所定量のフラックス50が充填された新品に交換してもよいし、フラックスポット20の中にフラックス50を充填してもよい。
【0042】
以上説明した実施形態のフラックス転写装置100は、フラックス50の残量を検出する検出器30をステージ12の下側に配置したので、フラックス50の発泡によりフラックス50が検出器30を汚損することがない。また、光透過部16がステージ12に設けられた取付け穴に液密となるように嵌め込まれているので、フラックス50が光透過部16の周りからステージ12の下側に漏れることはない。このため、フラックス50が検出器30を汚損することがなく、安定してフラックス50の残量を検出できる。
【0043】
また、実施形態のフラックス転写装置100は、光透過部16を通してステージ12の下側に配置された検出器30から出射した光をフラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50に入射させ、液面51で反射した反射光の光量と、図3に示すグラフに基づいてフラックス50の残量を検出するので、フラックス50の残量がフラックスポット20の交換、或いはフラックス50の充填が必要な量かのみでなく、どの程度の残量があるかどうかを検出し、フラックスポット20の交換、或いはフラックス50の充填時期を予測することができる。
【0044】
以上の説明では、光透過部16は、フラックスポット20がステージ12の凹部13の後方の表面14の上の初期位置にある際にフラックスポット20の貫通孔27に対応するステージ12の位置に設けられるとして説明したがこれに限らない。例えば、光透過部16は、フラックスポット20がステージ12の凹部13の前方の表面15の上にある際にフラックスポット20の貫通孔27に対応するステージ12の位置に設けられてもよい。
【0045】
また、以上の説明では、検出器30は、ステージ12の下側の下ベース部19eに取付けられることとして説明したがこれに限らない。ステージ12を支持するベースに接続される部位であれば他の部位に取付けられてもよく、例えば、ステージ12の下面に取付けられてもよい。
【0046】
また、以上の説明では、検出器30は演算回路33の中に図3に示すグラフを格納しており、受光部32で検出したフラックス50の液面51からの反射光の光量をフラックス50の残量に変換して出力するとして説明したがこれに限らない。例えば、検出器30は演算回路33を含まず、受光部32で検出した反射光の光量を出力し、フラックス転写装置100の制御装置(図示せず)の中に図3に示すグラフを格納し、反射光の光量からフラックス50の残量を演算してアラームを表示するようにしてもよい。
【0047】
また、検出器30は演算回路33を含まず、フラックス残量表示装置(図示せず)を別途備え、フラックス残量表示装置の中に図3に示すグラフを格納し、反射光の光量からフラックス50の残量を演算して表示器に残量を表示するようにしてもよい。
【0048】
更に、検出器30は、発光部31と受光部32とを含むとして説明したが、発光器と受光器とを別々に配置して検出器30を構成してもよい。
【0049】
また、以上の説明では、フラックスポット20は、上面が開放された長方形の開放箱型部材で、フラックス50を凹部13に供給するスリット状の貫通孔27が底板に設けられているとして説明したがこれに限らない。例えば、蓋があってもよいし、円筒形や多角形であってもよい。また、半透明や透明である交換可能なシリンジのような形状であってもよい。また、フラックスポット20は、環状部材で、上方の開口面積と底面の開口面積とが同一の貫通開口を有するものであってもよい。この場合、貫通開口の下端は、フラックスポット20の底部に設けられてフラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50を凹部13に供給する供給部を構成する。
【0050】
次に図5から図7を参照しながら他の実施形態のフラックス転写装置200について説明する。先に図1から図4を参照して説明したフラックス転写装置100と同様の部位には、同様の符号を付して説明は省略する。
【0051】
図5、6に示すように、フラックス転写装置200は、フラックスポット20の前壁21と後壁22とにそれぞれ光が透過する前光透過壁部29aと後光透過壁部29bとを設け、検出器30を後側に配置された発光器34と、前側に配置された受光器35とで構成したものである。
【0052】
図5、6に示すように、フラックスポット20の往復移動方向に対向する側壁である前壁21と後壁22とには、前壁21、後壁22の厚さ方向に光を透過させる前光透過壁部29aと後光透過壁部29bとが設けられている。前光透過壁部29aと後光透過壁部29bとは、例えば、ガラスなどの光透過材料で構成され、前壁21と後壁22にそれぞれ設けられた取付け穴に液密となるように嵌め込まれている。前光透過壁部29aと後光透過壁部29bとは、X方向に並べて配置されていればよく、例えば、ステージ12、或いはフラックスポット20の幅方向の中央に設けても良いし、中央から左右にずれた位置に配置してもよい。
【0053】
フラックスポット20の往復移動範囲の外側となるステージ12の前側と後側にはステージ12を支持するベースの一部である前ベース部19aと後ベース部19bとが配置されている。ここで、ステージ12の後側は、フラックスポット20の往復移動方向の一端側であり、ステージ12の前側は、フラックスポット20の往復移動方向の他端側である。
【0054】
後ベース部19bには光を出射する発光器34が取付けられており、前ベース部19aには、発光器34から出射した光を受光し、受光した光量を出力する受光器35が取付けられている。発光器34、受光器35は、フラックスポット20に設けられた前光透過壁部29aと後光透過壁部29bとに対向するように、前光透過壁部29aと後光透過壁部29bと同じ高さで幅方向の位置が同一となるように取付けられている。受光器35は、前光透過壁部29aと後光透過壁部29bを通してフラックスポット20を透過した透過光の光量を検出する。
【0055】
次にフラックス転写装置200のフラックス50の残量の検出原理について説明する。
【0056】
フラックスポット20の往復移動範囲よりも後方に配置されている発光器34から出射した光は、図5、6中に矢印で示す光路83のように後光透過壁部29bを通ってフラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50の中を透過し、前光透過壁部29aを通って外部に出てフラックスポット20の往復移動範囲よりも前側に配置されている受光器35に入射する。
【0057】
フラックス50の残量が多く、液面51が発光器34から出射する光の光路83よりも上にある場合には、発光器34から出射した光は、フラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50によって吸収される。このため、受光器35が検出する透過光の光量は少なくなる。一方、液面51が発光器34から出射する光の光路83よりも下にある場合には、発光器34から出射した光は、フラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50の中を透過しないので、受光器35が検出する透過光の光量は大きくなる。
【0058】
従って、図7に示すように、受光器35が検出する透過光の光量は、フラックス50の液面51の高さが検出器30の光路83よりも高い場合には、小さくなり、フラックス50の液面51の高さが検出器30の光路83よりも低い場合には、大きくなる。従って、受光器35が検出した透過光の光量が所定の閾値よりも大きくなった場合には、フラックス50の液面51が検出器30の光路83よりも低くなり、フラックス50の残量が少なくなり、フラックスポット20の交換、或いはフラックス50の充填が必要になったことを検出できる。
【0059】
そこで、フラックス転写装置200の制御装置(図示せず)は、受光器35から入力される透過光の光量の信号が所定の閾値よりも大きくなった場合に、フラックスポット20の交換、又はフラックス50の充填が必要と判断してアラームを表示するようにしてもよい。また、フラックス残量表示装置(図示せず)を別途備え、フラックス残量表示装置に入力される受光器35からの信号が所定の閾値よりも大きくなった場合に、アラームを表示するようにしてもよい。
【0060】
実施形態のフラックス転写装置200は、発光器34と受光器35とで構成される検出器30をフラックスポット20の前方と後方とに配置しているので、フラックス50の発泡によりフラックス50が検出器30を汚損することがなく、安定してフラックス50の残量を検出することができる。
【0061】
また、実施形態のフラックス転写装置200は、発光器34と受光器35とがフラックスポット20の往復移動範囲の外側に配置されているので、フラックスポット20のX方向位置にかかわらず、フラックスポット20の内部28に貯留されているフラックス50の残量がフラックスポット20の交換が必要な量になったかどうかを検出することができる。
【0062】
尚、以上の説明では、検出器30は、発光器34から受光器35に達する1つの光路83によってフラックス50の残量を検出することとして説明したがこれに限らない。例えば、上下方向に複数並べた発光器34と受光器35とで上下方向に並んだ複数の検出器30を構成し、上下方向に複数本の光路83を含むように構成してもよい。これにより、フラックスポット20の残量の変化を検出することができる。
【0063】
また、以上の説明では、フラックスポット20は、前壁21、後壁22の厚さ方向に光を透過させる前光透過壁部29aと後光透過壁部29bとが設けられているとして説明したがこれに限らず、全体が透明で透光性の材料で構成されてもよい。
【0064】
次に図8を参照しながら他の実施形態のフラックス転写装置300について説明する。先に図5から図7を参照して説明したフラックス転写装置200と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。
【0065】
図8に示すように、フラックス転写装置300は、フラックスポット20の左壁23と右壁24とにそれぞれ光が透過する左光透過壁部29cと右光透過壁部29dとを設け、検出器30を左側に配置された発光器34と、右側に配置され受光器35とで構成したものである。
【0066】
フラックスポット20のY方向プラス側である左側には、ステージ12を支持するベースの一部である左ベース部19cが配置されている。また、Y方向マイナス側である右側には、右ベース部19dが配置されている。ここで、Y方向プラス側は、往復移動方向と直交方向の一方側であり、Y方向マイナス側は、往復移動方向と直交方向の他方側である。
【0067】
左ベース部19cにはフラックスポット20の左壁23と離間した位置に発光器34が配置されている。また、右ベース部19dにはフラックスポット20の右壁24と離間するように受光器35が配置されている。
【0068】
発光器34と受光器35とは、フラックスポット20が初期位置にある際にフラックスポット20に設けられた左光透過壁部29cと右光透過壁部29dにそれぞれ対向する位置に配置されている。
【0069】
先に図5図7を参照して説明したフラックス転写装置200と同様、発光器34は光路84を進む光を出射し、フラックスポット20の左光透過壁部29cと右光透過壁部29dを通った光は受光器35に入射する。受光器35は、透過光の光量を検出し、受光器35が検出した透過光の光量が所定の閾値よりも大きいかどうかで、フラックス50の液面51が検出器30の光路84よりも低くなったかどうかを検出できる。
【0070】
実施形態のフラックス転写装置300は、発光器34と受光器35とで構成される検出器30をフラックスポット20の左方と右方とに配置しているので、フラックス50の発泡によりフラックス50が検出器30を汚損することがなく、安定してフラックス50の残量を検出することができる。
【0071】
また、以上の説明では、フラックスポット20は、左壁23と右壁24とにそれぞれ光が透過する左光透過壁部29cと右光透過壁部29dとが設けられているとして説明したがこれに限らず、全体が透明で透光性の材料で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
12 ステージ、13 凹部、14,15 表面、16 光透過部、19a 前ベース部、19b 後ベース部、19c 左ベース部、19d 右ベース部、19e 下ベース部、20 フラックスポット、21 前壁、22 後壁、23 左壁、24 右壁、25 底板、26 底面、27 貫通孔、28 内部、29a 前光透過壁部、29b 後光透過壁部、29c 左光透過壁部、29d 右光透過壁部、30 検出器、31 発光部、32 受光部、33 演算回路、34 発光器、35 受光器、50 フラックス、51 液面、83,84 光路、100,200,300 フラックス転写装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8