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特許7352330大気内焼成を用いる吸着剤改善型改質を介する水素の製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】大気内焼成を用いる吸着剤改善型改質を介する水素の製造
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/32 20060101AFI20230921BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20230921BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20230921BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20230921BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
C01B3/32
B01D53/047
B01D53/14 100
B01J20/34 H
C01B3/56 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017560591
(86)(22)【出願日】2016-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 US2016034636
(87)【国際公開番号】W WO2016191678
(87)【国際公開日】2016-12-01
【審査請求日】2019-04-18
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】62/167,871
(32)【優先日】2015-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513257731
【氏名又は名称】ガス テクノロジー インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイズ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ラビシャンカール,スレーニバサン
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】三崎 仁
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102070125(CN,A)
【文献】国際公開第2008/039783(WO,A1)
【文献】特開平11-30411(JP,A)
【文献】特開平7-63318(JP,A)
【文献】特開2007-270030(JP,A)
【文献】特開2008-246333(JP,A)
【文献】特開2009-7208(JP,A)
【文献】特開2009-138186(JP,A)
【文献】特表2013-504421(JP,A)
【文献】特開2008-221082(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104004532(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B3/00-3/58, B01D53/02-53/18, B01J20/00-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスを生成するプロセスであって、
前記プロセスは、改質器に圧縮された吸着剤を導入し吸着剤改善型改質器を形成する工程と、
二酸化炭素と水素ガスを生成するために前記吸着剤改善型改質器に供給材料を導入する工程であって、
前記吸着剤改善型改質、圧力で作動する連続的な流動床リアクターであり、二酸化炭素を吸着し前記使用された吸着剤を形成するために、圧縮された吸着を含んでなる工程と、
生成された水素ガスと前記使用された吸着剤を、前記吸着剤改善型改質器から分離器に導入する工程であって、前記生成された水素ガスを回収するために、前記使用された吸着剤から前記生成された水素ガスを分離してなる、工程と、
第1のホッパー内に設けられた前記分離器から前記使用された吸着剤を集め、前記第1のホッパーの入り口を閉じ、前記使用された吸着剤を減圧するために前記第1のホッパーから圧力を解放する工程と、
第2のホッパー内の間接燃焼焼成炉から再生成された吸着剤を集め、前記吸着剤改善型改質器の圧力以上の圧力まで前記再生成された吸着剤を圧縮する工程と、
前記使用された吸着剤を前記間接燃焼焼成炉へ導入し、前記間接燃焼焼成炉は、大気圧で焼成炉バーナユニットの天然ガスがラインを介して供給される際、残留熱によって作動し、燃焼生成物は間接バーナーダクトに導入されて前記使用された吸着剤を加熱し、当該使用された吸着剤から二酸化炭素を取り除くことで、前記再生成された吸着剤を生成する、工程と、
圧縮され再生成された吸着剤を前記吸着剤改善型改質に再利用する工程と、を含んでなる、プロセス。
【請求項2】
前記吸着剤改善型改質から水素ガスの少なくとも一部を回収することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記回収された水素ガスをさらなる水素精製処理に進めることをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記さらなる水素精製処理は、圧力スイング吸着を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記供給材料は炭化水素燃料とHOを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記炭化水素燃料は天然ガスを含む、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記使用された吸着剤を前記間接燃焼焼成炉へ導入する前に、前記プロセスは、前記吸着剤改善型改質器により生成された水素ガスから前記使用された吸着剤を分離することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記再利用の前に、前記再生成された吸着剤の少なくとも一部に圧力を加えることをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記間接燃焼焼成炉から取り除かれた二酸化炭素の少なくとも一部を回収することをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に水素製造、とりわけ、大気内焼成を用いる吸着剤改善型改質を介する水素の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着剤改善型改質(Sorbent Enhanced Reforming,SER)は、一体的なCO捕獲を用いる水素製造のための新たな加工技術である。
【0003】
こうした処理は、高純度水素の製造を支援するために典型的にはル・シャトリエの原理を使用する。本質的に、このような処理は、改質反応のあいだに製造される二酸化炭素を吸収する材料を使用して、その結果、後に除去される二酸化炭素をより多く生成する反応を引き起こす。二酸化炭素の除去により、熱力学的平衡は高純度水素平衡へ優先的に移行する。
【0004】
SER処理の第2の利点は、二酸化炭素のほぼすべてが吸着材料によって、あるいは吸着材料中で保持されるということである。吸着材料を望ましい形で再使用することができるようにするためには、捕獲された二酸化炭素をその後、吸着材料から遊離させなければならない。吸着材料の再生は一般に焼成炉として知られている部品の中で行われる。
【0005】
2つの典型的なタイプの焼成処理がある:直接燃焼と間接燃焼。直接燃焼による焼成は、燃焼あるいは電気的加熱工程からなどの高温ガスを利用し、そのような高温ガスを吸着材料と直接混合する。そうした直接燃焼による焼成処理は典型的には固体ハンドリング手法を簡略化したものであり、二酸化炭素の分圧を減少させることにより必要とされる焼成温度を下げる。間接燃焼による焼成は、吸着材料から物理的に分離した外部供給源から提供されるような熱を利用する。こうした間接燃焼による焼成処理は典型的には熱伝達プロセスを複雑にし、必要とされる焼成温度を増加させるが、炭素の捕獲と隔離あるいは共同生成のニーズに有用であると判明するであろうようなほぼ純粋な二酸化炭素流を提供する。
【0006】
過去には、焼成処理は、典型的には30-363psiaで変動する炉システム圧力の5%以内の圧力で一般に行われている。
【発明の概要】
【0007】
対象開発の一般的な目的は、水素製造を改善するか、水素製造の改善をもたらすことである。
【0008】
1つの実施形態に合わせて、二酸化炭素と水素ガスを製造するために吸着剤改善型改質に供給材料を導入することを含む水素ガスを生成するプロセスを通じて、対象開発の一般的な目的を少なくとも一部達成することができる。吸着剤改善型改質は望ましくは、二酸化炭素を吸収し、かつ使用された吸着剤を形成するためのある量の吸着材料を含む。プロセスは再生成された吸着剤を生成するために、使用された吸着剤からの二酸化炭素を取り除くために使用された吸着剤を熱するべく大気圧で作動する焼成炉へ使用された吸着剤を導入する工程をさらに含む。再生成された吸着剤の少なくとも一部は望ましくは、さなる処理で使用されるような吸着剤改善型改質に再利用可能である。
【0009】
別の実施形態に合わせて、対象開発は、二酸化炭素と水素ガスを生成するために少なくとも35psiaの圧力で作動する吸着剤改善型改質に、天然ガスとHOを含む供給材料を導入することを含む、水素ガスを生成するプロセスを提供する。吸着剤改善型改質は望ましくは、二酸化炭素を吸収し、かつ使用された吸着剤を形成するためのある量のCO吸着材料を含む。水素ガスを含む、吸着剤改善型改質生成物ガスは、使用された吸着剤から分離される。使用された吸着剤は、再生成された吸着剤を生成するために、使用された吸着剤から二酸化炭素を取り除くべく、使用された吸着剤を加熱するために大気圧で作動する直接燃焼式焼成炉へ導入される。望ましい場合には、分離された吸着剤改善型改質生成物水素ガスの少なくとも一部は、その後、圧力スイング吸着などによって精製可能である。さらに、再生成された吸着剤の少なくとも一部は吸着剤改善型改質に再利用される。
【0010】
本発明の別の態様に合わせて、水素ガスを生成するシステムが提供される。こうしたシステムは、ある量の吸着材料を含むなどの吸着剤改善型改質を含んでもよく、供給材料は二酸化炭素と水素ガスを生成し、吸着材料は二酸化炭素を吸収し、使用された吸着剤を形成する。システムは、吸着剤改善型改質生成物ガスから使用された吸着剤を分離するための分離器をさらに含む。大気圧で作動する焼成炉は、再生成された吸着剤を生成するために使用された吸着剤から二酸化炭素を取り除くべく使用された吸着剤を加熱するために提供されるか、含まれる。該システムは、再生成された吸着剤の少なくとも一部を、焼成炉から吸着剤改善型改質に導入するために再利用ラインをさらに含む。
【0011】
吸着剤による二酸化炭素の除去は、平衡を高純度水素平衡へ優先的に都合よく移行させる役割を果たす。
【0012】
さらに、ほぼすべての二酸化炭素は吸着材料の中で保持される。本発明にて局所的な周囲の圧力で作動する大気焼成炉を使用することで、焼成炉を反応装置の作動圧力から切り離すのに有利に役立つ。
【0013】
当業者、および、本明細書で提供される技術によって導かれた者は、焼成装置を、望ましくは、大気圧下でのCOの分圧(例えば、大気圧より最大25%、20%、または10%ほど上下する)で、または、蒸気または他の希釈剤の導入に伴って大気圧より低いCOの分圧で操作することができることを認識するだろう。焼成炉には、SER水素発生器から、燃料、空気、および、より高圧の吸着剤を投入しうる。焼成プロセスは吸着剤をより高圧力にする。焼成プロセスから出るオフガスを捕捉し、および/またはさらに処理しうる。
【0014】
本明細書に使用されるように、「大気」焼成炉、すなわち「大気圧」で作動する焼成炉等への言及は、大気圧±20%、または大気圧±10%での焼成炉および操作を指すと理解すべきである。
【0015】
他の目的および利点は、添付の特許請求の範囲および図面と共に以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一態様による水素ガスの製造のための処理システムを示す簡略化された概略図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態による水素ガスの製造のための代替処理システムを示す簡略化された概略図である。
図3図3は、CaCOとCaOとの平衡関係についてのCO分圧と温度との間の数学的関係を示すグラフである。
図4図4は、様々な選択された温度でのFredonia Derivedおよび超高純度CaOの焼結に関するグラフ表現である。
【発明の詳細な説明】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による水素ガスの製造または生成のための、参照番号(110)によって全体的に示され、かつ、処理システム(110)は、使用済み吸着剤、水素ガスおよび残留ガスを生成するために吸着剤強化改質器(112)を使用する、処理システムを示す。さらに下に詳述されるように、処理システム(110)はまた、間接的焼成炉を採用または利用し、したがって、使用済み吸着剤を適切に処理および再生するための間接的焼成炉(114)を含む。
【0018】
SER水素発生装置への適切な入力は、適切な炭化水素燃料(例えば天然ガス)、水蒸気、焼成炉から望ましくは少なくとも部分的といった加圧吸着剤を含み、且つ、システム関連の圧力振動アブソーバーからなどの排ガスを含む場合もある。
【0019】
処理システム(110)は、水素生成又は産生のために吸着剤を増強したリフォーマー(112)への侵入の前に供給物を処理するための、(120)として通常指定される供給材料処理セクションを含む。
【0020】
供給材料処理セクション(120)は、示されるように、給水処理及びポンプセクション(122)、及び天然ガス供給及び圧縮セクション(124)を含有又は備えてもよく、給水は、ライン(126)を介して気化器及び予熱器ユニット(130)へと導入され、天然ガスの少なくとも一部は、ライン(132)を介して気化器及び予熱器ユニット(130)に導入される。気化器及び予熱器ユニット(130)からの供給材料は、ライン(134)を介して最終供給予熱器(136)へと運ばれ、結果として生じる加熱された供給物は、ライン(140)を介して、水素ガス(H2)吸着剤を増強したリフォーマー水素発生装置(112)に導入される。
【0021】
適切な吸着剤材料は、ライン(144)を介して水素ガス(H2)吸着剤を増強したリフォーマー水素発生装置(112)に導入される。
【0022】
望ましい連続的なSER処理は、連続操作に望ましい流動床リアクター技術を使用し得る。流動床リアクターの利用は、例えば温度の均一性及び/又は熱伝達率の増大又は改善を含む、多数の関連する利点をもたらす又は生み出すことができる。
【0023】
SER水素発生装置(112)は、改質反応中に産生される二酸化炭素を吸収するために吸着剤材料を利用して、改質反応に付加的な水素ガス及び二酸化炭素を産生させ、二酸化炭素は好ましくは吸着剤材料を介して取り除かれる。故に、二酸化炭素の除去は優先的に、平衡状態を高純度水素平衡状態へと変える。
【0024】
吸着剤としてCaOを得ると、吸着剤を増強した改質反応操作に含まれる初期反応は、以下の反応1-3である:
CH(g)+HO(g)→3H(g)+CO(g) 改質(1)
CO(g)+HO(g)→H(g)+CO(g) 水-ガスの変化(2)
CaO+CO(g)→CaCO+熱 吸着剤の炭化(3)
CH(g)+2HO(g)+CaO→4H(g)+CaCO 全体のSER(4)
CaCO+熱→CaO+CO 吸着剤の焼成(5)
【0025】
全体のSER操作は反応(4)に定義され、焼成操作は反応(5)に示される。
【0026】
水素ガス(H2)吸着剤を増強したリフォーマー水素発生装置(112)から出る生成物の流れ(152)は、適切なセパレーター又は処理デバイス(154)に導入されて、ガス状の生成物から固体を使用した吸着剤を分離する。特定の実施形態における、適切なセパレーター又は処理デバイスは、フィルタ、サイクロン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0027】
セパレーター(154)からの排ガスの流れ(160)は、適切な温度の低下のために排ガス冷却器(162)に通される。適切に冷却した排ガス、主に水素ガスで構成されるものは、例えば、圧力振動アブソーバーなどを介した更なる精製などの後の処理のために、ライン(164)を介して通過される。
【0028】
セパレーター(154)からの固体を使用した吸着剤は、固体入口上のバルブ(図示せず)及び固体出口上のバルブ(170)などによりホッパー(166)に集められ得る。一旦、ホッパーが適切に充填されると、ホッパーへの入口は閉じられ、圧力は適切なベントポート(図示せず)などを介してホッパーから圧力が放たれ得る。一旦、圧力が十分に低下すると、吸着剤出口バルブ(170)は開放され、大気間接燃焼焼成炉(atmospheric indirect firing calciner)(114)への使用済み吸着剤の放出を可能にする。
【0029】
焼成炉(114)は、現在再生成される吸着剤から二酸化炭素を取り除く役目を果たす。二酸化炭素及び他の気体は、ライン(174)を介して冷却器(176)へと通過し、その後ライン(178)を介して、通気管又は他の適切な廃棄又は放出へと通過する。
【0030】
焼成炉(114)から再生成された吸着剤は、別個のホッパー(182)においてライン(180)を介して集められ、反応炉圧力より僅かに上の圧力へと適切に再加圧され得る。一旦、所望の圧力が達成されると、再生成された吸着剤は、ライン(144)などを介してSERリアクター(112)まで測定される。
【0031】
処理システム(110)は、(184)として通常指定される焼成炉バーナー供給セクションを含んでおり、これは、主な焼成炉バーナユニット(194)へとライン(192)を介して予熱空気を供給する燃焼空気予熱器ユニット(190)へとライン(188)を介して燃焼空気を供給する、燃焼空気圧縮機ユニット(186)などを含む。主な焼成炉バーナユニット(194)はまた、天然ガス供給及び圧縮セクション(124)などからライン(196)を介して天然ガスを受け取り、燃焼生成物は、熱を焼成炉(114)に伝えるが、焼成炉(114)の内部から物理的に分離される、間接バーナーダクト(115)に導入される。残留燃焼ガスは、ライン(175)を介して収集且つ通過され、熱回収システム(177)へと送られて、そこでは残留熱が燃焼ガスから抽出され、大気(179)へと放出される。
【0032】
当業者に認識されるように、且つ本明細書に提供される教示により導かれるように、このような間接燃焼焼成処理は、炭素の捕捉及び隔離又は共産生の必要性に有用であると見出されるものなど、ほぼ純粋な二酸化炭素を提供する。その結果、特定の好ましい実施形態において、間接燃焼焼成の利用が好ましい。
【0033】
本明細書に記載されるものなど、大気焼成炉の使用は、空気及びPSA排ガスの何れか或いは両方の圧縮機の必要性を排除するなどによって、システムの資本コストを望ましいように下げることができる。加えて、そのような圧縮機の操作に必要な力も排除され、それにより操作コストが下げられ、システム効率が向上する。更に、主題の焼成におけるように、焼成温度は、圧力を下げることによる炭酸ガス分圧の直接的な結果であり、温度も望ましいように下げられるので、主題の開発に従った実行は、吸着剤の寿命の長さを望ましいように増大させ、且つ吸着剤の交換が必要になる前の時間を延長することができる。
【0034】
主題の開発に従った処理が上述され、間接燃焼焼成炉を利用した処理システムに対する特定の言及がなされる一方で、本発明のより広範囲の実施は必ずしも、例えば所望の場合に、直接燃焼焼成炉を利用して開発が適切に実行され得るように限定されるものではない。そのために、図2は参照せず、これは、主題の開発の別の実施形態に従った水素ガスの産生又は精製のための、参照符号(210)で通常指定される処理システムを表している。処理システム(210)は通常、関節燃焼焼成及び間接焼成炉を除いて上述の処理システム(110)と同様のものであり、処理システム(210)は、直接燃焼焼成を利用し、故に使用済みの吸着剤を適切に処理且つ再生成するために直接燃焼焼成炉(214)を含んでいる。
【0035】
処理システム(110)と同様に、処理システム(210)は、水素生成又は産生のために吸着剤を増強したリフォーマー(212)への侵入の前に供給物を処理するための、(220)として通常指定される供給材料処理セクションを含む。供給材料処理セクション(220)は、示されるように、給水処理及びポンプセクション(222)、及び天然ガス供給及び圧縮セクション(224)を含有又は備えてもよく、給水は、ライン(226)を介して気化器及び予熱器ユニット(230)へと導入され、天然ガスの少なくとも一部は、ライン(232)を介して気化器及び予熱器ユニット(230)に導入される。気化器及び予熱器ユニット(230)からの供給材料は、ライン(234)を介して最終供給予熱器(236)へと運ばれ、結果として生じる加熱された供給物は、ライン(240)を介して、水素ガス(H2)吸着剤を増強したリフォーマー水素発生装置(212)に導入される。
【0036】
適切な吸着剤材料は、ライン(244)を介して水素ガス(H2)吸着剤を増強したリフォーマー水素発生装置(212)に導入される。
【0037】
システム(110)のSER水素発生装置(112)について、SER水素発生装置(112)は、改質反応中に産生される二酸化炭素を吸収するために吸着剤材料を利用して、付加的な水素ガス及び二酸化炭素を産生させ、二酸化炭素は好ましくは吸着剤材料を介して取り除かれる。故に、二酸化炭素の除去は優先的に、平衡状態を高純度水素平衡状態へと変える。
【0038】
水素ガス(H2)吸着剤を増強したリフォーマー水素発生装置(212)から出る生成物の流れ(252)は、適切なセパレーター又は処理デバイス(254)に導入されて、ガス状の生成物から固体を使用した吸着剤を分離する。特定の実施形態における、適切なセパレーター又は処理デバイスは、フィルタ、サイクロン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0039】
セパレーター(254)からの排ガスの流れ(260)は、適切な温度の低下のために排ガス冷却器(262)に通される。適切に冷却した排ガス、主に水素ガスで構成されるものは、例えば、圧力振動アブソーバーなどを介した更なる精製などの後の処理のために、ライン(264)を介して通過される。
【0040】
セパレーター(254)からの固体を使用した吸着剤は、固体入口上のバルブ(図示せず)及び固体出口上のバルブ(270)などによりホッパー(266)に集められ得る。一旦、ホッパーが適切に充填されると、ホッパーへの入口は閉じられ、圧力は適切なベントポート(図示せず)などを介してホッパーから圧力が放たれ得る。一旦、圧力が十分に低下すると、吸着剤出口バルブ(270)は開放され、大気直接燃焼焼成炉(214)への使用済み吸着剤の放出を可能にする。
【0041】
焼成炉(214)は、現在再生成される吸着剤から二酸化炭素を取り除く役目を果たす。直接焼成炉(214)からの材料は、適切なセパレーター又は処理デバイス(272)へとライン(271)を介して通されて、取り除かれた二酸化炭素を含む気体材料から再生成された吸着剤固体を分離する。特定の実施形態における、適切なセパレーター又は処理デバイスは、フィルタ、サイクロン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0042】
二酸化炭素及び他の気体は、ライン(274)を介して冷却器(276)へと通過し、その後ライン(278)を介して、通気管又は他の適切な廃棄又は放出へと通過する。
【0043】
セパレーター(272)から再生成された吸着剤は、圧力をSER反応炉圧力に増大させる、加圧ロックホッパーシステム(282)へと放出される。加圧された再生成された吸着剤は、SER反応炉(212)へとライン(244)を介して通される。
【0044】
処理システム(210)は、上述した処理システム(110)と同様に、全体が(284)で示され、メイン焼成バーナー部(294)に、ライン(292)を介して予熱された空気を供給する燃焼空気予熱ユニット(290)に、ライン(288)を介して燃焼空気を供給する燃焼空気コンプレッサユニット(286)を含むような、仮焼炉バーナー供給部とを備えている。メイン焼成バーナーユニット(294)はまた、ライン(298)を介して焼成炉(212)内に導かれる燃焼生成物と共に、天然ガスの在庫および圧縮部(224)から、ライン(296)を介して天然ガスを受け入れる。
【0045】
当業者に理解され、本明細書の教示によって導かれるが、間接的に焼成する焼成処理は、典型的に、熱伝達プロセスを複雑化し、必要な焼成温度を上げ、そして、固体の取り扱い手法を望ましく単純化し、二酸化炭素の分圧を下げることにより、必要とされる焼成温度を低下させることができる。その結果、特定の好ましい実施形態において、直火の焼成の利用は好まれる。
【0046】
図3及び図4を参照することで、より良好な認識、および対象の発展の理解が可能となるだろう。
【0047】
より具体的には、図3は、CaCOの焼成のための圧力と、焼成温度との間の平衡関係、上記に示した反応(5)を示すグラフである。CaCOの焼成中に、COが副産物として生成される。CaCOが焼成したときの副産物であるCOの分圧は、温度の関数として表わされる。図3は、COの分圧が増大すると、焼成に必要な温度が上昇することを示している。COの存在が、反応の原動力に影響を与える。このことを考慮して、非限定的な実施形態では、温度をCO分圧の変化として調節するような、制御を採用することが望ましい。焼成プロセスの効率を測定するために、CO分圧と出口の温度がモニタリングされ、固体粒子の投入、燃料供給速度、および焼成チャンバー入口温度と比較されてもよい。測定値は曲線から外れる場合に、燃料の投入を、温度を変化させるために調整してもよい。
【0048】
焼成に必要な熱は、表面積および細孔体積を減少させる、固体吸収剤粒子の焼結を引き起こす可能性がある。これは、反応性の低下をもたらし、後の工程で使用される、または追加の副生成物を吸収するために再利用される化合物の能力に悪影響を与える。例えば、酸化カルシウム(CaO)は二酸化炭素(CO)用の吸収剤である。その吸収反応によって、炭酸カルシウム(CaCO)が生成される。従って、CaCOは焼成されるとCaOへと戻ることができるが、結果として生じるCaOは不必要に焼結する可能性がある。細孔容積および表面積が失われることで、COをさらに吸収する反応において再使用される、新たに焼成されたCaOの能力が減少してしまう。
【0049】
焼結の量は、固体吸着剤粒子に適用される熱の量および固体吸着剤粒子が高温にさらされる時間の制限によって減少され得る。焼成のための従来の技術は、典型的に、焼成されている化合物を1時間以上高温にさらす。そのような持続時間は、焼成された生成物の反応度の著しい減少を引き起こす。焼成された生成物が別の反応を介して循環させられる(例えば、追加のCOを吸収する)場合、これらの他の焼成技術によって引き起こされた焼結は、追加の副産物を吸収する、焼成された生成物の能力を著しく制限して低下させ、及び/又は限界値、およびた、焼成された生成物が副産物を吸収するプロセスを介して循環させられ得る回数を著しく減少させる。
【0050】
ここで図4を参照すると、異なる選択された温度でのFredonia由来と超高純度CaOの焼結が描写され、焼結速度の増加がより高温で生じるということに重点が置かれている。これは、吸着剤(例えばCaO)の寿命を縮める。当業者によって評価される及び本明細書に提供される教示によって導かれるように、主題の開発に従う大気内焼成炉の使用が、この問題を緩和する又は最小限にすることが望ましい。
【0051】
したがって、主題の開発に従う操作が、大気焼成炉において吸着剤焼結を著しく減少させ、固形物の分離を増強することができることが理解され、認識されるべきである。
【0052】
請求項は、手段プラス機能または工程プラス機能の制限(means-plus- or step-plus-function limitations)を含むようには意図されていない、および含むようには解釈されるべきでなく、これは、そのような制限が、それぞれ、句「のための手段」または「のための工程」を使用して与えられた請求項において明確に明記されていない限りは当てはまる。
【0053】
本明細書に例示的に開示された本発明は適切に、本明細書に具体的には開示されていない要素、部分、工程、構成要素、または成分がない状態で実施されてもよい。
【0054】
前述の詳細な説明では、本発明がその特定の好ましい実施形態に関連して記載されており、多くの詳細が例証目的で明記されているが、本発明が追加の実施形態に影響されること、および本明細書に記載される特定の詳細が、本発明の基本原理から逸脱することなく相当に変更することができることは当業者に明白である。
図1
図2
図3
図4