(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/13 20060101AFI20230921BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20230921BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20230921BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G08G1/13
G01C21/26 A
G09B29/00 A
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2018091959
(22)【出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】321011767
【氏名又は名称】ジオテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽子
(72)【発明者】
【氏名】平野 宗亮
(72)【発明者】
【氏名】中尾 和浩
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-126919(JP,A)
【文献】特開2016-222143(JP,A)
【文献】特開2009-199572(JP,A)
【文献】特開2018-072069(JP,A)
【文献】特開2007-121528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/13
G01C 21/26
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを搭載した車両が走行した経路を示す経路情報と、前記経路を走行時に前記センサが収集したセンサ情報とを、ユーザIDと車両番号との少なくとも一方を含む識別情報に関連付けて収集する収集部と、
前記収集部が収集した前記経路情報及び前記センサ情報に基づいて、前記経路情報が示す経路を、自律走行機能を有
し、前記センサ情報を収集した際に識別した前記識別情報が示す車両が自律走行するための地図情報を生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記地図情報を、前記センサ情報を収集した際に識別した前記識別情報が示す車両または装置に提供する提供部と、を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記生成部は、同一の経路について複数回走行して収集された前記センサ情報に基づいて前記地図情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記収集部は、前記センサを搭載した車両の周辺環境情報を収集し、
前記生成部は、前記周辺環境情報が所定条件を満たさない場合に収集された前記センサ情報は、前記地図情報の生成に用いないようにする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記地図情報の生成の際に除外する道路が設定されている地図生成除外道路情報が格納された格納部を更に備え、
前記生成部は、前記地図生成除外道路情報に基づいて前記地図情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記経路情報に基づいて推奨走行経路情報を生成し、
前記地図情報には、前記推奨走行経路情報が含まれている、
ことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記センサはライダ又はレーダーであって、
前記センサ情報には、前記ライダ又は前記レーダーにより取得された点群情報を含むこ
とを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記センサはカメラであって、
前記センサ情報には、前記カメラにより取得された画像情報を含むことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
自律走行するための地図情報を生成する情報処理装置で実行される情報処理方法であって、
センサを搭載した車両が走行した経路を示す経路情報と、前記経路を走行時に前記センサが収集したセンサ情報とを、ユーザIDと車両番号との少なくとも一方を含む識別情報に関連付けて収集する収集工程と、
前記収集工程で収集した前記経路情報及び前記センサ情報に基づいて、前記経路情報が示す経路を、自律走行機能を有
し、前記センサ情報を収集した際に識別した前記識別情報が示す車両が自律走行するための地図情報を生成する生成工程と、
前記生成工程で生成した前記地図情報を、前記センサ情報を収集した際に識別した前記識別情報が示す車両または装置に提供する提供工程と、を含む、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行するための地図情報を生成する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の運転操作によらず、車両に搭載されたセンサから得られた自車位置等の情報に基づいて自律的に目的地へ走行させる所謂自動運転技術が開発されている。自動運転技術は、例えば、車両の現在位置や、周辺状況を把握し、予め設定した経路に沿って走行するように操舵、アクセル、ブレーキ等の制御を自動で行う技術である。
【0003】
このような自動運転が可能な車両は、前記した自車位置だけでなく高精度な地図情報も必要である。高精度な地図とは、車線中央や白線の緯度、経度情報、標識、および、信号位置に関する情報など従来のナビゲーション装置の地図よりも詳細な情報が含まれている地図である(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した高精度地図は、現在、国や地図メーカなどの協力により作成されようとしている。しかしながら、このような国や地図メーカなどにより作成される地図は、大都市圏や高速道路等の人口や通行量の多い地域や道路が優先される。そのため、人口の少ない地域等に住む住民等の自動運転を利用したいというニーズを満たすことが困難になっている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、自律走行可能な地図情報を個人のニーズに応じて生成することができる情報処理装置を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、センサを搭載した車両が走行した経路を示す経路情報と、前記経路を走行時に前記センサが収集したセンサ情報と、を識別情報に関連付けて収集する収集部と、前記収集部が収集した前記経路情報及び前記センサ情報に基づいて、前記経路情報が示す経路を自律走行機能を有する車両が自律走行するための地図情報として生成する生成部と、前記生成部が生成した前記地図情報を前記識別情報により特定された対象に提供する提供部と、を備え、前記地図情報は、前記識別情報により特定された対象に関する情報が含まれている、ことを特徴としている。
【0008】
請求項8に記載の発明は、自律走行するための地図情報を生成する情報処理装置で実行される情報処理方法であって、センサを搭載した車両が走行した経路を示す経路情報と、前記経路を走行時に前記センサが収集したセンサ情報と、を識別情報に関連付けて収集する収集工程と、前記収集工程で収集した前記経路情報及び前記センサ情報に基づいて、前記経路情報が示す経路を自律走行機能を有する車両が自律走行するための地図情報として生成する生成工程と、前記生成工程で生成した前記地図情報を前記識別情報により特定された対象に提供する提供工程と、を含み、前記地図情報は、前記識別情報により特定された対象に関する情報が含まれている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の情報処理方法を、コンピュータにより実行させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例にかかる情報処理装置を有するシステムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示されたサーバ装置の機能構成図である。
【
図3】
図1に示された車両制御装置の機能構成図である。
【
図4】
図3に示された車両制御装置の動作のフローチャートである。
【
図5】
図2に示されたサーバ装置の動作のフローチャートである。
【
図6】自律走行用の地図データを生成する際の具体例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態にかかる情報処理装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる情報処理装置は、センサを搭載した車両が走行した経路を示す経路情報と、経路を走行時にセンサが収集したセンサ情報と、を識別情報に関連付けて収集する収集部と、収集部が収集した経路情報及びセンサ情報に基づいて、経路情報が示す経路を自律走行機能を有する車両が自律走行するための地図情報として生成する生成部と、生成部が生成した地図情報を識別情報により特定された対象に提供する提供部と、を備えている。そして、地図情報は、識別情報により特定された対象に関する情報が含まれている。このようにすることにより、経路情報やセンサ情報を収集することができる車両があれば、収集された情報に基づいて個人が必要な範囲の自律走行が可能な地図を生成することができ、自律走行可能な地図情報を個人のニーズに応じて生成することができる。
【0012】
また、生成部は、同一の経路について複数回走行して収集されたセンサ情報に基づいて地図情報を生成してもよい。このようにすることにより、地図情報に含まれる情報の精度を高めることが可能となる。
【0013】
また、収集部は、センサを搭載した車両の周辺環境情報を収集し、生成部は、周辺環境情報が所定条件を満たさない場合に収集されたセンサ情報は、地図情報の生成に用いないようにしてもよい。このようにすることにより、例えば、車両に搭載されたセンサにとって悪条件となる状況において収集されたセンサ情報は地図情報の生成に利用しないようにすることができる。したがって、地図情報の精度が低下することを防止することができる。
【0014】
また、地図情報の生成の際に除外する道路が設定されている地図生成除外道路情報が格納された格納部を更に備え、生成部は、地図生成除外道路情報に基づいて地図情報を生成してもよい。このようにすることにより、繁華街や複雑な交差点等の高度な自律走行機能を要求される場所では、地図情報の生成を行わないようにすることができる。
【0015】
また、生成部は、経路情報に基づいて推奨走行経路情報を生成し、地図情報には、推奨走行経路情報が含まれていてもよい。このようにすることにより、実際の走行実績に基づく経路を自律走行させることができる。
【0016】
また、センサはライダ(Light Detection and Ranging)であって、センサ情報には、ライダにより取得された点群情報を含んでもよい。このようにすることにより、ライダにより収集された点群情報に基づいて地図情報を生成することができる。また、ライダにとってのセンサ情報収集の悪条件とは、天候が雨であったり、ライダから出力されたレーザ光が対象物によって反射された光である反射光の反射強度が所定値より高くなってしまうような晴天又は日光が強い時間帯等である。このとき、センサはライダには限定されず、ミリ波等の電波によるレーダーであってもよい。
【0017】
また、センサはカメラであって、センサ情報には、カメラにより取得された画像情報を含んでもよい。このようにすることにより、カメラによって撮像された画像に基づいて地図情報を生成することができる。また、カメラにとってのセンサ情報収集の悪条件とは、天候が雨であったり、カメラにより取得された画像情報の鮮明度が低下する夜の時間帯等である。
【0018】
また、本発明の一実施形態にかかる情報処置方法は、センサを搭載した車両が走行した経路を示す経路情報と、経路を走行時にセンサが収集したセンサ情報と、を識別情報に関連付けて収集する収集工程と、収集工程で収集した経路情報及びセンサ情報に基づいて、経路情報が示す経路を自律走行機能を有する車両が自律走行するための地図情報として生成する生成工程と、生成工程で生成した地図情報を識別情報により特定された対象に提供する提供工程と、を含んでいる。そして、地図情報は、識別情報により特定された対象に関する情報が含まれている。このようにすることにより、経路情報やセンサ情報を収集することができる車両があれば、収集された情報に基づいて個人が必要な範囲の自律走行が可能な地図を生成することができ、自律走行可能な地図情報を個人のニーズに応じて生成することができる。
【0019】
また、上述した情報処理方法を、コンピュータにより実行させてもよい。このようにすることにより、経路情報やセンサ情報を収集することができる車両があれば、コンピュータを用いて、収集された情報に基づいて個人が必要な範囲の自律走行が可能な地図を生成することができ、自律走行可能な地図情報を個人のニーズに応じて生成することができる。
【実施例】
【0020】
本発明の一実施例にかかる情報処理装置を
図1~
図9を参照して説明する。自律走行機能を有する車両である車両Cに搭載されている車両制御装置3は、
図1に示したように、インターネット等のネットワークNを介してサーバ装置1と通信可能となっている。
【0021】
情報処理装置としてのサーバ装置1の機能的構成を
図2に示す。サーバ装置1は、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、を備えている。
【0022】
制御部11は、サーバ装置1のCPU(Central Processing Unit)が機能し、サーバ装置1の全体制御を司る。制御部11は、車両制御装置3から送信された経路情報及びセンサ情報等に基づいて車両Cが自律走行(自動運転による走行)できる程度の詳細情報が付加された地図データを生成し、記憶部13に地図データ13aとして記憶させる。そして、生成された地図データを車両制御装置3(車両C)に提供する。
【0023】
通信部12は、サーバ装置1のネットワークインターフェース等が機能し、車両制御装置3が送信した経路情報及びセンサ情報等を受信する。また、制御部11が生成した地図データを車両制御装置3に送信する。
【0024】
記憶部13は、サーバ装置1のハードディスク等の記憶装置が機能し、地図データ13aが記憶されている。地図データ13aは、制御部11で生成された車両Cが自律走行できる程度の詳細な情報(車線中央や白線の緯度、経度情報、標識、および、信号位置、その他の地物の位置等)が含まれている地図である。
【0025】
車両Cは、車両制御装置3及びセンサ4を備えている。車両制御装置3は、センサ4が検出した結果及び、車両制御装置3が有する地図データ33aに基づいて車両Cを自律走行させることが可能である。
【0026】
図3に車両制御装置3の機能的構成を示す。車両制御装置3は、制御部31と、通信部32と、記憶部33と、を備えている。
【0027】
制御部31は、センサ4が検出した結果及び記憶部33に記憶された地図データ33aに基づいて、車両Cの自己位置を推定する。そして、制御部31は、車両Cのハンドル(操舵装置)やアクセル、ブレーキ等を制御して車両Cを自律的に走行させる。つまり、制御部31は、外界認識部としてのセンサ4の検出結果(認識結果)を取得する。また、制御部31は、センサ4で取得された結果のうち、少なくとも経路情報と点群情報や画像情報を含む情報を通信部32を介してサーバ装置1に送信する。また、制御部31は、サーバ装置1で生成された地図データを受信し、地図データ33aとして記憶部33に記憶させる。
【0028】
通信部32は、経路情報と点群情報等をサーバ装置1に送信する。また、サーバ装置1から送信された地図データ等を受信する。
【0029】
記憶部33は、地図データ33aが記憶されている。地図データ33aは、地図データ13aと同様に車両Cが自律走行できる程度の詳細情報が付加された地図データである。
【0030】
センサ4は、自車位置等の自車の情報や周辺環境(周辺に存在する地物等)を認識するためのセンサであり、カメラ、ライダ、レーダー、GPS(Global Positioning System)受信機等、を含む。また、これらのセンサ以外に車両の加速度を検出する加速度センサ、車両の速度を検出する速度センサ、車両の姿勢(向きなど)を認識して他のセンサの取得データを補正するための慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)やジャイロセンサ、雨滴を検知する雨滴センサなどを備えている。
【0031】
センサ4に含まれるカメラは、車両Cの外界の状況を表す画像を撮影する。センサ4に含まれるライダ又はレーダーは、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置や形状等を三次元の点群として認識する。このライダ又はレーダーが取得した情報は点群情報として出力される。センサ4に含まれるGPS受信機は、現在の車両の位置を表す緯度及び経度の位置情報を検出し出力する。
【0032】
次に、上述した構成にかかる車両制御装置3及びサーバ装置1の動作について
図4及び
図5のフローチャートを参照して説明する。
図4は、車両制御装置3の動作のフローチャートである。
【0033】
まず、ステップS101において、制御部31は、センサ4が取得した情報を収集するか否か判断し、収集する場合(YESの場合)はステップS102に進み、収集しない場合(NOの場合)は本フローチャートを終了する。ステップS101は、例えば車両Cの搭乗者(運転者)に車両の走行開始時に収集するか否かを選択させることにより判断すればよい。
【0034】
次に、ステップS102において、制御部31は、経路情報及びセンサ情報並びに環境情報の収集を開始する。経路情報は、例えばGPS受信機により検出される現在位置の情報に基づく走行軌跡としてもよいし、車両Cが走行したノードやリンクの情報であってもよい。即ち、経路情報は、センサを搭載した車両が走行した経路を示している。
【0035】
センサ情報は、センサ4に含まれるライダから得られた点群情報としてもよいし、カメラから得られた画像情報としてもよい。或いは、点群情報及び画像情報の両方を含むものであってもよい。以降の説明では、センサ情報として点群情報で説明する。即ち、センサ情報は、上記経路情報が示す経路を走行時にセンサ4(ライダ、カメラ)が収集した情報を示している。したがって、センサ情報は経路情報に関連付けられている。
【0036】
環境情報とは、例えば雨滴センサの検出結果から得られる車両C周囲の天候や経路情報及びセンサ情報の取得時刻等である。時刻はGPS衛星からの電波に含まれる時刻情報から得てもよいし、制御部31等が時計機能を有していれば、当該時計機能から得てもよい。即ち、環境情報は、センサを搭載した車両の周辺環境情報となる。
【0037】
次に、ステップS103において、制御部31は、目的地に到着したか否かを判断し、到着した場合(YESの場合)はステップS104に進み、到着しない場合(NOの場合)は経路情報及びセンサ情報並びに環境情報の収集を行いつつ、本ステップを繰り返し実行する。目的地到着したか否かの判断は、車両Cが自律走行している場合であれば、走行前に設定される目的地から判断すればよい。また、車両Cが手動運転で走行している場合であれば運転者による目的地到着を示す操作の有無又は図示しないナビゲーション装置に設定された目的地に到着したか否か等により判断すればよい。ここで、手動運転とは、操舵やアクセル、ブレーキ等の運転操作が運転者により行われて車両Cを走行させることをいう。
【0038】
次に、ステップS104において、制御部31は、ステップS102~S103において取得された経路情報及びセンサ情報並びに経路情報及びセンサ情報取得時の環境情報をサーバ装置1へ通信部32を介して送信する。また、これらの情報を送信する際に、ユーザIDや車両番号等の識別情報を付加して送信する。或いは、ユーザIDとパスワードによりサーバ装置1にログインして経路情報及びセンサ情報並びに環境情報を送信するようにしてもよい。即ち、経路情報とセンサ情報とを識別情報に関連付けて送信している。
【0039】
なお、
図4のフローチャートでは、目的地到着時に経路情報及びセンサ情報並びに環境情報をサーバ装置1へ送信しているが、走行中に逐次送信するようにしてもよいし、予め定めた時刻(例えば午前0時)に送信するようにしてもよい。
【0040】
次に、サーバ装置1の動作(情報処理方法)を
図5のフローチャートを参照して説明する。
図5のフローチャートは、センサ情報として点群情報を取得して地図データを生成する例である。また、
図5に示したフローチャートを制御部11のCPUで実行するプログラムとして構成することで情報処理プログラムとすることができる。
【0041】
まず、ステップS201において、制御部11は、車両制御装置3から経路情報及びセンサ情報並びに環境情報を収集する。この際に、経路情報及びセンサ情報並びに環境情報は、上述したユーザIDに関連付けて収集される。即ち、制御部11は、経路情報とセンサ情報とを識別情報に関連付けて収集する収集部として機能する。
【0042】
なお、ステップS201において、制御部11は、車両制御装置3から送信された情報を直接取得するに限らず、一旦記憶部13に記憶させた経路情報及びセンサ情報並びに環境情報を記憶部13から読み出すことも含む。
【0043】
次に、ステップS202において、制御部11は、ステップS201で収集した経路情報及びセンサ情報について、悪条件で収集されたものであるか否かを判断し、悪条件による収集でない場合(NOの場合)はステップS203に進み、悪条件による収集の場合(YESの場合)はフローチャートを終了する。即ち、環境情報(周辺環境情報)がセンサにとって悪条件の状況で収集されたセンサ情報は、地図データの生成に用いないようにしている。
【0044】
ステップS202では、ステップS201で収集した環境情報に基づいて、経路情報及びセンサ情報が、例えばライダが雨又は反射光の反射強度が所定値より高くなる天候や時間帯といった悪条件で収集されたものである場合は、その情報は地図データの生成に利用しないようにしている。つまり、悪条件で収集された情報は、地図データの精度を悪化させる場合があるので、そのような情報は地図データ生成から排除する。なお、悪天候の例として上記では雨を挙げたが、雪や霧等他の悪天候も含む。
【0045】
次に、ステップS203において、制御部11は、ステップS201で収集した走行経路が、同一の経路について所定回数以上走行しているか否かを判断し、所定回数以上走行している場合(YESの場合)はステップS204に進み、所定回数以上走行していない場合(NOの場合)はフローチャートを終了する。自律走行に利用される地図は、できるだけ多くの情報に基づいて生成した方が地図に含まれる地物の位置や属性等の精度を向上させることができる。そこで、本実施例では、同一の経路を複数回以上走行した場合に以降のステップを実行するようにしている。なお、所定回数は、例えば8回等予め定めてもよいし、例えば収集された点群情報の密度等に応じて定めてもよい。また、経路情報に含まれる道路の種類(複数車線・1車線、センターラインの有無等)によって変更してもよい。
【0046】
また、本実施例では、ユーザID等で識別しているので、同じユーザID等で同一の経路について所定回数以上走行している場合にステップS203はYESと判断される。即ち、同一の識別情報によって特定された対象から収集した経路について複数回走行した場合、ステップS203はYESと判断される。
【0047】
次に、ステップS204において、制御部11は、ステップS201で収集した走行経路に地図生成除外道路が含まれているか否かを判断し、地図生成除外道路が含まれていない場合(NOの場合)はステップS205に進み、地図生成除外道路が含まれている場合(YESの場合)はフローチャートを終了する。地図生成除外道路とは、自律走行用の地図データを生成しない道路をいい、地図生成除外道路の情報は、記憶部13に予め記憶されている。即ち、記憶部13が、地図情報の生成の際に除外する道路が設定されている地図生成除外道路情報が格納された格納部として機能し、制御部11は、地図生成除外道路情報に基づいて地図情報を生成している。
【0048】
地図生成除外道路の具体例としては、繁華街やゾーン30等の人通りが多く、歩道が無いか、歩道があってもガードレールが設置されていないため人の飛び出しの危険性が高い道路や形状が複雑な交差点等が挙げられる。このような道路では高度な自律走行機能を要求されるため、地図データの生成を行わない。なお、車両Cに高度な自立走行を行うことが可能な制御部やセンサを備えており、繁華街等であっても安全に自律走行を行える場合には、この限りではない。
【0049】
次に、ステップS205において、制御部11は、ステップS201で収集した点群情報に含まれるノイズ情報を除去する。このノイズ除去は、例えばライダで取得した点群情報に他車両など地図の生成に不要な物体等を除去することである。
【0050】
次に、ステップS206において、制御部11は、複数回走行分の点群情報を接合する。つまり、同一の識別情報によって特定された対象から収集した同一の経路について複数回走行した結果得られた点群情報同士の整合をとるように接合する。
【0051】
次に、ステップS207において、制御部11は、ステップS206の結果に対して地物(建物、道路標示等)を抽出して図化を行う。
【0052】
次に、ステップS208において、制御部11は、図化したデータに対して、車両向けの地図データフォーマットに変換して地図データとして生成する。即ち、ステップS202~S208において、制御部11は、収集部が収集した経路情報及びセンサ情報に基づいて、経路情報が示す経路を自律走行機能を有する車両が自律走行するための地図情報として生成する生成部として機能している。
【0053】
そして、ステップS209において、制御部11は、ステップS208で生成された地図データを通信部12を介して経路情報等を収集した際に識別したユーザIDが示す車両制御装置3へ送信する。なお、本ステップで生成した地図データを送信するタイミングは、生成後直ちにでなくてもよく、車両制御装置3からの要求に応じて送信してもよいし、予め定めた時刻(例えば午前0時)に送信するようにしてもよい。即ち、制御部11は、生成部が生成した地図情報を識別情報により特定された対象に提供する提供部として機能する。
【0054】
以上の説明から明らかなように、ステップS201が収集工程、ステップS202~S208が生成工程、ステップS209が提供工程として機能する。
【0055】
なお、上述したフローチャートはセンサ情報としてライダで収集した点群情報で説明したが、カメラで収集した画像情報であってもよい。カメラの場合であっても、フローチャートの基本的なステップは同様である。また、点群情報と画像情報の双方をセンサ情報として地図データを生成してもよい。
【0056】
次に、上述した自律走行用の地図データを生成する際の具体例として
図6を参照して説明する。
図6は、車両Cの所有者が、自宅HからスーパーマーケットSまで車両Cで買い物に行く際の経路RTを示した図である。また、この
図6の範囲は、自律走行(自動運転)用の地図データが国や地図メーカ等により整備されていないとする。この場合、車両Cの所有者は、まず、車両Cを手動運転で自宅HからスーパーマーケットSまで所定回数以上走行する(往復する)。次に、得られた走行軌跡と、車両Cに搭載されたライダで得られた点群情報から経路RTについての自律走行用の地図データをサーバ装置1に生成させる。そして、生成した地図データを車両Cの車両制御装置3に格納(ダウンロード)する。そして、自律走行用の地図データが車両制御装置3に格納された以降は、車両Cの自律走行機能を利用して、少なくとも自宅HからスーパーマーケットSまで自律走行することが可能となる。
【0057】
また、上述した自律走行用の地図データは、個人所有の車両Cに搭載されたセンサを利用するため、例えば自宅Hにおける車両Cの駐車位置からスーパーマーケットSの駐車場の駐車位置までの走行軌跡を取得することができる。つまり、上述した地図データには、このような特定個人が利用した駐車場についての情報(駐車位置や出発地・目的地の名称等)が含まれている。即ち、地図情報は、識別情報により特定された対象に関する情報が含まれている。そのため、出発地である自宅の駐車位置から目的地であるスーパーマーケットSの駐車位置まで自律走行が可能となる。勿論復路(自宅への帰還)も自律走行で自宅Hの駐車位置まで走行可能である。
【0058】
本実施例によれば、サーバ装置1の制御部11は、センサ4を搭載した車両Cが走行した経路を示す経路情報と、経路を走行時にセンサ4に含まれるライダが収集した点群情報と、をユーザIDに関連付けて収集し、収集した経路情報及びセンサ情報に基づいて、経路情報が示す経路を自律走行機能を有する車両Cが自律走行するための地図データとして生成し、生成した地図データを車両Cに提供している。そして、地図データは、ユーザIDにより特定されたユーザの出発地や目的地における駐車位置の情報が含まれている。このようにすることにより、経路情報やセンサ情報を収集することができる車両があれば、収集された情報に基づいて個人が必要な範囲での自律走行が可能な程度の地図を生成することができ、自律走行用の地図データを個人のニーズに応じて生成することができる。
【0059】
また、制御部11は、同一の経路について所定回数以上走行して収集されたセンサ情報に基づいて地図データを生成する。このようにすることにより、地図データに含まれる情報の精度を高めることが可能となる。
【0060】
また、制御部11は、車両Cの天候や時刻の情報も収集し、天候が雨の場合や時刻が反射光の反射強度が所定値より高くなる時間帯に収集された点群情報は、地図データの生成に用いないようにしている。このようにすることにより、天候が雨であったり、反射光の反射強度が所定値より高くなる時間帯であったりといった悪条件において収集された情報は地図データの生成に利用しないようにすることができる。したがって、地図データの精度が低下することを防止することができる。
【0061】
また、記憶部13に地図生成除外道路情報が記憶され、制御部11は、地図生成除外道路情報に基づいて地図データを生成している。このようにすることにより、繁華街等自律走行に適さない場所では、地図データの生成を行わないようにすることができる。
【0062】
なお、上述した
図1に示した構成では、経路情報及びセンサ情報等を収集した車両Cにサーバ装置1で生成した地図データを送信していたが、本発明はこれに限らない。例えば、
図7に示したように、経路情報及びセンサ情報等は車両Cで収集し、生成された地図データは携帯機器Mや自宅等に設置したパソコンP等に送信(ダウンロード)するようにしてもよい。これは、ユーザIDとパスワードでサーバ装置1にログインする方式でデータを管理すれば実現可能である。そして、携帯端末MやパソコンPから地図データを自律走行機能を有する車両にBlutooth(登録商標)等の無線通信やメモリーカード等の記憶媒体により転送すればよい。つまり、提供部の提供先は車両に限らない。
【0063】
また、
図8に示したように経路情報及びセンサ情報等を収集する車両と、生成された地図データを使用して自律走行する車両と、が異なっていてもよい。
図8は、車両C1で経路情報及びセンサ情報等を収集し、生成された地図データを車両C1と異なる車両C2で自律走行に利用していることを示す図である。このようにすることで、例えばある家族において、父が主に使用する車両で経路情報及びセンサ情報等を収集し、父が主に使用する車両で収取した情報に基づいて生成された地図データを利用して母が別の車両を利用して、自律走行により買い物や通院等に出かけることが可能となる。
【0064】
図8のような構成が可能なため、経路情報及びセンサ情報を収集する車両は、自律走行機能を有していなくてもよい。例えばADAS(Advanced Driver Assistance System)用のセンサ等を利用してもよい。
【0065】
また、サーバ装置1は、収集した経路情報に基づいて、例えば制御部11が、自律走行時の推奨走行経路を生成し、その推奨走行経路の情報を地図データに含めてもよい。このようにすることにより、例えば、
図9に示したように、片側2車線の道路で歩道側(左側)の車線L1に駐車車両PVが停車していることが多い場合は、対向車線側(右側)の車線L2を予め走行させるように指定できる(符号RRT参照)。また、路地等の幅が狭い道路でも、予め電柱等の障害物を避けた範囲を走行させることが可能となる。即ち、実際の走行実績に基づく経路を自律走行させることができる。
【0066】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の情報処理装置を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 サーバ装置(情報処理装置)
3 車両制御装置
4 センサ(ライダ、レーダー、カメラ)
13 記憶部
31 制御部(収集部、生成部、提供部)
32 通信部
33 記憶部(格納部)
C 車両