(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】アイキャッチラベル
(51)【国際特許分類】
G09F 3/02 20060101AFI20230921BHJP
G09F 3/00 20060101ALI20230921BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G09F3/02 A
G09F3/00 D
G09F3/10 B
G09F3/10 H
(21)【出願番号】P 2019181169
(22)【出願日】2019-10-01
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】槇田 知巳
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6329677(JP,B1)
【文献】特開2001-134190(JP,A)
【文献】特開2007-160184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/02
G09F 3/00
G09F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材と、前記基材上に形成された肌用粘着剤層とを有するボディシールと、
前記肌用粘着剤層を剥離可能に覆うセパレータと、
前記セパレータにおいて前記肌用粘着剤層と接触する面と反対側の面に形成された、被着物用粘着剤層と、
を
備え、
前記ボディシールは前記セパレータ上の一部領域に取り付けられ、露出した前記セパレータの残部上にアイキャッチ印刷が設けられている、
アイキャッチラベル。
【請求項2】
前記被着物用粘着剤層の一部に糊殺し処理が施されている、
請求項1に記載のアイキャッチラベル。
【請求項3】
前記ボディシールが前記アイキャッチ印刷に係る表示の一部を構成している、
請求項1に記載のアイキャッチラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種商品に取り付けられるアイキャッチラベル、より詳しくは、ボディシールを含むアイキャッチラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に直接貼り付けて使用するボディシールが知られている。ボディシールは、フェイスペイントやタトゥーのような視覚効果を簡便に得ることができ、不要になった際も簡単にはがせる。ボディシールの人気は高まっており、これを景品(ノベルティ)として商品等の被着物に取り付けたいという需要も高まっている。
【0003】
通常、ボディシールを景品として商品に取り付ける際は、ボディシールを包装袋に収容し、この包装袋を商品の容器に貼り付けたり、ボディシールを商品と一緒に外装袋に入れたりしている。
このため、ボディシールが包装袋や容器に遮られて見えなくなることがあり、商品の購買意欲の増大につながりにくい。
【0004】
一方、ボディシール自体をアイキャッチラベルとして直接商品に貼り付けると、粘着面が汚れたり、粘着力が低下したりするため、ボディシールとしての品質が低下する。
この問題に関連して、特許文献1には、被着物に貼付される下層シール部と、下層シール部の表面に積層された中間層と、中間層の表面に積層された上層シール部とを有するシール体が記載されている。このシール体は、下層シール部を被着物に貼り付けることにより、上層シール部の粘着剤を使わずに被着物に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の構造では、中間層を必要とするため、材料点数および層数が多く、製造工程も煩雑である。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、簡素な構造でボディシールの粘着面を使わずに被着物に取り付けられるアイキャッチラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シート状の基材と、基材上に形成された肌用粘着剤層とを有するボディシールと、肌用粘着剤層を剥離可能に覆うセパレータと、セパレータにおいて肌用粘着剤層と接触する面と反対側の面に形成された被着物用粘着剤層とを備えるアイキャッチラベルである。
このアイキャッチラベルにおいて、ボディシールはセパレータ上の一部領域に取り付けられており、露出したセパレータの残部上にアイキャッチ印刷が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡素な構造でボディシールの粘着面を使わずに被着物に取り付けられるアイキャッチラベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアイキャッチラベルの平面図である。
【
図3】同アイキャッチラベルが貼り付けられた被着物を示す図である。
【
図4】変形例に係るアイキャッチラベルが貼り付けられた被着物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について、
図1から3を参照して説明する。
図1は、本実施形態のアイキャッチラベル1の平面図であり、
図2は、
図1のI-I線における断面図である。アイキャッチラベル1は、ボディシール10と、ボディシール10に取り付けられたセパレータ20とを備えている。
【0012】
ボディシール10は、基材11と、基材11上に形成された肌用粘着剤層12とを有する。
基材11の材質としては、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエステル)などのポリオレフィン系樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系樹脂を例示できる。基材11の厚みは、皮膚の変形への追従性等を考慮して適宜設定できるが、例えば10μm~50μm程度とできる。
【0013】
肌用粘着剤層12は、皮膚への貼り付けに際し、一定の安全性が担保された粘着剤で形成された層である。組成としては、メタノール、ヒ素、カドミウム、水銀、ホルムアルデヒド、鉛等の有害物質の含有量や、細菌およびカビの量が所定値以下である。
上記所定値としては、日本国の食品衛生法における「うつし絵」や「おもちゃの塗膜」に係る基準等を使用できる。
肌用粘着剤層12のベースとなる粘着剤には特に制限はなく、例えばアクリル系粘着剤を使用できる。肌用粘着剤層12は、ヒトや動物等を用いたパッチテスト等により安全性が確認されていることが好ましい。
【0014】
セパレータ20は、肌用粘着剤層12を剥離可能な状態で被覆してボディシール10の使用時まで保護するとともに、アイキャッチラベルの基材として機能する。
セパレータ20としては、樹脂製のシートや、一方の面に剥離加工が施された剥離紙等を使用できる。
【0015】
セパレータ20において、肌用粘着剤層12と接触する第一面20aと反対側の第二面20b上には、被着物用粘着剤層30が形成されている。被着物用粘着剤層30を形成する粘着剤は、被着物の材質等を考慮して適宜決定でき、アイキャッチラベル1を被着物から剥がした際に、被着物に残留しにくいものが好ましい。
被着物用粘着剤層30は、使用時まで別のセパレータに覆われて保護されてもよい。
【0016】
ボディシール10の基材11の上面には、全面に印刷層13が形成されており、印刷層13の一部が、複数の図形領域16となっている。ボディシール10には、
図2に示すように、印刷層13、基材11、および肌用粘着剤層12を貫通する抜き加工が、各図形領域の輪郭に沿って施されている。
【0017】
上記のように構成された本実施形態のアイキャッチラベル1の使用時の動作について説明する。
被着物用粘着剤層30を被着物の表面に接触させることにより、
図3に示すように、アイキャッチラベル1を被着物100の表面に取り付けることができる。この状態において、アイキャッチラベル1は被着物用粘着剤層30によって被着物に貼り付いており、ボディシールの肌用粘着剤層12は、セパレータ20に覆われた状態で保護されるため、汚れたり、粘着力が低下したりしない。
【0018】
ボディシール10を使用する際は、図形領域16をセパレータ20から剥離して皮膚の所望の位置に貼り付ける。ボディシール10には抜き加工が施されているため、図形領域16のみを簡便に剥離できる。
【0019】
以上説明したように、本実施形態に係るアイキャッチラベル1においては、セパレータ20に被着物用粘着剤層30を設けることにより、セパレータ20に肌用粘着剤層12の保護と物品への粘着との2つの機能を持たせている。その結果、中間層が必要なくなり、簡素な構造で簡便に製造できる上、ゴミの量も低減できる。
【0020】
アイキャッチラベル1は、肌用粘着剤層12と別に被着物用粘着剤層30を備えるため、それぞれに求められる特性を踏まえて最適な材料で各層を構成できる。例えば、被着物への安定した接着性を考慮して、肌用粘着剤層12の粘着性を皮膚に貼る際に不必要な程度まで強くする必要がない。
【0021】
さらに、アイキャッチラベルとしての剛性を、もっぱらセパレータ20に発揮させることにより、ボディシール10の基材11を十分薄くすることができ、ボディシール10の使用感や皮膚変形への追従性を高めることができる。
【0022】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0023】
・ボディシールに抜き加工を施すことは必須ではない。ボディシール全体をセパレータから剥がして皮膚に貼り付けてもよい。
・ボディシールに抜き加工を施した後にカス上げを行って、使用される図形領域のみをセパレータ上に残してもよい。
【0024】
・
図4に示すように、アイキャッチラベルの一部のみを被着物100に貼り付けると、アイキャッチラベルの一部を被着物100から突出させて視覚効果を高めることができる。このような貼り付け方をする際は、セパレータが自立状態を保てるように材質や厚みを選択して、セパレータの剛性を十分確保することが好ましい。また、この場合、
図4に示す変形例のアイキャッチラベル1Aのうち、被着物100に貼り付けられない領域R1の被着物用粘着剤層30に糊殺し処理を施すと、陳列中に被着物用粘着剤層30が汚れたり、手に取った際に店員や購買者等の手指に付着したりすることを好適に防止できるため、好ましい。
【0025】
・基材11、肌用粘着剤層12、セパレータ20、および被着物用粘着剤層30を透明な材料で形成する等により、アイキャッチラベル1Aのように、図形領域16以外が概ね透明なアイキャッチラベルを構成できる。この場合、アイキャッチラベルが貼り付けられた部分の被着物の表示も視認できるため、被着物が発揮する視覚効果を妨げない。アイキャッチラベルの全体でなく、被着物に貼り付けられる部位だけを透明に構成してもよい。
ボディシールの一部をカス上げした場合や、印刷層が図形領域のみである場合は、セパレータ20および被着物用粘着剤層30を透明な材料で形成するだけで概ね全体を透明に構成できる。さらに、被着物用粘着剤層30を、セパレータ20の全面でなく、例えば隅部や周縁等の一部のみに設ければ、セパレータ20のみを透明とするだけで、アイキャッチラベルの多くの領域を透明に構成できる。
【0026】
・セパレータに各種情報を印刷し、ボディシールがはがされた際に視認できるようにしてもよい。各種情報としては、ボディシールの使用上の注意や、キャンペーン等に使用されるシリアルナンバーや各種コード等を例示できる。印刷は、ボディシールがはがされた際に視認できさえすればよく、セパレータのどちら側の面に形成されてもよい。各種情報が、アイキャッチラベルの裏側から各種情報が視認できないように、各種情報の印刷と、白や黒の全面(ベタ)印刷とが組み合わされてもよい。
・ボディシールをセパレータ上の一部(例えば半分)領域のみに取り付け、残りの領域においては、セパレータに印刷したアイキャッチのための図柄や情報などを視認可能に露出させてもよい。さらに、ボディシールの図形や絵柄等を、アイキャッチのための図柄や情報等の一部として兼用してもよい。
【0027】
・被着物の種類や材質、形状、寸法等には特に制限はない。種類としては、飲料用容器、菓子箱、医薬品容器等の各種容器、包装、外装等を例示でき、商品自体が被着物であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
1、1A アイキャッチラベル
10 ボディシール
11 基材
12 肌用粘着剤層
20 セパレータ
30 被着物用粘着剤層