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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】ニコチン粉末消耗品物品
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/06 20060101AFI20230921BHJP
   A24F 42/20 20200101ALI20230921BHJP
   A24F 42/60 20200101ALI20230921BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20230921BHJP
【FI】
A61M15/06 A
A24F42/20
A24F42/60
A24F47/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019565227
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-27
(86)【国際出願番号】 IB2018053620
(87)【国際公開番号】W WO2018220476
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-04-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】17173784.4
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ビューラー フレデリック ユリシー
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】安井 寿儀
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-190178(JP,A)
【文献】特表2010-511395(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166350(WO,A2)
【文献】特開平2-2331(JP,A)
【文献】特表2007-520204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071248(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055576(US,A1)
【文献】国際公開第2015/193498(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/06
A24F 42/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンの粒子を送達するために吸入器物品で利用されるように構成されたニコチン粉末消耗品物品であって、
近位端と遠位端との間に延びる細長い消耗品本体と、
前記細長い消耗品本体内に固定された貫通可能なカプセルであって、前記細長い消耗品本体が前記貫通可能なカプセルと接触し、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む乾燥粉末粒子を含有する、貫通可能なカプセルと、
前記細長い消耗品本体内かつ前記貫通可能なカプセルと前記近位端との間に配置される第一の材料のプラグと、
前記細長い消耗品本体内かつ前記貫通可能なカプセルと前記遠位端との間に配置される第二の空気多孔性材料のプラグであって、前記第一の材料のプラグと気流連通していない、第二の空気多孔性材料のプラグと、を備える、ニコチン粉末消耗品物品。
【請求項2】
前記第二の空気多孔性材料のプラグが、前記細長い消耗品本体の遠位端によって画定される開放空間を完全に充填し、前記第一の材料のプラグが前記細長い消耗品本体の近位端によって画定される開放空間を完全に充填する、請求項1に記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項3】
前記第一の材料のプラグが、酢酸セルロースを含む、請求項1または2に記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項4】
前記第二の空気多孔性材料のプラグが、酢酸セルロースを含む、請求項1~3のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項5】
前記細長い消耗品本体が、前記貫通可能なカプセルの周囲全体に直接接触し、前記貫通可能なカプセルを前記細長い消耗品本体に固定する、請求項1~4のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項6】
前記第一の材料のプラグまたは前記第二の空気多孔性材料のプラグ内に位置付けられた液体風味剤を含有する破裂可能な風味カプセルをさら含む、請求項1~5のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項7】
前記破裂可能な風味カプセルが、前記第二の多孔性材料のプラグ内に位置付けられる、請求項6に記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項8】
ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む前記粒子が、約1~約5マイクロメートルの範囲のMMAD粒子サイズを有する、請求項1~7のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項9】
ニコチンまたは薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含む前記粒子が、アミノ酸、好ましくはL-ロイシンを含む、請求項1~8のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項10】
前記貫通可能なカプセルが、約25マイクロメートルよりも大きく、または約50マイクロメートルよりも大きいMMAD粒子サイズを有する風味粒子をさらに含有する、請求項1~9のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項11】
前記細長い消耗品本体が、紙または板紙から形成される、請求項1~10のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項12】
前記細長い消耗品本体が内径値を有し、前記貫通可能なカプセルが外径値を有し、前記内径値と前記外径値とが実質的に同一の値である、請求項1~11のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【請求項13】
前記細長い消耗品本体が、前記貫通可能なカプセルの長さの値の約400%~約200%の範囲の長さの値を有する、請求項1~12のいずれかに記載のニコチン粉末消耗品物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、細長い消耗品本体内に固定されたカプセルを含み、対向する材料のプラグによって細長い消耗品本体内に封入された、ニコチン粉末消耗品物品に関する。ニコチン粉末消耗品物品は、ニコチンを含む粒子をユーザーに送達するために吸入器物品で利用されうる。
【背景技術】
【0002】
乾燥粉末吸入器は、従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で乾燥粉末粒子を肺に提供するために常に完全に適切なわけではない。乾燥粉末吸入器は、操作するのに複雑である、あるいは部品の移動が関与する場合がある。乾燥粉末吸入器は多くの場合、単一の呼吸で乾燥粉末用量の全部を提供しようとする。
【0003】
従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量で、ニコチンを含む粒子を肺に提供するために吸入器物品で利用されうるニコチン粉末消耗品物品を提供することが望ましい。従来的な紙巻たばこと同様な形態を有する吸入器システムでニコチンを含む粒子を送達することを提供することが望ましい。製造が単純でかつ消費者による使用および廃棄に便利なニコチン粉末消耗品物品を提供することが望ましい。吸入器システムのモジュール式で交換可能な構成要素としうるニコチン粉末消耗品物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、ニコチン粉末消耗品物品は、近位端と遠位端との間に延びる細長い消耗品本体を含む。カプセルは細長い消耗品本体内に固定される。細長い消耗品本体はカプセルに接触してもよい。カプセルは、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有する。第一の材料のプラグは、細長い消耗品本体内に、カプセルと近位端との間に配置されうる。第二の空気多孔性材料のプラグは、細長い消耗品本体内に、カプセルと遠位端との間に配置されうる。第二の空気多孔性材料のプラグは、第一の材料のプラグと気流連通していない。
【0005】
別の態様では、ニコチン粉末消耗品物品は、ニコチンを含む粒子を送達するために吸入器物品で利用されるように構成され、近位端と遠位端との間に延びる細長い消耗品本体を含む。貫通可能なカプセルは、細長い消耗品本体内に固定される。細長い消耗品本体は、貫通可能なカプセルと接触してもよい。貫通可能なカプセルは、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有する。第一の材料のプラグは、細長い消耗品本体内に、貫通可能なカプセルと近位端との間に配置されうる。第二の空気多孔性材料のプラグは、細長い消耗品本体内に、貫通可能なカプセルと遠位端との間に配置されうる。第二の空気多孔性材料のプラグは、第一の材料のプラグと気流連通していない。
【0006】
ニコチン粉末消耗品物品の細長い消耗品本体が内径値を有し、カプセルが外径値を有し、内径値と外径値とは実質的に同一の値としうる。
【0007】
気流がカプセル外表面と細長い消耗品本体との間を移動しないニコチン粉末消耗品物品を提供することは、以下に記載するように、有利なことに、貫通されると全ての気流をカプセルを通して移動させうる。
【0008】
細長い消耗品本体内に固定され、対向する材料のプラグによって細長い消耗品本体内に封入されるカプセルを提供することは、有利なことに、貫通されるとカプセル材料がニコチン粉末消耗品物品から抜け出ることを防止または低減しうる。これにより、枯渇したニコチン粉末消耗品物品の便利かつ清潔な廃棄が提供されうる。
【0009】
有利なことに、以下に記載する、ニコチン粉末消耗品物品を単純な細長い吸入器装置と共に提供することは、従来的な紙巻たばこと類似した形態、および従来的な紙巻たばこと類似した気流構成を有する吸入器システムを提供しうる。ニコチン粉末消耗品物品は、有利なことに、再利用可能な吸入器物品で利用されうる、モジュール式で交換可能なニコチン粉末消耗品物品を提供する。
【0010】
本明細書に記載のニコチン粉末消耗品物品は、吸入器装置で利用されて、従来的な喫煙方法の吸入量または気流量の範囲内の吸入量または気流量でニコチンを含む乾燥粉末または粒子を肺に提供しうる。消費者は、各々の「吸煙」が、ニコチン粉末消耗品物品内に収容されるカプセルの中に含有される乾燥粉末の部分量を送達する、複数の吸入または「吸煙」を行ってもよい。この吸入器システムは、従来的な紙巻たばこと類似した形態を有してもよく、従来的な喫煙の決まったやり方を真似てもよい。このニコチン粉末消耗品物品は、製造するのが単純、かつ消費者による使用が便利でありうる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、ユーザーが吸入器システムの吸入器物品を吸う際に吸入器物品に取り付けられたニコチン粉末消耗品物品を通る気流の方向に対する、本明細書に記載のニコチン粉末消耗品物品および吸入器システムの構成要素または構成要素の一部の相対的位置を記述するために使用される。特に、ニコチン粉末消耗品物品が取り付けられた吸入器物品をユーザーが吸う際、空気はニコチン粉末消耗品物品の遠位端から(貫通されたカプセルを通して)ニコチン粉末消耗品物品の近位端の方向に流れ、その後、吸入器物品のマウスピースを通って消費者へと流れる。
【0012】
「ニコチン」という用語は、ニコチンおよびニコチン誘導体(遊離塩基ニコチン、ニコチン塩、ならびにこれに類するものなど)を意味する。
【0013】
「風味剤」または「風味」という用語は、その消費中または吸入中にニコチンの味覚特性または芳香特性を変化させる、また変化させるよう意図される、感覚刺激性の化合物、組成物、または材料を意味する。「風味剤」または「風味」という用語は、風味抽出物製造業組合(FEMA)の風味成分ライブラリに開示された化合物、および特にGRAS風味付け物質に関する出版物3~27(例えば、Hall,R.L.&Oser,B.L.,Food Technology,February 1965 pg 151-197)、GRAS風味付け物質27(S.M.Cohen et al.,Food Technology Aug.2015 pg.40-59)、および介在するGRAS風味付け物質に関する出版物4~26に開示された化合物を意味することが好ましい。本開示の目的において、ニコチンは風味剤または風味としては考えられない。
【0014】
ニコチン粉末消耗品物品は、近位端と遠位端との間に延びる細長い消耗品本体を含む。カプセルは細長い消耗品本体内に固定される。細長い消耗品本体はカプセルに接触してもよい。カプセルは、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有する。第一の材料のプラグは、細長い消耗品本体内に、カプセルと近位端との間に配置されうる。第二の空気多孔性材料のプラグは、細長い消耗品本体内に、カプセルと遠位端との間に配置されうる。第二の空気多孔性材料のプラグは、第一の材料のプラグと気流連通していない。
【0015】
細長い消耗品本体は、ニコチン粉末消耗品物品の細長い形状を維持するための支持を提供しうる任意の材料で形成されうる。細長い消耗品本体は、生分解性材料で形成されてもよい。細長い消耗品本体は、セルロース系または繊維系材料で形成されてもよい。細長い消耗品本体は、紙または板紙の層で形成されてもよい。
【0016】
ニコチン粉末消耗品物品を吸入器物品と組み合わせて、喫煙物品または紙巻たばことサイズおよび形状を似せてもよい。ニコチン粉末消耗品物品が取り付けられる吸入器ステムは、ニコチン粉末消耗品物品および吸入器物品の長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒形の本体を有してもよい。ニコチン粉末消耗品物品は、細長い消耗品本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有してもよく、細長い消耗品本体の長さに沿って均一でありうる断面を有してもよい。
【0017】
ニコチン粉末消耗品物品は、約4mm~約14mm、または約5mm~約10mm、または約6mm~約10mm、または約6mm~約8mmの範囲内の外径を有しうる。ニコチン粉末消耗品物品は、約30mm~約100mm、または約40mm~約80mm、または約40mm~約60mmの範囲内の長さ(長軸方向軸に沿った)を有しうる。
【0018】
ニコチン粉末消耗品物品は、吸入器装置の受入れチャンバーに適合するか、または受けられるサイズであってもよい。ニコチン粉末消耗品物品は、吸入器装置の受入れチャンバーの長さを超える長さを有してもよい。ニコチン粉末消耗品物品は、ニコチン粉末消耗品物品の長さの少なくとも約10%、または少なくとも約20%が吸入器装置の受入れチャンバーの遠位端から遠位に延びるように、吸入器装置の受入れチャンバーの長さを超える長さを有してもよい。ニコチン粉末消耗品物品は、ニコチン粉末消耗品物品の長さの少なくとも約10%~約50%、または少なくとも約20%~約40%が吸入器装置の受入れチャンバーの遠位端から遠位に延びるように、吸入器装置の受入れチャンバーの長さを超える長さを有してもよい。
【0019】
ニコチン粉末消耗品物品は、ニコチン粉末消耗品部品内に封入されたカプセルの直径に、ニコチン粉末消耗品物品の外表面を形成する層またはオーバーラップの厚みを加えたものと等しい外径を有しうる。ニコチン粉末消耗品物品の外表面を形成する層またはオーバーラップは、カプセルの周りを密接に包み、かつカプセルと密着または直接接触することが好ましい。カプセルの外表面およびニコチン粉末消耗品物品の外表面を形成する層またはオーバーラップは、カプセルの外表面に沿って気流を提供しない。細長い消耗品本体が内径値を有し、カプセルが外径値を有し、内径値と外径値とは実質的に同一の値としうる。この構成は、ニコチン粉末消耗品物品内で第二の空気多孔性材料のプラグが第一の材料のプラグと気流連通しないことを確実にしうる(気流はカプセル外部表面と細長い消耗品本体の内表面との間を流れない)。細長い消耗品本体はカプセルの周囲全体に直接接触し、カプセルを細長い消耗体に固定させることが好ましい。
【0020】
ニコチン粉末消耗品物品は、ニコチン粉末消耗品物品内のカプセルの移動を塞ぐ材料で充填された近位端および遠位端を有してもよい。この材料は、細長い消耗品本体の遠位端および近位端によって画定される開放空間に完全に充填されることが好ましい。遠位端を充填する材料は、吸入空気がそれを通って封入されたカプセルに容易に流れることを可能にするよう、多孔性または通気性であることが好ましい。近位端を充填する材料は、吸入器物品と関連する貫通要素によって貫通可能である。近位端を充填する材料は、類似した多孔性または通気性の材料であってもよく、または近位端を充填する材料は、通気性または多孔性ではなくてもよい異なるタイプの材料であってもよい。近位端を充填する材料は、不通気性の材料であってもよい。
【0021】
細長い消耗品本体の遠位端および近位端によって画定される開放空間を充填する材料は、多孔性材料のプラグであってもよい。第一の多孔性材料のプラグは細長い消耗品本体の近位端内に配置されてもよく、また第二の多孔性材料のプラグは細長い消耗品の遠位端内に配置されてもよい。第一の多孔性材料のプラグが酢酸セルローストウを含んでもよく、第二の多孔性材料多孔性材料のプラグが酢酸セルローストウを含んでもよい。第一の多孔性材料のプラグおよび第二の多孔性材料のプラグは、カプセルを細長い消耗品本体内に固定しうる。第一の多孔性材料のプラグおよび第二の多孔性材料のプラグは、細長い消耗品本体の遠位端および近位端によって画定される開放空間を完全に充填してカプセルに接触し、細長い消耗品本体内にカプセルを固定するのを支援しうる。
【0022】
ニコチン粉末消耗品物品は、ユーザーが吸入器物品を通して空気を吸うときに、風味感覚をユーザーに提供するための風味送達要素をさらに備えうる。風味送達要素は、ニコチン粉末消耗品物品の外径または幅に対する影響が最小限に抑えられるように、カプセルと直列に提供されることが好ましい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「直列」は、使用時に、ニコチン粉末消耗品物品を通して引き出される空気流(吸入空気)が、カプセルを通ってから風味送達要素の周りを通過するか、または風味送達要素の周りを通過してからカプセルを通るかのいずれかであるように、風味送達要素およびカプセルがニコチン粉末消耗品物品内に配置されることを意味する。
【0024】
風味送達要素は、カプセルの上流に提供されてもよい。風味送達要素は、第二の多孔性材料のプラグ内に提供されてもよい。
【0025】
風味送達要素からの風味剤の漏れを防止するために、風味送達要素は、ユーザーがカプセルの周りでニコチン粉末消耗品物品を圧迫することにより破裂されうる壊れやすいカプセルを含むことが好ましい。風味送達要素を提供する壊れやすいカプセルを形成するために適した材料は、例えば、キサンタンガム、ゲランガム、カルボキシメチルセルロース、カーボポール、アラボキシメチルセルロース、およびその組み合わせなどの、ゲル形成剤および親水コロイドを含む。壊れやすいカプセルは、約50ニュートン未満、随意に約10ニュートン未満、随意に約5ニュートン未満の破砕力で壊れやすいことが好ましい。これらの範囲内の破砕力で破壊するカプセルを提供することで、ユーザーが手でカプセルを粉砕することが比較的簡単となるように確保される。追加的に、または別の方法として、壊れやすいカプセルの破壊には、少なくとも約3ニュートン、随意に少なくとも約5ニュートン、随意に少なくとも約10ニュートンの破砕力が必要とされる場合がある。これらの範囲の最小破壊力を必要とするカプセルを提供することで、使用前に物品の製造およびその後の取扱い時にカプセルが偶発的に破壊するリスクが低減される。
【0026】
別の方法としてまたは壊れやすいカプセルに加えて、風味送達要素は、風味剤を浸み込ませた糸などの担体要素としうる。これらの実施形態における風味剤はメントールが好ましい。スレッドは、好ましくはカプセルの上流にある多孔性材料のプラグ内に配置されうる。
【0027】
風味送達要素を含む実施形態のどれかにおいて、風味送達要素は、液体または固体の形態(約22℃の室温および1気圧で)としうる一つ以上の風味剤を含む。固体の風味剤は粉末の形態でもよい。風味剤は、風味製剤、風味を含む材料および風味前駆体を含みうる。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。適切な風味または風味剤を以下に説明する。
【0028】
細長い消耗品本体内に固定されたカプセルは、ニコチンを含む粒子を包含するように構成された円筒形の体積(楕円形状を有してもよい)を画定しうる。カプセルは金属材料または高分子材料で形成されてもよく、この材料は汚染物質をカプセルに入れないように機能するが、カプセル内のニコチンを含む粒子の消費の前に内側管によって貫通または穿孔されうる。カプセルはポリマー材料で形成されてもよい。ポリマー材料はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であってもよい。カプセルは、サイズ000~サイズ4カプセル、またはサイズ0~サイズ2カプセル、またはサイズ0カプセル、またはサイズ1カプセル、またはサイズ2カプセルとしうる。
【0029】
カプセルは、細長い消耗品本体の長軸方向軸に沿って横方向に延びる長さを有しうる。細長い消耗品本体は、カプセルの長さの値の約400%~約200%の範囲の長さの値を有してもよい。第一の材料のプラグおよび第二の空気多孔性材料のプラグは、細長い消耗品本体によって画定される残りの内腔空間を充填しうる。第一の材料のプラグおよび第二の空気多孔性材料のプラグは、細長い消耗品本体によって画定される残りの(カプセルが定位置にある)内腔空間の少なくとも約90%~少なくとも約95%を充填しうる。
【0030】
それを通る内腔を含みうる貫通要素は、ニコチン粉末消耗品が吸入器物品に取り付けられると、カプセルの対向する側面を通って延びうる。カプセルは、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有しうる。貫通要素は、空気吸込み口および粒子を豊富に含む空気出口を提供しうるが、ここでカプセル空洞は、ニコチンを含む粒子をカプセル空洞を通過する吸入空気流内で浮遊させるためのエアロゾル化または流動化チャンバーとして動作する。
【0031】
カプセルは、ニコチンを含むニコチン粒子(「ニコチン粉末」または「ニコチン粒子」とも呼ばれる)、および随意に、風味を含む粒子(「風味粒子」とも呼ばれる)を含む。カプセルは所定の量のニコチン粒子および随意の風味粒子を包含してもよい。カプセルは、少なくとも2回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約5回の吸入もしくは「吸煙」、または少なくとも約10回の吸入もしくは「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を包含してもよい。カプセルは、約5~50回の吸入または「吸煙」、または約10~30回の吸入または「吸煙」を提供するのに十分なニコチン粒子を含みうる。各々の吸入または「吸煙」は、約0.1mg~約3mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約0.2mg~約2mgのニコチン粒子をユーザーの肺に、または約1mgのニコチン粒子をユーザーの肺に送達する場合がある。
【0032】
ニコチン粒子は、採用される特定の製剤に基づいてニコチンの任意の有用な濃度を有してもよい。ニコチン粒子は、少なくとも約1重量%~最高約30重量%のニコチン、または約2重量%~約25重量%のニコチン、または約3重量%~約20重量%のニコチン、または約4重量%~約15重量%のニコチン、または約5重量%~約13重量%のニコチンを有してもよい。各々の吸入または「吸煙」で、約50~約150マイクログラムのニコチンがユーザーの肺に送達されうることが好ましい。
【0033】
カプセルは、少なくとも約5mgのニコチン粒子、または少なくとも約10mgのニコチン粒子を保持または包含してもよい。カプセルは約900mg未満のニコチン粒子、または約300mg未満のニコチン粒子、または150mg未満のニコチン粒子を保持または含みうる。カプセルは、約5mg~約300mgのニコチン粒子、または約10mg~約200mgのニコチン粒子を保持または包含してもよい。
【0034】
カプセルの中で風味粒子がニコチン粒子とブレンドまたは組み合わせられた時、毎回の吸入または「吸煙」でユーザーに送達される所望の風味を提供する量の風味粒子が存在しうる。
【0035】
ニコチン粒子は、優先的にユーザーの肺の中へと吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。カプセルはニコチン粒子以外の粒子を含みうる。ニコチン粒子およびその他の粒子は粉末システムを形成しうる。
【0036】
カプセルは、少なくとも約5mgの乾燥粉末(粉末システムとも呼ばれる)または少なくとも約10mgの乾燥粉末を保持または含みうる。カプセルは、約900mg未満の乾燥粉末、または約300mg未満の乾燥粉末、または約150mg未満の乾燥粉末を保持または含みうる。カプセルは、約5mg~約300mgの乾燥粉末、または約10mg~約200mgの乾燥粉末を保持または含みうる。
【0037】
乾燥粉末または粉末システムは、約10マイクロメートル未満、または約5マイクロメートル未満、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内の粒子サイズのニコチン粒子から成る粉末システムの少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0038】
ニコチンを含む粒子の空気動力学的中央粒子径は、約5マイクロメートル以下、または約0.5マイクロメートル~約4マイクロメートルの範囲内、または約1マイクロメートル~約3マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約2.5マイクロメートルの範囲内であってもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0039】
風味を含む粒子の空気動力学的中央粒子径は、約20マイクロメートル以上、または約50マイクロメートル以上、または約50~約200マイクロメートルの範囲内、または約50~約150マイクロメートルの範囲内であってもよい。空気動力学的中央粒子径は、カスケードインパクターで測定することが好ましい。
【0040】
乾燥粉末の中央粒子径は、約60マイクロメートル以下、または約1マイクロメートル~約40マイクロメートルの範囲内、または約1.5マイクロメートル~約25マイクロメートルの範囲内であってもよい。中央粒子径は質量あたりの中央粒子径を意味し、またレーザー回折、レーザー拡散、または電子顕微鏡によって測定することが好ましい。
【0041】
粉末システム中またはニコチン粒子中のニコチンは、医薬品として許容可能な遊離塩基ニコチン、またはニコチン塩もしくはニコチン塩水和物であってもよい。有用なニコチン塩またはニコチン塩水和物には例えば、ピルビン酸ニコチン、クエン酸ニコチン、アスパラギン酸ニコチン、乳酸ニコチン、重酒石酸ニコチン、サリチル酸ニコチン、フマル酸ニコチン、モノ-ピルビン酸ニコチン、グルタミン酸ニコチン、またはニコチン塩酸塩が挙げられる。ニコチンと結合して塩または塩水和物を形成する化合物は、その予想される薬理学的効果に基づいて選ばれてもよい。
【0042】
ニコチン粒子はアミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸はL-ロイシンなどのロイシンであってもよいことが好ましい。ニコチンを含む粒子にL-ロイシンなどのアミノ酸を提供することは、ニコチンを含む粒子の接着力を低減する場合があり、またニコチン粒子間の引力を低減し、従ってニコチン粒子の凝集を低減する場合がある。同様に、風味を含む粒子に対する接着力も低減する場合があり、従ってニコチン粒子の風味粒子との凝集も低減する。従って、本明細書に記載の粉末システムは自由流動材料であってもよく、またニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、各々の粉末構成成分の安定した相対的な粒子サイズを有する場合がある。
【0043】
ニコチンは表面修飾したニコチン塩であってもよいことが好ましく、その場合、ニコチン塩粒子は被覆された粒子または複合粒子を含む。好ましい被覆材料または複合材料はL-ロイシンであってもよい。一つの特に有用なニコチン粒子は、L-ロイシンを含む重酒石酸ニコチンであってもよい。
【0044】
粉末システムは風味粒子を含んでもよい。風味粒子は、選択的にユーザーの口または口腔に吸入送達するために有用な任意のサイズ分布を有してもよい。
【0045】
粉末システムは、約20マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル以上の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。粉末システムは、約50マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲内の粒子サイズの粒子から成る粉末システムの風味の少なくとも約40重量%、または少なくとも約60重量%、または少なくとも約80重量%を有してもよい。
【0046】
風味剤または風味は、固体の風味として(約22℃の室温および1気圧で)提供されてもよく、風味製剤、風味含有材料および風味前駆体を含んでもよい。風味剤は、一つ以上の天然風味剤、一つ以上の合成風味剤、または天然風味剤と合成風味剤との組み合わせを含んでもよい。本明細書に記載の風味剤は、ニコチン構成要素の味覚特性または芳香特性をその消費中または吸入中に変化させるために、または変化させることを意図するために選択および利用される感覚刺激性の化合物、組成物、または材料である。
【0047】
風味剤または風味は、天然起源または合成起源のさまざまな風味材料を指す。これらには、単一の化合物および混合物が含まれる。風味または風味剤は、消費中にニコチン構成要素の体験を高める場合がある風味特性を有する。風味は、可燃性喫煙物品の喫煙の結果から得られるものと類似の体験を提供するように選ばれてもよい。例えば、風味または風味剤は、口充足感および複雑さなどの風味特性を高める場合がある。複雑さは、単一の感覚属性が支配的になることなく、より豊かな風味の全体的なバランスが取れていることとして、一般的に知られている。口充足感は、消費者の口および喉の中での豊かさと量の知覚として説明される。
【0048】
適切な風味には例えば、たばこ、煙、メントール、ミント(ペパーミントおよびスペアミントなど)、チョコレート、甘草、柑橘類およびその他の果実風味、ガンマ八量体、バニリン、エチルバニリン、口臭消臭風味、スパイス風味(シナモンなど)、サルチル酸メチル、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、およびジンジャー油、およびこれに類するものなどの任意の天然風味または合成風味が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
その他の適切な風味には、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせまたはブレンド、およびこれに類するものから成る群から選択される風味化合物が含まれてもよい。適切な風味化合物は例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスチグマトリエノン、2-ヘプタノン、ベンジルアルコール、cis-3-ヘキセニルアセタート、吉草酸、吉草酸アルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、iso-s吉草酸、その組み合わせ、およびこれに類するものから成る群から選択されてもよい。
【0050】
風味のさらなる特定の実施例は、現在の文献から見いだされる場合があり、また風味付け、すなわち、臭いまたは味覚を製品に付与する当業者に周知である。
【0051】
風味剤は力価の高い風味剤であってもよく、吸入気流内で結果的に200百万分率未満となるレベルで使用・検出される場合がある。こうした風味剤の例は、β-ダマセノン、2-エチル-3,5-ジメチルピラジン、フェニルアセトアルデヒド、グアイアコール、およびフラネオールなどの主なたばこ芳香化合物である。その他の風味剤は、より高い濃度レベルで人間によってのみ感知されうる。本明細書で力価がより低い風味剤と呼ばれるこれらの風味剤は一般に、吸入空気内に放出される風味剤が結果的に、桁違いに多い量のレベルで使用される。力価のより低い適切な風味剤には例えば、天然メントールまたは合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、スパイス(シナモン、クローブ、およびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、およびリナロールが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
風味を含む粒子は、接着力または表面エネルギーおよび結果としてもたらされる凝集を低減する化合物を含んでもよい。風味粒子は接着力低減化合物を用いて表面修飾されて、被覆された風味粒子を形成してもよい。一つの好ましい接着力低減化合物は、ステアリン酸マグネシウムであってもよい。ステアリン酸マグネシウムなどの接着力低減化合物を風味粒子に提供すること、特に風味粒子を被覆することは、風味を含む粒子の接着力を低減する場合があり、また風味粒子の間の引力を低減し、従って風味粒子の凝集を低減する場合がある。ひいては、ニコチン粒子を有する風味粒子の凝集も低減する場合がある。従って、本明細書に記述される粉末システムは、ニコチン粒子と風味粒子が組み合わせられる時でも、ニコチンを含む粒子と風味を含む粒子の安定した相対的な粒子サイズを有してもよい。粉末システムは自由流動であってもよいことが好ましい。
【0053】
粉末システムは、活性粒子(ニコチンを含む粒子)が吸入器を通る単純な気流による影響を受けるには小さすぎる場合があるため、活性粒子の流動化を増大するように機能する担体粒子を含有しうる。これらの担体粒子は、約50マイクロメートルより大きい粒子サイズでありうるラクトースまたはマンニトールまたはトレハロースなどのサッカリドであってもよい。担体粒子は製剤中で希釈剤または膨化剤として作用することによって、用量の均一性を改善するために利用されうる。別の方法として、本明細書に記載のニコチン粉末送達システムで利用される粉末システムは、担体を含まなくてもよく、またはラクトースもしくはマンニトールなどのサッカリドを実質的に含まなくてもよい。
【0054】
ニコチン粒子と風味は、カプセルと組み合わせられてもよく、またはカプセル内に含有されてもよい。上述の通り、ニコチン粒子および風味はそれぞれ、低減された接着力を有してもよく、それらが安定した粒子製剤をもたらし、この場合ではニコチンを含む粒子と風味含む粒子が組み合わせられた時に各構成要素の粒子サイズは実質的に変化しない。別の方法として、粉末システムは、単一のカプセル内に含有され、風味粒子または風味剤がカプセルの外側に含有されるニコチン粒子を含む。
【0055】
ニコチン粒子および風味粒子は、ニコチン粒子とともに消費された時にユーザーが風味粒子を検知するように、任意の有用な相対的な量で組み合わせられてもよい。ニコチン粒子および風味粒子は、粉末システムの全重量の少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%、または少なくとも約99重量%、または100重量%を形成することが好ましい。
【0056】
本明細書で説明したニコチン粉末消耗品物品は、吸入器物品と組み合わせられて吸入器システムを形成しうる。吸入器システムは、二つ以上のニコチン粉末消耗品物品を含みうる。第一のニコチン粉末消耗品物品が消費されると、ユーザーは枯渇したニコチン粉末消耗品物品を第二または新しいニコチン粉末消耗品物品と交換し、ニコチン粉末消耗品物品内に含有されるニコチンを含む粒子の消費を継続しうる。吸入器物品は、2、10、25、または100個以上のモジュール式ニコチン粉末消耗品物品に対して繰り返し利用されうる。
【0057】
模範的吸入器物品は、マウスピース端から消耗品受入れ端へと長軸方向軸に沿って延びるホルダー本体を画定する管状ハウジングを含む。ホルダー本体は、長軸方向軸に沿って、管取込み端から管排出端まで管状ハウジング内に延びる内側管を含む。管取込み端は、消耗品受入れ端の近位にある。内側管は、内側管の壁を通って延びる二つ以上の気流開口部を有する気流管腔を画定する。空気遮断機構は、気流管腔内に、二つの気流開口部の間に位置付けられている。
【0058】
吸入器またはホルダー本体は、サイズおよび形状が喫煙物品または紙巻たばこに似ていてもよい。吸入器またはホルダー本体は、吸入器物品の長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒形の本体を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒形の本体の長さに沿って実質的に均一な外径を有してもよい。吸入器本体は、細長い円筒形の本体の長さに沿って均一であってもよい円形断面を有してもよい。吸入器本体は約5mm~約15mm、または約7mm~約12mm、または約7mm~約10mm、または約8mm~約9mmの範囲の外径を有してもよい。吸入器本体は、約40mm~約100mm、または約50mm~約90mm、または約60mm~約80mmの範囲の長さ(長軸方向軸に沿った)を有してもよい。
【0059】
内側管は、ニコチンを含む粒子を含有するカプセルを貫通するように構成されうる。内側管は、カプセルの貫通を容易にする鋭利な端の管遠位端を有しうる。内側管がカプセルの対向する側面を貫通し、内側管の長さがカプセルの長軸方向の全長を通して延びたままであることが好ましい。管遠位端は、カプセルから遠位に延びうる。管状ハウジングおよび内側管は、同一の長軸方向軸に沿って同軸であることが好ましい。
【0060】
内側管は、カプセル内の旋回気流または乱気流パターンを誘起するように構成されてもよい。単一の内側管は、吸入空気を提供してカプセル内に入れる空気吸込み口、および粒子を豊富に含む空気がカプセルを抜け出て、吸入器物品のマウスピース部分に流れることを可能にする空気出口の両方を提供するように構成されうる。内側管は、消耗品受入れ端から遠位に延びなくてもよい。
【0061】
空気遮断機構は、内側管の管腔を塞ぎ、内側管管腔内の空気出口から空気吸込み口を物理的に分離または単離しうる。空気遮断機構は、管取込み端の下流にある気流管腔内に配置されうる。空気遮断機構は、挟まれた内側管部分を空気が通過することを防止する、内側管の挟まれた部分として構成されてもよい。少なくとも一つの気流開口部は、管の空気出口を画定し、空気遮断機構と管取込み端との間にある。少なくとも一つの気流開口部は、空気吸込み口を画定し、空気遮断機構と管排出端との間にある。管排出端は、マウスピース端と気流連通している。
【0062】
気流は、内側管の空気取込み端における単一の空気吸込み口を介して吸入器物品に入りうる。気流は最終的に、管排出端における単一の空気出口から内側管を抜け出うる。管排出端からの粒子を豊富に含む空気は、マウスピース端に、そして消費者に放出される。気流は、吸入器の管状ハウジングまたはホルダー本体を通過しなくてもよい。吸入器の管状ハウジングまたはホルダー本体を通る空気吸込み口はないことが好ましい。
【0063】
内側管の壁を通した気流開口部の位置および数は、要望に応じて、カプセル内の特定の位置により多くのまたはより少ない気流を提供するように調整または構成されうる。気流開口部は、内側管の直径の周りに円周方向に位置しうる。気流開口部は、内側管の周囲の周りに均一に配置されてもよい。気流開口部は、内側管の長さに沿って均一に配置されてもよい。気流開口部は、内側管の長さの周囲の周りにランダムに配置されてもよい。
【0064】
内側管は、空気遮断機構の上流に、かつ空気遮断機構に隣接して位置する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも3つの気流開口部と、空気遮断機構の下流、かつ空気遮断機構に隣接して位置する少なくとも1つの、好ましくは少なくとも3つの気流開口部とを含みうる。内側管は、空気遮断機構の上流、かつ空気遮断機構に隣接して位置する少なくとも6つの気流開口部と、空気遮断機構の下流、かつ空気遮断機構に隣接して位置する少なくとも6つの気流開口部とを含みうる。内側管は、空気遮断機構の上流、かつ空気遮断機構に隣接して位置する少なくとも9つの気流開口部と、空気遮断機構の下流かつ空気遮断機機構に隣接して位置する少なくとも9つの気流開口部とを含みうる。内側管は、空気遮断機構の上流、かつ空気遮断機構に隣接して位置する少なくとも12個の気流開口部と、空気遮断機構の下流、かつ空気遮断機構に隣接して位置する少なくとも12個の気流開口部とを含みうる。気流開口部は均一であってもよい。
【0065】
空気密封要素は、管状ハウジング内に配置される。空気密封要素はマウスピース端を塞ぎ、マウスピース端を消耗品受入れ端から単離しうる。内側管は空気密封要素を通って延び、粒子を豊富に含む空気が消耗品受入れ端内に含有されたカプセルおよび内側管からマウスピース端に通過することを可能にする。内側管は、空気密封要素を通り、かつ空気密封要素から近位にある距離延びてもよい。空気密封要素は、任意の不通気性材料で形成されうる。
【0066】
振動誘起要素が内側管の長さに沿って配置されてもよい。振動誘起要素は、内側管を通る気流によって起動される。内側管を通る気流は、振動誘起要素が振動運動に変換されるエネルギーを提供する。振動誘起要素は内側管の振動を開始する。振動誘起要素は内側管の任意の振動数を誘起しうる。振動誘発要素は、吸入中にカプセル内で粒子が流動化するのを助けうる。振動数は、(カプセル内の)凝集粒子を粉砕する能力を有するか、または消費中にカプセル内でエアロゾル化中の粒子が凝集するのを減少させることが好ましい。
【0067】
振動誘起要素は、消費中にカプセルによって囲まれるように、内側管上に位置してもよい。振動誘起要素は、消費中にカプセルの外側にあるように、内側管上に位置してもよい。振動誘起要素は、空気密封要素から近位に延びる管の排出端部分に近接して内側管上に位置してもよい。振動誘起要素は、管取込み端に近接して内側管上に位置してもよい。二つ以上の振動誘起要素が内側管上に位置してもよい。
【0068】
振動誘起要素は、内側管の壁を通り、かつ先細りしたまたは傾斜のある下流開口部端を有する開口部を含みうる。この先細りのある開口部構造は、振動を生成するための楽器のリードと類似した「リード効果」を誘起しうる。内側管の(および潜在的にカプセルの)振動は、カプセル内の粒子の乱流および機械的揺動を作り出して、カプセルからの粒子の完全な枯渇を可能にしうる。
【0069】
先細りした開口部構造または「リード」によって生成される振動の特性は、「リード」の材料および角度、および開口部のサイズに依存しうる。
【0070】
空気遮断要素および気流開口部(内側管の壁を貫通して延びる)はカプセル内に位置付けられ、管取込み端はカプセルから遠位に延び、管空気出口はカプセルから近位に延びることが好ましい。カプセル内への気流は、内側管を塞ぐ空気遮断要素から上流に位置する内側管上の気流開口部によってのみ提供される。カプセルからの気流は、内側管を塞ぐ空気遮断要素から下流に位置する内側管上の気流開口部によってのみ提供される。カプセルは、内側管がカプセルを通って延びる両方の場所で内側管の周りを密封しうる。
【0071】
ニコチン粉末消耗品物品および吸入器システムは、従来の乾燥粉末吸入器と比較して、複雑さが少なく、また単純化された気流経路を有する。有利なことに、再利用可能な吸入器物品でモジュール式の交換可能なニコチン粉末消耗品物品を利用することで、便利でユーザーにとって使いやすいニコチン粉末送達システムが提供される。独特の内側管構成は、モジュール式の交換可能なニコチン粉末消耗品物品内のニコチン粉末の完全な枯渇を確実にしうる。従って、ニコチン粉末消耗品物品は、上述のニコチン粒子を肺に深く送達するために、従来的な吸入器によって一般に利用される高い吸入量を必要としない場合がある。モジュール式ニコチン粉末消耗品物品は、枯渇したモジュール式ニコチン粉末消耗品物品の清潔で便利な廃棄を可能にしうる。
【0072】
吸入器システムは、吸入器物品と、本明細書に記載するように、ホルダー本体の消耗品受入れ端に受けられるように構成されたニコチン粉末消耗品物品とを含みうる。ニコチン粉末消耗品物品は、ユーザーによって吸入器物品の内側管上に簡単に取り付けられ、ユーザーによって吸入器物品の内側管から簡単に取り外されうる「モジュール式」要素として記述されうる。
【0073】
ニコチン粉末消耗品物品の取り付けおよび取り外しは、ニコチン粉末消耗品物品を内側管上に摺動または「串刺し」することによって、例えば、ニコチン粉末消耗品物品を吸入器物品の空気密封要素に向かって長軸方向軸に沿って摺動または「串刺し」することによって達成されうる。空気密封要素は、ニコチン粉末消耗品物品を内側管の気流開口部と見当合わせする物理的な停止部として動作しうる。
【0074】
ニコチン粉末消耗品物品は、近位端と遠位端との間に延びる細長い消耗品本体と、細長い消耗品本体内に固定されたカプセルとを含みうる。カプセルは、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子を含有しうる。カプセルは内側管上に配置される。内側管は、ニコチン粉末消耗品物品がホルダー本体の消耗品受入れ端に受けられるときに管取込み端がカプセルから遠位に延びるように、カプセルの両側を通って延びることが好ましい。
【0075】
ニコチン粉末消耗品物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジング内に緊密に適合しうる。ニコチン粉末消耗品物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジング内にゆるく適合しうる。ニコチン粉末消耗品物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジングの内径の約80%~約99%である外径を有してもよい。ニコチン粉末消耗品物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジングの内径の約85%~約99%である外径を有してもよい。ニコチン粉末消耗品物品は、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジングの内径の約90%~約98%である外径を有してもよい。ニコチン粉末消耗品物品と、吸入器物品のホルダー本体を画定する管状ハウジングの内径との間に画定される空隙は、協働して吸入気流チャネルのいずれかの部分を形成しなくてもよい。
【0076】
ニコチン粉末消耗品物品は、長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒形の本体を有してもよい。吸入器物品の内側管に取り付けられると、ニコチン粉末消耗品物品は、内側管の長軸方向軸に沿って延びる細長い円筒形の本体を有しうる。吸入器物品の内側管に取り付けられると、ニコチン粉末消耗品物品は、内側管または内側管および吸入器物品のホルダー本体を画定する管状のハウジングと同軸の細長い円筒形の本体を有しうる。
【0077】
ニコチン粉末消耗品物品および吸入器システムは、約5L/分未満または約3L/分未満、または約2L/分または約1.6L/分未満の流量を使用してもよい。流量は、約1L/分~約3L/分または約1.5L/分から約2.5L/分の範囲内であることが好ましい。吸入量または流量は、カナダ保健省(Health Canada)喫煙方法のそれと同様であり、約1.6L/分であることが好ましい。
【0078】
ニコチン粉末消耗品物品および吸入器システムは、約25mmWG~約100mmWGの引き出し抵抗を有することが好ましい。吸入器ニコチン粉末消耗品物品および吸入器システムは、約50mmWGの引き出し抵抗を有することが好ましい。引き出し抵抗は、ISO6565-2002に従い測定される。
【0079】
吸入器システムは、従来の紙巻たばこの喫煙または電子たばこのベイピングのように、消費者によって使用されてもよい。こうした喫煙またはベイピングは二つの工程によって特徴付けられることができ、第一の工程では、消費者が所望するニコチンの全量を含有する少容量が口腔の中に引き出され、それに続く第二の工程では、所望の量のニコチンを含むエアロゾルを含むこの少容量が新鮮な空気によってさらに希釈され、肺の中により深く引き出される。どちらの工程も消費者によって制御される。第一の吸入工程中に、消費者は吸入されるニコチンの量を決定してもよい。第二の工程中に、消費者は肺の中により深く引き出される第一の量を希釈するための量を決定してもよく、気道の上皮表面に送達される有効な薬剤の濃度が最大化される。この喫煙のメカニズムは時に、「吸煙-吸入-吐出」と呼ばれる。
【0080】
本明細書で使用されるすべての科学的および技術的な用語は、別途指定のない限り、当業界で一般に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするために提供されている。
【0081】
本明細書で使用される単数形(「一つの(a)」、「一つの(an)」、および「その(the)」)は、複数形の対象を有する実施形態を包含するが、その内容によって明らかに別途定められている場合はその限りではない。
【0082】
「または」は本明細書で使用される場合、一般的に、その内容によって明らかにそうでないことが定められている限り、「および/または」を含めた意味で使用される。「および/または」という用語は、列挙された要素の一つもしくはすべて、または列挙された要素のうちの任意の二つ以上の組み合わせを意味する。
【0083】
本明細書で使用される「有する、持つ(have)」、「有している、持っている(having)」、「含む(include)」、「含まれる(including)」、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、またはこれに類するものは制約のない意味で使用され、一般的に「含むが、これに限定されない」を意味する。当然のことながら、「から本質的に成る(consisting essentially of)」、「から成る(consisting of)」、およびこれに類するものは、「含む(comprising)」およびこれに類するものに包摂される。
【0084】
「好ましい」および「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の利点をもたらす場合がある本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一のまたはその他の状況下で、その他の実施形態もまた好ましいものである場合がある。その上、一つ以上の好ましい実施形態の列挙は、その他の実施形態が有用ではないことを暗示するものではなく、また特許請求の範囲を含む本開示の範囲からその他の実施形態を除外することを意図しない。
吸入器物品および吸入器システムについては、添付図面を参照しながら本発明をさらに説明するが、これは例証としてのみである。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1図1は、例示的なニコチン粉末消耗品物品の断面概略図である。
図2図2は、例示的な吸入器物品の断面概略図である。
図3図3は、例示的吸入器物品内またはその上に受けられるニコチン粉末消耗品物品を含む例示的吸入器システムの断面概略図である。
図4図4は、図3の吸入器システムの断面概略図であり、吸入器物品のニコチンを含む粒子を含有する完全に充填されたカプセルを通る吸入気流を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0086】
概略図は必ずしも実寸に比例しておらず、図示の目的で提示されるものであり、限定するものではない。図面は本開示で説明される一つ以上の態様を描写する。ただし、図面に描かれていないその他の態様が本開示の範囲および精神に則るものと理解される。
【0087】
図1は、例示的なニコチン粉末消耗品物品200の概略断面図である。ニコチン粉末消耗品物品200は、近位端204と遠位端206との間に延びる細長い消耗品本体201を含む。カプセル210は、細長い消耗品本体201内に固定される。カプセル210は、ニコチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む粒子215を含有する。
【0088】
第一の多孔性材料のプラグ224は細長い消耗品本体201の近位端204内に配置されてもよく、また第二の空気多孔性材料のプラグ226は細長い消耗品本体201の遠位端206内に配置されてもよい。風味送達要素230は、第二の多孔性材料のプラグ226内に配置されうる。第二の空気多孔性材料のプラグは、第一の材料のプラグと気流連通していない。
【0089】
図2は、例示的な吸入器物品100の断面概略図である。吸入器物品100は、マウスピース端104から消耗品受入れ端106まで長軸方向軸LAに沿って延びるホルダー本体101を画定する管状ハウジング102を含む。ホルダー本体101は、長軸方向軸LAに沿って、管取込み端116から管排出端114まで管状ハウジング102内に延びる内側管110を含む。管取込み端116は、消耗品受入れ端106に近接している。内側管110は、内側管110の壁111を通って延びる二つ以上の気流開口部113、115を有する気流内腔112を画定する。空気遮断要素118は、気流管腔112内に、二つの気流開口部113、115の間に位置付けられうる。
【0090】
空気遮断機構118は、管取込み端116の下流で気流管腔112内に配置される。少なくとも一つの気流開口部115は、管空気出口115を画定し、空気遮断機構118と管取込み端116との間にある。少なくとも一つの気流開口部113は、管空気吸込み口113を画定し、遮断機構118と管排出端114との間にある。管排出端114は、マウスピース端104と気流連通している。図は、五つの管の空気出口115および五つの管空気吸込み口113を図示しており、これらの開口部113、115は上述の任意の有用な数で存在してもよいと理解される。
【0091】
空気密封要素120は管状ハウジング102内に位置付けられて、マウスピース端104を消耗品受入れ端106から単離してもよい。内側管110は、空気密封要素120を通って延びる。
【0092】
図3は、例示的吸入器物品100内またはその上に受けられるニコチン粉末消耗品物品200を含む例示的吸入器システム300の断面概略図である。図4は、図3の吸入器システム300の断面概略図であり、吸入器物品のニコチンを含む粒子を含有する完全に充填されたカプセルを通る吸入気流(矢印で示す)を図示している。
【0093】
カプセル210は内側管110上に配置され、内側管はカプセル210の両側の側面を通って延びる。管取込み端116は、ニコチン粉末消耗品物品200がホルダー本体101の消耗品受入れ端106に受けられたときに、カプセル210から遠位に延びる。管取込み端116は、第二の空気多孔性材料のプラグ226内に延びうる。
【0094】
空気遮断要素118および気流開口部113、115は、ニコチン粉末消耗品物品200が、ホルダー本体101の消耗品受入れ端106に受けられたときに、カプセル210内に位置付けられる。管取込み端116は、ニコチン粉末消耗品物品200がホルダー本体101の消耗品受入れ端106に受けられたときに、カプセル210から遠位に延びてもよく、管空気出口114はカプセル210から近位に延びてもよい。
図1
図2
図3
図4