(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】包装ロール体の良否判定方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20230921BHJP
G01N 21/89 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G01N21/892 A
G01N21/89 Z
(21)【出願番号】P 2020041034
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】松尾 利香
(72)【発明者】
【氏名】野辺 春樹
【審査官】谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182500(JP,A)
【文献】特開2005-274324(JP,A)
【文献】特開2008-032747(JP,A)
【文献】特開2016-105044(JP,A)
【文献】特開2012-251983(JP,A)
【文献】特開2016-200495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
B65D 5/72
B65B 1/00 -69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯に樹脂フィルムを多層に巻いて包装ロール体とし、この包装ロール体の樹脂フィルムにおける最外層の取付領域に略白系色の口取紙を取り付け、その後、包装ロール体の良否を判定する包装ロール体の良否判定方法であって、
包装ロール体の樹脂フィルムにおける最外層の取付領域をカラー判別センサにより偏光フィルターを介して撮像し、撮像した取付領域画像の白色画素数を所定の閾値と比較し、比較の結果、白色画素数が所定の閾値以上の場合には、包装ロール体を取付領域に口取紙が適切に取り付けられた良品と判定するとともに、白色画素数が所定の閾値未満の場合には、
包装ロール体を取付領域に口取紙が不適切に取り付けられたり、又は口取紙が取り付けられていない不良品と判定することを特徴とする包装ロール体の良否判定方法。
【請求項2】
樹脂フィルムを、ポリ塩化ビニル樹脂製のラップフィルムとする
請求項1記載の包装ロール体の良否判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻芯に樹脂フィルムを多層に巻いてその取付領域に口取紙を取り付ける包装ロール体の良否判定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
料理の保存、乾燥や異物の付着の防止には、食品包装用の包装ロール体が利用されているが、この包装ロール体1は、
図3に示すように、筒形の巻芯2を備え、この巻芯2に透明のラップフィルム3が巻回されており、巻姿等が高価な高性能カメラにより検査され、検査後の良品が専用の包装箱に挿入された後、包装箱の検査が施されて出荷される(特許文献1、2参照)。
【0003】
ラップフィルム3は、密着性等に優れるポリ塩化ビニル樹脂により薄膜に成形され、リワインダー(巻取機)により原反から巻芯2に所定の長さが多層に巻き替えられてその最外層4の目視可能な取付領域5には、最外層4の自由端部の把握を容易にする口取紙6が取り付けられる。この口取紙6は、白色の紙片形に形成され、ラップフィルム3の最外層4と一層内側の外層との間に挿入されてラップフィルム3の幅方向における略中央部、換言すれば、目視可能な取付領域5に一部食み出して位置し、摘んで操作されることにより、包装箱からのラップフィルム3の最初の引き出し開始作業を容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3220420号公報
【文献】特開2017‐171389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来における包装ロール体1は、以上のように構成されているが、例えば口取紙6が安価な紙材の場合、製造環境が低湿度のときには、乾燥して弓なりに反った口取紙6を挿入できずに脱落等することがある。これでは、包装ロール体1の体裁悪化を招く他、口取紙6を摘んで適切に操作することができないので、ラップフィルム3の最外層4の自由端部を視認することができず、消費者の便宜を図ることができないという問題が生じる。
【0006】
この問題を解消するため、(1)製造された全ての包装ロール体1をオペレータが目視により検査する方法、(2)製造された全ての包装ロール体1から定時的に任意の包装ロール体1をランダムに抜き取り、検査する方法等が提案されている。しかしながら、(1)の方法の場合には、自動化や大量生産に支障を来すおそれがあり、(2)の方法の場合には、例え抜き取られた包装ロール体1が良品でも、それ以外の包装ロール体1が良品とは限らないので、不良品が市場に流通することがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、樹脂フィルムの最外層の取付領域に口取紙を適切に取り付けて包装ロール体の体裁悪化を防ぎ、口取紙により樹脂フィルムの最外層の自由端部を簡単に把握することができ、しかも、自動化や量産化に資する包装ロール体の良否判定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、巻芯に樹脂フィルムを多層に巻いて包装ロール体とし、この包装ロール体の樹脂フィルムにおける最外層の取付領域に略白系色の口取紙を取り付け、その後、包装ロール体の良否を判定する包装ロール体の良否判定方法であって、
包装ロール体の樹脂フィルムにおける最外層の取付領域をカラー判別センサにより偏光フィルターを介して撮像し、撮像した取付領域画像の白色画素数を所定の閾値と比較し、比較の結果、白色画素数が所定の閾値以上の場合には、包装ロール体を取付領域に口取紙が適切に取り付けられた良品と判定するとともに、白色画素数が所定の閾値未満の場合には、包装ロール体を取付領域に口取紙が不適切に取り付けられたり、又は口取紙が取り付けられていない不良品と判定することを特徴としている。
【0009】
なお、包装ロール体の樹脂フィルムにおける最外層の取付領域付近を照明装置により照明可能とし、この照明装置の照明タイミングとカラー判別センサの撮像タイミングとをずらすことが好ましい。
また、樹脂フィルムを、ポリ塩化ビニル樹脂製のラップフィルムとすることが好ましい。
【0010】
ここで、特許請求の範囲における樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルムであるのが好ましい。この樹脂フィルムは、包装用が主な用途ではあるが、それ以外の用途に利用しても良い。樹脂フィルムは、多層に巻かれた直後には、略黄系色、ピンク色、水色等の色調を帯びることが好ましい。これらの色調のうち、略黄系色には、黄色の他、近似色の枯野色、不言色、くちなし色、麦わら色、淡黄色等が含まれる。
【0011】
口取紙の略白系色には、少なくとも白色、近似色のアイボリーやクリーム色が含まれる。これら樹脂フィルムと口取紙との間には、色調(色合いともいう)差の生じることが重要である。さらに、包装ロール体の良否を判定する場合、判定手段として、各種のコンピュータ機器を使用し、一部露出した口取紙を検査したり、樹脂フィルムが透明のとき、透明な樹脂フィルム上から視認できる口取紙を検査することができる。
【0012】
本発明によれば、カラー判別センサに撮像された取付領域画像の白色画素数を所定の閾値と比較するが、この比較の際、包装ロール体の樹脂フィルムにおける最外層の取付領域に略白系色の口取紙が適切に挿入されている場合には、口取紙を示す白色画素数が所定の閾値以上となるので、包装ロール体は、取付領域に口取紙が適切に挿入された良品と判定される。これに対し、包装ロール体の樹脂フィルムにおける最外層の取付領域に略白系色の口取紙が不適切に挿入されていたり、挿入されていない場合には、口取紙を示す白色画素数が所定の閾値未満となるので、包装ロール体は、不良品と判定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂フィルムの最外層の取付領域に口取紙を適切に取り付けて包装ロール体の体裁悪化を防ぎ、口取紙により樹脂フィルムの最外層の自由端部を簡単に把握することができるという効果がある。また、自動化や量産化に資する包装ロール体の良否判定方法を提供することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、包装ロール体の樹脂フィルムがポリ塩化ビニル樹脂製のラップフィルムの場合、密着性に優れるので、ラップフィルムの最外層の自由端部の把握が簡単ではなく、最初の引き出し開始作業が困難となるが、ラップフィルムにおける最外層の取付領域に口取紙が適切に取り付けられるので、この口取紙の操作により、ラップフィルムの最初の引き出し開始作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る包装ロール体の良否判定方法の実施形態を模式的に示す説明図である。
【
図2】本発明に係る包装ロール体の良否判定方法の第2の実施形態を模式的に示す説明図である。
【
図3】ラップフィルムの取付領域に口取紙が適切に取り付けられた良品の包装ロール体を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における包装ロール体の良否判定方法は、
図1に示すように、巻芯2にラップフィルム3を多層に巻いて包装ロール体1とし、この包装ロール体1のラップフィルム3における最外層4の取付領域5に白色の口取紙6を挿入した後、包装ロール体1の良否を判定する方法であり、包装ロール体1のラップフィルム3における最外層4の取付領域5を専用のカラーセンサ10により偏光フィルター14を介して撮像し、撮像した取付領域画像の白色画素数を所定の閾値と比較し、この比較の結果に応じて包装ロール体1を良品と不良品に判別するようにしている。
【0017】
巻芯2は、例えば再生用紙がスパイラル巻きに巻装されることにより、防塵性や表面平滑性等に優れる細長い円筒形の安価な紙管とされる。この巻芯2は、図示しないリワインダーのホッパーに多数本が貯えられ、順次取り出される。
【0018】
ラップフィルム3は、所定の樹脂により長い透明帯形に成形され、リワインダーにより太巻きの原反から巻芯2の両端部以外の外周面に多層に巻き替えられる。このラップフィルム3は、伸縮性、耐久性、密着性等に優れるポリ塩化ビニル樹脂により、厚さ5μm以上12μm以下の柔軟な薄膜に成形され、巻芯2の外周面に平巻方式で巻き替えられるが、巻き替え直後にはフィルム間に空気が混在する関係上、光線を放って略黄系色の色調を帯び、白色の口取紙6との間に色調差を生じさせる。
【0019】
ラップフィルム3の大きさは、特に限定されるものではないが、過剰に伸びない45cm×50m、45cm×55m、45cm×100m、30cm×30m、30cm×100m、30cm×110m、22cm×100m程度に設定される。また、ラップフィルム3の最外層4における幅方向の略中央部は目視可能な取付領域5とされ、この最外層4から目視可能な取付領域5には、最外層4の自由端部の把握を視覚的に容易にする口取紙6が挿入される。
【0020】
口取紙6は、例えば薄い白色の細長い紙片形に形成され、ラップフィルム3の最外層4と一層内側の外層との間に挿入されてラップフィルム3の取付領域5に一部露出状態で位置し、包装ロール体1の良否を判定する際の基準となる。この口取紙6は、摘んで引っ張り操作されることにより、ラップフィルム3の最初の引き出し開始作業を容易にするよう機能する。
【0021】
このような包装ロール体1は、太巻きの原反から巻芯2に所定の長さのラップフィルム3がリワインダーにより多層に巻き替えられてラップフィルム3の最外層4の目視可能な取付領域5に口取紙6が挿入され、リワインダーから図示しないカートナー(箱詰機)の上流にバケットコンベヤ12で搬送されるとともに、巻姿等の全体が高性能カメラにより検査され、検査で適正と判定された良品がカートナーにより、細長い中空の包装箱に開口端部から挿入されて箱詰めされ、その後、視覚センサにより包装箱の外観検査等が施されて出荷される。
【0022】
カラーセンサ10は、バケットコンベヤ12の上方に下向きに設置されて搬送されて来る包装ロール体1の直上あるいは斜め上方に近接し、周囲に複数の照明ユニット11が一体的に付設されており、包装ロール体1の軸方向における略中央部、換言すれば、ラップフィルム3における最外層4の目視可能な取付領域5を上方あるいは斜め上方から撮像するよう機能する。
【0023】
係るカラーセンサ10は、光線を投光部から照射し、検出物体によって反射する光線を受光部で検出することにより、高精度な色彩判別を可能とする安価な光電センサ(画像判別センサでもある)からなり、バケットコンベヤ12のバケット13に嵌合支持された包装ロール体1のラップフィルム3における最外層4の目視可能な取付領域5に白色の口取紙6が適切に挿入された状態を基準にして撮像位置が調整される。
【0024】
カラーセンサ10の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば安価なIV‐G500CA[キーエンス株式会社製:製品名]、IV‐G300CA[キーエンス株式会社製:製品名]、LR‐W70[キーエンス株式会社製:製品名]等があげられる。また、カラーセンサ10のレンズには、ラップフィルム3の最外層4が一層内側の外層に必ずしも密着していないことに鑑み、偏光フィルター14が着脱自在に装着される。この偏光フィルター14は、例えばOP‐87899[キーエンス株式会社製:製品名]やOP‐87900[キーエンス株式会社製:製品名]等のアタッチメントからなり、照明ユニット11の照明に伴い、背景となる包装ロール体1の上部に白色のハレーションが発生するのを有効に防止するよう機能する。
【0025】
各照明ユニット11は、例えば高輝度の光線を照射する白色LEDを光源とした装置であり、光源をパルス点灯あるいはDC点灯して下方の包装ロール体1の目視可能な取付領域5やその付近を照明するよう機能する。この照明ユニット11の照明タイミングは、画像の色彩のばらつき等を防止して明瞭な画像を得たり、カラーセンサ10の内部トリガー遅延を利用することを考慮してカラーセンサ10の撮像タイミングとずらされる。
【0026】
カラーセンサ10と照明ユニット11は、制御用のコントローラ20に接続され、このコントローラ20が市販のコンピュータ機器21に接続される。このコンピュータ機器21は、例えばノート型のパーソナルコンピュータからなり、専用のソフトウェアがインストールされており、少なくともカラーセンサ10が撮像した包装ロール体1の取付領域画像を前処理(例えば、画像の濃淡処理等)する機能と、撮像された取付領域画像の白色画素数を所定の閾値と比較する機能と、比較の結果、白色画素数が所定の閾値以上の場合には、包装ロール体1を取付領域5に口取紙6が適切に挿入された良品と判定する機能と、比較の結果、白色画素数が所定の閾値未満の場合には、包装ロール体1を不良品と判定する機能とを実現する。
【0027】
コンピュータ機器21は撮像された取付領域画像の白色画素数を比較対象として所定の閾値と比較するが、これは、包装ロール体1の巻回直後のラップフィルム3が略黄系色であるのに対して判定基準の口取紙6が白色なので、黄色画素数と白色画素数のうち、口取紙6を示す白色画素数を所定の閾値と比較すれば、包装ロール体1の取付領域5における口取紙6の有無や口取紙6の挿入の適否等を有効に判別することができるからである。
【0028】
所定の閾値は、包装ロール体1のラップフィルム3における最外層4の目視可能な取付領域5に口取紙6が適切に挿入された状態をカラーセンサ10が撮像した場合の取付領域画像の平均的な白色画素数を基準に設定される。また、コンピュータ機器21のディスプレイ22には、カラーセンサ10の撮像した取付領域画像が必要に応じて表示される。
【0029】
上記構成において、包装ロール体1を製造してその良否を判定する場合には、先ず、太巻きの原反から巻芯2に所定の長さのラップフィルム3をリワインダーにより多層に巻き替え、巻き替えたラップフィルム3の最外層4から目視可能な取付領域5に口取紙6を挿入して包装ロール体1を製造し、この包装ロール体1をリワインダーからカートナーの上流にバケットコンベヤ12のバケット13に搭載して搬送する。
【0030】
すると、バケットコンベヤ12のバケット13に搭載された包装ロール体1をセンサが検知し、このセンサの検知に基づき、照明ユニット11の光源がパルス点灯して包装ロール体1の取付領域5やその付近を照明し、カラーセンサ10が包装ロール体1のラップフィルム3における最外層4の目視可能な取付領域5を偏光フィルター14を介し上方から撮像し、撮像された取付領域画像の情報がコンピュータ機器21に出力される。
【0031】
コンピュータ機器21は、撮像された取付領域画像の黄色画素数と白色画素数のうち、白色画素数を所定の閾値と比較するが、この比較の際、包装ロール体1のラップフィルム3における最外層4の目視可能な取付領域5に口取紙6が適切に挿入されている場合には、口取紙6を示す白色画素数が所定の閾値以上となる。したがって、包装ロール体1は、取付領域5に口取紙6が適切に挿入された良品と判定される。良品と判定された包装ロール体1は、その後、ラップフィルム3の巻きずれ・くびれ、幅不足等が高性能カメラによりさらに検査され、この検査で適正と判定された良品がカートナーにより、細長い中空の包装箱に挿入されて箱詰めされ、その後、視覚センサにより包装箱の外観検査等が施されて出荷される。
【0032】
これに対し、コンピュータ機器21が撮像された取付領域画像の白色画素数を所定の閾値と比較する際、包装ロール体1のラップフィルム3における最外層4の目視可能な取付領域5に口取紙6が不適切な状態で挿入されていたり、口取紙6が挿入されていない場合には、口取紙6を示す白色画素数が所定の閾値未満となる。したがって、包装ロール体1は、取付領域5に口取紙6が不適切に挿入されたり、口取紙6が未挿入の不良品と判定され、包装箱に対する箱詰め前にバケットコンベヤ12のバケット13から系外排出される。
【0033】
上記によれば、カラーセンサ10を用いてラップフィルムの最外層4の目視可能な取付領域5に口取紙6が不適切に挿入されたり、挿入されない事態を排除することができるので、包装ロール体1の体裁悪化の防止が大いに期待できる。また、口取紙6を摘んで適切に操作することができるので、ラップフィルム3の最外層4の自由端部を容易に把握することができ、消費者の便宜を図ることができる。また、カラーセンサ10とコンピュータ機器21により自動的に判定するので、製造された全ての包装ロール体1やその口取紙6をオペレータが目視により検査する必要がなく、自動化や大量生産に支障を来すおそれを有効に排除することができる。
【0034】
また、製造された全ての包装ロール体1から定時的に包装ロール体1をランダムに抜き取り、口取紙6の有無等を検査する必要もないので、不良品が市場に流通するおそれを排除することが可能となる。また、カラーセンサ10に偏光フィルター14を装着するので、包装ロール体1の上部に白色のハレーションが発生し、口取紙6が適切に挿入されていると誤撮像を招くのを防止することが可能となる。また、口取紙6の面積ではなく、画像の画素数を基準に包装ロール体1の良否を判定するので、取付領域5に対するカラーセンサ10の距離を微調整する必要がなく、判定基準の設定が実に容易となる。さらに、カラーセンサ10は、高性能カメラよりもきわめて安価であるので、コスト削減が期待できる。
【0035】
次に、
図2は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、カラーセンサ10と複数の照明ユニット11とを分離して別々に設置するようにしている。
各照明ユニット11は、特に限定されるものではないが、例えばライン照明タイプのCA‐DZシリーズ[キーエンス株式会社製:製品名]等があげられる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、カラーセンサ10に拘わらず、複数の照明ユニット11を自由に設置することができるのは明らかである。
【0036】
なお、上記実施形態では伸縮性、耐久性、密着性等に優れるポリ塩化ビニル樹脂製のラップフィルム3を示したが、口取紙6との間に色調差を生じさせる樹脂フィルム、特にポリ塩化ビニル系樹脂のラップフィルム3であれば、何らこれに限定されるものではない。例えば、バリア性、耐熱性、保存性等に優れるポリ塩化ビニリデンのラップフィルム3でも良い。また、上記実施形態では白色の口取紙6を挿入したが、アイボリー又はクリーム色の口取紙6を挿入しても良い。また、外部に一部食み出た口取紙6を検査したが、透明なラップフィルム3上から視認可能な食み出ない口取紙6を検査しても良い。
【0037】
また、バケットコンベヤ12ではなく、カートナーの上流部にカラーセンサ10や照明ユニット11を設置しても良い。また、口取紙6は、細長い紙片形でも良いが、何らこれに限定されるものではなく、例えば葉書型等とすることもできる。また、カラーセンサ10のレンズに偏光フィルター14を装着したが、包装ロール体1の取付領域5とカラーセンサ10の間に偏光フィルター14を介在させることもできる。さらに、照明ユニット11は、バー型やリング型等を特に問うものではなく、いずれをも採用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る包装ロール体の良否判定方法は、各種包装用樹脂フィルムの製造分野で使用される。
【符号の説明】
【0039】
1 包装ロール体
2 巻芯
3 ラップフィルム(樹脂フィルム)
4 最外層
5 取付領域
6 口取紙
10 カラーセンサ(カラー判別センサ)
11 照明ユニット(照明装置)
14 偏光フィルター
21 コンピュータ機器