(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】メソセリンを標的とするがんワクチンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20230921BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230921BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20230921BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20230921BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230921BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230921BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230921BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/86 Z
C07K14/705
A61K31/7088
A61K38/17
A61K39/00 H
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2020532723
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 US2018065519
(87)【国際公開番号】W WO2019118760
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-10
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509320254
【氏名又は名称】イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】チエン イェン
(72)【発明者】
【氏名】アナ スレイガー
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ガーマン
(72)【発明者】
【氏名】ニール クーチ
【審査官】藤山 純
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-502692(JP,A)
【文献】特表2009-528065(JP,A)
【文献】特表2013-530155(JP,A)
【文献】特表2016-516723(JP,A)
【文献】Kaneko O, et al.,A binding domain onmesothelin for CA125/MUC16,J Biol Chem,284(6),2009年02月06日,pp.3739-3749
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/12
C12N 15/63
C12N 15/86
C07K 14/705
A61K 31/7088
A61K 38/17
A61K 39/00
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2のアミノ酸19~607をコードする核酸配列、
および
(
b)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%同一であるタンパク質であって、配列番号2に対して、アミノ酸位置303にアラニン、アミノ酸位置583にトレオニン、およびアミノ酸位置585にバリンを含むタンパク質をコードする核酸配列
からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項2】
(a)配列番号1のヌクレオチド55~1821、
および
(
b)配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%同一である断片であって、配列番号2に対して、アミノ酸位置303でアラニン、アミノ酸位置583でトレオニン、およびアミノ酸位置585でバリンをコードする断片
からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項3】
(a)配列番号2をコードする核酸配列、
および
(
b)配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質であって、配列番号2に対して、アミノ酸位置303にアラニン、アミノ酸位置583にトレオニン、およびアミノ酸位置585にバリンを含むタンパク質をコードする核酸配列
からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項4】
(a)配列番号1、
および
(
b)配列番号1と少なくとも96%同一である断片であって、配列番号2に対して、アミノ酸位置303でアラニン、アミノ酸位置583でトレオニン、およびアミノ酸位置585でバリンをコードする断片
からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項5】
配列番号1に記載の核酸配列を含む、核酸分子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、ベクター。
【請求項7】
前記核酸分子が、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される制御性要素に動作可能に連結される、請求項6に記載のベクター。
【請求項8】
前記プロモーターが、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である、請求項7に記載のベクター。
【請求項9】
前記ポリ-アデニル化シグナルが、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である、請求項7に記載のベクター。
【請求項10】
前記ベクターが、プラスミドまたはウイルスベクターである、請求項6~9のいずれか一項に記載のベクター。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載の1つ以上の核酸分子を含む、組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項6~10のいずれか一項に記載の1つ以上のベクターを含む、組成物。
【請求項14】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
(a)配列番号2のアミノ酸19~607、
および
(
b)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列であって、配列番号2に対して、アミノ酸位置303にアラニン、アミノ酸位置583にトレオニン、およびアミノ酸位置585にバリンを含むアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項16】
(a)配列番号2、
および
(
b)配列番号2と少なくとも96%同一であるアミノ酸配列であって、配列番号2に対して、アミノ酸位置303にアラニン、アミノ酸位置583にトレオニン、およびアミノ酸位置585にバリンを含むアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項17】
配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、タンパク質。
【請求項18】
抗原を含み、前記抗原が、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項19】
前記抗原が、配列番号1によりコードされる、請求項18に記載のワクチン。
【請求項20】
ペプチドを含み、前記ペプチドが、
配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも
96%の同一性を有し、かつ配列番号2に対して、アミノ酸位置303にアラニン、アミノ酸位置583にトレオニン、およびアミノ酸位置585にバリンを有するアミノ酸配列を含む、ワクチン。
【請求項21】
核酸分子を含み、前記核酸分子が、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも
96%の同一性を有し、かつ配列番号2に対して、アミノ酸位置303でアラニン、アミノ酸位置583でトレオニン、およびアミノ酸位置585でバリンをコードする核酸配列を含む、ワクチン。
【請求項22】
核酸分子を含み、前記核酸分子が、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも
96%の同一性を有し、かつ配列番号2に対して、アミノ酸位置303にアラニン、アミノ酸位置583にトレオニン、およびアミノ酸位置585にバリンを有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、ワクチン。
【請求項23】
前記核酸分子が、発現ベクターを含む、請求項21または22に記載のワクチン。
【請求項24】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項21または22に記載のワクチン。
【請求項25】
アジュバントをさらに含む、請求項21または22に記載のワクチン。
【請求項26】
前記アジュバントが、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである、請求項25に記載のワクチン。
【請求項27】
メソセリンを発現するがんの治療における使用のための、請求項18~20のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項28】
メソセリンを発現するがんの治療における使用のための、請求項21~26のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項29】
メソセリンを発現するがんに対するワクチン接種における使用のための、請求項18~26のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項30】
薬剤として使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項31】
がんの治療における薬剤として使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項32】
薬剤の調製において使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項33】
がんの治療のための薬剤の調製において使用するための、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月13日に申請された米国仮特許出願第62/598,289号の優先権および利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表を含む。該ASCIIコピーは、2018年12月11日に作成され、104409_000444_sequence_listing.txtという名称であり、8,223バイトのサイズである。
【0003】
本発明は、メソセリン抗原およびそれをコードする核酸分子に関する。本発明はまた、メソセリン抗原および/または核酸分子を含むワクチンに関する。本発明はさらに、免疫応答を誘導し、メソセリンを発現するがん性細胞を有する対象を予防および/または治療するためにワクチンを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
がんは、米国において、および世界的に依然として主な死亡原因である。がんワクチン市場は急速に成長している。有効な腫瘍ワクチンは、腫瘍の成長を予防するために有用であり得、かつ/または進行がんの患者の標準治療のより有効で毒性が低い代替品として有用であり得る。がんと関連する抗原、したがって抗腫瘍ワクチンの標的はメソセリンである。
【0005】
メソセリンは、30kDの巨核球増強因子および41kDのGPIアンカー型膜結合成熟メソセリンの2つの生成物に切断される71kDのタンパク質である。メソセリンの機能は不明であるが、最近の研究では、メソセリンが、MUC16と結合することにより卵巣がん転移に役割を果たし得ることが示唆され、卵巣がん細胞の表面にも高発現される。メソセリンの発現は、IHCにより漿液性卵巣がんの82~100%で観察される。Hassan,R.European journal of cancer 44,46-53(2008)、Ordonez,N.G.The American journal of surgical pathology 27,1418-1428(2003)。メソセリンは、卵巣がんにおけるその高い発現および腫瘍浸潤との関連のため、魅力的ながん治療ワクチンの標的である。
【0006】
がんの治療および予防のためのワクチンは、非常に関心を集めるものである。腫瘍細胞抗原を標的とする既存のワクチンは、多くの場合、インビボでの不十分な抗原発現により制限される。したがって、メソセリンを発現する腫瘍に適用可能であり、それにより、かかるがんに罹患する対象の治療を提供し、生存を促進する安全かつ効果的なワクチンを開発する必要性が当技術分野に残存する。
【発明の概要】
【0007】
(a)配列番号2のアミノ酸19~607をコードする核酸配列、(b)配列番号2のアミノ酸19~607を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子が本明細書で提供される。
【0008】
配列番号1のヌクレオチド55~1821、(b)配列番号1のヌクレオチド55~1821を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%同一である断片、および(d)配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子が本明細書でさらに提供される。
【0009】
(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子が本明細書で提供される。
【0010】
(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも96%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも96%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態において、核酸分子は、配列番号1に記載の核酸配列を含む。
【0011】
本明細書に記載される核酸分子は、プラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターに組み込まれ得る。本明細書に記載される核酸分子は、プラスミドまたはウイルスベクターなどのベクターに組み込まれ得る。いくつかの実施形態において、ベクターは、(a)配列番号2のアミノ酸19~607をコードする核酸配列、(b)配列番号2のアミノ酸19~607を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。さらなる実施形態において、ベクターは、配列番号1のヌクレオチド55~1821、(b)配列番号1のヌクレオチド55~1821を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%同一である断片、および(d)配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。なおさらなる実施形態において、ベクターは、(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。さらなる実施形態において、ベクターは、(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも96%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも96%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。なおさらなる実施形態において、ベクターは、配列番号1に記載の核酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸は、制御性要素に動作可能に連結される。いくつかの実施形態において、制御性要素は、プロモーターおよび/またはポリ-アデニル化シグナルである。さらなる実施形態において、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である。なおさらなる実施形態において、ポリ-アデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である。
【0013】
本明細書に記載される1つ以上の核酸分子を含む組成物も本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、薬学的に許容される担体を含む。
【0014】
(a)配列番号2のアミノ酸19~607、(b)配列番号2のアミノ酸19~607を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むメソセリン抗原タンパク質がさらに提供される。
【0015】
(a)配列番号2、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号2と少なくとも96%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号2と少なくとも96%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むメソセリン抗原タンパク質がさらに提供される。いくつかの実施形態において、タンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。
【0016】
メソセリン抗原を含み、抗原が、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む、ワクチンがさらに提供される。いくつかの実施形態において、抗原は、配列番号1によりコードされる。
【0017】
核酸分子を含み、核酸分子が、配列番号1に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約96%の同一性を有する核酸配列を含む、ワクチンがさらに提供される。核酸分子を含み、核酸分子が、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約96%の同一性を有するアミノ酸配列を含むメソセリン抗原をコードする、ワクチンがさらに本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、核酸分子は、発現ベクターを含み得る。ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、ワクチンは、アジュバントをさらに含み得る。特定の実施形態において、アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、またはRANTESである。
【0018】
メソセリン抗原を含み、抗原が、配列番号2に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ワクチンが本明細書でさらに提供される。
【0019】
本明細書に記載されるワクチンの治療有効量を投与することを含む、メソセリンを発現するがん性細胞を有する対象を治療する方法がさらに提供される。いくつかの実施形態において、投与は、エレクトロポレーションステップを含む。他の実施形態において、投与は、対象の1つ以上の部位で生じる。
【0020】
体液性免疫応答を誘導するのに有効な、本明細書に記載されるワクチンの量を投与することを含む、メソセリンを発現するがん性細胞に対して対象にワクチン接種する方法も提供される。いくつかの実施形態において、投与は、エレクトロポレーションステップを含む。他の実施形態において、投与は、対象の1つ以上の部位で生じる。
【0021】
(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)薬剤として使用するための、配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療における薬剤としての使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸分子は、薬剤の調製において使用するためのものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療のための薬剤の調製において使用するためのものである。
【0022】
(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも96%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも96%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む、核酸分子が本明細書でさらに提供される。いくつかの実施形態において、核酸分子は、薬剤として使用するための、配列番号1に記載の核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療における薬剤としての使用のためのものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸分子は、薬剤の調製において使用するためのものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される核酸分子は、がんの治療のための薬剤の調製において使用するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】GPIアンカー型メソセリンタンパク質前駆体の構造の模式図である。
【
図3】合成コンセンサスメソセリンの模式図を示す。
【
図4】改変されたpVAX1骨格(pGX0001)の図表示である。
【
図6】ヒト横紋筋肉腫細胞における合成コンセンサスメソセリン抗原発現のウエスタンブロットを示す。
【
図7A】本開示の実施形態を使用する合成コンセンサスメソセリンの免疫原性を示す。
【
図7B】本開示の実施形態を使用する合成コンセンサスメソセリンの免疫原性を示す。
【
図8】本開示の実施形態を使用するフローサイトメトリーゲーティング戦略を示す。
【
図9A】pGXl430により誘導される細胞性免疫応答を示す。
図9Aは、抗原特異的CD4
+T細胞応答の合成コンセンサスメソセリン誘導頻度を示す。
【
図9B】pGXl430により誘導される細胞性免疫応答を示す。
図9Bは、抗原特異的CD8
+T細胞応答の合成コンセンサスメソセリン誘導頻度を示す。
【
図9C】pGXl430により誘導される細胞性免疫応答を示す。
図9Cは、合成コンセンサスメソセリン特異的CD4
+T細胞のサイトカインプロファイルを示す。
【
図9D】pGXl430により誘導される細胞性免疫応答を示す。
図9Dは、合成コンセンサスメソセリン特異的CD8
+T細胞のサイトカインプロファイルを示す。
【
図10A】合成コンセンサスメソセリン特異的T細胞の細胞溶解能を示す。
図10Aは、抗原特異的CD4
+CD107a
+T細胞の頻度を示す。
【
図10B】合成コンセンサスメソセリン特異的T細胞の細胞溶解能を示す。
図10Bは、抗原特異的CD8
+CD107a
+T細胞の頻度を示す。
【
図10C】合成コンセンサスメソセリン特異的T細胞の細胞溶解能を示す。
図10Cは、合成コンセンサスメソセリン特異的CD4
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルを示す。
【
図10D】合成コンセンサスメソセリン特異的T細胞の細胞溶解能を示す。
図10Dは、合成コンセンサスメソセリン特異的CD8
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルを示す。
【
図11A】本開示の実施形態を使用する個々のNHPからのメソセリン特異的IFNγ SFU/10
6PBMCを示す。
図11Aは、メソセリン単独を示す。
【
図11B】本開示の実施形態を使用する個々のNHPからのメソセリン特異的IFNγ SFU/10
6PBMCを示す。
図11Bは、低用量のIL-12(0.04mg)を含むメソセリンを示す。
【
図11C】本開示の実施形態を使用する個々のNHPからのメソセリン特異的IFNγ SFU/10
6PBMCを示す。
図11Cは、高用量のIL-12(0.2mg)を含むメソセリンを示す。
【
図12A】本開示の実施形態を使用する平均化されたメソセリン特異的IFNγ SFU/10
6PBMCを示す。
図12Aは、メソセリン単独を示す。
【
図12B】本開示の実施形態を使用する平均化されたメソセリン特異的IFNγ SFU/10
6PBMCを示す。
図12Bは、低用量のIL-12(0.04mg)を含むメソセリンを示す。
【
図12C】本開示の実施形態を使用する平均化されたメソセリン特異的IFNγ SFU/10
6PBMCを示す。
図12Cは、高用量のIL-12(0.2mg)を含むメソセリンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、メソセリン抗原を含むワクチンに関する。メソセリンは、多くの腫瘍で発現される。したがって、ワクチンは、メソセリンを発現するがんまたは腫瘍の治療を提供する。本発明のワクチンは、治療を必要とする対象のがんの特定の予防または治療のための特定のがん抗原の任意の組み合わせを提供することができる。
【0025】
組換えがん抗原の核酸およびそのコードされるアミノ酸配列を設計するための1つの方法は、天然がん抗原の全体的なアミノ酸配列において特定のアミノ酸を変化させる変異を導入することによるものである。変異の導入は、がん抗原をあまり改変しないため、哺乳動物対象、好ましくはヒトまたはイヌ対象にわたり普遍的に適用することはできないが、結果として生じるアミノ酸配列は、免疫応答を生成するために、寛容性を破壊するか、または外来抗原と見なされるように十分に変化する。別の方法は、その対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%および最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%および最大98%の配列同一性、より好ましくは少なくとも93%および最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは少なくとも95%および最大98%の配列同一性を有するコンセンサス組換えがん抗原を作成することであり得る。場合によっては、組換えがん抗原は、その対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。天然がん抗原は、特定のがんまたはがん腫瘍に通常関連する抗原である。がん抗原に応じて、がん抗原のコンセンサス配列は、哺乳動物種全体、または種のサブタイプ内、またはウイルス株全体、または血清型にわたることができる。いくつかのがん抗原は、がん抗原の野生型アミノ酸配列と大きく異ならない。いくつかのがん抗原は、種にわたって非常に異なるため、コンセンサス配列を生成することができない核酸/アミノ酸配列を有する。これらの場合では、その対応する天然がん抗原に対して少なくとも85%および最大99%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも90%および最大98%の配列同一性、より好ましくは少なくとも93%および最大98%の配列同一性、またはさらにより好ましくは少なくとも95%および最大98%の配列同一性を有する、寛容を破壊し、免疫応答を生成する組換えがん抗原が生成される。場合によっては、組換えがん抗原は、その対応する天然がん抗原に対して95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性である。前述のアプローチを組み合わせて、最終的な組換えがん抗原が、上述される天然がん抗原アミノ酸配列との類似性パーセントを有するようにすることができる。
【0026】
メソセリン抗原は、一部分において、異なる種または種内の異なるアイソフォームからのメソセリンの配列に由来するコンセンサスメソセリン抗原であり得、したがって、コンセンサスメソセリン抗原は非天然である。改変は、MUC16結合ドメインおよび/またはGPIアンカリングシグナルの変異、ならびにメソセリン抗原のN末端への上流のコザックおよびIgEリーダー配列の付加を含み得る。
【0027】
合成メソセリンは、抗原特異的T細胞および/または高力価抗体応答を誘導することができ、それにより抗原を発現するがんまたは腫瘍に指向されるか、またはそれに対して反応性である免疫応答を誘導または誘発する。いくつかの実施形態において、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、細胞性、体液性、または細胞性および体液性の両方の免疫応答であり得る。いくつかの実施形態において、誘導されたまたは誘発された細胞性免疫応答には、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌が含まれ得る。他の実施形態において、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、これらに限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的制御性T細胞(Tregs)を上方制御する因子、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生された可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、ならびに免疫チェックポイント分子を低減または阻害することができる。
【0028】
ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わせて、細胞性および体液性免疫応答の両方の刺激を増強することができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用することによって、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを妨げる。全般的に、免疫系によって認識されるがん抗原を設計することにより、腫瘍細胞による他の形態の免疫抑制を克服するのに役立ち、これらのワクチンは、T細胞および/またはB細胞応答をさらに増加させるために、抑制または阻害療法(抗PD-1および抗-PDL-1抗体療法など)と組み合わせて使用することができる。
【0029】
定義
特に別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本文書が支配する。好ましい方法および材料が以下に記載されるが、本明細書に記載されているものと同様または同等の方法および材料を、本発明の実践または試験に使用することができる。本明細書に言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、制限することを意図するものではない。
【0030】
本明細書で使用される「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる」、「含有する(contain)」、およびそれらの変形の用語は、追加の行為または構造の可能性を排除しない、制限のない過渡的な句、用語、または単語であることを意図する。単数形「a」、「and」、および「the」には、文脈から明確に指示されない限り、複数の参照が含まれる。本開示は、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素を「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、および「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0031】
本明細書の数値範囲の列挙については、列挙された範囲の最小値および最大値と同じ程度の精度を有する各々の介在する値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲では、6および9に加えて7および8の数値が企図され、6.0~7.0の範囲では、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数値が、明示的に企図される。
【0032】
本明細書で使用される「アジュバント」は、メソセリン抗原の免疫原性を増強するために本明細書に記載されるワクチンに追加される任意の分子および/または本明細書に記載される抗原をコードする核酸分子を意味する。
【0033】
本明細書で使用される「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの抗体、またはその断片もしくは誘導体を意味し、Fab、F(ab’)2、Fd、および一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体、ならびにそれらの誘導体を含む。抗体は、哺乳動物の血清試料から単離した抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製した抗体、またはその任意の混合物であってよく、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対して十分な結合特異性を呈する。
【0034】
「メソセリン抗原」は、配列番号2のアミノ酸19~607を含む変異したメソセリンアミノ酸配列、配列番号2、本明細書に記載の長さのその断片、バリアントを有するタンパク質、すなわち、本明細書に記載の配列番号2に対して同一性を有する配列および本明細書に記載の長さを有するバリアントの断片、配列番号2、本明細書に記載の長さのその断片、バリアントを有するタンパク質、すなわち、本明細書に記載の配列番号2に対して同一性を有する配列および本明細書に記載の長さを有するバリアントの断片を有するタンパク質、ならびにそれらの組み合わせを指す。抗原は、任意に、他のタンパク質からのものなどのシグナルペプチドを含み得る。
【0035】
本明細書で使用される「コード配列」または「コードする核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸が投与される対象または哺乳動物の細胞における発現を指示することが可能なプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む、制御性要素に動作可能に連結される開始および終結シグナルをさらに含み得る。
【0036】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」は、核酸がヌクレオチド間または核酸分子のヌクレオチド類似体間のワトソン-クリック(例えば、A-T/UおよびC-G)またはフーグスティーン塩基対を意味し得ることを意味する。
【0037】
本明細書で使用される、「コンセンサス」または「コンセンサス配列」は、異なる生物からの同じ遺伝子の複数の配列のアライメントの分析に基づいたポリペプチド配列を意味する。コンセンサスポリペプチド配列をコードする核酸配列を調製することができる。コンセンサス配列を含むタンパク質および/またはそのようなタンパク質をコードする核酸分子を含むワクチンは、抗原に対して広範な免疫を誘導するために使用することができる。
【0038】
本明細書で使用される「定電流」は、同じ組織に送達される電気パルスの持続期間にわたって、組織または該組織を規定する細胞によって受け取られるまたは経験される電流を表す。電気パルスは、本明細書に記載の電気穿孔装置から送達される。本明細書に提供される電気穿孔装置はフィードバック要素を有する、好ましくは即時フィードバックを有するため、この電流は、電気パルスの寿命にわたって該組織に一定のアンペア数のままである。フィードバック要素は、パルスの持続期間全体を通して組織(または細胞)の抵抗を測定し、電気穿孔装置にその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧増加させる)ため、同じ組織内の電流が電気パルス全体を通して(マイクロ秒ほどで)およびパルス間で一定のままである。いくつかの実施形態において、フィードバック要素はコントローラを含む。
【0039】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」は、交換可能に使用されてもよく、電極間の組織の電流を測定し、一定のレベルに電流を維持するためにEP装置によって送達されるエネルギー出力を適宜変更することを含む、提供される電気穿孔装置の能動応答を意味し得る。この一定レベルは、パルスシーケンスまたは電気治療の開始前にユーザによって予め調整される。フィードバックは、電気回路が電極間の組織の電流を継続的に監視し、監視した電流(または組織内の電流)を予め調整した電流と比較し、継続的にエネルギー出力調整を行って、監視した電流を予め調整したレベルに維持することができるため、電気穿孔装置の電気穿孔構成要素、例えばコントローラによって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるため、瞬時であり得る。
【0040】
本明細書で使用される「分散電流」は、本明細書に記載の電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し、このパターンは、電気穿孔される組織の任意の領域の電気穿孔関連の熱ストレスの発生を最小限に抑えるか、好ましくは排除する。
【0041】
本明細書で交換可能に使用される「電気穿孔」、「電気透過」、または「電気運動増強」(「EP」)は、生体膜において微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を意味し、それらの存在は、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水などの生体分子が細胞膜の一方の側からもう一方の側に通過するのを可能にする。
【0042】
核酸配列に関して本明細書で使用される「断片」は、本明細書に開示の抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドをコードする核酸配列またはその一部を意味する。断片は、以下に記載のタンパク質断片をコードする様々なヌクレオチド配列の少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。断片は、付加されるいかなる異種シグナルペプチドも除いて、本明細書に記載の核酸配列のうちの1つ以上の全長の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、付加されるいかなる異種シグナルペプチドも除いて、以下に記載の核酸配列のうちの1つ以上の全長の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、断片は、いかなる異種シグナルペプチドも除いて、本明細書に記載の核酸配列のうちの1つ以上と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であり得る。いくつかの実施形態において、断片は、いかなる異種シグナルペプチドも除いて、以下に記載の核酸配列のうちの1つ以上と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であり得る。
【0044】
さらなる実施形態において、断片は、加えて任意に、同一性パーセントを計算するときに含まれない異種シグナルペプチドをコードする配列を含み得る。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドのコード配列も含み得る。N末端メチオニンおよび/またはシグナルペプチドをコードするコード配列は、コード配列の断片に連結され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、断片は、以下に記載の核酸配列のうちの少なくとも1つの少なくとも1500ヌクレオチド以上、1510ヌクレオチド以上、1520ヌクレオチド以上、1530ヌクレオチド以上、1540ヌクレオチド以上、1550ヌクレオチド以上、1560ヌクレオチド以上、1570ヌクレオチド以上、1580ヌクレオチド以上、1590ヌクレオチド以上、1600ヌクレオチド以上、1610ヌクレオチド以上、1620ヌクレオチド以上、または1630ヌクレオチド以上、1640ヌクレオチド以上、1650ヌクレオチド以上、1660ヌクレオチド以上、1670ヌクレオチド以上、1680ヌクレオチド以上、1690ヌクレオチド以上、1700ヌクレオチド以上、1710ヌクレオチド以上、1720ヌクレオチド以上、1730ヌクレオチド以上、1740ヌクレオチド以上、1750ヌクレオチド以上、1760ヌクレオチド以上、1770ヌクレオチド以上、1780ヌクレオチド以上、1790ヌクレオチド以上、1800ヌクレオチド以上、1810ヌクレオチド以上、または1820ヌクレオチド以上を含むことができる。
【0046】
ポリペプチド配列に関して「断片」または「免疫原性断片」は、本明細書に開示の抗原と交差反応する哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドを意味する。断片は、本明細書に記載の様々なアミノ酸配列のうちの少なくとも1つから選択されるポリペプチド断片であり得る。コンセンサスタンパク質の断片は、付加されるいかなる異種シグナルペプチドも除いて、コンセンサスタンパク質の全長の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%を含み得る。いくつかの実施形態において、断片は、付加されるいかなる異種シグナルペプチドも除いて、以下に記載のアミノ配列のうちの1つ以上の全長の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、断片は、いかなる異種シグナルペプチドも除いて、本明細書に記載のアミノ酸配列のうちの1つ以上と少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%同一であり得る。いくつかの実施形態において、断片は、付加されるいかなる異種シグナルペプチドも除いて、以下に記載のアミノ酸配列のうちの1つ以上と少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であり得る。
【0048】
さらなる実施形態において、断片は、加えて任意に、同一性パーセントを計算するときに含まれない異種シグナルペプチドをコードする配列を含み得る。断片は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをさらに含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、コンセンサスタンパク質の断片は、本明細書に開示されるタンパク質配列の少なくとも546アミノ酸以上、547アミノ酸以上、548アミノ酸以上、549アミノ酸以上、550アミノ酸以上、551アミノ酸以上、552アミノ酸以上、553アミノ酸以上、554アミノ酸以上、555アミノ酸以上、556アミノ酸以上、557アミノ酸以上、558アミノ酸以上、559アミノ酸以上、560アミノ酸以上、561アミノ酸以上、562アミノ酸以上、563アミノ酸以上、564アミノ酸以上、565アミノ酸以上、566アミノ酸以上、567アミノ酸以上、568アミノ酸以上、569アミノ酸以上、570アミノ酸以上、571アミノ酸以上、572アミノ酸以上、573アミノ酸以上、574アミノ酸以上、575アミノ酸以上、576アミノ酸以上、577アミノ酸以上、578アミノ酸以上、579アミノ酸以上、580アミノ酸以上、581アミノ酸以上、582アミノ酸以上、583アミノ酸以上、584アミノ酸以上、585アミノ酸以上、586アミノ酸以上、587アミノ酸以上、588アミノ酸以上、589アミノ酸以上、590アミノ酸以上、591アミノ酸以上、592アミノ酸以上、593アミノ酸以上、594アミノ酸以上、595アミノ酸以上、596アミノ酸以上、597アミノ酸以上、598アミノ酸以上、599アミノ酸以上、600アミノ酸以上、601アミノ酸以上、602アミノ酸以上、603アミノ酸以上、604アミノ酸以上、605アミノ酸以上、606アミノ酸以上、607アミノ酸以上を含むことができる。
【0050】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子が投与される対象の細胞において発現を指向することができるプロモーターおよびポリアデニル化シグナルを含む、制御性要素に動作可能に連結される開始および終結シグナルを含む。本明細書で使用される「発現可能な形態」という用語は、対象の細胞に存在する場合に、コード配列が発現されるようにタンパク質をコードするコード配列に動作可能に連結される必要な制御性要素を含有する遺伝子構築物を指す。
【0051】
本明細書で使用される「相同性」という用語は、相補性の程度を指す。部分的な相同性または完全な相同性(すなわち、同一性)が存在し得る。標的核酸へのハイブリダイズから完全な相補性配列を少なくとも部分的に阻害する部分的な相同性配列は、「実質的に相同」という機能的用語を使用して言及される。cDNAまたはゲノムクローンなどの二本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で二本鎖核酸配列の鎖にハイブリダイズすることができるプローブを指す。一本鎖核酸配列に関して使用される場合、本明細書で使用される「実質的に相同」という用語は、低ストリンジェンシーの条件下で一本鎖核酸テンプレート配列にハイブリダイズすることができるプローブを指す(すなわち、その補体である)。
【0052】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される、「同一」または「同一性」は、配列が特定の領域にわたって同じである残基の特定のパーセンテージを有することを意味する。パーセンテージは、2つの配列を最適にアライメントし、特定の領域にわたって2つの配列を比較し、同一の残基が両配列で生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を特定の領域の位置の総数で除し、結果を100で乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算することができる。2つの配列が異なる長さのものであるか、またはアライメントにより1つ以上の付着端が生じ、比較の特定の領域が単一配列のみを含む場合、単一配列の残基は計算の分母に含まれるが、分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、同等とみなされ得る。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST2.0などのコンピュータシーケンスアルゴリズムを使用することによって行うことができる。
【0053】
本明細書で使用される「インピーダンス」は、フィードバック機構を論じる場合に使用され得、オームの法則に従う電流値に変換され、したがって予め調整された電流と比較することができる。
【0054】
本明細書で使用される「免疫応答」は、抗原の導入に応答する、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物の免疫系の活性化を意味する。免疫応答は、細胞性もしくは液性応答、またはその両方の形態であり得る。
【0055】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、一緒に共有結合された少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の記述も相補鎖の配列を定義する。したがって、核酸は記述される一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントが所与の核酸と同じ目的のために使用され得る。したがって、核酸は、実質的に同一の核酸およびその補体も包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズすることができるプローブを提供する。したがって、核酸は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブも包含する。
【0056】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖および一本鎖の両方の配列の一部を含み得る。核酸がデオキシリボ-およびリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン,
ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含み得る場合、核酸は、DNA、ゲノムおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得る。核酸は、化学合成法または組換え法により得ることができる。
【0057】
本明細書で使用される「動作可能に連結される」は、遺伝子の発現が空間的に接続されるプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下の遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に位置し得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターとプロモーターが由来する遺伝子においてそれが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当該技術分野において既知であるように、この距離の差異は、プロモーターの機能を喪失することなく調整され得る。
【0058】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結された配列を意味し得、天然、合成、または天然および合成の改変もしくは組み合わせであり得る。
【0059】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を付与する、活性化する、または増強することができる合成または天然由来の分子を意味する。プロモーターは、細胞における核酸の発現をさらに増強し、かつ/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写制御配列を含み得る。プロモーターは、転写の開始部位から数千塩基対ほどに位置し得る遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントも含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、発現が生じる細胞、組織、もしくは臓器に関して、または発現が生じる発達段階に関して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤(inducing agent)などの外部刺激に応答して、構成的または差次的に遺伝子構成成分の発現を制御することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター、またはSV40後期プロモーター、CMV IEプロモーター、およびヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMV)が挙げられる。特定の実施形態において、プロモーターは、hCMVプロモーターである。
【0060】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に記載のタンパク質のアミノ末端で連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、タンパク質が産生される細胞からその分泌を容易にする。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質の残りの部分から切断されることが多く、しばしば、細胞から分泌されると成熟タンパク質と称される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のアミノ末端(すなわち、N末端)で連結される。
【0061】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、第1の核酸配列(例えば、プローブ)が核酸の複雑な混合物などにおいて第2の核酸配列(例えば、標的)にハイブリダイズする条件を意味する。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、異なる状況において異なる。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHで特異的配列の熱的融点(thermal melting point)(Tm)よりも約5~10℃低くなるように選択され得る。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核濃度下で)であり得る(標的配列は過剰で存在するため、Tmで、プローブの50%は平衡で占有される)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0~8.3の約1.0M未満のナトリウムイオン、例えば、約0.01~1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、温度が、短いプローブについては(例えば、約10~50ヌクレオチド)少なくとも約30℃、そして長いプローブについては(例えば、約50ヌクレオチド超)少なくとも約60℃であるものであり得る。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤(destabilizing agent)の添加によっても達成することができる。選択的または特異的ハイブリダイゼーションに関して、正のシグナルは背景ハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、50%ホルムアミド、5xSSC、および1%SDS、42℃でインキュベート、または5xSSC、1%SDS、65℃でインキュベート、0.2xSSCにおいて洗浄、および65℃で0.1%SDSが含まれる。
【0062】
本明細書で使用される「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫化されることを望む、またはそれを必要とする哺乳動物を意味し得る。哺乳動物は、ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ネズミ、またはラットであり得る。
【0063】
本明細書で使用される「実質的に相補的」は、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の補体に対して少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるか、または2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味する。
【0064】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、第1および第2の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、180、270、360、450、540以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、または第1の配列が第2の配列の補体と実質的に相補的である場合、核酸に関して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であることを意味する。
【0065】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」、または「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、阻止する、または完全に排除する手段により疾患から動物を保護することを意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の抑制は、疾患の誘導後であるが、その臨床的出現の前に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。疾患の阻止は、疾患の出現後に本発明のワクチンを動物に投与することを伴う。
【0066】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)言及されるヌクレオチド配列の一部もしくは断片、(ii)言及されるヌクレオチド配列もしくはその一部の補体、(iii)言及される核酸もしくはその補体と実質的に同一である核酸、または(iv)ストリンジェント条件下で、言及される核酸、その補体、もしくはそれに実質的に同一の配列にハイブリダイズする核酸を意味する。
【0067】
ペプチドまたはポリペプチドに関して本明細書で使用される「バリアント」は、アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチドまたはポリペプチドを意味する。バリアントは、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を伴う言及されるタンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を伴うタンパク質も意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似する特性(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)の異なるアミノ酸に置き換えることは、当該技術分野において典型的にわずかな変化を伴うと認識されている。これらのわずかな変化は、当該技術分野において理解されるように、一部、アミノ酸の疎水親水指数を考慮することによって同定され得る。Kyte et al,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸の疎水親水指数は、その疎水性および電荷を考慮することに基づく。類似する疎水親水指数のアミノ酸が置換され、なおもタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野において既知である。一態様では、±2の疎水親水指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性は、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらし得る置換を明らかにするために、使用することもできる。ペプチドの文脈において、アミノ酸の親水性を考慮することにより、抗原性および免疫原性と良好に相関することが報告されている有用な手段である、そのペプチドの最大局所平均親水性(greatest local average hydrophilicity)の計算が可能となる。米国特許第4,554,101号、参照により本明細書に完全に組み込まれる。類似する親水性値を有するアミノ酸の置換は、当該技術分野において理解されるように、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドをもたらし得る。置換は、互いに±2内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性指数および親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。その観察と一致して、生物学的機能と適合性のあるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の特性により明らかにされるように、アミノ酸の相対類似性および特にそれらのアミノ酸の側鎖に依存すると理解されている。
【0068】
バリアントは、完全な遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列の完全長またはその断片にわたって、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0069】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターであり得、好ましくはDNAプラスミドである。ベクターは、1つ以上の異種核酸配列を含有するか、それを含み得る。
【0070】
ワクチン
本明細書に記載されるメソセリン抗原またはメソセリン抗原をコードする核酸を含むワクチンが本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、ワクチンは、本明細書に記載されるメソセリン抗原をコードする1つ以上の核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、ワクチンは、配列番号2のアミノ酸19~607をコードする核酸配列、配列番号2のアミノ酸19~607を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、配列番号2をコードする核酸配列、配列番号2の長さの少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列、配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および/または配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、配列番号1のヌクレオチド55~1821、配列番号1のヌクレオチド55~1821を含む核酸分子の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%同一である断片、および/または配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0073】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、配列番号1、配列番号1の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号1と少なくとも96%同一である断片、および/または配列番号1と少なくとも96%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む1つ以上の核酸分子を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、MUC16抗原を含み、抗原は、配列番号2のアミノ酸19~607、配列番号2のアミノ酸19~607を含むタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片、配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および/または配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、MUC16抗原を含み、抗原は、配列番号2、配列番号2の長さの少なくとも90%を含む断片、配列番号2と少なくとも96%同一であるアミノ酸配列、および/または配列番号2と少なくとも96%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片を含む。
【0076】
ワクチンは、対象において、抗原に対して免疫応答を生成することが可能であり得る。免疫応答は、治療的または予防的免疫応答であり得る。ワクチンは、がん、例えば、メソセリンを発現するがんまたは腫瘍を防ぐために、使用することができる。ワクチンは、メソセリンを発現する腫瘍を予防および/または治療するために、それを必要とする対象において使用することができる。ワクチンは、メソセリンに対しておよびメソセリンを発現する腫瘍に対して細胞性および/または抗体応答を誘導することができる。一実施形態において、ワクチンは、メソセリンを発現する卵巣がん細胞、具体的には、メソセリンを発現する上皮性卵巣がん細胞、より具体的には、メソセリンを発現する漿液性卵巣がん細胞に対する細胞性および/または抗体応答を防御、予防および/または治療するために、または誘導するために使用することができる。
【0077】
本明細書に記載されるがんワクチンの開発には、免疫系によって認識されず、異常に発現した自己抗原であるがん抗原、例えばメソセリンを同定することを含む。同定されたがん抗原は、免疫系によって認識されるために、自己抗原から外来抗原に変更される。自己から外来抗原に組換えがん抗原の核酸およびアミノ酸配列を再設計することにより、免疫系による抗原の寛容が破壊される。寛容を破壊するために、以下に記載されるように、いくつかの再設計手段ががん抗原に適用され得る。
【0078】
ワクチンの組換えがん抗原は、自己として認識されず、それにより寛容を破壊する。寛容の破壊は、抗原特異的T細胞および/または高力価抗体応答を誘導することができ、それにより抗原を発現するがんまたは腫瘍に指向されるか、またはそれに対して反応性である免疫応答を誘導または誘発する。いくつかの実施形態において、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、細胞性、液性、または細胞性および液性の両方の免疫応答であり得る。いくつかの実施形態において、誘導されたまたは誘発された細胞性免疫応答には、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の誘導または分泌が含まれ得る。他の実施形態において、誘導されたまたは誘発された免疫応答は、抗原を発現する腫瘍またはがんの成長を促進する1つ以上の免疫抑制因子、例えば、限定されないが、MHC提示を下方制御する因子、抗原特異的制御性T細胞(Tregs)を上方制御する因子、PD-L1、FasL、IL-10およびTFG-βなどのサイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞、免疫抑制細胞により産生された可溶性因子、CTLA-4、PD-1、MDSC、MCP-1、ならびに免疫チェックポイント分子を低減または阻害することができる。
【0079】
ワクチンは、DNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、同第5,739,118号、同第5,817,637号、同第5,830,876号、同第5,962,428号、同第5,981,505号、同第5,580,859号、同第5,703,055号、および同第5,676,594号(参照により完全に本明細書に組み込まれる)に開示されている。いくつかの実施形態において、核酸分子は、発現ベクターを含み得る。DNAワクチンは、それが染色体に組み込まれるのを阻害する要素または試薬をさらに含み得る。
【0080】
ワクチンは、がん抗原をコードするRNAを含み得る。RNAワクチンは、細胞内に導入され得る。
【0081】
ワクチンは、弱毒生ワクチン、組換えベクターを使用して抗原を送達するワクチン、サブユニットワクチン、および糖タンパク質ワクチンであり得、例えば、これらに限定されないが、ワクチンは、米国特許第4,510,245号、同第4,797,368号、同第4,722,848号、同第4,790,987号、同第4,920,209号、同第5,017,487号、同第5,077,044号、同第5,110,587号、同第5,112,749号、同第5,174,993号、同第5,223,424号、同第5,225,336号、同第5,240,703号、同第5,242,829号、同第5,294,441号、同第5,294,548号、同第5,310,668号、同第5,387,744号、同第5,389,368号、同第5,424,065号、同第5,451,499号、同第5,453,364号、同第5,462,734号、同第5,470,734号、同第5,474,935号、同第5,482,713号、同第5,591,439号、同第5,643,579号、同第5,650,309号、同第5,698,202号、同第5,955,088号、同第6,034,298号、同第6,042,836号、同第6,156,319号、および同第6,589,529号に記載され、これらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
いくつかの実施形態において、核酸ワクチンは、分子アジュバントをさらに含み得、場合によっては、分子アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESであり得、場合によっては、分子アジュバントは、抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、抗プログラム死受容体-1(PD-1)、および抗リンパ球活性化遺伝子(LAG-3)を含むチェックポイント阻害剤である。IL-12、IL-15、IL-28、および/またはRANTESについてのコード配列は、1つ以上の抗原についてのコード配列を含む1つ以上の核酸分子に含まれ得る。IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、および/またはRANTESについてのコード配列は、核酸ワクチンによって、例えば同じプラスミドにコードされ得るか、またはそれらは、別個のプラスミドなどの別個の核酸分子に含まれ得る。
【0083】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が病気もしくは死を引き起こさないように安全である、病気を防ぐ、中和抗体を誘導する、防御性T細胞応答を誘導する、ならびに投与の容易性、少ない副作用、生物学的安定性、および投与あたりの低費用を提供するなど、有効なワクチンに求められる特徴を有し得る。ワクチンは、以下に論じるがん抗原を含有することによりこれらの特徴のいくつかまたはすべてを達成することができる。
【0084】
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下により詳細に説明される。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラスの提示、T細胞の提示および/もしくは分化、B細胞の提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達などの免疫系における任意の構成成分の抑制を妨げる任意の核酸またはタンパク質である。以下でさらに詳細に記載するように、ワクチンは、PD-1およびPDL-1などのチェックポイント阻害剤に対する抗体とさらに組み合わせて、細胞性および体液性免疫応答の両方の刺激を増強することができる。抗PD-1または抗PDL-1抗体を使用することによって、PD-1またはPDL-1がT細胞および/またはB細胞応答を抑制するのを予防する。
抗原
【0085】
上述されるように、ワクチンは、抗原または抗原をコードする核酸を含むことができる。抗原は、メソセリン、その断片、そのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0086】
メソセリンは、30kDの巨核球増強因子および41kDのGPIアンカー型膜結合成熟メソセリンの2つの生成物に切断される71kDのタンパク質である。メソセリンの機能は不明であるが、最近の研究では、メソセリンが、MUC16と結合することにより卵巣がん転移に役割を果たし得ることが示唆され、卵巣がん細胞の表面にも高発現される。メソセリンの発現は、IHCにより漿液性卵巣がんの82~100%で観察される。Hassan,R.European journal of cancer 44,46-53(2008)、Ordonez,N.G.The American journal of surgical pathology 27,1418-1428(2003)。
【0087】
したがって、ワクチンは、メソセリンを発現するがんまたは腫瘍に罹患する対象を治療するために使用することができる。いくつかの実施形態において、がんは、卵巣がんである。メソセリン抗原は、天然の「正常な」メソセリンとは異なり、したがってメソセリン抗原発現腫瘍に対する療法または予防法を提供することができる。したがって、天然のメソセリン遺伝子とは異なるメソセリン抗原配列(すなわち、組み合わせたまたは変異したメソセリン遺伝子または配列)が本明細書に提供される。
【0088】
上述の異種配列を含む核酸分子が提供される。上述の異種配列からなる核酸分子が提供される。いくつかの実施形態において、核酸分子は、(a)配列番号1のヌクレオチド55~1821、(b)配列番号1のヌクレオチド55~1821を含む核酸分子の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片、(c)配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一である断片、および(d)配列番号1のヌクレオチド55~1821と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸分子は、(a)配列番号1、(b)配列番号1の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片、(c)配列番号1と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一である断片、および(d)配列番号1と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一である核酸配列の全長の少なくとも90%を含む断片からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、核酸分子は、配列番号1に記載の核酸配列を含む。
【0089】
メソセリン抗原をコードする核酸分子が本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、(a)配列番号2のアミノ酸19~607をコードする核酸配列、(b)配列番号2のアミノ酸19~607を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片をコードする核酸配列から選択される1つ以上の核酸を含む核酸分子。いくつかの実施形態において、(a)配列番号2をコードする核酸配列、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片をコードする核酸配列、(c)配列番号2と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であるタンパク質をコードする核酸配列、および(d)配列番号2と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であるタンパク質の全長の少なくとも90%を含む断片をコードする核酸配列からなる群から選択される1つ以上の核酸配列を含む核酸分子が提供される。
【0090】
上述の異種配列を含む単離された核酸分子は、プラスミド、ウイルスベクター、および以下に記載される核酸分子の他の形態などのベクターに組み込まれ得る。
【0091】
上述の異種アミノ酸配列を含むタンパク質分子が提供される。上述の異種アミノ酸配列からなるタンパク質分子が提供される。上述の配列を有するタンパク質およびポリペプチドが本明細書に提供される。タンパク質およびポリペプチドは、メソセリン抗原およびメソセリン免疫源と称され得る。メソセリン抗原は、メソセリン抗原を発現する腫瘍に対して免疫応答を誘発することができる。いくつかの実施形態において、(a)配列番号2のアミノ酸19~607、(b)配列番号2のアミノ酸19~607を含むタンパク質の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片、(c)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列、および(d)配列番号2のアミノ酸19~607と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質。いくつかの実施形態において、(a)配列番号2、(b)配列番号2の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片、(c)配列番号2と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列、および(c)配列番号2と少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列の全長の少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%を含む断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むタンパク質が提供される。いくつかの実施形態において、タンパク質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。
【0092】
一態様では、転写を増加するための低GC含有リーダー配列、mRNA安定性およびコドンの最適化、ならびに可能な限り、シス作用性配列モチーフ(すなわち、内部TATAボックス)の排除のうちの1つ以上を含む、コンセンサス抗原が転写および翻訳の改善を提供することが望ましい。
【0093】
メソセリン抗原は、2つ以上の種に由来するコンセンサス抗原(または免疫源)配列であり得る。メソセリンコンセンサス抗原は、MUC-16結合ドメインにおけるアミノ酸の1つ以上の置換を含み得る1つ以上の変異を含み得る。1つ以上の変異は、チロシンからアラニンへの置換をもたらす、核酸変異を含み得る。1つ以上の変異は、GPIアンカリングシグナルにおけるアミノ酸の1つ以上の置換を含み得る。1つ以上の変異は、セリンからトレオニンおよび/またはトレオニンからバリンへの置換を含み得る。したがって、いくつかの実施形態において、1つ以上の変異は、メソセリンMUC16結合および/またはGPIアンカリングシグナルにおける1つ、2つ、または3つのアミノ酸を置き換えることができる。
【0094】
メソセリン抗原は、発現を改善するための改変を含み得る。改変は、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を増加させるためのコザック配列(例えば、GCC ACC)の追加、および/またはメソセリン抗原の免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の追加を含み得る。メソセリン抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリンG(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含み得る。
【0095】
免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせたワクチン
ワクチンは、1つ以上の免疫チェックポイント分子の1つ以上の阻害剤(すなわち、免疫チェックポイント阻害剤)をさらに含み得る。免疫チェックポイント分子は、以下でより詳細に記載する。免疫チェックポイント阻害剤は、MHCクラスの提示、T細胞の提示、および/もしくは分化、B細胞の提示および/もしくは分化、任意のサイトカイン、ケモカイン、または免疫細胞の増殖および/もしくは分化のためのシグナル伝達などの免疫系における任意の構成成分の抑制を妨げる任意の核酸またはタンパク質である。
【0096】
そのような阻害剤は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸は、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤と連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列も含むことができる。小分子は、低分子量、例えば800ダルトン未満の、酵素基質として機能し得る有機もしくは無機化合物、タンパク質もしくは核酸により結合されるリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの制御因子であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0097】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせをコードする1つ以上の核酸配列であり得る。他の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0098】
a.免疫チェックポイント分子
免疫チェックポイント分子は、核酸配列、アミノ酸配列、小分子、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。核酸は、ペプチド結合により免疫チェックポイント阻害剤と連結されるリンカーまたはタグ配列をコードする追加の配列も含むことができる。小分子は、低分子量、例えば800ダルトン未満の、酵素基質として機能し得る有機もしくは無機化合物、タンパク質もしくは核酸により結合されるリガンド(またはその類似体)、または生物学的プロセスの制御因子であり得る。アミノ酸配列は、タンパク質、ペプチド、それらのバリアント、それらの断片、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0099】
(1)PD-1およびPD-L1
免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、それらの断片、それらのバリアント、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1は、PDCD1遺伝子によってコードされる細胞表面タンパク質である。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、T細胞およびプロB細胞上に発現され、したがって、これらの細胞の運命および/または分化に寄与する。特に、PD-1は、T細胞制御因子のCD28/CTLA-4ファミリーの1型膜タンパク質であり、T細胞受容体(TCR)シグナルを負に制御し、それにより免疫応答を負に制御する。PD-1は、CD8+T細胞応答を負に制御することができ、したがって、CD8媒介細胞傷害性を阻害し、腫瘍成長を増強する。
【0100】
PD-1は、B7ファミリーのメンバーであるPD-L1およびPD-L2の2つのリガンドを有する。PD-L1は、LPSおよびGM-CSF治療に応答してマクロファージおよび樹状細胞(DC)上で、ならびにTCRおよびB細胞受容体シグナル伝達時にT細胞およびB細胞上で上方制御される。PD-L1は、骨髄腫、マスト細胞腫、および黒色腫を含む多くの腫瘍細胞株によって発現される。
【0101】
b.抗免疫チェックポイント分子抗体
上述されるように、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体であり得る。抗体は、抗原(すなわち、上述される免疫チェックポイント分子)と結合または反応することができる。したがって、抗体は、抗免疫チェックポイント分子抗体または免疫チェックポイント分子抗体と考慮され得る。抗体は、に含まれる核酸配列によってコードされ得る。
【0102】
抗体は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。重鎖ポリペプチドは、可変重鎖(VH)領域および/または少なくとも1つの定常重鎖(CH)領域を含み得る。少なくとも1つの定常重鎖領域は、定常重鎖領域1(CH1)、定常重鎖領域2(CH2)、および定常重鎖領域3(CH3)、ならびに/またはヒンジ領域を含み得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。他の実施形態において、重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。
【0104】
重鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VH領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ、「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。重鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0105】
軽鎖ポリペプチドは、可変軽鎖(VL)領域および/または定常軽鎖(CL)領域を含み得る。軽鎖ポリペプチドは、相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得る。CDRセットは、VL領域の3つの超可変領域を含み得る。軽鎖ポリペプチドのN末端から順に、これらのCDRは、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と表される。軽鎖ポリペプチドのCDR1、CDR2、およびCDR3は、抗原の結合または認識に寄与し得る。
【0106】
抗体は、重鎖および軽鎖相補性決定領域(「CDR」)セットを含み得、CDRに対して支持を提供し、CDRの空間的な関係を相互に定義する重鎖および軽鎖フレームワーク(「FR」)セットの間にそれぞれ挿入される。CDRセットは、重鎖または軽鎖V領域の3つの超可変領域を含み得る。重鎖または軽鎖のN末端から順に、これらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、「CDR3」と表される。したがって、抗原結合部位は、重および軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む、6つのCDRを含み得る。
【0107】
抗体は、免疫グロブリン(Ig)であり得る。Igは、例えば、IgA、IgM、IgD、IgE、およびIgGであり得る。免疫グロブリンは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。免疫グロブリンの重鎖ポリペプチドは、VH領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域を含み得る。免疫グロブリンの軽鎖ポリペプチドは、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0108】
加えて、タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断して、いくつかの断片をもたらし、そのうちの2つ(F(ab)断片)はそれぞれ、無傷抗原結合部位を含む共有結合ヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンは、IgG分子を切断して、F(ab’)2断片を含むいくつかの断片を提供することができ、両方の抗原結合部位を含む。したがって、抗体は、FabまたはF(ab’)2であり得る。Fabは、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドを含み得る。Fabの重鎖ポリペプチドは、VH領域およびCH1領域を含み得る。Fabの軽鎖は、VL領域およびCL領域を含み得る。
【0109】
抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、または完全ヒト抗体であり得る。ヒト化抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する所望の抗原に結合する非ヒト種からの抗体であり得る。
【0110】
(1)PD-1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-1抗体(本明細書では「PD-1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。PD-1抗体は、ニボルマブであり得る。抗PD-1抗体は、PD-1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍増殖を減少させることができる。
【0111】
(2)PD-L1抗体
抗免疫チェックポイント分子抗体は、抗PD-L1抗体(本明細書では「PD-L1抗体」とも称される)、そのバリアント、その断片、またはそれらの組み合わせであり得る。抗PD-L1抗体は、PD-L1活性を阻害し、それにより腫瘍またはがんに対する免疫応答を誘導、誘発、または増加させ、腫瘍増殖を減少させることができる。
【0112】
ベクター
ワクチンは、メソセリン抗原をコードする異種核酸を含む1つ以上のベクターを含み得る。1つ以上のベクターが、哺乳動物において免疫応答を誘発するのに有効な量で抗原を発現することが可能であり得る。ベクターは、抗原をコードする異種核酸を含み得る。ベクターは、複製起点を含む核酸配列を有し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。
【0113】
1つ以上のベクターは、特異的遺伝子を標的細胞に導入するために使用される、一般的にプラスミドである発現構築物であり得る。発現ベクターが細胞内に入ると、遺伝子によってコードされるタンパク質は、細胞転写および翻訳機構リボソーム複合体によって生成される。プラスミドは、エンハンサーおよびプロモーター領域として機能し、発現ベクターで運ばれる遺伝子の効率的な転写をもたらす制御配列を含むように頻繁に操作される。本発明のベクターは、大量の安定したメッセンジャーRNA、したがってタンパク質を発現する。
【0114】
ベクターは、強力なプロモーター、強力な終止コドン、プロモーターとクローニングされた遺伝子との間の距離の調整、ならびに転写終結配列およびPTIS(携帯型翻訳開始配列)の挿入などの発現シグナルを有し得る。
【0115】
ベクターは、プロモーターおよびポリ-アデニル化シグナルから選択される制御性要素に動作可能に連結される核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)である。いくつかの実施形態において、ポリ-アデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモンポリ-アデニル化シグナル(bGHポリA)である。
【0116】
ベクターは、環状プラスミドまたは直鎖状核酸であり得る。環状プラスミドおよび直鎖状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を指向することができる。ベクターは、終結シグナルに動作可能に連結され得る抗原コードヌクレオチド配列に動作可能に連結されるプロモーターを有し得る。ベクターは、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列、ならびにベクターおよびその断片をクローニングおよびサブクローニングするための配列も含み得る。関心のヌクレオチド配列を含むベクターはキメラであり得る、つまり、その構成成分のうちの少なくとも1つがその他の構成成分のうちの少なくとも1つに対して異種である。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、宿主細胞がある特定の外部刺激に曝されるときにのみ転写を開始する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下にあってもよい。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織もしくは臓器または発達段階に特異的であり得る。
【0117】
ベクターは、プラスミドであり得る。プラスミドは、抗原をコードする核酸を細胞にトランスフェクトするのに有用であり得、形質転換された宿主細胞は、抗原の発現が起こる条件下で培養および維持される。
【0118】
プラスミドは、抗原に対して免疫応答を誘発することができる合成のコンセンサス抗原、かかるタンパク質の断片、かかるタンパク質のバリアント、バリアントまたは融合タンパク質の断片をコードするコード配列を含む、上記に開示された様々な抗原の1つ以上をコードする核酸配列を含み得、これらは、コンセンサスタンパク質および/またはコンセンサスタンパク質の断片および/またはコンセンサスタンパク質のバリアントおよび/またはコンセンサスタンパク質のバリアントの断片の組み合わせで構成される。
【0119】
いくつかの実施形態において、プラスミドは、単独でまたはこれらのプラスミドの一部としてCCR20をコードするコード配列をさらに含み得る。同様に、プラスミドは、IL-12、IL-15、および/またはIL-28のコード配列をさらに含み得る。
【0120】
プラスミドは、コード配列の上流であり得る開始コドン、およびコード配列の下流であり得る終止コドンをさらに含み得る。開始および終止コドンは、コード配列を有するインフレームであり得る。
【0121】
プラスミドは、コード配列に動作可能に連結されるプロモーターも含み得る。コード配列に動作可能に連結されるプロモーターは、サルウイルス40(SV40)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)長い末端反復(LTR)プロモーターなどのヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、CMV最初期プロモーター(hCMVプロモーター)などのサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、エプスタイン・バーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターからのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはヒトメタロチオネイン(metalothionein)などのヒト遺伝子からのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、天然または合成の、筋肉または皮膚特異的プロモーターなどの組織特異的プロモーターであり得る。そのようなプロモーターの例は、米国特許出願公開第US2004/0175727号に記載されており、その内容は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0122】
プラスミドは、コード配列の下流であり得るポリアデニル化シグナルも含み得る。ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、ヒトβ-グロビンポリアデニル化シグナル、またはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHポリA)であり得る。SV40ポリアデニル化シグナルは、pCEP4プラスミド(Invitrogen,San Diego,CA)からのポリアデニル化シグナルであり得る。
【0123】
プラスミドは、コード配列の上流のエンハンサーも含み得る。エンハンサーは、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはCMV、FMDV、RSV、もしくはEBVからのものなどのウイルスエンハンサーであり得る。ポリヌクレオチド機能エンハンサーは、米国特許第5,593,972号、同第5,962,428号、およびW094/016737に記載されており、それぞれの内容は参照により完全に組み込まれる。
【0124】
プラスミドは、プラスミドを染色体外で維持し、細胞においてプラスミドの複数コピーを産生するために、哺乳動物の複製起点も含み得る。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのpVAXI、pCEP4、またはpREP4であり得、これらは、エプスタイン・バーウイルスの複製起点および核抗原EBNA-1コード領域を含み得、組み込みをすることなく高コピー数のエピソーム複製物を産生し得る。プラスミドの骨格は、pA V0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0125】
プラスミドは、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現によく適している場合がある制御配列も含み得る。コード配列は、宿主細胞におけるコード配列のより効率的な転写を可能にし得るコドンを含み得る。
【0126】
コード配列は、免疫グロブリン(Ig)リーダー配列も含み得る。リーダー配列は、コード配列の5’’であり得る。この配列によってコードされるコンセンサス抗原は、N末端Igリーダー、続いてコンセンサス抗原タンパク質を含み得る。N末端Igリーダーは、IgEまたはIgGであり得る。
【0127】
プラスミドは、pSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これはEscherichia coli(大腸菌)におけるタンパク質産生のために使用され得る。プラスミドはまた、p-YES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これは酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質産生のために使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであってもよく、これは昆虫細胞におけるタンパク質産生のために使用され得る。プラスミドはまた、pcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であってもよく、これはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞におけるタンパク質産生のために使用され得る。プラスミドはまた、pGX001(Inovio)であり得、これはpVAX1(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)から改変される。
【0128】
ベクターは、細胞ゲノムに組み込むことによって標的細胞を形質転換するか、または染色体外で存在し得る環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自己複製プラスミド)であり得る。
【0129】
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0130】
電気穿孔により対象に効率的に送達され、1つ以上の所望の抗原を発現することができる直鎖状核酸ワクチンまたは直鎖状発現カセット(「LEC」)も本明細書に提供される。LECは、任意のリン酸骨格を欠く任意の直鎖状DNAであり得る。DNAは、1つ以上の抗原をコードし得る。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、および/またはポリアデニル化シグナルを含有し得る。抗原の発現は、プロモーターにより制御され得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含有しなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現に無関係の他の核酸配列を含有しなくてもよい。
【0131】
LECは、局在化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、抗原を発現することが可能であり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovax、または抗原をコードするDNAを発現し、細胞が配列を免疫系によって認識される抗原に翻訳することを可能にすることができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0132】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0133】
ベクターは、プロモーターを有し得る。プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、単離された核酸の発現を制御することができる任意のプロモーターであり得る。そのようなプロモーターは、DNA依存RNAポリメラーゼ経由の転写に要するシス作用配列要素であり、本明細書に記載の抗原配列を転写する。異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、ベクターの転写開始から、これがその天然の設定における転写開始部位からの距離であるのとほぼ同じ距離に配置され得る。しかしながら、この距離の差異は、プロモーターの機能を喪失することなく対応し得る。
【0134】
プロモーターは、転写物、リボソーム結合部位、および翻訳終結の効率的なポリアデニル化に必要な抗原およびシグナルをコードする核酸配列に動作可能に連結され得る。
【0135】
プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞において発現に有効であると示される別のプロモーターであり得る。
【0136】
ベクターは、機能的なスプライスドナーおよびアクセプター部位を有するエンハンサーおよびイントロンを含み得る。ベクターは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子の下流に転写終結領域を含有し得る。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得ることができるか、または異なる遺伝子から得てもよい。
ベクターを調製する方法
【0137】
本明細書で論じられるメソセリン抗原をコードする核酸分子を含むベクターを調製するための方法が本明細書に提供される。哺乳動物発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップ後、当該技術分野において既知の方法を使用して、ベクターを大規模な発酵タンクにおいて細胞培養物に接種するために使用することができる。
【0138】
以下により詳細に説明される電気穿孔装置で使用するためのベクターは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2008年5月23日に出願された米国特許公開第2009/004716号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究に使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術はまた、2007年7月3日に発行された米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国特許第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般に即知である様々なデバイスおよびプロトコルを含む、または組み込む。上に言及される出願および特許である、米国特許公開第2009/004716号および米国特許第7,238,522号は、それぞれ、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0139】
賦形剤およびワクチンの他の構成成分
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、担体、または希釈剤などの機能分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、これには、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、スクアレンおよびスクアレンなどの小胞、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などの界面活性剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。
【0140】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、6mg/ml未満の濃度でワクチンに存在し得る。トランスフェクション促進剤は、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、LPS類似体含有モノホスホリル脂質A、ムラミルペプチド、キノン類似体、ならびにスクアレンおよびスクアレンなどの小胞などの界面活性剤も含み得、遺伝子構築物とともに投与されるヒアルロン酸も使用され得る。DNAプラスミドワクチンは、脂質、リポソーム(DNA-リポソーム混合物として、レシチンリポソームまたは当該技術分野において既知の他のリポソームを含む)(例えばW09324640を参照されたい)、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子などのトランスフェクション促進剤、または他の既知のトランスフェクション促進剤も含み得る。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン(ポリ-L-グルタメート(LGS)を含む)、または脂質である。ワクチンにおけるトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0141】
薬学的に許容される賦形剤は、1つ以上のアジュバントであり得る。アジュバントは、代替えのプラスミドにおいて発現されるか、またはワクチンにおいて上記のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。1つ以上のアジュバントは、CCL20、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、IL-28、IL-31、IL-33、MHC、CD80、CD86、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-1a、MIP-1~、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DRS、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-I、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAPI、TAP2、欠失したシグナル配列をコードするシグナル配列またはコード配列を有し、任意選択でIgEからのものなどの異なるシグナルペプチド、もしくはIgEからのものなどの異なるシグナルペプチドをコードするコード配列を含むIL-15、およびそれらの機能断片、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNRβ、GM-CSF、上皮成長因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、アジュバントは、1つ以上のタンパク質および/またはCCL-20、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、MEC、もしくはRANTESからなる群から選択されるタンパク質をコードする核酸配列であり得る。IL-12構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US1997/019502号および対応する米国出願第08/956,865号、ならびに2011年12月12日に出願された米国仮出願第61/569600号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。IL-15構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US04/18962号および対応する米国出願第10/560,650号、ならびにPCT出願第PCT/US07/00886号および対応する米国出願第12/160,766号、ならびにPCT出願第PCT/USI0/048827号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。IL-28構築物および配列の例は、PCT出願第PCT/US09/039648号および対応する米国出願第12/936,192号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622452号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。RANTESおよび他の構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国出願第09/622452号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。RANTES構築物および配列の他の例は、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。ケモカインCTACK、TECK、およびMEC構築物ならびに配列の例は、PCT出願第PCT/US2005/042231号および対応する米国出願第11/719,646号に開示されており、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる。OX40および他の免疫調節剤の例は、米国出願第10/560,653号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。DR5および他の免疫調節剤の例は、米国出願第09/622452号に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子は、MCP-1、MIP-1a、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、IL-22、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能断片をコードするものを含む。
【0144】
ワクチンは、1994年4月1日に出願された米国第021,579号(参照により完全に組み込まれる)に説明される遺伝子ワクチン促進剤をさらに含み得る。
【0145】
ワクチンは、抗原コードベクターを約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含み得る。いくつかの好ましい実施形態において、本発明によるワクチンは、約5ナノグラム~約1000マイクログラムの核酸を含む。いくつかの好ましい実施形態において、ワクチンは、約10ナノグラム~約800マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、ワクチンは、約0.1~約500マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、ワクチンは、約1~約350マイクログラムの核酸を含有し得る。いくつかの好ましい実施形態において、ワクチンは、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000マイクログラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムの抗原またはそのプラスミドを含有し得る。
【0146】
ワクチンは、使用される投与モードにより製剤化され得る。注射可能なワクチン薬学的組成物は、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含(particulate free)であり得る。等張製剤または溶液を使用することができる。等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。ワクチンは、血管収縮剤(vasoconstriction agent)を含み得る。等張溶液は、リン酸緩衝食塩水を含み得る。ワクチンは、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定剤をさらに含み得る。LGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンを含む安定剤は、製剤を長期間室温または周囲温度で安定させることができる。
【0147】
ワクチンの薬学的組成物
ワクチンは、薬学的組成物の形態であり得る。薬学的組成物は、ワクチンを含むことができる。薬学的組成物は、約5ナノグラム(ng)~約10ミリグラム(mg)のワクチンの核酸分子を含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明による薬学的組成物は、約25ng~約5mgのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約50ng~約1mgのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約0.1~約500マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約1~約350マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約5~約250マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約10~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約15~約150マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約20~約100マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約25~約75マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約30~約50マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約35~約40マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約100~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約10マイクログラム~約100マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約20マイクログラム~約80マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約25マイクログラム~約60マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約30ng~約50マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、約35ng~約45マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約0.1~約500マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約1~約350マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約25~約250マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約100~約200マイクログラムのワクチンの核酸分子を含む。
【0148】
いくつかの実施形態において、本発明による薬学的組成物は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ngのワクチンの核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラムのワクチンの核酸分子を含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg以上のワクチンの核酸分子を含み得る。
【0149】
他の実施形態において、薬学的組成物は、最大15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ng(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子を含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、最大1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラム(これらの値を含む)のワクチンの核酸分子を含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、最大1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg(これらの値も含む)のワクチンの核酸分子を含み得る。
【0150】
薬学的組成物は、使用される投与モードにより製剤目的のための他の薬剤をさらに含み得る。薬学的組成物が注射可能な薬学的組成物である場合、それらは、減菌、発熱性物質不含、および微粒子不含である。等張製剤を使用することが好ましい。一般的に、等張性のための添加剤は、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。場合によっては、リン酸緩衝食塩水などの等張溶液が好ましい。安定剤としては、ゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態において、血管収縮剤が製剤に添加される。
【0151】
薬学的組成物は、上記で提供されるような薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、上記で提供されるように、機能性分子、ビヒクル、アジュバント、担体、希釈剤、またはトランスフェクション促進剤を含むことができる。
【0152】
ワクチン接種方法
上記の薬学的製剤を使用して、卵巣がんなどであるが、これに限定されない、メソセリン発現がんを治療および/または予防するための方法が本明細書に提供される。対象における卵巣がんなどであるが、これに限定されない、メソセリン発現がんの治療および/または予防に上記の薬学的製剤を使用する方法も本明細書に記載される。対象にワクチン接種する方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の薬学的製剤を、それを必要する対象に投与する方法も本明細書に記載される。集合的に本明細書に記載の薬学的製剤を使用する治療方法と称される本明細書に記載の方法は、治療的および/または予防的免疫応答を誘導するために、本明細書に記載される1つ以上のワクチンを、それを必要とする対象に投与することを含み得る。ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節し、免疫応答を増強するために対象に投与され得る。ワクチンの投与は、免疫系が認識し、細胞性、体液性、または細胞性および体液性応答を誘導すると、細胞において発現され、細胞の表面に送達される核酸分子として本明細書に開示されるがん抗原のトランスフェクションであり得る。ワクチンの投与は、本明細書で論じられるワクチンを対象に投与することによって、メソセリンに対して、対象において免疫応答を誘導または誘発するために使用することができる。
【0153】
ワクチンは、対象の免疫系の活性を調節するために対象に投与され、それにより免疫応答を増強し得る。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。哺乳動物にワクチンを投与し、それによりベクターを哺乳動物の細胞に導入すると、トランスフェクトした細胞が本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上を発現し、分泌する。これらの分泌されたタンパク質または合成抗原は、1つ以上のがん抗原に対して作られた抗体を含み得る免疫応答、および1つ以上のがん抗原に対して特異的にT細胞応答を開始する免疫系により異物として認識される。いくつかの例では、本明細書で論じられるワクチンをワクチン接種された哺乳動物は、抗原刺激を受けた(primed)免疫系を有し、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原を接種された場合、抗原刺激を受けた免疫系は、体液性、細胞性、または細胞性および体液性の両方の免疫応答によるかにかかわらず、本明細書に開示される後のがん抗原の迅速な除去を可能にする。
【0154】
DNAのワクチンの投与方法は、米国特許第4,945,050号および同第5,036,006号に記載されており、その両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0155】
ワクチンを哺乳動物に投与して、哺乳動物において免疫応答を誘発することができる。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、水牛、ウシ、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、好ましくはヒト、ウシ、またはブタであり得る。ワクチンは同様に、免疫応答を誘発するために、非哺乳動物対象、例えば、ニワトリに投与され得る。
【0156】
ワクチンの用量は、経時的にキログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mg(構成成分/kg体重/時間)の活性構成成分であり得、20マイクログラム~10mg構成成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0157】
ワクチンにより免疫応答を生成する方法
ワクチンを使用して、治療的または予防的免疫応答を含む、哺乳動物または非哺乳動物対象において免疫応答を生成することができる。免疫応答は、本明細書に開示される1つ以上のがん抗原に指向される抗体および/またはキラーT細胞を生成することができる。そのような抗体およびT細胞が単離され得る。
【0158】
いくつかの実施形態は、本明細書に開示されるがん抗原のうちの1つ以上に対して免疫応答を生成する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを対象に投与することを含む。いくつかの実施形態は、上記のメソセリン抗原のうちの1つ以上を発現するがんまたは腫瘍に対して対象に予防的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。いくつかの実施形態は、メソセリンを発現する卵巣がんまたは腫瘍に罹患している対象に治療的にワクチン接種する方法を提供し、その実施形態は、ワクチンを投与することを含む。ワクチンの投与前に本明細書に開示される1つ以上のメソセリン抗原を発現する卵巣がんまたは腫瘍の診断は、日常的に行うことができる。
【0159】
ワクチンによりがんを治療する方法
ワクチンは、卵巣がん、より具体的には上皮卵巣がん、最も具体的には、漿液性卵巣がんなどであるが、これらに限定されない、メソセリンを発現するがんに対して反応性または指向性である哺乳動物において免疫応答を生成または誘発するために使用することができる。誘発された免疫応答は、卵巣がんまたは腫瘍の成長を防止することができる。
【0160】
誘発された免疫応答は、卵巣がんに罹患している対象におけるがん性または腫瘍細胞の転移を防止および/または低減することができる。したがって、ワクチンは、ワクチンを投与されたがんに罹患している哺乳動物または対象におけるがんまたは腫瘍を治療および/または予防する方法で使用することができる。
【0161】
いくつかの実施形態において、投与されたワクチンは、(1)単球走化性タンパク質-1(MCP-1)の産生を遮断し、それにより骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)を遅延し、腫瘍成長を抑制する抗体を生成するために、B細胞応答による液性免疫、(2)腫瘍細胞を攻撃し、死滅させるために、CD8+などの細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の増加、(3)Tヘルパー細胞応答の増加、(4)ならびにIFN-γおよびTFN-αによる炎症応答の増加、または好ましくは前述のすべてを誘導することにより、クリアランスを媒介するか、または腫瘍細胞の成長を予防することができる。ワクチンは、無腫瘍生存率(tumor free survival)を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、および45%増加させることができる。ワクチンは、免疫化後、腫瘍量を、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%低減することができる。ワクチンは、骨髄由来サプレッサー細胞により分泌されるサイトカインである単球走化性タンパク質1(MCP-1)の増加を予防または遮断することができる。ワクチンは、腫瘍生存を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%で増強することができる。
【0162】
いくつかの実施形態において、免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、様々な組織または系(例えば、脳または神経系など)に損傷を与えないか、またはその炎症をもたらさない体液性免疫応答および/または抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を生成することができる。
【0163】
いくつかの実施形態において、ワクチンは、がん性もしくは腫瘍細胞または組織を標的とする抗原特異的免疫応答を確立して、ワクチンを投与された対象において、損傷を与える、または病気もしくは死を引き起こすことなく、1つ以上のがん抗原を発現するがんまたは腫瘍を除去または排除するために、末梢に投与され得る(以下により詳細に説明される)。
【0164】
ワクチンの投与は、対象における細胞性免疫応答を、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態において、ワクチンの投与は、ワクチンを投与されていない対象における細胞性免疫応答と比較して、この対象における細胞性免疫応答を、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0165】
ワクチンの投与は、対象におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベルを、約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍増加させることができる。いくつかの実施形態において、ワクチンの投与は、ワクチンを投与されていない対象におけるIFN-γレベルと比較して、この対象におけるIFN-γレベルを、約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍増加させることができる。
【0166】
ワクチンの用量は、経時的にキログラム(kg)体重あたり1マイクログラム~10mg(構成成分/kg体重/時間)の活性構成成分であり得、20マイクログラム~10mg構成成分/kg体重/時間であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日ごとに投与され得る。有効な治療のためのワクチン投与数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上の投与であり得る。
【0167】
投与経路
ワクチンまたは薬学的組成物は、経口、非経口、舌下、経皮的、直腸に、経粘膜的、局所的、吸入により、頬側投与により、胸膜内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、くも膜下腔内、および/もしくは関節内、またはそれらの組み合わせにより投与され得る。獣医学的使用では、通常の獣医学的実践に従い、組成物を適切に許容される配合剤として投与することができる。獣医は、特定の動物に最も適した投与レジメンおよび投与経路を、容易に決定することができる。ワクチンは、従来の注射器、無針注射装置、「微粒子銃遺伝子銃(microprojectile bombardment gene guns)」、または電気穿孔法(「EP」)、「流体力学法」、もしくは超音波などの他の物理的方法により投与され得る。
【0168】
ワクチンのベクターは、インビボ電気穿孔を伴うまたは伴わないDNA注射(DNA injection)(DNAワクチン接種とも称される)、リポソーム媒介トランスフェクション、ナノ粒子促進トランスフェクション(nanoparticle facilitated transfection)、ならびに組換えベクター、例えば、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス随伴ウイルス、および組換えワクシニアを含む、いくつかの周知の技術により哺乳動物に投与され得る。ワクチンの1つ以上のがん抗原は、インビボ電気穿孔法とともにDNA注射を介して投与され得る。
【0169】
電気穿孔法
ワクチンまたは薬学的組成物は、電気穿孔法により投与され得る。電気穿孔法によるワクチンの投与は、可逆性細孔を細胞膜において形成させるのに有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成され得る電気穿孔装置を使用して、達成することができ、好ましくは、エネルギーのパルスは、ユーザによって入力される予め調整された電流と類似する定電流である。電気穿孔装置は、電気穿孔構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを備え得る。電気穿孔構成要素は、コントローラ、電流波形発生装置、インピーダンステスター、波形ロガー、入力素子、状態報知素子、通信ポート、メモリー構成要素、電源、および電源スイッチを含む、電気穿孔装置の様々な要素のうちの1つ以上を含み、組み込むことができる。電気穿孔は、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを容易にするために、インビボ電気穿孔装置、例えば、CELLECTRA(登録商標)EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Inc.,Blue Bell,PA)またはElgenエレクトロポレーター(electroporator)(Inovio Pharmaceuticals,Inc.)を使用して達成され得る。
【0170】
本発明のDNAワクチンの投与を容易にし得る電気穿孔装置および電気穿孔方法の例には、Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号、Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号に記載されているものが含まれ、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DNAワクチンの投与を容易にするために使用することができる他の電気穿孔装置および電気穿孔方法には、2006年10月17日に出願された米国仮出願第60/852,149号、および2007年10月10日に出願された同第60/978,982号に対して35USC119(e)による利益を主張する、2007年10月17日に出願された同時係属中および共有の米国特許出願第11/874072号に提供されたものが含まれ、これらのすべては、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0171】
Draghia-Akliらによる米国特許第7,245,963号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを容易にするためのモジュール電極システムおよびそれらの使用を説明している。モジュール電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極への伝導性リンクを提供する電気コネクタ、および電源を備え得る。オペレーターは、支持構造に載置される複数の針電極を把持し、それらを身体もしくは植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次いで、生体分子を、皮下注射針により選択された組織内に投与する。プログラム可能な定電流パルスコントローラを作動させ、定電流電気パルスを複数の針電極に適用する。適用された定電流電気パルスは、生体分子を、複数の電極間の細胞に導入するのを容易にする。米国特許第7,245,963号の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0172】
Smithらにより提出された米国特許公開第2005/0052630号は、身体または植物の選択された組織の細胞に生体分子を導入するのを効果的に容易にするために使用することができる電気穿孔装置を説明している。電気穿孔装置は、操作がソフトウェアまたはファームウェアによって指定される動電装置(「EKD装置」)を備える。EKD装置は、ユーザ制御に基づいた一列の電極とパルスパラメータのとの間に一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを作り出し、電流波形データの保存および取得を可能にする。電気穿孔装置は、一連の針電極を有する交換可能な電極ディスク、注射針用の中央注射チャネル、および着脱可能なガイドディスクも備える。米国特許公開第2005/0052630号の全内容は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0173】
米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/0052630号に説明される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく他の組織または臓器にも深く浸透させるのに適している。電極アレイの形態によって、注射針が、標的臓器にも完全に挿入され、電極によって予め描かれた領域の標的組織に垂直に注射投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許公開第2005/005263号に説明される電極は、好ましくは20mm長および21ゲージである。
【0174】
加えて、電気穿孔装置およびその使用を組み込むいくつかの実施形態において企図される、以下の特許:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、および2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号に記載される電気穿孔装置が存在する。さらに、様々な装置のいずれかを使用したDNAの投与に関係する2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、およびDNAを注射する方法が注目された2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号に提供される主題を網羅する特許が、本明細書で企図される。上記の特許は、その全体が参照により組み込まれる。
【0175】
ワクチンを調製する方法
本明細書に論じられるDNAプラスミドを調製するための方法が本明細書において提供される。哺乳動物発現プラスミドへの最終的なサブクローニングステップ後、当該技術分野において既知の方法を使用して、DNAプラスミドを大規模な発酵タンクにおいて細胞培養物に接種するために使用することができる。
【0176】
本発明の電気穿孔装置で使用するためのDNAプラスミドは、既知の装置および技術の組み合わせを使用して製剤化または製造することができるが、好ましくは2007年5月23日に出願された米国公開出願第2009/0004716号に記載されている最適化されたプラスミド製造技術を使用して製造される。いくつかの例では、これらの研究に使用されたDNAプラスミドは、10mg/mL以上の濃度で製剤化され得る。製造技術は、2007年7月3日に発行された許諾対象特許である米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に既知である様々な装置およびプロトコルも含むか、またはそれらも組み込む。上に言及される出願および特許である、米国第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それぞれ、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0177】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって図示される多くの態様を有する。
【実施例】
【0178】
本発明は、以下の実施例においてさらに図示される。これらの実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示すが、単に図示のために示されることを理解するべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を様々な使用および条件に適応させることができる。したがって、本明細書に示され記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修正も、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0179】
実施例1:コンセンサスメソセリン配列の生成
3つのメソセリンバリアントが、GenBankに報告されている。バリアント1および2は、ヌクレオチドレベルで98%同一であり、バリアント3は、GPIアンカー領域を分裂させる選択的スプライスによるC末端を有する部分配列である。3つの転写バリアントはすべて、ヒトがん細胞によって発現されることが報告されている。配列分析に基づいて、バリアント1を標的とするワクチンはまた、バリアント2および3における配列の大部分を標的にし得る。加えて、バリアント1は、卵巣腫瘍に発現した主要転写物である。したがって、バリアント1は、ワクチン標的物として選択された。
【0180】
ヒトコンセンサスメソセリンを生成するために、ヒト14個のメソセリン配列が、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)から集められた。選択されたメソセリン配列のGenBank受入番号は、NR_005814.2、BAA08419.1、AAH09272.1、AAV87530.1、AAH03512.1、XP_008959182.1、AAC50348.1、XP_009428309.1、XP_007978969.1、XP_011822299.1、XP_011817841.1、XP_011822298.1、CR_009193880.1、およびXP_011817843.1である。
【0181】
コンセンサス配列は、DNASTAR(登録商標)Lasergeneソフトウェアパッケージ(バージョン13.0.0.357)を使用して生成された。GenBankからのメソセリン配列をMegAlignに取り込み、ClustalW多重配列アライメントプログラムを使用してアライメントした。得られたメソセリンコンセンサス配列(配列番号1)は、天然ヒトメソセリンと95.8%の相同性を共有する。
【0182】
実施例2:メソセリンの機能を無効にするための変異の導入
得られたコンセンサスメソセリンタンパク質の潜在的な生物学的機能を無効にするために、1つの変異を導入して、MUC16/CA125結合を無効にした。加えて、2つの変異を導入して、GPI付着を破壊した。これらの変異の導入の根拠を以下に記載した。
【0183】
MUC16/CA125結合変異
欠失突然変異生成を使用して、MUC16/CA125のメソセリンにおける結合部位を同定した(
図1)。
図1に示すように、メソセリン前駆体(71kDa)は、30kDaの巨核球増強因子(MPF;残基Ser34-Arg286)およびGlu296から始まる41kDaのGPIアンカー型膜結合成熟メソセリン(薄灰色)の2つの生成物に切断される。タンパク質分解的切断領域(斜線した灰色)は、Arg295でフリン切断部位を含み、他のプロテアーゼ切断部位は、Arg286でトリプシン切断部位を含む。メソセリンにおける4つの予測されたN結合型グリカン(黒色ロリポップ;Asn57、Asn388、Asn488、およびAsn515)を示す。欠失変異(領域I、II、III、IAB、IBC、IA、IB、およびIC)を、ウサギFc融合タンパク質として生成して、CA125結合ドメインのメソセリンを連続的に絞り込んだ。
【0184】
Kaneko et al,J Biol Chem,2009 Feb 6;284(6):3739-49の
図5に示すように、アラニンを有する位置318(Y318A)でのチロシンの置換は、CA125との相互作用を完全に破壊した。Glu324(E324A;KD42.4nM)およびTrp321(W321A;KD19.5nM)でのアラニン変異は、CA125へのメソセリンの結合を減少させた。His354(H354A)でのアラニン変異は、メソセリン-CA125の相互作用(KD2.71nM)を変化させなかった。
【0185】
Kaneko et al,J Biol Chem,2009 Feb 6;284(6):3739-49の
図4に示すように、領域IAB(296~359)内のアラニン変異のウエスタンブロットは、異なる結合を示す。Tyr318(Y318A)およびGlu324(E324A)でのアラニン変異は、CA125へのメソセリンの結合を無効にした。Trp321(W321A)でのアラニン変異は、CA125へのメソセリンの結合を部分的に減少した。His354でのアラニン変異は、メソセリン-CA125の相互作用を変化させなかった。
【0186】
最終的に、Kaneko et al,J Biol Chem,2009 Feb 6;284(6):3739-49の
図6に示すように、蛍光強度(相乗平均)は、CA125の結合を定量的に測定するために使用した。CA125への完全長の成熟形態のメソセリン(完全)の結合は、100%の結合として判定された。領域I(296~390)、領域IAB(296~359)、および列挙された任意の他の断片または変異よりも著しく強力なCA125に結合したIABのH354A変異(
*、p_0.05)。Y318A変異は、完全長の成熟形態のメソセリンと比較して、結合を大幅に減少した。これらの所見に基づいて、Y318A変異を、最終的な合成コンセンサスメソセリン配列に導入した。
【0187】
GPI付着部位
GPIアンカリングシグナルは、親水性スペーサー領域によってGPI付着部位(ωサイト)から分離される疎水性領域からなる(
図2)。付着部位は、短い側鎖を有する3つの隣接するアミノ酸の1番目である。通常構造化されていない短いスペーサー配列が続き、次いで、カルボキシ末端、疎水性シグナリング配列でなければならない。Mayor,S.& Riezman,H.Nature reviews.Molecular cell biology 5(2004)。メソセリンの共同部位は、セリンからトレオニンに変異した。メソセリンのω+2は、トレオニンからバリンに変異した。
表1に示すように、合成コンセンサスメソセリンタンパク質配列は、ヒト天然メソセリンと95.2%の同一性を共有する。
【表1】
【0188】
実施例3:合成コンセンサスメソセリン構築物の特徴
合成コンセンサスメソセリンDNA配列が得られたら、より高いレベルの発現を有するために、上流のコザック配列およびIgEリーダー配列をN末端に付加した。Yang,J.S.et al.The Journal of infectious diseases 184,809-816(2001)。さらに、この遺伝子のコドン使用を、ホモサピエンス遺伝子のコドンバイアスに適合させた。Andre,S.et al.Journal of virology 72,1497-1503(1998)、Deml,L.et al.Journal of virology 75,10991-11001(2001)。GC含有量が非常に高い(>80%)または非常に低い(<30%)領域、ならびに内部TATAボックス、chi部位、およびリボソームエントリー部位などのシス作用性配列モチーフを避けるために、RNA最適化も行った。Muthumani,K.et al.Virology 314,134-146(2003)、Muthumani,K.et al.Virology 314,134-146(2003)。
【0189】
合成コンセンサスメソセリン構築物の略図を
図3に示す。アスタリスク(
*)は、MUC16結合およびGPI結合を無効にするための変異を示す。合成コンセンサスメソセリンにおけるヌクレオチド配列(配列番号1)およびアミノ酸(配列番号2)は、それぞれ、表16および表17に示す。配列番号2の要素および対応するアミノ酸位置の注釈を、表2に提供する。
【表2】
【0190】
合成コンセンサス設計プロセスの可能性のあるタンパク質構造効果をよりよく理解するために、MPFおよびメソセリンの分子前駆体の比較モデルを生成した。複数の二次構造要素を使用して、モデルをアライメントし、生成した。予測されたグリコシル化部位を、モデルの表面上に正確に配向する。モデルのメソセリン部分は、Sathyanarayanaらによって行われた研究から補外され、一連のARM反復としてモデル化された。Sathyanarayana,B.K.,Hahn,Y.et al.BMC structural biology 9,1(2009)。Sathyanarayanaの言及は、ジスルフィド結合の位置に対処するように思われなかった。この特徴は、改善されたモデルにおいて対処され、局所的に正確に配向する。加えて、潜在的なN結合型糖化部位は、表面にアクセス可能である。
【0191】
合成コンセンサスメソセリンの特徴を表3に要約する。
【表3】
【0192】
実施例4:プラスミド構築物および構造
ベクター骨格は、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター(hCMVプロモーター)の制御下にあるpGX0001、2998bpの改変されたpVAX1発現ベクターである。元のpVAX1は、Thermo Fisher Scientificから得た。pGX0001骨格は、産生目的のカナマイシン耐性遺伝子(KanR)およびプラスミド複製起点(pUC ori)を含む。これらの要素は、真核細胞において機能的ではない。改変された発現ベクターpVAX1(pGX0001)のマップおよび説明を、
図4に示す。
【0193】
改変をpVAX1に導入して、pGX0001を作製した。これらの改変は
図4に列挙されており、プラスミド増幅、ならびに抗原の転写および翻訳に関して問題は検出されていない。これまでのところ、pGX0001を骨格として使用したpGX0001の配列内にさらなる変更は観察されていない。塩基対2、3、および4は、CMVプロモーターの上流の骨格においてACTからCTGに変更される。
【表4】
【0194】
合成された合成コンセンサスメソセリンは、BamHIおよびXhoIで消化され、サイトメガロウイルス最初期プロモーターの転写制御下に配置された発現カセットとともにpGX0001にクローニングされた。得られたプラスミドはpGX1430と名付けられた。完全長配列決定を行い、次いで、2人の分析専門家によって分析され、正しいことを確認した。pGX1430の概略図を、
図5に表す。
【0195】
実施例5:インビトロ抗原発現
pGX1430による抗原タンパク質の発現を、ウエスタンブロッティングにより確認した。10%FBS(ThermoFisher)を含むDMEM培地で維持されたヒト横紋筋肉腫(RD)細胞(ATCC、CCL-136)に、Turbofectin 8(Origene)を使用してpGX1430またはpGX0001(6μg/10cm2ディッシュ)をトランスフェクトした。トランスフェクションから48時間後、RIPA細胞溶解緩衝液(ThermoFisher)を使用して細胞を溶解し、細胞溶解物を収集した。総タンパク質濃度を決定するためのBCAアッセイ(ThermoFisher)後、15μgの細胞溶解物を、4~12%のSDS-PAGEゲル(ThermoFisher)で電気穿孔し、市販の抗メソセリン抗体(Cell Signaling TechnologyクローンD4X7M)を使用して検出を行い、次いで、ECLウエスタンブロット分析システム(GE Healthcare)を使用して、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗ウサギIgG(Santa Cruz Biotech #sc-2004)で可視化した。負荷対照として、抗β-アクチンモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotech、クローン、C4)を使用して、ブロットのアクチン発現を再プローブした。
【0196】
ヒトメソセリン前駆体は、46~48kDaで切断したグリコシル化形態を有する70kDaであるが、一方、合成コンセンサスメソセリン前駆体は、35~37kDaで切断したグリコシル化形態を有する64.28kDaである。
図6に示すように、pGX1430に対して予想分子量のタンパク質バンドを、検出した(64.28kD)。pGX0001レーンにおいて、タンパク質バンドは検出されなかった。同様の強度の抗β-アクチンバンドが検出され、等量のタンパク質が各レーンにローディングされたことを示す。
【0197】
実施例6:合成コンセンサスメソセリンワクチン構築物の免疫原性
動物および免疫化
8週齢の雌のCB6F1マウスをJackson Laboratoriesから購入した。
すべての動物を、BTS Research(San Diego,CA)の温度制御された光サイクル施設に収容した。動物の世話は、National Institutes of Health and the Animal Care and Use Proposal(ACUP)(BTS ACUP #15-091)のガイドラインに従って実施した。マウスを表5に示すように5つの群に分けた。
【表5】
【0198】
免疫した群のマウスを、SOP R20-003147 CELLECTRA(登録商標)3P Mouse Treatmentに従ってpGX0001またはpGX1430の示された用量でワクチン接種した。簡単に言えば、示される用量が筋肉内注射により30μLの注射量で前脛骨筋に送達されるように、プラスミドを減菌注射用水(VetOne)に製剤化した。各筋肉内注射の直後に、3Pアレイを有するCELLECTRA(登録商標)2000 Adaptive Constant Current Electroporation Device(Inovio Pharmaceuticals)を使用する電気穿孔(EP)が続いた。装置は、52msパルス幅の2つの0.1Ampパルスを1秒遅れの間隔で送達するように構成された。マウスは、3週間間隔で3回免疫化を受けた。最後の免疫から3週間後にマウスを殺処分し、細胞免疫の読み取りのために脾臓を採取した。他の組織は収集されなかった。
【0199】
脾臓リンパ球の単離
脾細胞を無菌で単離し、5mLのR10培地(10%のウシ胎児血清および1%の抗生物質-抗真菌剤を添加したRosewell Park Memorial Institute培地1640)に入れた。Stomacher機器(Seward Laboratory Systems Inc.)を使用して脾臓を機械的に破砕することにより脾細胞を単離し、得られた生成物を、40μmセルストレーナー(BD Falcon)を使用して濾過した。得られた生成物を遠心分離し、RBCの溶解のためにペレットをACK溶解緩衝液(Lonza)で5分間処理した。次いで、脾細胞を遠心分離し、PBSで洗浄し、次いでR10培地に再懸濁し、さらなる分析のために直ちに使用した。
IFNγエリスポット
【0200】
マウスIFNγエリスポットアッセイ(MabTech)を行って、抗原特異的な細胞応答を評価した。抗マウスIFNγ抗体で予めコーティングされた96ウェルプレートをPBSで洗浄し、完全培地(10%FBSおよび抗生物質を添加したRPMI1640)で、室温で2時間遮断した。脾臓リンパ球を、R10培地に再懸濁した(次いで、2×105細胞/ウェルの投入細胞数で3つ組で添加した。ペプチドのセットが合成され(GenScript)、各々が合成コンセンサスメソセリンタンパク質配列全体を表す11個のアミノ酸が重複する15のアミノ酸残基を含む。ペプチドのこれらのセットをDMSO(Sigma)に再懸濁し、約2μg/mlのペプチドの濃度で2つのペプチドプールにプールした。ペプチドプールは、合成コンセンサスメソセリン抗原タンパク質に対応するペプチドを含んだ。5μg/mlのコンカナバリンA(Sigma)を陽性対照として使用し、完全培養培地を陰性対照として使用した。プレートを、5%CO2大気のインキュベータ内で、37℃で18時間インキュベートした。次いで、ビオチン化抗マウスIFNγ検出抗体(MabTech)を添加し、プレートを室温で2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ストレプトアビジン-ALP抗体(MabTech)を添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。
【0201】
スポット検出は、キットの製造元の指示(MabTech)に従って完了した。プレートのスポットは、自動エリスポットリーダー(Cellular Technology)を使用して計数した。スポット形成単位(SFU)の平均数は、データ表示用に1×106脾臓細胞に調整した。IFNγエリスポットによる抗原特異的応答を、培地のみの対照におけるSFUよりも大きい1×106脾臓細胞あたりのIFNγスポット形成単位(SFU)の数として報告する。
【0202】
合成コンセンサスメソセリン構築物の免疫原性を、IFNγエリスポットおよびフローサイトメトリー(n=8/群)によって4つの用量(10μg、20μg、30μg、および50μg)で評価した。陰性対照(n=4/群)として空のプラスミド骨格(pGX0001)を、マウスに免疫した。合成コンセンサスメソセリン(pGX1430)によるワクチン接種は、陰性対照のワクチン接種されたマウスと比較して、細胞性免疫応答を誘導した。エリスポットによって決定した合成コンセンサスメソセリン特異的IFNγ産生の大きさは、10および20μgの用量で用量非依存性であり(
図7Aおよび
図7B)、30および50μgの用量で同様の最大応答を達成した。具体的には、合成コンセンサスメソセリンIFNγ SFUは、10μg、20μg、30μg、および50μgで、それぞれ、1345±1290、2241±1721、2242±1932、および2004±674であった。合成コンセンサスメソセリンIFNγ応答は、pGX1430の10μg(p=0.004)、20μg(p=0.004)、30μg(p=0.004)、および50μg(p=0.004)の用量でナイーブよりも有意に高かった。IFNγ応答を表6に要約する。
【表6】
【0203】
フローサイトメトリー
合成コンセンサスメソセリンにより誘導された細胞性免疫応答は、フローサイトメトリーによりさらに特徴付けされた。ワクチン接種したおよび未処理マウスからの2×106脾臓細胞を、Brefeldin A(BD Biosciences)、モネンシン(BD Biosciences)、およびFITC抗マウスCD107a抗体(BD Biosciences)の存在下で6時間、合成コンセンサスメソセリンペプチドで単離した直後に刺激した。ペプチドで刺激した後、脾臓細胞を遠沈し、マウスBD Fc Block(BD Biosciences)溶液の1ウェルあたり20μLに再懸濁した。Fc Blockを、PBSで1:40の初期希釈で使用し、4℃で5分間インキュベートした。
【0204】
インキュベーション後、残りの細胞外抗体(PBS中)を1ウェルあたり30μL添加し、4℃で30分間インキュベートする。細胞外株の添加により、各ウェルの最終容積は50μLであり、1:100の最終希釈でのFc Blockおよびそれらの適切な作業希釈での細胞外抗体からなる。次いで、細胞を生存能色素(Vivid、Thermo-Fisher)、ならびにAPC-Cy7抗マウスCD3e、PerCP-Cy5.5抗マウスCD4、およびAPC抗マウスCD8a(BD Biosciences)の細胞外抗体で染色した。その後、細胞内サイトカインをBV605抗マウスIFNγ、APC-R700抗マウスIL-2、およびPE抗マウスTNF-α(BD Biosciences)の抗体で染色した。
【0205】
ICSデータを、10色FACS CANTO(BD Biosciences)で収集し、FlowJoを使用して分析を完了した。フローサイトメトリーのゲーティング戦略を
図8に示す。フローサイトメトリーにより抗原特異的と呼ばれる細胞に関して、報告されたパラメーターの頻度は、培地のみの対照の頻度を超えなければならない。抗原特異的CD107aを産生すると同定される細胞に関して、細胞は、ブーリアンゲーティングによって同定される、IFNγおよび/またはIL-2および/またはTNFαの抗原特異的産生が陽性であると同定されなければならない。
【0206】
合成コンセンサスメソセリンは、CD4
+T細胞区画での応答と比較して、CD8
+T細胞区画でより強力な応答を誘発した(
図9A~9D)。合成コンセンサスメソセリンは、10μg(0.29%±0.20%)(p<0.004)、20μg(0.50%±0.30%)(p<0.004)、30μg(0.42%±0.24%)(p<0.004)、および50μg(0.38%±0.17%)(p<0.004)の用量群で未処理(0.09%±0.07%)よりもはるかに強力な抗原特異的CD4
+T細胞応答の頻度を誘導した(
図9A)。合成コンセンサスメソセリン特異的CD4
+T細胞応答は、10および20μgの用量で用量依存的であったが、30および50μgの用量では用量依存的でなく、主に、IFNγ-IL-2-TNFα+、IFNγ+IL-2-TNFα-、IFNγ-IL-2+TNFα+、またはIFNγ+IL-2+TNFα+産生CD4
+T細胞で構成された(
図9C)。抗原特異的CD4
+T細胞の頻度は、表7にさらに詳述される。
【表7】
【0207】
合成コンセンサスメソセリンによって誘導された抗原特異的CD8
+T細胞の頻度は、すべての用量群において対照よりも有意に増加した(
図9B)。具体的には、10μg(0.64%±0.42%)(p=0.016)、20μg(0.70%±0.48%)(p=0.028)、30μg(0.97%±0.96%)(p=0.008)、および50μg(1.00%±0.22%)(p=0.004)のpGX1430で免疫した群における抗原特異的CD8+T応答の頻度は、未処理(0.15%±0.04%)と比較してはるかに高い用量ではるかに強力であった。合成コンセンサスメソセリン特異的CD8
+T細胞応答は、用量とともに増加し、主に、IFNγ+IL-2-TNFα産生CD8
+T細胞で構成された(
図9D)。抗原特異的CD8
+T細胞の頻度は、表8にさらに詳述される。
【表8】
【0208】
すべての用量の合成コンセンサスメソセリンは、未処理(0.01%±0.01%)よりも高い頻度でCD4
+CD107a
+T細胞を誘導した。具体的には、抗原特異的CD4
+CD107a
+T細胞の頻度は、10μg(p=0.004)、20μg(p=0.004)、30μg(p=0.016)、および50μg(p=0.004)の用量群において、それぞれ、0.10%±0.11%、0.20%±0.13%、0.16%±0.13%、および0.15%±0.11%であった(
図10A)。合成コンセンサスメソセリン特異的CD4
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、用量群間にわたり類似しており、主に、IFNγ
+IL-2
+TNFα
+、IFNγ
+IL-2
-TNFα
+、IFNγ
+IL-2
-TNFα
-細胞で構成された(
図10C)。細胞溶解能を有する抗原特異的CD4
+T細胞の頻度は、表9にさらに詳述される。
【表9】
【0209】
抗原特異的CD8
+T細胞の大きさと同様に、合成コンセンサスメソセリンは、未処理(0.05%±0.02%)と比較して、すべての群間でCD8
+CD107a
+T細胞の頻度に有意な変化を誘導した(
図10C)。具体的には、抗原特異的CD8
+CD107a
+T細胞の頻度は、10μg(p=0.008)、20μg(p=0.028)、30μg(p=0.004)、および50μg(p=0.004)の用量群において、それぞれ、0.27%±0.22%、0.57%±0.43%、0.83%±0.85%、および0.90%±0.24%であった(
図10A)。合成コンセンサスメソセリン特異的CD8
+CD107a
+T細胞のサイトカインプロファイルは、用量群にわたり類似しており、大部分がIFNγ
-IL-2
-TNFα
+およびIFNγ
+IL-2
+TNFα
+で構成された10μgの用量群を除いて、大部分は、IFNγ
+IL-2
-TNFα
-で構成された(
図10D)。細胞溶解能を有する抗原特異的CD8
+T細胞の頻度を、表10にさらに詳述される。
【表10】
【0210】
全体として、報告したデータのいずれも、免疫群間の応答に有意差はなかった(すなわち、10μgは50μgよりも有意に低くなかったなど)。
統計分析
【0211】
IBM SPSS Statistics 22(IBM Corporation)を使用して統計分析を完了した。多くの比較のためのデータは、正規分布されなかった。この理由のため、マンホイットニーU検定がすべての分析のために使用され、多くの比較のために事後ボンフェローニ補正を用いた。統計的有意性は、p≦0.013(0.05/4つの比較=0.0125)であると仮定する。
【0212】
結論
合成コンセンサスメソセリンは、未処理と比較して、抗原特異的CD4+、CD4+CD107a+、およびCD8+、CD8+CD107a+T細胞の頻度を増加させたが、応答の大きさは、CD8+T細胞区画ではるかに強固であった。
【0213】
実施例7:合成コンセンサスメソセリン一価非ヒト霊長類研究
合成コンセンサスメソセリンを単独で低および高用量のIL-12と組み合わせた可能性を調査するために、固有のNHP ID番号によってそれぞれ同定された18匹の成熟アカゲザルを、6匹ずつ3つの群に分け、以下のとおりにpGX1430を免疫した。6匹の動物に、3.0mgのpGX1430(群1)を免疫し、アジュバントとして3.0mgのpGX1430+0.04mgのpGX6006(opt rh IL-12)を6匹に(群2)、アジュバントとして3.0mgのpGX1430+0.20mgのpGX6006(opt rh IL-12)を6匹に(群3)、1.0mLの注射量でSSC中に製剤化した。免疫注射を、0、4、8、および12週目に投与し、任意選択で5回目の免疫化を行った。したがって、すべての免疫化は、対側肢に交互に行う際に、CELLECTRA(登録商標)2000 5P-IM EP装置を用いて滅菌WFI中に製剤化された1mlの注射量でIM(筋肉注射)を行った。EP条件は、以下のとおりであった。OpBlock 0070-IM、0.5Amp、3パルス、52msec、パルス間隔0.2秒。メソセリン免疫原性を、2、6、10、および14週目に評価した。
【0214】
群1~3における動物同定、起源、性別、および体重を、表11に提供する。
【表11】
【0215】
PBMC単離
非ヒト霊長類全血を、抗凝固剤およびゲルバリアを含むクエン酸ナトリウム細胞調製チューブ(CPT CPT’s BD Biosciences)中に収集した。翌日配達便による発送前に、PMBCを分離し、濃縮するために、収集直後(2時間以内)に、全血を回転させる。赤血球および好中球は、チューブの底にペレット化し、ゲルバリアによって適所に置く。血漿およびリンパ球は、ゲルバリア上に残る。各CPTは、約8mLの血液を保持することができ、室温で出荷される。San Diegoにある前臨床研究室に到着したらすぐに、回転させたCPTチューブを、PBMC単離用に処理した。塩化アンモニウムカリウム(ACK)緩衝液を用いた赤血球溶解後、生存細胞を、Invitrogen CountessTM自動細胞計数器を用いて計数し、完全培養培地(medium)培地(media)(10%FBS、抗生物質、およびβメルカプトエタノールを添加したRPMI1640)中で再懸濁した。この報告書に記載されるアッセイの完了時に、残りのPBMCを、冷凍し、冷結保存バイアル中の凍結培地(Seradigmからの90%FBS中のSigmaからの10%DMSO)中に、液体窒素中で長期間保存した。
【0216】
IFNγエリスポット
ワクチンで誘導された抗原特異的な細胞性応答を評価するために、サルIFNγエリスポットアッセイを、キット(MabTech IFNγ ELISpotPro、番号3421M-2APW-10)を用いて単離されたPMBCにおいて各時点で行った。簡単に言えば、抗サルIFNγ抗体(mAb MT126L)で予めコーティングされた96ウェルプレートをPBSで洗浄し、完全培養培地(10%FBS、抗生物質、およびβメルカプトエタノールを添加したRPMI1640)で、室温で2時間遮断した。NHP PBMCを、R10培地に再懸濁し、(次いで、2×105細胞/ウェルの投入細胞数で3つ組で添加した。ペプチドのセットが合成され(GenScript)、各々が合成コンセンサスタンパク質配列全体を表す11個のアミノ酸が重複する15のアミノ酸残基を含んだ。ペプチドのこれらのセットをDMSO(Sigma)に再懸濁し、それぞれ、約2μg/mlの各ペプチドの濃度でプールにプールした。すべての抗原特異なプールしたペプチドは、1:100の希釈で使用され、PBMCと組み合わせたときに、各ウェル中に1:200の最終希釈をもたらす。4つのプールを、メソセリンのために生成した。
【0217】
イオノマイシン(Sigma)を含む、抗CD3(mAh CD-2 Mabtech)および/またはPMA(Sigma)を、陽性対照として使用した。完全R10培養培地を、陰性対照として使用した。プレートを5%CO2大気のインキュベータ内で、37℃で約18時間インキュベートした。細胞の除去およびALPコンジュゲート抗サルIFNγ検出抗体(MabTech Ab 7-B6-1-ALP)の添加後、プレートを、室温で2時間インキュベートする。次いで、サンドイッチ免疫酵素アッセイは、キット製造業者のの指示(MabTech)に従ってBCIP/NBT基質溶液を使用して発展させる。濃い藍色の沈殿物がスポットとして形成し、各個々のIFNγ産生細胞を示す。次いで、このスポットを走査し、CTL ImmunoSpot(登録商)分析器およびソフトウェア(Cellular Technology)によって計数し、品質は訓練を受けた操作者によって制御される。IFNγ応答を、培地のみの対照におけるSFUよりも大きい1×106PMBCに対するスポット形成単位(SFU)として報告する。
【0218】
免疫学結果
メソセリン特異的なIFNγ応答を、群1~3に対して
図11A~11Cに示し、メソセリン単独(
図12A)、低用量のIL-12(0.04mg)を含むメソセリン(
図11B)、または高用量のIL-12(0.2mg)を含むメソセリン(
図11C)で、免疫化を行った。これらの結果は、投与から2週間後の各時点での応答を示す。全体として、すべての群および個々の動物は、前採血ベースラインと比較して、4回の投与から2週間後の研究の終了による応答の増加を有した。
図11A~11Cは、PD3までの合成コンセンサスメソセリンへのIFNγ応答におけるアジュバント効果を提供するIL-12に関する傾向を示す。
【0219】
図12A~12Cは、平均化したメソセリン特異的なIFNγ応答を示し、免疫化は、メソセリン単独(
図12A)、
低用量のIL-12(0.04mg)を含むメソセリン(
図12B)、または高用量のIL-12(0.2mg)を含むメソセリン(
図12C)で行われた。
図12A~12Cは、IL-12が、合成コンセンサスメソセリンに対するIFNγ応答の大きさを増加したが、幅は増加しなかったことを示す。
【0220】
生理学的パラメーター
表12、13、および14にそれぞれ示すように、群1、2、および3に対する免疫化により測定された生理学的パラメーターのいずれも差がなかった。RBC、HCT、好中球、リンパ球、単球、好酸球(データは示さず)に対する有意差は言及されなかった。これらの値は、同様の実験手順を行っているこの種、性別、および年齢の動物に対して予測される範囲内である。規定された正常範囲からの任意の変動は、散発的性質からのものであり、一方の性別のみを示し、用量レベルまたはタイミングに関連していない。
【表12】
【表13】
【表14】
【0221】
すべての群に対して、下の表15に示すように、研究コースにわたる体重の著しい変化はなく、正常範囲は、4~12である。
【表15】
【0222】
概して、これらの結果は、単独で投与された合成コンセンサスメソセリンが、100%のNHP中で免疫応答を誘導することができることを示す。IL-12のアジュバントの添加による著しい改善はなかった。
【0223】
前述の詳細な説明および付随する実施例は一例にすぎず、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲に対する制限であると解釈されないことが理解される。
【0224】
本開示の実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者には明らかであろう。限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、または使用方法に関連するものを含む、本開示の実施形態に対するそのような変更および修正は、その精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。
【表16】
【表17】
【配列表】