(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】水中の音圧を感知するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
H10N 30/60 20230101AFI20230921BHJP
H10N 30/857 20230101ALI20230921BHJP
H10N 30/02 20230101ALI20230921BHJP
H10N 30/30 20230101ALI20230921BHJP
H10N 30/045 20230101ALI20230921BHJP
H04R 1/44 20060101ALI20230921BHJP
H04R 17/02 20060101ALI20230921BHJP
G01L 9/08 20060101ALI20230921BHJP
G01V 1/00 20060101ALN20230921BHJP
【FI】
H10N30/60
H10N30/857
H10N30/02
H10N30/30
H10N30/045
H04R1/44
H04R17/02
G01L9/08
G01V1/00 A
(21)【出願番号】P 2020535047
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 US2018066764
(87)【国際公開番号】W WO2019126477
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520216666
【氏名又は名称】ビー アンド エル センサー テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュマン ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】リン チン-ユー
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-050488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0207697(US,A1)
【文献】国際公開第2006/028222(WO,A1)
【文献】特開昭62-176300(JP,A)
【文献】米国特許第04841494(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0347174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052061(US,A1)
【文献】特表2005-503091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/60
H10N 30/857
H10N 30/02
H10N 30/30
H10N 30/045
H04R 1/44
H04R 17/02
G01L 9/08
G01V 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロホンであって、
正極性及び負極性の交互の区画を備える第1圧電ケーブルと、
負極性及び正極性の交互の区画を備える第2圧電ケーブルであって、前記第1圧電ケーブルの正極性の各区画の少なくとも一部分が、前記第2圧電ケーブルの負極性の区画の少なくとも一部分に結合されている第2圧電ケーブルと
を備え、
前記第1圧電ケーブルが、内部導体及び
、前記第1圧電ケーブル
の半径方向及び軸方向に連続するコポリマー圧電性材料コーティングの層を備え、前記第2圧電ケーブルが、内部導体及び、
前記第2圧電ケーブルの半径方向及び軸方向に連続するコポリマー圧電性材料コーティングの層を備える、ハイドロホン。
【請求項2】
前記第1圧電ケーブルの少なくとも一部分及び前記第2圧電ケーブルの少なくとも一部分を覆う導電性コーティングを備える請求項1に記載のハイドロホン。
【請求項3】
コイル状区画及び非コイル状区画を備え、前記コイル状区画が、前記非コイル状区画と交互になっており、各コイル状区画が、前記第1圧電ケーブル及び前記第2圧電ケーブルを備える請求項1に記載のハイドロホン。
【請求項4】
隣接するコイル状区画及び非コイル状区画の各組み合わせにおいて、前記第1圧電ケーブル又は第2圧電ケーブルのうちの一方が切断されている請求項3に記載のハイドロホン。
【請求項5】
前記ハイドロホンを構成する個々の感知ユニットであるハイドロホン感知ユニットの直列接続された組を形成する一連のコイル状区画を備える請求項1に記載のハイドロホン。
【請求項6】
前記ハイドロホンは、コイル状区画を含まず、前記第1圧電ケーブル又は前記第2圧電ケーブルの一方が切断されている請求項1に記載のハイドロホン。
【請求項7】
前記ハイドロホンは、巻かれていない構造の直列接続された構造で形成されている請求項1に記載のハイドロホン。
【請求項8】
前記ハイドロホンは、巻かれていない構造の並列接続された構造で形成されている請求項1に記載のハイドロホン。
【請求項9】
前記ハイドロホンを構成する個々の感知ユニットであるハイドロホン感知ユニットの並列接続された組を形成する一連のコイル状区画を備える請求項1に記載のハイドロホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の音圧を感知するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロホンとしても知られる水中の音圧を感知するためのデバイスは、第一次世界大戦以降、多くの形態を有してきた。一般的な形態は、円筒形のシェルを備える。このようなセンサの大多数は、圧電性のセラミック又は結晶から作製されてきた。このような材料は、圧力又は応力に曝されると電荷又は電圧を発生する可能性があり、従って、適正な絶縁及び設計があれば、水中で音圧を感知するために使用することができる。圧電性のセラミック又は結晶の課題は、とりわけ深海での極度の静水圧の下での脆弱性である。後に、他のタイプの圧電性材料であるポリ(ビニリデンジフルオリド-トリフルオロエチレン)又はP(VDF-TrFE)コポリマーの発明及び使用により、ハイドロホンの信頼性及び靭性は改善された。しかしながら、円筒形のシェルを使用して作製されたそのような先行技術のデバイスにおけるそのコポリマーシェルは、感度を維持し水中での高圧に耐えるに十分厚い必要がある。そのような厚い圧電性P(VDF-TrFE)コポリマーがシェルとして形作られたときにそのコポリマーを分極させることは、高温で極度の高電圧を、例えば100℃で100MV/mを強いる可能性がある。材料が厚いほど、より高い電圧が必要とされる。高電圧製造は危険である可能性があり、高コストの高電圧設備を伴う可能性がある。加えて、高電圧製造は、P(VDF-TrFE)から円筒形のシェルを押し出すための高価な専用の押出設備も要求する。そのような先行技術の中実壁チューブについては、材料が厚いほど、欠陥が存在する可能性が高い。このような欠陥は、より低い絶縁破壊耐性を生じる可能性があり、分極の間に、材料は電気的に短絡する可能性があり、燃焼が起こる可能性がある。製造歩留まりは低い可能性がある。
【0003】
現場での使用において、従来のハイドロホンは、たいてい、長いデイジーチェインに接続される。そのようなつながれた構成は、シリンダ(筒部)が作成された後に、はんだ付けにより又は機械的な接触により多くの製造された中間接続が作成されることを必要とし、この機械的な接触は、作成に多くの時間と労力を要し、信頼性が低い。特に,コポリマーの円筒形のシェルは、電極としての導電性塗料の使用を必要とする可能性があり、この導電性塗料ははんだ付けすることができない。機械的接触だけは、塗装された電極及び銅細片等の金属リード線を接続するために使用することができる。そのような機械的接触は、多数回の曲げ及び伸長のサイクルに起因して、屋外で故障することが多い。
【0004】
製造しやすく、安全に分極できてフレキシブルな圧電ケーブルを使用して、最少の機械的接触を含むハイドロホンを製造することは有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、水中の圧力又は音を感知するためのハイドロホンケーブルを含み、そのハイドロホンケーブルは、例えば製造が容易で信頼性が高い可能性がある。
【0006】
1つの実施形態では、圧電ケーブルは、複数のチューブが、チューブ間の個々の接続を何ら作成する必要がなく単一の連続ケーブルハイドロホンを形成することを可能にし、このため、労力が省け、堅牢性が向上する。例えば、圧電ケーブルをチューブ形態へと螺旋状に巻くか又はコイル状にしてもよい。
【0007】
P(VDF-TrFE)コポリマーの柔軟性によって、P(VDF-TrFE)コポリマーが電線の上に薄いチューブ状の絶縁層として押し出されることが可能になる。コポリマーのこの絶縁層が高電場によって分極すると、その絶縁層は、圧電性になり、適正な接続がなされると音圧に対して感受性を有する。この絶縁層は薄くできるので、ワイヤは柔軟なまま留まり、必要とされる分極させる高電圧は、より厚い圧電材料を有するもの(例えば、圧電材料から直接作製されるチューブ)よりもはるかに小さく、従って電圧は、危険度が少なく、歩留まりは高くなる。適正な電気的接続を有するこの形態の絶縁ワイヤは、圧電ケーブルとも呼ばれる。
【0008】
本発明の実施形態は、水中の音圧を感知するための低費用で製造しやすいデバイスの製造方法を提供してもよい。この感知デバイスは、巻回された圧電ケーブルを備えてもよい。この巻回型は、例えば、球形、オーバル形の断面、又はフットボール用ボールの形状等の一定の直径又は(このデバイスの範囲内で)様々な若しくは変化する直径を有するチューブ状の形状であることができる。この巻回型のサイズは、長さ、厚さ又は直径においてスケーラブルであることができる(サイズを自由に決定できる)。例えば、より厚いチューブは、予備製造されたケーブルの複数の層を包むことにより作製されてもよく、そのようなより厚いチューブは、必要とされる分極電圧を上昇させずに製造される可能性がある。より厚い肉厚のチューブは、静水圧に対するより大きい強度をもたらす可能性があり、そして例えば直列接続が使用される場合には、より大きい感度を有する可能性もある。この巻回型は、複数の層を備えることができ、この複数の層は、キャパシタンスを大きくするために並列に又は電圧感度を高めるために直列に電気的に接続されていてもよい。この巻回型は、溶媒若しくはエポキシ若しくはシリコーンゴム等の接着剤によって接着若しくは接続することができ、又は上記ケーブルを捻る等の別のやり方によって接続されていてもよい。連続的な長い圧電ケーブルは、(ケーブル自体の製造とは別に)製造されている間に何らの個々の接続なしに、まるで一緒にデイジーチェインを構成するかのように、複数のチューブ形態へと巻かれることが可能である。本明細書で使用される場合、接続の必要性を欠くことは、例えばはんだ付け、溶接、機械的な締めつけなどを使用して、2つのコンポーネント又はワイヤを積極的に接続する必要性を欠くことを指す。代わりに、いくつかの実施形態に係るハイドロホンの異なる部分(例えば、感知チューブ又は感知シリンダ等のハイドロホンユニット)は、1以上の(可能であれば切断部を除いて)連続的な圧電ケーブルで形成されることにより接続されてもよく、接続は、ケーブル自体の各ストランドの製造に固有である。種々のコーティング又は変更物が上記巻かれたケーブルに作製されてもよい。切断部がケーブルの一部のストランドに存在してもよい。導電性コーティングが付されてもよい。EMI(電磁干渉)用のコーティング又はシールドが付されてもよい。保護のために、この巻回型は、シリコーンゴム又はウレタン等の感圧性材料で被覆されることが可能である。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、ハイドロホンは、正極性及び負極性の交互の区画を備える第1圧電ケーブルと、負極性及び正極性の交互の区画を備える第2圧電ケーブルとを備えてもよく、この第1圧電ケーブルの正極性の各区画は、上記第2圧電ケーブルの負極性の区画に結合されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、正極性及び負極性の交互の区画は使用される必要がない。例えば、各々が互いに反対の極性を有する、例えば一方が+極性を有し他方が-極性を有する2つの並列の(並んで延在しているという意味で並列の)ケーブルが使用されてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、ハイドロホンは、交互のコイル状区画及び非コイル状(巻かれていない)区画に配置された第1圧電ケーブル及び第2圧電ケーブルを備えてもよい。
【0010】
ハイドロホンの製造方法が記載される。本発明のいくつかの実施形態は、第1圧電ケーブル及び第2圧電ケーブルを、例えば同じマンドレル又は他の構造体の周りに同時に巻くかコイル状にして、各々が上記第1圧電ケーブル及び上記第2圧電ケーブルを備える一連の巻回状若しくはコイル状の区画又はユニットを作成する工程を備え、このユニット又はコイル状区画は、同様に上記第1圧電ケーブル及び上記第2圧電ケーブルを備える一連の非コイル状又は巻かれていない区画と交互になっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明と考えられる主題は、本明細書の結論部分で具体的に指摘され、明確にクレームされる。しかしながら、本発明は、その目的、特徴及び利点と共に構成及び操作方法の両方に関して、添付の図面とともに読まれるときの以下の詳細な説明を参照することにより最もよく理解されうる。
【0012】
【
図1】
図1は、1つの実施形態に係るセンサとしての圧電ケーブルの一例である。
【
図2】
図2は、1つの実施形態に係る圧電ケーブルの一例である。
【
図3A】
図3Aは、種々の実施形態に係る直列に接続された複数の巻回層の例である。
【
図3B】
図3Bは、種々の実施形態に係る直列に接続された複数の巻回層の例である。
【
図3C】
図3Cは、種々の実施形態に係る直列に接続された複数の巻回層の例である。
【
図3D】
図3Dは、種々の実施形態に係る直列に接続された複数の巻回層の例である。
【
図3E】
図3Eは、種々の実施形態に係る直列に接続された複数の巻回層の例である。
【
図4】
図4は、1つの実施形態に係る並列に接続された複数の巻回層の一例を示す。
【
図5】
図5は、1つの実施形態に係る平坦(フラット)な圧電ケーブル及び巻回チューブの一例を示す。
【
図6】
図6は、1つの実施形態に係るオーバル形状の断面を有する巻回チューブの一例を示す。
【
図7】
図7は、1つの実施形態に係る巻きつけられたフットボール用ボール又は球の形態の一例を示す。
【
図8】
図8は、1つの実施形態に係る空気圧センサ又は較正されたハイドロホンを使用する空気中での較正設定の一例を示す。
【
図9】
図9は、1つの実施形態に係る空気中での公知の空気圧センサ及び圧電ケーブル巻回型ハイドロホンの典型的な周波数応答を示す。
【
図10】
図10は、1つの実施形態に係る圧電性コポリマーハイドロホン及び圧電ケーブル巻回型ハイドロホンの空気中での典型的な周波数応答を示す。
【
図11】
図11は、1つの実施形態に係る一本の真っ直ぐな(直線状の)圧電ケーブル及び束ねられた圧電ケーブルを示す。
【
図12】
図12は、デイジーチェイン状に接続されたかのような複数の圧電ケーブル巻回型ハイドロホンを用いる現場での使用における本発明の実施形態の一例を示す。
【
図13】
図13は、複数の圧電ケーブル巻回型ハイドロホンを用いる本発明の実施形態の別の現場での使用を示す。
【
図14】
図14は、デイジーチェイン状に接続されたかのような複数の圧電ケーブル巻回型ハイドロホンを用いる本発明の実施形態の別の現場での使用の例を示し、各ハイドロホン要素は個々に接地されている。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に係る、コイル状のハイドロホンユニットへと巻かれたか又はコイル状にされた圧電ケーブルを示す。
【
図16】
図16は、本発明の一実施形態に係る圧電ケーブルを分極させるためのシステムを示す。
【
図17】
図17は、いくつかの個々の巻回チューブ又はシリンダを有する長い連続的なハイドロホンケーブルを製作するための本発明の一実施形態に係る例示的な方法を示す。
【
図18】
図18は、本発明の一実施形態に係るコロナ放電電圧プロファイル及びマーカープロファイルを示す。
【
図19】
図19は、本発明の一実施形態に係るコロナ放電電圧プロファイル及びマーカープロファイルを示す。
【
図20A】
図20Aは、本発明の一実施形態に係る、ケーブルをコイル状にするためのシステムを示す。
【
図20B】
図20Bは、本発明の一実施形態に係る、ケーブルをコイル状にするためのシステムを示す。
【
図20C】
図20Cは、本発明の一実施形態に係る、ケーブルをコイル状にするためのシステムを示す。
【
図21】
図21は、本発明の実施形態に係るハイドロホンの部分構造を、対応する極性及びマーキンググラフと共に示す。
【
図22】
図22は、本発明の実施形態に係るハイドロホンの部分構造を、対応する極性及びマーキンググラフと共に示す。
【
図23A】
図23Aは、本発明の一実施形態に係る信号処理のためのサンプル接続点を示す。
【
図23B】
図23Bは、本発明の一実施形態に係る信号処理のためのサンプル接続点を示す。
【
図23C】
図23Cは、本発明の一実施形態に係る信号処理のためのサンプル接続点を示す。
【
図24】
図24は、本発明の一実施形態に係る末端封鎖材又はストッパを有する巻回型シリンダを示す。
【
図25】
図25は、本発明の一実施形態に係るコーティング用の型の中にある巻回型シリンダを示す。
【
図26】
図26は、本発明の一実施形態に係る切断ケーブルの一例である。
【
図27】
図27は、本発明の一実施形態に係る円盤又は支持体に置かれたケーブルの組み合わせを示す。
【
図28A】
図28Aは、本発明の一実施形態に係る、支持体を通って前後に通されたケーブルを示す。
【
図28B】
図28Bは、本発明の一実施形態に係る、支持体を通って前後に通されたケーブルを示す。
【
図29A】
図29Aは、1つの実施形態に係る圧電性コポリマーケーブルの区画の正の分極設定を示す。
【
図29B】
図29Bは、1つの実施形態に係る圧電性コポリマーケーブルの区画の負の分極設定を示す。
【
図30】
図30は、1つの実施形態に係る、圧縮に供されたときに内部導体に正電荷を生成してもよい正に分極したコポリマーケーブルを示す。
【
図31】
図31は、1つの実施形態に係る、コポリマーに生成される電荷を示す。
【
図32】
図32は、1つの実施形態に係る一対のコポリマーケーブルを示す。
【
図33】
図33は、1つの実施形態に係る一連のハイドロホンユニットを備えるハイドロホンを示す。
【
図34】
図34は、1つの実施形態に係る、例示的な分極制御グラフ及び例示的なマーキング制御グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、本発明の種々の態様が説明される。説明の目的のために、特定の構成及び詳細が、本発明の十分な理解を提供するために示される。しかしながら、本明細書に提示される特定の詳細がなくても本発明が実施されてよいことも、当業者には明らかであろう。さらには、本発明を曖昧にしないために、周知の特徴は、省略又は簡素化されていることがある。
【0014】
本発明の実施形態は、水中の音圧を検出するために使用されるセンサ、及び製造方法を含む。しかしながら、発明の実施形態は、空気、油又は土壌等の他の媒体の中の音圧、及び構造体又はパイプの中の振動を検出するためにも応用される。本発明の特徴は、変更及び改変を受けてもよく、それゆえ本明細書は、制限するものと解釈されるべきではない。
【0015】
いくつかの実施形態は、先行技術のハイドロホンよりも製造しやすいハイドロホンを含む。というのも、一実施形態は、1以上の、実質的に連続的な、ストランドの圧電ケーブル(これは、製造後に、後で切断されてもよい)から製造されてもよく、これは、個々のセンサ間の数多くの製造され、半田付けされ、又は別の態様で作成される接続部の必要性を取り除くからである。製造の容易さは、本明細書に開示される製造方法の実施形態から生じてもよく、その方法では、圧電ケーブルは、交互のパターンで分極される。いくつかの実施形態では、個々のユニット又はセンサの間の製造され又は作成された接続部を有さないハイドロホン(接続部は、むしろ、圧電ケーブルの連続的なストランドに由来する)は、より物理的に堅牢である可能性がある。というのも、例えば長さ1キロメートルのハイドロホンケーブルが船舶の後ろでコイル状にされ、コイルを解かれ、引きずられる可能性がある物理的に要求が厳しい水中の環境で、個々のハイドロホンセンサ間の接続部は故障する可能性があるからである。いくつかの実施形態では、ハイドロホンは、並列に(物理的に横に並んでいるという意味で並列に)2以上の圧電ケーブルを使用することにより、優れた感知性能及び信号発生性能を有する可能性がある。優れた感知、信号増強、ノイズ低減及び信号発生の性能も、例えば、互いに異なる分極及び/又は交互の分極の区画を有する複数の圧電ケーブルを使用することにより成し遂げられうる。優れた信号生成は、ハイドロホンユニット又はチューブの間の直列及び/又は並列の電気的接続から生じる可能性があり、この接続は、いくつかの実施形態に係る、圧電ケーブルの分極及び/又は切断の特定のパターンから成し遂げられてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、ハイドロホンは、コイル状の圧電ケーブルの1つのシリンダ等の個々の感知ユニットを指してもよく、この感知ユニットは、他のそのようなユニットに接続されてもよく、また、ハイドロホンは、数十メートル、又は数キロメートルに沿って接続された多くのこのようなハイドロホンユニットの全体構造を指してもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「連続的な」圧電ケーブルは、コイルが作成された後にいくつかの切断部がケーブル(複数可)に作製されているか、又はいくつかの区画が取り除かれているハイドロホンへと製造される1つの長い圧電ケーブル(又は物理的に平行に並べられた複数のもの)を含んでもよい。例えば、感知ユニット間の非コイル状ケーブルの2つ(以上)の区画のうちの1つが取り除かれ、他の圧電ケーブル区画が残って上記ユニットを接続してもよい。取り除かれたピエゾコーティング又は外装(ジャケット)材料は、製造において再使用されてもよい。いくつかの実施形態では、隣接するコイル状区画及び非コイル状区画の各組み合わせにおけるハイドロホンの少なくとも一部分について、又は互いに隣接している各コイル状区画及び非コイル状区画について、上記第1圧電ケーブル又は第2圧電ケーブルのうちの一方が切断されている。例えば、切断は、いくらかの長さ(例えば1/4インチ(約0.64cm)、10インチ(約25.4cm))のケーブル又は内部ワイヤ(内部電線)又は導体等を取り除くことにより、コイル状区画の端部で又はコイル状区画の端部の近傍で、非コイル状区画の中のある点で起こってもよい。
【0018】
典型的な先行技術のハイドロホンは、そのデバイスの内部と外部との圧力差を感知する、例えば脆い圧電性セラミック材料、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)から作製される、例えば円筒形のシェルであってもよい。この内部表面及び外部表面は、(例えば外部導体を形成する)メッキ又は導電性インクで別々に金属化されてもよく、電気的接続のための電極としての役割を果たしてもよい。両端の末端封鎖材は、チューブの内部の圧力を外部から隔離してもよい。圧電性材料は、内部と外部との圧力差に応答してもよい。通常、深海に浸漬されるため、ハイドロホンの外部静圧は、深さが増すにつれて増大するのに対し、内圧は一定である。このことは、深さが増すにつれて、結果として材料にかかる圧力を増大させることになり、最終的には材料が深海で不具合を生じることになる。
【0019】
P(VDF-TrFE)コポリマーは、圧電性のセラミック及び結晶の代替物であり、より低い圧電定数、単位力あたりに生成される電荷の量を有する。そのポリマーの特性に起因して、P(VDF-TrFE)コポリマーは、セラミック及び結晶よりも脆さがはるかに小さい。しかしながら、高圧に耐え、十分な感度を維持するために、その必要な厚さは、高温でその材料を分極させるために極めて高い電圧を要求する。一例として、このような種類のハイドロホンシェルの厚さは、約1ミリメートルであり、分極させるために100℃で100キロボルトを必要とする。ハイドロホンの表面積全体にわたって均一な感度を有するために、シェルの厚さは一定である必要がある。分極プロセスの歩留まりを上昇させるために、上記材料は、異物及びボイドを含まないものである必要がある。これらを成し遂げるために、清浄な環境及び高精度のチューブ状プラスチックの押出設備の高コストの投資が必須である。
【0020】
このような極度に危険な高電圧及び高設備コストを回避するために、代わりに、本発明の実施形態は、製造しやすく、安全に分極でき、柔軟な同軸圧電ケーブル201を利用して円筒形のシェル形状200を形成してもよく、その例示的な実施形態は、
図1に示されている。圧電材料で被覆されたケーブルを使用することで、圧電材料の薄層(例えば250ミクロン(250μm))が使用できるようになる可能性があり、例えば25kVといったより低い電圧しか必要としない可能性がある。圧電材料からシェルとして形成された先行技術の円筒形のシェルは、作製(又は形成)され、次いでその後に分極される必要がある。対照的に、本発明の実施形態では、圧電ケーブルは、最初に分極されてから、チューブへとコイル状にされ又は巻かれてもよい。
【0021】
同軸圧電ケーブル201は、ギターピックアップ及びトラフィックセンサとして使用されてきた。
図2は、内部導電性コア301と、絶縁層302と、外部導電性層303とを備える例示的な同軸圧電ケーブル300を示す。内部導電性コア301は、中実の導電性材料(例えば金属ワイヤ)又はストランド状の導電性ワイヤであることができる。外部導電性層303は、例えば、導電性の塗料、コーティング若しくはインクの薄層、編まれた導電性ワイヤの層、又は薄い導電性箔の層であることができる。絶縁外装302は、P(VDF-TrFE)コポリマー圧電性材料の薄くてチューブ状の層であってもよい。他の好適な圧電性材料が使用されてもよい。このようなピエゾ層は、内部及び外部の導体の間で極性を切り替える(切り替え)ことにより、いずれの方向にも、半径方向に分極させることができる。例えば、外部電極に正電圧が印加され、内部電極が接地されている場合、上記ケーブルは、正に分極304されたと呼ばれる。逆に、外部電極に負電圧が印加され、内部電極が接地されている場合、上記ケーブルは、負に分極305されたと呼ばれる。他の分極方法、例えば本明細書中の他の箇所で論じられる加熱を伴うコロナ放電針法、が使用されてもよい。
【0022】
図2でわかるように、圧電ケーブル300の構成は、通常の絶縁電気ケーブルの構成と同様の構成を有し、1つの差異は絶縁層の材料である。結果として、分極していない圧電ケーブル自体は、ケーブル押出機を使用して、通常の絶縁電気ケーブルの方法と同様の方法で簡単に製造することができる。このようなケーブルからのハイドロホンの製造は、本明細書の他の箇所でさらに論じられる。さらには、このような種類のケーブルの絶縁層は、一般に薄く、通常は厚さが250ミクロン(250μm)のオーダーであり、これは、より低くより安全な分極電圧を可能にしうる。このようなケーブルは、例えば直径1mmの内部ワイヤ又は導体を有してもよい。
【0023】
図1は、同軸圧電ケーブルを利用して、シリンダ202の周りにコイル状にするか又は巻くことにより、円筒形のシェル又はチューブ、例えば感知ユニット、を形成する本発明の実施形態を描く。巻かれた後、この圧電ケーブルは、例えば溶媒(例えば、後で一緒に流れるコーティング又は外装材料を溶解する)、エポキシ、シアノアクリレート、又は他の接着剤によって一緒に接着されてもよい(例えば、隣接するコイルが接着される)。次いで、シリンダ202はシリンダから取り外され、チューブ状の形状が形成される。接地のための端子を形成しEMIシールドとしての役割を果たす導電性のコーティング又はインクが、次にそのチューブの内部表面及び外部表面の両方に塗布されてもよい。このコーティングは、集電体であってもよく、信号検出に役立ってもよい。圧電ケーブル内部の導電性コアは、変換された電気信号のための端子を形成する。この形態を保護するために、シリコーンゴム又はウレタン等の感圧性材料の層が、チューブの内部、外部又はその両方に設けられてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態は、例えば直列に巻かれた2層を接続することにより、感度、つまり、単位圧力あたりの電圧出力を高めてもよい。
図3Aの実施形態では、出力電圧を2倍にするために、2層の巻回型圧電ケーブルチューブが直列に接続400されている。巻回型圧電ケーブルの第1層401は、
図2に示されるように、負に分極305していてもよい。巻回型圧電ケーブルの第2層402は、
図2に示されるように、正に分極304していてもよい。両方の巻回層401、402は、それらの外部導電性層403で接続されていてもよい。両方の巻回層401、402の内部コア導体は、個々の層の合計である出力電圧をもたらしてもよい。各巻回層411、412を
図3Bにおけるのと対応する極性を有する電圧源又はバッテリと類似と見ると、直列に接続された巻回層は、
図3Cにおけるように直列に接続された2つのバッテリ421、422として概略的に示される(類推目的のために)ことが可能である。
【0025】
ある場合には、出力電圧を2倍を超えて増大させるために、3以上の巻回層を直列に接続することが望ましい場合がある。一例として、
図3Dに示されるように(類似の電圧源又はバッテリが示されている)、絶縁層430を、同じ極性を有する巻回層の間に追加することができる。別の例として、
図3Eに示されるように(類似の電圧源又はバッテリが示されている)、対をなす極性を有する二重の(2つ一組の)巻回層の間に絶縁層430を追加することができる。
【0026】
他の実施形態は、低周波数での周波数応答のロールオフ周波数(上向き転移周波数)が増幅回路において最小となりうるように、センサのキャパシタンスを高めてもよい。そうするために、
図4に示されるように、巻回層450は同じ極性を有して連続的に接続されてもよい。回路452は、1つの実施形態によれば、出力電圧は、並列に接続された巻回層(類似の電圧源又はバッテリが示されている)を用いて同じに留まることを示し、一方で、1つの実施形態によれば、回路454は、キャパシタンスは、並列に接続された巻回層(類似のコンデンサが示されている)を用いて増大することを示す。
【0027】
他の実施形態では、巻回チューブの厚さは、最小にされる。厚さを減らすために、上記同軸圧電ケーブルは、
図5の巻回されて平たくされたケーブル460の切取図に示されるように、巻かれて形成される前に、例えばロールミル又はプレスによって最初に扁平にされてもよい。この構成の別の恩恵は、有効感知面積を増大させることであってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、ハイドロホンは、指向性を有してもよい。これを成し遂げるために、
図6に示されるように、オーバル形又は楕円形状の断面を有するシリンダの周りにチューブが形成されてもよい。オーバル形状の断面を有する巻回チューブ700は、1つの方向701において他の方向702よりも高い感度を有してもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、ハイドロホンは、他の設計よりも単位体積あたりでより大きい感知面積を有してもよい。これを成し遂げるために、いくつかの実施形態では、一定の直径の円筒形のシェルではなく、
図7に示されるように、フットボール用ボール形若しくはオーバル形801又は球形802に巻かれたものが形成されることができる。1つの実施形態では、ハイドロホンユニットは、円形であるが直径が変化する断面を有し、これはフットボール用ボールの形状を与えうる。1つの実施形態では、ハイドロホンユニットは、円形ではない、- 例えばオーバル形、眼の形などの断面を有する。
【0030】
理解されるように、巻回チューブ又は感知ユニットのサイズは、長さ、厚さ又は直径においてスケーラブルであってもよい。1つのサイズ又は1つの種類のケーブルが製造されて、異なる寸法のチューブへと製作されることが可能である。同じ直径の圧電ケーブルを使用して、チューブの長さ又は直径を変化するために、巻かれるか又はコイル形成されることになるシリンダの下部構造(例えば、マンドレル)の長さ又は直径を変えることしか必要ではない。巻回チューブの厚さを加えるために、要求を満たすための複数の層を巻き付けることができる。巻回チューブの厚さを減らすために、
図5に示されるように、より小さいサイズの圧電ケーブル又は扁平な圧電ケーブルを使用することができる。
【0031】
圧電ケーブル巻回チューブの感度を較正するために、
図8に示されるように、1つの実施形態では、簡易な空気室900を構築することができる。スピーカー901は、増幅されたホワイトノイズ信号910によって駆動されてもよい。既知の感度を有する較正されたハイドロホン902が使用されてもよいし、又は較正された空気圧センサ903が使用されてもよい。圧電ケーブル巻回チューブ904は、試験されてもよい(例えば、被試験デバイス)。信号増幅器(例えばプリアンプ(前置増幅器))905及び信号レコーダ906が使用されてもよい。スピーカー901は試験中にホワイトノイズ波形を有する音圧を発するが、被試験デバイス904及び基準ハイドロホン902又は圧力センサ903の増幅信号は、記録されて、高速フーリエ変換(FFT)を使用して周波数領域へと変換される。被試験デバイス904と基準ハイドロホン902又は空気圧センサ903との間の周波数応答の差は、その後、被試験デバイス904の感度を決定するために使用することができる。
【0032】
図9に示されるように、1つの実施形態では、1001は、例示的な空気圧センサの周波数応答であり、その感度は0.1Hz~200Hzで-180dB re(V/μPa)である。一方、1002は、被試験デバイスである圧電ケーブル巻回チューブの周波数応答である。一例として、100Hzで、空気圧センサと被試験デバイスとの間の差は13dBである。結果として、被試験デバイスの感度は、100Hzで-193dB re(V/μPa)と決定することができる。他の周波数応答も成し遂げることができる。
【0033】
図10に示されるように、1つの実施形態では、1101は、例示的な圧電ケーブル巻回チューブ200(
図1)の周波数応答である。一方、1102は、材料がP(VDF-TrFE)コポリマー(共重合体)である中実のP(VDF-TrFE)コポリマーチューブの周波数応答である。理解されるように、低周波数では、圧電ケーブル巻回チューブは、そのより高いキャパシタンスに起因して、中実のコポリマーチューブよりも高い感度を有する可能性がある。より高い周波数では、例示的な中実のコポリマーチューブは、例示的な圧電ケーブル巻回チューブよりも6dB高い感度を有する。このような差は、より多くの巻回層を直列に加えることにより埋め合わせることができる。他の周波数応答も成し遂げることができる。
【0034】
屋外で展開されるために、従来のハイドロホンは、通常、長いデイジーチェインとして接続される。このようなつながれた構成は、例えばはんだ付けにより、又は機械的な接触により、多くの中間の接続部が作成される必要がある。これらの接続部は、実施するための労働費用がかかるだけではなく、不具合を起こす可能性が高い。1つの実施形態では、
図11に示される1つの解決策は、長い連続的な長さの一本の真っ直ぐな(直線状の)圧電ケーブル1300又は一緒に束ねられたか若しくは捻じられた2以上の真っ直ぐな圧電ケーブルの束1301を使用して複雑な接続部を回避することである。単独の圧電ケーブルは、十分な感度を提供しない可能性があり、複数の真っ直ぐな圧電ケーブルの束は、全体の重量が増大し柔軟性が低下する可能性がある。
【0035】
巻かれていない真っ直ぐなケーブル(1又は複数)及び中実壁を有する従来のハイドロホンとは対照的に、本発明の1つの実施形態は、より小さい重量で高い感度及び柔軟性を維持しつつ、製造に多くの時間と労力を要する接続部及びそれらの不具合の可能性を最少にする解決策を提供する可能性があるチューブ形態の巻回型圧電ケーブルを備える。
図12の実施形態に示されるように、長い連続的な圧電ケーブル1403は、デイジーチェイン状に接続されたかのように、多くの個々のハイドロホン、チューブ又は感知ユニット1400へと螺旋状に巻かれることが可能である。そのような構成では、製造されたか又は作成された接続部は、チューブ1400間にまったく又はほとんど必要とはされず、単位重量あたりの感知表面積は、増大する可能性がある。加えて、チューブ間のケーブル1403の非巻回部1401は全体的な柔軟性をもたらす。
【0036】
ある場合には、一緒に結合又は接着された2以上の圧電ケーブルを使用して長いデイジーチェインにされたハイドロホンアレイを製造することが有益である可能性があり、又は各ケーブルの部分が結合されてもよい(例えばコイル状の部分のみ)。そのような結合は、コイル化に先立って行われてもよく、及び/又はコイルでのみ行われて非コイル状区画では行われなくてもよい。
図13に示される例において、対をなす極性1500を有し2つの結合された圧電ケーブル1503及び1505を備える、捻じられたか又は結合された(例えば、溶媒で結合された)ツイン圧電ケーブル1501が、並列に電気的に接続されているかのように、複数のチューブ1507へと連続的に巻かれることができ、これにより、同相分除去を向上する等の信号処理における利点を提供することができ、ここで、上記対をなす極性は、2つの圧電ケーブルが互いに逆に又は反転した態様で分極していることを意味する。(なお、本明細書で使用される場合の並列は、横に並んで走る2本のケーブルのように物理的に平行であること、及び有効に並列に電気的に接続されている2つのハイドロホンユニット又はコイルのように電気的に並列であることも意味することができる。)断面1500において、矢印は分極を表し、1つのケーブル1503が内側へ分極し、1つのケーブル1505が外側へ分極している。ケーブル1503及び1505は、並列に使用される差動対である。ケーブル1503及び1505に対する応力(例えば音に由来する)が、電荷を各ケーブルの中を反対方向に流れさせてもよい。1つの実施形態では、反対方向に流れる電荷は、互いに打ち消し合わない。というのも、信号プロセッサは、1つの信号を取得しそれを電子的に反転又は逆転させることができるからである。差動増幅器又は計装用増幅器を有する典型的な回路が、この差動電圧を処理してもよい。いずれの回路も1つの反転入力及び1つの非反転入力を有する。出力は、2つの入力の間の差に比例してもよい。
【0037】
図14に示されるような実施形態では、ハイドロホン1600を使用してマルチチャンネルセンシング又はマトリクスセンシングを提供するために、各チューブ形態は、個々に接地されてもよい。各チューブ1610の壁面1601は、導電のために個々に金属化されてもよく、別々の接地接続1602、1603、1604を形成してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、圧電ケーブルは、最初に分極され、次いで異なるチューブ又はハイドロホンユニットへとコイル状にされ、導電性材料で被覆され、そして可能であれば、絶縁コーティング又は構造的に支持体するコーティング等のさらなる材料で被覆されて、ハイドロホンが作成されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、ハイドロホンを作成するために使用される圧電ケーブルは、内部ワイヤ又は導体を備え、その外部に圧電性コポリマーコーティングの例えば円形の断面を有する層又は外装を備える。内部コア導体は、例えば銅又は他の金属ワイヤ、例えば中実ワイヤ、又は撚り線ワイヤであってもよい。通常、フレキシブルな内部導体が使用される。中実ワイヤの代わりに撚り線を使用することで、周波数感度プロファイルを変えてもよい。圧電ケーブルは正に分極してもよいし、又は負に分極してもよい。例えば2つの反対に分極したケーブルが連結されている、例えば並列に又は横に並んで一緒に結合された(すなわち結合された部分)又は対をなす一対の正及び負に分極したケーブルを使用することで、いくつかの実施形態では、同相雑音を低減し、直列に接続された2つのバッテリに類似して信号を増強してもよい。この2本の圧電ケーブルは、例えば、溶媒(例えば、溶媒を塗布して、隣接するコイルのコーティングが部分的に溶解して、溶媒が乾くにつれて一緒に架橋を形成するようにする)、エポキシ、シアノアクリレート、又はシリコーンゴム等の他の接着剤を使用して、接続又は結合されてもよい。
【0040】
このような配置の1つの実施形態は、
図15に示される。いくつかの実施形態では、一対の正及び負に分極したケーブル1200及び1210は、一緒に巻かれて、隣接し連続的なコイル1242を有するチューブ1230を形成してもよい。ケーブル1200及び1210は、導電性コア1202及び1212(例えば銅又は他のワイヤ)と、圧電性コーティング又は外装1204及び1214(例えばP(VDF-TrFE)又は別の好適な材料)とを備えてもよい。ケーブル1200及び1210は、例えば
図16に示されるように、コイルへの巻回に先だって分極されてもよい。導電性のコーティング又は塗料1244が、チューブ1230の上へと加えられてもよい。回路1260は、チューブ1230によって作成される回路と類似しており、一緒に結合された一対の真っ直ぐな圧電ケーブルを示す
図15の右部分と電気的に等価でもある。通常は隣接するチューブに直列に接続される、チューブ内で反対の極性を有する対をなすケーブルを用いて巻かれたチューブ又はコイル状区画について、導電性のコーティング又は塗料の領域は、電荷を集めてもよいが、通常は信号処理に接続されない。そのような直列のチューブにおける導電性のコーティング又は塗料の領域は、同じ領域内で電荷を伝導し、(正のリードと負のリードとの間の)基準電圧としての役割を果たし、同じチューブ内の導電性塗料が塗られた領域全体は、同じ電位を有する。しかしながら、直列に接続されたときの2つの相隣るチューブの間の電位は、通常、同じではなく、それゆえ相隣る又は隣接する直列接続されたチューブについての導電性塗料区画は、通常、電気的に接続されない。他の構成では、隣接するチューブ上の導電性塗料又はコーティングは、例えば連続的な導電性塗料コーティングを介して電気的に接続されていてもよい。これは、例えばただ1本のストランド及び1つの極性、又は極性が各ストランドで反対になっている連続的な極性を持つ2本のストランドを用いて巻かれたチューブを使用するときに行われうる。そのような構成では、導電性塗料は、信号処理装置に接続されてもよい。1つの実施形態では、1本のストランド(例えば、
図12)については、内部導体及び導電性塗料は、信号処理に接続されてもよい。反対の極性を有する2本のストランド(例えば、
図13の1つの実施形態)については、両方の内部導体が信号処理に接続され、その導電性塗料又はコーティングは、例えばEMIシールドであってもよい。
【0041】
コイル1242は、互いに結合され又は接続されてもよい。例えば、接着剤1240は、隣接するコイル又は巻回部1242を一緒に結合してもよい。対をなす圧電ケーブルのコイル又は巻回部1242は、チューブ1230を作成するために、例えば、溶媒、エポキシ、シアノアクリレート、又はシリコーンゴム等の他の接着剤を使用して結合されてもよい。なお、いくつかの実施形態では、2つの結合部、接着部、又は接続部が生じうる。一対の圧電ケーブルは、複合平行圧電ケーブルを作成するために互いに結合されてもよく、このケーブルは、コイル状の感知ユニット又はチューブを作成するために、所定の区画に沿って結合されてもよい。いくつかの実施形態では、3以上のケーブルが物理的に平行に使用されてもよい。いくつかの実施形態では、一対のケーブルは、巻かれる前には互いに結合されておらず、結合は、ケーブルのコイル間で、及びそれらとチューブ内の隣接する平行ケーブルとの間にのみ生じてもよく、結合は、ケーブルの非コイル状区画には生じなくてもよい。個々の圧電性のハイドロホンユニット又はチューブを並列に接続して、前置増幅回路、例えば
図8の回路905に適合するより良好なインピーダンスのためにキャパシタンスを増大させることも有益である可能性がある。1つの実施形態では、信号を増強するために、個々の圧電性のハイドロホンユニット又はチューブを直列に接続することが有利である。本発明の実施形態では、接続は、適所で切断されてもよい連続的な圧電ケーブルを使用することにより成し遂げられてもよく、その場合、ハイドロホン又はチューブ間に(例えばはんだ付けにより)接続部が製造される必要はないか、ごくわずかしか製造される必要がない。先行技術のハイドロホンシステムでは、これらの電気的接続は、多大な労力を必要とし、かつ、稼働中の曲げ及び伸長から海の過酷な環境の中で不具合を起こすことが多い。1つの実施形態では、加工方法は、作成に過度の労力がかからず、かつ弱い電気的接続部を持たずに一連の接続されたハイドロホン又はコイル状のユニットの恩恵を成し遂げることができる。
【0042】
圧電ケーブル分極システムの一実施形態が、
図16に示される。
図16を参照して、圧電ケーブル分極システム2000は、供給用スプール(糸巻き)2010と巻き取り用スプール2020とを備える。供給用スプール2010は、通常、一本鎖のまだ分極していないケーブルである圧電ケーブル2002を保持し供給する。(ケーブルが製造され分極されたとき、そのケーブルは、通常、一本鎖の形態にある。ケーブルは、通常、コイル状にされたときに、二本鎖又は複数のストランドになるだけである。他の実施形態は異なる可能性がある。)供給用スプール2010にある摩擦ブレーキは、ケーブル2002の張力を保ってもよい。巻き取り用スプール2020は、モーターコントローラ2042を伴ってもよいコンピュータ又はコントローラ2040により制御される正確な一定速度S(m/秒)でモーター2030を介して動力化されている。コンピュータ又はコントローラ2040は、例えばプロセッサと、メモリと、入出力モジュールと、コントローラ2040を本明細書に開示される方法を実施するように構成してもよい命令又はコードとを備えてもよい。コンピュータ又はコントローラ2040は、例えば、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、又は他のデバイスであってもよい。コンピュータ又はコントローラ2040は、デジタルの命令又は他の命令を、モーター2030を動作させるための電流及び/又は速度制御を出力してもよいモーターコントローラ2042に出力してもよい。スプール2010及び2020の間で、加熱ユニット又は加熱ゾーン2050は、コロナ放電針又は電極2052を備えてもよい。高電圧増幅器2054は、電気的な電圧を放電針又は電極2052に提供してもよく、コンピュータ又はコントローラ2040によって制御されてもよい。
【0043】
加熱ゾーン又は加熱ユニット2050は、例えば、分極されることになるケーブルが通されるチューブ又は囲いに空気を提供する熱気ブロワーであってもよい。加熱ゾーン又は加熱ユニット2050は、通気口を備えてもよい。加熱ゾーン又は加熱ユニット2050は、より良好な分極のために、ケーブル2002のピエゾコポリマー(例えば
図15及び
図21。ケーブルは、これらの図では、コイル化の後で対をなして示されている)を軟化させるために温度を上昇させてもよい。コロナ放電針又は電極2052は、通常、加熱ゾーン又は加熱ユニット2050内に置かれるが、このコロナ放電針又は電極2052は、ケーブル2002の近傍の空気をイオン化して、ピエゾコポリマーコーティングに付着し(
図16)てケーブル2002を分極させる電荷を発生させてもよい。圧電ケーブル2002の内部導体(例えば
図15、
図21)は、接地2055に接続されてもよい。コロナ放電針又は電極2052の電圧は、通常、直流であり、時間の関数としてプログラム化又は制御されることが可能で、コンピュータ2040によって制御されることが可能である。印加される電圧の一例は、250ミクロン(250μm)厚のコポリマーコーティングの場合、25kVである。他の電圧及び他の厚さが使用されてもよい。コンピュータ2040は、モーター、従ってケーブルの速度、及び加熱対象のケーブルに対して望まれる時間を考慮して、所定の時間点で、接地2055に対するすべての針又は電極2052の電圧を反転又は逆転させてもよい。このケーブルは、所定の速度で加熱ゾーンを通って移動されてよい。というのは、分極は、所定の温度に到達したあとでのみ起こるからであり、また分極を固定するための冷却が起こりうるようにするためでもある。加熱ゾーン2050は、例えば、長さ5フィート(約1.52m)のチューブであってもよい。他の寸法が使用されてもよい。
【0044】
1つの例示的なプロセスでは、移動するケーブルの速度は、例えば5mm/秒であってもよい。150cm長さのケーブルを分極させることには、所定のパラメータを用いて300秒かかる可能性がある。高電圧増幅器の極性切り替えには、完了するのに1秒かかる可能性がある。そのような場合、切り替え時の正と負との間の移行ゾーンは、5mmである。しかしながら、通常、ケーブルのすでに分極した部分のいくらかの部分が、極性間の切り替えの間に加熱ゾーンにまだ留まっていてもよい。この部分のすべてが逆転されなくてもよく、というのも、加熱ゾーンは、熱及び冷の間の勾配を有していてもよいからである。結果として、加熱ゾーンの長さに起因して、移行ゾーンは、加熱ゾーンの長さになってもよい。このことは、後で作成されるチューブ又はシリンダ間の予定された空間がこの移行ゾーンよりも長い場合には、悪影響をもたらすべきではない。しかしながら、密な間隔を有するチューブについては、極性切り替えの間の移行ゾーンは、最小にされるべきである。換言すれば、より小さい、例えば5cmの加熱ゾーンが好ましい。この密な加熱ゾーンの中で材料が分極されるための十分な時間を確保するために、よりゆっくりのケーブル移動速度を使用することができる。
【0045】
分極の間、例えばソレノイドによって作動され、コンピュータ2040によって制御される種々の色を有する(例えば塗布する)1以上のインカー又はマーカー2060を使用し又は作動させて、通常はコロナ放電ゾーンの後に、ケーブル2002に沿って点又は領域を(例えば視覚的に)マークすることができる。マーカー2060は、例えば、可能であれば正、負、又は他の表記法のための異なる色又は異なるマーカーを用いてマークを残すために、例えばマーキングデバイス又はインク付けデバイスを移動するケーブルの上へと引く、押す又は動かす液圧システム又はソレノイドによって作動され又は移動されてもよい。マーカー2060は、例えば従来の油性マジックマーカー、塗装システム、又は他のマーキング又はインク付けのシステムであってもよい。マーキングは使用される必要がない。1つの例では、一連のチューブ又はコイルが、各チューブの間の非コイル状ケーブルにおいて5.5cm間隔で作成されてもよい。各チューブは、外径1.5cm及び長さ5cmを有してもよく、対の中の各ケーブルについて直径1.5mmで長さ75cmの対をなす圧電ケーブルセグメントを必要としてもよい(それぞれの個々のケーブルセグメントが75cmであってもよい)。加熱ゾーンが5cmで極性間の切り替えに1秒かかると仮定すると、電圧プロファイルは、正の25kVに155秒(この例の速度は0.5cm/sであるので、(75+2.5)/0.5秒)、次いで1秒の移行、次いで-25kVで155秒等であることができる。当然、他の寸法、電圧、速度、及びタイミングプロファイルが使用されてもよい。
【0046】
他の実施形態では、
図16に示されるケーブルを分極させるために使用される特定の装置は、使用される必要がない。さらに、本発明の実施形態に係るハイドロホンで使用されるすべてのケーブルが記載されるプロセスにおいて又は記載される特定の分極を有して分極している必要はない。例えば、交互の極性の区画は使用される必要がない。いくつかの実施形態では、圧電ケーブルの全長が同じ極性を有してもよく、他の実施形態では、いくつかの長い区画(例えば数十メートル)が同じ極性を有してもよく、均一な極性のこれらの区画が、交互の極性の同じケーブル内の区画と交互になってもよく、例えば極性は77.5cmごとに交代する。例えば、巻かれていないときのケーブルは、100メートルについて正極性を有し、次いで正極性及び負極性を交互にする区画が各々2つの例として77.5cm又は1メートルの長さを有し、次いで100メートルについて正極性の区画を有してもよい。他の寸法が使用されてもよい。
【0047】
一実施形態は、感知ユニットを形成してもよいいくつかの個々の巻回チューブ又はシリンダを有する長い連続的なハイドロホンケーブルの製作方法を備え、ここでは、チューブは実質的に直列に、並列に、又はその両方で接続されてもよい。例えば、ハイドロホンは、直列接続された組のハイドロホン感知ユニット、並列接続された組のハイドロホン感知ユニット、又はそのようなユニットの組み合わせを形成する一連のコイル状区画を備えてもよい。「実質的に」並列のシステム及び「実質的に」直列のシステムは、並列に及び/又は直列に接続されたユニットを機能的に提供するシステムを含んでよく、その場合、接続部は、極性変化及び/又は連続ケーブル及び/又は切断連続ケーブルの組み合わせによって生成される。このような実質的なシステムは、数多くの付加的に製造された接続部(例えば、はんだ付け、圧着等)なしでそれらの特性を成し遂げうる。
図17の例示的な方法を実施するために
図16に示される例示的なシステムが使用されてもよいが、他のシステムも使用されてよい。
【0048】
1つの実施形態では、2本のケーブルが、各々、圧電性コーティング又は外装で被覆されたワイヤコアケーブルを用いて開始して、所定のパターンで圧電性コーティングを選択的に分極させることにより、作成される。例えば、パターンは、1本のケーブル(例えばA型)についてはすべて正であってもよく、別のケーブル(例えばB型)についてはすべて負であってもよい。パターンは、1本のケーブルについては交互の正及び負であってもよく、別のケーブルについても交互の正及び負であってもよい。パターンは、交互の正極性及び負極性の区画が散りばめられた連続的な極性の異なる長い区画を含んでもよい。ケーブルは、次に、非コイル状区画によって接続された交互のコイル状区画を有する長いハイドロホンへと一緒に組み立てられ、又は配置されてもよい。所定の点での選択的な切断、又はケーブル、コアワイヤ、若しくは圧電性コーティングの選択的な除去等のさらなる加工が行われてもよく、二重ワイヤケーブルの一部分又はすべて、例えばコイル状区画、又はコイル状区画の一部分、又は他の区画を覆って導電性コーティングが付されてもよい。導電性コーティングは、第1圧電ケーブルの一部分又はすべて及び第2圧電ケーブルの一部分又はすべてを覆うために付されてもよい。これは、コイル状チューブの外部及び/又は内部を被覆することによって実施されてもよい。最終的に製造されるハイドロホンを作成するために、末端封鎖材の追加、ポッティング、チューブ若しくはシリンダを取り囲むか又は覆ってスネークケーブル等のケーブルを形成するためのポリマー化合物等の物質によるケーブルの被覆、及びEMI(電磁干渉)シールドの追加等の他の加工が実施されてもよい。他の製造方法が使用されてもよい。
【0049】
1つの実施形態では、便宜のためA型及びB型と名付けられる2本のケーブルが作成される。ケーブルは、一緒に結合され又は接続されて、各々が交互の極性の区画を有する平行ケーブルとなってもよく、この場合、通常、1本のケーブルの正の区画は、他方のケーブルの負の区画に隣接している。他の実施形態では、このケーブルは、巻回前に結合され又は接続される必要がない。1つの実施形態では、各ケーブルの極性は、この二重/複合ケーブルの中の同じ点で正から負へ又は負から正へ切り替わるか又は反転するので、1つの実施形態では、A型が+極性を有しB型が-極性を有する区画は、A型が-極性を有しB型が+極性を有する区画と交互になる。本発明の実施形態によれば、交互の極性を有する対をなすケーブルの他の製造方法が使用されてもよい。
【0050】
1つの実施形態では、2本の圧電ケーブル(可能であれば、各々が、正極性及び負極性の交互の区画を備える)の各々が、接続され又は結合されてもよく、この場合、各圧電ケーブルの正極性の各区画の少なくとも一部分が、他方の圧電ケーブルの負極性の区画の少なくとも一部分に結合される。結合される反対の極性の区画又は部分は、コイル状区画に生じてもよく、この場合、非コイル状区画は結合されなくてもよい。
【0051】
図17は、連続的なハイドロホンケーブルを製作するための本発明の一実施形態に係る例示的な方法を示す。ハイドロホン及びハイドロホンの製造方法のいくつかの実施形態では、2本のケーブルが使用されるが、他の実施形態では、1本、又は3以上のケーブルが使用されてもよい。操作3000では、A型圧電ケーブルの区画は、例えばコロナ放電電圧プロファイルVA(t)及びマーカープロファイルMA(t)に従って分極されてもよくマークされてもよく、それらのプロファイルの一例は、
図18に示されている。プロファイルは、どのように又はいつ分極が変化、逆転又は印加されるのか、及びいつ及びどのようにケーブルをマークするのかを記載してもよい。このようなプロファイルは、例えば、コンピュータ2040又は類似のコントローラに対するプログラミング又は命令の一部であってもよい。コロナ放電プロファイルVA(t)は、
図18に示されるように、正の高電圧の継続時間で開始し、交互の極性区画が続いてもよい。
図18に示されるように、マーカープロファイルMA(t)のパルスは、後のプロセスにおける切断点又は切断位置のためのマーキング又はラベリング(例えば、マーキング又はラベリングデバイスがマーク又は標識を置くべき時)を示す。各ケーブルにおける極性が、極性切り替えが所望される部分で、同じ点で切り替わることを確実にするために、マーキングは、巻回の際に平行ケーブルを位置決めする上で手助けになる可能性もある。これらの切断点は、VA(t)が正から負へ又は負から正へと移行する点と一致するか、又はその点に関連してもよい。分極は、例えば、
図16に示されるシステムを使用して、実施されてもよい。スプールモーター(例えば、モーター2030)の速度及びコロナ放電電圧プロファイルの継続時間は、正に分極されたゾーン及び負に分極されたゾーンの長さを決定してもよい。
【0052】
操作3010では、B型圧電ケーブルが、コロナ放電電圧プロファイルVB(t)及びマーカープロファイルMB(t)に従って分極されてもよく、マークされてもよく、それらのプロファイルの一例は、
図19に示されている。コロナ放電プロファイルVB(t)は、
図19に示されるように、例えば負の高電圧の継続時間で始まり、その後、交互の極性セッションが続く。(
図18及び
図19の各々は所定の極性開始を示すが、開始極性は、異なる実施形態において異なっていてもよい。)
図19に示されるマーカープロファイルMB(t)は、VB(t)が正から負へ移行する点と関連する、例えば、プロセスにおいて後のケーブル切断のためのマーキングを示す。MB(t)の最初に示される第1パルスは、これが、この特定の点でのB型ケーブルについての非接続点であることを示す。
【0053】
他のプロファイル、及び他の接続又は切断配置、が使用されてもよい。例えば、ケーブルは、すべて正極性又はすべて負極性であってもよく、又は1つの極性の長い区画、及び他の交互の極性の区画の複合部分を有してもよい。
【0054】
操作3020では、巻回状又はコイル状の区画の間に巻かれていない又は真っ直ぐな区画が存在するように、上記ケーブルが、感知ユニットを形成してもよい1以上のシリンダ、チューブ又は巻回部へとコイル状にされ又は巻かれてもよい。例えば、
図20Aを参照して、モーター6010は、2本の異なるケーブル6020及び6030の両方を巻くか、コイル状にするか又は回転させてもよい。1つの実施形態では、各ケーブルは、交互の極性の区画を有し、そこで各ケーブル6020及び6030は、他方と対をなすか又は結合されたとき、他方と反対の極性を備える。他の実施形態では、各ケーブルは、単一の極性を有してもよく、他の極性パターンが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、各巻かれた区画(巻回区画)において、1本の圧電ケーブルは、他方の圧電ケーブルの極性の反対の極性を有する。例えば、同じ時の分極したA型6020及びB型6030のケーブルは、例えばコンピュータ6050によってプログラム化され制御することができる所定の回転数で、同じマンドレル又はスプール6040へと巻かれ又は回転されてもよい。1つの例示的な実施形態では、直径1.5mmの圧電ケーブルを使用して1.5の外径を有し長さ5cmであるチューブを製造するために、各コイル状チューブは、33コイル又はターン(回転)を含んでもよい。他の寸法が使用されてもよい。同じマンドレル上で同時に巻くことは、2本の最初は別々のストランドのケーブルが、1本のコイルへと連結されることを意味してもよい。マーキングが使用される場合、例えばマーカープロファイルMA(t)又はMB(t)からのマーキングが、代替的に、いずれかのコイルの巻回部の端部に現れてもよい。ケーブル6020及び6030のスプール6022及び6032と巻き取り装置、マンドレル又はスプール6040、との間で、張力制御ユニット6024及び6034が、チューブの変形を防ぐため、及び一貫した性能を提供するために両方のスプール6022及び6032からの張力が等しいことを確実にすることを支援してもよい。1つの実施形態では、ケーブルは、巻回前に一緒に結合される。別の実施形態では、ケーブルは、可能であれば、巻かれていない区画(非巻回区画)に結合がないシリンダを製造するために、コイル間でのみ、巻回後に結合される。溶媒又は接着剤6060が塗布されてもよい。巻かれていない区画も結合されてよい。通常、結合は、他方の圧電ケーブルの負極性の区画の少なくとも一部分に結合されている各圧電ケーブルの正極性の各区画の一部分をもたらし、反対の極性の所定の部分は、他方のケーブルに結合されなくてもよい。
【0055】
図20Bは、本発明の一実施形態に係る、コイルを作成するための代替のシステムを描く。
図20A及び
図20Cに示される特徴(例えば、スプール、張力制御ユニット、溶媒など)と共に
図20Bの特徴が使用されてもよい。回転しない筐体を備えるモーター6010が、ケーブル6020及び6030の両方を巻き、コイル状にし又は回転させてもよく、これが、本明細書中の他の箇所に記載されるように分極される。ケーブル6020及び6030は、例えばコンピュータ6050(
図20A)によって制御される同じマンドレル又はスプール6040で同時に巻かれ又は回転されてもよい。コンテナ又はビン6052が、完成したコイル6054を保持してもよい。コンテナ6052は、マンドレル6040と同調して回転してもよい。
【0056】
図20Cは、本発明の一実施形態に係る、コイル状のユニットを巻くための代替のシステムを記載する。
図20Cを参照して、ケーブル6071及び6073のスプール6070及び6072の各々は、各々ケーブル6071及び6073の両方を備えるコイル状区画6080を作成するために、円形のトラック6075の周り及びマンドレル6077の周りに回転してもよい。コイルを巻くために、スプール6070及び6072は、円形のトラック6075に沿って同時に回転してもよい。通常、マンドレル6077は回転せず、むしろ、巻回を横切るようにするために上下に移動してもよい。マンドレル6077は、例えばマンドレル6077の内部の膨らまされた空気チューブによって膨張することができる2つの半円筒形のシェルを備えてもよい。コイル状区画6080が巻かれると、溶媒又は接着剤6060が塗布されてもよく、空気チューブの空気が抜かれてマンドレル6077の断面を収縮されてもよく、コイル6080は、容易に取り外されて収集されうる。マンドレルの外部の2つのカラー6078及び6079は、マンドレルを所望の直径に保ってもよい。下方カラー6079は、巻回の開始端を締めつけしてもよい。
【0057】
ケーブルを開示された任意の方法で巻回することは、例えば、巻回状又はコイル状の区画をマンドレルから周期的に取り除いて、巻かれていない区画を作成することと、そのケーブルをそのマンドレル上で周期的に再巻きつけ又は再開始して、別の巻かれた区画を開始することとを備えてもよい。
【0058】
操作3030では、巻かれた又はコイル状にされたケーブルが、チューブ又はシリンダへと形成されてもよい。例えば、コイル巻回部は、例えば、コイル中のピエゾコーティングを結合することにより、互いに結合又は接続されてもよい。1つの実施形態では、結合のために使用される溶媒又は接着剤6060(例えば
図20、
図21)は、ケーブルに、及びコイル若しくは巻回部の間又はコイル若しくは巻回部を覆うように塗布されてもよい。溶媒が使用される場合、その溶媒は乾燥されてもよく、接着剤は、使用される場合、硬化されてもよい。他の接続又は結合方法が使用されてもよい。そのように、巻回チューブ、例えばチューブ4020、は、隣接するコイルから形成されてもよい。チューブ4020の各々は、別々のハイドロホン感知ユニット又はシリンダであってもよい。溶媒は、コイル又は巻回部の間の隙間へと、例えば噴霧、刷毛塗り、又はシリンジ注入することができる。1つの実施形態では、塗布された場合、溶媒はピエゾコポリマー材料を部分的に溶解してもよい。乾燥されると、溶解された材料は、表面間の結合を形成してもよく、この結合は、もとの材料と同程度の強度を有する可能性がある。通風乾燥機が、溶媒の乾燥を容易にするために使用することができる。溶媒の塗布及び乾燥は、予めプログラム化されたロボットによって、巻き取りと共に自動化することができる。
【0059】
操作3040では、形成されたチューブ又はシリンダは、マンドレルから取り外されてもよい。1つの実施形態では、好ましくはコイルが一緒に結合されてシリンダが形成された後に、完成したコイルがマンドレルから引っ張り出されるか又は滑り落ちることができるように、(例えば、予めプログラム化されたコンピュータによって制御される)折り畳み式又は拡張型のマンドレルが使用されてもよい。溶媒結合は有利である可能性がある。というのも、溶媒が圧電性コーティングを部分的に溶解させて相隣るコイルへと流れさせ、そしてその溶媒が揮発して、結合されたシリンダが残った後、そのコイルは、接着剤が使用される場合よりも簡単にマンドレルから滑り落ちる可能性があるからである。マンドレル又はスプール6040又は6077は、取り外しを支援するために、テフロン(登録商標)コーティング等の付着防止コーティングを有してもよい。人、自動化されたツール、又は産業ロボットが、完成したコイルをマンドレルから取り外して、次のコイル化のために、巻かれていないケーブルをマンドレル上で再開始してもよい。別の実施形態では、コイル又はチューブを巻くこと、及びコイル状チューブの取り外しの両方、並びにマンドレル又はスプール上でのケーブルの巻回の再開始を可能にするために、ケーブルのスプールが、それ自体で、マンドレル又はスプールの周りを回転してもよい。いくつかの実施形態では、ケーブルは、結合若しくは接着の代わりに、又は結合若しくは接着に加えて捻ることにより、互いに接続されてもよく、又は取り付けられてもよい。
【0060】
操作3020~3040は、所望の数のチューブが形成されるまで、繰り返されてもよい。例えば、10チューブ、10,000チューブ、又は別の適切な数のチューブが作成されてもよい。例えば、各チューブ間に5cm間隔を有する長さ5cmのチューブは、10,000チューブを有して、長さ1kmの長い曳航ハイドロホンを形成することになる。しかしながら、より長い又はより短いハイドロホンが作成されてもよく、例えば1メートル又は数メートルの長さであってもよい。
【0061】
操作3050では、導電性コーティング7002が、巻回状又はコイル状の区画、又は形成されたチューブ4020(例えば
図21及び
図22)の表面に塗布されてもよい。例えば、MG Chemicals Silver Print(導電性塗料)、842AR-15ML)等の導電性の銀塗料若しくは導電性の炭素塗料、又は別の好適なコーティングが、例えば噴霧又は刷毛塗り(ブラッシング)によって、形成されたチューブの外部表面及び/又は内部表面に塗布されて、電荷収集表面が作成されてもよい。導電性コーティング7002は、回路又は外部信号プロセッサに接続されていなくてもよく、むしろ、電荷を分散させてもよい。通常、導電性コーティングは、直列に接続されたユニット間の不連続部の巻かれていないケーブルの外部には存在せず、並列に接続されたユニットの間の巻かれていないケーブルの外部に存在してもよい。このように、並列配置では、導電性コーティングは、コイル状のユニットの間に塗布されてもよい。1つの実施形態では、導電性コーティングは、チューブにのみ塗布され、チューブ間の非コイル状区画には塗布されない。他の実施形態では、導電性コーティングは、チューブ、及びチューブ間の非コイル状区画に塗布される。通風乾燥機が、塗料又はコーティングの乾燥を容易にするために使用することができる。この操作は、予めプログラム化されたロボットによって、自動化されてもよい。銀塗料以外の導電性コーティングが使用されてもよい。
【0062】
1つの実施形態では、操作3050の後、ケーブルが交互の分極よりはむしろ連続的な分極を有して使用される場合、実質的に並列に接続された多くの巻回チューブを有する連続的な長いハイドロホンが生成する。
【0063】
操作3060では、直列接続された区画を作成するために、上記ケーブル、例えば複合又は二重ケーブル内の個々のケーブル、の一部分は切断されてもよい。並列接続された区画が望まれる場合、切断は行われなくてもよい。例えば、プロファイルMA(t)及びMB(t)に従ってマークされた点が切断されてもよい。マーキングは、異なる極性の領域の間の移行部を示してもよい。この操作は、例えば色検出センサを備える予めプログラム化されたロボットによって自動化することができる。いくつかの実施形態では、切断は、機能性に重要な効果を有しないコイル状区画又はチューブの間のいずれの点で存在してもよい。というのも、導電性コーティングは、1つの実施形態では、コイル状チューブの間の非コイル状ケーブルに置かれず、コイル状チューブの間では重要な信号収集は行われないからである。典型的な実施形態では、切断は、小さい部分、例えば1cm、又は1/4インチ(約0.64cm)、又は別の長さ、の内部導電性ワイヤを取り除くこと、ケーブルの曲げに起因して回路又は電気的接続が生成することを防ぐことを伴ってもよい。いくつかの実施形態では、非コイル状区画上の圧電性材料は、単一のケーブルの切断された個々のストランド及び切断されていない個々のストランドの両方に対して、取り除かれて及び再使用されてもよい。
【0064】
通常、コイル状区画間の2本のケーブルのただ1本が切断され、この切断は、交互の分極と併せて、コイル間の直列接続を生成し、例えば隣接するコイル状区画を有することは、各ケーブルについて、交互の分極を有し、上記2本のケーブルの交互の1つが各コイル状区画の間で切断されている。コイル状区画間の並列接続は、コイル状区画間でケーブルを切断しないこと、及び交互の分極を使用しないことによって生成されてもよい。例えば、隣接するコイルを有することは、各ケーブルについて、同じ分極を有する。直列ケーブル及び平行ケーブルの組み合わせは、交互の極性のケーブル及び切断部分を有する直列の区画並びに一定の極性を有し切断部分を有さない並列区画を備えてもよい。いくつかの実施形態では、並列よりも多くの直列が使用されてもよい。例えば、区画は、一組の10個の直列接続されたコイル状区画及び5個の並列接続されたコイル状区画を備えてもよい。いくつかの実施形態では、並列に接続されたいくつかのチューブ又はユニットは、機能上は、1つのより長いチューブと考えられてもよい。切断は、各々の隣接する巻かれた区画及び巻かれていない区画の中の点で実施されてもよい。
【0065】
切断は、通常、コイル状区画間の実質的に並列は接続を作成するためには、実施されない。
【0066】
図33を参照して、1つの実施形態に係るハイドロホン1800は、一連のハイドロホンユニット1810、1812、1814及び1816を備える。ハイドロホンユニット1810及び1812、並びに別に1814及び1816が並列に接続されている。2つの群1820及び1822の並列接続部。ハイドロホン群1820及び1822は、互いに直列に接続されている。これは、各々が連続的な極性の2本のケーブルを有し、各ケーブルが他方と反対の極性を有するハイドロホンユニット1810及び1812、並びに各々が連続的な極性の2本のケーブルを有し、各ケーブルが他方と反対の極性を有するハイドロホンユニット1814及び1816を有すること、並びにハイドロホンユニット1812及び1814の中のケーブルの極性をハイドロホンユニット1812及び1814間でその複合ケーブルを介して非コイル状接続において切り替え、2本のケーブルのうちの一方がハイドロホンユニット1812及び1814間で切断されていることにより、成し遂げられてもよい。
図34は、
図33におけるハイドロホン1800を構成する2本のケーブルについての例示的な分極制御グラフ1840及び1850、並びに
図33におけるハイドロホン1800を構成する2本のケーブルについての例示的なマーキング制御グラフ1860及び1870を示す。
【0067】
1つの実施形態では、区画又は交互の極性が使用される場合、切断操作3060まで、及び切断操作3060を含めて、多くの巻回チューブが実質的に直列に接続された連続的な長いハイドロホンが生成する。コーティング7002が、巻回状又はコイル状の区画、又は形成されたチューブ4020(
図21及び
図22)の表面に付されてもよい。本発明のいくつかの実施形態に係るハイドロホンの部分構造の例が、対応する極性及びマーキンググラフと共に
図21及び
図22に示されており、
図21は、偶数のコイル状区画を示し、
図22は奇数のコイル状区画を示す(3及び4とは異なるコイル状区画の数が、当然、使用されてよく、いくつかの実施形態での典型的なハイドロホンは、例えば5cm間隔の長さ5cmのチューブであってもよい例えば10,000個のコイル状チューブを備え、長さ1kmの曳航ハイドロホンを形成する)。他の構造、他の極性構成、並びに他のマーキング及び切断パターンが使用されてもよい。
【0068】
図21及び
図22を参照して、ハイドロホン4000は、2本の圧電ケーブル4002及び4004から形成されるコイル状区画又はチューブ4020を備えてもよい。ケーブル4002及び4004は、例えば、例えばエポキシ又はシリコーンゴム等の接着剤を使用して、又は溶媒を使用してコイル状区画に沿って結合され又は接続されて、複合平行圧電ケーブルを作成してもよい。ケーブル4002及び4004は、コイル状及び非コイル状区画を含めたその長さに沿って、又はコイル状区画のところでのみ結合され又は接続されてもよい。他の結合方法又は連結方法が使用されてもよい。ケーブル4002及び4004は、それぞれ内部導体4010及び4012、並びにそれぞれ圧電性コーティング4014及び4016を備えてもよい。圧電性コーティング4014及び4016は、例えば、ポリ(ビニリデンジフルオリド-トリフルオロエチレン)又はP(VDF-TrFE)コポリマー、又は他の種類の圧電性材料であってもよい。各コイル状区画又はチューブ4020は、例えばエポキシ若しくはシリコーンゴム等の接着剤又は溶媒を使用して連結又は接続された(ケーブル4002及び4004から形成される)平行ケーブルの隣接するコイルを有することから形成されてもよい。各コイル状区画4020は、平行ケーブル(4002及び4004)の非コイル状区画4022によって接続されてもよい。この平行ケーブルの一部分は切断されてもよいし取り除かれてもよいので、(ケーブル4002及び4004から)区画が切断されたか又は取り除かれた1本の実質的に連続的なケーブルがハイドロホン4000を形成すると考えてもよい。内部導体4010及び4012は、例えば、銅又は他の金属ワイヤ、例えば中実ワイヤ、又は撚り線ワイヤであってもよい。
【0069】
図21及び
図22において、MA(t)は、マーキングがケーブル4000上でケーブル4000上の点4032に対応する点4030でいつ行われるかを描き、MB(t)は、マーキングがケーブル4000上でケーブル4000上の点4036に対応する点4034でいつ行われるかを描く。切断又はケーブル除去がなされることになるときの製造デバイス又は製造システムを示すために、マーキングが使用されてもよい。グラフA及びグラフBは、種々の区画にわたるケーブルの極性4000を描き、ケーブル4002及び4004並びにチューブ4020の正に分極された区画に対応する正極性の区画4050、並びにケーブル4002及び4004並びにチューブ4020の負に分極された区画に対応する負極性の区画4056を示す。いくつかの実施形態では、連続的な極性(正又は負)の区画は、取り除かれないかぎりは、ケーブルのコイル状区画及び非コイル状区画の両方を備える。
【0070】
いくつかの実施形態では、個々のハイドロホンユニットは、シリンダ以外の形状、例えば球形又はフットボール用ボールの形状へとコイル状にされ又は巻かれてもよい。巻回型は、ケーブルの複数の層を備えることができ、この複数の層は、例えばキャパシタンスを大きくするために並列に接続されてもよいし、又は電圧感度を高めるために直列に接続されてもよい。個々のコイル状のユニットは、例えばケーブルセグメントの切断及び/又は交互の分極の計画された使用によって、互いに並列に又は直列に接続されてもよい。非円筒形の形状、例えばオーバル形の断面、又はフットボール用ボールの形状(例えば
図6又は
図7)を備えるハイドロホンの実施形態では、1本のコイル状チューブのみが使用されてもよい。というのも、ただ1本のチューブが使用される場合に指向性が最良である可能性があるからである。1つの実施形態では、ハイドロホンは、コイル状区画を一切備えなくてもよい。例えば、ハイドロホンは、所定の様式で分極した一本鎖の圧電ケーブル、所定の様式で分極した2以上の平行なストランドの圧電ケーブル、又は別の構造を備えてもよい。
【0071】
1つの実施形態では、個々のケーブル4002及び4004それぞれにおける極性は、各コイル状区画4020の一端の近く又はその一端で交代するか切り替わり、1つの非コイル状区画4022を通して連続し、従って同じ極性を有するケーブルの1つの区画は、コイル状区画及び隣接する非コイル状区画の両方を備えてもよい。従って、各非コイル状区画は、1つの極性のケーブルのコイル状部分を反対の極性のケーブルのコイル状部分に取り付ける。例えば、コイル状区画4020Aの中のケーブル4002は、極性-を有し、コイル状区画4020Bの中のケーブル4002は極性+を有し、これらの2つの区画は、非コイル状区画4032によって接続されており、この非コイル状区画4032は、1つの実施形態では、分極したコーティングを欠く。コイル状区画4020の各々は、同じ2本の切れ目のない圧電ケーブル4002及び4004から作製されてもよい。1つの例示的な実施形態では、
図21に示されるように、コイル状区画4020は、同じ2本の切れ目のない圧電ケーブル4002及び4004から作製されてもよいが、それらを連結するケーブルの区画が取り除かれて、コイル状区画4020が区画4032で2本ではなく1本の圧電ケーブルによって接続されてもよい。
【0072】
操作3070では、(例えばA型若しくはB型の、又は圧電ケーブル4002及び4004のうちの一方の)1本のケーブルストランドの一端は、信号処理のための出発点に指定され又は割り当てられてもよい。例えば、1つの実施形態では、ケーブルA型の内部導体の点4070は、
図23A、
図23B及び
図23Cに示されるように、信号処理のための正端子としての出発点又は接続点に指定され又は割り当てられてもよい。他の実施形態では、この出発点又は接続点は、負端子であってもよい。なお、B型ケーブルの出発点は、マーカープロファイルMB(t)に従って、A型ケーブルの点4070に最も近い点でケーブルの内部導体が電気的に接続されていないように、非接続点であってもよい。
【0073】
操作3080では、(例えばA型又はB型の、又は圧電ケーブル4002及び4004のうちの一方の)1本のケーブルストランドの一端は、信号処理のための終点に指定され又は割り当てられてもよい。例えば、1つの実施形態では、点4080は、通常は1つの実施形態では切断及び非接続を表すマーキングなしに、2本のケーブルのうちの一方からの終点に指定され又は割り当てられてもよい。負端子が信号処理用であってもよい。形成されるチューブ、コイル状区画又はシリンダの数に応じて、この負端子は、A型又はB型ケーブルの上にあってよい。偶数の形成されたチューブについては、
図21に示されるように、この負端子は、A型ケーブルの終点に位置することができる。奇数の形成されたチューブについては、
図22に示されるように、この負端子は、B型ケーブルの終点に位置することができる。他の実施形態では、終点又は接続点が正端子であってもよい。
【0074】
操作3090では、絶縁導体等の導体が取り付けられてもよい。例えば、出発点が正に指定された場合、絶縁導体が接続されて、出力又は信号処理のための簡単な接続のために、負端子(例えば
図23中の点4080)を正端子の近傍まで拡張してもよく、又は例えば
図23A、
図23B及び
図23Cに示されるように、ハイドロホンの一端でハイドロホンのための便利な2端子出力を生成してもよい。
図23A及び
図23Bを参照して、戻りのケーブル5000、例えば絶縁導体、は、非コイル状区画4022と交互のチューブ又はコイル状区画4020を備える圧電ケーブル4000に取り付けられてもよい。正及び負の終点4070及び4080は、出力と考えられてもよく、例えば、例えば前置増幅及び他の処理を備えてもよい信号処理5014に接続されてもよい。他の実施形態では、この出発点又は接続点は負端子であってもよく、従って加えられた導体は正であってもよい。絶縁導体5000は、チューブ4020の内部若しくは中央に、又はチューブ4020の外部に置くことができる。
図23Aでは、信号処理5014に最も近い第1コイル状区画4020は正で終端し、最後のコイル状区画4020は点4080で負で終端し、戻りのリード又はケーブル5000に接続されている。代替では、
図23Cで見られるように、圧電ケーブル4000(例えば、接続されたチューブの長い鎖)は、ケーブル4000の正端子及び負端子の両方が簡単な接続のために互いに近く、別途の戻りのリードが使用されないように例えば半分に折り畳まれてもよい。いくつかの実施形態では、ハイドロホンが両端に正端子及び負端子を有して形成される場合、一端で、その正端子及び負端子は接続される必要はなく、他端で、その正端及び負端が信号処理に接続されてもよい。例えば、
図13では、内部導体は連続的であり、特定の内部導体の各端は同じ電位を有する。
【0075】
操作3100では、末端封鎖材又はシールが各形成されたチューブに加えられ又は付され、空気空洞、又は例えばポッティング(例えば空気以外の物質を充填する)のための空洞が形成されてもよい。例えば、
図24を参照して、チューブ又はシリンダ6000は、空洞6004を生成するように加えられた末端封鎖材又はストッパ6002(例えばゴム又は別の物質から作製される)を有してもよい。1つの実施形態では、物質6006、例えば軟質のポッティング用ポリマー化合物等のポッティング材料、が空洞6004に注入されることが可能である。ケーブルを末端封鎖材に固定して、ケーブルが解けることを防ぐために、ピン、ステープル(かすがい)、クリップ又は他の留め具(ファスナー)が使用されてもよい。末端封鎖材6002は、絶縁導体がチューブの内部に置かれるように選択された場合に、絶縁導体(例えば5000、
図23)がチューブ6000を通ることができるように、スリット又は孔6003を有してもよい。このような末端封鎖材又はシールは使用される必要がない。末端封鎖材6002は、チューブが空洞6004を形成し、内圧場を外圧場から隔離することを可能にしてもよい。1つの実施形態では、内部場と外部場との間の圧力差がハイドロホンセンサの駆動力である。末端封鎖材は、竹類の空洞における区画の間の壁(節)と同様に、外部からの静水圧に対してバランスをとるための支持体として作用してもよい。空洞の間に壁がなければ、竹類は、外部圧力から簡単に倒れ、又は曲げモーメントから簡単に曲がることになる。末端封鎖材の使用は、シリンダを例えばゴムで蓋をし、空気が充填されたコンテナを生成することにより出力を高めうる。上記コイルは、圧迫されてもよいが、末端封鎖材からの静水圧もコイルを圧迫し、コア内の静水圧ともバランスする。
【0076】
操作3110では、非コイル状区画によって接続されたチューブ又はシリンダが、ケーブルへと形成されてもよい。例えば、
図25を参照して、非コイル状区画7010によって接続された一連の連続的に形成されたチューブ7000は、「スネーク」形状の型7020、又は別の種類の型へと置かれてもよい。この型は、一度にケーブルの一部分を受け容れてもよい。というのも、ケーブルは、例えば1km、1/2マイル(約0.80km)などと長い可能性があるからである。ポリマー化合物7030等の物質、又は別のコーティング物質若しくは被覆物質、が型の中へと注入されて、チューブ又はシリンダを取り囲むか又は覆い、スネークケーブル等のケーブルが形成されてもよい。コイル状区画及びコイル状区画を接続する区画を被覆するための他の方法が使用されてもよい。電気的接続がケーブルから延在してもよく、その端部でポリマー7030に覆われていなくてもよい。被覆物質は、内部のコンポーネントを保護し、構造的支持をもたらし又は加え、可能であれば、ハイドロホンのための連続的な又は比較的滑らかな外部包装を提供してもよい。
【0077】
操作3120では、EMI(電磁干渉)シールドが加えられてもよい。例えば、導電性の銀塗料又は他のコーティングが、形成されたケーブル又はスネークケーブルの外部表面に加えられ、所望に応じてEMIシールドが形成されてもよく、この塗料は、塗布後に乾燥されてもよい。編まれた導電性ワイヤ又は布等の他の種類のEMIシールド材料が使用されてもよい。
【0078】
操作3130では、EMIシールド及びハイドロホンケーブルを全体として水から保護するために、形状適応(共形)性絶縁コーティングがEMIシールドを覆って付されてもよい。形状適応層又は他のコーティングは、例えば、スネークハイドロホンケーブルの外部表面に適応し外部表面を覆う軟質のポリマー又はシリコーンの薄層、例えばコンポーネントを保護するためにケーブルの輪郭に適応する薄いポリマーフィルムであってもよい。
【0079】
他の又は異なる操作が使用されてもよい。
【0080】
極性及び内部導体を切断するか/どのように切断するかの選択は、異なるハイドロホンユニットが、1つのハイドロホン内で有効に並列に若しくは直列に又はその両方の混合形態で接続されることをもたらしてもよい。例えば、
図13は、複数のチューブ又はシリンダ1507へとコイル状にされ又は巻かれた2本の結合された又は接続された物理的に平行な圧電ケーブル1503及び1505を備えるツイン圧電ケーブル1501を描く。
図13では、2本のケーブル1503及び1505の各々が同じ極性の1本の連続的なストランドを備え、各ケーブル1503及び1505が反対の極性を有するので、そしてシリンダ1507間のケーブルに切断部が存在しないため、シリンダ1507は電気的に並列に接続されている。他の実施形態では、チューブ又はシリンダは、並列接続及び直列接続の組み合わせで互いに接続されてもよい。内部導体の断絶又は切断は、異なるやり方で実施されてもよい。
図26を参照して、いくつかの実施形態では、断絶又は切断のために圧電ケーブルの全部分(内部導体及びコポリマー外装の両方)を切断する代わりに、ケーブル1700及び1710の個々の圧電ケーブルの外側のコポリマー外装1702の開口部を最初に切断又は開き、次いで内部導体1704の一部分を断絶のために切断してもよい。外装1712及び導体1714は切断させないままである。このような方法は、ケーブルのより大きい強度を保存する可能性がある。
【0081】
他の実施形態では、巻回チューブ又はシリンダは使用される必要がない。例えば、1つの実施形態では、ハイドロホンは、溶媒で結合され、又は他の方法で互いに接続され、又はツイストペア(twisted pair)として形成された、圧電ケーブルの1つの巻かれていない又は真っ直ぐな交互に分極した対であってもよい。このような実施形態は、通常、チューブ又はシリンダを使用する実施形態よりも低い感度を有する。圧電ケーブルのこのような交互に分極し接続された対の複数のストランドは、連続的に長く強い感知ハイドロホンを形成するために、例えばスペーサを用いて束ねられることが可能であり、一例は
図27に示されている。
図27は、より大きい群において直列組み合わせを使用する実施形態を示す。直列接続されたワイヤ1760は真っ直ぐ又は非コイル状に保たれており、直列にデイジーチェイン化することを可能にする円盤又は他の支持体1770に置かれている。しかしながら、一連のコイル状チューブという意味でのデイジーチェイン化は、このような実施形態では使用されなくてもよい。1つの例では、8対の圧電ケーブルが使用され、ここでは支持用スペーサディスクは直径1.5cmである。スペーサは、例えば20cm離れるごとに設置されてもよい。圧電ケーブルの各対は、例えば長さ100メートル以上であってもよい。対をなす極性の各結合区画は、例えば長さ1mであってもよい。ケーブルの束(群)は、例えば操作3110と同様に、軟質ポリマーを用いて型の内部に封入されてもよい。他の寸法及び数のケーブルが使用されてもよい。ただ1つの中央支持体1770が示されているが、通常、より多くの支持体1770が使用される。支持体1760が外周に沿って等方性の、例えば同じ、感度を成し遂げるべきである場合は、このストランドの群又は「束」は、例えば外周に沿って均等に設置されてもよい。端のスペーサ1770は、例えば、その群からの各ワイヤ1760からのリードを再接続することができるプリント配線基板であることができる。群にされたストランドは、端のスペーサ1770にある接続部を使用して、並列接続及び/又は直列接続の組み合わせを作成するために使用することができる。例えば、各ストランドは、バッテリと考えることができ、プリント配線基板(端の区画1770)に接続されてもよい。(例えば、バッテリに類似の)これらの個々のストランドを直列に、並列に又はその両方に組み合わせるために、プリント配線基板上の種々のトレースパターンを設計することができる。
図27の特定の例は、直列に接続するためのトレースを示す。
【0082】
他の実施形態では、一対の交互に分極し結合された圧電ケーブルの一本鎖は、
図28A及び
図28Bに示されるように、スペーサ又はホルダーと共に前後に数回折り畳まれ又は通されて、連続的に長く強い感知ハイドロホンが形成されることができる。
図28A及び
図28Bを参照して、2本の対をなす又は結合された、そして交互に分極した、圧電ケーブル8002及び8004から作製されてもよい折り畳まれたストランド8000は、端スペーサ又は支持体8010の外周に沿って均等に配置され、等方性の(例えば外周の周りで同じ)感知性能を成し遂げる。支持体又はスペーサ8010はストランド8000を保持する。スペーサ8010の外部でストランド8000の部分を接続するストランド8000の端部8006は、ケーブル8002及び8004のうちの一方のみを備えてもよい。端スペーサ8010の間で、このケーブルは、交互の極性及び切断を有する連続的な直列配置になっていてもよい。例えば、
図28は、交互に分極しておりスペーサ8010の間で適所に(所々)切断されているケーブル8002及び8004を備えるストランド8000の一部分の概略図を示す。例えば、ケーブル8002及び8004は、正の区画8030及び8040と、切断部又はケーブルが取り除かれている区画8050とを備えてもよい。
【0083】
本発明の実施形態は、圧電性コポリマーの特性を使用してもよい。例えば、圧電性電荷定数(piezoelectric charge constant)d
33>0を有する定型的な圧電性セラミックについての電荷の符号は、例えば、規格IEEE STD 176-1987に記載されている。圧電性セラミックとは対照的に、圧電性コポリマーのd
33は負、d
33<0である。この逆の圧電性効果を考慮に入れるために、1つの実施形態では、張力は、すべての電荷の符号が同じに留まるように、圧縮へと逆転されてもよい。
図29Aは、1つの実施形態に係る圧電性コポリマーケーブルの区画の正の分極設定を示す。コロナ放電針10000とケーブル10010の内部導体10020との間の電位差は正、V(t)>0である。正イオンは、正針100000からケーブルの誘電体コポリマー外装10030へと発射されうる。正イオンは、次いで、外装10030の表面10032に付着し、圧電性誘電体コポリマー外装10030を分極させる電場を作り出してもよい。分極後、外部表面10032は、電荷を集めるための電極としての、銀塗料等の導電性コーティングの薄層で被覆されてもよい。
【0084】
正に分極したコポリマーケーブルは、例えば
図30に描かれるように、円筒形の表面の法線方向の圧縮に供されたとき、内部導体に正電荷を発生させてもよい。内部導体10020は、正電荷を発生し、それゆえ外部表面10032と比べて高い電位を発生させるため、概念的に、圧縮下のこの正に分極された圧電ケーブル10010を、内部導体10020が正のリードであり外部電極(例えば導電性コーティング10040)が負のリードであるバッテリと解釈することができる。対照的に、
図29Bは、圧電性コポリマーケーブルの区画の負の分極、V(t)<0を示す。上で論じた慣習に従って、負に分極されたコポリマーケーブル10110は、
図31に描かれるように、円筒形の表面の法線方向の圧縮に供されたとき、内部導体10120に負電荷を発生させることになるということを立証することができる。結果として、概念的に、
図31に描かれるように、圧縮下のこの負に分極された圧電ケーブル10110を、内部導体10120が負のリードであり、外部電極(例えば導電性コーティング)が正のリードであるバッテリと考えることができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、
図32に示されるように、正に分極された圧電ケーブル10210の区画及び負に分極された圧電ケーブル10310の区画が、結合され(例えば、溶媒で結合され)又は一緒に捻られて、対を形成することが可能である。この圧電ケーブルの対の外部表面は、導電性のコーティング又は塗料10140(例えば銀、炭素、又は両方の混合物)で被覆されてもよい。圧電ケーブル10210及び10310の対は、円筒形の表面の法線方向の圧縮下にあり、電荷を発生しているので、これは、概念的に、被覆された電極表面10140で直列に接続された2つのバッテリであり、最高の電位の点はこの正に分極されたケーブル10210の内部導体10220にあり、最低の電位の点は、この負に分極されたケーブル10310の内部導体10320にあるということを実感できる。なお、圧電ケーブル10210及び10310の内部導体10220及び10320は電気を伝導するため、各内部導体10220及び10320の開始端は、終端と同じ電位を有する。これは、2対のケーブル又はチューブが、直列に又は並列に接続されることを可能にしうる。直列については、(異なるケーブル上の)各側からの一端が接続のために使用されてもよい。並列については、両側からの両端が接続のために使用される。1つの実施形態では、ケーブルのいずれかの端を電気的接続のために接続することができる。
図32に見られるように、一対の圧電ケーブル10210及び10310は、基準点CT、概略図では10350で直列に接続された2つのバッテリ又は電圧源として作用してもよい。
【0086】
他の実施形態では、圧電性材料又はコーティングは、P(VDF-trfe)以外の材料であってもよい。例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はPVDFターポリマーが使用されてもよい。PVDFホモポリマーは、分極中に機械的な延伸を必要とする可能性があり、この延伸は、例えばケーブルにかかる張力を高めることにより、本明細書に記載される分極プロセスに加えることができる。P(VDF-trfe)は、PVDF及びトリフルオロエチレンのコポリマーであり、モル比は、例えば、60/40、70/30、75/25、又は80/20であることができる。PVDFはホモポリマーである。本発明の実施形態は、ストランド状のコア圧電ケーブルに限定されず、むしろ、中実コア、中実ストリップ(細片)、又は例えば水銀充填コアを含むことができる。本発明の実施形態は、円形の断面の圧電ケーブルに限定されない。例えば圧電ケーブルは、扁平圧電ケーブル、又は円筒形の形状を有さないケーブルであってもよい。ハイドロホンユニットは、シリンダ以外の形状であってもよく、例えば、扁平断面、フットボール用ボール、球形又はオーバル形状であることができる。
【0087】
本発明に係る圧電ケーブルハイドロホンは、例えば長さ1キロメートル、又は別の長さであってもよい。コイル状区画又はチューブは、例えば長さ2インチ(約5.1cm)で、14インチ(約35.6cm)離れて間隔を空けていてもよく、従って、チューブ間の非コイル状(巻かれていない)区画は、長さ12インチ(約30.5cm)であってもよい。他の寸法が使用されてもよい。例えば、外径1.5cm及び長さ5cmを有するチューブの場合、直径1.5mmを有する対をなす圧電ケーブル75cmが必要とされる可能性があり、33のターン又はコイルが各チューブで使用される。チューブ間の間隔は、5cm~数メートルの範囲であってもよい。ケーブルの絶縁層は、250ミクロン(250μm)のオーダーであってもよく、これは、論じられたとおり、より低くより安全な分極電圧を許容する可能性がある。チューブ長さに沿って感知することには利点があるが、ハイドロホンの全長に沿ってすべての点で感知することにはさほど利点はないため、連続的な圧電ケーブルのコイル状区画から作製された個々の感知ユニット又はハイドロホンシリンダは、間隔を空けて作成されてもよい。感知ユニットを接続する非コイル状圧電ケーブルは、コイル状になっていないことにより、及び/又はピエゾコーティング又は圧電ケーブルの一部分が取り除かれている(そして、可能であれば再利用又は再使用される)ことにより、相対的に高価な(例えば、おそらくは$5,000/kg)ピエゾコーティングのコストを削減する可能性がある。というのも、通常、感知ユニット間では感知することは必要とされないからである。
【0088】
本発明が限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、これらは、本発明の範囲に対する限定と解釈されるべきではなく、むしろ、好ましい実施形態のうちのいくつかの例示と解釈されるべきである。他の可能な変形例、改変例、及び応用例も本発明の範囲内にある。異なる実施形態が本明細書に開示される。特定の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。従って、特定の実施形態は、複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。