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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】静電容量センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/14 20060101AFI20230921BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230921BHJP
   G01B 7/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G01B7/14
H01L21/68 A
G01B7/00 101C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020559914
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2019045737
(87)【国際公開番号】W WO2020121778
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2018231906
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591213232
【氏名又は名称】ローツェ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】福崎 義樹
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0351897(US,A1)
【文献】特開2011-153581(JP,A)
【文献】特表2018-500146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0106779(US,A1)
【文献】特開2006-084318(JP,A)
【文献】特開2001-132747(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013204494(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/14
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と被検出体との間の距離を測定する静電容量センサであって、前記検出部に交流電圧を供給する交流供給源と、寄生容量補償回路と、演算増幅器と、差動アンプと、位相検波手段と、ローパスフィルタと、を備え、
前記演算増幅器の出力端子は第1のバンドパスフィルタを介して前記差動アンプの反転入力端子に接続され、前記交流供給源は第2のバンドパスフィルタを介して前記差動アンプの非反転入力端子に接続され、前記差動アンプの出力端子は前記位相検波手段の入力端子に接続され、前記位相検波手段は、前記交流供給源から出力される交流信号を参照信号としていることを特徴とする、静電容量センサ。
【請求項2】
前記検出部は、半導体ウエハを所定の位置まで搬送するウエハ搬送ロボットのウエハハンドに備えられていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量センサ。
【請求項3】
前記ウエハ搬送ロボットはウエハ搬送装置の内部空間に設置され、
前記ウエハ搬送装置は、少なくとも、
前記内部空間を清浄な状態に維持するFFUと、前記半導体ウエハを収納する収納容器を載置して、前記収納容器の蓋を開閉するロードポートと、前記ウエハ搬送装置の天井付近に設置され前記内部空間を除電する除電装置とを備え、
前記交流供給源から出力される搬送波の周波数は、前記除電装置のエミッタに印加される電源の周波数よりも高い周波数であることを特徴とする請求項2に記載の静電容量センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被検出体とセンサ間の距離を測定する静電容量センサに関するものであり、特に、半導体ウエハ等の薄板状の基板を搬送する基板搬送ロボットの基板保持ハンドに設置される静電容量検出センサと検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被検出体の位置や基板保持ハンドとセンサ検出部との間の距離を正確に計測する方法の一つに静電容量センサを用いたものがある。この方法は、被検出体を検出する検出部と被検出体との間に生じる静電容量を検出して、この検出された静電容量の値から被検出体と検出部との距離を計測するものである。
【0003】
具体的には、センサの検出回路から供給される微弱な交流電流を検出部から被検出体に向かって放出して、検出部表面と被検出体表面との間に発生する静電容量の変化を検出することにより、二つの表面間の距離を計測しようとするものである。この静電容量センサは、近年、半導体ウエハを保持するウエハハンドに設置され、ウエハハンドと半導体ウエハとの間の距離を測定することに使用されるようになってきている。
【0004】
特許文献1には、処理装置内で半導体ウエハを搬送する搬送装置に搭載されるフォーク59bが記載されている。フォーク59bの左右両側には、静電容量センサのセンサヘッド(検出部)71a、71bがそれぞれ取り付けられている。図1を参照。静電容量センサは、これらフォーク59bに配置されたセンサヘッド71a、71bのそれぞれと半導体ウエハとの間に発生する静電容量を計測する。計測された値から半導体ウエハの有無情報、半導体ウエハとフォーク59bとが適切な距離を保っているか否かの情報等を搬送装置のメインコントローラに出力することが出来る。そして、このメインコントローラでは、これら入力された情報に基づいて搬送装置の駆動系への制御信号を出力し、搬送装置の動作を制御する。
【0005】
また、特許文献1に記載の搬送装置では、静電容量センサにしきい値を設定して、フォーク59bが半導体ウエハの外周を通過する際に、静電容量センサとフォーク59bを駆動する駆動系とが協調動作することによって、半導体ウエハの外周部の位置がフォーク59bの前後方向の移動量として計測することが可能になり、本来垂直方向の距離を計測する静電容量センサで半導体ウエハWの水平方向の位置を計測することが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平08-335622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されたフォーク59bでは半導体ウエハを正確に検出することが出来ない可能性が高い。近年、半導体は回路線幅20ナノメートル程度まで微細化されてきていて、こういった微細化が進むことで半導体ウエハの被処理面へのパーティクルの付着が大きな問題となってきている。ここで、パーティクルが半導体ウエハの表面に付着する原因の一つとして、半導体ウエハの帯電が挙げられる。半導体ウエハは半導体の各製造工程において各種表面処理を施されるが、この時に半導体ウエハが帯電してしまい、これによってパーティクルを半導体ウエハ表面に付着させてしまうのである。さらに、この半導体ウエハの帯電は、パーティクルを引き付けるばかりでなく半導体ウエハ表面に形成された回路パターンを破壊する原因になっているのである。
【0008】
こういったトラブルを解消するために、半導体製造装置やウエハ搬送装置の内部空間には、半導体ウエハの帯電を防止するために除電装置が設置されている。除電装置は針状の電極であるエミッタに所定の周波数の電圧を印加して、電極と接地面との間にコロナ放電を起こし、プラスイオンもしくはマイナスイオンを発生させるものである。この除電装置によって発生したイオンが搬送装置に設置されたFFU(Fun Filter Unit)から供給される下向きの気流によって半導体ウエハ等の帯電した物品に移動して物品の除電を行う。
【0009】
除電装置は数千~数万ボルトの高電圧を所定の周波数で印加して放電させながら使用されるため、周囲に変動電界や変動磁界を発生させる。このような変動電界や変動磁界はノイズとなって搬送装置内に設置された計測機器や電子機器の誤作動の原因となり、静電容量センサの正確な検出の妨げになるのである。また、搬送装置内部に配置される駆動源の作動によるノイズもまた静電容量の正確な検出の妨げになる。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、除電器等のノイズ発生源が配置された搬送装置の内部空間においても安定して被検出体の検出が可能な静電容量センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の静電容量センサは、検出部と被検出体との間の距離を測定する静電容量センサであって、前記検出部に交流電圧を供給する交流供給源と、寄生容量補償回路と、演算増幅器と、差動アンプと、位相検波手段と、ローパスフィルタと、を備え、前記演算増幅器の出力端子は第1のバンドパスフィルタを介して前記差動アンプの反転入力端子に接続され、前記交流供給源は第2のバンドパスフィルタを介して前記差動アンプの非反転入力端子に接続され、前記差動アンプの出力端子は前記位相検波手段の入力端子に接続され、前記位相検波手段は、前記交流供給源から出力される搬送波を参照信号としていることを特徴としている。
【0012】
上記構成とすることで、本発明の静電容量センサは、ノイズに影響されることなく微小な静電容量の変化であっても正確に検出することが可能になり、検出部と被検出体との間の距離を正確に測定することが出来る。
【0013】
また、本発明の静電容量センサを備えるウエハ搬送ロボットは、検出部が半導体ウエハを保持するフィンガの表面に備えられていることを特徴としていて、さらに、本発明の静電容量センサを備えるウエハ搬送ロボットを内部空間に備えるウエハ搬送装置は、少なくとも、前記内部空間を清浄な状態に維持するFFUと、前記半導体ウエハを収納する収納容器を載置して、前記収納容器の蓋を開閉するロードポートと、前記ウエハ搬送装置の天井付近に設置され前記内部空間を除電する除電装置とを備え、前記静電容量センサが備える前記交流供給源から出力される搬送波の周波数は、前記除電装置のエミッタに印加される電源の周波数よりも高い周波数であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記構成とすることで、本発明の静電容量センサは微小な静電容量の変化も検出することが出来るようになった。また、本発明の静電容量センサの検出部をウエハ搬送ロボットのフィンガの表面に張り付けて使用しても半導体ウエハに干渉することが無くなり、半導体ウエハをトラブル無く搬送することが可能になった。また、半導体ウエハとフィンガとの離間距離を正確に検出することが出来るようになったので、ウエハ搬送ロボットの教示作業が容易になった。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、従来の静電容量センサが搭載されたフィンガを示す図である。
図2図2は、本発明の静電容量センサを備えるウエハ搬送ロボットの一実施形態を示す図である。
図3図3は、本発明の静電容量センサを備えるウエハ搬送ロボットが搭載されたウエハ搬送装置の一実施形態を示す図である。
図4図4は、本発明の静電容量センサを備えるウエハ搬送ロボットが搭載されたウエハ搬送装置の一実施形態を示す図である。
図5図5は、本発明の静電容量センサが配置されるフィンガの一実施形態を示す図である。
図6図6は、本発明の静電容量センサが備える検出部の一実施形態を示す図である。
図7図7は、本発明の静電容量センサの一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図2は本発明の第一の実施形態である静電容量センサ1を備えるウエハ搬送ロボット2を示す図であり、図3図4は、このウエハ搬送ロボット2が搭載されたウエハ搬送装置3を示す図である。本実施形態のウエハ搬送装置3はEFEM(Equipment Front End Unit)と呼ばれ、半導体ウエハWに所定の表面処理を施すウエハ処理装置4の前面に設置される装置であり、ウエハ処理装置4とともにクリーンルームと呼ばれる清浄な雰囲気に管理された工場内に設置されている。ウエハ搬送装置3は主に、ロードポート5とウエハ搬送ロボット2とウエハ搬送ロボット2を水平方向に移動させるX軸テーブル6とを備えている。半導体製造工程には様々な工程が存在し、各工程は専用のウエハ処理装置4によって行われる。処理中の半導体ウエハWはFOUP(Front-Opening Unified Pod)7と呼ばれる密閉容器の内部に鉛直方向に所定の間隔を空けて形成された棚板の上に載置された状態で収納されて各ウエハ処理装置4の間を移送される。所定のウエハ処理装置4まで移送されたFOUP7はウエハ搬送装置3が備えるロードポート5の所定の位置にセットされる。
【0017】
FOUP7がセットされると、ロードポート5は各駆動部を作動させて、FOUP7の蓋を開けることで内部に収納されている半導体ウエハWを搬送可能な状態にする。FOUP7に収納されている半導体ウエハWは、ウエハ搬送装置3が備えるウエハ搬送ロボット2によってウエハ処理装置4へと搬送される。また、ウエハ搬送ロボット2は、ウエハ処理装置4によって表面処理が施された半導体ウエハWをウエハ処理装置4からFOUP7へと搬送する。なお、ロードポート5はウエハ搬送装置3のフレーム8を介して接地されている。また、FOUP7は導電性樹脂で成型されており、ロードポート5に載置されたFOUP7もまた接地される。ここで、本実施形態のウエハ搬送装置3が取り扱う半導体ウエハWの直径は300mmである。半導体ウエハWはFOUP7の棚板に載置されていて、この棚板と半導体ウエハWとの間には静電容量が発生する。また、FOUP7とロードポート5との間にも静電容量は発生し、さらに、後で説明するウエハ搬送ロボット2のフィンガ18が半導体ウエハWを搬送するためにFOUP7に移動した際には、FOUP7とフィンガ18との間にも静電容量が発生する。
【0018】
ウエハ搬送装置3は、フレーム8と、そのフレーム8に固定され外部雰囲気と分離するためのカバー9と、外部からの空気を高清浄な空気に清浄化してダウンフローとしてウエハ搬送装置3の内部空間11に導入するFFU12と、ウエハ搬送装置3の内部空間11にイオン化された空気分子を供給して半導体ウエハW等の帯電した物品を除電して電気的に中和する除電装置13とが設けられている。FFU12はウエハ搬送装置3の天井部分に設置されていて、ウエハ搬送装置3の内部空間11に向かって下向きに空気を送るファン12aと、送られてきた空気の中に存在する塵埃や有機物などの汚染物質を除去するフィルタ12bとで構成されている。除電装置13はウエハ搬送装置3の天井付近であってFFU12の下方に設置されている。本実施形態のウエハ搬送装置3に設置される除電装置13は、コロナ放電式のものであり、不図示の供給源から供給される高電圧をエミッタに印加して放電させて、周囲の空気分子を電気的にイオン化するものである。イオン化された空気の分子は、除電装置13から半導体ウエハWの表面に到達して、帯電している半導体ウエハWを電気的に中和する。また、本実施形態のウエハ搬送装置3が備える除電装置13は、20Hzの電圧をエミッタに印加して周囲の空気分子をイオン化している。印加する電圧の周波数は除電装置13が配置される環境によって左右されるが、ウエハ搬送装置3の場合最大でも100Hz程度である。
【0019】
本実施形態のウエハ搬送ロボット2はX軸テーブル6の移動部6aに固定される基台2aと、基台2aに対してZ軸方向に昇降移動が可能であり、且つ、基台の中心軸を回転中心にして、Z軸方向に対して垂直に交わる平面(旋回面)を回動する昇降旋回部2bとを備えている。昇降旋回部2bの上面には互いに左右対称に構成される一対のアーム体14、15が備えられていて、各アーム体14、15には、第1アーム14a、15aと、第2アーム14b、15bと、半導体ウエハWを保持するウエハハンド16、17が備えられている。第1アーム14a、15aの基端部は、昇降旋回部2bに旋回自在に取り付けられている。第2アーム14b、15bは、それぞれ対応する第1アーム14a、15aの先端部に、ベルトとプーリを介して一定の速度比をもって取り付けられている。また、ウエハハンド16、17は、それぞれ対応する第2アーム14b、15bの先端に、ベルトとプーリを介して一定の速度比をもって取り付けられている。
【0020】
アーム体14、15は、各第1アーム14a、15aの中心軸を中心とした旋回動作が、一定の速度比をもって各第2アーム14b、15b及び各ウエハハンド16、17へと伝達され、ウエハ搬送ロボット2の中心軸を通り中心軸に対して直角な方向への伸縮運動に変換される構成となっている。したがって、ウエハ搬送ロボット2は、昇降旋回部2bを中心軸の回りに旋回させる移動(旋回移動)、アーム体14、15を進退方向へ伸縮させる直線移動及び昇降旋回部2bをZ軸方向へ移動させるZ軸移動(昇降移動)の3自由度を有している。また、X軸テーブル6は、ウエハ搬送ロボット2をX軸方向へ移動させるX軸移動(平行移動)の1自由度を有している。上記構成により、ウエハ搬送ロボット2はアーム先端に取り付けられたウエハハンド16、17をウエハ搬送装置3内の所定の位置まで移動させることが出来る。また、ウエハハンド16、17は、第1アームと第2アームとの伸縮動作に連動して、所定の姿勢を維持したまま進退移動することが出来る。また、アーム体14、15、昇降旋回部2b、X軸テーブル6それぞれの駆動手段である各モータは、ウエハ搬送ロボット2が備える不図示の制御部によって駆動軸の回転角度をフィードバック制御される。また、制御部は、ウエハハンド16、17を予め教示された所定の経路に沿って移動させる。さらに、制御部は、本発明の静電容量センサ1の信号やその他検出手段から出力される信号を受信して、予め記憶されたプログラムに則ってウエハハンド16、17の位置やウエハ搬送経路の補正を行うことが出来るように構成されている。
【0021】
ウエハハンド16、17には、それぞれウエハ保持手段であるフィンガ18、18´が備えられている。上方に配置されるフィンガ18の表面には検出部1aが配置されていて、この検出部1aはフィンガ部18の内部に配置されるアンプモジュール1bと接続されている。また、下方に配置されるフィンガ18´の表面には検出部1a´が配置されていて、この検出部1a´はフィンガ部18´の内部に配置されるアンプモジュール1b´と接続されている。図5は本実施形態のフィンガ18を示す図である。本実施形態のフィンガ18は、略Y字型に形成された2枚の板状部材18a、18bが気密に貼り合わされて構成されている。2枚の板状部材18a、18bは軽量で剛性の高いアルミナ等の焼結材料で形成されていて、上側の板状部材18aの上面に半導体ウエハWが載置される。下側の板状部材18bの上面には流路19が略Y字型に形成されている。また、上側の板状部材18aの流路19に対応する先端部には、上側の板状部材18aを上下方向に貫通する孔21が形成されている。さらに、下側の板状部材18bの基端部であってこの流路19に対応する位置には、下側の板状部材18bを上下方向に貫通する孔22が形成されている。この下側の板状部材18bに形成された孔22は、ウエハ搬送ロボット2に備えられた不図示の配管を介して不図示の真空源と連通していて、上下の板状部材18a、18bが気密に接合されることで、流路19は真空経路を形成することとなり、フィンガ18に載置された半導体ウエハWは、真空吸着力によりフィンガ18上に保持される。
【0022】
また、上側の板状部材18aの上面にであって孔21の周囲には、孔21を囲うように長円形の吸着スペーサ18cが形成されている。吸着スペーサ18cはフィンガ18の表面から約1.5mm盛り上がった土手状に形成されていて、半導体ウエハWを吸着するための吸着パッドとしての働きを有する。またフィンガ18の中央部には支持スペーサ18dが形成されている。支持スペーサ18dは吸着スペーサ18cと同様に約1.5mm盛り上がった台状に形成されている。これにより、半導体ウエハWはフィンガ18上のフィンガ基準面18eから1.5mm浮いた状態で吸着スペーサ18cと支持スペーサ18dとによって吸着支持される。
【0023】
さらに、略Y字状のフィンガ18の基準面18eには、本発明の一実施形態である静電容量センサ1の検出部1aが貼り付けられている。本実施形態の静電容量センサ1は、フィンガ18に配置された検出部1aと半導体ウエハWとの間の静電容量を検出して、半導体ウエハWとフィンガ18(ウエハハンド16、17)との間の距離を測定することが出来る。さらに、ウエハハンド16、17上に半導体ウエハWが載置されているか否かを監視することも出来る。検出部1aで検出した値はウエハハンド16、17の内部に配置されるアンプモジュール1bに送信される。アンプモジュール1bは、検出部1aと半導体ウエハWとの間の静電容量を計測して、この計測された値をウエハ搬送ロボット2の動作を制御する不図示の制御部に送信する。制御部はこの送信された値を半導体ウエハWとフィンガ18との距離に換算して、ウエハ搬送ロボット2の動作に反映させる。
【0024】
本実施形態の静電容量センサ1の検出部1aは、フィンガ18の半導体ウエハWが載置される面に設置されるものであり、0.2mm程度の厚み寸法で、ポリイミド等の絶縁性を有する柔軟な素材のベースフィルムに、銅箔に代表される導電性金属で電極や配線が形成されている。図6は、本実施形態の検出部1aを示す図である。本実施形態の検出部1aはガード電極層24、26とセンサ電極層25とシールドアース層27とが積層された構造を有していて、電極層の最上面である第1の層には、第1のガード電極24aが形成された第1のガード電極層24が配置され、第2の層にはセンサ電極25aが形成されたセンサ電極層25が配置され、第3の層には第2のガード電極26aが形成された第2のガード電極層26が配置され、第4の層にはシールドアース層27が配置されている。また、第1のガード電極層24の上面には、第1のガード電極層24を保護するための保護膜23が配置されている。本実施形態の検出部1aは高さ寸法が約1mmでありフィンガ18の基準面18eに貼り付けられて使用される。吸着スペーサ18cと支持スペーサ18dは約1.5mmの高さ寸法で形成されているので、フィンガ18の吸着スペーサ18cと支持スペーサ18dに保持される半導体ウエハWと干渉することはない。なお、本実施形態のウエハ搬送ロボット2が備えるフィンガ18は半導体ウエハWを真空圧により吸着保持する形態であるが、本発明はこれに限定されることは無く、例えば半導体ウエハWの周囲を把持するクランプ式フィンガやベルヌーイチャック式のフィンガであっても適用可能である。
【0025】
センサ電極25aは、半導体ウエハWとの間に発生する静電容量を検出するための円形の電極であり、ベースフィルムの上面に形成されている。第1のガード電極層24に形成される第1のガード電極24aは、ベースフィルムの上面に、センサ電極25aの外径よりも大きな内径を有していて、センサ電極25aの周囲を取り囲むように円環状に形成されている。また、センサ電極25aと第1のガード電極24aとはベースフィルムによって電気的に絶縁されている。第2のガード電極層26に形成される第2のガード電極26aは、第1のガード電極層24に形成される第1のガード電極24aの外径と略同じ直径を有する円形に形成されている。また、第2のガード電極26aが形成される第2のガード電極層26の下方には第4の層であるシールドアース層27が配置されている。なお、本実施形態の第2のガード電極26aは第1のガード電極24aの外径と略同じ直径を有しているが、本発明はこれに限定されることは無く、第2のガード電極26aの直径は第1のガード電極24aの外形よりも大きく形成されても良い。
【0026】
シールドアース層27は銅箔などの導電性金属を第1と第2のガード電極層24、26と略同じ直径の円形に形成された電極であり、不図示のアース線を介してウエハ搬送装置3のグランド端子に接続されている。このシールドアース層27はガード電極24a、26aから放射される電界の影響が下方に向かうことを防止するものであり、これによって静電容量センサ1は、検出部1aよりも下方に存在する被検出体の影響を受けることが無くなり、フィンガ18の上方にある被検出体と検出部1aとの間に発生する静電容量のみを測定することが可能になる。
【0027】
第2の層であるセンサ電極層25に形成されるセンサ電極25aには、センサ電極25aとアンプモジュール1bの演算増幅器28の反転入力端子とを電気的に接続するための直線状の回路パターン25bが形成されている。第1の層である第1のガード電極層24に形成される第1のガード電極24aには、第1のガード電極24aとアンプモジュール1bの演算増幅器28の非反転入力端子とを電気的に接続するための直線状の回路パターン24bが、センサ電極25aと接続される回路パターン25bに対して平行となるように形成されている。第3の層である第2のガード電極層26に形成される第2のガード電極26aには、第2のガード電極26aとアンプモジュール1bの演算増幅器28の非反転入力端子とを電気的に接続するための直線状の回路パターン26bが、センサ電極25aと接続される回路パターン25bに対して平行となるように形成されている。また、各ガード電極24a、26aに接続されている回路パターン24b、26bの幅寸法は、センサ電極25aに接続されている回路パターン25bよりも太くなるように形成されている。上記構成により、センサ電極25aに接続されている回路パターン25bは、ガード電極24a、26aに接続されている回路パターン24b、26bによって上下方向から挟まれるように配置されることとなり、センサ電極25aに接続される回路パターン25bへのノイズの影響は低減される。

【0028】
また、第1の層の上面には、ベースフィルムと同じ材質で形成された絶縁層である保護膜23が配置されている。この保護膜23は、第1の層24~第4の層27と同じ外形寸法を有している。本実施形態の検出部1aに形成されるセンサ電極は約15mmの直径を有する円形に形成されており、第1のガード電極24aは内径が約16mmで外径が19mmの略円環状に形成されており、第2のガード電極26aは20mmの直径を有する円形に形成されている。検出部1aの外形寸法は本実施形態に限定されることはなく、状況に応じて適宜変更することが可能である。また、本実施形態の検出部1aでは、各電極24a、25a、26aをそれぞれ個別のベースフィルム上に形成する形態としているが、本発明の静電容量センサ1はこれに限定されることは無い。たとえば、第1の層である第1のガード電極層24のベースフィルムの上面に第1のガード電極24aと回路パターン24bを形成して、ベースフィルムの反対の面にセンサ電極25aと回路パターン25bを形成する形態としてもよい。さらに、センサ電極層25のベースフィルムの上面にセンサ25aと回路パターン25bを形成して、ベースフィルムの反対の面に第2のガード電極26aと回路パターン26bを形成する形態としてもよい。なお、電極と回路パターンをベースフィルムの両面に形成する形態の場合、隣り合う層との電気的接触を防止するため、間に絶縁性の保護膜を挟み込む必要がある。
【0029】
次に、アンプモジュール1bについて説明する。図7は本実施形態の静電容量センサ1を示すブロック図である。検出部1aのセンサ電極25aはアンプモジュール1bが備える演算増幅器28の反転入力端子に接続され、検出部1aのガード電極24a、26aは演算増幅器28の非反転入力端子に接続されている。また、演算増幅器28の非反転入力端子には、交流供給源29からの交流電圧が印加されている。なお、本実施形態のアンプモジュール1bが備える交流供給源29は、検出部1aが検出する静電容量を伝達するための搬送波を、2Vの電圧を200kHzの周波数で出力するように構成されている。また、交流供給源29はアンプモジュール1bが備える第2のBPF(バンドパスフィルタ)31にも同様の交流電圧を印加している。さらに、演算増幅器28の出力端子は、アンプモジュール1bが備える第1のBPF30に接続されている。なお、BPF30、31については後述する。また、演算増幅器28の出力端子と反転入力端子との間には帰還回路が接続されていて、この帰還回路には基準キャパシタ32が接続されている。さらに、演算増幅器28の反転入力端子には、検出部1aの電極やアンプモジュール1bの回路に発生する寄生容量を打ち消すための寄生容量補償回路33が備えられている。この寄生容量補償回路により、静電容量センサ1内部に発生する寄生容量は打ち消される。また、上記したアンプモジュール1bが備える回路では、演算増幅器28の反転入力端子と非反転入力端子とはイマジナリショートの状態となり、反転入力端子と非反転入力端子とは互いに略同電位となる。これによって、センサ電極25aはガード電極24a、26aによってガーディングされる。
【0030】
演算増幅器28の出力端子は所定の周波数帯域の信号のみを通過させる第1のBPF30を経由してアンプモジュール1bが備える差動アンプ34の反転入力端子に接続されている。また、差動アンプ34の非反転入力端子は第2のBPF31を介して交流供給源29にも接続されている。演算増幅器28の出力端子と非反転入力端子を、第1のBPF30、第2のBPF31を介して差動アンプ34と接続することで、センサ検出部1aが検出した半導体ウエハWから発生するノイズ成分を除去することが出来る。ここで、信号増幅回路では検出手段からの信号を差動アンプ34によって増幅した後ノイズ成分を除去する方法が一般的であるが、この方法だと信号の増幅と共にノイズも増幅され、ノイズ電圧が大きい場合は差動アンプ34が飽和してしまい信号が失われる。そこで、本実施形態のアンプモジュール1bでは、比較的狭い帯域に存在するノイズ成分を先に第1のBPF30によって除去して、その後に差動アンプ34によって信号を増幅する構成としている。また、本実施形態のアンプモジュール1bが備える差動アンプ34のゲインは100倍に設定されている。これにより、差動アンプ34の飽和を防ぎ信号を正常に処理できるようになる。
【0031】
また、本実施形態のアンプモジュール1bには、演算増幅器28の出力端子に接続される一方のBPF30と交流供給源29の出力端子に接続される他方のBPF31の2つが備えられている。これは、演算増幅器28の出力端子から出力される信号と交流供給源29から出力される交流搬送波との差分を抽出する際、演算増幅器28の出力端子から出力される信号が交流供給源29から出力される交流搬送波に対して遅れて差動アンプ34に伝達されるので、差動アンプ34によって正確な差分の増幅が行われない。そこで、交流供給源29から出力される搬送波にもBPF31を通過させることで、演算増幅器28からの出力信号と交流供給源29から出力される搬送波とのタイミングを一致させている。これにより、演算増幅器28の出力端子から出力される信号の遅れは解消される。また、本実施形態のアンプモジュール1bが備えるBPF30、31は、交流供給源29が出力する200kHzあたりの周波数以外の周波数成分を除去するように設定されている。これにより、ウエハ搬送装置3内に配置された除電装置13から発生する低い周波数のノイズや、ウエハ搬送ロボット2の駆動源から発生するノイズを効果的に除去することが出来る。
【0032】
差動アンプ34の反転入力端子にはBPF30を介して演算増幅器28の出力端子が、また、差動アンプ34の非反転入力端子にはBPF31を介して演算増幅器28の非反転入力端子と交流供給源29の出力端子がそれぞれ接続されている。差動アンプ34の非反転入力端子に接続された交流供給源29からの交流搬送波と演算増幅器28の出力端子からBPF31を介して差動アンプ34の反転入力端子に出力された静電容量成分を含む信号成分を増幅して位相検波手段35へと出力する。
【0033】
本実施形態のアンプモジュール1bが備える位相検波手段35は、交流供給源29から出力される2V、200kHzの搬送波を参照信号として、差動アンプ34により増幅された信号から、検出部1aが検出した静電容量を抽出する。そして、ここで抽出された信号はLPF(Low-Pass Filter)36によってノイズが除去された後、出力端子37へと出力される。出力端子37は不図示の制御部と接続されていて、制御部は、抽出された静電容量からフィンガ18と半導体ウエハWとの間の距離を算出する。静電容量は検出部1aと被検出体である半導体ウエハWの離間距離に反比例の関係にあり、検出部1aの面積は既知であることから、検出部1aと半導体ウエハWとの間に発生する静電容量を検出することで、検出部1aと半導体ウエハWとの離間距離は容易に測定することが出来る。また、検出部1aと半導体ウエハWとの間に発生する静電容量の変化を検出することで、検出部1aと半導体ウエハWとの変位を測定することが出来る。
【0034】
上記したように、本発明の静電容量センサは、200kHz程度の比較的高い周波数を有する電源で駆動されているので、除電装置13やウエハ搬送ロボット2が備える駆動源から発せられる比較的低い周波数成分のノイズを効果的に除去することが出来る構成を有しており、これにより、検出部1aと被検出体との間に発生する静電容量を正確に検出することが出来る。またアンプモジュール1bにおいて、演算増幅器28により増幅された検出信号は差動アンプ34により増幅処理される前に、BPF30によりノイズ等の周波数成分は減衰処理させられるので、大きなノイズが入った場合でも差動アンプを飽和させることなく信号を処理することができる。
【0035】
さらに、差動アンプ34と交流供給源29とは、演算増幅器28と差動アンプ34との間に配置されるBPF30と同等のBPF31を介して接続されているので、差動アンプ34に入力される演算増幅器28からの信号と交流供給源29から入力される搬送波の位相は一致する。これにより差動アンプ34は正確な差動増幅処理を行うことが可能になり、ノイズ成分の効果的な減衰を行うことが出来る。
【0036】
上記のように、本発明の静電容量センサ1は、ノイズ耐性の高い信号抽出処理を行うことが可能なアンプモジュール1bを備えているので、検出部1aは比較的低い検出精度を備えていても被検出体との間の静電容量を正確に測定することが出来る。本発明の静電容量センサ1では、厚み寸法が約1mmの薄型の検出部1aであっても静電容量を正確に測定することができるので、検出部1aをウエハ搬送ロボット2が備えるフィンガ18の表面に貼り付けて使用してもフィンガ18上に保持された半導体ウエハWに干渉することがなくなった。
【符号の説明】
【0037】
1 静電容量センサ
1a、1a´ 検出部
1b、1b´ アンプモジュール
2 ウエハ搬送ロボット
2a 基台
2b 昇降旋回部
3 ウエハ搬送装置
4 ウエハ搬送処理装置
5 ロードポート
6 X軸テーブル
6a 移動部
7 FOUP(Front-Opening Unified Pod)
8 フレーム
9 カバー
11 内部空間
12 FFU
12a ファン
12b フィルタ
13 除電装置
14、15 アーム体
14a、15a 第1アーム
14b、15b 第2アーム
16、17 ウエハバンド
18、18´ フィンガ
18a 上側の板状部材
18b 下側の板状部材
18c 吸着スペーサ
18d 支持スペーサ
18e 基準面
18a、18b 板状部材
19 流路
21、22 孔
23 保護膜
24 第1のガード電極層
24a 第1のガード電極
24b、25b、26b 回路パターン
25 センサ電極層
25a センサ電極
26 第2のガード電極層
26a 第2のガード電極
27 シールドアース層
28 演算増幅器
29 交流供給源
30 第1のBPF
31 第2のBPF
32 キャパシタ
33 寄生容量補償回路
34 差動アンプ
35 位相検波手段
36 LPF(Low-Pass Filter)
37 出力端子
W ウエハ



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7