(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】コーティングされたフィルムおよびコーティングされたフィルムを作製するために使用され得る無溶媒ポリウレタン前駆体を作製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
B05D 5/06 20060101AFI20230921BHJP
B05D 7/04 20060101ALI20230921BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230921BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230921BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20230921BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20230921BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230921BHJP
C08J 7/043 20200101ALI20230921BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B05D5/06 104Z
B05D7/04
B05D7/24 302T
B32B7/023
B32B27/40
C08G18/10
C08G18/42 088
C08J7/043 A CES
C09D175/04
(21)【出願番号】P 2020564925
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 US2019033503
(87)【国際公開番号】W WO2019240922
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-05-12
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】カサルビアス、フアン カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス、ジョルジ カミネロ
(72)【発明者】
【氏名】マッツォーラ、ニコラス カルドソ
(72)【発明者】
【氏名】シプロ、マテウス バティスタ トーレス
(72)【発明者】
【氏名】チェン、マイ
(72)【発明者】
【氏名】ミヤケ、ケビン ケイ.
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-130637(JP,A)
【文献】特開2000-265128(JP,A)
【文献】特開2003-001648(JP,A)
【文献】特開平11-240124(JP,A)
【文献】特開2003-327934(JP,A)
【文献】特開2002-178462(JP,A)
【文献】特開2006-193746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B32B 1/00-43/00
C08J 7/04-7/06
C09D 1/00-201/10
C08G 18/00-18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたフィルムを作製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
剥離ライナーの第1の表面が未硬化ポリウレタン前駆体と接触するように、ポリオレフィンフィルムと剥離ライナーとの間に前記未硬化ポリウレタン前駆体を塗布することであって、前記剥離ライナーの前記第1の表面が光学的仕上げを有する、塗布することと、
前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に配置された硬化ポリウレタン層を形成するために前記未硬化ポリウレタン前駆体を硬化させることであって、前記硬化が、前記硬化ポリウレタン層に、前記剥離ライナーの前記第1の表面の光学的仕上げと実質的に同様である前記光学的仕上げを付与する、硬化させることと、
前記ポリオレフィンフィルムおよび前記硬化ポリウレタン層を備える前記コーティングされたフィルムを形成するために、前記剥離ライナーを除去することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に前記未硬化ポリウレタン前駆体を塗布することが、
前記未硬化ポリウレタン前駆体を前記ポリオレフィンフィルムに塗布することと、
剥離ライナーを前記ポリオレフィンフィルム上の前記未硬化ポリウレタン前駆体に塗布することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記未硬化ポリウレタン前駆体が、少なくとも1つのバイオ系ポリオールを含むイソシアネート反応性成分を含み、
前記イソシアネート反応性成分中の前記バイオ系ポリオールが、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記剥離ライナーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記剥離ライナーの前記第1の表面が、
0.034N/m(34ダイン/cm
)以下の表面エネルギーを有する、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
コーティングフィルムを作製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
前記コーティングフィルムが機械方向に平行移動するときに、未硬化のポリウレタン前駆体をポリオレフィンフィルムに塗布することと、
剥離ライナー
の第1の表面が前記未硬化ポリウレタン前駆体と接触するように、コーティングフィルムが前記機械方向に平行移動するときに、前記剥離ライナーを前記未硬化ポリウレタン前駆体に塗布することであって、
前記剥離ライナーの前記第1の表面が、光学的仕上げを有し、
前記未硬化のポリウレタン前駆体が、前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に配置される、塗布することと、
前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に配置された硬化ポリウレタン層を形成するために、前記未硬化ポリウレタン前駆体を硬化させることであって、前記硬化が、前記硬化ポリウレタン層に、前記剥離ライナーの前記第1の表面の光学的仕上げと実質的に同様である前記光学的仕上げを付与する、硬化させることと、
前記ポリオレフィンフィルムおよび前記硬化ポリウレタン層を備えるコーティングされたフィルムを形成するために、前記剥離ライナーを除去することであって、前記剥離ライナーが、前記コーティングされたフィルムが機械方向に平行移動するときに除去される、除去することと、を含む、プロセス。
【請求項7】
前記未硬化ポリウレタン前駆体が、少なくとも1つのバイオ系ポリオールを含むイソシアネート反応性成分を含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記イソシアネート反応性成分中の前記バイオ系ポリオールが、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、請求項
7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記剥離ライナーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項6~8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
前記剥離ライナーの前記第1の表面が、
0.034N/m(34ダイン/cm
)以下の表面エネルギーを有する、請求項6~9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
無溶媒ポリウレタン前駆体であって、
イソシアネート末端プレポリマーを含むイソシアネート成分であって、前記イソシアネート成分が、10%を超えるイソシアネート(NCO)含有量を有する、イソシアネート成分と、
少なくとも1つのバイオ系ポリオールを含むイソシアネート反応性成分であって、前記イソシアネート反応性成分中の前記バイオ系ポリオールが、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、イソシアネート反応性成分と、を含み、
前記無溶媒ポリウレタン前駆体が、1重量%未満の揮発性有機化合物を含む、無溶媒ポリウレタン前駆体。
【請求項12】
前記イソシアネート成分が、13%~20%のイソシアネート(NCO)含有量を有する、請求項11に記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。
【請求項13】
前記バイオ系ポリオールがヒマシ油を含み、前記イソシアネート反応性成分中の前記ヒマシ油が、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、請求項11または12に記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。
【請求項14】
前記バイオ系ポリオールがヒマシ油を含み、前記イソシアネート反応性成分中の前記ヒマシ油が、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも80重量%である、請求項11~13のいずれかに記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。
【請求項15】
前記無溶媒ポリウレタン前駆体が、0.1重量%未満の揮発性有機化合物を含む、請求項11~14のいずれかに記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2018年6月11日に出願された米国仮特許出願第62/683,356号に対する優先権を主張し、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、フィルム、およびそれを生成するための方法、より具体的には、コーティングされたポリマーフィルム、ならびにその作製に利用される方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
食品、飲料、他の液体、パーソナルケア用品、および他の消費者製品を保護するためにつくられた多くのタイプの可撓性および半硬質包装は、反応性ポリウレタン接着剤を使用して、ポリエステルおよび/またはポリプロピレンをポリエチレンフィルムと組み合わせて、これらの層間に積層体を作製する典型的な構造を用いて製造されてきた。そのような構造はいくつかの望ましい特性を有するが、既存の積層構造が提供する望ましい特性のうちの1つ以上を維持しながら、材料使用量の削減、コストの削減、および/または他の改善点を伴う新しい構造が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、コーティングされたフィルムの製造のための改善された方法、ならびにいくつかの実施形態では以前のフィルムのポリエステルおよび/またはポリプロピレン層を利用し得ないようなコーティングされたフィルムを作製するために利用し得る前駆体材料を提供することにより、それらのニーズを満たすことができる。さらに、現在開示されている実施形態は、少なくともいくつかの点で、従来の多層フィルムの光学的および/または熱的特性と同様の望ましい特性を保持し得る。1つ以上の実施形態によれば、そのようなコーティングされたフィルムは、現在開示されているポリウレタン組成物を利用すること、および/または剥離ライナーが一時的にポリウレタン層に積層され、続いてポリウレタン層の硬化後に除去されて、ポリオレフィンフィルムの外装コーティングとしてのポリウレタン層を露出する現在記載されている方法を組み込むことにより作製され得る。ポリウレタンコーティングは、剥離ライナーの1つ以上の光学特性を有利に模倣し得る。これにより、製造業者は、同じフィルム組成および同じコーティングを使用しながら、異なる剥離ライナーを使用することにより、コーティングされたフィルムの光学特性を調整することが有利に可能になる。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは有利に再利用され、それにより追加のコスト節約を提供し得る。
【0005】
1つ以上の実施形態では、現在開示されているコーティングフィルムの実施形態で剥離ライナーを利用することにより、硬化ポリウレタン層は、硬化ポリウレタンの光学的仕上げが剥離ライナーの光学的仕上げと実質的に同様であるように、剥離ライナーの光学的特性を模倣し得る。例えば、ASTM D2457などの試験規格によれば、コーティングされたフィルムは、光沢仕上げの場合は60°、マット仕上げの場合は85°で測定される場合、剥離ライナーの25単位以内である光沢またはマット仕上げを有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、光沢仕上げ(40単位~100単位など)を有する剥離ライナーは、60°で測定される場合、剥離ライナーの25単位以内、20単位以内、15単位以内、10単位以内、またはさらには5単位以内である光沢仕上げをコーティングされたフィルムに付与するために利用され得る。追加の実施形態では、マット仕上げ(15単位~30単位など)を有する剥離ライナーは、85°で測定される場合、剥離ライナーの25単位以内、20単位以内、15単位以内、10単位以内、またはさらには5単位以内であるマット仕上げをコーティングされたフィルムに付与するために利用され得る。
【0006】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、コーティングされたフィルムは、剥離ライナーの第1の表面が未硬化ポリウレタン前駆体と接触するように、ポリオレフィンフィルムと剥離ライナーとの間に未硬化ポリウレタン前駆体を塗布することと、ポリオレフィンフィルムと剥離ライナーとの間に配置された硬化ポリウレタン層を形成するために、未硬化ポリウレタン前駆体を硬化させることと、ポリオレフィンフィルムおよび硬化ポリウレタン層を備えるコーティングされたフィルムを形成するために、剥離ライナーを除去することと、を含み得るプロセスによって作製され得る。剥離ライナーの第1の表面は、光学的仕上げを有し得る。硬化は、硬化ポリウレタン層に、剥離ライナーの第1の表面の光学的仕上げと実質的に同様である光学的仕上げを付与することができる。
【0007】
本開示の1つ以上の実施形態によれば、コーティングされたフィルムは、コーティングされたフィルムが機械方向に平行移動するときに、未硬化のポリウレタン前駆体をポリオレフィンフィルムに塗布することと、剥離ライナーの第1の表面が未硬化ポリウレタン前駆体と接触するように、コーティングされたフィルムが機械方向に平行移動するときに、剥離ライナーを未硬化ポリウレタン前駆体に塗布することと、ポリオレフィンフィルムと剥離ライナーとの間に未硬化ポリウレタン前駆体を塗布することと、ポリオレフィンフィルムと剥離ライナーとの間に配置された硬化ポリウレタン層を形成するために、未硬化ポリウレタン前駆体を硬化させることと、ポリオレフィンフィルムおよび硬化ポリウレタン層を備えるコーティングされたフィルムを形成するために、剥離ライナーを除去することと、を含み得るプロセスによって作製され得る。剥離ライナーの第1の表面は、光学的仕上げを有し得る。未硬化ポリウレタン前駆体は、ポリオレフィンフィルムと剥離ライナーとの間に配置され得る。硬化は、硬化ポリウレタン層に、剥離ライナーの第1の表面の光学的仕上げと実質的に同様である光学的仕上げを付与することができる。コーティングされたフィルムが機械方向に平行移動するときに、剥離ライナーは、除去され得る。
【0008】
本開示の1つ以上のさらに追加の実施形態によれば、無溶媒ポリウレタン前駆体は、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を含み得る。イソシアネート成分は、イソシアネート末端プレポリマーを含み得、10%を超えるイソシアネート(NCO)含有量を有し得る。イソシアネート反応性成分は、少なくとも1つのバイオ系ポリオールを含み得る。イソシアネート反応性成分中のバイオ系ポリオールは、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%であり得る。無溶媒ポリウレタン前駆体は、1重量%未満の揮発性有機化合物を含み得る。
【0009】
これらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態においてより詳細に記載される。上記の一般的な説明および下記の詳細な説明の両方は、技術の実施形態を表し、それが特許請求されるように技術の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、技術のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、様々な実施形態を例示し、説明と共に、技術の原則および動作を説明するのに役立つ。さらに、図面および説明は、単なる例示であることを意図し、いかなる様式でも特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面と併せて読むと最良に理解することができ、これらの図面では、同様の構造が同様の参照番号で示される。
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態による、コーティングされたフィルムを概略的に示す。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態による、コーティングされたフィルムの別の実施形態を概略的に示す。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態による、コーティングされたフィルムが製造されるプロセスステップを概略的に示す。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態による、未硬化ポリウレタン前駆体を硬化させて、ポリウレタンを含む層を形成するプロセスステップを概略的に示す。
【
図5】本開示の1つ以上の実施形態による、剥離ライナーを除去するために利用され得る切開機器の側面図を概略的に示す。
【
図6】本開示の1つ以上の実施形態による、剥離ライナーを除去するために利用され得る切開機器の上面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、様々な実施形態をより詳細に参照し、そのいくつかの実施形態が添付の図面に例示される。ここで
図1を参照すると、1つ以上の実施形態によれば、コーティングされたフィルム100は、ポリオレフィンフィルム110およびコーティング120を含み得る。コーティング120は、一般に、ポリオレフィンフィルム110の表面上に堆積され得る。例えば、
図1に示されるように、ポリオレフィンフィルム110は、第1の表面114および第2の表面112を備え得、ここで、第1の表面114は、第2の表面112の反対側であり得る。コーティング120は、外表面122および内表面124を備え得る。外表面122は、コーティングされたフィルム100の最外表面であり得る(すなわち、外表面122が周囲の空気と直接接触するように、コーティング120上に堆積された別の層はあり得ない)。したがって、コーティング120の外表面122は、コーティングされたフィルム100の外表面であり得る。コーティング120は、ポリオレフィンフィルム110の第1の表面114上に堆積され得、コーティング120の内表面124は、ポリオレフィンフィルム110の第1の表面114と直接接触する。第2の表面112は、外表面であり得る(すなわち、ポリオレフィンフィルム110の第2の表面112上に他の層は堆積され得ない)。しかしながら、追加の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、積層などにより、追加のフィルムまたは層と接触し得ると企図される。
【0012】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルムは、1つ以上のオレフィンポリマーを含み得る。本明細書で使用される場合、「オレフィン系ポリマー」、「オレフィンポリマー」、および「ポリオレフィン」という用語は、重合形態で(ポリマーの重量に基づいて)過半量のオレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレンを含み、かつ任意に1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類のモノマーに関わらず、モノマーを重合することにより調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、通常、1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる「ホモポリマー」という用語、ならびに2種以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「コポリマー」を包含する。ポリオレフィンフィルム110は、複数の層を備える多層フィルムであり得る。本明細書に記載されるように、「多層フィルム」は、複数の層を有する任意のフィルムを意味する。例えば、多層フィルムは、2、3、4、5、またはそれ以上の層を有し得る。多層フィルムは、フィルムの記載を支援するために文字で示された層を有するものとして記載され得る。例えば、コア層B、ならびに2つの外部層AおよびCを有する3層フィルムは、A/B/Cとして示され得る。同様に、2つのコア層BおよびC、ならびに2つの外部層AおよびDを有する構造は、A/B/C/Dとして示されるであろう。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンフィルムは、3~11または3~7などの3~35の奇数の層を有する共押し出しフィルムであり得る。
【0013】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルムは、エチレン系ポリマーを含み得る。本明細書に記載されるように、「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、50モル%超のエチレンモノマー由来単位を含むポリマーを意味するものとする。これには、エチレン系ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(単位が2つ以上のコモノマーに由来することを意味する)が含まれる。当該技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ウルトラ低密度ポリエチレン(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の両方の低密度樹脂を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
さらに、本明細書に記載されるように、「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエチレン」とも称され得、ポリマーが、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブまたは管状反応器内で、部分的または完全にホモ重合または共重合されることを意味するように定義される(例えば、参照により組み込まれる、US4,599,392を参照されたい)。LDPE樹脂は、典型的には、0.916~0.940g/cmの範囲の密度を有する。
【0015】
本明細書に記載されるように、「LLDPE」という用語には、チーグラー・ナッタ触媒系を使用して作製された樹脂、ならびにビスメタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)、ホスフィンイミン、および拘束幾何触媒が含まれるが、これらに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製された樹脂;ならびにビス(ビフェニルフェノキシ)触媒(多価アリールオキシエーテル触媒とも称される)が含まれるが、これらに限定されないポストメタロセン分子触媒を使用して作製された樹脂が含まれ得る。LLDPEには、直鎖状、実質的に直鎖状、または不均一なエチレン系コポリマーまたはホモポリマーが含まれる。LLDPEには、LDPEよりも少ない長鎖分岐が含有され、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第5,582,923号、および同第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号におけるものなどの均一分岐直鎖状エチレンポリマー、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されたものなどの不均一分岐エチレンポリマー、ならびにそれらのブレンド(米国特許第3,914,342号または同第5,854,045号に開示されるものなど)が含まれる。LLDPE樹脂は、当該技術分野で知られている任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせによって作製され得る。LLDPE樹脂は、当該技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、溶液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせによって作製され得る。
【0016】
さらに、本明細書に記載されるように、「HDPE」という用語は、一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、またはさらにはメタロセン触媒を用いて調製される、約0.940g/cm以上の密度を有するポリエチレンを指す。
【0017】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、エチレン系ポリマーを含む外層を含む多層フィルムであり得る。そのようなエチレン系ポリマーの例には、例えば、AFFINITY(商標)PF1140G、AFFINITY(商標)PL 1850G、AFFINITY(商標)PL 1880、AFFINITY(商標)PL 1881、またはAFFINITY(商標)PF1166Gを含む、The Dow Chemical Company,Midland,MIから市販されているものが含まれ得る。LDPEポリマーなどのエチレン系ポリマーの追加の例には、例えば、DOW(商標)LDPE432E、LDPE312E、LDPE310E、またはLDPE PG7008を含む、The Dow Chemical Company,Midland,MIから市販されているものが含まれ得る。1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、ポリエテイレン(polyethylene)/ポリエテイレン(polyethylene)/ポリアミド/ポリエチレン/ポリエチレンの層からなる5層多層フィルムであり得る。
【0018】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、1mm以下、例えば、900ミクロン以下、800ミクロン以下、700ミクロン以下、600ミクロン以下、500ミクロン以下、400ミクロン以下、300ミクロン以下、またはさらには200ミクロン以下の厚さを有し得る。ポリオレフィンフィルム110は、1ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、20ミクロン以上、30ミクロン以上、40ミクロン以上、またはさらには50ミクロン以上の厚さを有し得る。当業者により理解されるように、多層フィルムでは、異なる層の厚さは、層の機能(例えば、シーラント、バリア、タイなど)および他の要因に応じて、同じであっても異なっていてもよい。層の厚さは、本明細書の教示に基づく技術を有する者に既知の技術により選択され得る。
【0019】
ここで
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、第1の表面114上に印刷層130を含み得、ここで、印刷層130は、コーティング120と接触し得る。そのような実施形態では、コーティング120は、印刷層130上に直接適用され得る。印刷層130は、製品の詳細および他の包装情報を様々な色で示すためのインク層であり得る。印刷層130は、様々な実施形態では、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、またはさらには2.5ミクロン以下であり得る。
【0020】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、単層フィルムまたは多層フィルムであり得る。そのような実施形態では、単層フィルムまたは多層フィルムは、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも94重量%、少なくとも96重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、またはさらには少なくとも99.99重量%の量のポリオレフィンを含み得る。追加の実施形態によれば、ポリオレフィンフィルム100(単層または多層)は、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーを含み得る。例えば、1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも94重量%、少なくとも96重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、またはさらには少なくとも99.99重量%の量のエチレン系ポリマーを含み得る。
【0021】
追加の実施形態によれば、ポリオレフィンフィルム110は、その最外層(すなわち、ポリウレタンに最も近い層)が、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも94重量%、少なくとも96重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、またはさらには少なくとも99.99重量%の量のポリオレフィンを含む多層フィルムであり得る。追加の実施形態によれば、ポリオレフィンフィルム100(多層フィルム)の最外層は、エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーを含み得る。例えば、1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110の最外層は、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも94重量%、少なくとも96重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、またはさらには少なくとも99.99重量%の量のエチレン系ポリマーを含み得る。他の層の組成は、そのような実施形態では、所望のフィルム特性(例えば、バリア特性)に応じて変化し得ることを理解されたい。
【0022】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、複数の層を含み得、ここで、複数の層は同じ組成を有する。そのような実施形態では、複数のポリエチレン層は同じであり得るか、またはそれぞれの層間の組成および重量比が異なり得ることが企図される。追加の実施形態では、多層フィルムは、ハイブリッド構造を有し得、ここで、コア層または内側層(すなわち、非外側層)のうちの1つ以上は、外側層と同じ組成を有さない。例えば、1つ以上の内側層またはコア層は、ポリオレフィン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸、エチレン無水マレイン酸、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、ポリオレフィンフィルム110として利用される多層フィルムは、1つ以上のポリオレフィンを含む1つの内側層、および第2のポリオレフィン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸、エチレン無水マレイン酸、またはそれらの組み合わせを含む第2の内側層を含み得る。用途に応じて、接着剤、結合層、バリア層、印刷物などの他の構成要素が内層(例えば、コア層または内側層)に関して企図されるか、または他の構成要素が使用され得る。
【0023】
追加の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、1つ以上のバリア層を含み得る。バリア層は、例えば、結合層によりポリエチレン層に接着し得る。そのような実施形態では、結合層は層Bと称され、バリア層(層Cと称する)と別の層(層A、以下で考察する)との間にA/B/C配列で配置することができる。バリア層(層C)は、1つ以上のポリアミド(ナイロン)、非晶質ポリアミド(ナイロン)、および/またはエチレンビニルアルコールコポリマー(EVOH)を含み得、スカベンジャー材料、ならびにコバルトのような重金属とMXD6ナイロンとの化合物を含み得る。EVOHは、27~44mol%のエチレンを有するビニルアルコールコポリマーを含み、例えば、酢酸ビニルコポリマーの加水分解により調製される。本発明の実施形態で使用され得る市販のEVOHの例には、KurarayのEVAL(商標)、ならびにNippon GosheiのNoltex(商標)およびSoarnol(商標)が含まれる。いくつかの実施形態では、バリア層は、参照により組み込まれるPCT公開第WO2014/113623号に開示されているバリア層など、EVOH、ならびに無水物および/またはカルボン酸官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含み得る。この無水物および/またはカルボン酸官能化エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含むと、EVOHの耐屈曲亀裂性を向上させることができ、結合樹脂を有する中間層においてより少ない応力点を提供し、したがって、多層構造全体のガスバリア特性に悪影響を及ぼし得る空隙の形成を減少させると考えられる。
【0024】
バリア層がポリアミドを含む実施形態では、ポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド9、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド6/66、およびポリアミド61、ポリアミド6T、MXD6などの芳香族ポリアミド、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0025】
本明細書に記載のポリオレフィンフィルム110の追加の実施形態では、他の層は、例えば、結合層により(時にはバリア層に加えて)ポリエチレンフィルムに接着し得る。例えば、ポリオレフィンフィルム110は、用途に応じて典型的に多層構造に含まれる、例えば、他のバリア層、シーラント層、他の結合層、他のポリエチレン層、ポリプロピレン層などを含む他の層をさらに備え得る。例えば、いくつかの実施形態では、本発明の多層構造は、両方を含み得る。
【0026】
好適なポリオレフィンフィルム110の非限定的な実施形態はまた、WO/2016/196168、WO/2018/064123、およびWO/2018/063578に開示されているものを含み得、これらは各々、ポリオレフィンフィルムに関するそれらの教示に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
前述のように、ポリオレフィンフィルム110は、いくつかの実施形態では、印刷層130を備え得る。そのような実施形態では、ポリオレフィンフィルムの最外層は印刷層ではないことを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態では、第1の表面114から測定されたポリオレフィンフィルム110内の15ミクロン以下(例えば、ポリオレフィンフィルム110内の10ミクロンまたは5ミクロン)の点でのポリオレフィンフィルム110の組成は、本明細書に記載されるように、エチレンまたはプロピレン系ポリマーなどのポリオレフィンを含み得る。例えば、印刷層130のすぐ下のポリオレフィンフィルム110の深さにおいて、ポリオレフィンフィルム110は、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも94重量%、少なくとも96重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、またはさらには少なくとも99.99重量%の量のエチレン系ポリマーなどのポリオレフィンを含み得る。1つ以上の実施形態では、コーティング120は、ポリウレタンを含み得る。いくつかの実施形態では、コーティング120は、少なくとも90重量%、少なくとも92重量%、少なくとも94重量%、少なくとも96重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、少なくとも99.5重量%、少なくとも99.9重量%、またはさらには少なくとも99.99重量%の量のポリウレタンを含み得る。コーティング120は、実質的に100重量%のポリウレタンを含み得ることが理解されるであろう。本開示の目的において、「実質的に100%ポリウレタンを含む」は、微量の不純物または汚染物質を除いて、材料が100%ポリウレタンであることを意味する。
【0028】
追加の実施形態によれば、コーティング120は、25ミクロン以下、例えば、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、またはさらには3ミクロン以下の厚さを有し得る。例えば、コーティング120は、1ミクロン~3ミクロンまたは2ミクロン~3ミクロンの厚さを有し得る。追加の実施形態によれば、コーティング120は、1gsm(平方メートルあたりのグラム数)~3gsm、例えば、1gsm~2gsm、または2gsm~3gsmの重量でポリオレフィンフィルム110に適用され得る。
【0029】
本明細書に記載の1つ以上の実施形態によれば、コーティング120中のポリウレタンは、ポリウレタン前駆体の重合反応生成物であり得、これは、1つ以上の実施形態によれば、無溶剤ポリウレタン前駆体であり得る。1つ以上の実施形態では、ポリウレタン前駆体組成物は、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分(すなわち、ヒドロキシル末端ポリマーを含む成分)を含み得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分は、100:50~100:100(イソシアネート成分の重量部対イソシアネート反応性成分の重量部)の混合比で存在する。しかしながら、イソシアネート成分対イソシアネート反応性成分の組成に応じて、異なる量が利用され得る。
【0030】
本出願の実施形態によれば、ポリウレタン前駆体は、無溶剤ポリウレタン前駆体であり得る。本明細書に記載されるように、「無溶剤」システムは、システム、すなわちポリウレタン前駆体の1重量%未満が揮発性有機化合物または非反応性水であるシステムを指す。追加の実施形態では、ポリウレタン前駆体は、0.5重量%以下、0.1重量%以下、またはさらには0.01重量%以下の揮発性有機化合物または水を含み得る。例えば、本明細書に記載のポリウレタン前駆体は、酢酸エチルまたはポリウレタンシステムに一般的に利用される他の溶剤などの成分を含まない場合がある。
【0031】
本明細書に記載のポリウレタン前駆体などの無溶剤積層接着剤は、有機溶剤または水性キャリアのいずれも用いずに、最大100%の固形分を適用することができる。適用時に有機溶剤または水を接着剤から乾燥させる必要がないため、これらの接着剤は、比較的高いラインスピードで稼働させることができる。溶媒系および水系の積層接着剤は、接着剤の塗布後に溶剤または水が効果的に乾燥し、積層構造体から除去することのできる速度によって限定される。環境、健康、および安全の理由から、積層接着剤は、好ましくは水性または無溶剤であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、イソシアネート末端プレポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート末端プレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオール成分の反応生成物である。そのような反応では、イソシアネート末端プレポリマーを生成するために、ポリイソシアネートが過剰に存在し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示による使用に適したポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。本明細書で使用される場合、「ポリイソシアネート」は、2つ以上のイソシアネート基を含有する任意の化合物である。例えば、ポリイソシアネートは、二量体、三量体などを含み得る。「芳香族ポリイソシアネート」は、芳香族ラジカルに結合したイソシアネートラジカルを有し、1個以上の芳香環を含有するポリイソシアネートである。「脂肪族ポリイソシアネート」は、芳香環に直接結合したイソシアネートラジカルを含まない、すなわち、他の脂肪族基、脂環式ラジカルまたは芳香環(ラジカル)に結合できる脂肪族ラジカルに結合したイソシアネートラジカルを含むイソシアネートとしてよりよく定義される。「脂環式ポリイソシアネート」は、化学鎖が環状構造を有する脂肪族ポリイソシアネートのサブセットである。
【0034】
適切な芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート(「2,6-TDI」)、2,4-トルエンジイソシアネート(「2,4-TDI」)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(「2,4’-MDI」)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(「4,4’-MDI」)、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート(「TODI」)、およびこれらのうちの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。適切な脂肪族ポリイソシアネートは、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)および1,4-ジイソシアナトブタンなどの直鎖状または分岐状アルキレン残基中に3~16個の炭素原子、または4~12個の炭素原子を有する。
【0035】
好適な脂環式ポリイソシアネートは、シクロアルキレン残基中に4~18個の炭素原子、または6~15個の炭素原子を有する。脂環式ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)、1,3/1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン1,3-/1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、およびジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(「H12MDI」)などの、環におよび脂肪族に結合したNCO基の両方を指す。
【0036】
好適な脂肪族および脂環式ポリイソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、エチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロピルシクロヘキサンジイソシアネート、メチルジエチルシクロヘキサンジイソシアネート、プロパンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート、ヘプタンジイソシアネート、オクタンジイソシアネート、ノナンジイソシアネート、4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(「TIN」)などのノナントリイソシアネート、デカンジ-およびトリイソシアネート、ウンデカンジ-およびトリイソシアネートならびにドデカンジ-およびトリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(「IPDI」)、ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」)、ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(「H12MDI」)、2-メチルペンタンジイソシアネート(「MPDI」)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(「TMDI」)、ノルボルナンジイソシアネート(「NBDI」)、キシリレンジイソシアネート(「XDI」)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ならびにそれらの二量体、三量体、および2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本開示による使用に好適な追加のイソシアネート含有化合物としては、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、2-ブチル-2-エチルペンタメチレンジイソシアネート、3(4)-イソシアナトメチル-1-メチルシクロヘキシルイソシアネート、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、1,4-ジイソシアネート-4-メチルペンタン、およびそれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
1つ以上の実施形態によれば、イソシアネート成分は、10%超、または少なくとも11%超、少なくとも12%超、少なくとも13%超、少なくとも14%超、またはさらには少なくとも15%超のNCO含有量を有し得る。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、25%、または、20%、または13%以下のNCO含有量を有する。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、10%超~20%未満(例えば、13%~20%)、3~25%、または6~18%、または10~14%のNCO含有量を有する。NCO含有量は、本明細書に記載されるように、ASTM D2572に従って決定される。いくつかの実施形態では、イソシアネート成分は、ASTM D2196の方法により測定される場合、25℃で300~40000mPa-s、例えば、2000~8000mPa-sの粘度を有する。
【0038】
追加の実施形態によれば、ポリイソシアネートは、メチルジフェニルジイソシアネート4-4、2-4、および2-2の異性体に基づくイソシアネートモノマーを含み得る。これらは、純粋な状態であるか、またはNCO基で終端された他のオリゴマーもしくはプレポリマーとブレンドされている場合があり、IPDI(イソホロンジイソシアネート)およびHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)などの芳香族または脂肪族であり得る。追加の実施形態では、ポリイソシアネートは、メチルトルエンジイソシアネート2-4および2-6の異性体に基づくイソシアネートモノマーを含み得る。これらは、純粋な状態であるか、またはNCO基で終端された他のオリゴマーもしくはプレポリマーとブレンドされている場合があり、IPDI(イソホロンジイソシアネート)およびHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)などの芳香族または脂肪族であり得る。
【0039】
追加の実施形態によれば、ポリオール成分は、分子が5000MW未満で、バイ、トリ、またはテトラ官能基を有し、純粋な状態で10,000cps未満の粘度(25℃で)を有する複数のヒドロキシル基を含有するポリエーテル-ポリオールを含み得る。ヒドロキシル価は、500未満であり得るか、またはTMPおよび/もしくはDEG(トリメチロールプロパンおよび/またはジエチレングリコール誘導体)などの有機化合物を伴うブレンドを含み得る。追加の実施形態では、ポリオール成分は、プレポリマー中の総重量の25%未満の濃度で、アジピン酸およびイソフタル酸に基づくポリエステル-ポリオールを含み得る。
【0040】
本明細書に記載の実施形態によれば、イソシアネート成分は、メチルジフェニルジイソシアネート(純粋なメチルジフェニルジイソシアネートなど)、および様々な分子量を有するポリエーテルジオールなどの1つ以上のポリエーテルジオールを含み得る。そのような実施形態によれば、イソシアネート成分中のメチルジフェニルジイソシアネートは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、60重量%~76重量%、例えば、66重量%~70重量%、または67重量%~69重量%であり得る。例えば、好適なメチルジフェニルジイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(異性体4,4 50%および2,4 50%)(The Dow Chemical CompanyからISONATE50 OPとして市販されている)であり得る。イソシアネート成分中のポリエーテルジオールは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、24重量%~40重量%、例えば、30重量%~34重量%であり得る。イソシアネート成分中のポリエーテルジオールは、400~460の公称分子量を有するポリエーテルジオール、例えば、430の公称分子量を有するポリエーテルジオール(The DOW Chemical CompanyからVORANOL 220-260として市販されている)、および1500~2500の公称分子量を有するポリエーテルジオール、例えば、2000の公称分子量を有するポリエーテルジオール(The DOW Chemical CompanyからVORANOL 220-056Nとして市販されている)を含み得る。イソシアネート成分中の400~600の公称分子量を有するポリエーテルジオールは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、20重量%~32重量%、例えば、22重量%~30重量%、または25重量%~27重量%であり得る。イソシアネート成分中の1500~2500の公称分子量を有するポリエーテルジオールは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、4重量%~8重量%、例えば、5重量%~7重量%であり得る。
【0041】
本明細書に記載の別の実施形態によれば、イソシアネート成分は、メチルジフェニルジイソシアネート(純粋なメチルジフェニルジイソシアネート、修飾メチルジフェニルジイソシアネート、またはそれらの両方など)、1つ以上のエステル化物、1つ以上のポリエーテルポリオール、および天然油を含み得る。そのような実施形態によれば、イソシアネート成分中のメチルジフェニルジイソシアネートは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、40重量%~55重量%であり得る。イソシアネート成分中のメチルジフェニルジイソシアネートは、純粋なメチルジフェニルジイソシアネートおよび修飾メチルジフェニルジイソシアネートを含み得る。例えば、好適な純粋なメチルジフェニルジイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(異性体4,4 50%および2,4 50%)(The Dow Chemical CompanyからISONATE125Mとして市販されている)であり得る。好適な修飾メチルジフェニルジイソシアネートは、ポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート(The Dow Chemical CompanyからISONATE143Lとして市販されている)であり得る。イソシアネート成分中の純粋なメチルジフェニルジイソシアネートは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、35重量%~40重量%、例えば、35重量%~37重量%であり得る。イソシアネート成分中の修飾メチルジフェニルジイソシアネートは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、5重量%~15重量%、例えば、10重量%~12重量%であり得る。イソシアネート成分中のエステル化物は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、9重量%~18重量%であり得る。好適なエステル化物は、プロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、およびジエチレングリコール(ヒドロキシル基を含有する化合物)とアジピン酸(ジカルボン酸)(The Dow Chemical CompanyからADCOTE 111-43(BB)として市販されている)との間のエステル化物であり得る。別の好適なエステル化物は、イソフタル酸およびアジピン酸(ジカルボン酸)とジエチレングリコール(ヒドロキシル基を含有する化合物)(The Dow Chemical Companyから市販されている)との間のエステル化物であり得る。イソシアネート成分中のプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、およびジエチレングリコール(ヒドロキシル基を含有する化合物)とアジピン酸(ジカルボン酸)との間のエステル化物は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、7重量%~14重量%、例えば、8重量%~11重量%であり得る。イソシアネート成分中のイソフタル酸およびアジピン酸(ジカルボン酸)とジエチレングリコール(ヒドロキシル基を含有する化合物)との間のエステル化物は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、2重量%~4重量%であり得る。イソシアネート成分中のポリエーテルポリオールは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、35重量%~40重量%、例えば、36重量%~39重量%であり得る。例えば、好適なポリエーテルポリオールは、Voranol4701(The Dow Chemical Companyから市販されている)であり得る。イソシアネート成分中のヒマシ種子油などの天然油は、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、2重量%~4重量%であり得る。
【0042】
本明細書に記載の別の実施形態によれば、イソシアネート成分は、メチルジフェニルジイソシアネートおよびポリエーテルジオールを含み得る。イソシアネート成分中のメチルジフェニルジイソシアネートは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、50重量%~60重量%、例えば、54重量%~56重量%であり得る。好適なメチルジフェニルジイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(異性体4,4 50%および2,4 50%)(The Dow Chemical CompanyからISONATE50 OPとして市販されている)であり得る。イソシアネート成分中のポリエーテルジオールは、イソシアネート成分の重量に基づく重量で、40重量%~60重量%、例えば、44重量%~46重量%であり得る。好適なポリエーテルジオールは、800~1200、例えば、1000(The Dow Chemical CompanyからVORANOL 220-110Nとして市販されている)の公称分子量を有するポリエーテルジオールであり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、イソシアネート反応性成分は、1つ以上のバイオ系ポリオールを含む。バイオ系ポリオールは、例えば、ヒマシ油またはトウモロコシ油に限定されない天然由来の油を指す。本開示による使用に好適な市販のヒマシ油の例には、Campbell&Co.から入手可能なウレタングレードのヒマシ油またはVertellusから入手可能な精製グレードのヒマシ油が含まれる。いくつかの実施形態では、イソシアネート反応性成分中のバイオ系ポリオールの量は、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、50重量%~100重量%であり得る。追加の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分中のバイオ系ポリオールの量は、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、またはさらには少なくとも95重量%であり得る。1つ以上の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分中のヒマシ油の量は、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、またはさらには少なくとも95重量%であり得る。1つ以上の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分中のトウモロコシ油の量は、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、5重量%~20重量%であり得る。トウモロコシ油は、可塑剤として作用し得る。トウモロコシ油の水分含有量は、0.1重量%未満であり得る。
【0044】
バイオ系ポリオールに加えて、イソシアネート反応性成分は、ケイ素添加剤、トリメチロールプロパン、および/またはポリエーテルポリオールのうちの1つ以上を含み得る。1つ以上の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分中のケイ素添加剤は、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、0重量%~1重量%、例えば、0.2重量%~0.5重量%であり得る。ケイ素添加剤は、インクおよびコーティング用途にスリップ、光沢向上、顔料処理、およびレベリングを提供し得る。ケイ素添加剤は、100%の活性濃度で供給される非反応性のシリコーングリコールコポリマー界面活性剤であり得る。追加の実施形態では、ケイ素添加剤は、ジメチル、メチル(プロピル(ポリ(EO))アセテート)シロキサンのうちの1つ以上を含み得る。追加の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分中のトリメチロールプロパンは、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、0重量%~8重量%、例えば、2重量%~6重量%であり得る。追加の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分中のポリエーテルジオールは、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、0重量%~1重量%、例えば、0.2重量%~0.5重量%であり得る。ポリエーテルジオールは、400~500の公称分子量を有し得る。
【0045】
一実施形態によれば、イソシアネート反応性成分は、85重量%~95重量%のヒマシ油、4.8重量%~14.5重量%のトウモロコシ油、および0.2重量%~0.5重量%のケイ素添加剤を含み得る。そのような実施形態の最終ヒドロキシル価は、ASTM D4274に従って測定される場合、140~157mgKOH/gであり得る。
【0046】
別の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分は、50重量%~70重量%のヒマシ油、2重量%~6重量%のトリメチロールプロパン、5重量%~15重量%のトウモロコシ油、および15重量%~35重量%のポリエーテルポリオールを含み得る。そのような実施形態の最終ヒドロキシル価は、ASTM D4274に従って測定される場合、300~360mg KOH/gであり得る。
【0047】
追加の実施形態によれば、イソシアネート反応性成分は、天然または合成源からのヒドロキシル末端三官能性油を含み得る。そのような油の粘度は、ASTM D4878に従って測定される場合、25℃で1300cps未満であり得、密度は、0.999g/cc~1.03g/ccであり得る。そのような実施形態の最終ヒドロキシル価は、ASTM D4274に従って測定される場合、25~600mgKOH/gであり得る。イソシアネート反応性成分中の天然または合成源からのヒドロキシル末端三官能性油は、イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、85重量%~95重量%であり得る。
【0048】
1つ以上の実施形態によれば、コーティングされたフィルム100は、ポリオレフィンフィルム110と剥離ライナー150との間に未硬化ポリウレタン前駆体140を塗布するステップと、未硬化ポリウレタン前駆体を硬化するステップと、コーティングされたフィルム100を形成するために、剥離ライナー150を除去するステップを一般に含むプロセスにより作製され得る。剥離ライナーは、第1の表面152を含み得、未硬化ポリウレタン前駆体140の塗布は、剥離ライナー150の第1の表面152が未硬化ポリウレタン前駆体140と接触するようであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、
図3に示されるように、未硬化ポリウレタン前駆体は、最初にポリオレフィンフィルム110に塗布され得る(
図3のステップ210の前に)。その後、剥離ライナーは、ポリオレフィンフィルム110上に配置された未硬化ポリウレタン前駆体140上に塗布され得る(
図3のステップ210)。本明細書に記載されるように、フィルムまたは接着剤を「塗布する」ことは、積層処理などにより、記載されたシステムの1つ以上の構成要素を互いに接触させることを含み得る。
【0049】
1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンフィルム110と剥離ライナー150との間への未硬化ポリウレタン前駆体140の塗布は、従来の積層機器での積層プロセスによって実施され得る。例えば、1つ以上の実施形態によれば、未硬化ポリウレタン前駆体140は、ポリオレフィンフィルムが機械方向に平行移動するときに、ポリオレフィンフィルム110に塗布され得る。すなわち、ポリオレフィンフィルム110は、未硬化ポリウレタン前駆体140が塗布されている間、機械方向に搬送され得る。本明細書に記載されるように、機械方向は、フィルムが積層機器または切開機器などの加工機械の上または中に流れる方向を指す。未硬化ポリウレタン前駆体140は、滑らかなロールまたはグラビアロールのいずれかを用いてポリオレフィンフィルム110上に堆積され得、これは、少なくとも部分的に、未硬化ポリウレタン前駆体140の粘度により選択され得る。剥離ライナー150は、積層機器のニップで未硬化ポリウレタン前駆体140と接触し得る。そのような実施形態では、ポリオレフィンフィルム110は、圧延された形態で始まり、巻き戻され、未硬化ポリウレタン前駆体140および剥離ライナー150が塗布される機械方向に搬送され、次いで、ポリオレフィンフィルム110、未硬化ポリウレタン前駆体140、および剥離ライナー150を備えるフィルムを含むロールに再度巻き取られ得る。
【0050】
本明細書に開示の実施形態によれば、未硬化ポリウレタン前駆体140の塗布後、ポリオレフィンフィルム110と剥離ライナー150との間に配置された硬化ポリウレタン層を備えるコーティング120を形成するために、未硬化ポリウレタン前駆体140は硬化され得る。硬化は「受動的」であり得、これは、硬化が、未硬化ポリウレタン前駆体140を周囲条件で一定時間静止させることにより起こることを意味する。あるいは、硬化は、特定のポリウレタンシステムで硬化を起こさせる可能性のある高温、放射線、または他のメカニズムへの曝露により促進され得る。いくつかの実施形態では、硬化は、ポリオレフィンフィルム110、未硬化ポリウレタン前駆体140、および剥離ライナー150が積層後にロール状にある間に起こり得る。一定期間後、未硬化ポリウレタン前駆体140は固化し、コーティングされたフィルム100、コーティング120、および剥離ライナー150を備えるフィルムのロールを形成する。
【0051】
ここで
図4を参照すると、硬化プロセスの一般化された描写が示されている。1つ以上の実施形態では、未硬化ポリウレタン前駆体140は、剥離ライナー150とポリオレフィンフィルム110との間に配置され得る。時間の経過と共に、部分的に硬化したポリウレタン層142が形成される。より多くの時間が経過するにつれて、ポリウレタンを含む完全に硬化したコーティング120が形成される。
【0052】
硬化ステップの後、剥離ライナー150は、コーティングされたフィルム100が形成するために、コーティング120から除去され得る(
図3のステップ230に示されている)。剥離ライナー150の回収は、必要な材料が少なくて済み、剥離ライナー150を何度も再利用できる(すなわち、剥離ライナー150は未硬化ポリウレタン前駆体140に積層され、次いで除去され、次いで別のバッチで後続の未硬化ポリウレタン前駆体140に積層され得る)ので、コーティングされたフィルム100の生成におけるコストを下げることができることを理解されたい。
【0053】
1つ以上の実施形態では、剥離ライナー150の除去は、ポリオレフィンフィルム110、コーティング120、および剥離ライナー150を含むフィルムを展開し、コーティングされたフィルム100が機械方向に搬送されている間に剥離ライナー150を除去することにより実施され得る。例えば、ポリオレフィンフィルム110、コーティング120、および剥離ライナー150を含むフィルムが展開されると、剥離ライナー150が除去され、剥離ライナー150のみを含むロールに圧延され得る。コーティングされたフィルム100は、再圧延され得、ここで、コーティングされたフィルム100を含むロールに再圧延される前に、切開するなどによりさらに処理され得る。
【0054】
1つ以上の実施形態では、限定されないが、剥離ライナー150は、ポリマーフィルムであり得、単層フィルムまたは多層フィルムであり得る。例えば、限定されないが、剥離ライナーは、ポリプロピレンフィルムであり得る。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、二軸配向ポリプロピレンフィルムである。いくつかの実施形態では、剥離ライナーは、LPDEフィルムなどのポリエチレンフィルムであり得る。剥離ライナーがポリプロピレンまたはポリエチレンフィルムである場合などのいくつかの実施形態では、フィルムの片側(ポリウレタンコーティングに接触する側)は、特定の仕上げをポリウレタンコーティングに付与するためにエンボス加工または処理され得る(またはされ得ない)。剥離ライナー150は、比較的低い表面エネルギーを有する未硬化ポリウレタン前駆体140と接触する第1の表面152を備え得る。例えば、この表面は、34ダイン/cm(0.034N/m)以下、例えば、33ダイン/cm(0.033N/m)以下、またはさらには32ダイン/cm(0.032N/m)以下の表面エネルギーを有し得る。比較的低い表面エネルギーは、コーティングされたフィルム100の製造中にコーティング120から剥離ライナー150の除去を可能にし得る。追加の実施形態では、剥離ライナー150は、シリコン処理された紙または他の非ポリマー材料を含み得る。剥離ライナーは、圧延もしくは展開が可能であり、非吸収性であり、かつ/または圧延および展開したときに加熱されないように十分に低い摩擦を有し得る。
【0055】
第1の表面152はまた、ポリウレタンコーティングに付与されることが所望される光学的仕上げを含み得る。本明細書に記載されるように、第1の表面は、本明細書に記載されるように、光沢、マット、または他の光学的仕上げを有し得る。剥離ライナー150は、コーティング120上に1つ以上の光学特性を付与し得、コーティング120は、剥離ライナー150の光学的仕上げを模倣する。
【0056】
1つ以上の実施形態によれば、コーティング120を備えるコーティングされたフィルムの表面の外表面122の少なくとも一部(例えば、コーティング120の外表面122)は、光沢またはマットの所望の光学的仕上げを有する。本明細書に記載されるように、これらの光学特性は、コーティングされたフィルム100の製造中に現在開示されている処理ステップにより達成される。1つ以上の実施形態では、剥離ライナー150を除去すると、コーティング120が現れ、光学的仕上げを有するコーティング120を付与し得る。1つ以上の実施形態では、特定の理論に拘束されることなく、ポリウレタン層を備える硬化コーティング120を形成するための未硬化ポリウレタン前駆体140の硬化は、硬化ポリウレタンのコーティング120に、剥離ライナー150の第1の表面152の光学的仕上げと実質的に同様である光学的仕上げを付与し得ると考えられる。本明細書に記載されるように、「実質的に同様である」光学的仕上げは、光沢レベルまたはマット仕上げなどの1つ以上の光学的特徴が、剥離ライナー150の第1の表面152の25光沢もしくはマット単位内にあることを意味し得る。追加の実施形態では、コーティング120の光沢レベルまたはマット仕上げは、剥離ライナー150の20光沢もしくはマット単位、15光沢もしくはマット単位、10光沢もしくはマット単位、またはさらには5光沢もしくはマット単位の範囲内であり得る。例えば、コーティングされたフィルムは、光沢仕上げの場合は60°、マット仕上げの場合は85°で測定される場合、剥離ライナーの25単位以内である光沢またはマット仕上げを有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、光沢仕上げ(40単位~100単位など)を有する剥離ライナー150は、60°で測定される場合、剥離ライナー150の25単位以内、20単位以内、15単位以内、10単位以内、またはさらには5単位以内である光沢仕上げをコーティングされたフィルム100に付与するために利用され得る。追加の実施形態では、マット仕上げ(15単位~30単位など)を有する剥離ライナー150は、85°で測定される場合、剥離ライナー150の25単位以内、20単位以内、15単位以内、10単位以内、またはさらには5単位以内であるマット仕上げをコーティングされたフィルム100に付与するために利用され得る。
【0057】
例えば、1つ以上の実施形態では、コーティング120を備えるコーティングされたフィルム100の表面の少なくとも一部は、60°で40単位~100単位の光沢を有する。本明細書に記載されるように、光沢は、ASTM D2457規格を利用することにより測定される。追加の実施形態では、60°での光沢は、40単位~50単位、50単位~60単位、60単位~70単位、70単位~80単位、80単位~90単位、90単位~100単位、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。例えば、60°での光沢は、40単位~100単位、および少なくとも50単位、少なくとも60単位、少なくとも70単位、少なくとも80単位、少なくとも90単位、90単位以下、80単位以下、70単位以下、60単位以下、または50単位以下の範囲内であり得る。
【0058】
1つ以上の追加の実施形態では、コーティング120を備えるコーティングされたフィルム100の表面の少なくとも一部は、85°で15単位~30単位のマット仕上げを有する。本明細書に記載されるように、マット仕上げはまた、ASTM D2457規格を利用することにより測定される。追加の実施形態では、85°でのマット仕上げは、15単位~20単位、20単位~25単位、25単位~30単位、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。例えば、85°でのマット仕上げは、15単位~30単位、および少なくとも20単位、少なくとも25単位、25単位以下、または20単位以下の範囲内であり得る。
【0059】
本開示から明らかであるように、現在記載されているコーティングされたフィルムおよびそれを作製するための方法には多くの利点が存在し得る。特に、フィルム製造業者は、より少ない層を利用する、従来のフィルムと同様の光沢またはマット仕上げを有するフィルムを提供することができる。さらに、同じ材料(すなわち、ポリオレフィンフィルムおよびポリウレタン層)は、特定の剥離ライナーの選択により制御される様々な光学的仕上げを有するフィルムを形成するために利用され得る。
【0060】
ここで
図5および6を参照すると、1つ以上の実施形態によれば、コーティングされたフィルム100を形成するための本明細書に開示されるプロセスは、切開機器500上で実施され得る。切開機器500は、少なくとも積層フィルム巻き戻し装置540、剥離ライナー回収装置550、切断装置530、および複数のポリマー基板ストリップ巻き戻し装置(例えば、第1のポリマー基板ストリップ巻き戻し装置510および第2のポリマー基板ストリップ巻き戻し装置520)を備え得る。
図5および
図6は、1つ以上のローラーガイド580により決定され得る、機械方向に移動されるそれぞれのフィルム(
図5および6の矢印で識別される)を示すことを理解されたい。当業者は、そのようなローラーガイド580が切開処理のいくつかの態様を向上し得るが、いくつかの実施形態では任意であり得ることを理解するであろう。いくつかのローラーガイド580および他の開示されたスプールは機械的に駆動され得るが、他のものは他のローラーガイドおよび/またはスプールからの駆動力の下で自由に回転し得ることも理解されたい。さらに、
図6は、明確にするために、第1および第2のポリマー基板ストリップ巻き戻し装置510、520を互いにオフセットして示し、両方が上面図から見えるようにしていることを理解されたい。さらに、
図6では、破線は、上面図から露出されないであろうロールのエッジを示す。
【0061】
1つ以上の実施形態では、積層フィルム巻き戻し装置540は、積層フィルム542のロールを巻き戻すように動作可能であり得る。1つ以上の実施形態では、積層フィルム巻き戻し装置540は、積層フィルムスプール544に取り付けられ得る積層フィルム542のロールと共に回転する積層フィルムスプール544を備え得る。積層フィルムスプール544は、モーターまたは他の同様の機械的駆動装置により機械的に駆動されて、積層フィルム542のロールを回転し得る。1つ以上の実施形態によれば、積層フィルム542のロール上に示される矢印は、積層フィルム542のロールの回転方向を示していることを理解されたい。
【0062】
1つ以上の実施形態によれば、剥離ライナー回収装置550は、ポリマー基板から放出される剥離ライナー150を巻き取るように動作可能であり得る。本明細書に記載されるように、ポリマー基板は、例えば、本明細書に記載のコーティングされたフィルム100(
図5および6に示される)、または任意の他のコーティングされたもしくはコーティングされていないポリマーフィルムを含み得るか、またはそれらからなり得る。切開機器500は、現在記載されているコーティングされたフィルム100を形成することに関して記載されるが、コーティングを含まないものなどの他の積層システムで利用され得ることを理解されたい。1つ以上の実施形態では、剥離ライナー回収装置550は、剥離ライナー回収スプール554に取り付けられ得る剥離ライナー552のロールと共に回転する剥離ライナー回収スプール554を備え得る。剥離ライナー回収スプール554は、モーターまたは他の同様の機械的駆動装置により機械的に駆動されて、剥離ライナー552のロールを回転し得る。1つ以上の実施形態によれば、剥離ライナー552のロール上に示される矢印は、剥離ライナー552のロールの回転方向を示していることを理解されたい。
【0063】
1つ以上の実施形態では、剥離ライナー回収装置550は、800mm~1300mmのウェブ厚さを有する5ミクロン~50ミクロンの厚さのフィルムを巻き取るように設計され得る。いくつかの実施形態によれば、ロールコアは、3インチ(0.0762m)~6インチ(0.1524m)の直径を有し得る。剥離ライナー回収装置550の巻き取り張力は、0.5pli(ポンド/リニアインチ)(0.8755N/cm)~2.5pli(4.3775N/cm)であり得る。いくつかの実施形態では、剥離ライナー回復装置550は、非同期サーボモーターを備え得る。例えば、いくつかの実施形態では、SolPower SVM-100Lサーボモーターが使用に好適であり得る。しかしながら、当業者に既知であるように、モーターは、巻き取られる剥離ライナーのサイズおよび材料に基づく巻き取り電力要件などの様々なパラメータに基づいて選択され得る。
【0064】
図5に示されるように、剥離ライナー150は、積層フィルムが積層フィルムスプール544上の積層フィルム542のロール内にある間に、コーティングされたフィルム100から分離され得る。剥離ライナー回収スプール554および積層フィルムスプール544のそれぞれの回転は、コーティングされたフィルム100から剥離ライナーを分離するように機能し得る。剥離ライナー150は、積層フィルム542のロールから剥離ライナー552のロールまで運ばれ得る。コーティングされたフィルム100は、切断装置530に運ばれ得る。
【0065】
1つ以上の実施形態では、切断装置530は、機械方向に沿って少なくともコーティングされたフィルム100を切断するように動作可能であり得る。ここで、切開機器500の上面図を示す
図6、ならびに
図5を参照すると、切断装置530は、複数のブレード532または他の切断デバイス(例えば、レーザーなどの他の切断デバイスが企図される)を備え得る。切断装置530は、機械方向に沿って切断することにより、ポリマー基板100をストリップに分割し得る。この切断は、
図6に示される4つのストリップなどの複数のストリップを形成し得る。ストリップの数および幅は、材料組成および/または所望の最終用途など、完成したコーティングされたフィルムの様々な所望のパラメータに基づいて変化し得ることを理解されたい。切断装置530は、ポリマー基板の幅を横切って間隔を置いて配置された複数のブレードを備えることができ、ここで、「幅」は、機械方向に対して直角に(すなわち、
図6では垂直に)測定される。ブレードは、
図6に示されるように、機械方向に直角な線にほぼ一直線に配置され得る。しかしながら、当業者により理解されるように、切断装置の他の構成が企図される。
【0066】
複数のポリマー基板ストリップ巻き戻し装置510、520は、ポリマー基板100の1つ以上のストリップを巻き取るように動作可能であり得る。
図5および
図6に示されるように、コーティングされたフィルム100のストリップは、ポリマー基板ストリップ巻き戻しスプール514、524上に巻き取られ得る。したがって、コーティングされたフィルム100は、ポリマー基板512、522を備える複数のロールに巻き取られ得る。1つ以上のポリマー基板ストリップ巻き戻しスプール514、524は、各々回転して、コーティングされたフィルム100のストリップを複数のロール512、522に巻き取ることができる。各ポリマー基板ストリップ巻き戻しスプール514、524は、当業者および切開機器に精通している人々により理解され得るように、コーティングされたフィルム100の他のすべてのストリップのロールなどの複数のロールを含み得る。1つ以上の実施形態によれば、コーティングされたフィルム512、522のロール上に示される矢印は、剥離ライナー552のロールの回転方向を示していることを理解されたい。
図6は、明確にするために、第1および第2のポリマー基板ストリップ巻き戻し装置510、520を互いにオフセットして示し、両方が上面図から見えるようにしていることを理解されたい。
【実施例】
【0067】
本開示の1つ以上の実施形態を開示し得る実施例が本明細書に提供される。しかしながら、実施例は、以下に提供される特許請求される実施形態を限定するものと見なされるべきではない。
【0068】
実施例1-様々なポリウレタン組成を有するコーティングされたフィルムの製造
表1にポリウレタンシステムA~Eとして示されているポリウレタンシステムの5つの異なる配合物を、ポリエチレン(PE)共押し出しフィルムに適用し、次いで、厚さ25ミクロンを有する二軸配向ポリプロピレンフィルム(BOPP)に積層し、剥離ライナーとして機能させた。共押し出しされたポリエチレンは、表2に示されている層を有する5層の100ミクロンフィルムである。PE共押し出しフィルムは、ポリウレタンシステムが適用される側に印刷され、1.5ミクロンのグラフィックアート層を有する。剥離ライナーは、25ミクロンの厚さおよび60°で90~95単位の光沢を有する透明なBOPPフィルムである。BOPPへの積層は、BOPPフィルムの未処理側である。ポリウレタン層は、硬化後の厚さが1.8ミクロンである。硬化時間の後、BOPPは積層システムから離層(すなわち、除去)され、ポリエチレン共押し出しフィルムおよびポリウレタンコーティングのみが残る。光沢単位は、ASTM D2457に準拠しているBYK Gardner Micro-Tri-Gloss光沢計を使用して60°で測定される。光沢試験の結果を以下の表1に示す。システムEは3日後に高いタックを示すが、システムA、B、C、およびDは3日後に高いタックを有さない。
【0069】
ポリウレタンシステムA~EのNCOおよびOH部分を、「反応性部分V、W、およびX」ならびに「共反応性混合物YおよびZ」に従って表2に記載する。これらの成分の各々について、以下で詳述する。
【0070】
表1では、「反応性混合物V」は、68重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(異性体4,4 50%および2,4 50%)(The Dow ChemicalCompanyからISONATE50 OPとして市販されている)、26重量%のポリエーテルジオール(430の公称分子量)(The Dow Chemical CompanyからVoranol220-260として市販されている)、およびポリエーテルジオール(2000の公称分子量)(The Dow Chemical CompanyからVoranol 220-056Nとして市販されている)を含む。
【0071】
表1では、「反応性混合物W」は、36.2重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(異性体4,4 50%および2,4 50%)(The Dow Chemical CompanyからISONATE 125Mとして市販されている)、11.2重量%のポリカルボジイミド修飾ジフェニルメタンジイソシアネート(The Dow Chemical CompanyからISONATE 143Lとして市販されている)、9.6重量%のプロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、およびジエチレングリコール(ヒドロキシル基を含有する化合物)とアジピン酸(ジカルボン酸)との間のエステル化物(The Dow Chemical CompanyからADCOTE 111-43(BB)として市販されている)、2.96重量%のイソフタル酸およびアジピン酸(ジカルボン酸)とジエチレングリコール(ヒドロキシル基を含有する化合物)との間のエステル化物(The Dow Chemical CompanyからMOR-FREE 218(BB)として市販されている)、37.24重量%ポリオルポリエーテル(Poliol Polyether)(The Dow Chemical CompanyからPUP 4701 DRST204KGとして市販されている)、ならびに2.93重量%のヒマシ種子からの天然油(Vertellusからヒマシ油AA規格として市販されている)を含む。
【0072】
表1では、「反応性混合物X」は、55重量%のジフェニルメタンジイソシアネート(異性体4,4 50%および2,4 50%)(The Dow ChemicalCompanyからISONATE50 OPとして市販されている)および45重量%のポリエーテルジオール(1000の公称分子量)(The Dow Chemical CompanyからVoranol220-110nとして市販されている)を含む。
【0073】
表1では、「共反応性混合物Z」は、90重量%のヒマシ種子からの天然油(ヒマシ油AA規格、Vertellusから市販されている)、9.7重量%のトウモロコシ油、および0.3重量%のケイ素添加剤(DC57、Dow Corningから市販されている)を含む。「共反応性混合物Y」は、60重量%のヒマシ種子からの天然油(ヒマシ油AA規格、Vertellusから市販されている)、4.0重量%のトリメチロールプロパン、450の公称分子量を有する25重量%のポリエーテルジオール(The Dow Chemical CompanyからVORANOL CP 450ポリオールとして市販されている)を含んでいた。
【0074】
表1に示すように、光沢は各システムで測定され、ここで、光沢は60°でのASTM D2457試験規格を表す。ポリウレタンシステムAは、BOPP剥離ライナーの90~95単位の光沢を最も模倣した結果を示す。さらに、ポリウレタンシステムDは、良好な光沢マッチングを有する。
【表1】
【表2】
【0075】
実施例2-剥離フィルムのバリエーションに基づく手触り
実施例1と同じ方法で、いくつかのコーティングされたフィルムを様々な剥離ライナー組成で調製する。これらの剥離ライナーは、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエステル、マットBOPP、およびエンボス加工されたポリエチレンフィルムを含む。表3は、試験された剥離ライナーに利用された組成を示す。
【0076】
成形コーティングされたフィルムの光学系に関して、BOPPシステムはBOPPフィルムから高光沢を取得し、これは、約90~95単位の元の光沢を有する。一方、システムがエンボス加工されたLDPEフィルムなどの不透明フィルムと接触している場合、ポリウレタンは、ポリエチレンフィルムから低い光沢をコピーし、これは、40~45単位の元の光沢単位を有する。
【0077】
剥離ライナーとしてPETを使用する場合、両側に自然に高い表面張力が存在するため、硬化時間後に除去することはできない。ポリウレタンはPET表面に強く付着し、離層を意図するとフィルムを破壊する。
【0078】
マットなBOPPフィルムは、元々15単位の光沢を有する。離層後、PUはマット仕上げをコピーし、85°で21単位を示す。この結果は、ポリウレタンが接触する表面を模倣しているという理論を裏付ける。
【0079】
エンボス加工されたPE(処理なし)を剥離ライナーとして利用する場合、ポリウレタンは、フィルムがエンボス加工されたフィルムの谷の領域と一致する隆起領域および光沢領域を有する小さな領域でマット仕上げを示すことにより、元のフィルムのパターンをコピーする。
【表3】
【0080】
実施例3-コーティングされたフィルムの耐熱性
実施例1のコーティングされたフィルムを、ASTM 1921に基づく方法を使用して耐熱性について試験する。具体的には、40psi
(275.8kPa)および0.5秒に設定されたSencor密着機器を使用して、試験片を向かい合わせに密着させる。温度を120℃~180℃に上げる。表4は、耐熱性試験の結果を示す。表4において、「X」は試験片の溶融または切断を示し、「O」は試験片の耐熱性を示し、「S」は試験片が熱で収縮し始めたことを示す。
【表4】
【0081】
添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると認識されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【0082】
単数形を使用している特許請求の範囲および図面の組み合わせにおいて、複数形の可能性もまた含むことは明らかであろう。例えば、コーティング層への言及は、少なくとも1つのコーティング層への言及も暗黙的に含む。
【0083】
以下の特許請求の範囲のうちの1つ以上は、「ここで」という用語を移行句として利用していることに留意されたい。本発明を定義する目的で、この用語は、構造の一連の特徴の列挙を導入するために使用される制限のない移行句として特許請求の範囲に導入され、より一般的に使用される制限のないプリアンブル用語「を含む」と同様に解釈されるべきであることに留意されたい。
本出願の発明の例として、以下のものが挙げられる。
[1] コーティングされたフィルムを作製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
剥離ライナーの第1の表面が未硬化ポリウレタン前駆体と接触するように、ポリオレフィンフィルムと剥離ライナーとの間に前記未硬化ポリウレタン前駆体を塗布することであって、前記剥離ライナーの前記第1の表面が光学的仕上げを有する、塗布することと、
前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に配置された硬化ポリウレタン層を形成するために前記未硬化ポリウレタン前駆体を硬化させることであって、前記硬化が、前記硬化ポリウレタン層に、前記剥離ライナーの前記第1の表面の光学的仕上げと実質的に同様である前記光学的仕上げを付与する、硬化させることと、
前記ポリオレフィンフィルムおよび前記硬化ポリウレタン層を備える前記コーティングされたフィルムを形成するために、前記剥離ライナーを除去することと、を含む、プロセス。
[2] 前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に前記未硬化ポリウレタン前駆体を塗布することが、
前記未硬化ポリウレタン前駆体を前記ポリオレフィンフィルムに塗布することと、
剥離ライナーを前記ポリオレフィンフィルム上の前記未硬化ポリウレタン前駆体に塗布することと、を含む、上記[1]に記載のプロセス。
[3] 前記未硬化ポリウレタン前駆体が、少なくとも1つのバイオ系ポリオールを含むイソシアネート反応性成分を含み、
前記イソシアネート反応性成分中の前記バイオ系ポリオールが、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、上記[1]または[2]に記載のプロセス。
[4] 前記剥離ライナーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを含む、上記[1]~[3]のいずれかに記載のプロセス。
[5] 前記剥離ライナーの前記第1の表面が、34ダイン/cm以下の表面エネルギーを有する、上記[1]~[4]のいずれかに記載のプロセス。
[6] コーティングフィルムを作製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
前記コーティングフィルムが機械方向に平行移動するときに、未硬化のポリウレタン前駆体をポリオレフィンフィルムに塗布することと、
前記剥離ライナーの前記第1の表面が前記未硬化ポリウレタン前駆体と接触するように、コーティングフィルムが前記機械方向に平行移動するときに、前記剥離ライナーを前記未硬化ポリウレタン前駆体に塗布することであって、
前記剥離ライナーの前記第1の表面が、光学的仕上げを有し、
前記未硬化のポリウレタン前駆体が、前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に配置される、塗布することと、
前記ポリオレフィンフィルムと前記剥離ライナーとの間に配置された硬化ポリウレタン層を形成するために、前記未硬化ポリウレタン前駆体を硬化させることであって、前記硬化が、前記硬化ポリウレタン層に、前記剥離ライナーの前記第1の表面の光学的仕上げと実質的に同様である前記光学的仕上げを付与する、硬化させることと、
前記ポリオレフィンフィルムおよび前記硬化ポリウレタン層を備えるコーティングされたフィルムを形成するために、前記剥離ライナーを除去することであって、前記剥離ライナーが、前記コーティングされたフィルムが機械方向に平行移動するときに除去される、除去することと、を含む、プロセス。
[7] 前記未硬化ポリウレタン前駆体が、少なくとも1つのバイオ系ポリオールを含むイソシアネート反応性成分を含む、上記[6]に記載のプロセス。
[8] 前記イソシアネート反応性成分中の前記バイオ系ポリオールが、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、上記[6]または[7]に記載のプロセス。
[9] 前記剥離ライナーが、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはそれらの組み合わせを含む、上記[6]~[8]のいずれかに記載のプロセス。
[10] 前記剥離ライナーの前記第1の表面が、34ダイン/cm以下の表面エネルギーを有する、上記[6]~[9]のいずれかに記載のプロセス。
[11] 無溶媒ポリウレタン前駆体であって、
イソシアネート末端プレポリマーを含むイソシアネート成分であって、前記イソシアネート成分が、10%を超えるイソシアネート(NCO)含有量を有する、イソシアネート成分と、
少なくとも1つのバイオ系ポリオールを含むイソシアネート反応性成分であって、前記イソシアネート反応性成分中の前記バイオ系ポリオールが、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、イソシアネート反応性成分と、を含み、
前記無溶媒ポリウレタン前駆体が、1重量%未満の揮発性有機化合物を含む、無溶媒ポリウレタン前駆体。
[12] 前記イソシアネート成分が、13%~20%のイソシアネート(NCO)含有量を有する、上記[11]に記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。
[13] 前記バイオ系ポリオールがヒマシ油を含み、前記イソシアネート反応性成分中の前記ヒマシ油が、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも50重量%である、上記[11]または[12]に記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。
[14] 前記バイオ系ポリオールがヒマシ油を含み、前記イソシアネート反応性成分中の前記ヒマシ油が、前記イソシアネート反応性成分の重量に基づく重量で、少なくとも80重量%である、上記[11]~[13]のいずれかに記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。
[15] 前記無溶媒ポリウレタン前駆体が、0.1重量%未満の揮発性有機化合物を含む、上記[11]~[14]のいずれかに記載の無溶媒ポリウレタン前駆体。