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特許7352612電気部品の向上した燃焼性能のためのコーティング
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  • 特許-電気部品の向上した燃焼性能のためのコーティング 図1
  • 特許-電気部品の向上した燃焼性能のためのコーティング 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】電気部品の向上した燃焼性能のためのコーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230921BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20230921BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20230921BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20230921BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20230921BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230921BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230921BHJP
   C09K 21/12 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D163/00
C09D175/04
C09D133/00
C09D7/40
C09D7/61
C09D7/63
C09K21/12
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021202613
(22)【出願日】2021-12-14
(65)【公開番号】P2022094960
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】17/122,451
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519216253
【氏名又は名称】ティーイー、コネクティビティ、サービシーズ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TE CONNECTIVITY SERVICES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘモンド,ジェシカ エイチ ビー
(72)【発明者】
【氏名】デシュムク,ランジャン ディーパク
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-059180(JP,A)
【文献】特開平11-151463(JP,A)
【文献】特開2003-082291(JP,A)
【文献】特表2013-544308(JP,A)
【文献】特開2014-047342(JP,A)
【文献】特開2008-214463(JP,A)
【文献】特開2005-209489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/00
C09K 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品における向上した燃焼性能のためのコーティングであって、
前記コーティングは、担体、一次添加剤、および二次添加剤を含
前記担体は、塗料、ワニス、ポッティング材、または接着剤を含み、
前記一次添加剤は、熱伝導性かつ電気絶縁性添加剤および固体発泡材であり、
前記熱伝導性かつ電気絶縁性添加剤は、窒化ホウ素、アルミナ酸化物、およびそれらの混合物を含む群から選択され、前記二次添加剤は、メラミン・ホスフェート、ホウ酸亜鉛、チャー剤、およびそれらの混合物を含む群から選択される、コーティング。
【請求項2】
前記担体が、エポキシ、ポリウレタン、およびアクリルを含む群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記固体発泡剤が、熱可塑性ミクロスフェアを含む、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記チャー剤がクレイである、請求項に記載の組成物。
【請求項5】
向上した燃焼性能を有する電気部品であって、
前記電気部品は、担体、一次添加剤、および二次添加剤を含む調合物でコーティングされており
前記担体は、塗料、ワニス、ポッティング材、または接着剤を含み、
前記一次添加剤は、熱伝導性かつ電気絶縁性添加剤および固体発泡材であり、
前記熱伝導性かつ電気絶縁性添加剤は、窒化ホウ素、アルミナ酸化物、およびそれらの混合物を含む群から選択され、前記二次添加剤は、メラミン・ホスフェート、ホウ酸亜鉛、チャー剤、およびそれらの混合物を含む群から選択される、電気部品。
【請求項6】
前記電気部品がポリマーで形成されている、請求項に記載の電気部品。
【請求項7】
前記ポリマーがポリアミドである、請求項に記載の電気部品。
【請求項8】
前記電気部品が金属で形成されている、請求項に記載の電気部品。
【請求項9】
前記金属が銅である、請求項に記載の電気部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気過負荷発生中における火炎事象の開始を排除するまたは遅延させることによって、または火炎事象の場合の火炎高さを減少させることによって、電気部品の性能を高める、電気部品の燃焼性能を向上するためのコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業では、コネクタ等の電気部品がさまざまな用途で使用されている。安全性は、特に家電業界では、このような部品の重要な目標である。不適切な人間の使用、過電流、または有線電気部品内の短絡障害の可能性があるため、そのような部品の燃焼性能を判断するために防火要件が作られた。
【0003】
防火要件は、電子産業で使用される部品の燃焼性を評価および見積もるために、業界によって作られた。歴史的に、材料の燃焼性と耐火性を評価するために、多くの異なる方法が開発されてきた。これらの方法は、発火に抵抗し、炎を自己消火し(発火が発生する可能性がある場合)、火を伝播しない部品の傾向を比較する方法を提供する。これらの方法は、直接火炎試験と間接火炎試験の両方を含む。このような間接火炎試験方法の例は、UL749のニクロムワイヤ試験である。このような方法の別の例は、IEC60695-2-11(2.0版;2014-02)のグローワイヤ試験である。
【0004】
ニクロムワイヤ試験は、過熱電気接続の影響をシミュレートする。UL749試験では、11アンペアの電流がコネクタの上部に20分間置かれるニクロムワイヤに供給される。発火(または点火、または着火;ignition)までの時間と火炎の持続時間が記録される。炎の高さも測定される。試験中のどの時点でも、試験片の上部から50.0mmを超える高さで試験片から炎が発生しなければ、サンプルは試験に合格する。
【0005】
IEC60695-2-11のグローワイヤ試験は、最終製品でグローワイヤ試験を実行する際に使用される。グローワイヤ試験は、エレメントを所定の温度に加熱することによって実行される。試験するサンプルは所定の位置に固定され、ティッシュペーパーをサンプルの下に配置する。所定の温度に達した後、加熱されたエレメントを1Nの設定力で30秒間サンプル材料に押し込む。サンプルが発火しない場合、または加熱された要素を取り外してから30秒以内に自己消火する場合、サンプルは試験に合格する。また、液だれが発生した場合、サンプルがティッシュペーパーに発火しない場合がある。
【0006】
安全上の理由から、電気部品はこれらの試験と同様に他の業界の安全試験に合格することが望ましい。電気部品は環境にリスクをもたらす。高抵抗の可能性がある高電流密度は、部品の局所的な加熱を引き起こし、場合によっては炎を引き起こす可能性がある。ハロゲン化難燃剤は、過去に部品の難燃性を向上させるために電気部品に追加されてきた。米国特許公開番号2019/0112455A1は、電気パーツおよび部品で使用できるポリアミド組成物へのハロゲン含有難燃剤の添加について説明している。難燃性には役立つけれども、より環境に優しい製品に向かうトレンドがあるため、ハロゲン化難燃剤は好ましくない場合がある。
【0007】
米国特許公開番号2014/0371357A1は、IEC60335に準拠する無人家電の充電部で使用するプラスチック部品について説明する。この部品は、熱可塑性ポリアミドポリマー、10~40重量%のガラス繊維、10~40重量%のメラム、および0~15重量%のハロゲンフリー難燃剤を含むハロゲンフリー難燃剤組成物から作られている。しかしながら、コネクタの性能要件は燃焼性だけではない。ガラスと難燃剤の負荷が高いと、伸び等の他の特性が低下し、特定の最終用途に適合しない材料になる可能性がある。
【0008】
多くの場合、部品はUL-94の直火試験に合格し得るが、ニクロムワイヤ試験またはグローワイヤ試験のいずれの要件も満たしていない場合がある。さらに、これらの試験を達成するためにそのような部品に従来のまたはより新しい非ハロゲン難燃剤を添加することは、部品の処理または成形に悪影響を与える可能性があり、望ましくない。
【0009】
安全性の進歩にもかかわらず、ポリマー製(またはポリマー品;made from polymer)か金属製(または金属品;made from metal)かにかかわらず、コネクタ等の電気部品に使用できる選択的に塗布されたコーティング組成物が依然として必要であり、これにより、火炎事象の開始を排除または遅延させ、火炎事象の場合には炎の高さを減少させる。そのような組成物は、向上した燃焼性能を有するであろう。このコーティングは、金属シールド等の外部部品と比較して、ずれたり失われたりしないという利点もある。
【0010】
したがって、IEC60695-2-11の高性能グローワイヤ試験およびニクロムワイヤ試験に適合するような、電気コネクタの性能を向上させる、好ましくは低ハロゲンまたはハロゲンフリーのコーティング組成物が必要である。このコーティングは、電気コネクタの複数の表面/部品に簡単に塗布できる。例えば、コネクタは、ハウジングまたはカバー等のポリマーから形成されている部品を有し得る。同様のコネクタはまた、本発明のコーティング組成物でコーティングすることができる端子等の金属部品を有し得る。コーティング組成物は、好ましくは両方に適用できるべきである。
【発明の概要】
【0011】
一実施形態は、担体(またはキャリア;carrier)、一次添加剤、および二次添加剤を含むコーティング組成物に関する。コーティングは、電気部品(または電気品;electrical)において向上した(または改善した;improved)燃焼性能(または可燃性性能;flammability performance)を付与するために使用できる。
【0012】
一実施形態は、向上した(または改善した;improved)燃焼性能を有するコーティングを有する電気部品に関し、コーティングは、担体、一次添加剤を含み、二次添加剤を含み得る。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を例示する添付の図面と併せて、好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明による3つの異なるコーティングサンプルの平均発火時間を、同じ材料のコーティングされていないサンプルと比較した試験結果を示すグラフである。
【0015】
図2図2は、図1と同じサンプルの平均火炎高さを示し、同じ基材のコーティングされていないサンプルと比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の原理による例示的な実施形態の説明は、添付の図面に関連して読むことを意図しており、これらは、書面による説明全体の一部と見なされるべきである。本明細書に開示された本発明の実施形態の説明において、方向または方向への言及は、単に説明の便宜のために意図されており、本発明の範囲を限定することを何ら意図されていない。「下方(lower)」、「上方(upper)」、「水平(horizontal)」、「垂直(vertical)」、「上(above)」、「下(below)」、「上(up)」、「下(down)」、「上部(top)」、「下部(bottom)」等の相対的な用語、およびそれらの派生語(例えば、「水平方向(horizontally)」、「下向き(downwardly)」、「上向き(upwardly)」等)は、その時点で説明されている方向、または検討中の図面に示されている方向を参照するように解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためだけのものであり、そのように明示的に示されない限り、装置が特定の方向で構築または操作されることを必要としない。「付属」、「貼付」、「接続」、「結合」、「相互接続」等の用語は、他に明示的に記載されていない限り、構造物が、介在する構造物を介して直接的または間接的に互いに固定または取り付けられる関係、および可動または剛体の両方の付属物または関係を意味するものである。
【0017】
さらに、本発明の特徴および利点は、好ましい実施形態を参照して説明されている。したがって、本発明は、単独でまたは他の組み合わせで存在し得る特徴のいくつかの可能な非限定的な組み合わせを例示するそのような実施形態に明示的に限定されるべきではなく、本発明の範囲は、本明細書に添付される請求項によって定義される。
【0018】
本発明は、電気部品に使用され、そのような部品に対して向上した燃焼性能を提供する新規のコーティングに関するものである。新規なコーティングは、一次添加物および二次添加物を備える担体を含んで成る。新規なコーティングは、ポリマーおよび金属の両方の電気部品に使用することができ、そのような部品に向上した燃焼性能を付与することができる。このような部品の例としては、ポリマー部品と金属部品の両方を有する電気コネクタが挙げられる。ポリマー部品の例としては、ポリアミドを用いたものを含む。金属部品の例としては、銅または銅合金でできたものがある。コーティングされる部品の壁の厚さは様々であるが、理想的には約0.4mm~1mmの範囲である。
【0019】
本発明のコーティング組成物に使用される担体は、一般的に、塗布で容易に使用できるものである。これらの担体は、ポットライフ(または可使時間;pot life)が短くなく、または塗布プロセス中に硬化しやすいものではなく、タックフリー(または不粘着時間、または指触乾燥時間;tack free)になるまでの時間が短くあるべきである。必要であれば、添加剤の性能に影響を与えたりせず、またはベースとなる構成要素の温度能力から見て過剰な熱を必要としたりしない程度の低い温度でコーティングすべきである。適切な担体は、塗料、ワニス、ポッティング材および/または他の接着剤を含む。好ましくは、担体は、エポキシ、ポリウレタンまたはアクリル等の構成要素によく接着する材料を含んで成る。担体は、エポキシ、ポリウレタンまたはアクリルの混合物も含んで成ることができる。所望の用途に使用する特定の担体を決定することは、所望の最終結果に依存し、当技術分野における通常の当業者の技術の範囲内で十分である。適切な担体の例としては、シールド・インダストリー株式会社(Shield Industries,Inc.)から入手可能なファイアガード(Fireguard)E-84コーティング、およびフレーム・コントロール・カンパニー・LLC(Flame Control Company,LLC)から入手可能なテンパ―コート(Temperkote)600、テンパ―コート(Temperkote)805およびテンパ―コート(Temperkote)850コーティングが挙げられる。電気部品への適用に適した担体の粘度になるように、担体は、水、溶媒、またはファイアフリーズ・ワールドワイド株式会社(Firefreeze Worldwide,Inc.)のファイア・ブロック(Fire Block)難燃剤等の他の添加剤のような追加の薄化剤を含んでもよい。これらの薬剤は、最終的なコーティングにほとんど残らないプロセス添加剤であってもよく、より優れた性能に寄与する有効成分を有していてもよい。一般に、コーティング組成物には、塗料やワニスのような速乾性で初期粘度が低く、保存期間が長い担体を使用することが好ましい。
【0020】
コーティング組成物の一部である一次添加剤は、熱伝導性電気絶縁性添加剤、または固体発泡剤(または固体状態発泡剤;solid-state foaming agents)およびそれらの混合物を含む。一実施形態では、2つの一次添加剤がコーティング組成物に使用される。熱伝導性電気絶縁性添加剤は、窒化ホウ素または酸化アルミニウム(または酸化アルミナ;alumina oxide)、または担体に組み込むことができ、電気部品の特性を損なわない熱伝導性および電気絶縁性を示す任意の他の材料を含む。また、一次添加剤は、固体発泡剤も含む。固体発泡剤の例としては、ヌーリオン(Nouryon)社のエクスパンセル(Expancel)461 DU20、エクスパンセル(Expancel)909 WU80、エクスパンセル(Expancel)920 WUF等の熱可塑性ミクロスフェアが挙げられる。好ましくは、熱伝導性電気絶縁性添加剤は、全コーティング組成物の約1~5%(公称%)の範囲である。また、固体発泡剤は、好ましくは、コーティング組成物の5~10%(公称%)の範囲である。コーティング組成物中の一次添加剤の量は、コーティングの約5~約15%(公称%)の範囲である。
【0021】
一次添加剤に加えて、コーティングは二次添加剤を含み得る。二次添加剤は、二次難燃剤、相乗剤(または協力剤、または相乗添加剤、またはシナジスト;synergists)、チャー剤、およびそれらの混合物を含む。二次難燃剤の例としては、BASF社のメラプール(Melapur)200のようなメラミン・ポリホスフェートがある。相乗剤の例としては、ホウ酸亜鉛が挙げられる。チャー剤(または焦げ付き防止剤、または残炭材;char agent)の例は、クレイ(または粘土;clay)である。適切なクレイの例としては、トルサ社から入手可能な、第4級アンモニウム塩をベースとした有機変性高純度超微細かつ天然由来の針状ケイ酸塩であるアディンス・クレイ(ADINS Clay)20が挙げられる。二次添加剤の量は、コーティング組成物の約5~10%(公称%)の範囲であることができる。このような添加剤が担体に含まれている場合、コーティング組成物における二次添加剤の添加は必要ではない。
【0022】
コーティングの一実施形態では、メラミン・ポリホスフェートは、コーティングの2~10%(公称%)の範囲である。本実施形態における相乗剤は、コーティングの1~3%(公称%)であり、およびクレイはコーティングの0.5~2%(公称%)である。熱伝導性電気絶縁性添加剤は、コーティングの1~3%(公称%)であり、および固体発泡剤は5~10%(公称%)である。これらの成分はすべて、コーティング組成物の約90~約96%(公称%)の範囲で、エポキシ担体に含まれている。
【0023】
他の添加剤をコーティングに添加して、所望の結果を達成することができる。そのような他の添加剤の例は、可塑剤、安定剤、加工助剤、顔料および他の充填剤を含む。一次添加剤および二次添加剤を含むコーティング中のすべての添加剤は、コーティングによってコーティングされた任意の成分の標準的な使用温度に耐えることができなければならない。標準的な使用温度は最終用途によって異なるが、通常は少なくとも105℃である。
【0024】
コーティングは、固体発泡剤および熱伝導性添加剤を使用して、電気部品のポリマー部品への熱の伝達を低減および/または遅延させるように配合されるものと考えられる。二次添加剤の一部としてのチャー剤の添加は、火炎が発生した場合に火炎の高さを低くできる。これらの成分の組み合わせは、そのようなコーティング組成物でコーティングされた電気部品において向上した燃焼性能を与えるコーティング組成物をもたらす。
【0025】
本発明のコーティングは、担体を一次添加剤と混合し、次いで二次添加剤を添加することによって配合される。一実施形態では、コーティングの成分は、フラックテック(FlackTek)ミキサー等の高速ミキサーで混合される。担体中に添加剤を均一に分散できる他の任意のミキサーを使用することができる。あるいは、二次添加剤は、一次添加剤と混合するに先立って担体に配合することができ、またはその逆も可能である。すべての添加剤を共に混合し、次いで担体に混合することができる。
【0026】
担体を一次添加剤および二次添加剤と混合する時間は、添加剤自体に依存する。そのような混合の正確な条件は、当業者の通常の技術範囲内に十分である。
【0027】
本発明の新規なコーティング組成物は、ブラシによって、電気コネクタのポリマーまたは金属の電気部品のいずれかに塗布できる。その他の塗布方法は、スプレー、2D印刷、浸漬等がある。コーティングを塗布するために使用される方法は、コーティングされる最終成分に依存し、当業者の通常の技術範囲内で十分である。コーティングの厚さはさまざまであるが、所望の向上した燃焼性能を達成することができるような厚み、1mm未満であることが好ましい。
【0028】
本発明のコーティング組成物のいくつかの異なるサンプルを配合し、試験した。コーティングされていないサンプルは、UL94V0定格の市販のポリアミドから作製される。サンプル1では、使用したコーティングの調合物(または配合物;formulation)は以下の通りである。5%(公称%)エクスパンセル(Expancel)461DU20ミクロスフェア(微小球;microsphere)、5%(公称%)メラプール(Melapur)200、2.5%(公称%)クレイ、2.5%(公称%)ホウ酸亜鉛をファイアガード(Fireguard)E-84ペイントの担体中に入れたもの。サンプル2は、コーティング調合物は以下の通りである。10%(公称%)エクスパンセル(Expancel)909WU80ミクロスフェア、5%(公称%)メラプール(Melapur)200メラミン・ポリホスフェート、2.5%(公称%)クレイ、2.5%(公称%)ホウ酸亜鉛、5%(公称%)アルミナ酸化物に残部、キャリアを有するもの。このサンプル2の担体は、テンパ―コート(Temperkote)850耐熱プライマーである。サンプル3の最終調合物では、10%(公称%)エクスパンセル(Expancel)909WU80ミクロスフェア、5%(公称%)メラプール(Melapur)200メラミン・ポリホスフェート、2.5%(公称%)クレイ、2.5%(公称%)ホウ酸亜鉛および5%(公称%)酸化アルミナを担体と混合した。このサンプル3では、担体はテンパ―コート(Temperkote)850耐熱プライマーである。
【0029】
図1は、ポリアミドハウジングおよびコーティングされていないポリアミドハウジングの様々なコーティング調合物の比較を示す。図1は、発火なしまたは長い発火時間、および該当する場合、火炎の高さに基づいて、コーティングがUL749によって評価された結果を示す。グラフは、UL749試験を使用したサンプルの平均発火を示めす。試験から、コーティングされていないすべてのサンプルが発火した。サンプル3のコーティングはまったく発火しなかった。
【0030】
図2は、ポリアミドハウジングおよびコーティングされていないポリアミドハウジングの様々なコーティング調合物の比較を示している。図2は、低い火炎高さが好まれた結果を示している。炎の高さが低いと、コネクタからデバイスの他の部分に火が広がるリスクが軽減される。グラフは、UL749に従って試験されたサンプルの平均火炎高さを示す。再度、コーティングされていないサンプルはすべて発火した。この場合も、サンプル3のコーティングは発火しなかった。
【0031】
当業者は、本発明が、構造、配置、比率、サイズ、材料および構成要素の多くの変更とともに使用され得、さもなければ、出発することなく特定の環境および操作要件に特に適合される本発明の実施において使用され得ることを理解するであろう。本発明の原理から。したがって、現在開示されているものは、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、前述の説明または実施形態に限定されない。
図1
図2