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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】可撓性リチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20230921BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230921BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20230921BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20230921BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20230921BHJP
   H01M 50/178 20210101ALI20230921BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0566
H01M10/0565
H01M10/0562
H01M4/62 Z
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/587
H01M10/052
H01M10/0583
H01M10/0587
H01M50/105
H01M50/178
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021509213
(86)(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2019049923
(87)【国際公開番号】W WO2020051432
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】62/727,922
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/560,731
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517090303
【氏名又は名称】ナノシンセシス・プラス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】ハルチュンヤン アヴェティク アール.
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ オレグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ピゴス エレナ モラ
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138777(JP,A)
【文献】特開2016-054113(JP,A)
【文献】国際公開第2017/199884(WO,A1)
【文献】特開2017-212208(JP,A)
【文献】特開2020-123569(JP,A)
【文献】特表2015-518644(JP,A)
【文献】特開2016-004786(JP,A)
【文献】特開2016-154138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 10/0566
H01M 10/0565
H01M 10/0562
H01M 4/62
H01M 4/38
H01M 4/40
H01M 4/48
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 4/587
H01M 10/052
H01M 10/0583
H01M 10/0587
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体、ゲル、固体、またはそれらの組合せを含む電解質と、
1つまたは複数の電極であって、
カーボンナノチューブの三次元架橋ネットワーク内にアノード活物質粒子を含む複合材料を含む1つまたは複数の可撓性アノードと、
カーボンナノチューブの三次元架橋ネットワーク内にカソード活物質粒子を含む複合材料を含む1つまたは複数の可撓性カソードと、
を含む1つまたは複数の電極と、
電池を形成するために、前記1つまたは複数の可撓性アノードと前記1つまたは複数の可撓性カソードとの間に配置された1つまたは複数の可撓性セパレータ膜と、
を備える、可撓性リチウムイオン電池であって、
前記電池は可撓性パウチの内側にあり、前記可撓性パウチは、前記電池を内部に保持するように機能する外部パッケージング材料を含
前記可撓性セパレータ膜に面して、接触しているそれぞれの前記電極の表面上の前記カーボンナノチューブの濃度は、5~100重量%であり、
前記電極のバルク中の前記カーボンナノチューブの濃度は、0.5~10重量%であり、
前記可撓性セパレータ膜とは反対側を向き、前記可撓性セパレータ膜と接触していないそれぞれの電極の表面上のカーボンナノチューブの濃度は、1重量%以下である、可撓性リチウムイオン電池。
【請求項2】
前記電池は集電体を含まない、請求項1に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項3】
前記電池はバインダを含まない、請求項1に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項4】
前記1つまたは複数の電極が、1つまたは複数の電極の本体から前記可撓性セパレータ膜を越えて延在するそれぞれの突起部の少なくとも1つに、あるいは前記可撓性セパレータ膜の切り欠きにある1つまたは複数の電極および1つまたは複数の対向する電極の前記本体に取り付けられた電池タブをさらに備える、請求項1に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項5】
前記外部パッケージング材料は、可撓性材料、伸縮性材料、ねじれ可能材料、ウェアラブル材料、移植可能材料、生体適合性材料、しわのない材料、防水材料、耐久材料、断熱材料、およびそれらの任意の組合せおよび層を含む、請求項1に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項6】
2つ以上の電池タブが前記可撓性パウチを越えて延在し、前記2つ以上の電池タブが前記可撓性パウチの外側に電流を提供するように機能する、請求項4に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項7】
前記可撓性パウチを越えて延在する2つ以上の電池タブ延長部をさらに備え、前記2つ以上の電池タブ延長部は、それぞれが電池タブにそれぞれ取り付けられる、請求項4に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項8】
前記電池は、前記可撓性パウチの内側で、長さまたは幅に沿って1回または複数回折り畳まれている、請求項1に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項9】
曲げ構成、巻き構成、または折り畳み構成の前記可撓性リチウムイオン電池の充放電容量が、フラット構成にある前記可撓性リチウムイオン電池の充放電容量の75~100%である、請求項1に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項10】
前記アノード活物質粒子は、グラファイト、シリコン、天然グラファイト、人工グラファイト、活性炭、カーボンブラック、高性能粉末グラフェン、またはそれらの組合せを含み、前記カソード活物質粒子は、リチウム金属酸化物、金属リチウム、(LiNiMnCo、x+y+z=1)、Li(Ni,Mn,Co)O、Li-Ni-Mn-Co-O、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の可撓性リチウムイオン電池。
【請求項11】
濃度5~100重量%のカーボンナノチューブを収集するステップと、
濃度0.5~10重量%のカーボンナノチューブを収集するステップと、
度1重量%以下のカーボンナノチューブを収集して、第一の外面に5~100重量%のカーボンナノチューブと、バルクの中に濃度0.5~10重量%のカーボンナノチューブと、第二の外面に濃度1重量%以下のカーボンナノチューブと、を備える可撓性自立電極を形成するステップと、
を含む、可撓性自立電極を製造する方法。
【請求項12】
可撓性セパレータ膜を5~100重量%のカーボンナノチューブを含む前記第一の外面に取り付けるステップをさらに含み、前記5~100重量%のカーボンナノチューブは前記可撓性セパレータ膜に接着するように機能する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プレス装置で前記可撓性自立電極をプレスするステップをさらに含み、前記可撓性セパレータ膜および前記濃度1重量%以下のカーボンナノチューブは前記可撓性自立電極が前記プレス装置に接着するのを防止するように機能する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、「可撓性リチウムイオン電池」と題され、2018年9月6日に出願された米国仮出願第62/727,922号、および「可撓性リチウムイオン電池」と題され、2019年9月4日に出願された米国出願第16/560,731号に基づく優先権を主張する。両出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(共同研究契約)
本発明は、共同研究契約で以下に列挙された当事者によって、またはその代理としてなされた。共同研究契約は、特許請求される発明がなされた日またはそれ以前に有効であり、特許請求された発明は、共同研究契約の範囲内で行われた活動の結果としてなされた。共同研究契約の当事者は、1)Honda Research Institute USA, Inc.および2)NanoSynthesis Plus, Ltd.である。
【0003】
本開示は、電池に関し、より具体的には、可撓性材料で作られた電池に関する。
【背景技術】
【0004】
ウェアラブルデバイス、ヘルスケア、化粧品、ウェアラブル医療センサおよび薬物送達デバイス、携帯用電子機器、スマートパッケージング、およびRFIDの最近の激しい開発に伴い、その他の用途の中でも、高エネルギー密度を備えた薄い可撓性電池を開発することは、それぞれのデバイスに適切な電力を供給するための本質的な課題となっている。デバイスに応じて、これらの電池は、現在の電子機器に適した電位(V範囲)を提供するだけでなく、幅広い用途をカバーするために、μWhからkWhまでのエネルギーを備えている必要がある。しかしながら、これらの新しい用途では、電気的パラメータとは別に、電池が可撓性を有し、薄く、伸縮可能で、巻くことが可能で、曲げ可能で、折り畳み可能であり、微小領域も広い領域もカバーする必要がある。これらの特徴は、電極が金属箔などの集電体に印刷される一般的な電池設計でも、コイン、円筒形セル、または角柱状セルなどの剛性のある筐体にカプセル化された電池用でも、実現が困難である。したがって、ウェアラブルデバイスのこの急速に出現してきた分野で、電力を供給する電池の新しい設計と材料が必要となっている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、電池に関し、より具体的には、可撓性材料で作られた電池に関する。いくつかの変形例では、本開示は、カーボンナノチューブの三次元架橋ネットワーク内に1nm以上のサイズ範囲のアノード活物質(グラファイト、シリコン、所与のカソード材料の電圧に一致する任意の多孔質材料、天然グラファイト、人工グラファイト、活性炭、カーボンブラック、高性能粉末グラフェンなど)粒子を含む複合材料を含む可撓性アノードと、カーボンナノチューブの三次元架橋ネットワーク内にカソード活物質(リチウム金属酸化物、金属リチウムなど)粒子を含む複合材料を含む可撓性カソードと、アノードとカソードとの間に配置された可撓性セパレータ膜と、を備える可撓性リチウムイオン電池に関し、可撓性セパレータ膜は、長さ、幅、厚さ、および少なくとも1つの縁によって特徴付けられ、電池はパウチセルに封入される。
【0006】
いくつかの態様において、電池は、集電体を含まず、完全に調製されたアノードと完全に調製されたカソードとの間に、セパレータ膜を配置することによって組み立てられ、さらにプレスする必要はない。
【0007】
いくつかの態様において、電池は、集電体を含まず、事前にプレスされたアノードと事前にプレスされたカソードとの間にセパレータを配置し、任意選択でタブに取り付けられ、任意選択で埋め込まれたタブアタッチメントを含み、一緒にプレスする。
【0008】
いくつかの態様において、電池は、集電体を含まず、プレスされていないアノードとプレスされていないカソードとの間にセパレータ膜を配置することによって組み立てられ、アノードおよびカソードは、それぞれ独立して、任意選択で、埋め込まれた電池タブアタッチメントを含み、次いで、組み立てられたアノード、セパレータ、およびカソードをプレスする。
【0009】
いくつかの態様において、電池は、集電体を含まず、プレスされていない第一の電極と事前にプレスされた第二の電極との間にセパレータ膜を配置することによって組み立てられ、次いで、組み立てられたアノード、セパレータ、およびカソードをプレスする。
【0010】
いくつかの態様において、セパレータに面するそれぞれの電極の表面上のカーボンナノチューブの濃度は、電極のバルクの中の濃度(0.5~10重量%のナノチューブ)よりも高く(5~100重量%のナノチューブ)、一方、セパレータとは反対側を向くそれぞれの電極の表面上のカーボンナノチューブの濃度は、それぞれの電極のバルクの中の濃度よりも低く(0~1重量%のナノチューブ)、電池は、集電体を含まない。
【0011】
いくつかの態様において、電極の総厚は、プレスによって、1.1分の1から5分の1に減り、電池は集電体を含まない。
【0012】
いくつかの態様において、1つまたは複数の電極は、電極の本体からセパレータを越えて延在するそれぞれの突起部の少なくとも1つ、あるいはセパレータ膜の切り欠きにある電極および対向する電極の本体に取り付けられた電池タブをさらに備える。
【0013】
いくつかの態様において、電池は、1つまたは複数の埋め込まれた電池タブアタッチメントをさらに備え、そのそれぞれがセパレータ膜の縁を越えてそれぞれの電極から延在し、それらのいくつかがパウチセルの外側に延在し、電池は集電体を含まない。マルチセル構成では、複数のアノードからのタブアタッチメントは、通常、セルパッケージの内側の単一のタブに一緒に溶接され、この単一のタブのみがセルパッケージの外側に配置される。同じことは、複数のカソードに対しても行われる。
【0014】
いくつかの態様において、電池タブは、電池の外側に電流を供給するためにパウチセルを越えて延在し、電池は、集電体を含まない。
【0015】
いくつかの態様において、パウチセルは、ポリマーパウチセルであり、電池は、集電体を含まない。
【0016】
いくつかの態様において、電池は単一セル構成であり、電池は、集電体を含まない。
【0017】
いくつかの態様において、電池はマルチセル構成であり、電池は、集電体を含まない。
【0018】
いくつかの態様において、電池は、液体、ゲル、または固体電解質をさらに含み、電池は、集電体を含まない。
【0019】
いくつかの態様(図3A図3Bに示されるような)において、1つまたは複数の電極は、1つまたは複数の電極の両面上のセパレータ膜と接触しており、1つまたは複数の電極の両面は、1つまたは複数の電極のバルクの中のナノチューブ含有量と比較して、ナノチューブ含有量が増加し、電池は集電体を含まない。この配置は、単一セル構成または複数セル構成のいずれかで存在する可能性があり、セパレータ膜の追加の層をセルの外側に追加して(図3A)、セルの機械的完全性を改善し、セルは、曲げたり、ねじったり、または同様の動作をしているときに、パッケージに対してスライドしやすくなる。そのような追加の層は、電極材料を一緒に保持し、電極からの活物質粒子の「洗い流し」を防止または低減すると考えられている。マルチセル構成の内部電極では、この配置は、常に存在する。両外側にセパレーターメンブレンが取り付けられたセルも、電池の組み立て/カプセル化の際に、扱いやすい場合がある。
【0020】
いくつかの態様において、セルアセンブリは、パウチセルにカプセル化される前に、フラットにカプセル化されるか、または1回または複数回折り畳まれ、電池は、集電体を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】本開示のいくつかの態様に従って、電池の単一セル構成の概略図を示す。
図1B】本開示のいくつかの態様に従って、電池のマルチセル構成の概略図を示す。
図2A】LEDデバイスに接続された本開示のいくつかの態様に従うパウチ電池を示し、パウチ電池がフラット構成で、図で示されている。
図2B】LEDデバイスに接続された本開示のいくつかの態様に従うパウチ電池を示し、パウチ電池がフラット構成で、写真で示されている。
図2C】LEDデバイスに接続された本開示のいくつかの態様に従うパウチ電池を示し、パウチ電池が巻き構成で、図で示されている。
図2D】LEDデバイスに接続された本開示のいくつかの態様に従うパウチ電池を示し、パウチ電池が巻き構成で、写真で示されている。
図3A】本開示のいくつかの態様に従って、電池の単一セル構成の概略図を示す。
図3B】本開示のいくつかの態様に従って、電池のマルチセル構成の概略図を示す。
図4A】本開示のいくつかの態様に従って、両側にセパレータ膜を備えた好ましい電極層構造の概略断面図を示す。
図4B】本開示のいくつかの態様に従って、片側のみにセパレータ膜を備えた好ましい電極層構造の概略断面図を示す。
図5】本開示のいくつかの態様に従う電池を、折り畳み構成で示す。
図6】本開示のいくつかの態様に従って、マルチセルで折り畳まれた実施形態のいくつかの例のための好ましい可撓性自立電極スタッキングスキームを示す。
図7】本開示のいくつかの態様に従って、マルチセルで折り畳まれた実施形態のいくつかの例のための好ましい可撓性自立電極スタッキングスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、カーボンナノチューブの三次元架橋ネットワーク内にアノード活物質(グラファイト、シリコンなど)粒子を含む複合材料を含む可撓性アノードと、カーボンナノチューブの三次元架橋ネットワーク内にカソード活物質(リチウム金属酸化物、金属リチウムなど)粒子を含む複合材料を含む可撓性カソードと、アノードとカソードの間に配置された可撓性セパレータ膜と、を備える可撓性リチウムイオン電池に関する。いくつかの態様によれば、カーボンナノチューブの三次元架橋ネットワークは、ウェブ状形態、不織布、非規則的、または非体系的な形態、あるいはそれらの組合せを有することができる。いくつかの態様において、電池は集電体を含まない。いくつかの態様において、カソード、アノード、およびセパレータは、パウチセルに封入される。このパウチセル筐体は、適切な可撓性を有する。いくつかの態様において、パウチセルは、ポリマーパウチセルであり得る。
【0023】
電池の電極は、カソード用のアルミニウムやアノード用の銅などの集電体箔によってサポートされておらず、砕けたり剥がれたりする可能性のあるバインダを含んでいない。代わりに、電極は自立型である。特定の理論に拘束されることを望まないが、カーボンナノチューブウェブ中に複数のカーボンナノチューブが存在することにより、電極は自立し、可撓性を有する。そして、可撓性電極は、可撓性電池が実現する。LEDに接続された場合、本開示による電池は、長方形のパウチセル内で、様々な電池軸に沿って広範囲(180°未満または180°超の角度)で、曲げても、巻いても、折り畳んでも、首尾よく動作する。
【0024】
リチウムイオン電池の集電体は、例えば、アノードの銅箔またはカソードのアルミ箔であり、これらは両方とも、電極と外部回路との間の導電体としても、集電体上の電極材料のコーティングの支持体としても機能し、電極の長さと幅にまたがることができる。金属箔の破壊と集電体からの活物質の剥離は、可撓性電極と可撓性電池にとって問題となっている。本明細書で使用される場合、「集電体を含まない」とは、金属または箔の集電体がない電池または電極を指す。図1A図1B図3A図3B、および図5に非限定的な例として示されている電池タブのように、電極に取り付けられた電池タブは集電体ではないことを理解されたい。本明細書で使用される場合、「可撓性」を有する電極とは、ひび割れまたは破損することなく曲げることができる。当業者に知られているように、可撓性は、1つまたは複数の化学的要因および/または材料的要因に依存し得るが、組成および圧縮の程度を含むがこれらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当業者によって理解されるものに近いと定義される。1つの非限定的な実施形態において、「約」という用語は、10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、そして最も好ましくは0.5%以内であると定義される。
【0026】
さらに、バインダレス、コレクタレス自立電極の厚さは、プレスによって変更することができ、これにより、全体の厚さを最大で5分の1に減らすことができ、例えば、約4分の1、約3分の1、約半分、約1.5の1、約1.1分の1、またはその間の任意の範囲に減らすことができる。例えば、100μmの厚さのバインダレス、コレクタレス自立電極は、50μmの厚さにプレスすることができ(すなわち、全体の厚さを半分に減らす)、あるいは厚さ500μmのバインダレス、コレクタレス自立電極は、100μmの厚さにプレスすることができる(つまり、全体の厚さを5分の1に減らす)。いくつかの態様において、押すことは全体の厚さを半分に減らす。いくつかの態様において、プレスは、全体の厚さを約1.1分の1から約5分の1に減らす。いくつかの態様において、プレスは、全体の厚さを約1.5倍から約3倍減少させる。所与の材料のプレスの最適な程度および/または限界は、当業者によって決定することができる。適切には、プレスは、活物質粒子/フレークを実質的に破壊しない、すなわち、一般的なガイダンスとして、粒子またはフレークの25%以下が損傷する。許容可能な粒子損傷の正確なパーセンテージは、異なる活物質によっても、電極複合材料の異なる配合物によっても、異なる可能性があり、それぞれの場合において、当業者によって決定される必要がある。液体またはゲル電解質を備えた電池の場合、適切には、効率的な電解質アクセスのためにプレス後に、材料に十分なボイドが残る。すなわち、活物質の各粒子またはフレークの表面の少なくとも50%(好ましくは表面の100%)が、電解液で濡れている。液体電解質の非限定的な例は、LP71電解質(エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート中の1M LiPF6、体積で1:1:1の混合物)である。さらに、ボイドは、プレス後も適切に相互接続されている。つまり、トラップされたアクセスできないボイドがない。一般的なガイドラインとして、プレスされた材料の密度は、活物質粉末の嵩密度よりも適切に低くなければならない(より高い活物質の密度ではない。例えば、NMC粉末の場合、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物粉末、嵩密度は約2.35g/cmであるが、NMC自体の密度は>3.5g/cmである)。電極材料を活物質粉末の嵩密度に近いか、それを超える密度にプレスすると、電極材料が容易に割れて、可撓性がなくなる可能性がある。外部パッケージング材料の特徴、例えば、可撓性、ねじれ性、摩耗性は、例えば、外部パッケージング内に含まれる電極材料とは無関係であることを理解されたい。
【0027】
プレスは、本開示の態様によると、電池の可撓性、機械的強度、および/または電解質のアクセス可能性を改善し得る。プレスすると、電極の密度も変わる。電極をプレスするための適切な方法および装置は、当該技術分野で知られているが、2017年7月31日に出願された「自立電極およびその製造方法」と題する米国特許出願第15/665,171号に開示されているものも含むが、これらに限定されない。この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示の態様によれば、個々の電極をプレスすることができ、またはセパレータによって分離された複数の電極のアセンブリ全体を、パウチセルが存在するかどうかにかかわらず、集合的にプレスすることができる。いくつかの態様において、プレスによって、全体の厚さが約1.1から約5分の1に減少する。いくつかの態様において、プレスによって、全体の厚さを約1.5分の1から約3分の1に減少する。
【0028】
当業者に知られているように、プレスまたは圧縮は、電池タブと複合材料との間の電気的および/または機械的接触を改善し得、また複合材料を機械的に強くし得る。しかしながら、過度の圧縮またはプレスは、電極の内部への電解質のアクセスを妨げ、電極の内外へのリチウムイオンの移動を複雑にし、それによって、電池の動的特性を悪化させる可能性がある。圧縮が大きすぎると、電極が硬くて脆くなり、亀裂が発生しやすくなり、崩壊する可能性がある。これにより、電池容量が減少するか、完全に破壊される可能性がある。あるいは、圧縮が小さすぎると、ナノチューブネットワークの十分な架橋が得られず、電極材料が機械的に弱くなり、材料内で電気的接触が不十分になり(したがって、材料の導電率が低下し、活物質粒子からの電流収集が非効率になり)、および/またはナノチューブネットワーク内での活物質粒子の機械的捕捉が不完全になる(電解質によって洗い流される可能性がある)可能性がある。プレスが不十分な場合、電極が厚くなることがあり、電極を完全に濡らすのにより多くの電解液が必要になるため、電池のエネルギー貯蔵密度が低下する。さらに、過度のプレスは、セパレータ膜に穿孔が生じる可能性がある。これは、望ましい結果ではない。さらに、ローリングプレスまたはカレンダリングマシンのロールまたはローラー間、あるいはプラテンプレスのプレート間の距離を調整することが望ましい場合がある。電極に望まれる特性に基づいて最適なプレス厚さを決定することは、当業者の知識の範囲内である。本開示の電極および/または電池をプレスするための適切な装置には、ローラーミルおよび油圧プレスが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「電極活物質」は、電極内にリチウムをホストする材料を指す。「電極」という用語は、電解質および外部回路でイオンおよび電子を交換する導電体を指す。「正電極」および「カソード」は、本明細書において同義語として使用され、電気化学セルにおいて、より高い電極電位を有する(すなわち、負電極よりも高い)電極を指す。「負電極」および「アノード」は、本明細書において同義語として使用され、電気化学セルにおいて、より低い電極電位を有する(すなわち、正電極よりも低い)電極を指す。カソード還元は化学種が電子を獲得することを指し、アノード酸化は化学種が電子を喪失することを指す。
【0030】
本開示によるリチウム金属酸化物中の金属は、1つまたは複数のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム、またはポスト遷移金属、およびそれらの水和物を含み得るが、これらに限定されない。リチウム金属酸化物の非限定的な例には、Ni、Mn、Co、Al、Mg、Ti、およびそれらの任意の混合物のリチウム化酸化物が含まれる。実例では、リチウム金属酸化物は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(LiNiMnCo、x+y+z=1)、Li(Ni,Mn,Co)O、またはLi-Ni-Mn-Co-Oである。リチウム金属酸化物粉末は、約1nm~約100μmの間の範囲、あるいはその間の任意の整数またはサブ範囲内で定義される粒子サイズを有することができる。非限定的な例では、リチウム金属酸化物粒子は、約1μm~約10μmの平均粒子サイズを有する。
【0031】
「アルカリ金属」とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、またはフランシウムなどの元素周期表の第I族の金属である。
【0032】
「アルカリ土類金属」とは、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、またはラジウムなどの元素周期表の第II族の金属である。
【0033】
「遷移金属」とは、ランタニドおよびアクチニド系列を含み、元素周期表のdブロック中の金属である。遷移金属には、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、アクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ノベリウム、およびローレンシウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
「ポスト遷移金属」には、ガリウム、インジウム、スズ、タリウム、鉛、ビスマス、またはポロニウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用する場合、曲げ構成、巻き構成、または折り畳み構成の電池の充放電容量が、充放電容量と実質的に同じである場合、電池が、曲げ構成、巻き構成、または折り畳み構成で「正常に動作する」とは、曲げ構成、巻き構成、または折り畳み構成の電池の充放電容量が、曲げ、巻かれ、または折り畳まれる前に、例えば、電池に接続されたデバイスの出力によって測定された電池の充放電容量(すなわち、元の容量またはフラット容量)と実質的に同じである場合である。曲げ容量、巻き容量、または折り畳み容量が、元のまたはフラット充放電容量と「実質的に同じ」であるとは、0.1Cレートで、元のまたはフラットな充放電容量の75%以内である場合である。当業者に知られているように、0.1、1、10、100などの「Cレート」は、電池の特性評価に取り組んでいる人々の間で周知の技術用語である。本明細書で使用される場合、「1Cレート」は、定放電電流が1時間で電池全体を放電すること、または定充電電流が1時間で電池を充電することを意味する。本明細書で使用される場合、「0.1Cレート」とは、電流が10分の1であり、10時間で電池を充電/放電することを意味する。実際には、最初に、電池のA*h(またはmA*h)での「理論容量」を、電池内の活物質の量と材料の特定の容量に基づいて計算する。次に、それを所望の時間数(1Cで1時間、0.2Cで5時間、0.1Cで10時間、10Cで0.1時間など)で除算し、充放電電流を計算する。次に、この電流を使用して電池の充電容量または放電容量を測定する。これは、そのCレートでの充電容量または放電容量と呼ばれる。いくつかの態様によれば、曲げ構成、巻き構成、または折り畳み構成で本明細書に開示される電池の充放電容量は、フラット構成での電池の充放電容量の75%~100%である。
【0036】
いくつかの態様において、電池は、単一セル構成にある。図1Aは、単一セル構成における本開示による電池100の概略図を示す。いくつかのそのような態様では、第一のパッケージング層101はアノード層102に隣接し、アノード層102はセパレータ層103に隣接し、セパレータ層103はカソード層104に隣接し、カソード層104は第二のパッケージング層101に隣接する。アノード層102および/またはカソード層104は、電池タブ105および106の取り付け点を含むように構成され得る。
【0037】
いくつかの態様において、電池は、マルチセル構成にある。図1Bは、マルチセル構成における本開示による電池110の概略図を示す。いくつかのそのような態様では、アノード層102とカソード層104との複数の交互層が、セパレータ層103とパッケージング層101との間に配置される。各アノード層102および/またはカソード層104は、電池タブの取り付け点を含むように構成され得る。アノード層102の場合、電池タブは、適切には、銅タブまたはリード105である。カソード層104の場合、電池タブは、適切には、アルミニウムタブまたはリード106である。マルチセル構成では、マルチセルの内部のいくつかの電極は、両側のセパレータ膜103に接触している(図1B図3B)。マルチセル構成の電極層およびセパレータ層の数は特に限定されず、マルチセル構成電池110は、オプションの追加層111によって示されるように、図1Bに示されるよりも追加のアノード、カソード、および/またはセパレータ層を含み得る。電池110は、いくつかの態様において、電池100と類似している可能性がある。
【0038】
本開示による電極は、当業者に知られている任意の適切な手段に従って製造することができる。例えば、アノードおよび/またはカソードは、「自立電極およびその製造方法」と題され、2017年7月31日に代理人整理番号第037110.00687号で出願されたた米国特許出願第15/665,171号で開示された方法および装置を使用して調製することができる。この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示の方法での使用に適したカーボンナノチューブには、単一壁ナノチューブ、数壁ナノチューブ、および多壁ナノチューブが含まれる。いくつかの態様において、カーボンナノチューブは単一壁ナノチューブである。数壁ナノチューブおよび多壁ナノチューブは、単一壁ナノチューブに使用される方法および装置も含め、当業者に知られている任意の適切な方法および装置を使用して、合成、特徴付け、共堆積、および収集することができる。カーボンナノチューブは、長さが約50nm~約10cm以上の範囲であり得る。
【0039】
適切なセパレータ材料には、電池のアノードとカソードとの間に使用するために当業者に知られている材料が含まれ、膜バリアまたはセパレータ膜のように、一方の側から他方の側へのリチウムイオンの交換を可能にしながら、アノードとカソードの間にバリアを提供する。適切なセパレータ材料には、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびそれらの複合材料などのポリマーも、PTFEも含まれるが、これらに限定されない。セパレータ膜はリチウムイオンを透過することができるので、充放電サイクル中に、リチウムイオンがカソード側からアノード側に移動して戻ることができる。しかし、セパレータ膜はアノード材料とカソード材料に対して不浸透性であり、それらが混合したり、電池と接触したり、短絡したりするのを防ぐ。セパレータ膜は、電池の金属部分(リード、タブ、集電体、筐体の金属部分など)の電気絶縁体としても機能し、電池との接触および短絡を防ぐ。セパレータ膜は、また、電解質が流れることも防ぐ。
【0040】
いくつかの態様において、セパレータは、我々の技術によって製造された2枚の比較的厚い(20~1000μm)多孔質電極シート間の薄い(15~25μm)高分子膜(三層複合材料:市販のポリプロピレン・ポリエチレン・ポリプロピレン)である。薄い高分子膜は、厚さが15~25μmであり得、例えば、厚さが15~23、15~21、15~20、15~18、15~16、16~25、16~23、16~21、16~20、16~18、18~25、18~23、18~21、18~20、20~25、20~23、20~21、21~25、21~23、23~25、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25μmであるか、あるいはその間の任意の整数またはサブ範囲である。2枚の比較的厚い多孔質電極シートは、それぞれ独立して、厚さが50~500μmであり得、例えば、厚さが50~450、50~400、50~350、50~300、50~250、50~200、50~150、50~100、50~75、50~60、50~55、55~500、55~450、55~400、55~350、55~300、55~250、55~200、55~150、55~100、55~75、55~60、60~500、60~450、60~400、60~350、60~300、60~250、60~200、60~150、60~100、60~75、75~500、75~450、75~400、75~350、75~300、75~250、75~200、75~150、75~100、100~500、100~450、100~400、100~350、100~300、100~250、100~200、100~150、150~500、150~450、150~400、150~350、150~300、150~250、150~200、200~500、200~450、200~400、200~350、200~300、200~250、250~500、250~450、250~400、250~350、250~300、300~500、300~450、300~400、300~350、350~500、350~450、350~400、400~500、400~450、450~500、50、55、60、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500μmであるか、あるいはその間の任意の整数またはサブ範囲である。
【0041】
ポリマーパウチセルで使用されるポリマーは、電気化学セルでの使用に適した任意のポリマーであり得る。それは、例えば、電気化学セルを外部環境から保護するためであり、あるいはウェアラブルデバイスで使用される可撓性電池の場合には、またユーザを電気化学セルから保護するためでもある。当業者に知られているように、パウチセルとは、電極およびセパレータならびに内部の電解質を保持する外部パッケージング材料を指す。適切な材料の非限定的な例には、当業者に知られているものが含まれ、例えば、ポリエチレン(ポリエチレンまたはポリプロピレンでコーティングされたアルミニウムを含む:例:ポリアミド(JIS Z1714):0.025mm(+-0.0025mm)、接着剤(ポリエステル-ポリウレタン):4~5g/m2、アルミニウム箔(JIS A8079、A8021):0.040mm(+-0.004mm)、接着剤(ウレタンフリー接着剤):2~3g/m2、ポリプロピレン:0.040mm(+-0.004mm))、PTFE、PDMSなどである。本明細書に開示される様々な実施形態において、例えば、外部パッケージング材料は、可撓性、伸縮性、ねじれ可能、ウェアラブル、移植可能、生体適合性、折り目もしわも形成しない、防水、耐久性、断熱、またはこれらの特徴の任意の組合せ、あるいは電池の所望の用途に応じて、他の適切な機能との組合せであり得る。いくつかの態様によれば、外部パッケージング材料は、電極に十分な圧力を加えることができるので、電極は、(電極間で)スライドしたり、剥離したり、分離したりすることなく、パッケージング内で一緒にとどまる。いくつかの実施形態では、外部パッケージ内で、電極は、外部パッケージまたはパウチセルの内面特性によって、その中で電極が剥離または分離することなしに、スライドすることができる。非限定的な例では、本明細書に記載されるすべての外部パッケージング材料は、ポリマーであり得る。生体適合性、ウェアラブル、および移植可能の非限定的な例は、生体組織に有害ではない材料で、低刺激性であり、あるいは生細胞/組織が成長するためのマトリックスである。断熱材の非限定的な例は、熱伝導率が低く、材料を通る熱または冷気の伝達を最小限に抑えながら、材料の片側で熱または冷気を保つことができる材料である。
【0042】
いくつかの態様によれば、外部パッケージング材料は、固定形状に形成された後、固定形状を保持することができ、あるいは外部パッケージング材料は、非限定的な例のように、例えば、温度変化または加えられた力によって引き起こされた変形形状(一時的な形状)から、元の(永続的な)形状に戻る能力を有する形状記憶を含むことができる。いくつかの実施形態では、外部パッケージング材料は、内面とは異なり、電池に面する環境に面する外面を有することができる。非限定的な例として、外面はテクスチャを有するか、または滑らかであり得る。内面は、外面とは異なる特性、非限定的な例として、滑らかさを有することができ、その中に含まれる電池は、必要に応じて外部パッケージング材料またはパウチセルの内部で自由に動くことが可能になる。いくつかの態様によれば、外部パッケージング材料は、多層材料であるか、または異なる用途のためにパウチセルの様々な領域で様々な材料から構成される。「パウチセル」および「可撓性パウチ」という用語は、本明細書では交換可能に使用されることを理解されたい。
【0043】
本明細書に開示される様々な実施形態において、パウチセルの形状は、例えば、円形、楕円形、三角形、台形、多角形、人間工学的に設計された形状、または様々な用途に適用される本明細書に開示される可撓性電池の任意の形状であり得る。図2A図2Dに示すパウチセルの形状は、非限定的な例である。本開示による電池は、当業者に知られている方法も含め、任意の適切な方法を使用して組み立てることができる。
【0044】
本開示の態様によれば、電池タブは、それぞれの電極の本体からセパレータ膜を越えて延在し、他の電極と重ならない突起部に、あるいはセパレータ膜の切り欠きにあるそれぞれの電極および対向する電極の本体に取り付けることができる。いくつかの態様によれば、切り欠きは、可撓性電極上に取り付けるための露出領域を形成するように機能することができる。適切な電池タブの材料および取り付け方法には、当業者に知られているものが含まれる。
【0045】
いくつかの態様において、本開示による電池は、完全に調製されたアノードと完全に調製されたカソードとの間にセパレータを配置することによって組み立てられ、それ以上のプレスは必要がない。本明細書で使用される場合、「完全に調製された」アノードまたはカソードとは、プレスされて、タブに取り付けられたアノードまたはカソードである。いくつかの態様において、本開示の態様による電池は、事前にプレスされたアノードと事前にプレスされたカソードとの間にセパレータを配置し、それらをすべて一緒にプレスすることによって、組み立てられる。本明細書で使用される場合、「事前にプレスされた」電極は、プレスされた電極であれば、タブに取り付けられていてもいなくてもよく、あるいはタブアタッチメント内に埋め込まれていても、いなくてもよい。いくつかの態様において、電池は、1つのプレスされていない第一の電極(アノードまたはカソード)と事前にプレスされた電極(アノードまたはカソード)との間にセパレータを配置して組み立てることができ、アセンブリ全体を一緒にプレスすることができる。
【0046】
好ましくは、セパレータに面する電極の表面上のカーボンナノチューブの濃度、またはカーボンナノチューブ含有量は、電極のバルク(0.5~10重量%のナノチューブ)内のそれよりも高く(5~100重量%のナノチューブ)、一方、セパレータとは反対側を向く電極の表面のカーボンナノチューブの濃度は、電極のバルク内の濃度よりも低い(0~1重量%のナノチューブ)(図3A図3B)。いくつかの態様によれば、電極のバルク中の0.5~10重量%のナノチューブは、フラット電極の中心面または中央長手方向面で0.5~10重量%であり得る。約5%を超えるナノチューブを含む複合材料は、当業者によって、非常に粘着性があると見なされ、セパレータ膜および(ローラーミルのローラーが作られる典型的な材料である)ステンレス鋼にも、他の多くの材料にも付着する。例えば、5%のナノチューブ、95%のNMC(リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、LiNiMnCo)を含む複合材料は、(特に作りたての場合)ローラーに非常によく付着するため、複合材料を引き裂かずにローラーから分離することは困難である。しかしながら、同じ材料にNMC粉末を「まぶす」と、ローラーには、ほとんど付着しない。これらの「境界層」は、活物質粒子/フレークの平均サイズよりも2~5倍厚い場合がある。例えば、カソードで使用されるNMC粒子の場合、平均直径が約10μmであり、ナノチューブ含有量が増加または減少した厚さ20~30μmの「境界層」で十分であり得る。本開示の態様によれば、電極上または電極内のカーボンナノチューブのこの分布は、(プレスされる電極およびプレスされる電池のための)プレス装置の他の要素への付着を減らしながら、電極のセパレータ膜への接着を促進する。この分布は、電極材料の成長中(例えば、合成の開始時に100%の活物質エアロゾルで、合成の大部分の間、97%の活物質エアロゾルと3%のナノチューブエアロゾルで、合成の終了時に100%のナノチューブエアロゾル)に、ナノチューブエアロゾルと活物質エアロゾルの比率(すなわち、単位時間あたりに堆積されたナノチューブの重量と同じ単位時間あたりに堆積された活物質の重量との比)を変えることによって達成することができる。例えば、本開示によれば、ナノチューブ合成反応器は、1時間あたり約2mg(フリット/フィルターに堆積した量)のエアロゾル化されたナノチューブを生成するように構成され得る。同じ設定で、NMCフィーダーは1時間あたり約2~600mg(ここでも、同じフィルターに堆積した量)のNMC粒子をエアロゾル化するように設定できる。したがって、NMCフィーダーの設定に応じて、50%のナノチューブ(2mg+2mg)から約0.3%のナノチューブ(2mg+600mg)を含む材料を堆積させることができる。ナノチューブリアクター(NMCフィーダーオフ)のみを操作すると、100%のナノチューブ材料が生成され、NMCフィーダー(ナノチューブリアクターオフ)のみを操作すると、0%のナノチューブ材料(NMC粉末)が生成される。成長中にナノチューブエアロゾルと活性ナノチューブエアロゾルの比率を変化させる適切な方法には、「自立電極およびその製造方法」と題され2017年7月31日に出願された米国特許出願第15/665,171号に開示されている方法が含まれるが、これらの方法に限定されない。この出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
電池は、任意のサイズ、すなわち、任意の長さ、幅、および高さであり得る。いくつかの態様において、電池の厚さは、10mm以下、例えば、5mm、4.5mm、3mm、2.5mm、1.5mm、1mm、0.7mm、0.5mm、0.3mm、0.2mm、0.1mm、0.01mm、あるいはその間の任意の値または範囲である。いくつかの態様において、長さおよび幅は、それぞれ独立して10000mm以下であり、例えば、1000mm、200mm、150mm、100mm、75mm、50mm、40mm、30mm、25mm、20mm、10mm、1mm、0.5mm、0.1mm、あるいはその間の任意の値または範囲である。
【0048】
図2A図2Dは、LEDデバイスに接続された本開示による電池の例を示す。この非限定的な例では、完全なパウチ電池セルは、3×4cmの電極を含み、LEDデバイスに接続されている。電池の厚さは3mmである。フラット構成(図2A図2B)では、電池200は、デバイスからの光の出力によって測定されるように、LEDデバイスに電力を供給するように動作する。LEDデバイスに電力を供給している間、様々な角度および様々な方向に曲げることを複数回行った後でも、電池200は、巻き構成(図2C図2D)で発光するようにLEDデバイスに電力を供給することができた。電池200は、いくつかの態様で、電池100と類似している可能性がある。
【0049】
図3Aに示される構成の電池300の場合、ここで、すべての電極(例えば、図3Aのアノード102およびカソード104)と、図3Bに以下に示すマルチセル構成の電池310の内部電極102および104とは、両側でセパレータ膜103に接触しているので、電極の両面(すなわち、すなわち、アノード102の両面で、両方ともセパレータ膜103と接触しており、カソード104の両面で、両方ともセパレータ膜103と接触している)で(電極内の)ナノチューブ含有量402を増加させることが有益である(図4A)。図4Aでは、電極の中心は、0.5~10重量%のナノチューブを含む電極材料401のバルクを含む。電極中心からセパレータ膜103に向かって外側に移動すると、バンド402は、5~100重量%のナノチューブなど、ナノチューブ含有量が増加した電極材料を含む。バンド402は、その外縁でセパレータ膜103に接触し、セパレータ膜103は、バンド402に面する側から、製造時にローラーまたはプレスに面する側に向かって、方向405に延在する。電池300および310は、いくつかの態様では、電池100と類似している可能性がある。
【0050】
図3A図3B図1A図1Bとの違いは、追加のセパレータ膜層103がセル(単一セルまたは複数セル構成の両方)の両外側に追加されることで、セルの機械的完全性を改善し、パッケージングに関してセルのより良いスライドを可能にすることである。セパレータ膜103のこの追加の層は、組み立てられたセルの周りに巻き付けることさえできる。図3Aおよび図3Bに示す電池のすべての電極(単一セルまたはマルチセル構成の両方)は、図4Aに示す構成になり、図1A図1Bに示す電池の外部電極は、図4Bに示す構成になる。図4Bでは、セパレータ膜103の外面は、方向405でローラーまたはプレスに面し、内面は、電極のバンド402に面しており、バンド402は、5~100重量%のナノチューブなどの増加したナノチューブ含有量を有する。バンド402を横切って内側に続いて、バンド402の反対面は、0.5~10重量%のナノチューブを含むバルク電極材料401の領域に面している。次に、バルク電極材料401の領域の反対面は、次いで、ナノチューブ含有量が減少した領域404に面し、0~1重量%のナノチューブを含む。さらに内側に移動すると、ナノチューブ含有量が減少した領域404の反対面は、ローラーまたはプレスに向かって、方向405で内側を向く。
【0051】
本開示によるセルアセンブリ(すなわち、単一セル構成のアノード、セパレータ、およびカソード、あるいはマルチセル構成のセパレータ層、1つまたは複数のアノード、1つまたは複数のセパレータ、および1つまたは複数のカソードの交互の層)は、フラットでポーチセルにカプセル化することも(すなわち、図1A図1B、および図2Aに示すように)、あるいは前に1回または複数回折り畳まれた後に、パウチセルにカプセル化することも(図5に示すように)できる。パウチセル電池500において、セパレータ膜103、アノード102、セパレータ膜103、カソード1~4、およびセパレータ膜103の層を含む電池は、1回または複数回折り畳まれた後に、パッケージング層101からなるパウチセルによってカプセル化される。電解質107もまた、カプセル化中にパウチセルに適切に含まれる。アノード層102およびカソード層104は、それぞれ、電池タブの取り付け点を含むように構成され得る。アノード層102の場合、電池タブは、適切には、銅タブまたはリード105である。カソード層104の場合、電池タブは、適切には、アルミニウムタブまたはリード106である。電池500は、いくつかの態様では、電池100と類似し得る。いくつかの実施形態では、さらなる電池タブ延長部を105および/または106に取り付けることができる。
【0052】
パッケージング層101などのパウチセルへのカプセル化は、折り畳みの前でも後でも、電池容量を増加させ得るが、電池の可撓性を低下させ得る。折り畳み構成では、電極が互いに接触するのを防ぐために(またはそれらの電気リード線のいずれかが互いに接触するのを防ぐために)、1つまたは複数の追加のセパレータ膜が必要となる場合がある。いくつかのそのような態様では、セパレータ膜の層を追加で1つまたは2つ含むことが有益なことがある。これは、図3A図3Bに部分的に示すように、セパレータ103、アノード102、セパレータ103、カソード104、セパレータ103と、マルチセル構成が交互になっている。このようなアセンブリは、図5に示す折り畳み構成を単純化するだけでなく、電池を機械的に強化し、追加の曲げ、折り畳み、巻き、屈曲、および/または摩耗および引き裂きに耐えることが可能になる。その理由は、追加されたセパレータ層は、セルアセンブリをパウチセルにスライドさせるのを容易にし、さらに重要なことに、曲げ、折り畳み、屈曲などの際のパッケージング/カプセル化に関して、セルコンポーネントの相互の動きを最小限に抑えながら、セルアセンブリを全体としてスライドさせることができるからである。内部セルコンポーネントの相互のこのような動きは、セルの性能に悪影響を与える可能性がある。電極(カソードまたはアノード、あるいはその両方)材料のこの構成では、両方の面、すなわち、セパレータ膜に接触する電極の両方の面で、ナノチューブ濃度が増加していることが好ましい。電極面でのナノチューブの濃度が高くなると、電極は両方のセパレータ膜によく付着し、セパレータ膜のみがローラーまたは他の機器に接触するため、5層セルアセンブリ全体のアセンブリおよび/またはプレスが容易になる。1つの追加のセパレータ膜のみが使用される場合、セパレータ膜に接触しないか、またはそれに面する電極材料面は、好ましくは、セパレータ膜に接触しない面上のナノチューブ含有量が減少している。
【0053】
いくつかの態様によれば、ナノチューブの自然な接着を利用して、可撓性自立電極をセパレータ膜(または可撓性の固体電解質シート)に付着させる。この自然な接着効果は、図4A図4Bおよび図7に示すように、セパレータ膜に面する電極の表面のナノチューブ含有量を増やすことによってさらに強化できる。これは可撓性電池にとって重要な側面であり、電極の分離は、特に電池が屈曲している間に、電池性能低下の主なメカニズムの1つである。本明細書で使用される場合、「自然接着」とは、接着剤またはバインダを添加せずに、ある材料が別の材料に付着する能力を指す。約5%(重量%)を超えるナノチューブを含む複合材料は、当業者によって、非常に粘着性があると見なされ、セパレータ膜および(ローラーミルのローラーが作られる典型的な材料である)ステンレス鋼にも、他の多くの材料にも付着する。例えば、5%のナノチューブ、95%のNMC(リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、LiNiMnCo)を含む複合材料は、(特に作りたての場合)ローラーに非常によく付着するため、複合材料を引き裂かずにローラーから分離することは困難である。いくつかの態様によれば、いくつかの表面、例えば、ロールミルのローラー、またはプレスの表面への可撓性自立電極の望ましくない接着は、ローラーに面する表面上のナノチューブ含有量を減らすことによって回避または最小化される(図4B図7、ナノチューブ含有量の少ない領域)。例えば、電極がローラーに付着すると、電極が破壊される可能性がある。いくつかの実施形態では、「成長したままの」電極材料をプレスして、材料の機械的特性を向上させるとともに、材料の多孔性を減少させる必要がある。こうして、必要な電解質量を減らすことで、電池のエネルギー密度が増加する。
【0054】
いくつかの実施形態では、セル(例えば、カソード・セパレータ・アノード「サンドイッチ」)は、それらの間にセパレータ膜を配置することによって、または一方または両方の電極をセパレータ膜(または固体電解質シート)の上にプレスすることによって、事前にプレスされたカソードおよび事前にプレスされたアノードのいずれかから組み立てることができ、電極の膜への接着力を高め、2つの操作を1つに組み合わせる。いくつかの態様によれば、電極の片側または両側のセパレータ膜(図4A)は、プレス手順中に「非粘着性」層としても機能し得、この場合、ナノチューブ含有量の増加は、電極の両側で有益である(図4A)。いくつかの実施形態では、電極の両側にセパレータ膜を取り付けること(図4A)によって、マルチセルで折り畳まれたセル構成が可能になり、反対側の電極(例えば、アノード)がこの電極(例えば、カソード)の両側にある場合、対向する電極が接触して短くなるのを防ぐ。いくつかの実施形態では、マルチセルで折り畳まれた実施形態の好ましいスタッキングスキームは、図6に601として示されている。図6に示すように、602はカソードを表し、603はセパレータを表し、604はアノードを表す。602(カソード)と604(アノード)を切り替えることができる。スタッキングスキーム601は、一緒に巻くことができる。いくつかの実施形態において、マルチセルで折り畳まれた実施形態のための好ましいスタッキングスキームは、図7に605として示される。図7に示すように、404は、例えば、ロールミルのローラーまたはプレスの表面などの一部の表面への可撓性自立電極の望ましくない接着を回避するために、減少または最小化されたナノチューブ含有ゾーンを表す。カソード602は、セパレータ603の近くに増加したナノチューブ含有量ゾーン402で示され、アノード604は、セパレータ603の近くに2つの増加したナノチューブ含有ゾーン402で示されている。例えば、図7では、カソードとアノードを切り替えることができ、構成605を一緒に巻くことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、両側がセパレータ膜でカプセル化された電極に電池タブを取り付けるために、電極は、セパレータ膜の縁を越えて突き出て、2018年9月6日に出願された「集電体またはバインダなしで自立電極に電池タブアタッチメントを埋め込む方法」と題された米国特許出願第16/123,872号に例示されているような埋め込まれたタブアタッチメントを有することができるか、あるいは電極自体は、セパレータ膜の端を越えて突起部を有することができ、タブは、2018年9月6日に出願された「自立電極への電池タブ取り付けの方法」と題された米国特許出願第16/123,935号のように、電極の突起部に取り付けられている。このような電池タブ取り付け部位は、短絡を防ぐために互いに重なり合ってはならない。あるいは、セパレータ膜の余分なセクションをそれらの間に追加することができる。いくつかの実施形態では、電極は、例えば、米国特許出願第16/123,872号に記載されているように、セパレータ膜の縁を越えて突出する、埋め込まれた電池タブアタッチメントを含むことができる。例えば、金属箔、メッシュまたはネットのストリップは、米国特許出願第16/123,872号に記載されているように、電極材料の堆積中に電極材料に埋め込まれ得、ストリップの一部は、電極の縁を越えて、任意選択でセパレータ膜の端を越えて、延在する。いくつかの実施形態では、プレハブタブを溶接すること、またはストリップの突出部に取り付けることができるか、あるいはストリップ自体が、電池の筐体を越えて延在するのに十分な長さであり、電池から電流を流すためのタブとして機能することができる。後者の場合、ストリップ/タブが電池筐体と交差する領域での漏れを排除するように注意する必要がある。例えば、プレハブのタブには、通常、この目的のためにシーラント材料を堆積する。
【0056】
いくつかの態様によれば、電池タブ延長部は、電極上、電極内、または電極に埋め込まれた電池タブに取り付けることができる。取り付けは、例えば、はんだ付け、溶接、事前に製造されたインターロッキング部品、または当技術分野で知られている任意の手段によることができる。いくつかの実施形態では、電池タブ延長部は、様々なデバイスに電流を提供するために、可撓性パウチを越えて延在することができる。電池タブまたは電池延長部が可撓性パウチを通り抜けて延在する領域での漏れを防ぐために、ジョイントまたはシーラントを使用してその領域を密封することができる。いくつかの態様において、可撓性リチウムイオン電池の耐久性は、シーリングまたは接合によって、経時的に様々な構成に曲げられる間にわたって維持される。様々な実施形態において、電池タブ延長部は、可撓性導電性材料を含むことができる。
【0057】
この書面による説明は、例を使用して、好ましい実施形態を含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムを製造および使用し、任意の組み込まれた方法を実行することも含め、当業者が本発明を実施できるようにする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に生じる他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言語と異ならない構造要素を有する場合、あるいはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言語と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。記載された様々な実施形態からの態様も、そのような各態様の他の既知の同等物も、当業者によって混合および適合されて、本出願の原理に従って追加の実施形態および技術を構築することができる。
【0058】
いくつかの態様によれば、本明細書では、可撓性リチウムイオン電池が開示され、可撓性リチウムイオン電池は、電解質と、1つまたは複数の電極であって、カーボンナノチューブを含む1つまたは複数の可撓性アノードと、カーボンナノチューブを含む1つまたは複数の可撓性カソードと、を含む1つまたは複数の電極と、電池を形成するために、前記1つまたは複数の可撓性アノードと前記1つまたは複数の可撓性カソードとの間に配置された1つまたは複数の可撓性セパレータ膜と、を備え、前記電池は可撓性パウチの内側にあり、前記可撓性パウチは、前記電池を内部に保持するように機能する外部パッケージング材料を含む。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の電極は、1つまたは複数の電極の本体からセパレータ膜を越えて延在するそれぞれの突起部の少なくとも1つに、あるいはセパレータ膜の切り欠きにある1つまたは複数の電極および1つまたは複数の対向する電極の本体に取り付けられた電池タブをさらに備える。セパレータ膜に面し、セパレータ膜と接触しているそれぞれの電極の表面上のカーボンナノチューブの濃度は、5~100重量%のカーボンナノチューブであり得、電極のバルクの中のカーボンナノチューブの濃度は、0.5~10重量%のカーボンナノチューブであり得、セパレータ膜とは反対側を向き、セパレータ膜と接触していないそれぞれの電極の表面上のカーボンナノチューブの濃度は、0~1重量%のカーボンナノチューブであり得る。
【0059】
いくつかの態様によれば、可撓性リチウムイオン電池を製造する方法が本明細書で開示され、この方法は、それぞれが5~100重量%のカーボンナノチューブを含む1つまたは複数の表面を含む1つまたは複数の電極を提供するステップと、1つまたは複数のセパレータ膜を提供するステップと、電池を形成するために、前記1つまたは複数の電極の間に1つまたは複数のセパレータ膜を配置するステップであって、前記1つまたは複数のセパレータ膜は、5~100重量%のカーボンナノチューブを含む1つまたは複数の表面と接触している、ステップと、前記電池を可撓性パウチの内部に配置するステップであって、前記可撓性パウチは、前記電池を内部に保持するように機能する外部パッケージング材料を含む、ステップと、を含む。いくつかの実施形態において、この方法は、前記1つまたは複数のセパレータ膜と接触していない前記1つまたは複数の電極の表面は、0~1重量%のカーボンナノチューブを含み、前記0~1重量%のカーボンナノチューブは、1つまたは複数の非接着表面を提供するように機能することをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、この方法は、1つまたは複数のセパレータ膜が1つまたは複数の電極の1つまたは複数の外面上にあるように、1つまたは複数の電極の間にではなく、1つまたは複数の電極の表面に1つまたは複数のセパレータ膜を配置するステップをさらに含むことができる。いくつかの態様において、可撓性自立電極を製造する方法は、濃度5~100重量%のカーボンナノチューブを収集するステップと、濃度0.5~10重量%のカーボンナノチューブを収集するステップと、濃度0~1重量%のカーボンナノチューブを収集して、第一の外面に5~100重量%のカーボンナノチューブと、バルクの中に濃度0.5~10重量%のカーボンナノチューブと、第二の外面に濃度0~1重量%のカーボンナノチューブと、を備える可撓性自立電極を形成するステップと、を含む。
【0060】
本明細書に記載の態様は、上記に概説した例示的な態様と併せて説明されてきたが、様々な代替、修正、変形、改善、および/または実質的な同等物は、既知であるか、または現在予測されているか、あるいは現在予測され得ないか否かにかかわらず、少なくとも当業者に明らかになる可能性がある。したがって、上記の例示的な態様は、限定ではなく例示を意図したものである。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができる。したがって、本開示は、すべての既に知られた、あるいは今後開発される代替、修正、変形、改善、および/または実質的な同等物を包含することを意図している。
【0061】
したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す態様に限定されることを意図するものではなく、請求項の文言と一致する全範囲を与えられるべきであり、単数形の要素への言及は、「1つ」を意味することを意図しない。特に明記されていない限り、「1つだけ」ではなく「1つまたは複数」である。当業者に知られている、または後に知られるようになる、本開示を通して記載される様々な態様の要素とのすべての構造的および機能的同等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、特許請求の範囲に含まれることが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられることを意図するものではない。クレーム要素は、要素が「のための手段」という文言を使用して明示的に引用されていない限り、手段プラス機能として解釈されるべきではない。
【0062】
さらに、「例」という用語は、本明細書では、「例、実例、または例示として機能する」ことを意味するために使用される。本明細書で「例」として記載されている任意の態様は、必ずしも他の態様よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。特に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は、1つまたは複数を指す。「A、B、またはCの少なくとも1つ」、「A、B、およびCの少なくとも1つ」、および「A、B、C、またはそれらの任意の組合せ」などの組合せには、A、B、および/またはCの任意の組合せ、複数のA、複数のB、または複数のCを含む。具体的には、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」、および「A、B、C、またはそれらの任意の組合せ」などの組合せは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、またはAおよびBおよびCであり得、そのような組合せには、A、B、またはCの1つまたは複数のメンバーを含み得る。本明細書に開示されるものは、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆に捧げられることを意図するものではない。
【0063】
例は、当業者に本発明を実施して、使用する方法の完全な開示および説明を提供するために提示されており、発明者が自らの発明と見なす範囲を制限することを意図するものではなく、以下の実験がすべてであること、あるいはこれらの実験のみが実施されたことを表すのを意図するものではない。使用される数値(量、寸法など)に関して正確さを確保するための努力がなされたが、いくつかの実験誤差と偏差を考慮する必要がある。
【0064】
さらに、本出願全体にわたるすべての参照、例えば、交付済み特許もしくは登録済み特許または同等物を含む特許文献、特許出願公開、および非特許文献またはその他のソース資料は、参照により個別に組み込まれるかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
上記に開示された特徴および機能、ならびにその他の特徴および機能の様々な実装、またはそれらの代替または変種は、望ましくは、他の多くの異なるシステムまたはアプリケーションに組み合わせることができることが理解されよう。また、その中の様々な現在予期または予測されない代替、修正、変形、または改善は、今後、当業者によって行われ得るが、これらも、以下の特許請求の範囲に含まれることも意図される。
【0066】
本開示の特徴であると考えられる新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。以下の説明では、同様の部品は、仕様および図面を通して、それぞれ同じ番号が付されている。図面の図は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、特定の図は、明確さと簡潔さのために、誇張または一般化された形式で示されていることがある。しかしながら、本開示自体、ならびに好ましい使用モード、さらなる目的およびその進展は、添付の図面と併せて読むとき、本開示の例示的な態様の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7