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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】鉄道車両の移動の判定
(51)【国際特許分類】
   B61L 29/22 20060101AFI20230921BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20230921BHJP
   B61C 5/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B61L29/22
B61L25/02 G
B61C5/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021524962
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2019082994
(87)【国際公開番号】W WO2020109517
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】102018130590.7
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019129663.3
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クラウアー・ダーナ
(72)【発明者】
【氏名】プリュグルマイアー・マルコ
(72)【発明者】
【氏名】イレンハウザー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴッディ・フィリップ
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03275764(EP,A1)
【文献】特開2010-137677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 29/22
B61L 25/02
B61C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏切(100)の警告ゾーン(120)に停車した鉄道車両移動を判定する方法において、
-鉄道車両は、発車前に温度上昇が検知でき、
-踏切(100)の警告ゾーン(120)または警告ゾーン(120)の一部領域の第一の時刻における第一の温度(210)の特定(10)、
-踏切(100)の警告ゾーン(120)または警告ゾーン(120)の一部領域の、第一の時刻の方が時間的に先になる第二の時刻における第二の温度(220)の特定(20)、
-第一の温度(210)と第二の温度(220)の比較(30)
を有し且つ
-第二の温度(220)が第一の温度(210)より高いことをその比較が示すときに、さらに、
-警告信号(160)の発出(35)および
-踏切の遮断(100)の開始(37)を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、第一の時刻における第一の温度(210)の特定は、警告ゾーン(120)への鉄道車両の進入後、所定の第一の期間が経過してはじめて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、
さらに、
-警告ゾーン(120)への鉄道車両の進入後に所定の第二の期間より長く鉄道車両が警告ゾーン(120)に滞在したときの踏切の遮断の解除(100)の開始(40)
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、さらに、
-警告ゾーン(120)への鉄道車両の進入時の第一の車軸数(230)の検出(50)、
-警告ゾーン(120)からの鉄道車両の退出時の第二の車軸数(240)の検出(60)、および
-第一と第二の車軸数(230,240)の相互の比較(70)
を有し且つ
-第二の車軸数(240)が第一の車軸数(230)とは違う場合に、
-第二の車軸数(240)の保存(75)を、
-そうでなければ、
-第一の車軸数(230)の保存(77)を
有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、踏切(100)の遮断の開始(37)および/または所定の第二の期間の継続を、保存された車軸数(230,240)に基づいて行なうことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、第一および第二の温度(210,220)の特定は、踏切(100)の警告ゾーン(120)に沿って、好ましくは定位置に配置されている一つ又は複数の熱検知装置または温度検知装置により行なわれることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、第一の時刻における温度(210)と第二の時刻における温度(220)の比較(30)は、同じ熱検知装置による温度測定に基づいて行われることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、少なくとも一つの熱検知装置または少なくとも一つの温度測定装置は、サーマルカメラおよび/または赤外センサにより形成されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、温度比較(30)のために鉄道車両の排気ガス温度が第一および第二の時刻において測定され、鉄道車両はディーゼル機関車を有していることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、第一の温度(210)よりも第二の温度(220)が閾値だけ高いことを比較(30)が示す場合に、警告信号の発出(35)と踏切(100)の遮断の開始(37)が行なわれることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、踏切(100)の遮断の開始(37)が物理的および/または仮想的に行なわれることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する方法において、踏切(100)の遮断の開始(37)が、警報灯、踏切遮断機および/または踏切(100)の近くに位置する自動車への遮断情報により行なわれることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実施することを特徴とする踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する踏切安全装置(200)。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実施することを特徴とする踏切(100)の警告ゾーン(120)における鉄道車両の移動を判定する踏切安全装置(200)を備えた踏切(100)。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法の全てのステップを実行させる少なくとも一つのプロセッサを制御するためのコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、請求項1の前提部分に係る方法であって、踏切の警告ゾーンにおいて鉄道車両、特に貨物列車または旅客列車の移動を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レールと道路が交差する場合、重大な事故を防ぐために安全対策が講じられる。それは通常、警報灯であり、また、列車が通過する間に降りる遮断機でもある。この遮断機は、降下のための信号を鉄道従事者か或いは列車を検知するセンサのいずれかから受け取る。
【0003】
様々なタイプのセンサが列車を検知して然るべき信号を送出できる。踏切が閉じている時間をできるだけ短くするために、所謂車軸カウンタが広く用いられるようになった(特許文献1参照)。
【0004】
踏切の周辺や領域は普通、異なるゾーンに分割される。列車は、-進行方向に関係なく-所謂無害ゾーンから到来して所謂警告ゾーンに進んで行く。警告ゾーンに達すると、踏切は信号を受け取って遮断機を閉じる。センサは、無害ゾーンと警告ゾーンの間の移行地点において列車の車軸パターンと列車の車軸数を検出する。列車は、警告ゾーンを通り抜け、その警告ゾーンの終端に所謂安全防護ゾーンが続く。この安全防護ゾーンは、線路と道路の交差点、つまり実質的な踏切の直前と直後に存在する。交差点、つまり実質的な踏切を横切った後、列車は、安全防護ゾーンからその安全防護ゾーンに続くさらなる別の警告ゾーンに進んで行く。さらなる別の警告ゾーンには、さらなる別の無害ゾーンが続く。さらなる別の警告ゾーン、つまり第二の警告ゾーンと、さらなる別の無害ゾーン、つまり第二の無害ゾーンとの間の移行部において、さらなる別の第二のセンサが、無害ゾーンに出て行くときの車軸パターンを同様に検出する。列車の最後の車軸が第二のセンサを通り過ぎると、踏切が開放され、遮断機が上がる。
【0005】
この既知のシステムは、踏切の開閉のタイミングを十分正確に決めることで交通の流れの妨げをできるだけ短くする。
【0006】
しかしながら、工場の敷地で列車またはその車両の荷の積み下ろしが必要になるときには特に、既知のシステムが正しく機能しない構造的かつ業務的な特殊なケースがある。
【0007】
そのような特殊なケースでは、踏切の警告ゾーン内で停車が行われ、車両が一部つなぎ替えられ、入れ替えられ或いは待機のために留め置かれる。こういった交差点は現在、フォークリフトの運転手や工場の他の従業員が目視で往来している。
【0008】
目視により走行できない自動運転車は、そのような踏切では使用できない。車軸カウンタを用いる既知のシステムを使用すれば、列車が警告ゾーンで止まってしまっているときには、遮断機が再び開くことがないため、閉鎖時間が非常に長くなってしまう。遮断機がようやく再び開くのは、列車が警告ゾーンを後にするときである。
【0009】
従って、踏切の安全のための、改善されたもっと柔軟な方法が特に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】独国特許第2643425号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は特に、踏切の道路が本当に必要なときに短時間だけ保護される方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は特に、独立特許請求項に記載の方法により解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明は、踏切の警告ゾーンにおける鉄道車両、特に貨物列車または旅客列車の移動を判定する方法を出発点とする。
【0013】
本発明により、以下のステップが設けられる:
-踏切の警告ゾーンまたは警告ゾーンの一部領域の第一の時刻における温度が特定され、
-踏切の警告ゾーンまたは警告ゾーンの一部領域のその後の第二の時刻における温度が特定され、
-第一の時刻における温度が第二の時刻における温度と比較され、
-その後の第二の時刻における温度が、第一の時刻におけるものよりも高いことをその比較が示すときに、警告信号が踏切安全装置により発出され、さらに、
-踏切安全装置が、遮断指示および/または物理的な遮断機により、踏切の遮断を開始する。
【0014】
本発明による方法は、列車が警告ゾーン内で停車しなければならない場合に、とりわけ短い閉鎖時間を可能にする。列車の発進が確実に検知され、例えば安全防護ゾーンへの進入が検知されるだけではない。踏切の遮断機は、本当に必要な場合にのみ閉鎖され、しかもそれだけでなく必要なときには十分早めに閉鎖される。踏切の道路を通過する交通の流れが明らかに増すことになる。
【0015】
本発明による方法の実施形態に対応して、第一の時刻における温度の特定は、警告ゾーンへの鉄道車両の進入後、所定の第一の期間が経過してはじめて行なわれることとされている。
【0016】
これにより、本発明による方法は、本当に必要な場合、すなわち、列車が警告ゾーンに比較的長く滞在する場合にのみ適用されることになる。
【0017】
本発明による方法の一実施形態では、踏切安全装置は、鉄道車両が警告ゾーンに進入した後、所定の第二の期間より長く鉄道車両が警告ゾーンに滞在する場合に、踏切の遮断を解除するものとされている。
【0018】
この手法により、列車が警告ゾーンに比較的長く滞在していることが確認できれば、踏切を再び迅速に開放することができる。
【0019】
本発明による方法の一実施形態によれば、踏切安全装置は、警告ゾーンへの進入時に第一の車軸カウンタにより検出された鉄道車両の車軸数を受信するものとされている。踏切安全装置は、警告ゾーンからの退出時に第二の車軸カウンタにより検出された鉄道車両の車軸数を受信し、踏切安全装置は、第一の車軸カウンタと第二の車軸カウンタにより検出された車軸数を互いに比較する。踏切安全装置は、第二の車軸数が第一の車軸数とは違う場合に、第二の車軸カウンタにより検出された車軸数を記憶する。
【0020】
本発明によるこの手段に基づいて、警告ゾーンで一つ又は複数の車両が連結および/または連結解除された場合には特に、列車の車軸数が変化したことが分かる。これにより、出入りする際の車軸数が違うことによる誤警報を防ぐことができる。
【0021】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、第一および第二の温度の特定は、踏切の警告ゾーンに沿って、好ましくは定位置に配置されている一つ又は複数の熱検知装置または温度検知装置により行なわれるものとされている。
【0022】
これらの手段により、警告ゾーンでの列車の発進をほぼ漏れなく検出することができる。
【0023】
本発明による方法の一実施形態では、第一の時刻における温度と第二の時刻における温度の比較は、同じ熱検知装置による温度測定に基づいて行われるものとされている。
【0024】
これにより、異なる位置での測定による測定エラーを防ぐことができる。しかしながら、一つの熱検知装置から、その測定値を次の熱検知装置へ、或いは一つ又は複数の他の熱検知装置へ伝えると便利な場合もある。
【0025】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、少なくとも一つの熱検知装置または少なくとも一つの温度測定装置は、サーマルカメラおよび/または赤外センサにより形成されるものとされている。
【0026】
サーマルカメラを熱検知装置として使用することにより、発進する列車を認識するための本発明による方法の信頼性がさらに高まる。
【0027】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、特にディーゼル機関車について、温度比較のために鉄道車両の排気ガス温度が第一および第二の時刻において測定されるものとされている。
【0028】
本発明によるこの手法はまた、発進する列車を認識するための本発明による方法の信頼性をさらに著しく高めるのに適している。
【0029】
本発明による方法の好ましい実施形態によれば、この方法は、保存された車軸数の、さらなる別の線路区画への伝送を有するものとされている。
【0030】
これにより、さらなる別の複数の線路区画が、列車または鉄道車両の長さについて適切に通知を受けることができ、その結果、例えば、さらなる別の踏切ないし工場出口といった、さらなる別の複数の線路区画が列車の長さについて、従って、遮断時間について通知を受けることができるという利点得られる。
【0031】
本発明はまた、踏切の警告ゾーンにおける鉄道車両の移動を判定する踏切安全装置を提案する。この踏切安全装置は、有利にも本発明による方法を実施することにより特徴付けられる。
【0032】
本発明はまた、踏切の警告ゾーンにおける鉄道車両の移動を判定する踏切安全装置を備えた踏切を提案する。この踏切は、本発明による方法を実施することにより有利に特徴付けられる。
【0033】
最後に、本発明は、本発明による方法の少なくとも一つのステップを実行させる少なくとも一つのプロセッサを制御するためのコンピュータプログラム製品を提案する。
【0034】
以下に、図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の例示的な実施形態による提案された方法の概略図を示す。
図2】本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された方法の概略図を示す。
図3】本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された方法の概略図を示す。
図4】本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された装置の概略図を示す。
図5】本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された踏切の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、本発明の例示的な実施形態による提案された方法の概略図を示す。
【0037】
図1はここで、踏切100の警告ゾーン120における鉄道車両、特に貨物列車または旅客列車の移動を判定する方法において、その方法が、踏切100の警告ゾーン120または警告ゾーン120の一部領域の第一の時刻における第一の温度210の特定10と、踏切100の警告ゾーン120または警告ゾーン120の一部領域の第二の時刻における第二の温度220の特定20を有し、第一の時刻はこのとき、第二の時刻よりも時間的に先になり、第一の温度210と第二の温度220の比較30を有し、第二の温度220が第一の温度210より高いことをその比較が示すときに、その方法がさらに、警告信号160の発出35および踏切の遮断100の開始37を有することを特徴とする方法の概略図を示す。
【0038】
例えば、第一の時刻における第一の温度210の特定は、警告ゾーン120への鉄道車両の進入後、所定の第一の期間が経過してからようやく行なわれる。
【0039】
これには、測定結果の関連性を高めることができるという利点があり得る。これにより、本方法または本踏切安全装置の信頼性を高めることができるという利点が生じ得る。
【0040】
図2は、本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された方法の概略図を示す。
【0041】
図2はここで、この方法の概略図を示し、この方法はさらに、警告ゾーン120への鉄道車両の進入後に所定の第二の期間より長く鉄道車両が警告ゾーン120に滞在したときの踏切の遮断の解除100の開始40を有する。
【0042】
図3は、本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された方法の概略図を示す。
【0043】
図3はここで、この方法の概略図を示し、この方法はさらに、警告ゾーン120への鉄道車両の進入時の第一の車軸数230の検出50、警告ゾーン120からの鉄道車両の退出時の第二の車軸数240の検出60、第一と第二の車軸数230,240の相互の比較70を有する。そして、第二の車軸数240が第一の車軸数230とは違う場合に、第二の車軸数240の保存75を行なう。そして、第二の車軸数240が第一の車軸数230と違わない場合に、第一の車軸数230の保存77を行なう。
【0044】
例えば、踏切100の遮断の開始37および/または所定の第二の期間の継続を、保存された車軸数230,240に基づいて行なうことができる。
【0045】
これには、踏切100の遮断をより効果的に行なうことができ、その結果、遮断の継続を適切に選択できるようになるという利点がある。
【0046】
以下の例示的な実施形態は、図1から図3に共通である。
【0047】
例えば、第一および第二の温度210,220の特定は、踏切100の警告ゾーン120に沿って、好ましくは定位置に配置されている一つ又は複数の熱検知装置または温度検知装置により行なうことができる。
【0048】
これには、そのような測定に特別に用意された装置を温度検知のために使用できるという利点がある。これにより、コストを下げることができる。さらに、このことを通じて、本方法または本踏切安全装置の信頼性を向上させることもできる。
【0049】
例えば、第一の時刻における温度210と第二の時刻における温度220の比較30は、同じ熱検知装置による温度測定に基づいて行うことができる。
【0050】
これには、このことを通じて、本方法または本踏切安全装置の信頼性をさらに向上させることができるという利点がある。それは、例えばこのことを通じて、温度測定の許容誤差を最小限に抑えるか、取り除くことができるからである。
【0051】
例えば、少なくとも一つの熱検知装置または少なくとも一つの温度測定装置は、サーマルカメラおよび/または赤外センサにより形成することができる。
【0052】
これには、温度検出のための一般的な装置を使用できるという利点がある。これにより、コストを削減できる。さらに、このことを通じて、本方法または本踏切安全装置の信頼性も向上させることができる。
【0053】
例えば、温度比較30のために鉄道車両の排気ガス温度を第一および第二の時刻において測定することができ、その鉄道車両は、特にディーゼル機関車を有している。
【0054】
鉄道車両がディーゼル機関車を有している場合、鉄道車両の始動が差し迫っていることを第二の温度が指し示している可能性がある。この場合、鉄道車両は、間もなく(或いはまた所定の期間内に)走行を開始し、警告ゾーンを後にすると想定できる。
【0055】
これには、このことを通じて、本方法または本踏切安全装置の信頼性が向上するという利点がある。
【0056】
例えば、第一の温度210よりも第二の温度220が閾値だけ高いことを比較30が示す場合に、警告信号の発出35と踏切100の遮断の開始37を行なうことができる。そのような閾値には、鉄道車両の始動が差し迫っていることを指し示していないような僅かな温度偏差を無視することができ、その結果、踏切の遮断の信頼性をさらにまた向上させることができるという利点があり得る。その閾値はここで、予め設定されているのでもよい。さらに、その閾値は、鉄道車両に個別に応じたものでもよい。例えば、その閾値は、鉄道車両の機関車のタイプに応じたものでもよい。
【0057】
例えば、踏切100の遮断が物理的および/または仮想的に開始37されるのでもよい。
【0058】
この場合、踏切100の物理的な遮断には、踏切を安全に遮断できるという利点があり得る。
【0059】
この場合、踏切100の仮想的な遮断には、例えば遮断情報として仮想的な遮断を自動運転車のシステム固有の装置に送信できることで、コスト効率よく遮断を実行できるという利点があり得る。これにより、物理的な遮断機のコストを回避することができる。その場合、踏切の遮断の信頼性に多大な悪影響を及ぼすことなくそれを行なうことができる。
【0060】
両タイプの遮断を相互に併用すると、踏切の遮断の信頼性をさらにまた向上させることができる。このことは例えば、踏切100の遮断に冗長性があることで与えられ得る。
【0061】
例えば、踏切100の遮断は、警報灯、踏切遮断機および/または踏切100の近くに位置する自動車への遮断情報により開始37することができる。
【0062】
従って、遮断情報は、自動車または自動車のコンピュータデバイスに送信することができる。これは、例えば、UMTS、WLAN、4G、5G、MANET、VANET、Car2Xなどといった無線通信を用いて行なうことができる。
【0063】
警報灯または踏切遮断機による踏切100の遮断には、踏切100を遮断するための一般的な装置を使用できるという利点があり得る。これにより、コストを削減できる。さらに、このことを通して、本方法または本踏切安全装置の信頼性を向上させることもできる。
【0064】
遮断情報による踏切100の遮断には、より多くのコストがかかる線路の物理的な遮断を要することなく、自動走行の自動車を効果的かつ安全に制御できるという利点があり得る。
【0065】
図4は、本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された装置の概略図を示す。
【0066】
図4はここで、踏切100の警告ゾーン120における鉄道車両の移動を判定する踏切安全装置の概略図を示す。この踏切安全装置はここで、本発明による方法を実施するように構成されている。
【0067】
図4aにおいて、踏切安全装置200は、第一の温度210および第二の温度200を測定するための熱検知装置または温度検知装置(複数)のみを有している。これら両方の温度を測定するために、一つまたは複数の温度検知装置を使用することができる。
【0068】
他方、図4bにおいては、踏切安全装置200は、第一の温度210および第二の温度200を測定するための熱検知装置または温度検知装置(複数)と、第一の車軸数230および第二の車軸数240を測定するための装置(複数)の両方を有している。これら両方の車軸数を測定するために、一つまたは複数の車軸数検知装置を使用することができる。
【0069】
図5は、本発明のさらなる別の例示的な実施形態による提案された踏切の概略図を示す。
【0070】
図5はここで、踏切100の警告ゾーン120における鉄道車両の移動を判定する踏切安全装置を備えた踏切の概略図を示す。踏切はここで、本発明による方法を実施するように構成されている。
【符号の説明】
【0071】
10 第一の温度の特定
20 第二の温度の特定
30 第一の温度と第二の温度の比較
35 警告信号の発出
37 踏切の遮断の開始
40 踏切の遮断解除の開始
50 列車の第一の車軸数の検出
60 列車の第二の車軸数の検出
70 第一の車軸数と第二の車軸数の比較
75 第一の車軸数の保存
77 第二の車軸数の保存
100 踏切
110 無害ゾーン
120 警告ゾーン
130 安全防護ゾーン
160 警告信号
200 踏切安全装置
210 第一の温度
220 第二の温度
230 第一の車軸数
240 第二の車軸数
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5