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特許7352659着色ガラスフリット及び自動車用途に関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】着色ガラスフリット及び自動車用途に関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 8/02 20060101AFI20230921BHJP
   C03C 17/04 20060101ALI20230921BHJP
   C03C 8/04 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
C03C8/02
C03C17/04 A
C03C8/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021571990
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 US2020034164
(87)【国際公開番号】W WO2020256887
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503468695
【氏名又は名称】フエロ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(72)【発明者】
【氏名】アクステル,イーノス エー.,3世
(72)【発明者】
【氏名】ポリッツィ,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】スリダーラン,スリニバサン
(72)【発明者】
【氏名】サコスケ,ジョージ イー.
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-221540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 8/02
C03C 17/04
C03C 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1~10mol%のLiO、
3~15mol%のNaO、
~65mol%のSiO
1~40mol%のB
.1~3mol%のAl
.1~16mol%のTiO
.3~17.8mol%のFe
.2~6.1mol%のMnO、及び
.2~2.4mol%のCo
を焼成前に含
いかなる形態の鉛を含まない、ガラスフリット組成物。
【請求項2】
4~15mol%のNaO、
3~40mol%のB
.1~14mol%のTiO
.3~17.8mol%のFe、及び
.2~4.2mol%のMnO、を焼成前に含み、
前記ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない、
請求項1に記載のガラスフリット組成物。
【請求項3】
5~7mol%のLiO、
6~10mol%のNaO、
~51mol%のSiO
~33mol%のB
.65~1mol%のAl
.5~2.1mol%のTiO
.5~14.5mol%のFe
.3~3.3mol%のMnO、及び
.35~1.85mol%のCo
を焼成前に含む、請求項2に記載のガラスフリット組成物。
【請求項4】
6~9mol%のLiO、
8~12mol%のNaO、
~62mol%のSiO
9~14mol%のB
.8~1.3mol%のAl
.8~2.7mol%のTiO
4~17.8mol%のFe
.8~4.2mol%のMnO、及び
.6~2.4mol%のCo
を焼成前に含む、請求項2に記載のガラスフリット組成物。
【請求項5】
4~7mol%のLiO、
6~8.5mol%のNaO、
~46mol%のSiO
~30mol%のB
.6~0.9mol%のAl
9~12mol%のTiO
3~13mol%のFe
.2~3mol%のMnO、及び
.2~1.7mol%のCo
を焼成前に含む、請求項2に記載のガラスフリット組成物。
【請求項6】
5~8mol%のLiO、
7~10.5mol%のNaO、
~56mol%のSiO
8~12mol%のB
.7~1.1mol%のAl
0.5~15mol%のTiO
4~12.5mol%のFe
.5~3.7mol%のMnO、及び
.4~2.1mol%のCo
を焼成前に含む、請求項2に記載のガラスフリット組成物。
【請求項7】
焼成前に、
5~10mol%のLiO、
3~7mol%のNaO、
~55mol%のSiO
1~15mol%のB
.1~2mol%のAl
1~16mol%のTiO
.7~6.1mol%のMnO
.3~11.8mol%のFe、及び
.5~2.1mol%のCoを含み、
0~15mol%のZnO、及び
~20mol%のBi、をさらに含む、
請求項1に記載のガラスフリット組成物。
【請求項8】
7~9mol%のLiO、
4~6mol%のNaO、
~45mol%のSiO
2~5mol%のB
.9~1.2mol%のAl
~17mol%のBi
4~9.5mol%のTiO
.8~5.8mol%のMnO
.3~7.7mol%のFe、及び
.6~2mol%のCo
を焼成前に含む、請求項7に記載のガラスフリット組成物。
【請求項9】
.2~7.5mol%のLiO、
.7~5mol%のNaO、
~40mol%のSiO
4~12mol%のB
.9~1.1mol%のAl
4.8~15.5mol%のBi
8~14mol%のTiO
5~5.3mol%のMnO
.6~7mol%のFe、及び
.6~1.8mol%のCo
を焼成前に含む、請求項7に記載のガラスフリット組成物。
【請求項10】
.9~7.5mol%のLiO、
.5~5mol%のNaO、
~40mol%のSiO
4~4.5mol%のB
.9~1.1mol%のAl
.7~10.8mol%のZnO、
~16mol%のBi
8~9mol%のTiO
.5~5.5mol%のMnO
.3~7.1mol%のFe、及び
.6~1.8mol%のCo
を焼成前に含む、請求項7に記載のガラスフリット組成物。
【請求項11】
.3~8.7mol%のLiO、
.8~5.8mol%のNaO、
~40mol%のSiO
.3~5.2mol%のB
1~1.2mol%のAl
~18mol%のBi
.5~10.5mol%のTiO
5~6.2mol%のMnO
8~12mol%のFe、及び
.7~2.1mol%のCo
を焼成前に含む、請求項7に記載のガラスフリット組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の前記ガラスフリットを含むエナメル組成物を基体上に供給する工程と、
前記エナメル組成物が前記基体に接着する温度で前記エナメル組成物及び前記基体を焼成する工程と、を含み、
前記温度は500℃~705℃の範囲である、基体を装飾する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、自動車用途及び関連する方法において使用する、遷移金属を含む鉛フリー着色ガラスフリットに関する。
【背景技術】
【0002】
着色されたエナメルは、フロントガラス並びにサイドウィンドウ及びリアウィンドウなどの自動車ガラスセクション上に不透明な暗色エナメルバンドを形成するために長い間使用されてきた。自動車メーカーは、ガラスセクションの内面上においてガラスセクションの1つ又は複数の縁部周りに比較的狭く不透明な暗色エナメルバンドを適用することによってガラスセクションの外観が大幅に改善することを発見した。ガラスセクションに審美的に魅力的な外観を付与することに加えて、これらの不透明な着色エナメルバンドは太陽光の透過を遮断し、これによって紫外線によるアンダーライニング接着剤の劣化を防ぐ。さらに、これらの不透明な着色エナメルバンドは、好ましくは、銀含有バスバー(buss bar)セクション及びリアガラス霜取りシステムの配線接続を、車両外部からの視界から隠す。
【0003】
着色エナメルは、1つ又は複数のガラスフリットを含む。これまでガラスフリットは、ガラスフリットの溶融温度を下げるために鉛を含んでいた。しかしながら、環境と健康の問題により、ガラスにおける鉛の使用は減少している。用途に応じて、鉛はビスマス又は亜鉛に置き換えることができる。したがって、それらの光学的、熱的、及び化学的特性を損なうことなく、鉛を含まないガラスフリット組成物を作製することが可能であれば望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
以前のアプローチに関連する困難及び欠点は、本主題において以下のように対処される。この概要は、現在の主題の外延的概説ではない。これは、本主題の重要な要素又は不可欠な要素を特定することを意図するものではなく、本主題の範囲を線引きすることも意図するものではない。その唯一の目的は、後で提示される、より詳細な説明の導入部として、本主題のいくつかの概念を簡単な形態で提示することである。
【0005】
一態様によれば、暗い色、並びに、改善された光学的、熱的及び化学的特性を示すエナメル組成物が提供される。エナメル組成物は、1つ又は複数のガラスフリット及び有機ビヒクルを含む。1つ又は複数のガラスフリットは微粉末形態であり、約0.1~約15mol%(モル%)のLiO、約5~約20mol%のNaO+KO+RbO+CsO、約0.1~約20mol%の遷移金属酸化物、約1~約45mol%のB+Al、約20~約80mol%のSiO+TiO、及び約0~約40mol%のFを含む。遷移金属酸化物は、Fe、MnO、Cr、及びCoから選択される1つ又は複数である。ガラスフリットは、Bi及びZnの少なくとも1つを含まない。
【0006】
別の態様によれば、制御された光学的、熱的又は化学的特性を有する混合エナメル組成物を生成する複数のガラスフリットが提供される。本主題による約1~95wt%(重量%)の暗色のガラスフリットは、約0~85wt%の明るい色のエナメル組成物と混合されて、基体(substrate)上にエナメル層を形成する。選択的に、約1~35wt%の顔料及び約1~30wt%の無機フィラー。混合エナメル組成物における混合比を制御することにより、得られるエナメルの光学的、熱的及び化学的特性のうちの少なくとも1つが、顧客のニーズに応じて調整される。さらに、Bi及び/又はZnの使用量が減少するため、出発材料のコストを潜在的に下げることができる。
【0007】
別の態様によれば、基体上にエナメルを形成する方法が提供される。該方法は、基体上にエナメル組成物を準備する(提供する、供給する)ことを含む。エナメル組成物は、本主題の実施形態によるガラスフリットを含むペースト又はインクとすることができる。エナメル組成物は、約40~90wt%の1つ又は複数のガラスフリットと、エナメル組成物を基体に堆積させるのに適した約10~60wt%の有機ビヒクルと、を含む。エナメル組成物は、スクリーン印刷、ロールコーティング、スプレー、カーテンコーティング、スピンコーティング及びデジタル印刷によって基体上に堆積される。該方法は、エナメル組成物を基体に接着させる温度でエナメル組成物及び基体を焼成することをさらに含む。焼成温度は約500℃~約705℃の範囲である。
【0008】
前述の目的及び関連する目的を達成するために、本主題は、以下で完全に説明され、特許請求の範囲において特に指摘される特徴を含む。以下の説明は、本主題の特定の例示的な実施形態を詳細に記載する。しかしながら、これらの実施形態は、本主題の原理を使用することができる様々な方法のうちのいくつかを示すにすぎない。本主題の他の目的、利点、及び新規の特徴は、本主題の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【実施形態の詳細な説明】
【0009】
これまでエナメル組成物は、エナメル組成物の焼結温度を下げるための鉛(Pb)を含んでいた。しかしながら、環境問題及び健康問題のために、鉛の使用は削減又は廃止され、環境規制及び健康規制に準拠されてきた。ビスマス(Bi)及び亜鉛(Zn)は、エナメル組成物におけるPbの初期の代替物であり、低温でエナメルを溶融し、ガラスの一部が成形操作の準備として予熱される温度で部分的に結晶化させ、プレス又はバキュームヘッドにくっつかないようにする。さらに、このようなエナメル組成物は、高価な酸化ビスマスの使用を制限するために、Biを少なくするか、又は含まないことが望ましい。
【0010】
主題のエナメル組成物は、ガラスフリットを含む。ガラスフリットは、少量のBi(典型的には20wt%未満、好ましくは16wt%未満、もしくはより好ましくは12wt%未満)を含むか、又はBiを含まない。主題のエナメル組成物は、1つ又は複数の遷移金属酸化物を含み、着色されたエナメル組成物を生成する。一実施形態において、主題のエナメル組成物は、ビスマスフリーな、化学的耐性のあるエナメルフリット組成物を提供する。別の実施形態において、主題のエナメル組成物は、低ビスマスで化学的耐性のあるエナメルフリット組成物を提供する。エナメル組成物は、優れた化学的及び機械的強度を有する。低ビスマス又はビスマスフリーのエナメル組成物に1つ又は複数の遷移元素酸化物を組み込むことにより、低L値のエナメル組成物を達成することができる。さらに別の実施形態において、主題のエナメル組成物は、焼結後、低下したエナメル密度(enamel density)及び/又は低下した熱膨張係数(CTE)を提供する。
【0011】
主題のエナメル組成物の1つの特定の用途は、フロントガラス並びにサイドウィンドウ及びリアウィンドウなどの自動車用ガラスセクションにおける不透明で暗い色のエナメルバンドを形成することである。ガラスセクションに審美的に魅力的な外観を与えることに加えて、これらの不透明な着色エナメルバンドは、好ましくは太陽光の透過を遮断し、これによって紫外線によるアンダーライニング接着剤の劣化を防ぐ。さらに、これらの不透明な着色エナメルバンドは、好ましくは、銀含有バスバーセクション及び後部ガラス霜取りシステムの配線接続を、車両外部からの視界から隠す。
【0012】
主題のエナメル組成物及びエナメルを形成する方法は、主題のエナメル組成物が、減少した量のビスマス、例えば酸化ビスマス、を含むので、製造コストを低減してエナメルを提供する利点を有することができる。したがって、主題は、ビスマス及び/又は亜鉛を含むガラスエナメルに対して様々な明確な利点を示す新規で有用なガラスエナメル組成物を提供する。
【0013】
エナメル組成物
主題の組成物、物品、及び方法の構成要素は、本明細書で以下に詳述される。本主題の特定の実施形態は、少なくともいくつかのパーセンテージ、温度、時間、及び他の値の範囲の前に、修飾語「約」が付いていることが想定されている。本明細書に開示されるエナメル及びガラスフリットのすべての組成パーセンテージはモルであり、特に記載のない限り、焼成前の前駆体の混合物について示されている。例えば、フリット組成物は、溶融前の前駆体材料の混合物を指し、その後、溶融及び急冷されてガラスフリットを形成する。同様にして、エナメル組成物は、焼成前の前駆体材料の混合物を指し、他の固体及び液体成分と混合されて、エナメル組成物を形成する。エナメルの組成パーセンテージは、重量パーセント(wt%)で示される。各成分の詳細は以下の通りである。
【0014】
ガラスフリット成分
本明細書で使用されるように、用語「ガラスフリット(glass frit)」は、通常、溶融材料の急速な固化とそれに続く所望の粉末サイズへの粉化(grinding)又は粉砕(milling)によって生成される溶融前ガラス材料を意味する。
【0015】
一実施形態において、ガラスフリットは、LiO:典型的には0.1~15mol%、好ましくは0.1~12.5mol%、より好ましくは0.1~10mol%、NaO+KO+RbO+CsO:典型的には5~20mol%;好ましくは7~18mol%;より好ましくは8~16mol%;Bi:典型的には0~40mol%;好ましくは0.1~30mol%;より好ましくは0.1~20mol%;遷移金属酸化物:典型的には0.1~20mol%;好ましくは0.2~18mol%;より好ましくは0.5~16mol%;B+Al:典型的には1~45mol%;好ましくは2~40mol%;より好ましくは5~35mol%;SiO+TiO:典型的には20~80mol%;好ましくは22~75mol%;より好ましくは25~70mol%;及びF:典型的には0~40mol%;好ましくは0~30mol%;より好ましくは0~25mol%を含む。遷移金属酸化物(TMO;Transition metal oxides)は、Fe、MnO、Cr、又はCoから選択される1つ又は複数の酸化物である。以下の表1は、本主題の実施に有用なガラスフリットを示す。表1のすべての値はmol%である。
【0016】
【表1】
【0017】
様々な組み合わせにおける「典型(typical)」、「好ましい(preferred)」、及び「より好ましい(more preferred)」として上に示された酸化物の範囲の組み合わせは、このような範囲の組み合わせが合計して100mol%になり得る限り、利用可能である。例えば、ガラスフリットは、焼成前に、約0.1~約10mol%のLiO、約5~約20mol%のNaO+KO+RbO+CsO、約0.1~約30mol%のBi、約0.1~約20mol%の遷移金属酸化物、約1~約45mol%のB+Al、約20~約80mol%のSiO+TiO、及び0~約40mol%のFを含む。
【0018】
別の実施形態において、ガラスフリットは、LiO:典型的には0.1~15mol%、好ましくは0.1~12.5mol%、より好ましくは0.1~10mol%、NaO+KO+RbO+CsO:典型的には5~20mol%;好ましくは7~18mol%;より好ましくは8~16mol%;遷移金属酸化物:典型的には0.1~20mol%、好ましくは0.2~18mol%、より好ましくは0.5~16mol%;B+Al:典型的には1~45mol%、好ましくは2~40mol%、より好ましくは5~35mol%;SiO+TiO:典型的には20~80mol%、好ましくは22~75mol%、より好ましくは25~70mol%;及びF:典型的には0~40mol%、好ましくは0~30mol%、より好ましくは0~25mol%を含む。ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない。あるいは、ガラスフリットはBi及びZnを含まない。以下の表2は、本主題の実施に有用なガラスフリットを示す。表2のすべての値はmol%である。
【0019】
【表2】
【0020】
さらに別の実施形態において、ガラスフリットは、LiO:典型的には0.1~15mol%、好ましくは0.1~12.5mol%、より好ましくは0.1~10mol%、NaO+KO+RbO+CsO:典型的には5~20mol%、好ましくは7~18mol%、より好ましくは8~16mol%;Bi:典型的には0~40mol%、好ましくは0.1~30mol%、より好ましくは0.1~20mol%;遷移金属酸化物:典型的には0.1~20mol%、好ましくは0.2~18mol%、より好ましくは0.5~16mol%;B+Al:典型的には1~45mol%、好ましくは2~40mol%、より好ましくは5~35mol%;SiO+TiO:典型的には20~80mol%、好ましくは22~75mol%、より好ましくは25~70mol%;典型元素酸化物(main group oxides);典型的には0.1~20mol%、好ましくは0.2~15mol%、より好ましくは0.3~10mol%;及びF:典型的には0~40mol%、好ましくは0~30mol%、より好ましくは0~25mol%を含む。典型元素酸化物は、Ga、In、GeO、SnO、P、Sb、SO、SeO、TeO、TlO、Pb、及びAsからなる群から選択される。典型元素酸化物には、B、Al、Si、及びBiは含まれない。以下の表3は、本主題の実施に有用なガラスフリットを示す。表3のすべての値はmol%である。
【0021】
【表3】
【0022】
さらに別の実施形態において、ガラスフリットは、LiO:典型的には0.1~15mol%、好ましくは0.1~12.5mol%、より好ましくは0.1~10mol%、NaO+KO+RbO+CsO:典型的には5~20mol%;好ましくは7~18mol%;より好ましくは8~16mol%;遷移金属酸化物:典型的には0.1~20mol%;好ましくは0.2~18mol%、より好ましくは0.5~16mol%;B+Al:典型的には1~45mol%;好ましくは2~40mol%;より好ましくは5~35mol%;SiO+TiO:典型的には20~80mol%;好ましくは22~75mol%;より好ましくは25~70mol%;典型元素酸化物;典型的には0.1~20mol%、好ましくは0.2~15mol%、より好ましくは0.3~10mol%;及びF:典型的には0~40mol%;好ましくは0~30mol%;より好ましくは0~25mol%を含む。典型元素酸化物は、Ga、In、GeO、SnO、P、Sb、SO、SeO、TeO、TlO、Pb、及びAsからなる群から選択される。典型元素酸化物には、B、Al、Si、及びBiは含まれない。ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない。あるいは、ガラスフリットには、Bi及びZnの両方が存在していない。以下の表4は、本主題の実施に有用なガラスフリットを示す。表4のすべての値はmol%である。
【0023】
【表4】
【0024】
また、本主題は、ガラスフリットにおける酸素部位への陰イオン(優先的にはF、S及びSe)の添加も含み、酸化物原料の溶解のフラックス処理及銀イオンマイグレーションの化学的捕捉など、フリット及びエナメルの特性を調節する。
【0025】
明細書及び特許請求の範囲全体を通して、すべての場合において、すべての表及びすべての実施形態について、範囲が下端でゼロによって境界付けされるように示されている場合、又は構成要素が「最大(up to)」特定のモル%又は「≦」特定のモル%に含まれるように示されている場合、これらは、下端で0.01もしくは0.1で境界付けられた同じ範囲、又は0.01もしくは0.1mol%から、特定のmol%の上限まで含まれる構成要素のサポートを提供する。「最大25mol%のNaO+KO+RbO+CsO」などの成分のグループの記載においては、記載は、0.01~25mol%又は0.1~25mol%の記載された成分グループのサポートに加えて、このような範囲のグループ内の個々の成分(例えば、0.01~25mol%のNaO又は0.1~25mol%のKO)及びこれらのいずれかの組み合わせのサポートも提供する。さらに、0~40mol%のFは、0.01~40mol%のF又は0.1~40mol%のFもサポートする。
【0026】
一実施形態において、ガラスフリットは、約1~約10mol%のLiO、約3~約15mol%のNaO、約20~約65mol%のSiO、約1~約40mol%のB、約0.1~約3mol%のAl、約0.1~約16mol%のTiO、約2.3~約17.8mol%のFe、約2.2~約6.1mol%のMnO、及び約1.2~約2.4mol%のCoを含む。
【0027】
別の実施形態において、ガラスフリットは、約1~約10mol%のLiO、約4~約15mol%のNaO、約20~約65mol%のSiO、約3~約40mol%のB、約0.1~約3mol%のAl、約0.1~約14mol%のTiO、約3.3~約17.8mol%のFe、約2.2~約4.2mol%のMnO、及び約1.2~約2.4mol%のCoを含む。ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない。あるいは、ガラスフリットにはBi及びZnの両方が存在していない。
【0028】
さらに別の実施形態において、ガラスフリットは、約5~約7mol%のLiO、約6~約10mol%のNaO、約34~約51mol%のSiO、約24~約33mol%のB、約0.65~約1mol%のAl、約1.5~約2.1mol%のTiO、約3.5~約14.5mol%のFe、約2.3~約3.3mol%のMnO、及び約1.35~約1.85mol%のCoを含む。ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない。あるいは、ガラスフリットにはBi及びZnの両方が存在していない。
【0029】
またさらに別の実施形態において、ガラスフリットは、約6~約9mol%のLiO、約8~約12mol%のNaO、約43~約62mol%のSiO、約9~約14mol%のB、約0.8~約1.3mol%のAl、約1.8~約2.7mol%のTiO、約4~約17.8mol%のFe、約2.8~約4.2mol%のMnO、及び約1.6~約2.4mol%のCoを含む。ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない。あるいは、ガラスフリットにはBi及びZnの両方が存在していない。
【0030】
さらに別の実施形態において、ガラスフリットは、約4~約7mol%のLiO、約6~約8.5mol%のNaO、約31~約46mol%のSiO、約22~約30mol%のB、約0.6~約0.9mol%のAl、約9~約12mol%のTiO、約3~約13mol%のFe、約2.2~約3mol%のMnO、及び約1.2~約1.7mol%のCoを含む。ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない。あるいは、ガラスフリットにはBi及びZnの両方が存在していない。
【0031】
またさらに別の実施形態において、ガラスフリットは、約5~約8mol%のLiO、約7~約10.5mol%のNaO、約38~約56mol%のSiO、約8~約12mol%のB、約0.7~約1.1mol%のAl、約10.5~約15mol%のTiO、約4~約12.5mol%のFe、約2.5~約3.7mol%のMnO、及び約1.4~約2.1mol%のCoを含む。ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない。あるいは、ガラスフリットにはBi及びZnが存在していない。
【0032】
一実施形態において、ガラスフリットは、約5~約10mol%のLiO、約3~約7mol%のNaO、約30~約55mol%のSiO、約1~約15mol%のB、約0.1~約2mol%のAl、約0~約15mol%のZnO、約10~約20mol%のBi、約1~約16mol%のTiO、約4.7~約6.1mol%のMnO、約2.3~約11.8mol%のFe、及び約1.5~約2.1mol%のCoを含む。
【0033】
別の実施形態において、ガラスフリットは、約7~約9mol%のLiO、約4~約6mol%のNaO、約40~約45mol%のSiO、約2~約5mol%のB、約0.9~約1.2mol%のAl、約14~約17mol%のBi、約4~約9.5mol%のTiO、約4.8~約5.8mol%のMnO、約2.3~約7.7mol%のFe、及び約1.6~約2mol%のCoを含む。
【0034】
さらに別の実施形態において、ガラスフリットは、約7.2~約7.5mol%のLiO、約4.7~約5mol%のNaO、約38~約40mol%のSiO、約4~約12mol%のB、約0.9~約1.1mol%のAl、約14.8~約15.5mol%のBi、約8~約14mol%のTiO、約5~約5.3mol%のMnO、約6.6~約7mol%のFe、及び約1.6~約1.8mol%のCoを含む。
【0035】
またさらに別の実施形態において、ガラスフリットは、約6.9~約7.5mol%のLiO、約4.5~約5mol%のNaO、約37~約40mol%のSiO、約4~約4.5mol%のB、約0.9~約1.1mol%のAl、約3.7~約10.8mol%のZnO、約14~約16mol%のBi、約8~約9mol%のTiO、約4.5~約5.5mol%のMnO、約6.3~約7.1mol%のFe、及び約1.6~約1.8mol%のCoを含む。
【0036】
またさらに別の実施形態において、ガラスフリットは、約7.3~約8.7mol%のLiO、約4.8~約5.8mol%のNaO、約35~約40mol%のSiO、約4.3~約5.2mol%のB、約1~約1.2mol%のAl、約15~約18mol%のBi、約8.5~約10.5mol%のTiO、約5~約6.2mol%のMnO、約8~約12mol%のFe、及び約1.7~約2.1mol%のCoを含む。
【0037】
低い焼成温度、化学的耐性、適度な密度、改善された機械的強度、低いL値、及び適度な熱膨張などの所望の特性を得るために、本発明のフリットの個々の酸化物の組成範囲は上記で言及した範囲でなければならない。
【0038】
一実施形態において、ガラスフリットには、鉛、ビスマス、及び亜鉛からなる群から選択される元素の少なくとも1つが実質的に存在していない。例えば、ガラスフリット(例えば、表2)には、鉛、ビスマス、及び亜鉛が実質的に存在していない。別の実施形態おいては、ガラスフリットには鉛及びビスマスが実質的に存在していないが、ガラスフリットは亜鉛を含む。さらに別の実施形態においては、ガラスフリットには鉛及び亜鉛が実質的に存在していないが、ガラスフリットはビスマスを含む。本明細書で使用されるように、「実質的に元素を含まない(substantially free of an element)」又は「実質的に元素が存在しない(substantially devoid off an element)」とは、ガラスフリットがいかなる形態の該元素を含まないこと、又は該元素もしくは該元素を含むいずれかの化合物がガラスフリットに意図的に添加されていないことを意味する。例えば、いくつかの実施形態において、ガラスフリットを形成するのに使用されるすべての材料には、鉛、ビスマス、及び亜鉛からなる群から選択される元素のうちの少なくとも1つが実質的に存在していない。別の実施形態において、ガラスフリットを作製する方法は、鉛、ビスマス、及び亜鉛からなる群から選択される元素のうちの少なくとも1つをガラスフリット及び/又はガラスフリットの前駆体材料と組み合わせることを含まない。
【0039】
エナメル組成物は、いずれか適量のガラスフリットを含むことができる。一実施形態において、エナメル組成物の固形部(solid portions)は、約55~約99wt%のガラスフリットを含む。別の実施形態において、エナメル組成物は、約57.5~約98.5wt%のガラスフリットを含む。さらに別の実施形態において、エナメル組成物は、約60~約98wt%のガラスフリットを含む。
【0040】
有機ビヒクル(organic vehicle)
ガラスフリット及びエナメル組成物は、有機ビヒクルと組み合わせることができる。ガラスフリットをビヒクルと組み合わせて、印刷可能なエナメルペーストを形成することができる。ペーストに使用するビヒクルは、その最終使用用途に基づいて選択することができる。一実施形態において、ビヒクルは、粒子を適切に懸濁させ、基体上でペーストを焼成すると完全に焼失する。ビヒクルは典型的には有機物である。有機ビヒクルの例には、松根油、様々な鎖長のアルコール、グリコール、グリコールエーテル、植物油、鉱油、低分子量石油留分、合成及び天然樹脂、並びにその他に基づく組成物が含まれる。別の実施形態において、界面活性剤及び/又は他の皮膜形成調整剤も含まれ得る。
【0041】
使用される特定のビヒクル及び量は、ペーストの特定の成分及び所望の粘度に基づいて選択される。エナメルペーストは、一般に、上述のように約30~約90wt%の固形分、より好ましくは約35~約88wt%の固形分、及び約10~約70wt%の適切な有機ビヒクル、より好ましくは約12~約65wt%の有機ビヒクル、を含むことができる。別の例において、エナメルペーストは、上述のように約40~約90wt%の固形分、及び約10~約60wt%の好適な有機ビヒクルを含むことができる。
【0042】
ペーストの粘度は、スクリーン印刷、ロールコーティング、スプレー、カーテンコーティング、スピンコーティング、及びデジタルコーティングなどの基体への塗布技術に応じて調節することができる。ビヒクルは、ビニル樹脂などの粘性樹脂、溶媒、セルロース系材料などのフィルム形成剤などによって調整することができる。スクリーン印刷の目的では、ブルックフィールド粘度計、#7スピンドル、20rpmので測定した場合、20℃において10,000~80,000、好ましくは35,000~65,000センチポアズの範囲の粘度が適切である。
【0043】
その他の成分
特定の実施形態において、エナメル組成物は、選択的に、還元剤、分散界面活性剤、レオロジー調整剤、流動助剤、接着促進剤、CTE調整剤、又は銀(Ag)隠蔽成分(silver hiding component)をさらに含む。
【0044】
基体(substrate)
本主題は、基体上に焼成した本主題のエナメル組成物(例えば、エナメルペースト)を有する基体を提供することができる。いずれかの好適な基体を、主題の本主題において使用することができる。基体の例には、ガラス、セラミック、又はその他の非多孔質基体が含まれる。基体の具体例には、自動車用ガラス基板、建築用ガラス、電化製品ガラス、飲料容器、及びボロフロート33(Borofloat 33)、イーグルXG(Eagle XG)、溶融シリカなどの工業用ガラスが含まれる。
【0045】
自動車用途用基体の上にエナメルを形成する方法
本主題のエナメル組成物を調製するために、ガラスフリットは、表1~4に開示され、さらに本明細書に記載されているガラスフリット組成物を合わせて混合することによって製造される。混合された生のバッチ組成物は、1350℃から1475℃の間の温度で約45~90分間溶融され、その後、例えば、水もしくは空気急冷(quenching)、又は当業者に知られている他の方法を使用して急速冷却される。次に、得られたガラスフリットを、ボールミルを使用して、約1~約8ミクロン、好ましくは2~6ミクロン、より好ましくは約3~約5ミクロンの微粒子サイズに粉砕する。次に、細かく粉砕された粉末フリットを使用して、ガラスエナメル組成物を形成する。次に、フリット成分を他の固体成分と組み合わせる。次に、固形分を必要なビヒクルと混合して、エナメルペースト又はエナメルインクを形成する。粘度は必要に応じて調節される。
【0046】
エナメルペーストが調製されると、エナメルペーストは、いずれかの好適な技術によって基体に塗布することができる。エナメルペーストは、スクリーン印刷、デカール塗布、スプレー、ブラッシング、ロールコーティング、カーテンコーティング、デジタル印刷などによって塗布することができる。ペーストがガラス基板に塗布される場合、好ましくはスクリーン印刷とすることができる。
【0047】
ペーストを所望のパターンで基体に塗布した後、次に、塗布されたコーティングを焼成して、基体にエナメルを付着させる。焼成温度は、一般にフリットの熟成温度(frit maturing temperature)によって決定され、好ましくは広い温度範囲にある。一態様において、エナメル組成物を形成する方法は、選択的に、顔料、還元剤、分散界面活性剤、レオロジー調整剤、銀隠蔽成分(silver hiding component)又はCTE調整剤を組み合わせることをさらに含む。この態様において、エナメル組成物は、鉛フリー及び/又はカドミウムフリーである。典型的には、焼成範囲は、約500℃~約735℃の範囲であり、より好ましくは約510℃~約730℃の範囲であり、最も好ましくは約520℃~約725℃の範囲である。別の実施形態において、焼成範囲は、約540℃~約705℃である。
【0048】
ガラス基板は、基板の少なくとも一部、例えば、ガラスシートなどのガラス基板、又は自動車用ガラス(例えば、フロントガラス)、に本明細書に記載のいずれかのエナメル組成物を塗布することによって着色及び/又は装飾することができる。エナメル組成物は、本明細書に開示されるように、ペーストの形態で塗布することができる。
【0049】
エナメル組成物は、基体の表面全体、又はその一部のみ、例えば周辺部、に塗布される。該方法は、ガラス基板を高温に加熱し、成形圧力を加えてガラス基板を曲げることによってガラスを成形することを含む。特に、ガラス基板を曲げることは、ガラス基板を、例えば、少なくとも約570℃、少なくとも約600℃、少なくとも約625℃、又は少なくとも約700℃の高温に加熱することを含む。加熱すると、例えば、重力たるみ(gravity sag)、又は成形ダイを用いた約0.1~約5psi、もしくは約1~約4psi、もしくは典型的には約2~約3psi、の範囲のプレス曲げの成形圧力がガラスに加わる。
【0050】
別の態様において、エナメルをガラス上に印刷し、ガラスを乾燥させて印刷溶媒を除去する。次に、導電性ペーストをガラス上に印刷し、霜取りグリッド又はアンテナを形成する。印刷後、次に、導電性ペースト、ガラスを焼成し、上述のように形成する。
【実施例
【0051】
以下の実施例は、本主題による様々な実施形態を概して例示するために提供されており、本主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0052】
以下の組成物は、本主題の例示的な実施形態を表す。これらは、本主題をより詳細に説明するために提示されており、本主題を限定するものではない。本主題によるガラスフリットの組成物を表5、7、及び9に示す。以下の検討の結果を表6、8、及び9に示す。
【0053】
ガラスフリットは、表1~4に示され、さらに本明細書に記載される原材料を合わせて混合することによって製造される。混合された原料バッチ組成物は、1350℃~1475℃の間の温度で約45~90分間溶融され、その後、例えば、水又は空気急冷、又は当業者に知られている他の方法を使用して急速冷却される。次に、得られたガラスフリットを、ボールミルを使用して、好ましくは2~6ミクロンの間の微粒子サイズに粉砕する。次に、細かく粉砕された粉末フリットを使用して、ガラスエナメル組成物を形成する。ガラスフリットは、表1~4に示すようなガラスフリットについて上記に記載した実質的に同様のステップを使用して、表5及び7に示すような原材料を合わせて混合することによっても製造される。
【0054】
試験は、ガラスフリット又はエナメル組成物を液体ビヒクルと組み合わせ、得られた分散液を2ミルのウェット厚さで顕微鏡スライド又は自動車用ガラス基板上にスクリーン印刷することによって実施される。次に、スライド又は自動車用ガラス基板を様々な温度で焼成して、「焼成温度」(FT;firing temperature)又は「最低焼成温度」(MF;minimum firing temperature)を決定する。FTは、ガラスが15分焼成内で流動及び溶融し、光沢のある滑らかな表面を生成するのに十分な時間を有する温度である。MFは、エナメルが3分焼成で流動及び溶融し、相互に連通した孔がないエナメルを生成するのに十分な時間を有する温度である。予熱時間は、FTの場合は800°Fで10分であり、MFの場合は予熱なしである。
【0055】
熱膨張係数(CTE)は、膨張計(1000R、オートンセラミック(Orton Ceramic)、オハイオ州ウェスタービル、米国)を使用して100℃~300℃で測定される。CTEは、100℃~300℃の温度範囲で報告され、10-7-1の単位を有する。ガラス転移温度(T)と膨張軟化温度(dilatometric softening temperature)(T)も膨張計を使用して測定される。
【0056】
室温化学的耐性は、1N HSOを使用する酸滴下試験(acid drop test)で決定される。耐酸性は、ASTM C724-91の修正版(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を利用することによって評価される。焼成された試料は、室温で10分間1N HSO溶液の液滴にさらされる。これらは、次のスケールに従って評価される。
グレード1-明らかな攻撃なし、
グレード2-45°の角度で見た場合、さらされた面に虹色又は目に見える変色(stain)が現れるが、30°未満の角度で見た場合は見えない、
グレード3-反射像をぼやけさせず、30°未満の角度で見える明確な変色、
グレード4-30°未満の角度で目に見える目立つ色の変化(gross color change)又は強い虹色の表面を伴い、反射像をぼかすことができる明確な変色、
グレード5-チョーキング(chalking)が可能な、くすんでいるか又はマットな表面(surface dull or matte)、
グレード6-明らかなピンホールを伴うエナメルの大幅な除去、
グレード7-さらされた領域におけるエナメルの完全除去
【0057】
異なる時間間隔で80℃で0.1N HSOを使用する耐酸性試験を行い(この試験は一般に「トヨタ試験」と呼ばれる)、色差を以下の手順に従って測定する。結果を表9に「酸時間」として示す。L値をハンターL値を使用して測定する。Lの最大値は100で、これは完全な拡散反射体(reflecting diffuser)、つまり純粋な白である。Lの最小値はゼロで、これは黒である。
【0058】
光学密度は、物質を通過する入射光の強度に対する透過光の強度の対数比である。それ以外の場合は、対応する波長の吸収された放射として測定される。
【0059】
フリットチップの重量及び水中でのその体積変位を測定するアルキメデス法に基づいてフリット密度を測定した。
【0060】
本主題に従い、以下の表5は、複数の例示的なガラス組成物1~17の概要を提供し、各ガラス組成物について、焼成前の種々の酸化物のmol%を記載する。ガラス組成物1~17は、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、及び亜鉛(Zn)を含まない。表5の異なる行からの値を使用して、本主題に従ってガラス組成物を処方することができることに留意されたい。
【0061】
【表5】
【0062】
例示的なガラスフリット組成物1~17は、粉砕(milling)を含む従来の技術を使用して微粉末に粉砕する。次に、フリット組成物は、選択的に、顔料などの他の固体成分と組み合わせる。次に、固形分を、必要なビヒクルと混合して、エナメルペースト又はインクを形成する。粘度は必要に応じて調節する。
【0063】
上記で特定された例1~17はモデルとして提供されており、本主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0064】
表6に示されるように、例示的なガラスフリット1~17のいくつかの特性は、最低焼成温度(MF)で焼成した後に分析する(表6)。焼成後、フリット密度、熱膨張係数(CTE)、酸性溶液に対する化学的安定性、光学特性(L値)、及び光学密度をガラスフリット1~17について測定する。表6から、ガラスフリットの例1~17は、あるフリットの例から別のフリットの例まで、一端から他端にわたる特性を有することが分かる。例えば、例2は光学密度1.74及びL値5.59を示すが、例6は例2と比較して小さい光学密度(1.47)と大きいL値(11.61)を示す。表6は、ガラスフリットが、顧客の用途の要件に応じて選択することができることを示す。例えば、顧客は、用途の要件に応じて、CTEが低いガラスフリット、又はL値が低いガラスフリット、又は化学的耐性が高いガラスフリットを決定することができる。
【0065】
【表6】
【0066】
本主題に従い、以下の表7は、複数の例示的なガラス組成物18~29の概要を提供し、各ガラス組成物について、焼成前の種々の酸化物のmol%を記載する。ガラス組成物18~29は鉛(Pb)を含まない。表7の異なる行からの値を使用して、本主題に従ってガラス組成物を処方することができることに留意されたい。
【0067】
【表7】
【0068】
例示的なガラス組成物18~29は、粉砕を含む一般的な技術を使用して微細な粉末に粉砕した。次に、フリット組成物を他の固体成分と組み合わせる。次に、固形分を、必要なビヒクルと混合してエナメルペーストを形成する。粘度を必要に応じて調節する。
【0069】
上記で特定された例18~29は、モデルとして提供されており、本主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0070】
表8に示されるように、例示的なガラスフリット18~29のいくつかの特性は、最低焼成温度(MF)で焼成した後に分析した(表8)。焼成後、フリット密度、熱膨張係数(CTE)、酸性溶液に対する化学的安定性、光学特性(L値)、及び光学密度を各ガラス組成物1~17について測定した。表7の例18~19は、約540~570℃の最低焼成温度(MF)を有し、これは、例1~17の最低焼成温度(約600~660℃)よりも低い。より低い最低焼成温度は、部分的には、例18~19におけるBi及び/又はZnの存在に起因する可能性がある。
【0071】
【表8】
【0072】
本主題によれば、エナメル組成物は、2つ以上のガラスフリットを含み、混合エナメル組成物を形成することができる。例えば、混合エナメル組成物は、本主題の実施形態による暗色のガラスフリットを1つ又は複数の従来のほぼ無色のガラスフリットと組み合わせることによって調製することができる。従来のガラスフリットは、Bi又はZnを含むことができる。従来のガラスフリットは、一般に、TiOとZrOを除いて、遷移金属化合物を含まない。暗色のフリットと、Bi又はZnを含む従来のフリットは、互いに異なる化学組成を有することができる。異なる組成のこれらのフリットを組み合わせて、エンドユーザーの利益のために、焼成ステップ後のエナメルの熱的、光学的、化学的、物理的及び機械的特性を制御する。また、黒色顔料を混合エナメル組成物に添加し、焼成後のエナメルの光学的特性をさらに制御した。例えば、表9に示されるように、本主題の実施形態による混合エナメル組成物は、以下を選択的に含むことができる:
【0073】
(1)従来のBi含有フリット、及び従来のZn含有フリット(Bi含有フリット「A」、Zn含有フリット「B」、フエロコーポレーション(Ferro Corporation)、オハイオ州インディペンデンス、から市販されている)から選択される第1のフリット。第1のフリットは、TiO及びZrO以外のいずれかの遷移金属酸化物を含まない。
【0074】
(2)Biを含まない例(6、9、10、11)及びBiを含む例(19及び24)から選択される第2のフリット。第2のフリットは焼成後に暗色を示す。
【0075】
(3)黒色顔料(V-7707、フエロコーポレーション、オハイオ州インディペンデンス、から市販されている)。V-7707は、標準的な黒色顔料として使用し、混合エナメル組成物に添加した。V-7707は、銅マンガンクロム系顔料である。
【0076】
(4)有機ビヒクル(C92ミディアム(C92 Medium)、フエロコーポレーション、オハイオ州インディペンデンス、から市販されている)。
【0077】
エナメル組成物の固形部、すなわち、第1のフリット、第2のフリット、黒色顔料、は、最終使用用途のために選択された有機ビヒクルに分散及び懸濁され、エナメルペーストを形成する。有機ビヒクルは、選択的に、溶媒、樹脂及び界面活性剤をさらに含むことができる。
【0078】
混合エナメル組成物は:約80~約95wt%のガラスフリットを含む。ガラスフリットは:約0~約85wt%の一般的なフリット(第1のフリット)、及び約1~約95wt%の暗色フリット(第2のフリット)を含む。混合エナメル組成物は、約1~約35wt%の黒色顔料、及び実施形態による約0~約30wt%の無機フィラーをさらに含む。好ましくは、混合エナメル組成物は:0~約30wt%の一般的なフリット(第1のフリット)、本主題による約45~約95wt%の暗色フリット(第2のフリット)、約5~約20wt%の黒色顔料、及び約0~約30wtの無機フィラーを含む。より好ましくは、ガラスフリットは、約45wt%の第1のガラスフリット、及び約45wt%の第2のガラスフリットを含む。表9において、例30は、Biを含む80mol%の第1のフリット、20mol%の黒色顔料「V-7707」を含み、着色されたいずれかの第2のガラスフリットを含まない。例30は、表9において比較試料として使用した。
【0079】
例30のBi含有第1のフリットの一部が、例31~35、及び37~42においてBiフリーの第2フリットに置き換えられているため、表9の例31~35、及び37~42は、例30と比較して混合エナメル組成物においてBi又はZnの減量を必要とする。高価なBiの量を減らすことができるので、混合エナメル組成物におけるBi又はZn、特にBi、の消費を減らすことを利点とすることができる。
【0080】
表9はまた、例31、33~35、及び37~42が、例30における黒色顔料「V-7707」の量(20%)と比較して、少ない量(5~10%)の黒色顔料を必要とすることも示している。
【0081】
混合エナメル組成物における第1のフリット(一般的)と第2のフリット(暗色)の比率を変えることにより、混合エナメル組成物の結果として生じる特性を調整することができる。例えば、表9は、L値が約2.66~約7.31の範囲であり、光学密度が約2.66~約3.54の範囲である混合エナメル組成物を記載する。表9は、酸時間が4時間未満から最大88時間の範囲にあることも示す。
【0082】
本主題による混合エナメル組成物は、Bi含有比較フリット、例30と実質的に同等又はそれよりも優れた光学的、熱的又は化学的特性を提供することに留意されたい。例えば、Biフリーの例35は、焼成後88時間耐えるのに十分な耐酸性があり、これは、80mol%のBi含有フリットを含む比較フリット、例30の64時間と比較して37%を超える改善である。別の例において、例31は、比較フリットの例30と比較して、Biを含まず、少ない量のV-7707を含む。焼成後、例31は、比較フリット、例30、のL値(2.14)と同様のレベル(2.66)のL値を示す。したがって、例31は、高価なB含有材料を含む例30の使用を減らしながら、低いL値を必要とする用途において例30に代替することができる。
【0083】
本明細書に開示されるこれらの結果及び他の結果は、自動車用途用の本主題のガラスフリット及びエナメル組成物の優れた性能特性を実証している。
【0084】
【表9】
【0085】
本明細書に記載の一実施形態のいずれかの1つ又は複数の組成物は、別の実施形態の1つ又は複数の他の組成物と組み合わせることができることは理解されよう。したがって、本主題は、本明細書に記載の実施形態の組成物のいずれか及びすべての組み合わせを含む。
【0086】
上記に記載されたものは、本主題の例を含む。もちろん、本主題を説明する上で、構成要素又は方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本主題の多くのさらなる組み合わせ及び順列が可能であることを認識することができる。したがって、本主題は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にあるそのようなすべての変更、修正、及び変形を包含することを意図している。
【0087】
本主題は、以下の項によってさらに規定される。
【0088】
項1
ガラスフリットを含むエナメル組成物であり、
前記ガラスフリットが、焼成前に、
約0.1~約15mol%LiO、
約5~約20mol%のNaO+KO+RbO+CsO、
約0.1~約20mol%の、Fe、MnO、Cr、及びCoからなる群から選択される1つ又は複数の遷移金属酸化物、
約1~約45mol%のB+Al
約20~約80mol%のSiO+TiO、並びに
約0~約40mol%のF、
を含む、エナメル組成物。
【0089】
項2
前記ガラスフリットが焼成前に、
約0.1~約40mol%のBi
をさらに含む、項1のエナメル組成物。
【0090】
項3
前記ガラスフリットが、
約0.1~約12.5mol%のLiO、
約7~約18mol%のNaO+KO+RbO+CsO、
約0.1~約30mol%のBi
約0.2~約18mol%の、Fe、MnO、Cr、及びCoからなる群から選択される1つ又は複数の遷移金属酸化物、
約2~約40mol%のB+Al
約22~約75mol%のSiO+TiO、並びに
約0~約30mol%のF
を含む、項2のエナメル組成物。
【0091】
項4
前記ガラスフリットが、
約0.1~約10mol%LiO、
約8~約16mol%のNaO+KO+RbO+CsO、
約0.1~約20mol%のBi
約0.5~約16mol%の、Fe、MnO、Cr、及びCoからなる群から選択される1つ又は複数の遷移金属酸化物、
約5~約35mol%のB+Al
約25~約70mol%のSiO+TiO、並びに
約0~約25mol%のF、
を含む、項2のエナメル組成物。
【0092】
項5
前記ガラスフリットが、約0.1~約20mol%の、Ga、In、GeO、SnO、P、Sb、SO、SeO、TeO、TlO、Pb及びAsからなる群から選択される典型元素酸化物をさらに含む、
項2~4のいずれかのエナメル組成物。
【0093】
項6
前記ガラスフリットが、約0.2~約15mol%の典型元素酸化物を含む、
項5のエナメル組成物。
【0094】
項7
前記ガラスフリットが、約0.3~約10mol%の典型元素酸化物を含む、
項5のエナメル組成物。
【0095】
項8
前記典型元素酸化物が、B、Al、Si、及びBiを含まない、
項5~7のいずれかのエナメル組成物。
【0096】
項9
前記典型元素酸化物が、TeO及びSOからなる群から選択される、
項5~8のいずれかのエナメル組成物。
【0097】
項10
前記ガラスフリットが、
約0.1~約12.5mol%のLiO、
約7~約18mol%のNaO+KO+RbO+CsO、
約0.2~約18mol%の、Fe、MnO、Cr、及びCoからなる群から選択される1つ又は複数の遷移金属酸化物、
約2~約40mol%のB+Al
約22~約75mol%のSiO+TiO、並びに
約0~約30mol%のF、
を含む、項1のエナメル組成物。
【0098】
項11
前記ガラスフリットが、
約0.1~約10mol%のLiO、
約8~約16mol%のNaO+KO+RbO+CsO、
約0.5~約16mol%の、Fe、MnO、Cr、及びCoからなる群から選択される1つ又は複数の遷移金属酸化物、
約5~約35mol%のB+Al
約25~約70mol%のSiO+TiO、並びに
約0~約25mol%のF、
を含む、項1のエナメル組成物。
【0099】
項12
さらにBi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない、
項1、10、及び11のいずれかのエナメル組成物。
【0100】
項13
さらにBi及びZnが存在していない、
項1、10、及び11のいずれかのエナメル組成物。
【0101】
項14
前記ガラスフリットが、約0.1~約20mol%の、Ga、In、GeO、SnO、P、Sb、SO、SeO、TeO、TlO、Pb及びAsからなる群から選択される典型元素酸化物をさらに含む、
項1、10、及び11のいずれかのエナメル組成物。
【0102】
項15
前記ガラスフリットが約0.2~約15mol%の典型元素酸化物を含む、項14のエナメル組成物。
【0103】
項16
前記ガラスフリットが約0.3~約10mol%の典型元素酸化物を含む、項14のエナメル組成物。
【0104】
項17
固形部を含み、
前記固形部が、焼成前に、
約80~約95wt%のガラス成分、
約1~約35wt%の顔料、及び
約0~約30wt%の無機フィラーを含み、
前記ガラス成分が、
約0~約85wt%の第1のガラスフリット、及び
約1~約95wt%の第2ガラスフリット、を含み、
前記第1のガラスフリットが、Bi及びZnのうちの少なくとも1つを含み、前記第2のガラスフリットが、Bi及びZnを含まず、前記第1のガラスフリットが、前記第2のガラスフリットとは異なる色を有する、
混合エナメル組成物。
【0105】
項18
前記ガラスフリットが、
約0~約30wt%の前記第1のガラスフリット、及び
約45~約95wt%の前記第2のガラスフリットを含み、
前記顔料が約5~約20wt%の範囲にある、
項17の混合エナメル組成物。
【0106】
項19
前記ガラスフリットが、
約45wt%の前記第1のガラスフリット、及び
約45wt%の前記第2のガラスフリット、を含む
項17の混合エナメル組成物。
【0107】
項20
前記第1のガラスフリットにおけるBiの量が前記第2のガラスフリットにおけるBiの量よりも少ない、
項17~19のいずれかの混合エナメル組成物。
【0108】
項21
媒体(medium)をさらに含む、項17~20のいずれかの混合エナメル組成物。
【0109】
項22
焼成後、約4~約88時間の耐酸性を示す、
項17~21のいずれかの混合エナメル組成物。
【0110】
項23
焼成後、約2.66~約7.31のL値を示す、
項17~21のいずれかの混合エナメル組成物。
【0111】
項24
焼成後、約2.60~約3.54の範囲の光学密度を示す、
項17~21のいずれかの混合エナメル組成物。
【0112】
項25
約1~約10mol%のLiO、
約3~約15mol%のNaO、
約20~約65mol%のSiO
約1~約40mol%のB
約0.1~約3mol%のAl
約0.1~約16mol%のTiO
約2.3~約17.8mol%のFe
約2.2~約6.1mol%のMnO、及び
約1.2~約2.4mol%のCo
を焼成前に含む、ガラスフリット。
【0113】
項26
焼成前に、
約4~約15mol%のNaO、
約3~約40mol%のB
約0.1~約14mol%のTiO
約3.3~約17.8mol%のFe、及び
約2.2~約4.2mol%のMnO、を含み、
前記ガラスフリットには、Bi及びZnのうちの少なくとも1つが存在していない、
項25のガラスフリット組成物。
【0114】
項27
約5~約7mol%のLiO、
約6~約10mol%のNaO、
約34~約51mol%のSiO
約24~約33mol%のB
約0.65~約1mol%のAl
約1.5~約2.1mol%のTiO
約3.5~約14.5mol%のFe
約2.3~約3.3mol%のMnO、及び
約1.35~約1.85mol%のCo
を焼成前に含む、項26のガラスフリット組成物。
【0115】
項28
約6~約9mol%のLiO、
約8~約12mol%のNaO、
約43~約62mol%のSiO
約9~約14mol%のB
約0.8~約1.3mol%のAl
約1.8~約2.7mol%のTiO
約4~約17.8mol%のFe
約2.8~約4.2mol%のMnO、及び
約1.6~約2.4mol%のCo
を焼成前に含む、項26のガラスフリット組成物。
【0116】
項29
約4~約7mol%のLiO、
約6~約8.5mol%のNaO、
約31~約46mol%のSiO
約22~約30mol%のB
約0.6~約0.9mol%のAl
約9~約12mol%のTiO
約3~約13mol%のFe
約2.2~約3mol%のMnO、及び
約1.2~約1.7mol%のCo
を焼成前に含む、項26のガラスフリット組成物。
【0117】
項30
約5~約8mol%のLiO、
約7~約10.5mol%のNaO、
約38~約56mol%のSiO
約8~約12mol%のB
約0.7~約1.1mol%のAl
約10.5~約15mol%のTiO
約4~約12.5mol%のFe
約2.5~約3.7mol%のMnO、及び
約1.4~約2.1mol%のCo
を焼成前を含む、項26のガラスフリット組成物。
【0118】
項31
焼成前に
約5~約10mol%のLiO、
約3~約7mol%のNaO、
約30~約55mol%のSiO
約1~約15mol%のB
約0.1~約2mol%のAl
約1~約16mol%のTiO
約4.7~約6.1mol%のMnO
約2.3~約11.8mol%のFe、及び
約1.5~約2.1mol%のCoを含み、
約0~約15mol%のZnO、及び
約10~約20mol%のBiをさらに含む、
項25のガラスフリット組成物。
【0119】
項32
約7~約9mol%のLiO、
約4~約6mol%のNaO、
約40~約45mol%のSiO
約2~約5mol%のB
約0.9~約1.2mol%のAl
約14~約17mol%のBi
約4~約9.5mol%のTiO
約4.8~約5.8mol%のMnO
約2.3~約7.7mol%のFe、及び
約1.6~約2mol%のCo
を焼成前に含む、項31のガラスフリット組成物。
【0120】
項33
約7.2~約7.5mol%のLiO、
約4.7~約5mol%のNaO、
約38~約40mol%のSiO
約4~約12mol%のB
約0.9~約1.1mol%のAl
約14.8~約15.5mol%のBi
約8~約14mol%のTiO
約5~約5.3mol%のMnO
約6.6~約7mol%のFe、及び
約1.6~約1.8mol%のCo
を焼成前に含む、項31のガラスフリット組成物。
【0121】
項34
約6.9~約7.5mol%のLiO、
約4.5~約5mol%のNaO、
約37~約40mol%のSiO
約4~約4.5mol%のB
約0.9~約1.1mol%のAl
約3.7~約10.8mol%のZnO、
約14~約16mol%のBi
約8~約9mol%のTiO
約4.5~約5.5mol%のMnO
約6.3~約7.1mol%のFe、及び
約1.6~約1.8mol%のCo
を焼成前に含む、項31のガラスフリット組成物。
【0122】
項35
約7.3~約8.7mol%のLiO、
約4.8~約5.8mol%のNaO、
約35~約40mol%のSiO
約4.3~約5.2mol%のB
約1~約1.2mol%のAl
約15~約18mol%のBi
約8.5~約10.5mol%のTiO
約5~約6.2mol%のMnO
約8~約12mol%のFe、及び
約1.7~約2.1mol%のCo
を焼成前に含む、項31のガラスフリット組成物。
【0123】
項36
項25~35のいずれかのガラスフリットを含むエナメル組成物を基体上に供給する工程と、
前記エナメル組成物が前記基体に接着する温度で前記エナメル組成物及び前記基体を焼成する工程と、を含み、
前記温度は約500℃~約705℃の範囲である、
基体を装飾する方法。