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特許7352669オートロック解錠システムと携帯端末と携帯端末用のコンピュータプログラム
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  • 特許-オートロック解錠システムと携帯端末と携帯端末用のコンピュータプログラム 図1
  • 特許-オートロック解錠システムと携帯端末と携帯端末用のコンピュータプログラム 図2
  • 特許-オートロック解錠システムと携帯端末と携帯端末用のコンピュータプログラム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】オートロック解錠システムと携帯端末と携帯端末用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
E05B49/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022003488
(22)【出願日】2022-01-13
(62)【分割の表示】P 2017104408の分割
【原出願日】2017-05-26
(65)【公開番号】P2022036248
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 玲
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-218547(JP,A)
【文献】特開2007-080248(JP,A)
【文献】特開2010-071009(JP,A)
【文献】特開2004-190233(JP,A)
【文献】特開2005-139824(JP,A)
【文献】特開2016-136352(JP,A)
【文献】特開平03-247881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の携帯端末と、
前記利用者が立ち入りを希望する建物の自動ドアのオートロックを解錠するオートロック解錠装置と、
を有してなり、
前記携帯端末は、
前記利用者の前記建物への立ち入りの希望期間に対応する立ち入り許可期間に関連付けられた許可承認を受け付ける受付手段と、
前記許可承認に基づいて、前記利用者の前記建物への立ち入りが可能になる立ち入り可能期間を管理する管理手段と、
前記立ち入り可能期間にのみ、前記自動ドアのオートロックを解錠するための認証信号を、前記オートロック解錠装置に発信する発信手段と、
を備え、
前記オートロック解錠装置は、
前記携帯端末から前記認証信号を受信する信号通信部と、
前記建物の既存のオートロック機能付き自動ドアの制御システムに備えられたオートロック操作装置から出力されてオートロック制御盤に入力される解錠信号と同様の第2解錠信号を出力する信号出力部と、
前記信号通信部が前記認証信号を受信すると、前記信号出力部に前記第2解錠信号の前記オートロック制御盤への出力指令を与える制御器と、
を備え、
前記解錠信号は、第1信号ラインを介して、前記オートロック操作装置から前記オートロック制御盤に出力されて、
前記第2解錠信号は、第2信号ラインを介して、前記オートロック解錠装置から前記オートロック制御盤に出力されて、
前記オートロック解錠装置は、前記オートロック制御盤に対して、前記第1信号ラインを介して接続されている前記オートロック操作装置と並列に、前記第2信号ラインを介して接続される、
ことを特徴とするオートロック解錠システム。
【請求項2】
利用者が立ち入りを希望する建物の自動ドアのオートロックを解錠するオートロック解錠装置と通信可能な前記利用者の携帯端末であって、
前記オートロック解錠装置は、
前記携帯端末から認証信号を受信する信号通信部と、
前記建物の既存のオートロック機能付き自動ドアの制御システムに備えられたオートロック操作装置から出力されてオートロック制御盤に入力される解錠信号と同様の第2解錠信号を出力する信号出力部と、
前記信号通信部が前記認証信号を受信すると、前記信号出力部に前記第2解錠信号の前記オートロック制御盤への出力指令を与える制御器と、
を備え、
前記解錠信号は、第1信号ラインを介して、前記オートロック操作装置から前記オートロック制御盤に出力されて、
前記第2解錠信号は、第2信号ラインを介して、前記オートロック解錠装置から前記オートロック制御盤に出力されて、
前記オートロック解錠装置は、前記オートロック制御盤に対して、前記第1信号ラインを介して接続されている前記オートロック操作装置と並列に、前記第2信号ラインを介して接続されており、
前記携帯端末は、
前記利用者の前記建物への立ち入りの希望期間に対応する立ち入り許可期間に関連付けられた許可承認を受け付ける受付手段と、
前記許可承認に基づいて、前記利用者の前記建物への立ち入りが可能になる立ち入り可能期間を管理する管理手段と、
前記立ち入り可能期間にのみ、前記自動ドアのオートロックを解錠するための認証信号を、前記オートロック解錠装置に発信する発信手段と、
を有してなる、
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
信号を発信可能な携帯端末を、請求項2記載の携帯端末として機能させる、
ことを特徴とする携帯端末用のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートロック解錠システムと、携帯端末と、携帯端末用のコンピュータプログラムと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンションのような集合住宅は、防犯性の向上を目的として、建物の玄関部分に、外部からの訪問者が立ち入ることが可能な訪問者立ち入り区画と、各住宅につながる共用廊下との間を仕切る壁などの仕切りを備え、該仕切りに設けられた共用の出入口に、オートロック機能付きの自動ドアを備えた構成とされていることがある。
【0003】
また、ビルに関係者以外の者が立ち入ることを防ぐことを目的として、ビルの出入口に、オートロック機能付きの自動ドアが設けられることがある。
【0004】
この種のオートロック機能付きの自動ドアは、外側からオートロックを解錠するときには、自動ドアの外側に備えられたオートロック操作装置を、住宅の鍵、ICカードやICタグのような物理的な鍵、あるいは、暗証番号のような解錠コードを用いて操作することが必要とされる。
【0005】
一方、オートロック機能付きの自動ドアは、内側には人や物体の接近や存在を検出するセンサ、所謂人感センサを備える構成として、人感センサによって人が検出されると、自動的にオートロックが解錠されて、自動ドアが開動作する形式のものが一般的に用いられている。
【0006】
ところで、集合住宅では、個々の住宅が賃貸や販売されるときには、通常、賃貸や購入の希望者による内覧が行われる。
【0007】
また、近年、集合住宅の個々の住宅を一時的に宿泊用に貸すことが考えられている。
【0008】
しかし、内覧者や宿泊者は、一時的に立ち入る者に過ぎないため、オートロック機能付きの自動ドアの解錠用の物理的な鍵を予め貸与したり配布したりすることは難しく、また、オートロック機能付きの自動ドアの解錠コードを教えることは、防犯上好ましくない。
【0009】
また、ビルでは、空いている部屋を貸し会議室として貸し出すことも考えられている。しかし、貸し会議室の利用者は、ビルに一時的に立ち入る者に過ぎないため、オートロック機能付きの自動ドアの解錠用の物理的な鍵を予め貸与したり配布したりすることは困難であり、また、解錠コードを教えることは、防犯上好ましくない。
【0010】
そこで、オートロック機能付きの自動ドアについては、内覧者や宿泊者、貸し会議室の使用者のような立ち入りが許可された者について、オートロック機能付きの自動ドアの解錠用の物理的な鍵や解錠コードを用いることなく、外部からオートロックを解錠して自動ドアを開動作できるようにすることが望まれる。
【0011】
既存の自動ドアのオートロックシステムに対し、人感センサと自動ドア制御装置との間の電気配線内に接続配置する通信装置と、解錠制御装置と、管理装置を更に備える構成の自動ドアの電子錠制御システムが従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0012】
この自動ドアの電子錠制御システムによれば、既存の自動ドアオートロックシステムを残した状態で、前記通信装置と電波通信する電波鍵を用いて、利用者が自動ドアのオートロックを解錠できるシステムを構築できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2015-218547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところが、特許文献1に示されたものは、通信装置を、人感センサと自動ドア制御装置との間の電気配線に接続する必要がある。また、解錠制御装置から前記自動ドア制御装置に対して出力する電子錠を解錠する信号は、前記人感センサの信号とは別の信号であるため、前記解錠制御装置は、前記通信装置とは別に前記自動ドア制御装置に接続する必要がある。そのため特許文献1に示されたものは、既存の自動ドアのオートロックシステムに対し、電気的な接続関係を変更する工事が必要とされる。
【0015】
しかも、特許文献1に示されたものは、人感センサのON信号が通信装置を経て自動ドア制御装置に入る構成とされている。そのため、前記通信装置に信号の出力が不能になる故障が生じた場合は、既存のオートロック機能付きの自動ドアの制御システムが正常に機能しなくなる可能性もある。
【0016】
そこで、本発明は、既存のオートロック機能付きの自動ドアの制御システムに変更を加えることなく、前記既存の制御システムにおけるオートロック制御盤に追加接続することで、立ち入りを許可された者が、既存のオートロック操作装置の操作に依らずに自動ドアのオートロックを解錠する機能を追加して実施できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記課題を解決するために、本発明に係るオートロック解錠システムは、利用者の携帯端末と、前記利用者が立ち入りを希望する建物の自動ドアのオートロックを解錠するオートロック解錠装置と、を有してなり、前記携帯端末は、前記利用者の前記建物への立ち入りの希望期間に対応する立ち入り許可期間に関連付けられた許可承認を受け付ける受付手段と、前記許可承認に基づいて、前記利用者の前記建物への立ち入りが可能になる立ち入り可能期間を管理する管理手段と、前記立ち入り可能期間にのみ、前記自動ドアのオートロックを解錠するための認証信号を、前記オートロック解錠装置に発信する発信手段と、を備え、前記オートロック解錠装置は、前記携帯端末から前記認証信号を受信する信号通信部と、前記建物の既存のオートロック機能付き自動ドアの制御システムに備えられたオートロック操作装置から出力されてオートロック制御盤に入力される解錠信号と同様の第2解錠信号を出力する信号出力部と、前記信号通信部が前記認証信号を受信すると、前記信号出力部に前記第2解錠信号の前記オートロック制御盤への出力指令を与える制御器と、を備え、前記解錠信号は、第1信号ラインを介して、前記オートロック操作装置から前記オートロック制御盤に出力されて、前記第2解錠信号は、第2信号ラインを介して、前記オートロック解錠装置から前記オートロック制御盤に出力されて、前記オートロック解錠装置は、前記オートロック制御盤に対して、前記第1信号ラインを介して接続されている前記オートロック操作装置と並列に、前記第2信号ラインを介して接続される、構成とする。
【0018】
また、本発明に係る携帯端末は、利用者が立ち入りを希望する建物の自動ドアのオートロックを解錠するオートロック解錠装置と通信可能な前記利用者の携帯端末であって、前記オートロック解錠装置は、前記携帯端末から認証信号を受信する信号通信部と、前記建物の既存のオートロック機能付き自動ドアの制御システムに備えられたオートロック操作装置から出力されてオートロック制御盤に入力される解錠信号と同様の第2解錠信号を出力する信号出力部と、前記信号通信部が前記認証信号を受信すると、前記信号出力部に前記第2解錠信号の前記オートロック制御盤への出力指令を与える制御器と、を備え、前記解錠信号は、第1信号ラインを介して、前記オートロック操作装置から前記オートロック制御盤に出力されて、前記第2解錠信号は、第2信号ラインを介して、前記オートロック解錠装置から前記オートロック制御盤に出力されて、前記オートロック解錠装置は、前記オートロック制御盤に対して、前記第1信号ラインを介して接続されている前記オートロック操作装置と並列に、前記第2信号ラインを介して接続されており、前記携帯端末は、前記利用者の前記建物への立ち入りの希望期間に対応する立ち入り許可期間に関連付けられた許可承認を受け付ける受付手段と、前記許可承認に基づいて、前記利用者の前記建物への立ち入りが可能になる立ち入り可能期間を管理する管理手段と、前記立ち入り可能期間にのみ、前記自動ドアのオートロックを解錠するための認証信号を、前記オートロック解錠装置に発信する発信手段と、を有してなる、構成とする。
【0019】
更に、本発明に係る携帯端末用のコンピュータプログラムは、信号を発信可能な携帯端末を、本発明に係る携帯端末として機能させる、構成とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、既存のオートロック機能付きの自動ドアの制御システムに変更を加えることなく、前記既存の制御システムにおけるオートロック制御盤に追加接続することで、立ち入りを許可された者が、既存のオートロック操作装置の操作に依らずに自動ドアのオートロックを解錠する機能を追加して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】オートロック解錠装置の実施形態を示すもので、既存のオートロック機能付き自動ドアの制御システムに組み付けた状態を示す概要図である。
図2図1に示す本発明のオートロック解錠装置の構成の詳細を示す図である。
図3】オートロック解錠装置の実施形態の応用例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0023】
[実施形態]
図1(a)(b)および図2は、本発明のオートロック解錠装置の実施形態を示すものである。図1(a)は、本実施形態のオートロック解錠装置を既存のオートロック機能付き自動ドアの制御システムに組み付けた状態を示す概要図、図1(b)は、本実施形態のオートロック解錠装置の配置の一例を示す概要図である。図2は、本実施形態のオートロック解錠装置の構成の詳細を示す図である。
【0024】
本実施形態のオートロック解錠装置は、図1(a)(b)および図2において符号1で示してある。
【0025】
ここで、まず、図1(a)(b)を用いて、本実施形態のオートロック解錠装置1の適用対象となる既存のオートロック機能付き自動ドアの制御システムについて概説する。
【0026】
図1(b)に示すように、建物の玄関部分の出入口100には、オートロック機能付きの自動ドア101が装備されている。図1(b)では、図上、出入口100の左側が、出入口100の外側の区画Oであり、出入口100の右側が、出入口100の内側の区画Iである。
【0027】
出入口100の外側の区画Oには、壁面106、あるいは、床面107上に、オートロック操作装置104が設置されている。図1(b)は、壁面106にオートロック操作装置104が設置された例を示している。
【0028】
前記オートロック機能付きの自動ドア101の制御システムは、図1(a)に示すように、オートロック操作装置104が、オートロック制御盤103に、信号ライン105を介して接続されている。更に、オートロック制御盤103は、自動ドア101の図示しない電子錠による施錠と解錠とを制御する機能を備えた自動ドア制御装置102に接続されている。
【0029】
なお、オートロック制御盤103は、一般的には、図1(b)に示すように、出入口100の内側の区画Iに、たとえば、図示しないキャビネット(ボックス)に収納された状態で設置されている。
【0030】
以上の構成としてある既存のオートロック機能付き自動ドア101の制御システムは、出入口100の外側の区画Oにて、オートロック操作装置104が、住宅などの鍵、ICカードやICタグのような物理的な鍵、あるいは、暗証番号、指紋認証などの解錠コードを用いて操作されると、オートロック操作装置104が信号ライン105を介してオートロック制御盤103へ解錠信号a1を出力する。
【0031】
このオートロック操作装置104からの解錠信号a1をオートロック制御盤103が受け取ると、オートロック制御盤103は、自動ドア制御装置102に、自動ドア101の電子錠(図示せず)を解錠する解錠指令bを送る。
【0032】
自動ドア制御装置102は、通常は、自動ドア101の電子錠(図示せず)を施錠しており、オートロック制御盤103から解錠指令bを受け取ると、自動ドア101の電子錠を解錠する。これにより、自動ドア101は、オートロックが解錠されて開動作することで、出入口100が開放されるようになっている。
【0033】
なお、このオートロック機能付き自動ドア101の制御システムは、既存のものであり、一般的なものであるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0034】
以上の構成としてある既存のオートロック機能付き自動ドア101の制御システムに適用する本実施形態のオートロック解錠装置1は、図1(a)に示すように、前記既存の制御システムにおけるオートロック制御盤103に対し、オートロック操作装置104と並列となるように接続して用いるものである。
【0035】
本実施形態のオートロック解錠装置1は、図2に示すように、筐体2内に、信号通信部3と、電源4と、制御器5と、解錠信号a2を出力する機能を有する信号出力部6とを備えた構成とされている。
【0036】
電源4と制御器5とは接続され、制御器5は電源4から電力が供給されるようになっている。制御器5には、信号通信部3と信号出力部6が接続されている。
【0037】
なお、図2に示す筐体2内における信号通信部3と電源4と制御器5と信号出力部6の配置は一例であり、図示の配置に限られるものではない。また、これらの各構成部材は図示するための便宜上のものであり、その寸法や寸法比は、実際のものを反映させたものではない。
【0038】
信号通信部3は、オートロック機能付きの自動ドア101から内側へ立ち入ることを望む利用者(図示せず)が持っている図2に示す如き認証用手段7から、その利用者が立ち入りの許可を得た者であることを確認するための認証信号Sを受けるものである。
【0039】
なお、本実施形態では、認証用手段7は、スマートフォン、タブレット、携帯電話など、利用者が携帯する携帯端末であり、アプリケーションプログラムの実行と、ネットワークを介した外部接続により認証信号Sの取得が可能となる機能を備えた携帯端末を用いることが好ましい。この認証用手段7を用いた本実施形態のオートロック解錠装置1の使用方法については後述する。
【0040】
また、認証用手段7は、信号通信部3への認証信号Sの受け渡しを、近距離無線通信などの無線通信で行うようにしてある。そのため、認証用手段7と信号通信部3は、双方が無線通信用の通信モジュールを備えている。
【0041】
また、認証用手段7は、利用者がシステム管理者のサーバ(図示せず)との間で、オートロック機能付き自動ドア101を備えた出入口100からの立ち入りを希望する期間についての申し込みと、申し込まれた期間について立ち入りが可能であるか否かという立ち入り許可承認についてのやり取りを行って、立ち入り許可の承認が与えられているものである。
【0042】
なお、認証用手段7から認証信号Sをいつ発信可能とするか、というオートロック機能付き自動ドア101を備えた出入口100からの立ち入りが可能となる期間の管理は、認証用手段7側のアプリケーションプログラムで行うようにすればよい。
【0043】
電源4は、一次電池や二次電池が用いられる。
【0044】
一次電池や二次電池は、図示しない電池ボックスを介して筐体2の内部に保持される。この場合、筐体2は、箱形の中空容器として、容器全体を開閉式のものとするか、電源4の収納部となる筐体2の一部に開口部を設け、該開口部に開閉可能な蓋を備えた構成とすることが好ましい。このようにすれば、電池の交換を容易に行うことができることになる。しかし、筐体2の構成や電源4の配置がこれに限定されるものではないことは勿論である。
【0045】
信号出力部6は、制御器5からの指令に基づき解錠信号a2を出力する機能を備えている。信号出力部6が出力する解錠信号a2は、前記した既存のオートロック機能付き自動ドア101の制御システムにおいて、オートロック操作装置104がオートロック制御盤103へ出力する解錠信号a1と同様の信号となるように設定されている。
【0046】
信号出力部6には、図2に示すように、信号ライン8の一端側が接続されている。なお、信号出力部6に対する信号ライン8の一端側の接続は、取り外し可能であってもよいし、取り外しできない構成であってもよい。
【0047】
本実施形態のオートロック解錠装置1を使用するときには、信号ライン8の他端側を、オートロック制御盤103における解錠信号a1の入力用端子(図示せず)に、既存の信号ライン105と並列に接続する。これにより、信号出力部6から出力される解錠信号a2は、信号ライン8を通してオートロック制御盤103に入力される。
【0048】
この際、信号出力部6が出力する解錠信号a2は、既存のオートロック操作装置104が出力する解錠信号a1と同様の信号であるため、オートロック制御盤103は、信号出力部6からの解錠信号a2を受け取ると、オートロック操作装置104からの解錠信号a1を受け取った場合と同じ処理を実施する。
【0049】
制御器5は、信号通信部3が認証用手段7から認証信号Sを受信したという信号を信号通信部3から受け取ると、認証用手段7から受信した認証信号Sが正しいか否かの判定を行う機能を備えている。更に、制御器5は、認証用手段7から受信した認証信号Sが正しいと判定したときに、信号出力部6に対し解錠信号a2を出力する指令を発する機能を備えている。
【0050】
制御器5が行う前記判定は、信号通信部3が受信した認証信号Sが、利用者の認証用手段7から無線通信で信号通信部3に送られた正しい認証信号Sであるか否かの判定を行うものであり、制御器5に予め入力されて蓄積されている認証データに基づいた計算によって行われる。
【0051】
これにより、制御器5では、信号通信部3が正しい認証信号Sを受信した場合にのみ、信号出力部6に対して解錠信号a2を出力する指令を発する処理が行われる。よって、信号通信部3がたとえ認証信号Sに似た信号を受信したとしても、制御器5は、信号出力部6に対する指令を発することはない。
【0052】
なお、図2では、制御器5と信号出力部6とを別体のものとして示したが、これは、それぞれの機能を説明するための便宜的なものであり、制御器5と信号出力部6は一体のモジュールであってもよい。
【0053】
本実施形態のオートロック解錠装置1は、筐体2内に、電源4を一次電池や二次電池として備えた構成とあるので、外部電源を必要としない。また、信号通信部3は、認証用手段7から認証信号Sを無線通信で受け取るようにしてある。したがって、本実施形態のオートロック解錠装置1は、図1(b)に示すように、出入口100の外側の区画Oにいる利用者(図示せず)が持つ認証用手段7との間で認証信号Sの無線通信が可能な範囲であれば、任意の個所に配置することができる。
【0054】
なお、本実施形態のオートロック解錠装置1は、使用時には、信号出力部6を、信号ラインを介してオートロック制御盤103に接続する。よって、この信号ライン8の引き回しや配置を容易にするという観点から考えると、本実施形態のオートロック解錠装置1は、出入口100の内側の区画Iにて、オートロック制御盤103と接近させて配置することが好ましい。たとえば、既存のオートロック制御盤103が収納された図示しないキャビネット内には、オートロック制御盤103以外の機器へ給電が可能な電源は通常装備されていないが、本実施形態のオートロック解錠装置1は、外部電源を必要としないので、オートロック制御盤103と一緒に前記キャビネット内に設置するようにすればよい。
【0055】
以上の構成としてある本実施形態のオートロック解錠装置1は、既存のオートロック機能付き自動ドア101の制御システムに対して適用する場合は、オートロック制御盤103におけるオートロック操作装置104が接続されている部分に、オートロック操作装置104と並列となるよう、本実施形態のオートロック解錠装置1を追加して接続すればよい。したがって、本実施形態のオートロック解錠装置1をオートロック制御盤103に接続しても、前記既存の制御システムにおける電気的な接続関係に変更を加えることはない。
【0056】
本実施形態のオートロック解錠装置1は、立ち入りを許可された者が、認証用手段7から認証信号Sを本実施形態のオートロック解錠装置1における信号通信部3へ送ると、本実施形態のオートロック解錠装置1からの解錠信号a2を既存のオートロック制御盤103に入力することができて、前記既存の制御システムと同様に、自動ドア制御装置102への解錠指令bに基づいて、自動ドア制御装置102によって自動ドア101の電子錠によるオートロックを解錠して自動ドア101を開動作させることができる。
【0057】
したがって、本実施形態のオートロック解錠装置1は、既存のオートロック機能付きの自動ドア101の制御システムに変更を加えることなく、立ち入りを許可された者が所定の物理的な鍵や解錠コードを用いる既存のオートロック操作装置104の操作に依らずに自動ドア101のオートロックを解錠する機能を、追加することができる。
【0058】
また、本実施形態のオートロック解錠装置1は、既存のオートロック機能付きの自動ドア101の制御システムに変更を加えないため、万一、故障などの何らかの原因により、本実施形態のオートロック解錠装置1の解錠信号a2を発する機能に支障が生じるとしても、所定の物理的な鍵や解錠コードを用いる既存のオートロック操作装置104の操作に依りオートロックの解錠を行う既存のオートロック機能付きの自動ドア101の制御システムは、正常に機能させることができる。
【0059】
次に、本実施形態のオートロック解錠装置1を使用する場合について説明する。
【0060】
民泊や賃貸住宅の内覧、貸し会議室の利用などのために、図1(b)に示すような出入口100の自動ドア101から内側へ立ち入ることを望む利用者は、自らが携帯している携帯端末の如き認証用手段7により、システム管理者のサーバ(図示せず)に、自動ドア101からの立ち入りを希望する期間について予約を申し込む。これに対して、サーバは、申し込まれた期間について、立ち入りが可能かを判断し、立ち入りが可能であれば、利用者の認証用手段7に、希望期間に対応する立ち入り許可期間に関連付けられた立ち入り許可承認が与えられる。
【0061】
一方、認証用手段7では、サーバより受けた立ち入り許可承認に基づいて、立ち入り許可承認を受けた期間にのみ認証信号S(図1(b)参照)の発信が可能となるアプリケーションプログラムを、予め実行可能としておく。
【0062】
この状態で、利用者は、立ち入り許可承認を受けた期間に、対象となる建物のオートロック機能付きの自動ドア101を有する出入口100の外側の区画Oへ行き、認証用手段7で所定のアプリケーションプログラムを実行する。これにより、認証用手段7からは、認証信号Sが無線通信により発信される。
【0063】
本実施形態のオートロック解錠装置1では、この認証用手段7から発信された認証信号Sを信号通信部3で受信すると、信号通信部3が、認証信号Sが受信されたことと、認証信号Sを制御器5に入力する。
【0064】
制御器5では、前記したように、認証用手段7からの認証信号Sが正しいか否かの判定が行われる。
【0065】
制御器5において、認証信号Sが正しいと判定されたときは、制御器5から信号出力部6への解錠信号a2の出力指令により、信号出力部6からオートロック制御盤103への解錠信号a2が信号ライン8を通して出力される。
【0066】
この際、信号出力部6から出力される解錠信号a2は、オートロック操作装置104からオートロック制御盤103に入力される解錠信号a1と同様の信号に設定されている。そのため、オートロック制御盤103は、オートロック操作装置104からの解錠信号a1が入力された場合と同様に、本実施形態のオートロック解錠装置1からの解錠信号a2によっても自動ドア制御装置102に解錠指令bを送る処理を行う。
【0067】
これにより、本実施形態のオートロック解錠装置1の信号出力部6から出力された解錠信号a2がオートロック制御盤103に入力されると、オートロック制御盤103から自動ドア制御装置102へ送られる解錠指令bに基づき、自動ドア制御装置102により自動ドア101のオートロックが解錠される。よって、自動ドア101は、開動作されるので、利用者は自動ドア101が開いている出入口100から内側へ立ち入ることができる。
【0068】
一方、認証用手段7から発信されて信号通信部3で受信された認証信号Sが、制御器5での判定において、正しくないと判定されたときは、制御器5から信号出力部6に解錠信号a2の出力指令がされることはない。
【0069】
したがって、この場合は、本実施形態のオートロック解錠装置1からオートロック制御盤103へ解錠信号a2が入力されることはなく、自動ドア101が開動作されることはない。
【0070】
また、認証用手段7における所定のアプリケーションプログラムは、利用者が立ち入り許可の承認を受けた期間よりも前や後の時点では認証信号Sを発信しない。よって、たとえ立ち入り許可承認を受けた利用者であっても、立ち入り許可承認を受けた期間以外は、本実施形態のオートロック解錠装置1による自動ドア101のオートロックを解錠する処理は実施できない。
【0071】
立ち入り許可承認を受けていない者は、認証用手段7を用いた認証信号Sの発信を行うことができないので、本実施形態のオートロック解錠装置1による自動ドア101のオートロックを解錠する処理は実施できない。
【0072】
以上により、対象となる建物では、予約により立ち入り許可承認を受けた利用者が、立ち入り許可承認を受けた期間に限って、本実施形態のオートロック解錠装置1による自動ドア101のオートロックを解錠する処理を行って、出入口100の内側へ立ち入ることが可能となる。
【0073】
本実施形態のオートロック解錠装置1は、電源4として一次電池や二次電池を使用するが、一次電池を使用する場合は、一次電池を必要に応じて交換して使用することにより本実施形態のオートロック解錠装置1を長期間に亘って使用することができる。
【0074】
電源4として二次電池を使用する場合は、使用中の二次電池を充電するか、使用中の二次電池を充電済みの二次電池を交換して使用することにより、本実施形態のオートロック解錠装置1を長期間に亘って使用することができる。
【0075】
また、本実施形態のオートロック解錠装置1では、電源4として一次電池や二次電池を用いていることから、これら一次電池や二次電池が、いわゆる電池切れとなれば、制御器5は非作動状態になり、本実施形態のオートロック解錠装置1は機能しなくなる。これにより、本実施形態のオートロック解錠装置1の不正操作ができなくなることから、防犯対策が図れる。また、この状態では、本実施形態のオートロック解錠装置1は、解錠信号a2を発することができなくなるが、前述したように、既存のオートロック機能付きの自動ドア101の制御システムが、所定の物理的な鍵や解錠コードを用いるオートロック操作装置104の操作に依りオートロックの解錠を行う機能は、何ら支障なく正常に実施させることができる。
【0076】
更に、本実施形態のオートロック解錠装置1では、制御器5は、正しい認証信号Sが信号通信部3に入力されると、信号出力部6へ解錠信号a2を出力する指令を与える処理を行うようにしてある。したがって、制御器5では、認証用手段7を携帯する利用者の情報や、利用者がいつ立ち入るかというような情報は必要としない。
【0077】
よって、本実施形態のオートロック解錠装置1は、ネットワークを介して外部に接続する必要のないものとすることができる。このことは、本実施形態のオートロック解錠装置1の制御器5に対し、ネットワークを介して外部から不正なアクセスを行うことができないという利点を有する。
【0078】
なお、認証用手段7から認証信号Sをいつ発信可能とするか、というようなオートロック機能付きの自動ドア101からの立ち入りが可能となる期間や時間の管理は、認証用手段7側のアプリケーションプログラムで行うようにすればよい。
【0079】
ところで、特許文献1に示された自動ドアの電子錠制御システムは、管理用PCを備え、更に、外部と通信を行うためのネットワークに接続するようにしてある。これに対し、本実施形態のオートロック解錠装置1は、外部と通信を行うためのネットワーク設備を付設する必要はなく、また管理用PCを接続する必要もないので、本実施形態のオートロック解錠装置1を既存のオートロック機能付き自動ドア101の制御システムに適用するために要するコストの削減化を図ることができる。
【0080】
[実施形態の応用例]
図3は、オートロック解錠装置の実施形態の応用例として、オートロック解錠装置の設置場所が異なる場合の例を示す概要図である。
【0081】
本応用例におけるオートロック解錠装置1は、図2に示した実施形態のオートロック解錠装置1と同様に、筐体2と信号通信部3と電源4と制御器5と信号出力部6とを備えた構成とされている。
【0082】
本応用例では、オートロック解錠装置1は、図3に示すように、建物の玄関部分にて、出入口100の外側の区画Oに設置される。たとえば、オートロック解錠装置1は、既存のオートロック操作装置104の近傍位置の壁面106に設置される。この状態で、本応用例のオートロック解錠装置1は、信号出力部6が、図3では図示しない既存のオートロック制御盤103に、図1(a)、図2に示したと同様に、信号ライン8を介して、オートロック操作装置104と並列となるように接続されている。
【0083】
本応用例において、信号出力部6をオートロック操作装置104と並列となるようにオートロック制御盤103に接続する構成としては、図示しないが、オートロック操作装置104とオートロック制御盤103とを接続する既存の信号ライン105の途中位置に接続ポイントを設けて、その接続ポイントに、信号出力部6に一端側が接続された信号ライン8の他端側を接続する構成としてもよい。
【0084】
なお、図3では、既存のオートロック操作装置104と本応用例のオートロック解錠装置1は、図示する便宜上、同じ大きさ、同じ形状のものとして示したが、これに限定されるものではない。また、図3では、本応用例のオートロック解錠装置1を、既存のオートロック操作装置104の上方位置に設置した例を示したが、本応用例のオートロック解錠装置1は、出入口100の外側の区画Oであれば設置場所は任意である。
【0085】
本応用例では、オートロック解錠装置1が、出入口100の外側の区画Oに設けられるので、利用者は、出入口100の外側の区画Oへ行くと、自身が携帯する認証用手段7を、本応用例のオートロック解錠装置1に接近させて配置することが可能になる。
【0086】
したがって、本応用例のオートロック解錠装置1の場合、信号通信部3は、前記実施形態と同様に、認証用手段7から認証信号Sを無線通信で受けるようにしてもよいし、認証信号Sを無線通信以外の手法で受けるようにしてもよい。
【0087】
たとえば、信号通信部3が画像認識の機能を備える一方、認証用手段7がディスプレイに認証信号Sをバーコードや二次元コードのような画像によるコードを表示する機能を備える構成としてもよい。この場合は、認証用手段7のディスプレイに表示される画像コードを信号通信部3が画像認識することで、認証用手段7から信号通信部3への認証信号Sの受け渡しを行うことができる。
【0088】
更に、認証用手段7から信号通信部3への認証信号Sの受け渡しは、非接触で十数メートル程度までの範囲で通信可能な手段であれば、赤外線などの光を用いた通信手段や、その他の非接触通信手段を採用してもよい。
【0089】
また、認証用手段7は、信号通信部3に認証信号Sを入力することができるようにしてあれば、たとえば、非接触型ICカードや接触型ICカード、その他、任意の形状の認証用手段7を使用してもよい。
【0090】
以上の構成としてある本応用例のオートロック解錠装置1によっても、前記実施形態と同様に使用して同様の効果を得ることができる。
【0091】
なお、本発明は、前記実施形態および応用例のものに限定されるものではなく、認証信号Sを無線通信(BLUETOOTH(登録商標)など)で受ける場合は、信号通信部3は、図示した以外の位置に配置してもよい。
【0092】
本発明のオートロック解錠装置1を、様々な場所に配置することができるという観点、特に、本発明のオートロック解錠装置1を、既存のオートロック制御盤103が収納されているキャビネット内などの、外部電源を確保できない場所にも配置できるという観点から考えると、電源4は、一次電池や二次電池を用いることが好ましい。しかし、本発明のオートロック解錠装置1は、電源4として燃料電池を用いたり、筐体2内に配置した電源4に代えて、図示しない電源コードを介してAC電源などの商用電源に接続したりする構成であってもよい。
【0093】
本発明のオートロック解錠装置1を、様々な場所に配置することができるという観点、特に、本発明のオートロック解錠装置1を、既存のオートロック制御盤103が収納されているキャビネット内などの、自動ドア101を備えた出入口100の外側の区画Oからは離れていると共に、見通しも利かない場所にも配置できるという観点から考えると、信号通信部3は、認証用手段7から認証信号Sを無線通信で受けるものとすることが好ましい。しかし、信号通信部3が認証用手段7から認証信号Sを受ける手法は、本発明のオートロック解錠装置1を設置する位置で、信号通信部3が出入口100の外側の区画Oに配置された認証用手段7から認証信号を受けることができるようにしてあれば、信号通信部3が認証用手段7から認証信号Sを受ける手法は、前記した種々の手法のうちから適宜選定して採用してよい。
【0094】
本発明のオートロック解錠装置1は、出入口100の内側の区画Iにおいて、オートロック制御盤103が収納されているキャビネットの内部以外の任意の個所に設置することもできる。
【0095】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0096】
1 オートロック解錠装置
2 筐体
3 信号通信部
4 電源
5 制御器
6 信号出力部
8 信号ライン
103 オートロック制御盤
104 オートロック操作装置
a1 解錠信号
a2 解錠信号
S 認証信号
図1
図2
図3