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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】基板処理設備の排気装置及び排気方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230921BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230921BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H01L21/02 D
H01L21/304 645B
H01L21/302 101G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022034530
(22)【出願日】2022-03-07
(65)【公開番号】P2022182987
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2021-0067380
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、チン セ
(72)【発明者】
【氏名】キム、キ ポン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ミョン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ト ヒョン
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-504847(JP,A)
【文献】特開2017-183393(JP,A)
【文献】特開2018-046272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/304
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内部空間の化学蒸気を排出する換気手段と、
前記換気手段の外側面に密閉されたバッファ空間を形成し、前記チャンバー内部空間上の処理工程環境を調整するために、前記換気手段から排出される化学蒸気を保管するバッファ部材と、
前記バッファ空間に保有された化学蒸気を排出する排気手段と、
前記換気手段と前記排気手段を制御して前記バッファ空間に対する化学蒸気の流入量と排出量の調節によって前記チャンバー内部空間上の処理工程環境を調整する制御部と、を含むことを特徴とする、基板処理設備の排気装置。
【請求項2】
前記制御部は、
チャンバーで行うべき基板処理条件に応じて要求される内部温度、圧力及び化学蒸気予想発生量のうちの少なくとも1つの要素と、前記チャンバー内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの少なくとも1つの要素を考慮して、前記換気手段及び前記排気手段を選択的に制御して化学蒸気の排出を調節することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記換気手段と前記排気手段を制御して前記バッファ空間上に排気気流を形成することを特徴とする、請求項2に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項4】
前記バッファ部材は、
前記換気手段の外側面を含むようにその周りに一側が密着結合されて前記バッファ空間を形成する隔壁フレームと、
前記隔壁フレームの他側に結合されて前記バッファ空間を密閉させるカバーと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項5】
前記換気手段は、
前記チャンバー内部空間の化学蒸気を前記密閉された空間へ排出させる換気ファンと、
前記換気ファンに取り付けられ、前記換気ファンの排出量を調節する換気調節器と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項6】
前記換気調節器は、
前記換気ファンの外面に取り付けられ、複数の貫通口が形成されたシャッタフレームと、
前記貫通口に対応して所定角度の回転に応じて前記貫通口を選択的に開放又は閉鎖させるシャッタと、を含むことを特徴とする、請求項5に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項7】
前記換気手段は、
前記換気ファンを介した排出量を測定する流量測定器をさらに含み、
前記制御部は、
前記流量測定器の測定量に基づいて前記換気ファンと前記換気調節器を制御して前記チャンバー内部空間から前記バッファ空間への化学蒸気の排出量を調節することを特徴とする、請求項5に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項8】
前記排気手段は、
前記バッファ空間に接続された排気管と、
前記排気管の内部に取り付けられ、前記排気管を介した排出量を調節する排気圧力発生器と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項9】
前記排気手段は、
前記排気圧力発生器の前方に前記排気管の内部に取り付けられ、前記排気圧力発生器の排気圧力を調節する排気圧力調節器をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項10】
前記排気圧力調節器は、
前記排気管の直径方向に前記排気管の中間に設置された支持台と、
前記支持台によって支持されながら前記支持台の回転に応じて前記排気管を選択的に開放又は閉鎖させるダンパーと、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項11】
前記排気手段は、
前記排気管の入口部位に取り付けられ、前記バッファ空間の化学蒸気濃度を測定する濃度測定器と、
前記排気管を介した排出量を測定する流量測定器と、をさらに含み、
前記制御部は、
前記流量測定器及び前記濃度測定器の測定量に基づいて前記排気圧力発生器と前記排気圧力調節器を制御して、前記バッファ空間に保管された化学蒸気の排出量を調整することを特徴とする、請求項9に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項12】
前記バッファ部材は、
複数の前記換気手段に対応して前記バッファ空間を区画するように、前記隔壁フレームに連結される1つ以上の区画フレームをさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項13】
前記排気手段は、
区画された複数のバッファ空間ごとに化学蒸気を排出するための分岐排気管と、
前記分岐排気管の化学蒸気を排出するための排気管と、
区画された複数のバッファ空間のそれぞれに対応して前記分岐排気管の内部に取り付けられ、前記分岐排気管を介した排出量を調節する排気圧力発生器と、
前記排気圧力発生器の前方に前記分岐排気管の内部に取り付けられ、前記排気圧力発生器の排気圧力を調節する排気圧力調節器と、を含むことを特徴とする、請求項12に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項14】
前記バッファ部材は、
多層構造で設置された複数のチャンバーに対応する多層構造に区画された複数のバッファ空間を有することを特徴とする、請求項12に記載の基板処理設備の排気装置。
【請求項15】
チャンバー内部空間の化学蒸気を換気手段を介してバッファ空間へ排出するチャンバー化学蒸気排出ステップと、
前記チャンバー内部空間から排出される化学蒸気を前記バッファ空間に保管する化学蒸気保管ステップと、
前記バッファ空間に保管された化学蒸気を排気手段を介して排出するバッファ化学蒸気排出ステップと、を含み、
前記チャンバー化学蒸気排出ステップ及び前記バッファ化学蒸気排出ステップは、前記換気手段と前記排気手段を制御して前記バッファ空間に対する化学蒸気の流入量と排出量の調節によって前記チャンバー内部空間上の処理工程環境を調整することを特徴とする、基板処理設備の排気方法。
【請求項16】
前記チャンバー化学蒸気排出ステップは、
前記チャンバー内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に基づいて現在状態を判断する現在状態判断ステップと、
チャンバーで行うべき基板処理工程条件に応じて要求される内部温度、圧力及び化学蒸
気予想発生量のうちの1つ以上の要素に対する要求条件を判断する要求条件判断ステップと、
前記現在状態及び前記要求条件に基づいて前記バッファ空間へ前記チャンバー内部空間の化学蒸気に対する排出量を調節するチャンバー化学蒸気排出調節ステップと、を含むことを特徴とする、請求項15に記載の基板処理設備の排気方法。
【請求項17】
前記現在状態判断ステップは、
前記チャンバー内部空間と前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素を対比して現在状態を判断し、
前記チャンバー化学蒸気排出調節ステップは、
前記現在状態に基づいて前記チャンバー内部空間上の化学蒸気排出量による前記チャンバー内部空間の内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に対する変動状態を予測し、前記変動状態が前記要求条件を満たすように前記チャンバー内部空間上の化学蒸気に対する排出量を調節することを特徴とする、請求項16に記載の基板処理設備の排気方法。
【請求項18】
前記チャンバー化学蒸気排出ステップから前記バッファ化学蒸気排出ステップを繰り返し行い、
前記チャンバー化学蒸気排出調節ステップは、
前記変動状態が前記要求条件を満たすように化学蒸気排出量を次第に増加させながら排出させることを特徴とする、請求項17に記載の基板処理設備の排気方法。
【請求項19】
前記バッファ化学蒸気排出ステップは、
前記チャンバー内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に基づいて現在状態を判断する現在状態判断ステップと、
前記現在状態に基づいて前記バッファ空間上の化学蒸気排出量による前記バッファ空間の内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に対する変動状態を予測するバッファ変動状態予測ステップと、
前記変動状態が設定された基準範囲を満たすように前記バッファ空間上の化学蒸気に対する排出量を調節するバッファ化学蒸気排出調節ステップと、を含むことを特徴とする、請求項15に記載の基板処理設備の排気方法。
【請求項20】
チャンバー内部空間の化学蒸気を排出する換気ファンと、前記換気ファンの外面に取り付けられ、複数の貫通口が形成されたシャッタフレームと、前記貫通口に対応して所定角度の回転に応じて前記貫通口を選択的に開放又は閉鎖させるシャッタとを含む換気手段と、
前記換気手段の外側面を含むようにその周りに一側が密着結合されてバッファ空間を形成する隔壁フレームと、前記隔壁フレームの他側に結合されて前記バッファ空間を密閉させるカバーとを含むことで、前記バッファ空間を介して前記チャンバー内部空間上の処理工程環境を調整するために、前記換気手段から排出される化学蒸気を保管するバッファ部材と、
前記バッファ空間に接続された排気管と、前記排気管の直径方向に前記排気管の中間に設置された支持台と、前記支持台によって支持されながら、前記支持台の回転に応じて前記排気管を選択的に開放又は閉鎖させるダンパーと、前記排気管の入口部位に取り付けられ、前記バッファ空間の化学蒸気濃度を測定する濃度測定器と、を含むことで、前記バッファ空間に保有された化学蒸気の排出量を調節する排気手段と、
チャンバー内で行うべき基板処理条件に応じて要求される内部温度、圧力及び化学蒸気予想発生量のうちの少なくとも1つの要素と、前記チャンバーの内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気量のうちの少なくとも1つの要素を考慮して、前記換気手段及び前記排気手段を選択的に制御して化学蒸気の排出を調節する排気制御部
と、
を含むことを特徴とする、基板処理設備の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理設備の排気装置及び排気方法に係り、より詳細には、基板処理設備の換気手段の外側に化学蒸気を保管するバッファ空間を設け、チャンバー内部空間上の処理工程に応じてバッファ空間へ化学蒸気を排出することにより、処理工程環境を調節する方案に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程のうち、様々な薬液を使用する工程(例えば、洗浄,エッチング工程など)は、工程進行の際に、薬液によって基板処理設備の内部に化学蒸気(fume)が発生する。このような化学蒸気及び蒸気に含まれている不純物は、半導体基板を汚染させて工程事故が発生する原因になる。
【0003】
したがって、基板処理設備は、工程進行の際に発生する化学蒸気又はその中に含まれている不純物を除去するための排気装置を備える。このような排気装置は、基板処理設備が設置された場所の下部底面を介して排気ダクトに連結され、外部へ化学蒸気及び化学蒸気に含まれている不純物を除去する。
【0004】
排気ダクトの端部には換気手段が設けられ、排気ダクトに流れる化学蒸気を換気ファンの動作によって排出させる。このとき、基板処理工程に使用される薬液は、種類又は工程種類に応じて異なる化学蒸気量で発生し、これにより化学蒸気排出量が適切に調節されなければならない。例えば、洗浄、エッチング工程で硫酸溶液を用いる場合、相対的に化学蒸気が多く発生するため、その分だけ排気量を増加させなければならない。
【0005】
ただし、基板処理設備で発生する化学蒸気を外部へ直ちに排出する場合、化学蒸気の排出に応じて基板処理設備のチャンバー内部圧力や温度などが変化して、基板処理工程に要求される温度や圧力などを維持することができないという問題点が生じる。特に、チャンバー内部の温度や圧力などを基板処理工程で要求される一定レベルに合わせることができない場合、これは、工程収率を低下させる問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許公報第10-1035983号
【文献】韓国登録特許公報第10-0918382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するためのもので、基板処理設備で発生する化学蒸気の排出に応じて基板処理工程で要求される環境が維持されないという問題を解決しようとする。
【0008】
特に、基板処理設備の排気ダクトを介した化学蒸気排出の際に、基板処理設備の内部と外部との圧力、温度などの差異により基板処理設備のチャンバー内部空間の圧力や温度などが急激に変化するという問題を解決しようとする。
【0009】
さらに、複数のチャンバーが備えられた基板処理設備で複数のチャンバーを同時に稼動させて工程処理の際にそれぞれのチャンバーごとに圧力や温度などの環境条件が異なることにより、同じ品質レベルの収率が得られないという問題を解決しようとする。
【0010】
本発明の目的は、前述したところに限定されず、上述していない本発明の他の目的及び利点は、以降の説明によって理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による基板処理設備の排気装置の一実施形態は、チャンバー内部空間の化学蒸気を排出する換気手段と、前記換気手段の外側面に密閉されたバッファ空間を形成し、前記チャンバー内部空間上の処理工程環境を調整するために、前記換気手段から排出される化学蒸気を保管するバッファ部材と、前記バッファ空間に保有された化学蒸気を排出する排気手段と、前記換気手段と前記排気手段を制御して前記バッファ空間に対する化学蒸気の流入量と排出量の調節によって前記チャンバー内部空間上の処理工程環境を調整する制御部と、を含むことができる。
【0012】
好ましくは、前記制御部は、チャンバーで行うべき基板処理条件に応じて要求される内部温度、圧力及び化学蒸気予想発生量のうちの少なくとも1つの要素と、前記チャンバー内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの少なくとも1つの要素を考慮して、前記換気手段及び前記排気手段を選択的に制御して化学蒸気の排出を調節することができる。
【0013】
より好ましくは、前記制御部は、前記換気手段と前記排気手段を制御して前記バッファ空間上に排気気流を形成することができる。
【0014】
一例として、前記バッファ部材は、前記換気手段の外側面を含むようにその周りに一側が密着結合されて前記バッファ空間を形成する隔壁フレームと、前記隔壁フレームの他側に結合されてバッファ空間を密閉させるカバーと、を含むことができる。
【0015】
好ましくは、前記換気手段は、前記チャンバー内部空間の化学蒸気を前記密閉空間に排出させる換気ファンと、前記換気ファンに取り付けられ、前記換気ファンの排出量を調節する換気調節器と、を含むことができる。
【0016】
ここで、前記換気調節器は、前記換気ファンの外面に取り付けられ、複数の貫通口が形成されたシャッタフレームと、前記貫通口に対応して所定角度の回転に応じて前記貫通口を選択的に開放又は閉鎖させるシャッタと、を含むことができる。
【0017】
さらに、前記換気手段は、前記換気ファンを介した排出量を測定する流量測定器をさらに含み、前記制御部は、前記流量測定器の測定量に基づいて前記換気ファンと前記換気調節器を制御して前記チャンバー内部空間から前記バッファ空間への化学蒸気の排出量を調節することができる。
【0018】
一例として、前記排気手段は、前記バッファ空間に接続された排気管と、前記排気管の内部に取り付けられ、前記排気管を介した排出量を調節する排気圧力発生器と、を含むことができる。
【0019】
好ましくは、前記排気手段は、前記排気圧力発生器の前方に前記排気管の内部に取り付けられ、前記排気圧力発生器の排気圧力を調節する排気圧力調節器をさらに含むことができる。
【0020】
ここで、前記排気圧力調節器は、前記排気管の直径方向に前記排気管の中間に設置された支持台と、前記支持台によって支持されながら前記支持台の回転に応じて前記排気管を選択的に開放又は閉鎖させるダンパーと、を含むことができる。
【0021】
さらに、前記排気手段は、前記排気管の入口部位に取り付けられ、前記バッファ空間の化学蒸気濃度を測定する濃度測定器と、前記排気管を介した排出量を測定する流量測定器と、をさらに含み、前記制御部は、前記流量測定器及び前記濃度測定器の測定量に基づいて前記排気圧力発生器と前記排気圧力調節器を制御して、前記バッファ空間に保管された化学蒸気の排出量を調節することができる。
【0022】
一例として、前記バッファ部材は、前記複数の換気手段に対応して前記バッファ空間を区画するように、前記隔壁フレームに連結される1つ以上の区画フレームをさらに含むことができる。
【0023】
好ましくは、前記排気手段は、区画された複数のバッファ空間ごとに化学蒸気を排出するための分岐排気管と、前記分岐排気管の化学蒸気を排出するための排気管と、区画された複数のバッファ空間のそれぞれに対応して前記分岐排気管の内部に取り付けられ、前記分岐排気管を介した排出量を調節する排気圧力発生器と、前記排気圧力発生器の前方に前記分岐排気管の内部に取り付けられ、前記排気圧力発生器の排気圧力を調節する排気圧力調節器と、を含むことができる。
【0024】
より好ましくは、前記バッファ部材は、多層構造で設置された複数のチャンバーに対応する多層構造に区画された複数のバッファ空間を有することができる。
【0025】
また、本発明による基板処理設備の排気方法の一実施形態は、チャンバー内部空間の化学蒸気を換気手段を介してバッファ空間へ排出するチャンバー化学蒸気排出ステップと、前記チャンバー内部空間から排出される化学蒸気を前記バッファ空間に保管する化学蒸気保管ステップと、前記バッファ空間に保管された化学蒸気を排気手段を介して排出するバッファ化学蒸気排出ステップと、を含むことができる。
【0026】
一例として、前記チャンバー化学蒸気排出ステップは、前記チャンバー内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に基づいて現在状態を判断する現在状態判断ステップと、前記チャンバーで行うべき基板処理工程条件に応じて要求される内部温度、圧力及び化学蒸気予想発生量のうちの1つ以上の要素に対する要求条件を判断する要求条件判断ステップと、前記現在状態及び前記要求条件に基づいて前記バッファ空間へ前記チャンバー内部空間の化学蒸気に対する排出量を調節するチャンバー化学蒸気排出調節ステップと、を含むことができる。
【0027】
好ましくは、前記現在状態判断ステップは、前記チャンバー内部空間と前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素を対比して現在状態を判断し、前記チャンバー化学蒸気排出調節ステップは、前記現在状態に基づいて前記チャンバー内部空間上の化学蒸気排出量による前記チャンバー内部空間の内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に対する変動状態を予測し、前記変動状態が前記要求条件を満たすように前記チャンバー内部空間上の化学蒸気に対する排出量を調節することができる。
【0028】
より好ましくは、前記チャンバー化学蒸気排出ステップ乃至前記バッファ化学蒸気排出ステップを繰り返し行うが、前記チャンバー化学蒸気排出調節ステップは、前記変動状態が前記要求条件を満たすように化学蒸気排出量を次第に増加させながら排出させることができる。
【0029】
一例として、前記バッファ化学蒸気排出ステップは、前記チャンバー内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に基づいて現在状態を判断する現在状態判断ステップと、前記現在状態に基づいて前記バッファ空間上の化学蒸気排出量による前記バッファ空間の内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの1つ以上の要素に対する変動状態を予測するバッファ変動状態予測ステップと、前記変動状態が設定された基準範囲を満たすように前記バッファ空間上の化学蒸気に対する排出量を調節するバッファ化学蒸気排出調節ステップと、を含むことができる。
【0030】
本発明による基板処理設備の排気装置の好適な一実施形態は、チャンバー内部空間の化学蒸気を排出する換気ファンと、前記換気ファンの外面に取り付けられ、複数の貫通口が形成されたシャッタフレームと、前記貫通口に対応して所定角度の回転に応じて貫通孔を選択的に開放又は閉鎖させるシャッタとを含む換気手段;前記換気手段の外側面を含むようにその周りに一側が密着結合されてバッファ空間を形成する隔壁フレームと、前記隔壁フレームの他側に結合されて前記バッファ空間を密閉させるカバーとを含むことで、前記バッファ空間を介して前記チャンバー内部空間上の処理工程環境を調整するために、前記換気手段から排出される化学蒸気を保管するバッファ部材;前記バッファ空間に接続された排気管と、前記排気管の直径方向に前記排気管の中間に設置された支持台と、前記支持台によって支持されながら、前記支持台の回転に応じて前記排気管を選択的に開放又は閉鎖させるダンパーと、前記排気管の入口部位に取り付けられ、前記バッファ空間の化学蒸気濃度を測定する濃度測定器と、を含むことで、前記バッファ空間に保有された化学蒸気の排出量を調節する排気手段;及び前記チャンバーで行うべき基板処理条件に応じて要求される内部温度、圧力及び化学蒸気予想発生量のうちの少なくとも1つの要素と、前記チャンバーの内部空間及び前記バッファ空間の現在内部温度、圧力及び化学蒸気量のうちの少なくとも1つの要素を考慮して、前記換気手段及び前記排気手段を選択的に制御して化学蒸気の排出を調節する排気制御部;を含むことができる。
【発明の効果】
【0031】
このような本発明によれば、基板処理設備の換気手段の外側に化学蒸気を保管するバッファ空間を設け、チャンバー内部空間上の処理工程に応じて化学蒸気を排出することにより、処理工程環境を調節することができる。
【0032】
特に、チャンバー内部空間の化学蒸気排出量を調節してバッファ空間に一時保管した後、バッファ空間の化学蒸気排出量を調節して排出することにより、チャンバー内部空間の環境変化を最小限に減らすことができるので、基板処理工程のための要求条件を安定的に維持することができる。
【0033】
さらに、基板処理設備に多数のチャンバーを配置し、同時に基板処理工程を行う場合、化学蒸気の排出に応じてそれぞれのチャンバー内部空間上の環境条件が異なるように変わり得るが、バッファ空間を介してチャンバー内部空間上の環境を一定レベルに維持させることができるので、多数のチャンバーで同じレベルの品質を維持させ、製品量産が可能になる。
【0034】
本発明の効果は、上述したものに限定されず、上述していない別の効果は、以降の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明らかに理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明による排気装置が適用される基板処理設備の一実施形態を示す。
図2】本発明による排気装置の概略構成図を示す。
図3】本発明による排気装置を基板処理設備に取り付けた一実施形態を示す。
図4】本発明による排気装置を基板処理設備に取り付けた一実施形態を示す。
図5】本発明による排気装置における換気手段の一実施形態を示す。
図6】本発明による排気装置における排気手段の一実施形態を示す。
図7】本発明による排気装置における排気手段の排気圧力調節器に対する動作様子の一実施形態を示す。
図8】本発明による排気装置の変形した一実施形態を示す。
図9】本発明による基板処理設備の排気方法に対する一実施形態のフローチャートを示す。
図10】本発明による基板処理設備の排気方法におけるチャンバー内部空間の化学蒸気を排出する過程に対する一実施形態のフローチャートを示す。
図11】本発明による基板処理設備の排気方法におけるバッファ空間の化学蒸気を排出する過程に対する一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。ところが、本発明は実施形態によって限定又は限定されるものではない。
【0037】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を説明するために、以下では、本発明の好適な実施形態を例示し、これを参照して考察する。
【0038】
まず、本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含むことができる。また、本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つ又はそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらの組み合わせの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0039】
本発明を説明するにあたり、関連する公知の構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明は省略する。
【0040】
本発明は、基板処理設備の換気手段の外側に化学蒸気を保管するバッファ空間を設け、チャンバー内部空間上の処理工程に応じてバッファ空間へ化学蒸気を排出することにより、処理工程環境を調節することができる排気装置、及びこれを適用した排気方法を提示する。
【0041】
図1は本発明による排気装置が適用される基板処理設備の一実施形態を示す。
【0042】
図1を参照すると、本発明による排気装置が適用される基板処理設備1は、インデックス部10、バッファ部20及び処理部50を含むことができる。インデックス部10、バッファ部20及び処理部50は一列に配置される。
【0043】
インデックス部10は、4つのロッドポート12及び1つのインデックスロボット13を含むことができる。
【0044】
4つのロッドポート12は、インデックス部10の前方に配置される。ロードポート12は、複数個が提供され、その個数は、基板処理設備1の工程効率及びフットプリント条件に応じて増加又は減少することもできる。ロードポート12には、工程に提供される基板W及び工程処理済みの基板Wが収納されたキャリア(例えば、カセット、FOUPなど)が装着される。キャリア16には、基板を地面に対して水平に配置した状態で収納するための多数のスロットが設けられる。
【0045】
インデックスロボット13は、ロードポート12とバッファ部20との間に設置される。インデックスロボット13は、バッファ部20の上層に待機する基板Wをキャリア16へ移送するか、或いはキャリア16で待機する基板Wをバッファ部20の下層へ移送する。
【0046】
バッファ部20は、インデックス部10と処理部50との間に設置される。バッファ部20は、インデックスロボット13によって移送される前に工程に提供される基板W、又はメイン移送ロボット30によって移送される前に工程処理が完了した基板Wが一時的に収納されて待機する場所である。
【0047】
メイン移送ロボット30は、移動通路40に設置され、各基板処理装置100とバッファ部20との間に基板を移送する。メイン移送ロボット30は、バッファ部20で待機する工程に提供される基板を各基板処理装置100へ移送するか、或いは各基板処理装置100から工程処理が完了した基板をバッファ部20へ移送する。
【0048】
移動通路40は、メイン移送ロボット30が移動する通路を提供する。移動通路40の両側には、基板処理装置100が互いに対向して配置される。移動通路40には、メイン移送ロボット30が移動し、基板処理装置100の上下層、及びバッファ部20の上下層へ昇降することができる移動レールが設置される。
【0049】
基板処理装置100は、メイン移送ロボット30が設置される移動通路40の両側に互いに対向して配置される。基板処理設備1は、上下層からなる多数の基板処理装置100を備えるが、基板処理装置100の個数は、基板処理設備1の工程効率及びフットプリント条件に応じて増加又は減少することもできる。それぞれの基板処理装置100は、独立したハウジングで構成される。このため、それぞれの基板処理装置100内では、独立した形態で基板を処理する工程が行われ得る。
【0050】
基板処理装置100では、基板に対するエッチング工程や洗浄工程などの様々な基板処理工程が行われる。一例として、基板処理装置100は、チャンバー内にスピンチャックを備えて該スピンチャック上に基板を装着した状態で基板を回転させながら薬液を供給することにより、エッチング又は洗浄工程などが行われ得る。このような基板処理工程の実行によって、チャンバー内部空間には化学蒸気(fume)が発生し、化学蒸気及び蒸気に含まれている不純物をチャンバーの下端の排気ダクトを介して放出させる。
【0051】
基板処理装置100から化学蒸気を放出することにより、チャンバー内部空間上の環境は変化することができるが、チャンバー内部空間と化学蒸気が放出される外部空間とは、温度と圧力の差が大きく存在するので、チャンバー内部空間上の化学蒸気を外部空間へ放出することにより、チャンバー内部空間の温度と圧力が変化する。
【0052】
このようなチャンバー内部空間の温度及び圧力の変化は、基板処理工程条件に相当な影響を及ぼし、工程収率を低下させるという問題を引き起こす。特に、多数の基板処理装置100が同時に基板処理工程を行う際に、異なる温度及び圧力を示すことにより、それぞれの基板処理装置100で行われた基板処理結果に差異が発生し、このような差異は、同じ品質の製品量産を維持することができないという問題となる。
【0053】
したがって、本発明では、チャンバー内部空間において基板処理工程の際に要求される温度や圧力などの様々な要求条件を満たすために、チャンバー内部空間上の化学蒸気をバッファ空間に一時的に収容した後、排出することにより、チャンバー内部空間の環境を一定のレベル範囲に維持させることができる基板処理設備の排気装置と排気方法を提示する。
【0054】
図2は本発明による排気装置の概略構成図を示す。
【0055】
本発明による排気装置200は、基板処理装置100のチャンバー内部空間110から化学蒸気を排出する排気管150に接続される。
【0056】
排気装置200は換気手段、バッファ部材、排気手段、制御部などを含むことができる。
【0057】
前記換気手段は、チャンバー内部空間110から化学蒸気を排気管150を介して排出させる換気ファン210と、換気ファン210に取り付けられ、換気ファン210の化学蒸気排出量を調節する換気調節器220と、を含むことができる。さらに、前記換気手段は、換気ファン210を介した化学蒸気の排出量を測定する流量測定器251を含むことができる。
【0058】
バッファ空間250は、前記換気手段の外側面に取り付けられるバッファ部材240によって形成される。バッファ部材240によって前記換気手段の外側面に密閉されて形成されたバッファ空間250は、チャンバー内部空間110上の処理工程環境を調整するために、前記換気手段から排出される化学蒸気を一時的に保管する。
【0059】
前記排気手段は、バッファ空間250に保有された化学蒸気を排出させる。このために、前記排気手段は、バッファ空間250に接続された排気管261と、排気管261を介した排出量を調節する排気圧力発生器280と、を含むことができる。また、前記排気手段は、排気圧力発生器280の前方に排気管261の内部に取り付けられ、排気圧力発生器280の排気圧力を調節する排気圧力調節器270をさらに含むことができる。
【0060】
さらに、排気管261の入口部位には、バッファ空間250の化学蒸気濃度を測定するための濃度測定器255が備えられてもよく、排気管261には、排出量を測定する流量測定器253が備えられてもよい。
【0061】
制御部(図示せず)は、前記換気手段と前記排気手段を制御して、バッファ空間250に対する化学蒸気の流入量と排出量の調節を介してチャンバー内部空間110上の処理工程環境を調整する。
【0062】
特に、前記制御部は、チャンバーで行うべき基板処理条件に応じて要求される内部温度、圧力及び化学蒸気予想発生量のうちの少なくとも1つの要素と、チャンバー内部空間110及びバッファ空間250の現在内部温度、圧力及び化学蒸気濃度のうちの少なくとも1つの要素とを考慮して、前記換気手段及び前記排気手段を選択的に制御して化学蒸気の排出を調節することができる。
【0063】
前記制御部が前記換気手段と前記排気手段を制御することにより、バッファ空間250上には、化学蒸気をより効果的に流入又は排出させるように排気気流が形成できる。
【0064】
一例として、換気ファン210を介した排出量を流量測定器251を介して測定し、測定量に基づいて、前記制御部が換気ファン210と換気調節器220を制御して、チャンバー内部空間110からバッファ空間250への化学蒸気の排出量を調節することができる。
【0065】
また一例として、バッファ空間250の濃度測定器255を介して化学蒸気濃度を測定し、排気管261を介した排出量を流量測定器253を介して測定した後、測定量に基づいて前記制御部が換気ファンと前記換気調節器を制御して、バッファ空間250に保管された化学蒸気の排出量を調節することができる。
【0066】
このように、本発明では、チャンバー内部空間の化学蒸気排出量を調節してバッファ空間に一時保管した後、バッファ空間の化学蒸気排出量を調節して排出することにより、チャンバー内部空間の環境変化を最小限に減らすことができるため、基板処理工程のための要求条件を安定して維持させることができる。
【0067】
以下では、本発明による基板処理設備の排気装置について、各構成の詳細な実施形態を参照して説明する。
【0068】
図3及び図4は本発明による排気装置を基板処理設備に取り付けた一実施形態を示す。
【0069】
本発明による排気装置は、既存の基板処理設備を変更することなく、予め設置された基板処理設備を維持しながら装着することができる。
【0070】
基板処理設備1上の化学蒸気排出部位には、換気手段の換気ファンと換気調節器220a、220b、220cが取り付けられ、これらを含むようにバッファ部材240が基板処理設備1の側面に密着して取り付けられる。
【0071】
バッファ部材240は、隔壁フレーム241とカバー243とを含む。
【0072】
隔壁フレーム241の一側が基板処理設備1の側面に密着して取り付けられ、結合部位は密閉できるようにシール処理される。そして、カバー243は隔壁フレーム241の他側に取り付けられ、カバー243と隔壁フレーム241との当接部位には密閉のためのシール部材が備えられることができる。
【0073】
カバー243は、一側を基準として回転可能に隔壁フレーム241に取り付けられることにより、バッファ空間250を開放させるドア機能を有することができる。
【0074】
隔壁フレーム241とカバー243とを含むバッファ部材240が基板処理設備1の側面に結合され、バッファ部材240の内部に、密閉されたバッファ空間250が形成される。そして、バッファ空間250の下端部上の隔壁フレーム241には、バッファ空間250に保管された化学蒸気を排出するための排気手段260が備えられる。
【0075】
図3及び図4の実施形態では、多層構造で複数のチャンバーが備えられた基板処理設備1に対して、複数のチャンバーから排出される化学蒸気を全て収容するバッファ空間250を形成するようにバッファ部材240が装着された場合である。
【0076】
図5は本発明による排気装置における換気手段の一実施形態を示す。
【0077】
換気手段は、基板処理設備1上におけるチャンバー内部空間からの化学蒸気排出部位に取り付けられ、前記換気手段は、換気ファン210と換気調節器220とを含む。
【0078】
換気調節器220は、シャッタフレーム221とシャッタ225とを含むことができる。
【0079】
シャッタフレーム221は、換気ファン210の外面に取り付けられ、複数の貫通口が形成され、シャッタ225は、シャッタフレーム221の貫通口に対応して所定角度回転可能であって、貫通口を選択的に開放又は閉鎖させることができる。
【0080】
図5(a)に示すように、シャッタ225Fが貫通口を完全に開放させるように調節でき、図5(b)に示すように、シャッタ225が貫通孔を一部開放させるように調節でき、図5(c)に示すように、シャッタ225が貫通孔を完全に閉鎖させるように調節できる。
【0081】
換気ファン210の出力とシャッタ225を介した開放又は閉鎖は、制御部によって動作が制御され、これにより、チャンバー内部空間からバッファ空間への化学蒸気の排出量が調節できる。
【0082】
図6は本発明による排気装置における排気手段の一実施形態を示す。
【0083】
排気手段は、隔壁フレーム241を貫通してバッファ空間に接続される排気管261と、排気管261の内部に取り付けられ、排気管261を介した排出量を調節する排気圧力発生器280と、排気圧力発生器280の前方に排気管261の内部に取り付けられ、排気圧力発生器280の排気圧力を調節する排気圧力調節器と、を含むことができる。
【0084】
排気圧力発生器280は、モータと、モータによって回転する羽根とを備えることにより、羽根の回転によって流体を流せる圧力を発生させる構成を含むことができる。
【0085】
前記排気圧力調節器は、排気管261を開放又は閉鎖させることにより、排気管261上の流体の流れを調節することができるが、前記排気圧力調節器について、図7に示す動作様子の一実施形態を一緒に参照して説明する。
【0086】
排気圧力調節器は、排気管261の直径方向に排気管261の中間に設置された支持台273と、支持台273を回転させる駆動器275と、支持台273によって支持されながら支持台273の回転に応じて排気管261を選択的に開放又は閉鎖させるダンパー271a、271bと、を含むことができる。
【0087】
図7に示された一実施形態のように、ダンパー271a、271bは、排気管261の断面形状に対応して支持台273の両側に締結され、支持台273の回転に応じて支持台273を中心に回転することにより、排気管261を開放又は閉鎖させることができる。
【0088】
図6及び図7に示された排気圧力調節器は、一実施形態であって、排気管に設置されて排気管を介して流れる流体の量を調節することができる様々な形態に変形することができる。
【0089】
排気圧力発生器280と前記排気圧力調節器は、制御部によって動作が制御され、これにより、バッファ空間上に保管された化学蒸気の排出量が調節できる。
【0090】
図3及び図4の実施形態を介して説明した排気装置は、多層構造で複数のチャンバーが備えられた基板処理設備1に対して複数のチャンバーから排出される化学蒸気を全て収容する1つの統合されたバッファ空間250を形成したが、必要に応じては、複数のチャンバーから排出されるそれぞれの化学蒸気を個別的に収容するようにバッファ空間が分割されて形成されることもできる。
【0091】
これに関して、図8は本発明による排気装置の変形した一実施形態を参照して説明する。
【0092】
多層構造で複数のチャンバーが備えられた基板処理設備1に対して、各層ごとに化学蒸気を一時的に保管するための個別的なバッファ空間が設けられることができる。
【0093】
このために、各層別チャンバーの化学蒸気を排出するための換気手段に対応してバッファ空間を区画するように隔壁フレーム241上に区画フレーム245a、245b、245cが備えられる。
【0094】
区画フレーム245a、245b、245cによってバッファ空間が各層ごとに区画され、区画されたバッファ空間250a、250b、250cが形成される。そして、各層別バッファ空間250a、250b、250cに保管された化学蒸気は、排気手段の排気管261が連結された最下段のバッファ空間250dを介して排気管261へ排出されることができる。
【0095】
各層ごとに区画されたバッファ空間250a、250b、250cには、化学蒸気を排出するための分岐排気管265が接続され、分岐排気管265は、最下段のバッファ空間250dに接続される。
【0096】
分岐排気管265には、各層別に区画されたバッファ空間250a、250b、250cに対応して分岐排気管265を介した排出量を調節する排気圧力発生器(図示せず)と、排気圧力発生器の排気圧力を調節する排気圧力調節器(図示せず)とが備えられることができる。
【0097】
排気圧力発生器及び排気圧力調節器は、前述した実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0098】
このように多層構造で複数のチャンバーが備えられた基板処理設備に対して、各層別チャンバーに対応して独立したバッファ空間を設けて化学蒸気排出を調節することにより、それぞれのチャンバー内部空間に対する基板処理工程で要求される環境をより細部的に調整することができる。
【0099】
また、本発明では、上述した本発明による基板処理設備の排気装置を用いる排気方法を提示するが、以下では、本発明による基板処理設備の排気方法についてその実施形態を参照して説明する。
【0100】
図9は本発明による基板処理設備の排気方法に対する一実施形態のフローチャートを示す。
【0101】
本発明による基板処理設備の排気方法は、チャンバー内部空間の化学蒸気を換気手段を介してチャンバー内部空間の環境を考慮して排出量を調節しながらバッファ空間へ排出する(S100)。
【0102】
チャンバー内部空間から排出される化学蒸気は、バッファ空間上に保管(S200)され、バッファ空間に保管された化学蒸気を、バッファ空間の現在状態を考慮して排気手段を介して排出量を調節しながら排出(S300)する過程を含むことができる。
【0103】
次に、本発明による基板処理設備の排気方法に対する各過程についてより詳細に検討する。
【0104】
図10は本発明による基板処理設備の排気方法におけるチャンバー内部空間の化学蒸気を排出する過程に対する一実施形態のフローチャートを示す。
【0105】
チャンバー内部空間とバッファ空間の現在内部温度、圧力、化学蒸気濃度などの様々な環境要素を測定し、これに基づいてチャンバー内部空間とバッファ空間の現在状態を判断する(S110)。
【0106】
例えば、チャンバー内部空間とバッファ空間の温度、圧力、化学蒸気濃度などを測定し、チャンバー内部空間とバッファ空間との温度差、圧力差、化学蒸気濃度差などを把握する。
【0107】
そして、チャンバーで行うべき基板処理工程条件に応じて要求される内部温度、圧力などを把握し、基板処理時に発生する化学蒸気予想発生量を予測して、チャンバーで行うべき基板処理工程条件に応じた要求条件を判断する(S130)。
【0108】
例えば、チャンバーで当該基板処理工程を行う際に要求される内部温度や圧力などの環境要素と、それにより発生する化学蒸気予想発生量の環境要素などを把握し、これに基づいて、基板処理工程を行うための要求条件を判断する。
【0109】
そして、チャンバー内部空間とバッファ空間の現在状態に基づいて、チャンバー内部空間上の化学蒸気排出量によるチャンバー内部空間の内部温度、圧力、化学蒸気濃度などの環境要素に対する変動状態を予測する(S140)。
【0110】
チャンバー内部空間とバッファ空間の現在状態と当該基板処理工程を行うための要求条件が把握されると、前記現在状態と前記要求条件に基づいてチャンバー内部空間の化学蒸気をバッファ空間上へ排出させる(S150)。
【0111】
好ましくは、チャンバー内部空間の変動状態が要求条件を満たすように、チャンバー内部空間から排出される化学蒸気の排出量を調節しながら、バッファ空間上へ化学蒸気を排出させることができる。
【0112】
すなわち、チャンバー内部空間の化学蒸気を温度、圧力などが異なる外部へ多量排出するとき、チャンバー内部空間上の温度、圧力などの環境変化が発生する可能性があるので、本発明では、バッファ空間を設け、チャンバー内部空間とバッファ空間の環境を同様に維持させながら、チャンバー内部空間の化学蒸気をバッファ空間へ調節して排出させる。これにより、チャンバー内部空間上で当該基板処理工程の実行のために要求される環境条件を適切に維持させることができる。
【0113】
チャンバー内部空間から排出される化学蒸気は、バッファ空間に一時的に保管される(S200)。
【0114】
その後、バッファ空間の現在状態を考慮して、バッファ空間上に保管された化学蒸気を外部へ排出させる。
【0115】
バッファ空間の化学蒸気排出過程に関連して、図11は本発明による基板処理設備の排気方法における、バッファ空間の化学蒸気を排出する過程に対する一実施形態のフローチャートを示す。
【0116】
バッファ空間の化学蒸気を排出する前に、まず、チャンバー内部空間とバッファ空間の現在温度、圧力、化学蒸気濃度などの様々な環境要素を測定し、これに基づいてチャンバー内部空間とバッファ空間の現在状態を判断する(S310)。
【0117】
そして、チャンバー内部空間とバッファ空間の現在状態に基づいて、バッファ空間上の化学蒸気排出量によるバッファ空間の内部温度、圧力、化学蒸気濃度などの環境要素に対する変動状態を予測する(S330)。
【0118】
チャンバー内部空間とバッファ空間の現在状態とバッファ空間の化学蒸気排出に伴う変動状態が把握されると、バッファ空間の変動状態が所定の基準範囲を満たすように排出量を調節して化学蒸気を排出させる(S350)。
【0119】
さらに、前述したチャンバー内部空間上の化学蒸気排出過程とバッファ空間上の化学蒸気排出過程は、繰り返し行われることができる。繰り返し実行によって、チャンバー内部空間とバッファ空間間の環境状態を一定のレベルに同様に維持させながら次第に排出量を増加させることができる。
【0120】
つまり、チャンバー内部空間の環境状態とバッファ空間の環境状態に大きな差がある場合、チャンバー内部空間からバッファ空間への化学蒸気排出量を次第に増加させることにより、チャンバー内部空間とバッファ空間との環境状態の差を減らしながら化学蒸気を排出することができる。
【0121】
このような本発明により、チャンバー内部空間の化学蒸気排出量を調節してバッファ空間に一時保管した後、バッファ空間の化学蒸気排出量を調節して排出することにより、チャンバー内部空間の環境変化を最小限に抑えることができるので、基板処理工程のための要求条件を安定して維持させることができる。
【0122】
特に、基板処理設備に多数のチャンバーを配置し、同時に基板処理工程を行う場合、化学蒸気の排出によって、それぞれのチャンバー内部空間上の環境条件が異なるように変わり得るが、バッファ空間を介してチャンバー内部空間上の環境を一定レベルに維持させることができるので、多数のチャンバーで同じレベルの品質を維持させ、製品量産が可能になる。
【0123】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱することなく、様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に記載された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施形態によって本発明の技術思想が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0124】
1 基板処理設備
100 基板処理装置
150、251 排気管
200 排気装置
210 換気ファン
220、220a、220b、220c 換気調節器
221 シャッタフレーム
225 シャッタ
240 バッファ部材
241 隔壁フレーム
243 カバー
245a、245b、245c 区画フレーム
250、250a、250b、250c、250d バッファ空間
251、253 流量測定器
255 濃度測定器
260 排気手段
265 分岐排気管
270 排気圧力調節器
271、271a、271b ダンパー
273 支持台
280 排気圧力発生器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11