(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】レンタルサービス管理装置、レンタルサービス管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20230921BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20230921BHJP
【FI】
G06Q30/0645
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2022136604
(22)【出願日】2022-08-30
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】599016110
【氏名又は名称】株式会社エスシー・マシーナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】金丸 清人
(72)【発明者】
【氏名】大西 眞
(72)【発明者】
【氏名】大久保 一也
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-027961(JP,A)
【文献】国際公開第2019/031431(WO,A1)
【文献】特開2018-131890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械を操作するオペレータの生体情報を計測する計測機器から前記生体情報を取得する取得部と、
前記生体情報に基づいて体調の度合いを表す体調レベルを生成する体調レベル生成部と、
前記生成された体調レベルと前記操作された建設機械の種別とを前記オペレータ毎に対応付けたサービスデータとして記憶する記憶部と、
前記記憶されたサービスデータを外部に出力する出力部と、
を有するレンタルサービス管理装置。
【請求項2】
前記生成された体調レベルが基準レベルに到達しているか否かを判定する判定部を有し、
前記記憶部は、前記判定された判定結果を含むサービスデータを記憶し、
前記出力部は、前記判定結果において体調レベルが基準レベルに到達していることを表す判定結果が得られたオペレータと前記建設機械の種別とをサービスデータとして外部に出力する
請求項1に記載のレンタルサービス管理装置。
【請求項3】
前記体調レベル生成部は、
前記建設機械の操作期間において得られた生体情報の変動に応じて、体調の安定度を前記体調レベルとして生成する
請求項1または請求項2に記載のレンタルサービス管理装置。
【請求項4】
前記計測された生体情報を記憶する生体情報記憶部を有し、
前記出力部は、貸し出しされた期間において測定された生体情報を前記生体情報記憶部から読み出して外部に出力する
請求項3に記載のレンタルサービス管理装置。
【請求項5】
取得部が、建設機械を操作するオペレータの生体情報を計測する計測機器から前記生体情報を取得し、
体調レベル生成部が、前記生体情報に基づいて体調の度合いを表す体調レベルを生成し、
記憶部が、前記生成された体調レベルと前記操作された建設機械の種別とを前記オペレータ毎に対応付けたサービスデータとして記憶し、
出力部が、記憶されたサービスデータを外部に出力する
レンタルサービス管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンタルサービス管理装置、レンタルサービス管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場において、建設業者等の顧客は、レンタル業者やリース会社等の賃貸業者から、建設現場において利用される機械を借り、その機械を用いて現場における工事等を行なっている。このようなレンタル機材を管理するための管理装置も提案されている(例えば特許文献1参照)。
レンタル機材としては、例えば建設機械がある。建設業者等の顧客がレンタル機器を借りる場合、建設機械の性能や仕様が建設現場における工事内容や作業目的に適合するかを考慮し、借りる対象の建設機械を選択している。建設機械の性能や仕様が工事内容や作業目的に適合するように、レンタルする対象の建設機械を選択することで、工事の安全性、作業効率等が一定の水準を満たすようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建設機械を貸し出す場合、当該建設機械を操作するオペレータを派遣することで、オペレータ付きのレンタル機器を貸し出すサービスもある。そのため、建設機械の性能や仕様だけでなく、オペレータの技能や作業品質を発揮できることで、工事の安全性、作業効率等の工事の品質をさらに向上できる可能性が考えられる。そのため、賃貸業者は、建設業者等の顧客に対し、レンタル対象の選定するにあたり、建設機械の性能な仕様を考慮するだけでなく、オペレータに起因する品質についても検討してもらえることが工事の品質をより高められる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、建設機械だけでなくオペレータに起因する品質についても顧客に検討してもらえるレンタルサービス管理装置、レンタルサービス管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、建設機械を操作するオペレータの生体情報を計測する計測機器から前記生体情報を取得する取得部と、前記生体情報に基づいて体調の度合いを表す体調レベルを生成する体調レベル生成部と、前記生成された体調レベルと前記操作された建設機械の種別とを前記オペレータ毎に対応付けたサービスデータとして記憶する記憶部と、前記記憶されたサービスデータを外部に出力する出力部と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様は、取得部が、建設機械を操作するオペレータの生体情報を計測する計測機器から前記生体情報を取得し、体調レベル生成部が、前記生体情報に基づいて体調の度合いを表す体調レベルを生成し、記憶部が、前記生成された体調レベルと前記操作された建設機械の種別とを前記オペレータ毎に対応付けたサービスデータとして記憶し、出力部が、記憶されたサービスデータを外部に出力するレンタルサービス管理方法である。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明によれば、建設機械だけでなくオペレータに起因する品質についても顧客に検討してもらうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の一実施形態によるレンタルサービス管理システムSの構成を示す概略システム構成図である。
【
図2】記憶部14に記憶される生体情報ログの一例を示す図である。
【
図3】記憶部14に記憶されるサービスデータの一例を示す図である。
【
図4】レンタルサービス管理装置1におけるレンタルの受け付け処理を説明するフローチャートである。
【
図5】レンタルサービス管理装置1の体調レベルの更新をする動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態によるレンタルサービス管理システムSについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態によるレンタルサービス管理システムSの構成を示す概略システム構成図である。
レンタルサービス管理システムSは、レンタルサービス管理装置1、現場端末2、建設機械CM1、建設機械CM2、生体センサBS1、生体センサBS2、警報装置AM1、警報装置AM2、端末装置D、ネットワークNWを有する。
【0011】
建設機械CM1、建設機械CM2(以下、これらを識別しない場合には単に建設機械CMと称する)は、レンタルサービスにおいて貸し出し可能な建設機械である。建設機械CMは、オペレータによって操作される。建設機械CMは、例えば、クローラクレーン、タワークレーン、ホイールローダ、高所作業車等のうちいずれであってもよい。
ここで、レンタルサービスには、建設機械CMのみを貸し出す場合もあるが、建設機械CMを貸し出すとともに、その建設機械CMを運転するオペレータを派遣するレンタルサービス(オペレータ付き建設機械レンタルサービス)がある。このようなレンタルサービスには、1つの建設機械CMに対して1人のオペレータが固定的に組み合わされ、レンタル可能な1つのサービスとされる場合や、1つの建設機械CMと複数の異なるオペレータのうちいずれかのオペレータとの組み合わせを選択可能としてレンタル可能なサービスとされる場合等がある。
【0012】
生体センサBS1、生体センサBS2は、建設機械を操作するオペレータの生体情報を計測する。生体センサBSは、例えば、オペレータの脈波、脈拍、呼吸、体動等を検出し、検出結果を示す生体情報を出力する。生体センサBSは、生体情報だけでなく、測定を行った測定時刻と生体情報とを含むセンサデータとして出力するようにしてもよい。
生体センサBSは、オペレータの体に装着される接触式であってもよいし、非接触式であってもよい。
非接触式である場合、マイクロ波ドップラー素子を用い、電波を放射して、測定対象者から反射される反射波を受信し、この受信波を解析することによって、測定対象者から離れた場所から脈波、脈拍、呼吸、体動を検出するものを用いることができる。このような非接触型の生体センサBSは、例えば建設機械CMがクローラクレーンである場合、運転席の内周面のうちいずれかの位置に取り付けるようにしてもよい。
接触式である場合、腕時計型のものを用いることができる。非接触式の生体センサBSは、生体からの振動を検出することで、脈波、脈拍、呼吸、体動等を算出することができる。
【0013】
ここで、建設機械CMは、日によって異なるオペレータによって利用される場合もある。このような場合、非接触型の生体センサBSを用いる場合には、建設機械CMに生体センサBSが取り付けられていることで、オペレータが入れ替わったとしても、計測時に運転席にいるオペレータの生体情報を測定することができる。この場合、オペレータは、建設機械CMを運転する際に、生体センサを装着することなく生体情報を計測してもらうことができる。また、オペレータが交代する場合であっても、生体センサBSを受け渡すような着脱の手間を省くことができる。
【0014】
生体センサBSが腕時計型等の接触式であって、1台の建設機械CMを同じオペレータIDが一定期間(数週間等)継続して利用する場合、1人のオペレータに1つの生体センサBSを貸し出してもよい。これにより、1つの生体センサBSを1人のオペレータに継続的に利用してもらうことができる。この場合、建設機械CMに生体センサBSを設置する必要がない。
【0015】
生体センサBSは、個別に識別情報(センサID)が割り当てられており、オペレータから検出した生体情報とセンサIDと測定時刻とをネットワークNWを介してレンタルサービス管理装置1に送信する。このセンサIDと、測定時刻とを元に、どのオペレータから測定された生体情報であるか把握できる。例えば、オペレータ付き建設機械レンタルサービスである場合、建設機械CMとオペレータとの対応関係が決められた状態で建設機械CMが貸し出される。貸し出される期間は、レンタルサービスの受け付け時において、利用期間として登録される。そのため、非接触型の生体センサBSである場合、生体センサBSが取り付けられている建設機械CMをその生体センサBSのセンサIDを元に特定し、また、測定時刻に基づいて、当該測定時刻が属する利用期間を特定することによって、その日の建設機械CMを運転していたオペレータを特定することができる。
また、接触型の生体センサBSである場合、接触型の生体センサBSをオペレータに渡す際に、受け渡す対処のオペレータと、接触型の生体センサBSのセンサIDとを対応づけてレンタルサービス管理装置1に登録しておくことで、生体センサBSから得られる生体情報がどのオペレータから測定されたデータであるかを特定することができる。
【0016】
警報装置AM1、警報装置AM2(以下、これらを識別しない場合には単に警報装置AMと称する)は、外部(例えばレンタルサービス管理装置1)から警報を行う指示が入力されることに応じて警報を行う。警報装置AMは、例えば、回転灯である。警報装置AMは、建設機械CMに取り付けられるが、現場端末2の近傍にも設置するようにしてもよい。
【0017】
端末装置Dは、レンタルサービス管理装置1が提供するレンタルサービスを利用する利用者によって利用される。端末装置Dは、利用者からの操作入力に基づいて、レンタルサービスの申し込みを受け付ける。ここでは、レンタルサービスの利用者は、現場端末2を利用することによって、建設機械CMとオペレータとの組み合わせを選択することもできる。
【0018】
レンタルサービス管理装置1は、通信部10、取得部11、体調レベル生成部12、判定部13、記憶部14、出力部15、レンタル管理部16、警報管理部17、制御部18を有する。レンタルサービス管理装置1は、例えば1台のコンピュータであってもよいし、クラウド上にある仮想サーバ(クラウドサーバ)であってもよい。
【0019】
通信部10は、ネットワークNWを介して、現場端末2、端末装置D、生体センサBS、警報装置AMと通信を行う。
【0020】
取得部11は、計測機器(例えば、生体センサBS1、生体センサBS2)から生体情報を通信部10を介して取得する。取得部11は、取得した生体情報を記憶部14に記憶する。
【0021】
体調レベル生成部12は、生体情報に基づいて体調の度合いを表す体調レベルを生成する。体調レベル生成部12は、生体情報に基づいて体調レベルを得ることができればよく、例えば、脈波を多次元ゆらぎ解析をすることで、ストレス、集中度、眠気疲労度、感情の変化(喜怒哀楽等)等のうち少なくともいずれか1つを含む体調データを検知し、その検知された結果から、体調レベルを求める技術を用いることができる。
このような体調データを検知する技術は、非接触型バイタル感知センサ、非接触バイタルセンシングシステム等のような既存の技術を用いることができる。体調レベル生成部12は、このようにして得られた体調データから体調レベルを生成する。
【0022】
体調レベル生成部12は、建設機械の操作期間において得られた生体情報の変動に応じて、体調の安定度を体調レベルとして生成する。建設機械の操作期間は、1日の作業における作業時間であってもよいし、作業がある複数の日であってもよい。
生体情報の変動は、体調データの変動の度合いであってもよい。この場合、体調レベル生成部12は、体調データの変動の度合いが少ないほど、体調がよいことを表すレベルがとして求める。例えば、1日の作業時間において、体調データの変動が少ないほど体調レベルが高いものとして算出し、体調データの変動が多いほど体調レベルが低いものとして算出する。
より具体的には、生体情報に含まれる脈拍の変動が小さい場合には体調レベルが高いものとして算出し、脈拍の変動が大きい場合には体調レベルが低いものとして算出する。また、生体情報基づいて得られる体調データのうち、集中度が高い状態を維持できている場合には、体調レベルが高いものとして算出し、集中度の低い状態が続く場合または集中度の変動が大きい場合には体調レベルが低いものとして算出する。
【0023】
また、例えば、1日の作業時間において、体調データが一定値を超えた回数が少ないほど、体調レベルが高いものとして算出し、体調データが一定値を超えた回数が多いほど、体調レベルが低いものとして算出するようにしてもよい。
より具体的には、生体情報に含まれる脈拍の値が予め決められた基準値を超える回数が少ない(あるいは超えない)場合には、体調レベルが高いものとして算出し、脈拍の値が基準値を超える回数が多い場合には体調レベルが低いものとして算出する。また、生体情報基づいて得られる体調データのうち、眠気疲労度が低い状態を維持しており予め決められた基準を超えない場合には、体調レベルが高いものとして算出し、眠気疲労度が基準値を超える回数が多い場合には体調レベルが低いものとして算出する。
【0024】
判定部13は、体調レベル生成部12によって生成された体調レベルが基準レベルに到達しているか否かを判定する。基準レベルは、建設機械CMを運転しても体調面において問題ないとされる体調レベルを予め基準レベルとして定められており、判定部13によって参照可能となるように記憶部14に記憶されていてもよい。
判定部13は、この判定処理を一定期間が経過する毎に行うようにしてもよいし、予め決められたタイミング(例えば、朝、夕方等)が到来する毎に行うようにしてもよい。
【0025】
記憶部14は、各種データを記憶部する。
例えば、記憶部14は、生体センサBSによって測定された生体情報を生体情報ログとして記憶する。
図2は、記憶部14に記憶される生体情報ログの一例を示す図である。
生体情報ログは、センサID、オペレータID、建設機械、センサデータを含む。
センサIDは、生体センサBSに割り当てられたセンサIDである。
オペレータIDは、オペレータを個別に割り当てられた識別情報である。
建設機械は、オペレータによって操作される建設機械の名称または種類を示す。
センサデータは、生体センサBSによって検出された、オペレータの生体情報を含む。センサデータは、取得部11によって取得された生体情報と測定時刻とが含まれるデータである。
このセンサデータは、オペレータが建設機械を操作される期間において、生体センサBSによってオペレータから測定された生体情報をログとして蓄積する。これにより、オペレータが建設機械を操作している期間において、どのような体調であったかについてログとして残すことができる。
【0026】
また、記憶部14は、生成された体調レベルと操作された建設機械の種別とをオペレータ毎に対応付けたサービスデータとして記憶する。記憶部14は、サービスデータに、判定部13による判定結果を含むようにして記憶するようにしてもよい。
【0027】
図3は、記憶部14に記憶されるサービスデータの一例を示す図である。
サービスデータは、オペレータID、建設機械、体調レベル、判定結果を含む。
体調レベルは、体調レベル生成部12によって生成された体調レベルである。
判定結果は、判定部13によって判定された結果であり、判定結果「可」または判定結果「不可」を表すデータが記憶される。
【0028】
記憶部14は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
この記憶部14は、例えば、不揮発性メモリを用いることができる。
【0029】
出力部15は、記憶部14に記憶されたサービスデータを外部に出力する。出力先としては、例えば、端末装置D、現場端末2である。出力部15は、サービスデータを出力する場合、判定部13の判定結果において、体調レベルが基準レベルに到達していることを表す判定結果が得られたオペレータと建設機械の種別とを含むサービスデータを出力する。これにより、体調レベルが基準レベルに到達していないオペレータと建設機械CMとの組み合わせについては、端末装置Dにおいて非表示とされる。これにより、体調レベルが基準レベルに到達したオペレータと建設機械CMとの組み合わせが貸し出し対象の選択肢として表示され、そのなかから、レンタルサービスの対象を選択することができる。
出力部15は、建設機械が貸し出しされた期間において、オペレータから測定された生体情報を外部に出力する。出力先としては、例えば、端末装置D、現場端末2である。
【0030】
出力部15が、サービスデータをレンタル業者の端末装置に出力するようにしてもよい。これにより、レンタル業者の管理者が端末装置を用いてサービスデータを確認することができる。これにより、管理者が、判定部13の判定結果に基づいて、体調レベルが基準レベルに到達していないオペレータに対して、体調の確認をすることができる。そのため、体調レベルが一定程度に到達していないと推定されるオペレータについては、レンタルサービスにおいて派遣されないようにしつつ、体調を整えるように各種対応をすることができる。これにより、建設機械CMの運転中に体調を崩してしまうようなことを防止することができ、安全性を高めることができる。
また、体調レベルが一定程度に到達していないオペレータについては、体調の確認を行い、状況によっては体調を回復してもらうための各種対応を早めにとることができる。これにより、オペレータの体調管理にも貢献することができる。
【0031】
レンタル管理部16は、建設機械の貸し出しに関する各種処理を行う。
【0032】
警報管理部17は、生体センサBSから得られた生体情報に基づいて、オペレータの体調に異常が生じていると推定される場合に、その生体情報が得られた生体センサBSに対応する警報装置から警報を行わせる。また、警報管理部17は、現場端末2から警報を出力させるようにしてもよい。
警報管理部17は、オペレータの体調に異常が生じているか否かの推定は、MT(マハラノビス・タグチ)法を用いることで、安全範囲から外れた生体情報があるか否かを判定することで行うようにしてもよい。MT法は、マハラノビスの距離に基づいて,正常であるか異常であるかの判定を行う分析手法である。MT法では、正常時のデータ(正常時の生体情報)で単位空間(基準となるデータ集団)を予め作成しておき、作業中のオペレータを測定した生体センサBSから得られる生体情報からマハラノビスの距離を計算する。そして、正常領域から異常領域に向かうにつれ、マハラノビスの距離は大きくなるため、閾値を予め定めておき、その閾値を超えていなければ正常と判定し、閾値を超えた場合に以上であると判定する。
このMT法を用いる場合、オペレータが建設機械をある程度の期間運転することによって、蓄積される生体情報のデータが増えるため、異常か否かの判定精度を高めることができる。
【0033】
また、警報管理部17は、MT法以外の方法を用いて異常か否かを判定するようにしてもよい。例えば、警報管理部17は、生体情報に対する基準値を予め定めておき、この基準値を超えた場合、あるいは下回った場合に異常であると判定するようにしてもよい。
【0034】
制御部18は、レンタルサービス管理装置1の各部を制御する。
【0035】
上述の通信部10、取得部11、体調レベル生成部12、判定部13、出力部15、レンタル管理部16、警報管理部17、制御部18は、例えばCPU(中央処理装置)等の処理装置若しくは専用の電子回路で構成されてよい。
【0036】
現場端末2は、建設機械CMが利用される建設現場に設置された端末装置であり、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等のうちいずれであってもよい。
現場端末2は、建設現場を管理する管理者によって利用される。現場端末2は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。
現場端末2は、レンタルサービス管理装置1の警報管理部17から警報を行う指示を受信した場合に、警報音を出力するとともに、警報内容を表す表示画面を表示装置に表示するようにしてもよい。
【0037】
図4は、レンタルサービス管理装置1におけるレンタルの受け付け処理を説明するフローチャートである。
レンタルサービス管理装置1の制御部18は、貸し出し可能な建設機械と、オペレータと生体センサの対応関係を記憶部14にサービスデータとして書き込む(ステップS101)。サービスデータは、レンタルサービス管理装置1を管理する管理者の端末装置からの指示に基づいて書き込まれる。ここでは、制御部18は、オペレータが操作可能な建設機械の名称に対して、当該オペレータのオペレータIDを対応付けて記憶する。また、制御部18は、建設機械に対して生体センサが設置されている場合には、建設機械に設置された生体センサのセンサIDが、建設機械の名称に対して対応づけて記憶する。生体センサがオペレータに装着されるタイプである場合、制御部18は、オペレータが利用する生体センサのセンサIDをオペレータIDに基づいて対応付けて記憶する。
【0038】
次に、制御部18は、管理者の端末装置からの指示に基づいて、貸し出し対象の建設機械とオペレータIDに対して、判定結果を対応付けて記憶部14に書き込む(ステップS102)。ここでは、判定部13は、判定対象のオペレータから得られた直近の体調レベルに基づいて判定を行い、制御部18は、直近の体調レベルに基づいて判定された判定結果を記憶部14に書き込む。
【0039】
次に、レンタルサービス管理装置1のレンタル管理部16は、端末装置Dからサービスデータの送信要求があったか否かを判定する(ステップS103)。
ここで、オペレータ付き建設機械を借りる場合、端末装置Dの利用者は、端末装置Dを操作することで、サービスデータの送信要求をレンタルサービス管理装置1に送信する。
レンタル管理部16は、端末装置Dからサービスデータの送信要求を受信していない場合には(ステップS103-NO)、一定のウエイト時間が経過した後、再度ステップS103の判定を行う。一方、レンタル管理部16は、端末装置Dからサービスデータの送信要求を受信すると(ステップS103-YES)、出力部15にサービスデータの出力を指示する。出力部15は、記憶部14に記憶されたサービスデータのうち、判定結果「可」であるオペレータと、建設機械の組み合わせを抽出し、抽出結果をサービスデータとして、要求元の端末装置Dへ通信部10を介して送信する(ステップS104)。
【0040】
端末装置Dは、レンタルサービス管理装置1からサービスデータを受信すると表示装置の表示画面にサービスデータを表示する。ここでは、表示装置には、サービスデータとして、判定結果が「可」であるオペレータと、建設機械の組み合わせがサービスデータとして表示される。これにより、端末装置Dの利用者は、サービスデータを閲覧し、所望の建設機械を特定し、その建設機械を操作可能なオペレータを確認し、いずれの組み合わせの貸し出しを希望するかをキーボードやマウス等の入力装置を介して入力する。
また、表示装置の表示画面には、判定結果が「可」であることを表す体調情報とともに、表示するようにしてもよい。これにより、建設機械を借りる利用者が、貸し出し可能な建設機械と、当該建設機械とともに派遣可能なオペレータと、そのオペレータの過去の運転時における体調が一定程度の基準を満たしていることを把握するようにしてもよい。
【0041】
レンタル管理部16は、端末装置Dから貸し出し要求を受信したか否かを判定し(ステップS105)、サービスデータを送信してから一定時間を経過しても貸し出し要求がない場合には(ステップS105-NO)、処理をステップS103に移行する。
一方、レンタル管理部16は、端末装置Dから貸し出し要求を受信した場合には(ステップS105-YES)、貸し出し要求に基づいて、建設機械とオペレータとの組み合わせの指定を受け付ける(ステップS106)。ここでは、レンタル管理部16は、利用期間、貸し出し場所等についても、端末装置Dから受け付ける。
そしてレンタル管理部16は、受け付けられた貸し出し要求に応じて、貸し出し内容を記憶部14に書き込むことで登録する(ステップS107)。
【0042】
これにより、利用期間において、建設機械とともにオペレータが貸出場所に派遣される。
【0043】
図5は、レンタルサービス管理装置1の体調レベルの更新をする動作を説明するフローチャートである。
貸し出し登録された内容に従い、利用期間が開始されると、建設機械CMにオペレータが搭乗し、建設機械CMを操作(運転)する。このとき、生体センサBSは、建設機械CMに搭乗しているオペレータの生体情報を測定し、測定結果である生体情報とセンサIDと測定時刻とをレンタルサービス管理装置1に送信する。
レンタルサービス管理装置1の通信部10が生体情報とセンサIDと測定時刻とを受信すると、取得部11は、受信した生体情報とセンサIDと測定時刻とを取得し(ステップS201)、センサIDに基づいて、取得した生体情報と測定時刻とをセンサデータとして記憶部14に記憶する(ステップS202)。
【0044】
次に、体調レベル生成部12は、体調レベルを更新するタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS203)。更新タイミングは、任意に決められたタイミングでもよく、例えば、一日のうち予め定められた時刻であってもよいし、利用期間が終了したタイミングであってもよい。
体調レベル生成部12は、体調レベルを更新するタイミングが到来していない場合には(ステップS203-NO)、処理をステップS201に移行する。
一方、体調レベルを更新するタイミングが到来した場合には(ステップS203-YES)、体調レベル生成部12は、生体情報に基づいて、体調データを生成する(ステップS204)。体調データを生成すると、体調レベル生成部12は、体調データを分析することで、体調データに応じた体調レベルを生成する(ステップS205)。体調レベル生成部12は、生成した体調レベルを、当該体調レベルが生成された生体情報の送信元の生体センサBSのセンサIDに基づいて、オペレータIDを特定し、記憶部14に記憶された体調レベルのうち、特定されたオペレータIDに対応づけて上書きすることで更新する(ステップS206)。
【0045】
体調レベルが更新されると、判定部13は、更新後の体調レベルが基準レベルに到達しているか否かを判定し、判定結果を制御部18に出力する。制御部18は、判定部13から得られた判定結果を、対象のオペレータIDに対応付けて、記憶部14に記憶された判定結果に上書きすることで更新する(ステップS207)。
【0046】
その後、制御部18は、処理を終了するか否かを判断し(ステップS208)、処理を終了しない場合には処理をステップS201に移行し、処理を終了すると判定した場合には、処理を終了する。
【0047】
以上説明した実施形態において、生体情報に基づいて、建設機械の運転中におけるオペレータの体調レベルを把握し、体調レベルが基準レベルに到達していると判定されたオペレータを抽出し、そのオペレータを対象としてレンタルサービスにおいて派遣可能として提供することができる。これにより、従来であれば、単に建設機械とオペレータとの組み合わせでのレンタルであったが、建設機械を実際に運転している期間に測定された生体情報を基に体調レベルを取得し、その体調レベルが基準レベルに到達しているオペレータを対象とし、レンタル対象を選定する利用者に対して提供することができる。これにより、建設機械について、体調が一定の基準を満たすと判定されたオペレータに運転してもらうことができ、建設機械とオペレータとのトータルでの安全保障や品質を提供することができる。
また、レンタルサービスを利用する利用者は、体調レベルに基づいて、どのような建設機械を、どのような体調で運転していたかを把握することができる。そのため、体調がよいオペレータである場合には、安定した作業をしてもらえることが期待でき、また、体調レベルが必ずしも良いレベルではなかったとしても、体調面に注意しておくことを事前に把握することもできる。
【0048】
また、体調データや体調レベルをレンタル業者がオペレータに伝えることで、オペレータは、建設機械を運転している間における自身の体調を客観的なデータを元に把握することができる。また、体調レベルが基準レベルに到達しているか否かをオペレータに把握してもらうことも可能であるため、オペレータは、体調をよりよい状態に保てるように意識を持つことができる。これにより、建設現場における工事に対する信頼性や安心度合いを高めることができる。
【0049】
また、以上説明した実施形態において、建設機械CMを操作しているオペレータから測定された生体情報を、記憶部14に生体情報ログとして記憶するようにしたので、仮に事故が発生したとしても、事故の原因が機械の不具合によるものであるか、あるいはオペレータの体調によるものであるかの検討をする場合に役立てることができる。例えば、建設機械に不具合が見つからず、生体情報が体調の異常(心拍数が非常に高い、眠気の度合いが高い(眠い状態)等の場合には、オペレータの体調に原因があると推定することができ、事故についての検証をすることができる。
また、生体情報ログを収集することができるため、オペレータの体調が良くない傾向が見つかった場合には、オペレータの体調の確認等をすることができ、オペレータの体調管理に活用することもできる。
【0050】
また、上述した実施形態において、生体センサBSは、非接触型であって、オペレータに対して電波を放射してその反射波を解析する電波方式を採用することで生体情報を得ることができる。この場合、生体センサとしては、オペレータを撮像し、オペレータの顔の表情や、まぶたの動きや視線の向きから、体調や眠気度合いを推定する技術もあるが、現場においてオペレータはヘルメットをかぶり、場合によってはマスクを着用しながら建設機械を運転する。そのため、画像からオペレータの体調を検出しようとしても、ヘルメットやマスクなどの着用物があり、露出している顔面積が少なくなってしまい、顔認識等の処理を正常に行うことができない場合がある。そのため、カメラ画像を用いて生体情報を測定することが難しい場合がある。そのため、電波方式を採用することで、オペレータの着用物の影響を受けにくくして生体情報を測定することができる。
【0051】
また、上述した実施形態において、
図5のステップS201、S202において運転中におけるオペレータから生体情報が得られた際、警報管理部17が、オペレータの体調に異常が生じているか否かを推定し、異常が生じていると推定される場合に、異常であると推定されたオペレータが搭乗している建設機械の警報装置に対して警報を行わせるようにしてもよい。また、警報管理部17は、現場端末2に警報を行わせるようにしてもよい。
これにより、生体情報を体調レベルの算出に用いるだけでなく、作業中のオペレータの体調の把握をするために活用することもできる。
【0052】
上述した実施形態においては、生体情報ログを用いて、オペレータの体調に異常があったと判定された場合には、警報することができるため、建設機械CMを操作しているオペレータの体調を確認したり、必要に応じて操作を停止させることができる。これにより、安全性を高めることができ、オペレータの体調管理も行うことができる。
また、体調レベルに基づいて、基準レベルに到達していないオペレータについては派遣対象から除外することができるため、生体情報に基づく過去の体調の傾向が良好であると推定されるオペレータのみを派遣することが可能となる。これにより、建設機械CMを安全に操作できるか否かを体調面から検討することができ、安全性を高めることができる。
なお、判定結果「不可」と判定されたオペレータに対しては、体調面についてチェックが行われる。そして各種対処をすることで体調が回復し、問題ないことが確認された場合には、判定結果「可」としてレンタル業者の端末装置から記憶部14に書き込むようにしてもよい。
また、体調レベルを判定することが可能な程度まで生体情報が得られていない段階では、オペレータの体調面を事前にチェックし、問題ないことが確認できた場合には判定結果「可」としてレンタル業者の端末装置から記憶部14に書き込むようにしてもよい。
【0053】
上述した実施形態におけるレンタルサービス管理装置1をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0054】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…レンタルサービス管理装置,2…現場端末,10…通信部,11…取得部,12…体調レベル生成部,13…判定部,14…記憶部,15…出力部,16…レンタル管理部,17…警報管理部,18…制御部
【要約】
【課題】建設機械だけでなくオペレータに起因する品質についても顧客に検討してもらうことができるレンタルサービス管理装置を提供する。
【解決手段】建設機械を操作するオペレータの生体情報を計測する計測機器から前記生体情報を取得する取得部と、前記生体情報に基づいて体調の度合いを表す体調レベルを生成する体調レベル生成部と、前記生成された体調レベルと前記操作された建設機械の種別とを前記オペレータ毎に対応付けたサービスデータとして記憶する記憶部と、前記記憶されたサービスデータを外部に出力する出力部と、を有する。
【選択図】
図1