(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/64 20060101AFI20230921BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20230921BHJP
H01H 13/85 20060101ALI20230921BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H01H13/64
H01H13/00 B
H01H13/85
G06F3/041 480
(21)【出願番号】P 2022505071
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2021004646
(87)【国際公開番号】W WO2021176962
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2020037136
(32)【優先日】2020-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 駿祐
(72)【発明者】
【氏名】浦山 慎也
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-230620(JP,A)
【文献】特開2014-081721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/64
H01H 13/00
H01H 13/85
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電センサを備え、タッチ操作とプッシュ操作が可能な操作パネルと、
操作者に対し操作感触を発生するプッシュスイッチと、
前記操作パネルと前記プッシュスイッチとの間に設けられた伝達部材と、
前記伝達部材を支持する第1の弾性部と、
振動を発生するアクチュエータと、
を有し、
前記タッチ操作とは、操作者の指が、前記操作パネルの表面に触れて動かす操作であり、
前記タッチ操作の際に前記静電センサにて前記指の横移動が検出されると、前記アクチュエータが振動を発生し、前記伝達部材を介し、前記操作パネルに振動が伝達されるものであり、
前記プッシュ操作は、前記操作パネルを押すことにより、前記伝達部材を介し、前記第1の弾性部と前記プッシュスイッチとが押される操作であって、
前記タッチ操作の際に前記操作パネルが押される第1のストローク領域では、前記操作パネルを押すことにより生じる第1の反力は、前記第1の弾性部により生じ、
前記プッシュ操作の際に前記第1のストローク領域に続く第2のストローク領域では、前記操作パネルを押すことにより生じる第2の反力は、前記第1の弾性部により生じる反力と前記プッシュスイッチの発生する前記操作感触とにより生じた合力であり、
前記第1のストローク領域と前記第2のストローク領域との境界部分の前後では、前記第1の反力におけるストローク長に対する変化量は、前記第2の反力におけるストローク長に対する変化量よりも小さいことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記第1の反力は、前記操作パネルのストロークの変化に対し線形に変化し、
前記第2の反力は、前記操作パネルのストロークの変化に対し増加の途中で減少に転じるように変化することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記操作パネルが押圧されていない状態では、前記伝達部材と前記プッシュスイッチとの間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記プッシュスイッチは、回路基板に設けられた接点部と、前記回路基板の上に設置されたラバーシートに設けられたラバードームと、により形成されたラバードームスイッチであり、
前記第1の弾性部は、前記ラバーシートに設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパッドのように、操作者が操作面に触れることにより、情報入力をすることのできる入力装置が普及している。このような入力装置では、入力装置であるタッチパッドの表面を操作者の指が触れた状態で動かすことにより情報入力するタッチ操作と、タッチパッドを押すことにより、タッチパッドの内部に設けられたスイッチをオンにすることにより情報入力するプッシュ操作が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-230620号公報
【文献】特開2016-95718号公報
【文献】特開2016-114980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなタッチパッドでは、タッチ操作もプッシュ操作も、タッチパッドの表面に、操作者の指が触れた状態で操作がなされるため、操作者は、タッチ操作をしているのかプッシュ操作をしているのかを認識することができず、タッチ操作をしている間に、誤ってプッシュ操作をしてしまう場合がある。
【0005】
このため、入力装置に指が触れている操作者が、タッチ操作をしている状態で、誤ってプッシュ操作をしてしまうことを防ぐことのできる入力装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一観点によれば、静電センサを備え、タッチ操作とプッシュ操作が可能な操作パネルと、操作者に対し操作感触を発生するプッシュスイッチと、前記操作パネルと前記プッシュスイッチとの間に設けられた伝達部材と、前記伝達部材を支持する第1の弾性部と、振動を発生するアクチュエータと、を有し、前記タッチ操作とは、操作者の指が、前記操作パネルの表面に触れて動かす操作であり、前記タッチ操作の際に前記静電センサにて前記指の横移動が検出されると、前記アクチュエータが振動し、前記伝達部材を介し、前記操作パネルに振動が伝達されるものであり、前記プッシュ操作は、前記操作パネルを押すことにより、前記伝達部材を介し、前記第1の弾性部と前記プッシュスイッチが押される操作であって、前記タッチ操作の際に前記操作パネルが押される第1のストローク領域では、前記操作パネルを押すことにより生じる第1の反力は、前記第1の弾性部により生じ、前記プッシュ操作の際に前記第1のストローク領域に続く第2のストローク領域では、前記操作パネルを押すことにより生じる第2の反力は、前記第1の弾性部により生じる反力と前記プッシュスイッチの発生する前記操作感触とにより生じた合力であり、前記第1のストローク領域と前記第2のストローク領域との境界部分の前後では、前記第1の反力におけるストローク長に対する変化量は、前記第2の反力におけるストローク長に対する変化量よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の入力装置によれば、入力装置に指が触れている操作者が、タッチ操作をしている状態で、誤ってプッシュ操作をしてしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】本実施の形態における入力装置のスライダの斜視図(1)
【
図5】本実施の形態における入力装置のスライダの斜視図(2)
【
図6】本実施の形態における入力装置の筐体及びアクチュエータの斜視図
【
図7】本実施の形態における入力装置の防水用ラバーシートの斜視図
【
図8】本実施の形態における入力装置の回路基板の斜視図
【
図9】本実施の形態における入力装置の筐体を取り除いた状態の側面図
【
図10】本実施の形態における入力装置の筐体を取り除いた状態の断面図
【
図15】本実施の形態における入力装置のF-Sカーブの説明図(1)
【
図16】本実施の形態における入力装置のF-Sカーブの説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。尚、本願においては、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面と記載する。
【0010】
本実施の形態における入力装置について、
図1から
図3に基づき説明する。
図1は、本実施の形態における入力装置の斜視図であり、
図2は、分解斜視図であり、
図3は、側面図である。
【0011】
本実施の形態における入力装置は、操作パネル10、静電センサ20、スライダ30、筐体40、防水用ラバーシート50、回路基板60、下部ケース70、第2のダンパ80、アクチュエータ90等を有している。アクチュエータ90は、例えば、ソレノイドアクチュエータであり、筐体40の内部に取り付けられている。
【0012】
操作パネル10は、操作者の指が直接触れるパネルであり、操作者の指により、操作パネル10に触れた状態で、操作パネル10の表面に平行なXY面に沿って動かすタッチ操作と、操作パネル10の面に対し垂直方向、即ち、Z2方向に押すプッシュ操作とを行うことができる。
【0013】
静電センサ20は、静電容量センサ等であり、例えばタッチ操作のように操作者の指が操作パネル10に触れる操作を行っている場合において、操作パネル10に触れている操作者の指の位置や表面に触れた状態で指を動かす横移動を検出することができる。
【0014】
伝達部材であるスライダ30は、Z1-Z2方向に移動可能であり、例えばプッシュ操作のように操作者の指が操作パネル10をZ2方向に押す方向の操作を行った場合に、操作パネル10の動きに伴い、Z2方向にスライドして移動する。
【0015】
防水用ラバーシート50は、シリコンゴム等の弾性材料により形成されており、回路基板60の上に取り付けられている。
【0016】
静電センサ20、スライダ30、防水用ラバーシート50、回路基板60、第2のダンパ80等は、筐体40の内部に入れられている。
【0017】
図4及び
図5に示されるように、スライダ30のZ1側の面31は、静電センサ20と対向する面であり、Z2側には、第1の突起部32と第2の突起部33とが設けられている。
図4は、Z1側から見た斜視図であり、
図5は、Z2側から見た斜視図である。
【0018】
第1の突起部32は、Z1-Z2方向に長く形成されており、スライダ30のZ2側の四隅に各々設けられており、よって、第1の突起部32は、4つ設けられている。第2の突起部は、Z1-Z2方向に長く形成されており、スライダ30の4つの第1の突起部32に囲まれた空間内に設けられている。また、スライダ30のX1側、X2側、Y1側、Y2側の各々には、Z1-Z2方向に長く形成された外側に凸となるスライド部34が設けられている。
【0019】
図6に示されるように、筐体40は、内部に、スライダ30のスライド部34が入れられる溝部41が、各々のスライド部34に対応して設けられており、よって、溝部41も4つ設けられている。溝部41には、Z1-Z2方向に延びる溝が形成されており、筐体40の溝部41の溝には、スライダ30のスライド部34が入れられ、この状態で、スライダ30は、筐体40に対し、Z1-Z2方向にスライドして移動することができる。筐体40の内部には、第2のダンパ80を支持するためのダンパ支持部42が4つ設けられており、更には、振動を発生させるアクチュエータ90が設けられている。
【0020】
操作パネル10の表面に触れた状態で指を動かす横移動の際には、アクチュエータ90がZ1-Z2方向に振動し、このZ1-Z2方向の振動が、スライダ30を介し、操作パネル10に伝達され、操作パネル10がZ1-Z2方向に振動する。この操作パネル10のZ1-Z2方向の振動が、操作パネル10に触れている操作者の指に伝達されて、触感として感知されることにより、操作者は、指による横移動操作が確実に行なわれたことを認識することができる。
【0021】
図7に示されるように、防水用ラバーシート50は、Z1側の面に、ラバードーム51が設けられており、Z1側の面の四隅の近傍には、第1のダンパ52が各々設けられている。従って、1枚の防水用ラバーシート50のZ1側の面に、ラバードーム51と、4つの第1のダンパ52が一体に設けられている。第1のダンパ52は、スライダ30の第1の突起部32に対応した位置に設けられている。本願においては、第1のダンパ52を第1の弾性部と記載し、第2のダンパ80を第2の弾性部と記載する場合がある。
【0022】
図8に示されるように、回路基板60には、Z1側の面において、防水用ラバーシート50のラバードーム51に対応する位置に、接点部61が設けられている。防水用ラバーシート50は、回路基板60の上に設置される。防水用ラバーシート50のラバードーム51と、回路基板60の接点部61とによりラバードームスイッチが形成される。このラバードームスイッチは、防水用ラバーシート50のラバードーム51が回路基板60側、即ち、Z2側に押されると、ラバードーム51の内側に設けられた導体部が、回路基板60の接点部61と接触してオンとなる。
【0023】
ラバードームスイッチが押されてオンになる際には、操作パネル10のZ1-Z2方向のストロークの変化に対し反力が増加の途中で減少に転じるように変化する操作感触を発生する。このZ1-Z2方向の反力の大きな変化を伴う操作感触が、スライダ30を介し、操作パネル10に伝達され、操作パネル10に触れている操作者の指に伝達されて、触感として感知されることにより、操作者は、ラバードームスイッチを確実に押せたことを認識することができる。本実施形態では、ラバードームスイッチはプッシュスイッチの一例であるが、その他にも操作感触を発生することができるプッシュスイッチ、例えばメタルドームスイッチ等のプッシュスイッチも使用することができる。
【0024】
尚、ラバードーム51が押されていない状態では、ラバードーム51の内側に設けられた導体部は、回路基板60の接点部61と接触してはいないため、オフである。また、回路基板60には、静電センサ20等と接続するためのハーネス62が接続されている。
【0025】
図9及び
図10に示されるように、本実施の形態における入力装置では、スライダ30の4つの第1の突起部32は、防水用ラバーシート50の第1のダンパ52の上に、各々載せられた状態で取り付けられている。
図9は、筐体40を取り除いた状態の側面図であり、
図10は、ZX面に平行な面で切断した断面図である。
【0026】
また、
図11に示されるように、スライダ30の支持部35は、筐体40のダンパ支持部42に取り付けられた第2のダンパ80によりZ1側が支持されている。具体的には、筐体40のダンパ支持部42には、支持金具43がねじ44により取り付けられており、第2のダンパ80が、Z1側が支持金具43により、Z2側がスライダ30に設けられた支持部35により挟まれた状態となっている。具体的には、支持部35に設けられたピン36を第2のダンパ80の中心に挿入して、第2のダンパ80の位置がずれないようにしている。
【0027】
このように、スライダ30は、Z2側では防水用ラバーシート50の第1のダンパ52により支持されており、Z1側では第2のダンパ80により支持されている。即ち、第2のダンパ80は、第1のダンパ52とは反対側で、スライダ30を支持している。従って、第1のダンパ52及び第2のダンパ80は、ゴム等の弾性体により形成されているため、スライダ30がZ1-Z2方向に動く際に動きやすくなっている。
【0028】
(タッチ操作、プッシュ操作)
次に、本実施の形態における入力装置におけるタッチ操作とプッシュ操作について説明する。
【0029】
最初に、本実施の形態における入力装置との比較対象として、操作者の指が操作パネル10に接触していない状態で、防水用ラバーシート50のラバードーム51とスライダ30の第2の突起部33とが接触している場合について説明する。
図12は、操作パネル10をZ2方向に押した場合におけるストロークと、操作者の指が受ける力との関係を示す。
図12における12Aは、防水用ラバーシート50のラバードーム51とスライダ30の第2の突起部33との間で生じる力を示し、12Bは、第1のダンパ52及び第2のダンパ80とスライダ30との間で生じる力を示す。
【0030】
ラバードーム51とスライダ30の第2の突起部33との間では、操作者の指が操作パネル10をZ2方向に押すと、操作者の指が操作パネル10より受ける反力が、押したストロークに対応して徐々に大きくなり、途中で減少に転じる領域がある。このような反力が弱くなった領域の後、更に押すと、再び、操作者の指が操作パネル10より受ける反力は、押したストロークに対応して徐々に大きくなる。そして、最も反力が大きくなったストロークの位置で、ラバードームスイッチがオンになる。尚、第1のダンパ52及び第2のダンパ80とスライダ30との間で生じる力は、操作パネル10のストロークの変化に対し線形の変化である。
【0031】
実際に、操作者の指により、操作パネル10をZ2方向に押した場合には、
図13の13Aに示されるように、12Aと12Bとの合成した反力を受ける。しかしながら、
図13の13Aに示されるF-Sカーブでは、押したストロークに伴い反力の力が徐々に増加しているため、操作者の指は、ラバードームスイッチが押されオンになる直前まで、そのような状態にあることに気が付かない。このため、タッチ操作を行っている際に、誤ってプッシュ操作を行い、ラバードームスイッチをオンにしてしまう場合がある。
【0032】
本実施の形態における入力装置は、操作者の指が操作パネル10に触れていない状態では、
図14に示されるように、スライダ30の第2の突起部33と、防水用ラバーシート50のラバードーム51との間には、隙間58が設けられている。
【0033】
これにより、操作者がタッチ操作をしているか、プッシュ操作の直前の状態にあるかの判断が可能となる。
図15は、操作パネル10をZ2方向に押した場合におけるストロークと、操作者の指が受ける反力との関係を示す。
図15における15Aは、防水用ラバーシート50のラバードーム51により生じる反力を示し、15Bは、第1のダンパ52及び第2のダンパ80により生じる反力を示す。尚、第1のダンパ52及び第2のダンパ80により生じる反力は、操作パネル10のストロークの変化に対し線形の変化である。ラバードーム51により生じる反力は、ストロークに対し、途中で反力が低くなる。
図16の16Aは、実際に、操作者の指が操作パネル10をZ2方向に押した場合に、操作者の指が受ける反力を示し、15Aに示す反力と15Bに示す反力とが合成されたものである。
【0034】
操作者の指がタッチ操作を行う際には、操作者の指により操作パネル10がZ2方向に僅かに押されるが、この際、タッチ操作により、操作パネル10が押されるストロークの領域を第1のストローク領域S1とし、第1のストローク領域S1における反力を第1の反力とする。
【0035】
プッシュ操作では、操作者の指により操作パネル10がZ2方向に大きく押されて、第2の突起部33とラバードーム51との間に設けられた隙間58が埋まりラバードーム51が押されて、ラバードームスイッチがオンになる。この際、ラバードームスイッチがオンになる前の状態では、ラバードーム51の変形が生じるため、操作者の指が受ける反力が、操作者の指が操作パネル10を押したストロークに対応して徐々に大きくなる。更に、操作者の指により操作パネル10を押すと、途中で減少に転じて反力が弱くなり、この後、更に押すと、再び、操作者の指が操作パネル10より受ける反力は、押したストロークに対応して徐々に大きくなる。そして、最も反力が大きいストロークの位置で、ラバードームスイッチがオンになる。このようにプッシュ操作が行われる前後の状態におけるストロークの領域を第2のストローク領域S2とし、第2のストローク領域S2における反力を第2の反力とする。
【0036】
本実施の形態においては、第1のストローク領域S1では、操作者の指が操作パネル10を押すことにより、スライダ30がZ2方向にスライドして動くが、スライダ30の第2の突起部33と防水用ラバーシート50のラバードーム51とは接触してはいないため、防水用ラバーシート50のラバードーム51による反力は生じていない。このため、タッチ操作で、操作者の指が受ける力は、第1のダンパ52及び第2のダンパ80の変形により生じる反力だけである。
【0037】
第2のストローク領域S2では、スライダ30の第2の突起部33と防水用ラバーシート50のラバードーム51とが接触し、操作者の指は、15Aと15Bとが合成された16Aに示されるF-Sカーブによる反力を受ける。第2のストローク領域S2において、操作者の指が受ける反力は、第1のダンパ52及び第2のダンパ80の変形により生じる反力と、ラバードーム51の変形による反力の合力である。
【0038】
よって、第1のストローク領域S1と第2のストローク領域S2の境界部分の前後では、第1のストローク領域S1におけるストローク長に対する第1の反力の変化量は、第2のストローク領域S2におけるストローク長に対する第2の反力の変化量よりも小さく、その差が大きい。
【0039】
このため、操作者は、第1のストローク領域S1と第2のストローク領域S2との境界を認識することができ、操作者の指がタッチ操作をしているのかプッシュ操作をしているのか判断をすることができる。これにより、操作者の指がタッチ操作をしている場合に、誤って、ラバードームスイッチをオンにすることを防ぐことができる。尚、本実施の形態においては、トータルのストローク量が長くならないようにするため、ラバードームスイッチはオンにする操作をする際のストロークが短いものが好ましい。
【0040】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0041】
例えば、上記した実施の形態では、第2の突起部33とラバードーム51との間に隙間58を設けたが、隙間を設けずに、第2の突起部33とラバードーム51の当接部を極めて弾性変形し易い形状や材質とすることで、ラバードームスイッチの発生する反力が隙間58を設けた場合と実質同様の作用効果を示すようにしたものも、本発明の技術範囲に含まれるものである。
【0042】
本国際出願は、2020年3月4日に出願した日本国特許出願第2020-037136号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0043】
10 操作パネル
20 静電センサ
30 スライダ
31 Z1側の面
32 第1の突起部
33 第2の突起部
34 スライド部
40 筐体
41 溝部
42 ダンパ支持部
43 支持金具
44 ねじ
50 防水用ラバーシート
51 ラバードーム
52 第1のダンパ
60 回路基板
61 接点部
62 ハーネス
70 下部ケース
80 第2のダンパ
90 アクチュエータ