(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/165 20230101AFI20230921BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20230921BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20230921BHJP
H10K 50/115 20230101ALI20230921BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230921BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20230921BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20230921BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20230921BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H10K50/165
H10K50/10
H10K50/15
H10K50/115
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/302 Z
G09F9/30 349Z
H10K59/35
H10K59/10
H05B33/14 Z
(21)【出願番号】P 2022507091
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2020010612
(87)【国際公開番号】W WO2021181575
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 康
(72)【発明者】
【氏名】青森 繁
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-257665(JP,A)
【文献】特開2007-115622(JP,A)
【文献】特開2006-140085(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0236308(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00-99/00
G09F 9/30
G09F 9/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブ画素ごとに形成される画素電極と、
共通電極と、
前記画素電極と前記共通電極との間に形成される発光層と、
前記発光層と前記画素電極との間、又は前記発光層と前記共通電極との間に形成され、複数の前記サブ画素に渡って連続して形成される第1機能層及び第2機能層と、を備え、
前記サブ画素は、第1色の光を発する第1サブ画素と、前記第1色より波長の長い第2色の光を発する第2サブ画素と、を有し、
前記第2機能層は前記第2サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なり、
前記第1機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なり、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する表示装置。
【請求項2】
前記サブ画素は、前記第2色より波長が長い第3色の光を発する第3サブ画素を有し、
前記第1機能層は、前記第3サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記サブ画素は、前記第2色より波長が長い第3色の光を発する第3サブ画素を有し、
前記第2機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極全体及び前記第3サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なる請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記サブ画素は、前記第2色より波長が長い第3色の光を発する第3サブ画素を有し、
前記第2機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の内側及び前記第3サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記サブ画素は、前記第2色より波長が長い第3色の光を発する第3サブ画素を有し、
前記第2機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なり、前記第3サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記サブ画素は、前記第2色より波長が長い第3色の光を発する第3サブ画素を有し、
前記第2機能層は、前記第3サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なり、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1機能層及び前記第2機能層は、それぞれ連続して一体的に形成されている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光層と前記画素電極との間、又は前記発光層と前記共通電極との間に形成され、複数の前記サブ画素に渡って連続して形成される第3機能層を備え、
前記第3機能層は前記第3サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なる請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1機能層は、前記第2機能層又は前記第3機能層の少なくとも一方に隣接する請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第3機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極全体及び前記第2サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なる請求項8又は請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第3機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有し、前記第2サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なる請求項8又は請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第3機能層は、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有し、前記第1サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なる請求項8又は請求項9に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第3機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の内側及び前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する請求項8又は請求項9に記載の表示装置。
【請求項14】
前記発光層と前記画素電極との間又は前記発光層と前記共通電極との間であり、前記発光層に対して前記第1機能層とは反対側に形成される第4機能層を備え、
前記第4機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なり、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する請求項1から請求項
13のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1機能層および前記第2機能層は電子輸送層であり、
前記第4機能層は正孔輸送層である請求項
14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第1機能層は、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の全周と平面視で重なり、
前記第2機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の全周と平面視で重なる請求項1に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1機能層は、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の全周及び前記第3サブ画素の前記画素電極の周端部の全周と平面視で重なり、
前記第2機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の全周及び前記第3サブ画素の前記画素電極の周端部の全周と平面視で重なり、
前記第3機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の全周及び前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の全周と平面視で重なる請求項8又は請求項9に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1機能層は、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口と、前記第3サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口との形状が異なる請求項2に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第3機能層は、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口と、前記第1サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口との形状が異なる請求項13に記載の表示装置。
【請求項20】
前記第1機能層、前記第2機能層、前記第3機能層のそれぞれが、酸化亜鉛化合物ナノ粒子を含む電子輸送層であり、
前記第1機能層に含まれる前記酸化亜鉛化合物ナノ粒子、前記第2機能層に含まれる前記酸化亜鉛化合物ナノ粒子、前記第3機能層に含まれる前記酸化亜鉛化合物ナノ粒子の順で粒径が大きくなり、電子親和力が大きくなる請求項8又は請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
正孔輸送層や電子輸送層等の機能層が、全てのサブ画素に共通して形成される表示装置が知られている(特許文献1)。一方、サブ画素の種類によっては、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子との発光層における再結合の効率を上げるためサブ画素毎に異なる機能層を形成したい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2011/148791号パンフレット(2011年12月1日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サブ画素毎に異なる機能層を形成する場合、機能層のエッジ部で欠けや剥がれが発生するおそれがあり、問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る表示装置は、サブ画素ごとに形成される画素電極と、共通電極と、前記画素電極と前記共通電極との間に形成される発光層と、前記発光層と前記画素電極との間、又は前記発光層と前記共通電極との間に形成され、複数の前記サブ画素に渡って連続して形成される第1機能層及び第2機能層と、を備え、前記サブ画素は、第1色の光を発する第1サブ画素と、前記第1色より波長の長い第2色の光を発する第2サブ画素と、を有し、前記第2機能層は前記第2サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なり、前記第1機能層は、前記第1サブ画素の前記画素電極全体と平面視で重なり、前記第2サブ画素の前記画素電極の周端部の内側と平面視で重なる開口を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、機能層の画素エッジ部での欠けや剥がれの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】上記表示装置の断面構成を示す模式図である。
【
図3】実施形態1の表示装置に設けられたサブ画素を示す平面図である。
【
図4】
図3に示される面ABに沿った断面図である。
【
図6】上記表示装置に設けられた赤色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図7】上記表示装置に設けられた緑色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図8】上記表示装置に設けられた青色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図9】上記電子輸送層のパターニング方法を説明するための断面図である。
【
図10】上記電子輸送層のパターニング方法を説明するための断面図である。
【
図11】上記発光層のCd系量子ドットのエネルギー準位の例を示す図である。
【
図12】上記発光層の非Cd系量子ドットのエネルギー準位の例を示す図である。
【
図13】上記表示装置に設けられたQLED素子のエネルギー準位の例を示す図である。
【
図14】上記表示装置に設けられたZnOナノ粒子のバンドギャップを示すグラフである。
【
図15】実施形態2の表示装置に設けられた
サブ画素の配列を示す平面図である。
【
図17】上記表示装置に設けられた赤色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図18】上記表示装置に設けられた緑色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図19】上記表示装置に設けられた青色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図20】上記発光層のエネルギー準位の例を示す図である。
【
図21】上記発光層の変形例のエネルギー準位の例を示す図である。
【
図22】実施形態3の表示装置に設けられた
サブ画素の配列を示す平面図である。
【
図24】上記表示装置に設けられた赤色発光層及び緑色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図25】上記表示装置に設けられた青色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図26】上記発光層のエネルギー準位の例を示す図である。
【
図27】上記表示装置に設けられた
サブ画素の他の配列を示す平面図である。
【
図28】上記表示装置に設けられた青色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図29】上記表示装置に設けられた緑色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図30】上記表示装置に設けられた赤色発光層のための電子輸送層のパターンを示す平面図である。
【
図31】上記表示装置に設けられた
サブ画素のさらに他の配列を示す平面図である。
【
図32】上記
サブ画素のさらに他の配列を示す平面図である。
【
図33】上記
サブ画素のさらに他の配列を示す平面図である。
【
図34】上記
サブ画素のさらに他の配列を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下においては、「同層」とは同一のプロセス(成膜工程)にて形成されていることを意味し、「下層」とは、比較対象の層よりも先のプロセスで形成されていることを意味し、「上層」とは比較対象の層よりも後のプロセスで形成されていることを意味する。
【0009】
図1は、表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートであり、
図2は、表示装置の断面構成を示す模式図である。
図1及び
図2に示すように、表示装置の製造においては、まず、基材3にTFT(Thin Film Transistor,薄膜トランジスタ)層4を形成する(ステップS1)。次いで、画素電極層5を形成する(ステップS2)。次いで、EL(Electro-Luminescence,エレクトロルミネッセンス)層8を形成する(ステップS3)。EL層8は、例えばフォトリソグラフィ法を用いて形成することもできるし、FMM(ファインメタルマスク)を用いた蒸着法で形成することもできる。次いで、共通電極層9を形成する(ステップS4)。次いで、封止層10を形成する(ステップS5)。ステップS1~S4は、表示装置製造装置(ステップS3を行う成膜装置を含む)が行う。
【0010】
画素電極層5もしくは共通電極層9のどちらかが電子を注入するカソード電極として作用し、カソード電極とEL層8の間に電子輸送層を形成する。すなわち、画素電極層5がカソード電極の場合、ステップS2の後に電子輸送層を形成し、その後ステップS3が実行される。共通電極層9がカソード電極の場合、ステップS3の後に電子輸送層を形成し、その後ステップS4が実行される。
【0011】
基材3には、ガラス、ポリイミド等の樹脂を用いることができる。ガラスあるいは樹脂に窒化シリコン等のバリア膜を成膜して基材3とすることもできる。
【0012】
TFT層4には、半導体層、複数の金属層、および複数の絶縁層が設けられ、複数のTFT(薄膜トランジスタ)が形成される。TFT層4には、画素電極層5、EL層8、および共通電極層9で構成される発光素子(例えば、発光ダイオード)の制御回路が形成される。
【0013】
画素電極層5は、光反射性を有する複数の画素電極を含み、EL層8は、複数の発光層(例えば、量子ドット層、有機発光層)を含み、共通電極層9は、光透過性を有する共通電極を含む。
【0014】
画素電極層5は、例えば、ITO(酸化インジウムスズ、Indium Tin Oxide)とAl(アルミニウム)あるいはAg(銀)またはAgを含む合金との積層によって構成される。共通電極層9は、例えば、MgAg合金(極薄膜)、ITO、IZO(Indium zinc Oxide)、銀ナノワイヤーによって構成される。画素電極層5と共通電極層9とでは仕事関数が異なる。画素電極層5をアノード側(高電圧側)、共通電極層9をカソード側(低電圧側)としてもよいし、画素電極層5をカソード側(低電圧側)、共通電極層9をアノード側(高電圧側)としてもよい。
【0015】
表示装置の表示領域には、画素電極層5、EL層8、および共通電極層9で構成される発光素子が多数設けられ、表示領域の外側(額縁領域)にTFT層4等を駆動するドライバが設けられる。
【0016】
発光素子がQLED(量子ドット発光ダイオード、Quantum dot Light Emitting Diode)である場合、画素電極および共通電極間の駆動電流によって正孔と電子が発光層内で再結合し、これによって生じたエキシトンが、量子ドットの伝導帯準位(conduction band)から価電子帯準位(valence band)に遷移する過程で光(蛍光)が放出される。共通電極が透光性であり、画素電極が光反射性であるため、EL層8から放出された光は上方に向かい、トップエミッションとなる。
【0017】
発光素子がOLED(有機発光ダイオード、Organic Light Emitting Diode)である場合、画素電極および共通電極間の駆動電流によって正孔と電子が発光層内で再結合し、これによって生じたエキシトンが基底状態に遷移する過程で光が放出される。発光素子は、QLED、OLEDに限られず、無機発光ダイオード等でもよい。
【0018】
透光性の封止層10は、窒化シリコン等の無機絶縁膜を含み、水、酸素等の異物の発光素子への浸透を防いでいる。
【0019】
(実施形態1)
図3は実施形態1の表示装置2に設けられたサブ画素SPr・SPg・SPbを示す平面図である。
図4は
図3に示される面ABに沿った断面図である。
図5はサブ画素SPr・SPg・SPbの配列を示す平面図である。
図6は表示装置2に設けられた赤色発光層EMrのための電子輸送層ETrのパターンを示す平面図である。
図7は表示装置2に設けられた緑色発光層EMgのための電子輸送層ETgのパターンを示す平面図である。
図8は表示装置2に設けられた青色発光層EMbのための電子輸送層ETbのパターンを示す平面図である。
【0020】
表示装置2は、赤色(第1色)の光を発するためのサブ画素SPr(第1サブ画素)と、緑色(第2色)の光を発するためのサブ画素SPg(第2サブ画素)と、青色(第3色)の光を発するためのサブ画素SPb(第3サブ画素)とを備える。
【0021】
サブ画素SPrは発光領域Lrを有し、サブ画素SPgは発光領域Lgを有し、サブ画素SPbは発光領域Lbを有する。そして、発光領域Lr・Lg・Lbのそれぞれを囲むように非発光領域NLが配置される。
【0022】
サブ画素SPr・SPg・SPbごとに画素電極PEr・PEg・PEbがそれぞれ形成される。そして、サブ画素SPr・SPg・SPbに対して共通に共通電極KEが形成される。共通電極KEはカソードであり得る。画素電極PEr・PEg・PEbはアノードであり得る。
【0023】
画素電極PErと共通電極KEとの間に赤色発光層EMrが形成される。画素電極PEgと共通電極KEとの間に緑色発光層EMgが形成される。画素電極PEbと共通電極KEとの間に青色発光層EMbが形成される。
【0024】
赤色発光層EMrと共通電極KEとの間、緑色発光層EMgと共通電極KEとの間、及び、青色発光層EMbと共通電極KEとの間に、電子輸送層ETr・ETg・ETb(第3機能層、第2機能層、第1機能層)がサブ画素SPr、サブ画素SPg、及びサブ画素SPbに渡って連続して一体的に形成される。
【0025】
電子輸送層ETg(第2機能層)は、平面視でサブ画素SPg(第2サブ画素)の画素電極PEgの画素電極全体と重なる。電子輸送層ETr(第3機能層)は、平面視でサブ画素SPr(第3サブ画素)の画素電極PErの全体と重なり、サブ画素SPg(第2サブ画素)の画素電極PEgの周端部EDgの内側と平面視で重なる開口Orgを有する。すなわち、開口Orgの中央部と画素電極PEgの中央部は平面視で重なる。また、電子輸送層ETr(第3機能層)は、サブ画素SPg(第2サブ画素)の画素電極PEgの周端部EDgの全周と平面視で重なる。
【0026】
電子輸送層ETr(第3機能層)は、サブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの周端部EDbの内側と平面視で重なる開口Orbを有する。すなわち、開口Orbの中央部と画素電極PEbの中央部は平面視で重なる。また、電子輸送層ETr(第3機能層)は、サブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの周端部EDbの全周と平面視で重なる。
【0027】
電子輸送層ETg(第2機能層)は、サブ画素SPr(第3サブ画素)の画素電極PErの周端部EDrの内側と平面視で重なる開口Ogrを有し、サブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの周端部EDbの内側に開口Ogbを有する。すなわち、開口Ogrの中央部と画素電極PErの中央部は重なり、開口Ogbの中央部と画素電極PEbの中央部は重なる。また、電子輸送層ETg(第2機能層)は、サブ画素SPr(第3サブ画素)の画素電極PErの周端部EDr及びサブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの周端部EDbの全周と重なる。
【0028】
電子輸送層ETb(第1機能層)は、電子輸送層ETg(第2機能層)に隣接し、サブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの全体と平面視で重なる。
【0029】
電子輸送層ETb(第1機能層)は、サブ画素SPr(第3サブ画素)の画素電極PErの周端部EDrの内側と平面視で重なる開口Obrを有し、及び、サブ画素SPg(第2サブ画素)の画素電極PEgの周端部EDgの内側と平面視で重なる開口Obgを有する。すなわち、開口Obrの中央部と画素電極PErの中央部は平面視で重なり、開口Obgの中央部と画素電極PEgの中央部は平面視で重なる。また、電子輸送層ETb(第1機能層)は、サブ画素SPr(第3サブ画素)の画素電極PErの周端部EDr及びサブ画素SPg(第2サブ画素)の画素電極PEgの周端部EDgの全周と平面視で重なる。
【0030】
画素電極と共通電極とが画素電極の周端部で近づく場合、画素電極の周端部に電界が集中して過剰電流が流れ、画素電極の周端部が劣化し、サブ画素の発光領域が狭まる可能性が有る。
【0031】
一方、機能層が画素電極の中央部に開口が形成されたとしても、上記のように画素電極の全周で複数の機能層が平面視で重なるように形成されることにより画素電極の周端部に共通電極が近づくことが防止される。このため、画素電極の周端部に電界が集中して電流が過剰に流れることを妨ぐことができ、画素電極の周端部が劣化することによるサブ画素の発光領域の狭まりを防ぐことができる。
【0032】
赤色発光層EMrと画素電極PErとの間と、緑色発光層EMgと画素電極PEgとの間と、青色発光層EMbと画素電極PEbとの間とを通って正孔輸送層HTが形成される。
【0033】
画素電極PEr・PEg・PEbのそれぞれは、TFT層4の最上層である有機絶縁膜PF(ポリイミド等の平坦化膜)上に形成され、サブ画素SPr・SPg・SPbにそれぞれ対応してTFT層4に形成されたコンタクトホールCHの中でトランジスタ11に接続される。
【0034】
画素電極PEr・PEg・PEbのエッジを覆うエッジカバーECが設けられる。
【0035】
このように、共通電極KEは、複数のサブ画素SPr・SPg・SPbに跨るように形成される。そして、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbは、画素電極PEr・PEg・PEbごとに塗り分けられており、エッジカバーECの一部にも乗り上げるように形成されている。赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbは、量子ドットを含有していてもよい。
【0036】
赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbのそれぞれに適した3種類の電子輸送層ETr・ETg・ETbが、共通電極KEと、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbとの間に形成されている。
【0037】
サブ画素SPr・SPg・SPbごとに画素電極PEr・PEg・PEbが設けられており、各画素電極PEr・PEg・PEbに隣接する画素電極PEr・PEg・PEbに印加される電圧と異なる電圧を印加することができる。
【0038】
エッジカバーECは、絶縁性材料から構成され、コンタクトホールCHと、画素電極PErの周端部EDr、画素電極PEgの周端部EDg、及び画素電極PEbの周端部EDbとを覆うように形成される。
【0039】
画素電極PEr・PEg・PEbと共通電極KEとの何れか一方は、可視光透過性を有する。画素電極PEr・PEg・PEbの仕事関数と共通電極KEの仕事関数とは異なる。画素電極PEr・PEg・PEbにはトランジスタ11が接続される。
【0040】
赤色発光層EMrと画素電極PErとの間、緑色発光層EMgと画素電極PEgとの間、及び青色発光層EMbと画素電極PEbとの間に正孔注入層(Hole Injection Layer,HIL)が設けられてもよい。複数種類の発光色のサブ画素SPr・SPg・SPbは隣接して配置されている。
【0041】
赤色発光層EMrに適した電子輸送層ETrは、
図6に示すように、緑色発光層EMgに対応する画素電極PEgを覆わないための開口Orgと、青色発光層EMbに対応する画素電極PEbを覆わないための開口Orbとを有するようにパターニングされている。
【0042】
緑色発光層EMgに適した電子輸送層ETgは、
図7に示すように、赤色発光層EMrに対応する画素電極PErを覆わないための開口Ogrと、青色発光層EMbに対応する画素電極PEbを覆わないための開口Ogbとを有するようにパターニングされている。
【0043】
青色発光層EMbに適した電子輸送層ETbは、
図8に示すように、緑色発光層EMgに対応する画素電極PEgを覆わないための開口Obgと、赤色発光層EMrに対応する画素電極PErを覆わないための開口Obrとを有するようにパターニングされている。この電子輸送層ETbは、サブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの全体と重なる。
【0044】
このように構成された電子輸送層ETr・ETg・ETbは、微細なパターン形成が必要な表示エリアのパターンの内側に180°よりも小さな角度となる凸部が存在しないため、欠けや剥がれが生じにくい。
【0045】
このように、電子輸送層ETr・ETg・ETbは、サブ画素SPr・SPg・SPbの全体に渡ってパターニングされているので、サブ画素ごとに島状に孤立してパターニングされた電子輸送層よりも下地との接触面積が広い。このため、電子輸送層ETr・ETg・ETbは下地から剥がれ難い。
【0046】
また、四角形の島状に孤立してパターニングされた電子輸送層は、そのコーナの外回り270°の部分が加工プロセスに晒されるが、サブ画素SPr・SPg・SPbの全体に渡って四角形の開口Org・Orb・Ogr・Ogb・Obr・Obgを有してベタ状にパターニングされた電子輸送層ETr・ETg・ETbは、開口Org・Orb・Ogr・Ogb・Obr・Obgのコーナの内回り90°の部分が加工プロセスに晒されるので、コーナでの剥がれを抑制することができる。
【0047】
図9及び
図10は電子輸送層ETr・ETg・ETbのパターニング方法を説明するための断面図である。
【0048】
まず、ZnO(酸化亜鉛)を含有するレジストを20~100nm厚で塗布する。このレジストは、感光性樹脂13とZnO(酸化亜鉛)からなるナノ粒子12とを含む。そして、溶媒を蒸発し、塗布されたレジストを乾燥させるために80~120℃でプリベークする。次に、10~1000mJ/cm2の条件で、マスク14を介してレジストをUV(紫外線、UltraViolet)で露光する。その後、アルカリ溶液、有機溶媒、又は水で現像する。ポジ型レジストの場合は、UVが照射されたレジストの部分が溶解する。ネガ型レジストの場合は、UVが照射されなかったレジストの部分が溶解する。そして、溶解せずに残ったレジストを100~200℃で本焼成する。必要に応じて、本焼成により、EL層8の動作時のUVの感光性樹脂13からのガス放出を抑制する。
【0049】
このようにして形成された電子輸送層ETr・ETg・ETbは、ZnOのナノ粒子12、感光性樹脂13を含有する。EL層8の駆動電圧において、感光性樹脂13の導電率は低い。
【0050】
赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbがCdSe系ナノ粒子を含む場合、使用するZnOのナノ粒子12のサイズは、電子輸送層ETrのためのナノ粒子12のサイズが電子輸送層ETgのためのナノ粒子12のサイズよりも大きく、電子輸送層ETgのためのナノ粒子12のサイズが電子輸送層ETbのためのナノ粒子12のサイズよりも大きい。また、電子輸送層ETrのためのナノ粒子12、電子輸送層ETgのためのナノ粒子12、電子輸送層ETbのためのナノ粒子12の順で電子親和力が大きくなる。例えば、電子輸送層ETrのためのナノ粒子12のサイズは6nmよりも大きく、電子輸送層ETgのためのナノ粒子12のサイズは6nmであり、電子輸送層ETbのためのナノ粒子12のサイズは2nmである。ETL層に用いるナノ粒子としては、ZnOだけでなく、Mgが添加されたMgZnOナノ粒子を用いてもよい。Mgを添加すると、Mgの添加量でバンドギャップをZnOよりも大きくすることが可能であり、電子親和力を小さくすることが可能となる。このように、ETLに用いるナノ粒子としては、ZnOやMgZnOなどの酸化亜鉛化合物を用いることが可能である。
【0051】
正孔輸送層HTのためのホール輸送材料としては、NiOナノ粒子や光硬化性ホール輸送材料(X-F6-TAPC、QUPD、OTPD)を用いることができる。
【0052】
電子輸送層ETr・ETg・ETbを備えたコンベンショナル構造の表示装置2を製造するためには、まず、アノード画素電極が形成されたAM基板上にエッジカバーECをパターニングする。そして、正孔注入層、正孔輸送層HTをこの順番に塗布する。次に、QD-PR、インプリント等の一般的な手法により、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbをサブ画素SPr・SPg・SPbごとに塗り分ける。
【0053】
その後、ナノ粒子含有フォトレジスト、インプリント等により、電子輸送層ETrをパターン形成する。そして、ナノ粒子含有フォトレジスト、インプリント等により、電子輸送層ETgをパターン形成する。次に、ナノ粒子含有フォトレジスト、インプリント等により、電子輸送層ETbをパターン形成する。その後、共通電極KEを形成する。そして、封止層を形成する。
【0054】
電子輸送層ETr・ETg・ETbを備えたインバート構造の表示装置2を製造するためには、まず、カソード画素電極が形成されたAM基板上にエッジカバーECをパターニングする。そして、ナノ粒子含有フォトレジスト、インプリント等により、電子輸送層ETrをパターン形成する。次に、ナノ粒子含有フォトレジスト、インプリント等により、電子輸送層ETgをパターン形成する。その後、ナノ粒子含有フォトレジスト、インプリント等により、電子輸送層ETbをパターン形成する。
【0055】
そして、QD-PR、インプリント等の一般的な手法により、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbをサブ画素SPr・SPg・SPbごとに塗り分ける。次に、正孔輸送層HT、正孔注入層をこの順番に塗布する。その後、共通電極KEを形成する。そして、封止層を形成する。すなわち、コンベンショナル構造、インバート構造共に、発光層から、電子輸送層ETb、電子輸送層ETg、電子輸送層ETr、カソード電極の順に積層されている。
【0056】
図11は赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbのCd系量子ドットのエネルギー準位の例を示す図である。波長λ=640nmの赤色光を発する赤色発光層EMr、波長λ=530nmの緑色光を発する緑色発光層EMg、及び波長λ=450nmの青色光を発する青色発光層EMbの量子ドットが、Cd(Zn)Seにより構成される場合、赤色発光層EMrのLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital、最低空軌道)は-4.3eVであり、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital、最高被占軌道)は-6.2eVである。そして、緑色発光層EMgのLUMOは
-3.9eVであり、HOMOは-6.2eVである。青色発光層EMbのLUMOは-3.4eVであり、HOMOは-6.2eVである。
【0057】
図12は赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbの非Cd系量子ドットのエネルギー準位の例を示す図である。赤色発光層EMr及び緑色発光層EMgの量子ドットがInPにより構成され、青色発光層EMbの量子ドットがZnSeにより構成される場合、赤色発光層EMrのLUMOは-3.6eVであり、HOMOは
-5.5eVである。そして、緑色発光層EMgのLUMOは-3.2eVであり、HOMOは-5.5eVである。青色発光層EMbのLUMOは-2.9eVであり、HOMOは-5.7eVである。
【0058】
図13は表示装置2に設けられたQLED素子のエネルギー準位の例を示す図である。Cd系量子ドットからなる赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbのHOMOは-6.2eVであり、赤色発光層EMrのLUMOは-4.3eVであり、緑色発光層EMgのLUMOは-3.9eVであり、青色発光層EMbのLUMOは-3.4eVである。
【0059】
ZnOにより構成される電子輸送層ETr・ETg・ETbのLUMOは-3.9eVであり、HOMOは-7.2eVである。Alにより構成される共通電極KEのエネルギー準位は-4.3eVである。
【0060】
従って、電子輸送層ETr・ETg・ETbのHOMOと赤色発光層EMrのLUMOとの間の差は2.9eVであり、電子輸送層ETr・ETg・ETbのHOMOと青色発光層EMbのLUMOとの間の差は3.8eVである。
【0061】
PVK(ポリビニルカルバゾール)により構成される正孔輸送層HTのLUMOは-2.2eVであり、HOMOは58eVである。PEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸))により構成される正孔注入層のエネルギー準位は-5.4eVである。ITOにより構成される画素電極PEr・PEg・PEbのエネルギー準位は-4.8eVである。
【0062】
図14は表示装置2に設けられた電子輸送層ETr・ETg・ETbのZnOナノ粒子のバンドギャップを示すグラフである。横軸はZnOナノ粒子の粒径を示し、縦軸はZnOナノ粒子のバンドギャップを示す。ZnOナノ粒子の粒径が10nmよりも小さくなるに従って、ZnOナノ粒子のバンドギャップはバルク結晶のバンドギャップ値の3.4eVから指数関数的に増加する。
【0063】
このように、電子輸送層ETr・ETg・ETbを、孤立パターンではなく、非発光領域NLで連続したパターンとし、他の発光色のサブ画素に対応する箇所では開口Org・Orb・Ogr・Ogb・Obg・Obrを有するパターンとする。そして、電子輸送層ETr・ETg・ETbが、各サブ画素SPr・SPg・SPbに最適な材料により構成される。このように、各サブ画素SPr・SPg・SPbで最適な材料により構成された電子輸送層ETr・ETg・ETbが、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbとそれぞれ接合されている。このため、発光効率が高い発光素子を備えた表示装置を実現することができる。
【0064】
また、電子輸送層ETr・ETg・ETbが、孤立パターンではなく、サブ画素SPr・SPg・SPbの全体に渡って連続して形成されている。このため、電子輸送層ETr・ETg・ETbは、画素エッジ部での欠けや剥がれが生じ難い。また、機能層が画素エッジ部で欠けや剥がれを生じる場合には面内での不均一な発光の原因となり得るが、機能層が孤立パターンではなく、サブ画素の全体に渡って連続して形成される場合にはこのような不均一な発光を抑えることができる。
【0065】
前述した実施形態の例では、電子輸送層ETr・ETg・ETbが、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbと共通電極KEとの間に形成される例を示したが、本発明はこれに限定されない。電子輸送層ETr・ETg・ETbは、画素電極PEr・PEg・PEbと赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbとの間に形成されてもよい。
【0066】
前述した実施形態の例では、電子輸送層ETr・ETg・ETbをパターニングする例を示したが、本発明はこれに限定されない。電子輸送層ETr・ETg・ETbだけではなく、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbも同様にパターニングされていてもよい。また、正孔輸送層HT(第4機能層)を、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbに応じて塗り分け、パターニングしてもよい。この正孔輸送層HTは、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbに対して電子輸送層ETr・ETg・ETbとは反対側に形成される。正孔輸送層HTをパターニングする際は、NiOナノ粒子と感光性樹脂との混合物や光硬化性ホール輸送材料を用いたフォトリソ法やインプリント法を用いることができる。光硬化性ホール輸送材料としては、X-F6-TAPC、QUPD、OTPDなどを用いることが可能である。
【0067】
赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbをパターニングする場合、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbの何れかが発光領域Lr・Lg・Lbで重なると意図しない色が発光してしまうおそれがある。このため、パターニングされた赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbの開口は広くすることが好ましい。
【0068】
これに対して、電子輸送層ETr・ETg・ETbは、発光領域Lr・Lg・Lbで重なっても、発光する色に大きな影響は発生しない。このため、パターニングされた電子輸送層ETr・ETg・ETbの開口よりも、パターニングされた赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbの開口の方が大きいことが好ましい。
【0069】
(実施形態2)
図15は実施形態2の表示装置2Aに設けられたサブ画素SPr・SPg・SPbの配列を示す平面図である。
図16は
図15に示される面ABに沿った断面図である。
図17は表示装置2Aに設けられた赤色発光層EMrのための電子輸送層ETrAのパターンを示す平面図である。
図18は表示装置2Aに設けられた緑色発光層EMgのための電子輸送層ETgAのパターンを示す平面図である。
図19は表示装置2Aに設けられた青色発光層EMbのための電子輸送層ETbのパターンを示す平面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0070】
電子輸送層ETrAは、赤色発光層EMrに適しており、パターニングされておらず、すべての画素電極PEr・PEg・PEbの全体と重なっている。
【0071】
電子輸送層ETgAは、緑色発光層EMgに適しており、画素電極PErを覆わないための開口Ogrを有するようにパターニングされている。
【0072】
電子輸送層ETbは、青色発光層EMbに適しており、画素電極PErを覆わないための開口Obrと画素電極PEgを覆わないための開口Obgとを有するようにパターニングされている。
【0073】
そして、電子輸送層ETbと電子輸送層ETgAと電子輸送層ETrAとがこの順番に積層されている。すなわち、発光層から、電子輸送層ETb、電子輸送層ETgA、電子輸送層ETrA、カソード電極の順番に積層されている。
【0074】
図20は表示装置2Aに設けられた発光層のエネルギー準位の例を示す図である。電子輸送層ETrA、電子輸送層ETgA、及び電子輸送層ETbのHOMOは共通して等しい。電子輸送層ETrAのLUMOは-4.5eVであり、赤色発光層EMrのLUMOの-4.3eVと比べると電子輸送層ETrAのLUMOの方が低い。電子輸送層ETgAのLUMOは-4.1eVであり、緑色発光層EMgのLUMOの-3.9eVと比べると電子輸送層ETgAのLUMOの方が低い。電子輸送層ETbのLUMOは-3.7eVであり、青色発光層EMbのLUMOの-3.4eVと比べると電子輸送層ETbのLUMOの方が低い。
【0075】
青色発光層EMbの発する第1色は青であり、赤色発光層EMrの発する第3色は赤であり、共通電極KEはカソードであり、電子輸送層ETb(第1機能層)及び電子輸送層ETrA(第3機能層)は、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbと共通電極KEとの間に形成される。電子輸送層ETrAは、電子輸送層ETgAよりも共通電極KEに近い。青色発光層EMbの伝導帯端(LUMO)である-3.4eV、電子輸送層ETgA(第2機能層)の伝導帯端(LUMO)である-4.1eV、電子輸送層ETrA(第3機能層)の伝導帯端(LUMO)である-4.5eVの順でエネルギー準位が低い。
【0076】
図21は上記発光層の変形例のエネルギー準位の例を示す図である。青色発光層EMbの発する第1色は青であり、赤色発光層EMrの発する第3色は赤であり、緑色発光層EMgの発する第2色は緑であり、画素電極PEr・PEg・PEbは、カソードであり、電子輸送層ETb(第1機能層)、電子輸送層ETrA(第3機能層)及び電子輸送層ETgA(第2機能層)は、赤色発光層EMr、緑色発光層EMg、及び青色発光層EMbと画素電極PEr・PEg・PEbとの間に形成される。電子輸送層ETgA(第2機能層)は、電子輸送層ETb(第1機能層)よりも画素電極に近く、電子輸送層ETrA(第1機能層)は、電子輸送層ETgA(第2機能層)よりも画素電極に近い。青色発光層EMbの伝導帯端(LUMO)である-3.4eV、電子輸送層ETb(第1機能層)の伝導帯端(LUMO)である-3.7eV、電子輸送層ETgA(第2機能層)の伝導帯端(LUMO)である-4.1eV、電子輸送層ETrA(第3機能層)の伝導帯端(LUMO)である-4.5eVの順でエネルギー準位が低い。
【0077】
(実施形態3)
図22は実施形態3の表示装置2Bに設けられたサブ画素SPr・SPg・SPbの配列を示す平面図である。
図23は
図22に示される面ABに沿った断面図である。
図24は表示装置2Bに設けられた赤色発光層EMr及び緑色発光層EMgのための電子輸送層ETrgのパターンを示す平面図である。
図25は表示装置2Bに設けられた青色発光層EMbのための電子輸送層ETbのパターンを示す平面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0078】
電子輸送層ETrgは、赤色発光層EMr及び緑色発光層EMgに適しており、パターニングされておらず、すべての画素電極PEr・PEg・PEbの全体と重なっている。
【0079】
電子輸送層ETbは、青色発光層EMbに適しており、画素電極PErを覆わないための開口Obrと画素電極PEgを覆わないための開口Obgとを有するようにパターニングされている。そして、電子輸送層ETbと電子輸送層ETrgとがこの順番に積層されている。すなわち、発光層から、電子輸送層ETb、電子輸送層ETrg、カソード電極の順番に積層されている。
【0080】
このように、実施形態3では、互いに異なる赤色発光層EMr及び緑色発光層EMgに同じ電子輸送層ETrgが接する。
【0081】
図26は表示装置2Bに設けられた発光層のエネルギー準位の例を示す図である。電子輸送層ETrg及び電子輸送層ETbのHOMOは共通している。電子輸送層ETrgのLUMOは-4.2eVと、緑色発光層EMgのLUMOの-3.9eVよりも低い。電子輸送層ETbのLUMOは-3.7eVと、青色発光層EMbのLUMOの-3.4eVよりも低い。
【0082】
(実施形態4)
図27は実施形態4の表示装置2Cに設けられたサブ画素SPr・SPg・SPbの配列を示す平面図である。
図28は表示装置2Cに設けられた青色発光層EMbのための電子輸送層ETbCのパターンを示す平面図である。
図29は表示装置2Cに設けられた緑色発光層EMgのための電子輸送層ETgCのパターンを示す平面図である。
図30は表示装置2Cに設けられた赤色発光層EMrのための電子輸送層ETrCのパターンを示す平面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0083】
図5、
図15、及び
図22に示される単純ストライプ画素配列では、各サブ画素SPr・SPg・SPbは、同じ周期及び同じパターンで配列される。これに対して、
図27に示されるサブ画素SPr・SPg・SPbは、ペンタイル形式で配列されている。このような単純ストライプ画素配列以外の配列では、各サブ画素SPr・SPg・SPbは、互いに異なる周期及び異なるパターンで配列される。
【0084】
電子輸送層ETbC(第1機能層)は、
図28に示すように、サブ画素SPg(第2サブ画素)の画素電極PEgの周端部の内側と平面視で重なる開口Obgと、サブ画素SPr(第3サブ画素)の画素電極PErの周端部の内側と平面視で重なる開口Obrとの形状が異なる。
【0085】
電子輸送層ETgC(第2機能層)は、
図29に示すように、サブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの周端部の内側と平面視で重なる開口Obgと、サブ画素SPr(第3サブ画素)の画素電極PErの周端部の内側と平面視で重なる開口Obrとの形状が異なる。
【0086】
電子輸送層ETrC(第3機能層)は、
図30に示すように、サブ画素SPg(第2サブ画素)の画素電極PEgの周端部の内側と平面視で重なる開口Orgと、サブ画素SPb(第1サブ画素)の画素電極PEbの周端部の内側と平面視で重なる開口Orbとの形状が異なる。
【0087】
図31は実施形態4の表示装置2Dに設けられたサブ画素SPr・SPg・SPbの配列を示す平面図である。
図32~
図34はサブ画素SPr・SPg・SPbの他の配列を示す平面図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0088】
図31~
図34に示されるサブ画素SPr・SPg・SPbの配列に応じてパターン化された電子輸送層ETr・ETg・ETbの開口は、各電子輸送層ETr・ETg・ETbに対応する発光層の発光色に応じて異なる。
【0089】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0090】
例えば、本発明は上記実施形態において主に3色を用いた場合が示され、第1色、第2色、及び第3色の波長の長さについて第1色が最も短く、第3色が最も長く、第1色が青、第2色が緑、第3色が赤とされたが、この例に限らない。即ち、第3色が無い2色のみの場合であって、第1色が第2色よりも波長が短い場合(例えば、第1色が青、第2色が赤である場合、第1色が緑、第2色が赤である場合、第1色が青、第2色が黄色である場合など)などの複数の異なる色を用いる場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
2 表示装置
4 TFT層
8 EL層
SPr・SPg・SPb サブ画素(第3サブ画素、第2サブ画素、第1サブ画素)
PEr・PEg・PEb 画素電極
EMr 赤色発光層
EMg 緑色発光層
EMb 青色発光層
EDr・EDg・EDb (画素電極の)周端部
KE 共通電極
ETr・ETg・ETb 電子輸送層(第3機能層、第2機能層、第1機能層)
HT 正孔輸送層(第4機能層)
Org・Orb・Ogr・Ogb・Obg・Obr 開口
Lr・Lg・Lb 発光領域
NL 非発光領域
EC エッジカバー