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▶ ベイジン・ナウラ・マイクロエレクトロニクス・イクイップメント・カンパニー・リミテッドの特許一覧

特許7352732エッチング方法、空隙誘電体層、及びダイナミックランダムアクセスメモリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】エッチング方法、空隙誘電体層、及びダイナミックランダムアクセスメモリ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022523221
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020123648
(87)【国際公開番号】W WO2021088670
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】201911073150.4
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520266443
【氏名又は名称】ベイジン・ナウラ・マイクロエレクトロニクス・イクイップメント・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Beijing NAURA Microelectronics Equipment Co.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.8 Wenchang Avenue Beijing,Economic-Technological Development Area,Beijing 100176,China
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ボー
(72)【発明者】
【氏名】マー、ジェングオ
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-309108(JP,A)
【文献】特開2006-100503(JP,A)
【文献】特開平11-340322(JP,A)
【文献】特開2010-103497(JP,A)
【文献】特開2018-056280(JP,A)
【文献】特表2003-529935(JP,A)
【文献】特開2006-278836(JP,A)
【文献】特開2011-233878(JP,A)
【文献】国際公開第2019/089766(WO,A1)
【文献】特表2010-533378(JP,A)
【文献】特開2016-025111(JP,A)
【文献】特開2017-152531(JP,A)
【文献】特開2006-019442(JP,A)
【文献】特表2015-528647(JP,A)
【文献】特開2017-183509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ケイ素膜を前記酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜とを含むウェハ表面上に選択的にエッチングするためのエッチング方法であって、
第1のエッチング速度で前記酸化ケイ素膜をエッチングし、前記窒化ケイ素膜上を覆っている表面改質層を除去することを含む表面層除去プロセスと、
第2のエッチング速度で前記酸化ケイ素膜をエッチングすることを含むエッチングプロセスと
を備え、前記第1のエッチング速度は、前記第2のエッチング速度よりも遅い、エッチング方法。
【請求項2】
前記表面層除去プロセスは、
第1の所定の圧力で、及び第1のエッチング時間長内で前記酸化ケイ素膜をエッチングするためにエッチングガスを使用することを含む第1のエッチングステップと、
第1のパージング圧力で、及び第1のパージング時間長内で前記ウェハ表面をパージングするためにパージングガスを使用することを含む第1のパージングステップと、
前記表面改質層が除去されるまで前記第1のエッチングステップと前記第1のパージングステップとを繰り返すことと
を備える、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記エッチングプロセスは、
第2の所定の圧力で、及び第2のエッチング時間長内で前記酸化ケイ素膜をエッチングするために前記エッチングガスを使用することを含む第2のエッチングステップと、
第2のパージング圧力で、及び第2のパージング時間長内で前記ウェハ表面をパージングするために前記パージングガスを使用することを含む第2のパージングステップと、
前記酸化ケイ素膜の目標エッチング量に達するまで前記第2のエッチングステップと前記第2のパージングステップとを繰り返すことと
を備える、請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記第1の所定の圧力は、前記第2の所定の圧力よりも低い、
請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項5】
前記第1の所定の圧力は、約1トル~3トルであり、
前記第2の所定の圧力は、約5トル~10トルである、
請求項4に記載のエッチング方法。
【請求項6】
前記第1のエッチング時間長は、前記第2のエッチング時間長よりも短い、
請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記第1のエッチング時間長は、約1秒~3秒であり、
前記第2のエッチング時間長は、約1秒~5秒である、
請求項に記載のエッチング方法。
【請求項8】
前記エッチングガスは、第1の成分ガス及び第2の成分ガスを含み、
前記第1の成分ガスは、フッ化水素ガスを含み、前記第2の成分ガスは、アンモニアガスを含む、
請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項9】
前記第2のパージングステップは、前記第2のパージング圧力で、及び前記第2のパージング時間長内で前記ウェハ表面をパージングするために前記第2の成分ガスを使用することを更に含む、
請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項10】
前記パージングガスは、窒素(N2)ガス又は不活性ガスのうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記表面層除去プロセスでは、前記第1の成分ガスは、第1の流量で供給され、
前記エッチングプロセスでは、前記第1の成分ガスは、第2の流量で供給され、前記第1の流量は、前記第2の流量よりも大きい、
請求項8に記載のエッチング方法。
【請求項12】
前記表面層除去プロセスと前記エッチングプロセスとの両方のプロセス温度は、120℃以上である、
請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項13】
前記表面層除去プロセスと前記エッチングプロセスとの間に、
ウェハ上で加熱プロセス及び昇華プロセスを実行することと、
前記昇華プロセス後に、前記ウェハを室温まで冷却することと
を更に備える、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項14】
前記昇華プロセスの温度は、180℃以上である、
請求項13に記載のエッチング方法。
【請求項15】
前記エッチングプロセスの前に、
昇華及び冷却された前記ウェハを取り出し、所定の時間長にわたって静止状態に置くこと
を更に備える、請求項13に記載のエッチング方法。
【請求項16】
前記表面層除去プロセスの前に、
前記第1のエッチングステップ及び前記第1のパージングステップの繰り返し数を決定するために、前記ウェハ表面上の前記表面改質層の厚さを検査すること
を更に備える、請求項2~11のうちのいずれか一項に記載のエッチング方法。
【請求項17】
前記第2のエッチングステップにおける総ガス流は、前記第2のパージングステップにおける総ガス流と同じである、
請求項3に記載のエッチング方法。
【請求項18】
前記表面改質層は、ケイ素、窒素、及び酸素の少なくとも3つの元素を含む、
請求項1に記載のエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、半導体製造技術の技術分野に関し、より具体的には、酸化ケイ素膜を選択的にエッチングするためのエッチング方法、空隙誘電体層、及びダイナミックランダムアクセスメモリに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]集積回路のフィーチャサイズが縮小し続けるにつれて、製造プロセスの複雑さが劇的に増加する。加えて、線幅サイズの縮小化に起因して、より正確で選択性の高い膜除去プロセスの開発が必要となっている。例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を製造する空隙プロセスでは、20:1のアスペクト比を有する深溝構造中の酸化ケイ素層(SiO2)は、深溝構造の側壁上の窒化ケイ素(SiN)をエッチングすることなく完全に除去される必要があり、それは、100:1を超える、好ましくは500:1又は更には1000:1のSiO2/SiNのエッチング選択比を必要とする。
【0003】
[0003]窒化ケイ素をエッチングするために、1つの方法は、従来のウェットエッチングから派生したドライエッチングである。ドライエッチング方法は、化学反応ガス及び触媒を使用して、膜層と直接化学的に相互作用し、プロセス統合制御を通して、基板損傷なし(プラズマなし)及び再酸化なしで、穴及び/又は溝の底部を正確且つ効率的に除去する。別の方法は、アルコール(例えばメタノール)又はアルカリガス(例えばNH3)を補充したフッ化水素(HF)ガスを使用して、触媒エッチングを実行するものであり、一般にメタノール触媒プロセス又はアンモニア触媒プロセスとして知られている。これらの2つのプロセスはまた、窒化ケイ素をエッチングするために一般に使用される。
【0004】
[0004]しかしながら、多数の実験から、既存のメタノール触媒プロセスを使用するとき、SiO2/SiNのエッチング選択比は基本的に30:1のレベルであり、既存のアンモニア触媒プロセスを使用するとき、SiO2/SiNのエッチング選択比は20:1を超えないことが見出されている。2つの既存のプロセスのうちのいずれも、要求されるSiO2/SiNのエッチング選択比を満たすことができない。
【発明の概要】
【0005】
[0005]上記の問題を解決するために、本開示の実施形態は、エッチング方法、空隙誘電体層、及びダイナミックランダムアクセスメモリを提供し、それらは、既存のアンモニアガス触媒プロセスよりも向上されたSiO2/SiNのエッチング選択比を提供する。
【0006】
[0006]本開示の一態様は、酸化ケイ素膜を酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜とを含むウェハ表面上に選択的にエッチングするためのエッチング方法を提供する。エッチング方法は、第1のエッチング速度で酸化ケイ素膜をエッチングし、窒化ケイ素膜上を覆っている表面改質層を除去することを含む表面層除去プロセスと、第2のエッチング速度で酸化ケイ素膜をエッチングすることを含むエッチングプロセスとを含む。第1のエッチング速度は、第2のエッチング速度よりも遅い。
【0007】
[0007]オプションとして、表面層除去プロセスは、第1の所定の圧力で、及び第1のエッチング時間長内でウェハ表面をエッチングするためにエッチングガスを使用することを含む第1のエッチングステップと、第1のパージング圧力で、及び第1のパージング時間長内でウェハ表面をパージングするためにパージングガスを使用することを含む第1のパージングステップと、表面改質層が除去されるまで第1のエッチングステップと第1のパージングステップとを繰り返すこととを含む。
【0008】
[0008]オプションとして、エッチングプロセスは、第2の所定の圧力で、及び第2のエッチング時間長内で酸化ケイ素膜をエッチングするためにエッチングガスを使用することを含む第2のエッチングステップと、第2のパージング圧力で、及び第2のパージング時間長内でウェハ表面をパージングするためにパージングガスを使用することを含む第2のパージングステップと、酸化ケイ素膜の目標エッチング量に達するまで第2のエッチングステップと第2のパージングステップとを繰り返すこととを含む。
【0009】
[0009]オプションとして、第1の所定の圧力は、第2の所定の圧力よりも低い。
【0010】
[0010]オプションとして、第1の所定の圧力は、約1トル~3トルであり、第2の所定の圧力は、約5トル~10トルである。
【0011】
[0011]オプションとして、第1のエッチング時間長は、第2のエッチング時間長よりも短い。
【0012】
[0012]オプションとして、第1のエッチング時間長は、約1秒~3秒であり、第2のエッチング時間長は、約1秒~5秒である。
【0013】
[0013]オプションとして、エッチングガスは、第1の成分ガス及び第2の成分ガスを含み、第1の成分ガスは、フッ化水素ガスを含み、第2の成分ガスは、アンモニアガスを含む。
【0014】
[0014]オプションとして、第2のパージングステップは、第2のパージング圧力で、及び第2のパージング時間長内でウェハ表面をパージングするために第2の成分ガスを使用することを更に含む。
【0015】
[0015]オプションとして、パージングガスは、窒素(N2)ガス又は不活性ガスのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
[0016]オプションとして、表面層除去プロセスでは、第1の成分ガスは、第1の流量で供給され、エッチングプロセスでは、第1の成分ガスは、第2の流量で供給され、第1の流量は、第2の流量よりも大きい。
【0017】
[0017]オプションとして、表面層除去プロセスとエッチングプロセスとの両方のプロセス温度は、120℃以上である。
【0018】
[0018]オプションとして、表面層除去プロセスとエッチングプロセスとの間に、エッチング方法は、ウェハ上で加熱プロセス及び昇華プロセスを実行することと、昇華プロセス後に、ウェハを室温まで冷却することとを更に含む。
【0019】
[0019]オプションとして、昇華プロセスの温度は、180℃以上である。
【0020】
[0020]オプションとして、エッチングプロセスの前に、エッチング方法は、昇華及び冷却されたウェハを取り出し、所定の時間長にわたって静止状態に置くことを更に含む。
【0021】
[0021]オプションとして、表面層除去プロセスの前に、エッチング方法は、第1のエッチングステップ及び第1のパージングステップの繰り返し数を決定するために、ウェハ表面上の表面改質層の厚さを検査することを更に含む。
【0022】
[0022]オプションとして、第2のエッチングステップにおける総ガス流は、第2のパージングステップにおける総ガス流と同じである。
【0023】
[0023]表面改質層は、ケイ素、窒素、及び酸素の少なくとも3つの元素を含む。
【0024】
[0024]本開示の別の態様は、空隙誘電体層を提供する。空隙誘電体層は、開示するエッチング方法を使用して形成される。
【0025】
[0025]本開示の別の態様は、ダイナミックランダムアクセスメモリを提供する。ダイナミックランダムアクセスメモリは、開示する空隙誘電体層を含む。
【0026】
[0026]本開示の実施形態の技術的効果は、以下を含む。
【0027】
[0027]本開示によって提供されるエッチング方法は、エッチングを2つのプロセスに分ける。まず、窒化ケイ素膜の表面を覆う表面改質層を除去することを通して、ウェハ表面上の表面改質層によって引き起こされるSiO2/SiNのエッチング選択比の実質的な低下を回避することができる。加えて、第1のエッチング速度を第2のエッチング速度よりも遅くすることを通して、表面層除去プロセスにおいて過剰なエッチングを回避することができ、それによって、高いエッチング選択比を更に保証することができる。次いで、エッチングプロセスでは、比較的高いエッチング速度が、エッチング効率を保証することができる。本開示によって提供されるエッチング方法はまた、SiO2/SiNの高いエッチング選択比を有する空隙誘電体層、及び高性能を有するダイナミックランダムアクセスメモリを得ることができる。
【0028】
[0028]本開示の技術的解決策又は従来技術における技術的解決策をより明確に例示するために、開示する実施形態の説明において使用される添付の図面を以下に簡単に説明する。以下に説明する図面は、本開示のいくつかの実施形態に過ぎない。他の図面は、創造的な努力なしに当業者によってそのような図面から導出され得、本開示中に包含され得る。
【0029】
[0029]本明細書で説明する構造、比率、サイズ、等は、当該技術に精通した者の理解及び閲読のために本明細書に開示する内容を支持するためにのみ使用され、本開示を実施するための条件を限定するために使用されず、故に、実質的な技術的意味を提供しない。構造の任意の修正、比例関係の変更、又はサイズの調整は、本開示が生み出すことができる効果及び達成することができる目的に影響を及ぼすことなく、依然として本開示の範囲内に含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】[0030]本開示のいくつかの実施形態による深溝エッチング構造の概略構造図である。
図2】[0031]本開示のいくつかの実施形態による、同じエッチングプロセスを使用した表面酸化変性層を有するウェハのエッチング及び表面酸化変性層を有さないウェハのエッチングの概略比較図である。
図3】[0032]本開示のいくつかの実施形態による、SiO2のエッチングインキュベーション時間とSiNのエッチングインキュベーション時間との間の概略比較図である。
図4】[0033]本開示のいくつかの実施形態によるエッチングガス導入のタイミングシーケンスの概略図である。
図5】[0034]本開示のいくつかの実施形態によるエッチングプロセスのフローチャートである。
図6】[0035]本開示のいくつかの実施形態による別のエッチングプロセスのフローチャートである。
図7】[0036]本開示のいくつかの実施形態による例証的なエッチングプロセスを実施するためのエッチングデバイスの概略構造図である。
図8】[0037]本開示のいくつかの実施形態による、例証的なエッチングプロセスを使用したSiO2のエッチングインキュベーション時間及びSiNのエッチングインキュベーション時間の実際の測定値の概略比較図である。
【0031】
[0038]参照文字の説明は以下を含む:W-ウェハ、11-酸化ケイ素膜、12-窒化ケイ素膜、13-酸化改質層、210-エッチングプロセスチャンバ、220-均一流チャンバ、230-ガス分配板、240-基部、311-HFガス源、312-N2ガス源、313-NH3ガス源、321-第1の質量流コントローラ、322-第2の質量流コントローラ、323-第3の質量流コントローラ、324-第4の質量流コントローラ、331-第1の交換ポイント、332-第2の交換ポイント、333-第3の交換ポイント。
【発明を実施するための形態】
【0032】
[0039]以下の特定の実施形態は、本開示の様々な特徴を例示するために使用される。当該技術に精通した者は、本明細書に開示する内容から本開示の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本明細書で説明する実施形態は、本開示のいくつかの実施形態であり、全ての実施形態ではない。本開示の実施形態に基づいて、創造的な努力なしに当業者によって得られる他の実施形態は、本開示の保護範囲内に含まれるものとする。
【0033】
[0040]本開示の説明では、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、説明の目的のためにのみ使用され得、相対的な重要性を示す又は暗示するものとして解釈されるべきではない。矛盾しない場合、本発明の実施形態と実施形態の特徴とは、互いに組み合わされ得る。本開示の目的、特徴、及び利点をより明確に理解されるようにするために、本開示の特定の実施形態を、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。
【0034】
[0041]本開示の一態様は、酸化ケイ素膜(SiO2)を酸化ケイ素膜(SiO2)と窒化ケイ素膜(SiN)とを含む処理対象ウェハの表面上に選択的にエッチングするためのエッチング方法を提供する。例えば、図1に示すように、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を製造する空隙プロセスでは、20:1のアスペクト比を有する深溝構造中の酸化ケイ素膜(SiO2)11は、深溝の側壁上の窒化ケイ素膜(SiN)12をエッチングすることなく完全に除去される必要がある。
【0035】
[0042]実際の製造プロセスでは、大気に曝されることに起因して、窒化ケイ素膜12の表面が酸化及び改質されて、ケイ素、窒素、及び酸素の少なくとも3つの元素を含む表面改質層13が形成される。表面改質層は、エッチングプロセスに悪影響を及ぼす。図2に示すように、2つのウェハサンプルa及びbが選択されて、比較実験が行われた。ウェハサンプルaの窒化ケイ素膜12は、表面改質層13を含み、その一方で、ウェハサンプルbの窒化ケイ素膜12は、表面改質層13を含まない。ウェハサンプルa及びbが同じエッチングプロセスによってエッチングされた後、各ウェハサンプル上のSiO2及びSiNのエッチング量が測定される。ウェハサンプルaの窒化ケイ素膜12のエッチング量は、ウェハサンプルbの窒化ケイ素膜12のエッチング量よりも実質的に多いことが見出せる。特定の比較測定値を以下の表1に示す。
【表1】
【0036】
[0043]上記の表1から分かるように、表面改質層13の存在は、エッチングガスの吸収に影響を及ぼし、SiNのエッチング量の急激な増加を引き起こす。加えて、表面改質層13がエッチングされるとき、窒化ケイ素膜下に生成された固体副生成物が更なるエッチングを引き起こす。
【0037】
[0044]上記の知見に基づいて、表面改質層によって引き起こされるSiO2/SiNのエッチング選択比の低下を回避するために、本開示によって提供されるエッチング方法は、エッチングを表面層除去プロセスとエッチングプロセスとを含む2つのプロセスに分ける。表面層除去プロセスにおいて、酸化ケイ素膜は、第1のエッチング速度でエッチングされ、窒化ケイ素膜の表面を覆う表面改質層が除去される。エッチングプロセスにおいて、酸化ケイ素膜は、第2のエッチング速度でエッチングされる。第1のエッチング速度は、第2のエッチング速度よりも遅い。
【0038】
[0045]窒化ケイ素膜の表面を覆う表面改質層を除去することを通して、表面改質層によって引き起こされるSiO2/SiNのエッチング選択比の実質的な低下を回避することができる。第1のエッチング速度を第2のエッチング速度よりも遅くすることを通して、表面層除去プロセスにおいて過剰なエッチングを回避することができ、それによって、高いエッチング選択比を更に保証することができる。同時に、エッチングプロセスでは、比較的高いエッチング速度が、エッチング効率を保証することができる。
【0039】
[0046]エッチングガスは、主に、第1の成分ガス及び第2の成分ガスを含む。いくつかの実施形態では、第1の成分ガスは、フッ化水素ガス(HF)を含み、第2の成分ガスは、アンモニアガス(NH3)を含む。エッチングガスの組み合わせは、より高いエッチング効率を有する。
【0040】
[0047]特に、一実施形態では、上記の表面層除去プロセスは、特に、第1のエッチングステップ及び第1のパージングステップを含む。第1のエッチングステップでは、エッチングガスが、第1の所定の圧力で、及び第1のエッチング時間長内でウェハの表面をエッチングするために使用される。第1のパージングステップでは、パージングガスが、第1のパージング圧力で、及び第1のパージング時間長内でウェハをパージングするために使用される。表面改質層が除去されるまで、第1のエッチングステップと第1のパージングステップとが繰り返される。
【0041】
[0048]エッチングガスは、主に、第1の成分ガス及び第2の成分ガスを含む。いくつかの実施形態では、第1の成分ガスは、フッ化水素ガス(HF)を含み、第2の成分ガスは、アンモニアガス(NH3)を含む。エッチングガスの組み合わせは、より高いエッチング効率を有する。
【0042】
[0049]パージングガスは、主に、窒素(N2)ガス又は不活性ガスのうちの少なくとも1つを含む。不活性ガスは、それらに限定されないが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、及び同様のものを含む。
【0043】
[0050]上記の表面層除去プロセスは、以下の典型的なプロセスパラメータを使用する。
【0044】
[0051]第1のエッチングステップでは、第1の所定の圧力は、約2.2トルである。エッチングガスは、N2、HF及び、NH3を含む。N2ガスは、約450sccmの流量を有する。HFガスは、約300sccmの流量を有する。NH3ガスは、約100sccmの流量を有する。第1のエッチング時間長は、約2秒である。エッチングプロセス温度は、約120℃である。
【0045】
[0052]第1のパージングステップでは、第1のパージング圧力は、約6トルである。パージングガスは、N2を含む。N2ガスは、約2700sccmの流量を有する。第1のパージング時間長は、約2秒である。パージングプロセス温度は、約120℃である。
【0046】
[0053]第1のエッチングステップ及び第1のパージングステップは、繰り返し実行される。繰り返し数は、SiN表面改質層の目標エッチング量に依存する。例えば、目標エッチング量が約5Åである場合、繰り返し数は、約30倍である。上記の目標エッチング量の設定は、SiN表面改質層の厚さに関連し、それは、一般に1Å~10Åである。SiN表面改質層の厚さは、異なる方法で成長したときに変動する。
【0047】
[0054]オプションとして、第1のエッチングステップでは、HFガスの流量は比較的高く、その一方で、NH3ガスの流量は比較的低く、そのため、HFガスの体積比率は、プロセスチャンバ中のNH3ガスの体積比率よりも高い。ある程度まで、これは、HFガスとNH3ガスとの組み合わされたエッチング速度を抑制し、それによって、オーバーエッチングを回避する。表面層除去プロセスにおける第1の所定の圧力は、約1トル~3トル、好ましくは2トルである。第1の所定の圧力を低い範囲に設定することを通して、エッチング速度を更に抑制することは有益である。表面層除去プロセスにおける第1のエッチング時間長は、約1秒~3秒、好ましくは2秒である。第1のエッチング時間長を短い範囲に設定することを通して、エッチング量を正確に制御し、エッチング速度を減速させることは有益である。
【0048】
[0055]第1のパージングステップでは、第1のパージング時間長は、第1のエッチング時間長よりも短くなく、そのため、エッチング反応物及び副生成物を十分にパージングすることができる。加えて、エッチング速度を減速させるために、NH3ガスは、第1のパージングステップで導入されず、予浸の発生を防止する。このことから、エッチングガスが組み合わされ、ウェハの表面上に吸収されるのに必要とされる時間長を延長して、エッチング速度を減速させることができ、SiNの過剰なエッチングを回避するという前提の下で窒化ケイ素膜上の表面改質層を除去することができる。
【0049】
[0056]いくつかの実施形態では、ガスを通す以下の方法が、上記の表面層除去プロセスにおいて使用され得る。
【0050】
[0057]1)第1の瞬間に、チャンバ中の圧力が第1の所定の圧力(例えば2.2トル)に達するように、ある特定の量のN2ガス(例えば450sccm)がチャンバ中に通される。
【0051】
[0058]2)第2の瞬間に、チャンバ中の圧力が変化されないままである間に、ある特定の量のNH3ガス(例えば100sccm)とある特定の量のHFガス(例えば300sccm)とが同時にチャンバ中に通されて、エッチング反応、即ち第1のエッチングステップが開始される。
【0052】
[0059]3)第3の瞬間に、NH3ガス及びHFガスの流れが停止され、第1のエッチングステップが終了し、第1のパージングステップが開始される。この時点で、エッチング反応物及び副生成物を除去するために、N2ガスがチャンバ中に通され続ける。
【0053】
[0060]4)繰り返して、NH3ガス及びHFガスの流れをパルスの形態で供給することを通して、表面層除去プロセスは、表面改質層を除去するためにエッチングステップとパージングステップとの間で複数回繰り返される。
【0054】
[0061]5)第1のエッチングステップにおける第1のエッチング時間長は、プロセス条件下でのSiNのエッチングインキュベーション時間長よりも短い。
【0055】
[0062]図3に示すように、水平座標はエッチング時間であり、垂直座標はエッチング量である。エッチングガスは、ウェハの表面に到達するとすぐにはエッチング反応を起こさない。代わりに、エッチングガスは、ある特定の時間長、即ちエッチングインキュベーション時間長にわたってインキュベートされる必要がある。SiNのエッチングインキュベーション時間を超えると、SiNのエッチングを引き起こし、エッチング選択比の向上に影響を及ぼし得る。同時に、第1のパージングステップにおける第1のパージング時間長は、第1のエッチング時間長よりも短くなく、それは、オーバーエッチングを回避し、十分なパージング時間長を提供して、エッチングガスを迅速に除去し、残留エッチングガスが長く滞留することを回避することができる。
【0056】
[0063]一実施形態において、上記のエッチングステップは、特に、第2のエッチングステップ及び第2のパージングステップを含む。第2のエッチングステップでは、エッチングガスが、第2の所定の圧力で、及び第2のエッチング時間長内で酸化ケイ素膜を選択的にエッチングするために使用される。第2のパージングステップでは、パージングガスが、第2のパージング圧力で、及び第2のパージング時間長内でウェハの表面をパージングするために使用される。酸化ケイ素膜の目標エッチング量に達するまで、上記の第2のエッチングステップと第2のパージングステップとが繰り返し実行される。
【0057】
[0064]エッチングガスは、主に、第1の成分ガス及び第2の成分ガスを含む。いくつかの実施形態では、第1の成分ガスは、フッ化水素ガス(HF)を含み、第2の成分ガスは、アンモニアガス(NH3)を含む。エッチングガスの組み合わせは、より高いエッチング効率を有する。
【0058】
[0065]パージングガスは、主に、窒素N2ガス又は不活性ガスのうちの少なくとも1つを含む。不活性ガスは、それらに限定されないが、ヘリウム、ネオン、アルゴン、及び同様のものを含む。
【0059】
[0066]上記のエッチングステップは、以下の典型的なプロセスパラメータを使用する。
【0060】
[0067]第2のエッチングステップでは、第2の所定の圧力は、約8トルである。エッチングガスは、N2、HF及び、NH3を含む。N2ガスは、約450sccmの流量を有する。HFガスは、約20sccmの流量を有する。NH3ガスは、約100sccmの流量を有する。第2のエッチング時間長は、約3秒である。エッチングプロセス温度は、約120℃である。
【0061】
[0068]第2のパージングステップでは、第2のパージング圧力は、約8トルである。パージングガスは、N2を含む。N2ガスは、約470sccmの流量を有する。NH3ガスは、約100sccmの流量を有する。第2のパージング時間長は、約6秒である。パージングプロセス温度は、約120℃である。
【0062】
[0069]第2のエッチングステップ及び第2のパージングステップは、繰り返し実行される。繰り返し数は、SiO2表面改質層の目標エッチング量に依存する。
【0063】
[0070]オプションとして、第2のエッチングステップでは、HFガスの流量は比較的低く、その一方で、NH3ガスの流量は比較的高く、そのため、HFガスの体積比率は、プロセスチャンバ中のNH3ガスの体積比率よりも低い。ある程度まで、これは、エッチング速度を増加させる。具体的には、第2のエッチングステップで使用されるHFガスの流量は、第1のエッチングステップで使用されるHFガスの流量よりも少なく、そのため、第2のエッチングステップにおける第2のエッチング速度は、第1のエッチングステップにおける第1のエッチング速度よりも速い。
【0064】
[0071]第2のパージングステップでは、第2の所定の圧力は、約5トル~10トル、好ましくは8トルである。第2の所定の圧力を高い範囲に設定することを通して、エッチング速度を更に促進することは有益である。
【0065】
[0072]第2のパージングステップでは、第2のエッチング時間長は、約1秒~5秒である。第2のエッチング時間長を長い範囲に設定することを通して、ウェハ表面に対するエッチングガスの十分な浸漬反応を可能にすることが有益である。他方では、シングルステップエッチング時間長がSiNのエッチングインキュベーション時間長に近づくことを可能にすることによって引き起こされるSiNのオーバーエッチングを回避するために、第2のエッチング時間長は、好ましくは約3秒である。SiNのエッチングインキュベーション時間中、第2のエッチングステップは、SiNを実質的にエッチングしない。
【0066】
[0073]第2のパージングステップでは、第2のパージング時間長は、第2のエッチング時間長よりも短くなく、そのため、エッチング反応物及び副生成物を十分にパージングすることができる。オプションとして、第2のパージングステップではNH3ガスの供給が継続し、即ち、第2のパージングステップにおけるパージングガスは、第2のエッチングステップにおけるのと同じ流量で供給されるNH3ガスを更に含む。連続的に供給されたNH3ガスは、ウェハ表面を十分に浸し、そのため、ウェハ表面は、後続のエッチングステップの前に十分な量のNH3ガスを前もって吸収する。このことから、HFガスが導入されるとき、エッチング反応のためにガスが混合してウェハ表面に付着するための時間長が短縮され、それは、次に、後続のエッチングステップにおけるエッチングガス反応速度を促進し、それによって、エッチング効率を向上させる。
【0067】
[0074]オプションとして、第2のエッチングステップにおける総ガス流は、第2のパージングステップにおける総ガス流と同じであり、そのため、流量は、変化しないままである。チャンバの流れを制御するために使用されるバタフライ弁は、頻繁に切り替えられる必要はない。このことから、エッチングプロセスの操作が簡略化され、エッチングシステムの安定性及び精度が向上される。
【0068】
[0075]実施形態1は、異なるエッチングプロセスステップのSiO2/SiN選択比の実験比較を提供する。比較表から、表面層除去プロセスを追加した後、エッチング選択比が実質的に向上されることが分かる。
【0069】
[0076]更に、エッチングステップを実行するとき、各シングルステップエッチング時間長は、あまり長くすることができない。さもなければ、SiNのエッチング量が増加すると、エッチング選択比は、向上させることが困難となる。この理由により、エッチングステップ全体を複数のシングルステップエッチング時間長に分ける必要がある。各シングルステップエッチング時間長の終点は、SiNをエッチングする始点である。即ち、各シングルステップエッチング時間長は、SiNのエッチングインキュベーション時間長である。エッチングガスは、ウェハの表面に到達するとすぐにはエッチング反応を起こさない。代わりに、エッチングガスは、ある特定の時間長、即ちエッチングインキュベーション時間長にわたってインキュベートされる必要がある。一般に、エッチング速度が速いほど、インキュベーション時間長は短くなる。図3に示すように、SiO2のエッチング速度はSiNのエッチング速度よりも速いので、両者のインキュベーション時間長間には時間差がある。時間差内で実行されるエッチングは、比較的高いエッチング選択比を達成することができる。
【0070】
[0077]従って、いくつかの実施形態では、ガスを通す以下の方法は、上記のエッチングステップで使用され得る。
【0071】
[0078]1)t0において、チャンバ中の圧力が所定の圧力(例えば8トル)に達するように、ある特定の量のN2ガス(例えば450sccm)がチャンバ中に通される。
【0072】
[0079]2)t1において、チャンバ中の圧力が変化されないままである間に、ある特定のNH3ガス(例えば100sccm)がチャンバ中に通されて、ウェハ表面が十分な量のNH3ガスを前もって吸収すること、即ちNH3ガス予浸が可能にされる。
【0073】
[0080]3)t2において、チャンバ中の圧力が引き続き変化されないままである間に、HFガスの流れは、チャンバ、即ち第2のエッチングステップ中に通される。t3において、HFガスの流れが停止され、第2のエッチングステップが終了し、第2のパージングステップが開始される。このとき、エッチング反応物の適時の除去を容易にするために、NH3ガス及びN2ガスが供給され続けた。同時に、NH3ガスの連続供給は、ウェハ表面を前もって予浸するのに有益である。
【0074】
[0081]4)繰り返して、パルスの形態でHFガスの流れを供給することを通して、エッチングプロセスは、SiO2を持続的にエッチングするためにエッチングステップとパージングステップとの間で複数回繰り返される。
【0075】
[0082]5)第2のエッチングステップにおける第2のエッチング時間長は、プロセス条件下でのSiNのエッチングインキュベーション時間長よりも短い。第2のパージングステップにおける第2のパージング時間長Tbは、第2のエッチングステップにおける第2のエッチング時間長Taよりも短くなく、そのため、オーバーエッチングを回避することができ、十分なパージング時間長が提供されて、エッチングガスが迅速に除去される。このことから、残留エッチングガスが長く滞留して、SiNのエッチングインキュベーション時間長を超え、それによって、SiNのエッチングを引き起こし、エッチング選択比の向上に影響を及ぼすことを防止される。
【0076】
[0083]第2のパージングステップでは、NH3ガスが供給され続ける。連続的に供給されたNH3ガスは、ウェハ表面を十分に浸し、そのため、ウェハ表面は、後続のエッチングステップの前に十分な量のNH3ガスを前もって吸収する。このことから、HFガスが導入されるとき、エッチング反応のためにガスが混合してウェハ表面に付着するための時間長が短縮され、それは、次に、後続のエッチングステップにおけるエッチングガス反応速度を促進し、それによって、エッチング効率を向上させる。
【0077】
[0084]従って、各シングルステップエッチング時間長においてSiNがエッチングされないことが保証されるという条件下で、プロセスウィンドウは、SiO2のエッチングを最大化するように拡張される。エッチングを複数回繰り返すことを通して、SiO2/SiNの比較的高いエッチング選択比が最終的に達成される。
【0078】
[0085]上記のガスを通すシーケンスでは、第2のエッチングステップ及び第2のパージングステップでは、NH3ガスは、連続的に供給され、その一方で、HFガスは、パルスの形態で供給される。いくつかの実施形態では、2つのガスは、切り替られ得る。即ち、HFガスは、連続的に供給され、その一方で、NH3ガスは、パルスの形態で供給される。プロセスパラメータを最適化することを通して、所望のエッチングインキュベーション時間長を得ることができ、高いエッチング選択比を達成することができる。これは、NH3触媒が存在しない場合、HFガスがSiO2又はSiNをエッチングしないからである。
【0079】
[0086]いくつかの実施形態では、エッチング反応物は、ウェハ表面上に堆積される。吸収されたエッチングガスが完全にパージングされることは困難であり、窒化ケイ素膜の加速されたエッチングをもたらす。酸化ケイ素膜上に堆積されたエッチング反応物及び副生成物は、エッチングガスが接触しているSiO2と直接反応することを部分的に防止し、SiO2のエッチング速度を減速させる。このため、一方では、SiNが過剰にエッチングされる。他方では、SiO2が不十分にエッチングされる。結果として、エッチング選択比が低減される。従って、エッチングプロセス全体では、表面層除去プロセスとエッチングプロセスとは、完全に分離される。図5に示すように、表面層除去プロセス後、ウェハWは、エッチングシステム外に移動され、FOUP(Front Opening Unified Pod)に入る。次いで、エッチングプロセスは再度やり直される。エッチングプロセスが複数サイクルのエッチングを実行する必要があるかどうかは、実際の要件に依存する。複数サイクルのエッチングを実行する目的は、エッチング反応物及び副生成物を完全に昇華させ、排出することである。エッチング反応物及び副生成物によるSiO2のエッチング速度の抑制が排除されるので、エッチングのサイクル数を増加させることは、SiO2のエッチング量を増加させることができる。昇華プロセスの温度は、ウェハ表面上に残留するエッチング反応物及び副生成物の十分な昇華及び排出を保証するために、約180℃以上である。
【0080】
[0087]特に、図5に示すように、エッチングプロセスは、表面層除去プロセスS100及びエッチングプロセスS200を含む。表面層除去プロセス(S100)は、表面層除去の準備をすること(S110)と、表面層除去のためにウェハWをエッチングチャンバ中に投入すること(S120)と、エッチングプロセスチャンバからウェハWを取り出し、ウェハWを昇華チャンバ中に配置して加熱及び昇華させて、ウェハWの表面上のエッチング反応物及び副生成物を排出すること(S130)と、エッチング反応物及び副生成物が完全に除去された後にウェハWを取り出し、ウェハWを冷却のために冷却チャンバ中に配置すること(S140)と、エッチングプロセス(S200)を実行する前に、ウェハWをFOUP中に配置し、数分にわたって静止状態に置くか、又はウェハWを真空チャンバ中に数分にわたって静止状態に置くこと(S150)とを含む。
【0081】
[0088]ウェハWは、5分未満にわたって静止状態に置かれる。そのため、ウェハWが冷却チャンバから取り出され、ある特定の時間にわたって静止状態に置かれた後、ウェハWの表面にわたって自由に存在する一部の反応物又はエッチングガスが揮発され、ウェハWの表面から分離される。加えて、冷却チャンバ中に残留した自由に存在する成分を環境から分離することは、ウェハWの表面上の残留物及びエッチングガスの完全な揮発及び浄化を容易にする。ある特定の時間にわたって静止状態に置くことは、SiN表面上の原子間の化学反応ストレスを相殺し、原子構造配列を規則化し、表面平坦性を向上させ、エッチングガスを吸収及び接触するためのSiN表面のエリアを低減する。同時に、静止状態環境は、FOUP又は真空チャンバ中にあり得る。SiNは短い時間長にわたって室温に曝されても酸化されにくいので、冷却されたウェハWを、酸化されて再び表面改質層を形成することなく、FOUP中で数分にわたって静止状態に置くことができる。
【0082】
[0089]エッチングプロセスS200は、エッチングを準備すること(S210)と、ウェハWをエッチングのためにエッチングチャンバ中に投入すること(S220)と、エッチングチャンバからウェハWを取り出し、ウェハWを昇華チャンバ中に配置して加熱及び昇華させて、ウェハWの表面上のエッチング反応物を排出すること(S230)と、エッチング反応物が完全に除去された後にウェハWを取り出し、ウェハWを冷却チャンバ中に配置すること(S240)とを順次含む。S250において、酸化ケイ素膜エッチング量が目標エッチング量を満たすまでS220~S240が繰り返され、ウェハWはFOUP中に配置される。
【0083】
[0090]エッチングチャンバ中で直接昇華及びパージングすることと比較して、S220~S240を繰り返すことは、エッチング反応物を完全に昇華及び排出することを更に容易にし、そのため、ウェハWの表面上のエッチング反応物を完全に除去することができる。このことから、エッチング反応物の堆積によって引き起こされるSiO2/SiNのエッチング速度及びエッチング選択比の低減を回避することができる。
【0084】
[0091]いくつかの実施形態では、上記のステップは、簡略化され得る。図6に示すように、表面層除去プロセスS100’は、エッチングプロセスS200’と連動して実行される。S120の後、ウェハWは昇華され(S130)、冷却され(S140)、次いで、エッチングチャンバを出ることなく、又はFOUP中に配置されることなく、エッチングプロセスS200’が直接実行される。この場合、エッチング反応物及び副生成物が完全に除去されることを保証するために、表面層除去プロセス100’のS130を向上させることが必要である。さもなければ、SiNのエッチングが影響を受ける。
【0085】
[0092]実施形態2は、異なるエッチングプロセスステップのSiO2/SiN選択比の実験比較を提供する。表面層除去プロセスとエッチングプロセスとが別個に実行されること、即ち、S140の後、冷却されたウェハWがエッチングシステムから取り出され、次いで、数分にわたって静止状態に置くためにFOUP又は真空チャンバ中に配置されることが分かる。S140の後、冷却されたウェハWに対してエッチングプロセス200を直接実行することと比較して、エッチング選択比が実質的に向上される。
【0086】
[0093]いくつかの実施形態では、ウェハW上の表面改質層の厚さを正確に制御するために、エッチングサイクル数及び各エッチングサイクルについての時間長が正確に制御される必要がある。表面層除去プロセスのS110において、まずウェハ上の表面改質層の厚さが検査される。表面改質層の厚さに基づいて、表面層除去プロセスに対するエッチングサイクル数が決定される。このことから、表面層除去プロセスは、表面改質層が完全に除去され、同時に過剰なエッチングが回避されることを保証するために、標的化された様式で実行することができる。
【0087】
[0094]具体的には、表面改質層の厚さが0であると検出されたとき、表面層除去プロセスのエッチングサイクル数は0であると決定される。即ち、表面層除去プロセスのS120~S150がスキップされ、エッチングプロセス200が直接実行される。このことから、表面改質層がエッチング選択比に影響を及ぼさないことを保証しながら、エッチングプロセスが簡略化され、エッチング効率が向上される。
【0088】
[0095]いくつかの実施形態では、S210は、S220を実行する前にウェハWの表面上に表面改質層(又は酸化物層)が存在しないことを保証するための、ウェハWの表面上の表面改質層の厚さの再検査を含む。このことから、高いエッチング選択比を達成することができる。
【0089】
[0096]いくつかの実施形態では、エッチング反応及び固体エッチング反応物の昇華は、同じチャンバ中で起こる。即ち、エッチング及びパージングサイクル数を増加させることを通して、エッチング量が増加する。実際の実施では、自動化プロセスレシピにおけるサイクル数のみが増加する。ウェハは、プロセスチャンバの内外で頻繁に交換される必要はない。代替として、上記の2つのプロセスは、エッチングチャンバ及び昇華チャンバ中で別個に実行され得る。実際の実施では、ウェハは、2つのチャンバ間で繰り返し移動される必要がある。加えて、上記の2つの方法が組み合わされ得る。別個のチャンバプロセスは、元の反応環境からウェハを除去し、自由に存在するエッチングガス及びエッチング反応物のウェハ表面上への二次堆積を回避し、ウェハ表面上の上記成分の昇華及び排出を抑制するのに有益である。
【0090】
[0097]いくつかの実施形態では、エッチングパラメータは、供給されるエッチングガスの圧力及びNH3ガスの比率を低減するように最適化される。このことから、エッチングプロセスの初期エッチング速度が低減された後、エッチングパラメータもまた、表面層除去プロセスに適用され得る。
【0091】
[0098]いくつかの実施形態では、エッチングプロセスの各シングルステップエッチング時間長がSiO2膜のエッチングインキュベーション時間長よりも短くないという条件下で、シングルステップエッチング時間長は、SiN膜のエッチングインキュベーション時間長に対してSiO2膜のエッチングインキュベーション時間長により近く、それによって、SiO2/SiNの高いエッチング選択比を保証する。即ち、SiO2膜のエッチングインキュベーション時間長≦第1のエッチング時間長<第2のエッチング時間長<<SiN膜のエッチングインキュベーション時間長である。
【0092】
[0099]実施形態3に示すように、各シングルステップエッチング時間長がSiO2膜のエッチングインキュベーション時間長よりも短くないという条件下で、SiNのインキュベーション時間長よりも実質的に短いシングルステップエッチング時間長は、ウェハWの表面上に堆積されたエッチングガス及びエッチング反応物の適時でなく且つ不十分なパージングに起因してSiNのエッチングインキュベーション時間長に近づく又は超えさえする時間延長を更に回避する。このことから、各シングルステップエッチング時間長が短いほど、各パージング時間長に利用可能な時間が長くなる。SiN膜のエッチングインキュベーション時間長に近づくか又は超えると、エッチングガス及びエッチング反応物は完全に除去されて、SiN膜のエッチングが回避される。加えて、シングルステップエッチング時間長が長くなると、エッチング反応物がウェハWの表面上に過剰に付着及び堆積してしまい、完全に昇華、パージング、及び除去することが困難となり、それによって、エッチングガスを更に吸収し、SiN膜がエッチングされてしまう。そのため、シングルステップエッチング時間長は、SiN膜のエッチングインキュベーション時間よりもSiO2膜のエッチングインキュベーション時間に近く、それによって、SiO2/SiNの高いエッチング選択比を保証する。
【0093】
[00100]エッチング方法の実施形態における上記のプロセス要件を満たすために、本開示は、酸化ケイ素膜を酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜とを含むウェハWの表面上に選択的にエッチングするためのエッチングデバイスを提供する。図7に示すように、エッチングデバイスは、プロセスチャンバ210を含む。プロセスチャンバ210は、ガス供給ユニット及び基部240を含む。ガス供給ユニットは、ガス吸気経路と、流均等化チャンバ220と、ガス分配器230とをこの順に含む。ガス吸気経路は、ガス源部とガス予混合部とをこの順に含む。ガス源部は、複数のガスをそれぞれ出力及び供給する複数の単一ガス源を含む。複数のガスは、予混合部において予混合される。特に、ガス源部は、HFガス源311、N2ガス源312、及びNH3ガス源313を含む。ガス源部は、複数の単一ガス源を制御するために、第1の質量流コントローラ321、第2の質量流コントローラ322、第3の質量流コントローラ323、及び第4の質量流コントローラ324を更に含む。第1の質量流コントローラ321は、HFガス源311のガス経路を制御する。第4の質量流コントローラ324は、NH3ガス源313のガス経路を制御する。N2ガス源312は、第2の質量流コントローラ322及び第3の質量流コントローラ323によってそれぞれ制御される2つのガス経路を含む。第1の質量流コントローラ321及び第2の質量流コントローラ322によってそれぞれ制御されるガス経路は、第1の混合ポイント331において合流する。第3の質量流コントローラ323及び第4の質量流コントローラ324によってそれぞれ制御されるガス経路は、第2の混合ポイント332において合流する。第1の混合ポイント331のガス経路及び第2の混合ポイント332のガス経路は、第3の混合ポイント333において合流し、流均等化チャンバ220に入る。ガスは、流均等化チャンバ220中で完全に混合される。次いで、混合ガスは、ガス分配器230を通してウェハWの処理対象表面上に噴霧される。流入ガスは、ガス分配器230を通して噴霧される前に、流均等化チャンバ220中で完全に混合され、それによって、エッチング効率を効果的に増加させる。混合ポイントにおいて前もってガスを混合することを通して、ガス分配器230から流出するガスが高濃度のHN4Fを含むことを保証することができる。HN4Fは低温で固体であるため、ガス分配器230は120℃よりも高く加熱される必要がある。
【0094】
[00101]いくつかの実施形態では、高温加熱デバイスが、基部240に配置される。基部240の温度は、固体エッチング反応物を迅速に昇華させ、ウェハWの表面から排出することができることを保証し、固体エッチング反応物がウェハWの表面に付着することを防止するために、120℃以上に上昇される。加えて、基部240は昇降可能な基部として構成され、同時に、プロセスチャンバ210は縮小される。アダプタは、プロセスチャンバ210から排除される。プロセスチャンバ210と昇降可能な基部240との結合を通して、ウェハWの表面とガス分配器230との間の空間体積が、可能な限り低減される。このようにして、エッチングガスを迅速に除去することができ、残留エッチングガスの過剰な滞留を回避することができ、SiNのインキュベーション時間長を超えることがなく、SiNがエッチングされることがなく、エッチング選択比の向上は影響を受けないであろう。
【0095】
[00102]いくつかの実施形態では、ガス吸気経路は、ガス源部とガス予混合部とをこの順に含む。ガス源部は、複数のガスをそれぞれ出力及び供給する複数の単一ガス源を含む。複数のガスは、予混合部において予混合される。ガス予混合部中での複数のガスの混合は、エッチングガスの混合効果及びエッチング効率を更に向上させる。
【0096】
[00103]いくつかの実施形態では、加熱デバイスは、エッチングプロセスの温度が120℃以上であるように、ガス供給ユニット及び基部にそれぞれ配置される。一方では、エッチングガスの混合から生じたHN4Fが、凝縮してガス供給経路を閉塞することを防止される。他方では、ウェハ表面上でのエッチング反応物の昇華速度を促進させることができ、同時に、エッチング速度を増加させ、エッチング反応物の堆積によって引き起こされるエッチング選択比の低減を回避することができる。
【0097】
[00104]本開示はまた、空隙誘電体層を提供し、それは、空隙誘電体層が高いエッチング選択比を有するように、上記で説明したエッチング方法によって形成される。
【0098】
[00105]本開示はまた、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を提供し、それは、DRAMのパフォーマンスを向上させることができるように、空隙誘電体層を含む。
【0099】
[00106]本開示の実施形態では、開示したデバイス及び方法が他の様式で実装され得ることが理解されるべきである。上記で説明したデバイスの実施形態は、単なる例示に過ぎない。エッチング方法がソフトウェア機能モジュールの形態で実装され、独立した製品として販売又は使用される場合、それはコンピュータ可読記憶媒体中に記憶することができる。そのような理解に基づいて、本開示の技術的解決策又は既存の技術を超える技術的寄与のうちのいくつかは、ソフトウェア製品の形態で具現化することができる。コンピュータソフトウェア製品は、本開示の様々な実施形態において説明した方法のステップの全て又は一部を実行するために、コンピュータデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーキングデバイス、等)によって実行することができる複数の命令を含む記憶媒体中に記憶され得る。記憶媒体は、USBディスク、ポータブルハードドライブ、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク、光ディスク、及びプログラムコードを記憶することができる他の媒体を含む。
【0100】
[00107]効果例
【0101】
[00108]以下では、本発明の効果を例示するために様々な例を説明する。
【0102】
[00109]例1
【0103】
[00110]表2に示すように、表面改質層の存在下で、2つのエッチング方法が、比較のためにサンプルc及びdに対してそれぞれ実行された。表面層除去プロセス及びエッチングプロセスが、サンプルcに対して実行され、その一方で、エッチングプロセスのみが、サンプルdに対して実行された。2つのサンプルについて、SiO2のエッチング量は実質的に同じであったが、SiNのエッチング量は実質的に異なっていた。表面層除去プロセスがエッチング選択比を有意に向上させたことが分かる。表2は、異なるエッチング方法に対するSiO2/SiNのエッチング選択比間の実験比較を例示する。
【表2】
【0104】
[00111]例2
【0105】
[00112]表3に示すように、表面層除去プロセスとエッチングプロセスとの間の異なる遷移が比較される。表3は、異なる遷移に対するSiO2/SiNのエッチング選択比間の実験比較を例示する。
【表3】
【0106】
[00113]オプションとして、表面層除去プロセス及びエッチングプロセスを別個に実行することができることが分かる。即ち、表面層除去プロセスが完了した後、ウェハは、その後エッチングプロセスを実行することができるようになる前に、ウェハ表面上に堆積されたエッチング反応物を除去するために十分に加熱される必要があった。一般に、表面層除去プロセスが完了した後、ウェハは、エッチングプロセスを実行するためにプロセスチャンバに移送される前に、十分な昇華及び排出のために昇華チャンバに移送された。表面層除去プロセスとエッチングプロセスとの両方をプロセスチャンバ中で連続的に実行することは一般的ではなかった。表3の実験比較結果は、表面層除去プロセス及びエッチングプロセスが別個に実行されたとき、SiNのエッチング量の実質的な増加を回避することができ、それによって、SiO2/SiNのエッチング選択比を向上させることができることを示す。
【0107】
[00114]例3
【0108】
[00115]図8に示すように、表面改質層の不在下で、上記のエッチング方法を使用し、且つ実験試験を通して、SiO2及びSiNのエッチング量対エッチング時間長の変動曲線を、プロセス温度120℃のある特定のプロセス条件下で描いた。SiO2及びSiNのエッチング量は、エッチング時間長が1->2秒及び5->6秒付近で実質的に増加し始めることが分かった。この条件から、SiNのエッチングインキュベーション時間は約5~6秒であり、SiO2のエッチングインキュベーション時間長は約1~2秒であることを推測することができた。同時に、SiNがエッチングされないという前提の下でのSiO2の最大エッチング量は、約250Åであることが試験された。異なるプロセスパラメータ(例えば、圧力、流量、温度、等)は、異なるエッチングインキュベーション時間長、及び開示したエッチング方法によって達成されるSiO2/SiNの異なるエッチング選択比に対応することに留意されたい。図8は、120℃、8トル、流量20sccmで流れるHFガス、流量100sccmで流れるNH3ガス、流量450sccmで流れるN2ガスの条件下で得られた実験データを例示する。
【0109】
[00116]上記の実験結果を考慮して、SiO2のエッチング量が1500Åを超えるという条件下で、シングルステップエッチング時間長及びエッチングサイクル数などのパラメータを微調整することを通して、500:1以上のエッチング選択比を達成することができた。いくつかの場合、エッチング選択比は1000:1に達し、それは、従来のアンモニアガス触媒プロセスより有意に高かった。
【0110】
[00117]表4に示すように、シングルステップエッチング時間長がSiO2膜のエッチングインキュベーション時間長よりも短くないという条件下で、シングルステップエッチング時間が短いほど、SiO2/SiNのエッチング選択比が高いと結論付けることができた。本開示の分析によると、シングルステップエッチング時間長がSiO2のエッチングインキュベーション時間長よりも短くないという条件下で、SiNのエッチングインキュベーション時間長よりも実質的に短かったシングルステップエッチング時間長は、ウェハWの表面上に堆積されたエッチングガス及びエッチング反応物の適時でなく且つ不十分なパージングに起因してSiNのエッチングインキュベーション時間長に近づく又は超えさえする時間延長を更に回避した。このことから、シングルステップエッチング時間長が短いほど、パージング時間長に利用可能な時間が長くなる。従って、SiN膜のエッチングインキュベーション時間長に近づくか又は超える前に、エッチングガス及びエッチング反応物は完全に除去されて、SiN膜のエッチングが回避された。加えて、シングルステップエッチング時間長が長くなると、エッチング反応物がウェハWの表面上に過剰に付着及び堆積してしまい、完全に揮発、パージング、及び除去することが困難となり、それによって、エッチングガスを更に吸収し、SiN膜がエッチングされてしまう。
【0111】
[00118]従って、オプションとして、シングルステップエッチング時間長は、SiN膜のエッチングインキュベーション時間よりもSiO2膜のエッチングインキュベーション時間に近く、それによって、SiO2/SiNの高いエッチング選択比を保証する。
【0112】
[00119]表4は、異なるシングルステップエッチング時間長対エッチングサイクル数についてのSiO2/SiNのエッチング選択比の実験比較を例示する。
【表4】
【0113】
[00120]本開示を、一般的な説明及び特定の実施形態を用いて上記で詳細に説明してきたが、本開示に基づいていくつかの修正又は改良を行うことができ、それは、当業者には明らかであろう。従って、本開示の趣旨から逸脱することなく行われるこれらの修正又は改良は、本開示の特許請求される保護の範囲内に含まれる。
以下に、本出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 酸化ケイ素膜を前記酸化ケイ素膜と窒化ケイ素膜とを含むウェハ表面上に選択的にエッチングするためのエッチング方法であって、
第1のエッチング速度で前記酸化ケイ素膜をエッチングし、前記窒化ケイ素膜上を覆っている表面改質層を除去することを含む表面層除去プロセスと、
第2のエッチング速度で前記酸化ケイ素膜をエッチングすることを含むエッチングプロセスと
を備え、前記第1のエッチング速度は、前記第2のエッチング速度よりも遅い、エッチング方法。
[2] 前記表面層除去プロセスは、
第1の所定の圧力で、及び第1のエッチング時間長内で前記ウェハ表面をエッチングするためにエッチングガスを使用することを含む第1のエッチングステップと、
第1のパージング圧力で、及び第1のパージング時間長内で前記ウェハ表面をパージングするためにパージングガスを使用することを含む第1のパージングステップと、
前記表面改質層が除去されるまで前記第1のエッチングステップと前記第1のパージングステップとを繰り返すことと
を備える、[1]に記載のエッチング方法。
[3] 前記エッチングプロセスは、
第2の所定の圧力で、及び第2のエッチング時間長内で前記酸化ケイ素膜をエッチングするために前記エッチングガスを使用することを含む第2のエッチングステップと、
第2のパージング圧力で、及び第2のパージング時間長内で前記ウェハ表面をパージングするために前記パージングガスを使用することを含む第2のパージングステップと、
前記酸化ケイ素膜の目標エッチング量に達するまで前記第2のエッチングステップと前記第2のパージングステップとを繰り返すことと
を備える、[2]に記載のエッチング方法。
[4] 前記第1の所定の圧力は、前記第2の所定の圧力よりも低い、
[3]に記載のエッチング方法。
[5] 前記第1の所定の圧力は、約1トル~3トルであり、
前記第2の所定の圧力は、約5トル~10トルである、
[4]に記載のエッチング方法。
[6] 前記第1のエッチング時間長は、前記第2のエッチング時間長よりも短い、
[3]に記載のエッチング方法。
[7] 前記第1のエッチング時間長は、約1秒~3秒であり、
前記第2のエッチング時間長は、約1秒~5秒である、
[6]に記載のエッチング方法。
[8] 前記エッチングガスは、第1の成分ガス及び第2の成分ガスを含み、
前記第1の成分ガスは、フッ化水素ガスを含み、前記第2の成分ガスは、アンモニアガスを含む、
[3]に記載のエッチング方法。
[9] 前記第2のパージングステップは、前記第2のパージング圧力で、及び前記第2のパージング時間長内で前記ウェハ表面をパージングするために前記第2の成分ガスを使用することを更に含む、
[8]に記載のエッチング方法。
[10] 前記パージングガスは、窒素(N 2 )ガス又は不活性ガスのうちの少なくとも1つを含む、
[2]に記載のエッチング方法。
[11] 前記表面層除去プロセスでは、前記第1の成分ガスは、第1の流量で供給され、
前記エッチングプロセスでは、前記第1の成分ガスは、第2の流量で供給され、前記第1の流量は、前記第2の流量よりも大きい、
[8]に記載のエッチング方法。
[12] 前記表面層除去プロセスと前記エッチングプロセスとの両方のプロセス温度は、120℃以上である、
[1]に記載のエッチング方法。
[13] 前記表面層除去プロセスと前記エッチングプロセスとの間に、
ウェハ上で加熱プロセス及び昇華プロセスを実行することと、
前記昇華プロセス後に、前記ウェハを室温まで冷却することと
を更に備える、[1]~[12]のうちのいずれか一項に記載のエッチング方法。
[14] 前記昇華プロセスの温度は、180℃以上である、
[13]に記載のエッチング方法。
[15] 前記エッチングプロセスの前に、
昇華及び冷却された前記ウェハを取り出し、所定の時間長にわたって静止状態に置くこと
を更に備える、[13]に記載のエッチング方法。
[16] 前記表面層除去プロセスの前に、
前記第1のエッチングステップ及び前記第1のパージングステップの繰り返し数を決定するために、前記ウェハ表面上の前記表面改質層の厚さを検査すること
を更に備える、[2]~[11]のうちのいずれか一項に記載のエッチング方法。
[17] 前記第2のエッチングステップにおける総ガス流は、前記第2のパージングステップにおける総ガス流と同じである、
[3]に記載のエッチング方法。
[18] 前記表面改質層は、ケイ素、窒素、及び酸素の少なくとも3つの元素を含む、
[1]に記載のエッチング方法。
[19] 空隙誘電体層であって、
前記空隙誘電体層は、[1]~[18]のうちのいずれか一項に記載のエッチング方法を使用して形成される、空隙誘電体層。
[20] ダイナミックランダムアクセスメモリであって、
前記ダイナミックランダムアクセスメモリは、[19]に記載の前記空隙誘電体層を含む、ダイナミックランダムアクセスメモリ。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8