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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】圧延装置
(51)【国際特許分類】
   B21B 31/20 20060101AFI20230921BHJP
   B21B 29/00 20060101ALI20230921BHJP
   B21B 13/14 20060101ALI20230921BHJP
   B21B 31/18 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B21B31/20 D
B21B29/00 A
B21B13/14 C
B21B31/18 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545968
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2020085769
(87)【国際公開番号】W WO2021151571
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】102020201071.4
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020206123.8
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ディール・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ゾーラー・イェルン
(72)【発明者】
【氏名】クライン・アーヒム
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-005608(JP,B1)
【文献】特開2012-157876(JP,A)
【文献】特開2000-024710(JP,A)
【文献】米国特許第03610013(US,A)
【文献】特開昭49-059755(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第01452153(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/00-31/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの上下のワークロール(3,4)と、少なくとも1つの上下のバックアップロール(5,6)を有し、ワークロール(3,4)とバックアップロール(5,6)が、共通のロールスタンド(2)内に支承され、ワークロール(3,4)が、所定のロールギャップ(7)の設定をするために互いに相対的に調整可能であり、ワークロール(3,4)が、それぞれ少なくとも1つの曲げ装置と作用結合しており、少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上のワークロール(4)に付設され、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下のワークロール(3)に付設され、第2の曲げ装置が、垂直方向に位置不動に配置された曲げシリンダ(14)を有し、上のワークロール(4)が、第1の曲げ装置によってロールギャップ(7)の高さ(8)の垂直方向の設定をすることにより再調整可能又は移送可能であり、第1の曲げ装置が、位置不動に配置された曲げシリンダ(15)と協働する曲げアーム(16)を有する圧延装置(1)において、
第1の曲げ装置の曲げシリンダ(15)が、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の上のクロスヘッド(34)に支持されること、ワークロール(3,4)の少なくとも一方のために少なくとも1つの軸方向シフト装置(21)が設けられていること、及び、少なくとも1つの軸方向シフト装置(21)が、第1の曲げ装置の曲げアーム(16)と作用結合していること、を特徴とする圧延装置。
【請求項2】
ロールギャップ(7)の高さ(8)を設定する時に、第1の曲げ装置の曲げアーム(16)が、上のワークロール(4)を連行すること、を特徴とする請求項1に記載の圧延装置。
【請求項3】
第2の曲げ装置の曲げシリンダ(14)が、位置不動のブロック(13)内に垂直に配置され、下のワークロール(3)のワークロールチョック(11)に作用すること、を特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の圧延装置。
【請求項4】
第2の曲げ装置の曲げシリンダ(14)が、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の厚肉部内に配置されていること、を特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の圧延装置。
【請求項5】
第1の曲げ装置の曲げシリンダ(15)が、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の上のクロスヘッドの切欠き(35)内に挿入されていること、を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の圧延装置。
【請求項6】
第1の曲げ装置の曲げシリンダ(15)が、それぞれ、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の外側に固定されていること、を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の圧延装置。
【請求項7】
第1の曲げ装置の曲げアーム(16)が、曲げアームの終端における相応に形成された厚肉部(17)によって、上のワークロールのワークロールチョック(12)を下から把持すること、を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の圧延装置。
【請求項8】
第1の曲げ装置の曲げアーム(16)が、正と負の両方のワークロール曲げを実現するために、上のワークロール(4)のワークロールチョック(12)の相応の輪郭を完全に包囲する切欠き(36)を備えていること、を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の圧延装置。
【請求項9】
上のバックアップロール(6)が、それぞれ、このバックアップロールの終端において、バックアップロールチョック(10)内に支承されていること、及び、バックアップロールチョック(10)が、バックアップロール(6)の自重を補償するバランス取りシリンダと作用結合していること、を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の圧延装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの上下のワークロールと、少なくとも1つの上下のバックアップロールを有し、ワークロールとバックアップロールが、共通のロールスタンド内に支承され、ワークロールが、所定のロールギャップの設定をするために互いに相対的に調整可能であり、ワークロールが、それぞれ少なくとも1つの曲げ装置と作用結合しており、少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上のワークロールに付設され、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下のワークロールに付設され、第2の曲げ装置が、垂直方向に位置不動に配置された曲げシリンダを有し、上のワークロールが、第1の曲げ装置によってロールギャップの高さの垂直方向の設定をすることにより再調整可能又は移送可能である圧延装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記形式の圧延装置は、例えば欧州特許第2342026号明細書から知られている。欧州特許第2342026号明細書には、ワークロール曲げ及びバランス取りシリンダを有する圧延装置が記載されている。下のワークロール用の曲げシリンダは、位置不動のブロック内に垂直に配置されている。上のワークロール用の曲げ装置は、ロールハウジングのガイド内に垂直方向に移動可能な曲げアームを特徴とする。この場合、曲げシリンダは、ロールハウジングの窓内のそのクロスヘッドの下で、上のバックアップロールのバランス取りアームに、バランス取りアームのクロスビームを介して案内されている。即ち、曲げシリンダは、上のロールの位置決め時に、バックアップロールバランサと共に移動される。クロスビームに取り付けられた曲げアームを介して、上のワークロールのチョックは、垂直に力の作用を受ける。この圧延装置により、ワークロール-軸方向シフト及び曲げ装置が提供され、このワークロール-軸方向シフト及び曲げ装置により、約1100mmまでの非常に高いロール上昇が実現可能である。
【0003】
但し、欧州特許第2342026号明細書に記載されたワークロール-軸方向シフト及び曲げ装置は、ロールギャップ輪郭に影響を与えるための上の曲げシリンダの操作時に、上のバックアップロールバランサとの相互作用が生じ得るとの欠点がある。少なくとも、ロールギャップ輪郭へのマイナスの作用が惹起され得ないように、上のバックアップロールバランサのシリンダを著しく強く形成することが必要である。上のバックアップロールバランサによる力の流れの中に配置されている部品は、比較的高い力を受けるように設計されていなければならない。
【0004】
特開昭56-80308号公報から、少なくとも1つの上下のワークロールと、少なくとも1つの上下のバックアップロールを有し、ワークロールとバックアップロールが、共通のロールスタンド内に支承され、ワークロールが、所定のロールギャップの設定をするために互いに相対的に調整可能であり、ワークロールが、それぞれ少なくとも1つの曲げ装置と作用結合しており、少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上のワークロールに付設され、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下のワークロールに付設され、第2の曲げ装置が、垂直方向に位置不動に配置された曲げシリンダを有し、上のワークロールが、第1の曲げ装置によってロールギャップの高さの垂直方向の設定をすることにより再調整可能又は移送可能であり、第1の曲げ装置が、位置不動に配置された曲げシリンダを備える圧延装置が知られている。
【0005】
別の従来技術は、特開昭60-99405号公報、特開昭59-130607号公報、西独国特許出願公開第3918242号明細書、独国特許出願公開第1002005042069号明細書及び特開2012-143790号公報から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第2342026号明細書
【文献】特開昭60-99405号公報
【文献】特開昭59-130607号公報
【文献】特開2012-143790号公報
【文献】特開昭56-80308号公報
【文献】西独国特許出願公開第3918242号明細書
【文献】独国特許出願公開第1002005042069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある課題は、非常に高いロール上昇を可能にし、その際バックアップロールバランサとの不所望の相互作用を回避する冒頭で述べた形式のロールスタンドを提供することである。特に、本発明の根底にある課題は、最大から最小のロール直径と、最大及び最小のロール上昇において、ハウジング窓内でのワークロールチョックの良好なガイドを可能にするワークロール曲げ装置を冒頭で述べた形式のロールスタンドで実現することである。特に、ワークロール軸方向シフト装置を有する圧延装置においても前記の利点が実現可能とすべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の根底にある課題は、請求項1の特徴によって解決される。発明対象の有利な形態は、従属請求項からわかる。
【0009】
本発明によれば、少なくとも1つの上下のワークロールと、少なくとも1つの上下のバックアップロールを有し、ワークロールとバックアップロールが、共通のロールスタンド内に支承され、ワークロールが、所定のロールギャップの設定をするために互いに相対的に調整可能であり、ワークロールが、それぞれ少なくとも1つの曲げ装置と作用結合しており、第1の曲げ装置が、上のワークロールに付設され、第2の曲げ装置が、下のワークロールに付設され、第2の曲げ装置が、垂直方向に位置不動に配置された曲げシリンダを有し、上のワークロールが、第1の曲げ装置によってロールギャップの高さの垂直方向の設定をするために再調整可能又は移送可能である圧延装置が提供される。本発明による圧延装置は、第1の曲げ装置が、位置不動に配置された曲げシリンダと協働する曲げアームを有すること、を特徴とする。
【0010】
本発明の意味の曲げアームとは、曲げシリンダからワークロールチョックに対する曲げ力の作用位置への空間的な分離を橋渡しする結合要素であると理解する。第2の曲げ装置からの第1の曲げ装置の構造的及び空間的分離により、少なくとも900mm、好ましくは1200mm、特に好ましくは1350mmの特に高いロール上昇が可能にされ得る。
【0011】
ロールギャップの調整時に上のワークロールを移送するため、第1の曲げ装置のストロークは、ロールギャップの高さの垂直方向の設定の移動経路に従うので、圧延過程のために、上のワークロールと上のバックアップロールの間の接触が保証されている。この場合、第1の曲げ装置は、ロール圧下装置から構造的に分離されている。
【0012】
本発明によれば、実質的に、上のバックアップロール用のバランス取りシステムからの上のワークロール用の曲げ装置の切離が企図されている。第1の曲げ装置の曲げシリンダが、垂直方向に位置不動に、好ましくはワークロールチョックの著しく上に配置されていることによって、ハウジング窓内にワークロールチョックを良好にガイドしているにもかかわらず比較的高いロール上昇が保証されている。切離により、整備のための両装置へのアクセスが単純化される。
【0013】
合目的に、ロールギャップの高さを垂直方向に設定する時に、第1の曲げ装置の曲げアームが、上のワークロールを連行すること、が企図されている。
【0014】
ロールギャップの高さは、圧延開始(圧延パス)前にプリセットされる。このため、上に位置するロール圧下装置は、上のバックアップロールを、バックアップロールバランサによって重量に抗して保持される位置に移動させる。上のワークロールは、この垂直移動に従い、上のワークロールは、曲げ装置のアームによって保持される。曲げシリンダは、従って上のワークロールは、圧延パスの間で、まず上のバックアップロールの移動に従う。曲げシリンダの付加的なストロークは、ワークロールの曲げを、従ってパス中のロールギャップの輪郭への所望の影響を生じさせる。
【0015】
本発明による圧延装置の1つの好ましい形成の場合、ワークロールが、軸方向及び垂直方向に調整可能であること、が企図されている。
【0016】
第1の、即ち上の曲げ装置の曲げシリンダの位置不動の支承は、特に、ワークロールの軸方向の調整と関連して有利であるが、それは、構造的及び空間的に分離されたバックアップロールバランサが、この配置の場合は、付加的にワークロールの曲げから生じる反力の作用を受けないからである。
【0017】
好ましくは、ワークロールの少なくとも一方のために少なくとも1つの軸方向シフト装置が設けられている。例えば上のワークロールの軸方向シフト装置は、ロールハウジングに位置不動に又は片持ち式に配置することができる。
【0018】
本発明による圧延装置の1つの有利なバリエーションの場合、少なくとも1つの軸方向シフト装置が、第1の曲げ装置の曲げアームと作用結合していること、が企図されている。作用結合は、曲げアームと軸方向シフト装置の間の直接的な結合を介して達成することができる。例えば別のバー又はガイドを介する間接的な結合も、作用結合を保証する。
【0019】
第2の曲げ装置の曲げシリンダは、位置不動のブロック内に垂直に配置し、下のワークロールのワークロールチョックに作用することができる。
【0020】
本発明による圧延装置の1つのバリエーションの場合、第2の曲げ装置の曲げシリンダが、ロールスタンドのロールハウジングの厚肉部内に配置されていること、が企図されている。
【0021】
本発明によれば、第1の曲げ装置、即ち上のロール配置(上のワークロールと上のバックアップロール)を連行する曲げ装置の曲げシリンダが、それぞれ、ロールスタンドのロールハウジングの上のクロスヘッドに支持される。曲げシリンダのこのように高い配置により、上のロール配置用の比較的大きい調整経路が保証されている。
【0022】
例えば、第1の曲げ装置の曲げシリンダは、ロールスタンドのロールハウジングの上のクロスヘッドの切欠き内に挿入することができる。
【0023】
選択的に、第1の曲げ装置の曲げシリンダは、それぞれ、ロールスタンドのロールハウジングの外側に固定することができる。
【0024】
第1の曲げ装置の曲げアームは、好ましくは、ガイド要素によってロールスタンドの切欠き内に、好ましくはそれぞれロールハウジングのハウジング窓内に、垂直に案内されている。
【0025】
第1の曲げ装置の曲げアームは、曲げアームの終端における相応に形成された厚肉部によって、上のワークロールのワークロールチョックを下から把持することができる。
【0026】
選択的に、第1の曲げ装置の曲げアームが、上のワークロールのワークロールチョックの相応の輪郭を完全に包囲する切欠きを備えていること、が企図され得る。このようにして、正と負の両方のワークロール曲げが実現可能である。
【0027】
本発明による圧延装置の場合、好ましくは、上のバックアップロールは、それぞれ、このバックアップロールの終端において、バックアップロールチョック内に支承され、このバックアップロールチョックは、バックアップロールの自重を補償するバランス取りシリンダと作用結合している。
【0028】
本発明を、以下で添付の図面を参照して複数の実施例により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ワークロール対とバックアップロール対を有する本発明の第1の実施例による圧延装置の縦断面図
図2】上のワークロール用の軸方向シフト装置の第1のバリエーションを示す、図1の線B-Bに沿った横断面図
図3】上のワークロール用の軸方向シフト装置の第2のバリエーションを示す、図2に対応する図
図4】本発明の第2の実施例による圧延装置の縦断面図
図5】上の曲げ装置の曲げシリンダの固定部の選択的な形態を示す、図4の圧延装置のロールハウジングの上のクロスヘッドの横断面図
図6図4の線B-Bに沿った横断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず、図1を参照する。図1は、本発明による圧延装置1を示す。圧延装置1は、2つのワークロール3,4と2つのバックアップロール5,6を有するロールスタンド2を有する。実施例で説明するロールスタンド2は、4ロールスタンドとして形成されているが、ロールスタンドは、他の構成を備えることもできる。ワークロール3,4の間に、ロールギャップ7が形成され、このロールギャップ内で、圧延装置1の運転時、圧延材が引き込まれる。ロール上昇とも呼ばれるロールギャップ7の高さ8は、本発明による圧延装置1の場合は調整可能であり、しかも、これは、上のロール圧下装置28と、場合によっては図示してない下のロール圧下装置を介してである。更に、ワークロール3,4は、以下で更に説明するように、軸方向にも調整可能であるので、互いに相対的なワークロール3,4の軸方向の調整を介してロールギャップ6の輪郭への影響が可能である。
【0031】
ワークロール3,4とバックアップロール5,6は、操作側に1つと駆動側に1つの2つのロールハウジング31を有するロールスタンド2内に保持されている。ロールハウジング31は、全ての圧延荷重が内力を介してバランスを保たれる閉じたフレームとして形成されている。ロールスタンド2は、バックアップロールチョック9,10とワークロールチョック11,12を収容し、これらチョックは、それぞれ、ロールハウジングによって構成される窓32内に移動可能に配置されている。バックアップロールチョック9,10は、下及び上のバックアップロール5,6を支承し、図面に図示したバックアップロールチョック10は、上のバックアップロール6を支承し、バックアップロールチョック9は、下のバックアップロール5を支承する。
【0032】
バックアップロールチョック9,10の間に、ワークロールチョック11,12が配置され、これらワークロールチョック内に、ワークロール3,4が支承されている。上のワークロールチョック12が、上のワークロール4を支承し、これに対して、下のワークロールチョック11が、下のワークロール3を支承する。
【0033】
下のワークロール3を収容するワークロールチョック11は、位置不動のブロック13内に移動可能に配置されている。ブロック13は、下のワークロール3を曲げ得るために、曲げシリンダ14を収容する。下のワークロール3用のワークロールチョック11に作用する間がシリンダ14は、第2の視野の曲げ装置の一部である。ブロックに対して選択的に、ロールスタンド2は、曲げシリンダ14を収容するための厚肉部を備えることもできる(図示してない)。
【0034】
上のバックアップロール6用のバックアップロールチョック10に、バランス取りアーム33が作用し、このバランス取りアームを介して、図示してないバランス取りシリンダにより、バックアップロールの自重が、そのチョック6でもって補償可能である。このため、バランス取りアーム33は、フック状の厚肉部を備え、これら厚肉部は、バックアップロールチョック10の相応の突出部を下から把持する。
【0035】
上のワークロール4のワークロール曲げ及び/又はワークロールバランス取りは、曲げシリンダ15を介して実現され、これら曲げシリンダは、曲げアーム16を介して上のワークロール4と作用結合している。曲げシリンダ15と曲げアーム16は、第1の上の曲げ装置の一部である。曲げシリンダ15は、ロールハウジング2の上のクロスヘッド34に位置不動に支承もしくはロールハウジング2の上のクロスヘッド34に支持され、ロールハウジング2の切欠き35を貫通する。曲げシリンダ15は、実質的に垂直に延在する。曲げシリンダ15の延長部内で、これら曲げシリンダに、それぞれ下端に厚肉部17を備える曲げアーム16が固定されている。曲げアーム16の厚肉部17は、上のワークロール4のワークロールチョック12の横の耳状の突出部に下から把持する。曲げシリンダは、好ましくは、ロール摩耗にロール上昇を加えたものを上回る大きいストローク用に設計されている。
【0036】
曲げアーム16は、ガイド要素18によってロールスタンド2もしくはロールスタンド2のロールハウジング31の切欠き内に垂直に案内されている。ロールギャップ7の高さ8を設定するときに、上のワークロール4と上のバックアップロール6は、厚肉部17によってワークロールチョック12を下から把持する曲げアーム16を介して移送される。
【0037】
ワークロール3,4の曲げ広げに圧延材によって対抗するために、曲げシリンダ14,15は、ワークロール3,4の外側の端領域に作用し、これにより、ワークロール3,4の端領域で、ロールギャップ7から垂直に外に向けられた力を、ワークロール3,4の中心の領域で有効な圧延材の力に応じて加える。
【0038】
曲げシリンダ14,15は、図1に図示した本発明の第1の実施例の場合、いわゆる正のワークロール曲げを達成するために使用される。いわゆる負のワークロール曲げによるプロファイルに影響を与えるための調整領域を増大させるために、それぞれ垂直に作用する付加的なピストン-シリンダ-システム19,20が設けられている。
【0039】
図4は、本発明による圧延装置1の第2の実施例を示す。同じ部品は、同じ符号を備えている。図1による実施例とは違って、そこでは、第1の上の曲げ装置の曲げシリンダ15は、窓32の上の領域で部分的に下からロールスタンド2の上のクロスヘッド34の矢筒状の切欠き35に挿入されている。
【0040】
更に、図4による実施例は、曲げアーム16に窓状の切欠き36が設けられ、これら切欠きに、上のワークロール4用のワークロールチョック12の相応に形成された条片37が係合する点で、図1によるものとは異なる。これにより、上のワークロール4用のワークロールチョック12は、垂直に反対の方向に固定されているので、上のワークロール4は、曲げシリンダ15によって正と負の両方に曲げることができる。
【0041】
図5は、ロールスタンド2への曲げシリンダ15の位置不動の固定の選択的なバリエーションを示す。ここでは、複数の曲げシリンダ15が、ロールスタンド2のロールハウジング31の外側に配置され、それぞれ曲げアーム16の延長部30に作用する。
【0042】
本発明による圧延装置1も、それぞれワークロール3,4の外側の端領域に配置された軸方向シフト装置21を有する。
【0043】
ワークロール3,4を軸方向にシフトさせるための軸方向シフト装置は、操作側のワークロールチョック11,12に設けられ、油圧操作可能なピストン-シリンダ-ユニットを有する。この場合、それぞれ、ピストン-シリンダユニットのピストンは、相応のチョックに案内された保持アーム24と結合されている。操作側のロールハウジング31の両梁部の外側に配置されたロック装置は、圧延運転中に、保持アーム24の水平な移動を、これによりピストン-シリンダ-ユニットのピストン22の軸方向の移動を防止する。ピストン-シリンダ-ユニットのピストン側又はロッド側の圧力作用により、ワークロールチョック11,12内に支承されたワークロール3,4の軸方向のシフトが実現される。
【0044】
図2は、軸方向シフト装置21の構造と、上のワークロール4と軸方向シフト装置の協働を示す、図4の線B-Bに沿った図4による圧延装置1の横断面図を示す。軸方向シフト装置は、油圧の作用を受ける少なくとも1つのピストン22を有し、このピストンは、アバットメント25を介して保持アーム24に配置されている。保持アーム24は、ワークロールチョック11,12内に水平に滑動するように配置され、ロールスタンド2の外側に固定されかつロール軸23の方向の保持アーム24の水平な移動を防止する横の保持装置29によって包囲される。これにより、軸方向シフト装置21のピストン22も軸方向に固定されている。保持アーム24は、横の保持装置29内で垂直方向に可動である。
【0045】
図2に示した横断面図から、ロールハウジング31もしくはロールハウジング31の梁部の相応に形成されたガイド溝38と曲げアームの成形された外側のガイド要素18との協働も認めることができる。
【0046】
図3は、軸方向シフト装置21の選択的な形態を示す。同じ部品は、図3で同じ符号を備えている。図3による軸方向シフト装置21は、保持装置29が曲げアーム16に固定され、従ってロールギャップ7の高さ8の設定時に移送される点で、図2に図示した軸方向シフト装置と異なる。
【0047】
図6は、ロールスタンド内での曲げアーム16の案内の選択的な形態を示す。ロールハウジング31の梁部とは逆の側に、曲げアーム16は、ロールハウジング31の梁部の相応のガイドプロファイル39を包囲するガイド溝38を備えている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.少なくとも1つの上下のワークロール(3,4)と、少なくとも1つの上下のバックアップロール(5,6)を有し、ワークロール(3,4)とバックアップロール(5,6)が、共通のロールスタンド(2)内に支承され、ワークロール(3,4)が、所定のロールギャップ(7)の設定をするために互いに相対的に調整可能であり、ワークロール(3,4)が、それぞれ少なくとも1つの曲げ装置と作用結合しており、少なくとも1つの第1の曲げ装置が、上のワークロール(4)に付設され、少なくとも1つの第2の曲げ装置が、下のワークロール(3)に付設され、第2の曲げ装置が、垂直方向に位置不動に配置された曲げシリンダ(14)を有し、上のワークロール(4)が、第1の曲げ装置によってロールギャップ(7)の高さ(8)の垂直方向の設定をすることにより再調整可能又は移送可能である圧延装置(1)において、
第1の曲げ装置が、位置不動に配置された曲げシリンダ(15)と協働する曲げアーム(16)を有すること、を特徴とする圧延装置。
2.ロールギャップ(7)の高さ(8)を設定する時に、第1の曲げ装置の曲げアーム(16)が、上のワークロール(4)を連行すること、を特徴とする上記1に記載の圧延装置。
3.ワークロール(3,4)が、軸方向及び垂直方向に調整可能であること、を特徴とする上記1又は2に記載の圧延装置。
4.ワークロール(3,4)の少なくとも一方のために少なくとも1つの軸方向シフト装置(21)が設けられていること、を特徴とする上記1~3のいずれか1つに記載の圧延装置。
5.少なくとも1つの軸方向シフト装置(21)が、第1の曲げ装置の曲げアーム(16)と作用結合していること、を特徴とする上記4に記載の圧延装置。
6.第2の曲げ装置の曲げシリンダ(14)が、位置不動のブロック(13)内に垂直に配置され、下のワークロール(3)のワークロールチョック(11)に作用すること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載の圧延装置。
7.第2の曲げ装置の曲げシリンダ(14)が、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の厚肉部内に配置されていること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載の圧延装置。
8.第1の曲げ装置の曲げシリンダ(15)が、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の上のクロスヘッド(34)に支持されること、を特徴とする上記1~7のいずれか1つに記載の圧延装置。
9.第1の曲げ装置の曲げシリンダ(15)が、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の上のクロスヘッドの切欠き(35)内に挿入されていること、を特徴とする上記1~8のいずれか1つに記載の圧延装置。
10.第1の曲げ装置の曲げシリンダ(15)が、それぞれ、ロールスタンド(2)のロールハウジング(31)の外側に固定されていること、を特徴とする上記1~8のいずれか1つに記載の圧延装置。
11.第1の曲げ装置の曲げアーム(16)が、曲げアームの終端における相応に形成された厚肉部(17)によって、上のワークロールのワークロールチョック(12)を下から把持すること、を特徴とする上記1~10のいずれか1つに記載の圧延装置。
12.第1の曲げ装置の曲げアーム(16)が、上のワークロール(4)のワークロールチョック(12)の相応の輪郭を包囲する切欠き(36)を備えていること、を特徴とする上記1~10のいずれか1つに記載の圧延装置。
13.上のバックアップロール(6)が、それぞれ、このバックアップロールの終端において、バックアップロールチョック(10)内に支承されていること、及び、バックアップロールチョック(10)が、バックアップロール(6)の自重を補償するバランス取りシリンダと作用結合していること、を特徴とする上記1~12のいずれか1つに記載の圧延装置。
【符号の説明】
【0048】
1 圧延装置
2 ロールスタンド
3 下のワークロール
4 上のワークロール
5 下のバックアップロール
6 上のバックアップロール
7 ロールギャップ
8 ロールギャップ高さ
9 バックアップロールチョック
10 バックアップロールチョック
11 ワークロールチョック
12 ワークロールチョック
13 曲げブロック
14 下のワークロールの曲げシリンダ
15 上のワークロールの曲げシリンダ
16 曲げアーム
17 曲げアームの厚肉部
18 ガイド要素
19 ピストン-シリンダ-システム
20 ピストン-シリンダ-システム
21 軸方向シフト装置
22 ピストン
23 ワークロールの軸
24 保持アーム
25 アバットメント
26 軸受
27 シリンダハウジング
28 上のロール圧下装置
29 横の保持装置
30 曲げアームの延長部
31 ロールハウジング
32 窓
33 上のバックアップロールのバランス取りアーム
34 クロスヘッド
35 クロスヘッドの切欠き
36 ロールハウジングの切欠き
37 条片
38 ガイド溝
39 ガイドプロファイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6