(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-20
(45)【発行日】2023-09-28
(54)【発明の名称】セラミックヒーター
(51)【国際特許分類】
H05B 3/74 20060101AFI20230921BHJP
H05B 3/06 20060101ALI20230921BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H05B3/74
H05B3/06 B
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2023515645
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(86)【国際出願番号】 KR2020012244
(87)【国際公開番号】W WO2022054989
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0115274
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン、チョン チョル
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225015(JP,A)
【文献】特開2013-12413(JP,A)
【文献】特開2017-85087(JP,A)
【文献】特開2017-183609(JP,A)
【文献】特開2016-225016(JP,A)
【文献】特開平10-273370(JP,A)
【文献】特開2012-160368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02-3/18、3/40-3/82
H01L 21/02、21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体が配置されたセラミック材質のヒータープレート;
貫通ホールを有する管状であり、前記ヒータープレートの下面に結合し、前記貫通ホールを通じて前記発熱体に電力を供給するロッドを収容するシャフト;及び
前記ヒータープレートと前記シャフトとが結合すように当接する接合部に設けられた連続的又は断続的なエアポケットを含み、
前記エアポケットは、前記接合部の接合面に沿って形成されて
おり、前記エアポケットは溝を含み、前記溝は、前記シャフトが前記ヒータープレートに接合する上端の曲げ部における前記接合部の接合面に沿って、前記ヒータープレートに形成されており、
前記溝は前記接合面に向かうより前記ヒータープレートに向かって広がるように設けられる、セラミックヒーター。
【請求項2】
前記ヒータープレートと前記シャフトとの間に、前記接合部の前記接合面に沿って形成された接合物質をさらに含み、
前記エアポケットは、前記接合物質に沿って形成されている溝を含む、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【請求項3】
前記接合物質は、AlN 90~97wt%及びY2O3 3~10wt%を含む、請求項2に記載のセラミックヒーター。
【請求項4】
前記接合物質は、AlN 45~75wt%、Al2O3 10~20wt%、CaO 10~20wt%及びY2O3 5~15wt%を含む、請求項2に記載のセラミックヒーター。
【請求項5】
前記溝は断面がT形状であり、接合面側に比べてヒータープレート側においてより広く形成されている、
請求項1に記載のセラミックヒーター。
【請求項6】
前記エアポケットは、前記発熱体の配置経路に沿って前記配置経路に対応する位置に形成される、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【請求項7】
前記ヒータープレートと前記シャフトとの間に、前記接合部の前記接合面に沿って形成された接合物質をさらに含み、
前記エアポケットは、前記接合物質に沿って形成されている、
請求項6に記載のセラミックヒーター。
【請求項8】
前記ヒータープレートは、前記発熱体と離隔して配置された高周波電極をさらに含み、
前記高周波電極は、前記シャフトの前記貫通ホール内に設けられた別のロッドを通じて電力が供給される、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒーターに関し、特に、熱損失が減少したシャフト(shaft)接合構造を有するセラミックヒーターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置又はディスプレイ装置は、誘電体層及び金属層を含む多数の薄膜層を、ガラス基板、フレキシブル基板又は半導体ウエハー基板上に順次に積層した後にパターニングする方式で製造される。それらの薄膜層は化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)工程又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)工程によって基板上に順次に蒸着される。前記CVD工程には低圧力化学気相蒸着(Low Pressure CVD,LPCVD)工程、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD,PECVD)工程、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic CVD,MOCVD)工程などがある。
【0003】
このようなCVD装置及びPVD装置には、ガラス基板、フレキシブル基板、半導体ウエハー基板などを支持して所定の熱を印加するためのヒーターが配置される。前記ヒーターは、支持基板上に形成された薄膜層のエッチング工程(etching process)とフォトレジスト(photoresist)の焼成工程などにも基板加熱のために用いられている。前記CVD装置及びPVD装置に設置されるヒーターは、正確な温度制御、半導体素子の配線微細化及び半導体ウエハー基板の精密な熱処理要求によってセラミックヒーター(Ceramic Heater)が広く用いられている。
【0004】
図1に示すように、従来のセラミックヒーター1は、シャフト20に結合したヒータープレート10を含み、ヒータープレート10は、セラミック材質の間に配置された高周波電極12、発熱体14を含み、シャフト20は、高周波電極12及び発熱体14のそれぞれに連結されて電力を供給するロッド21,23が通るようにホール(hole)を提供する。
【0005】
しかしながら、
図1のような従来のセラミックヒーター1の構造では、発熱体14で発生する熱(例えば、場合によって650℃以上)の一部が、ヒータープレート10の下面と接触しているシャフト20を通じて放出されることによってヒータープレート10における熱損失が増加してしまい、セラミックヒーター1上に配置された基板の温度均一度を低下させる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、ヒータープレートとシャフトとの接合部にエアポケット(Air Pocket)を設けて熱損失を減少させ、半導体装備のチャンバー内のリークの減少、熱応力の減少によるクラック発生の低減、及び熱損失経路の短縮による熱効率の増大を図ることができるセラミックヒーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本発明の特徴を要約すると、上記の目的を達成するための本発明の一面に係るセラミックヒーターは、発熱体が配置されたセラミック材質のヒータープレート;貫通ホールを有する管状のものであり、前記ヒータープレートの下面に結合し、前記貫通ホールを通じて前記発熱体に電力を供給するロッドを収容するシャフト;及び、前記ヒータープレートと前記シャフトとが結合すように当接する接合部に設けられた連続的又は断続的なエアポケットを含み、前記エアポケットは前記接合部の接合面に沿って形成されている。
【0008】
前記セラミックヒーターは、前記ヒータープレートと前記シャフトとの間に、前記接合部の前記接合面に沿って形成された接合物質をさらに含み、前記エアポケットは、前記接合物質に沿って形成されている溝を含む。
【0009】
一実施例として、前記接合物質は、AlN 90~97wt%及びY2O3 3~10wt%を含んでよい。
【0010】
他の実施例として、前記接合物質は、AlN 45~75wt%、Al2O3 10~20wt%、CaO 10~20wt%及びY2O3 5~15wt%を含んでよい。
【0011】
前記エアポケットは、前記接合部の接合面に沿って前記ヒータープレートに形成されている溝を含んでよい。前記溝は、断面がT形状であり、前記接合面側に比べて前記ヒータープレート側においてより広く形成される。
【0012】
前記エアポケットは、前記発熱体の配置経路に沿って前記配置経路に対応する位置に形成されてよい。ここで、前記セラミックヒーターは、前記ヒータープレートと前記シャフトとの間に、前記接合部の前記接合面に沿って形成された接合物質をさらに含み、前記エアポケットは前記接合物質に沿って形成されてよい。また、前記エアポケットは前記接合部の接合面に沿って前記ヒータープレートに形成されてよい。
【0013】
前記ヒータープレートは、前記発熱体と離隔して配置された高周波電極をさらに含み、前記高周波電極は、前記シャフトの前記貫通ホール内に設けられた別のロッドを通じて電力が供給されてよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るセラミックヒーターによれば、エアポケット(Air Pocket)をヒータープレートとシャフトとの接合部に置くことによって熱損失を減少させることができる。前記エアポケットは、半導体装備のチャンバー内のリーク(leak)の減少、熱応力の減少によるクラック発生の低減、及び熱損失経路の短縮による熱効率の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明に関する理解を助けるために詳細な説明の一部として含まれる添付の図面は、本発明に関する実施例を提供し、詳細な説明と一緒に本発明の技術的思想を説明する。
【0016】
【
図1】従来のセラミックヒーターを示す概略断面図である。
【0017】
【
図2】本発明の一実施例に係るセラミックヒーターを示す概略断面図である。
【0018】
【0019】
【
図4】
図2の接合部の接合物質に形成されたエアポケットを説明するための図である。
【0020】
【
図5A】本発明の他の実施例に係るセラミックヒーターの概略断面図及び接合部の拡大図である。
【0021】
【0022】
【
図6】
図5A及び
図5Bのヒータープレートに形成されたエアポケットを説明するためのヒータープレートの底面図である。
【0023】
【
図7】本発明の実施例のセラミックヒーターにおいて発熱体の配置経路に形成されたエアポケットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では添付の図面を参照して本発明について詳しく説明する。このとき、各図において同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付する。また、既に公知の機能及び/又は構成に関する詳細な説明は省略する。以下に開示する内容は、様々な実施例に係る動作を理解する上で必要な部分を重点的に説明し、その説明の要旨を曖昧にさせ得る要素についての説明は省略する。また、図面中、一部の構成要素は誇張されたり、省略されたり、又は概略に示されてよい。各構成要素のサイズは実サイズを全的に反映するものではなく、したがって、ここに記載される内容は、各図に示されている構成要素の相対的なサイズ又は間隔によって限定されない。
【0025】
本発明の実施例を説明するとき、本発明と関連した公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を却って曖昧にさせ得ると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。また、後述する用語は本発明における機能を考慮して定義された用語であり、それらは使用者、運用者の意図又は慣例などによって変わってよい。したがって、その定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて下されるべきであろう。詳細な説明で使われる用語は単に本発明の実施例を記述するためのものであり、決して制限的なものであってはいけない。特に断らない限り、単数形態の表現は複数形態の意味を含む。本説明において、「含む」又は「備える」のような表現は、ある特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せを表すためのものであり、記述された以外の一つ又はそれ以上の他の特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せの存在又は可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0026】
また、第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使われてよいが、これらの構成要素は前記第1、第2などの用語によって限定されるものではなく、これらの用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0027】
図2は、本発明の一実施例に係るセラミックヒーター100を示す概略断面図である。
【0028】
図2を参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックヒーター100は、ヒータープレート110及びシャフト(shaft)120を含む。
【0029】
本発明の一実施例に係るセラミックヒーター100は、半導体ウエハー、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の加工対象基板を支持し、当該加工対象基板を所定の温度に加熱する半導体装置である。セラミックヒーター100は、プラズマ強化化学気相蒸着などの工程に用いられてもよい。
【0030】
ヒータープレート110は、セラミック材質の間に高周波電極112及び(又は)発熱体114が所定の間隔で離隔して配置(埋設)されるように構成されてよい。ヒータープレート110は、加工対象基板を安定して支持しながら発熱体114を用いた加熱及び(又は)高周波電極112を用いたプラズマ強化化学気相蒸着工程が可能なように構成される。ヒータープレート110は、所定の形状を有する板状構造物で形成されてよい。例えば、ヒータープレート110は、円形の板状構造物で形成されてよく、必ずしもこれに限定されない。ここで、セラミック材質は、Al2O3、Y2O3、Al2O3/Y2O3、ZrO2、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO2、TiO2、BxCy、BN、SiO2、SiC、YAG、ムライト(Mullite)、AlF3のうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)であってよい。なお、それぞれのセラミック粉末は選択的に、0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0031】
高周波電極112は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)、窒化アルミニウム(AlN)又はそれらの合金からなってよく、好ましくは、モリブデン(Mo)からなってよい。高周波電極112は連結ロッド121を通じてRF(Radio)電源に連結されたり接地(ground)に連結されてよい。高周波電極112は、ワイヤータイプ(wire type)又はシートタイプ(sheet typ)のメッシュ(mesh)構造を有する。ここで、メッシュ構造は、第1方向に配列された複数の金属と第2方向に配列された複数の金属が互いにずれて交差して形成された網状の構造である。
【0032】
発熱体114は、発熱線(又は、抵抗線)による板状コイルの形態又は扁平なプレートの形態で形成されてよい。また、発熱体114は、精密な温度制御のために多層構造で形成されてもよい。このような発熱体114は、半導体製造工程において連結ロッド123を通じて電源に連結され、円滑な蒸着工程及びエッチング工程などを行うために、ヒータープレート110上の加工対象基板を所定の一定の温度に加熱する機能を果たす。
【0033】
シャフト120は、貫通ホールを有する管(pipe)状であり、ヒータープレート110の下面に結合する。シャフト120は、ヒータープレート100と同じセラミック材質で形成されて結合してよい。ここで、セラミック材質は、Al2O3、Y2O3、Al2O3/Y2O3、ZrO2、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO2、TiO2、BxCy、BN、SiO2、SiC、YAG、ムライト、AlF3のうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)であってよい。なお、それぞれのセラミック粉末は選択的に、0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0034】
シャフト120は、下記のようにセラミックペーストなどの接合物質125でヒータープレート110と結合してよい。場合によって、シャフト120は、ボルト、ナットなどによって機構的にヒータープレート110と結合してもよい。シャフト120の貫通ホールを通じて高周波電極112及び(又は)発熱体114に電力を供給するそれぞれのロッド121,123が収容される。
【0035】
接合物質125でシャフト120とヒータープレート110とが接合される場合に、比較的高温(例えば、1750~1850℃)での接合のために、接合物質125はAlN 90~97wt%及びY2O3 3~10wt%の組成の接合剤からなってよい。又は、接合物質125でシャフト120とヒータープレート110とが接合される場合に、比較的低温(例えば、1600~1700℃)での接合のために、接合物質125はAlN 45~75wt%、Al2O3 10~20wt%、CaO 10~20wt%及びY2O3 5~15wt%の組成の接合剤からなってよい。
【0036】
本発明の一実施例に係るセラミックヒーター100は、特にヒータープレート110とシャフト120とが結合するように当接する接合部190に設けられたエアポケット(air pocket)210を含む。
【0037】
図3は、
図2の接合部190を示す拡大図である。
図4は、
図2の接合部190の接合物質125に形成されたエアポケット210を説明するための図である。
図4は、接合物質125の平面図である。
【0038】
図3及び
図4を参照すると、エアポケット210は、ヒータープレート110とシャフト120とが結合するように当接する接合部190に設けられており、閉ループ(closed loop)を形成する接合部190の接合面(当接する面)に沿って形成される。ヒータープレート110とシャフト120とが結合するように当接する接合部190の接合面に沿って
図4のようにリング状の接合物質125が形成され、ヒータープレート110とシャフト120とを密着結合させる。このような接合物質125がヒータープレート110とシャフト120との接合面に挿入されることが好ましく、これを取り上げて説明する。ただし、場合によって、ヒータープレート110とシャフト120とがボルト、ナットなどによって機構的に結合する場合には接合物質125が必ずしも必要であるわけではない。
【0039】
図4に示すように、ヒータープレート110とシャフト120とが結合するように接合面に挿入される接合物質125は円形のリング状であってよく、したがって、ヒータープレート110とシャフト120との接合面(当接する面)が円形のリング状の閉ループ(中断なく接合面が連続している形状)を形成する。ただし、場合によって、ヒータープレート110とシャフト120との接合面(当接する面)は円形の他、四角形又は様々な多角形、曲線形などの閉ループを形成してもよい。
【0040】
図4に示すように、接合部190の接合物質125に形成されたエアポケット210は、接合物質125に沿って形成されている溝(又は、貫通孔)であり、周囲と厚さが異なるように段差を形成するキャビティ(cavity)(中空の)空間である。
【0041】
このようなエアポケット210は、
図4の(a)のように断続的な形態の溝211で形成されたものを含む。溝211の形状は、円形、四角形、その他多角形などのいずれであってもよく、断続的な形態の溝211同士の間隔は、所定の同一間隔で離隔していることが好ましい。ただし、ヒータープレート110とシャフト120との接合面が不規則な多角形、曲線形などの閉ループを形成する場合には、溝211同士の間隔が同一間隔で一定である必要はなく、適切に真空リーク(leak)がないように溝211同士の間隔が適切な間隔と定められてもよい。
【0042】
また、エアポケット210は、
図4の(b)のように連続的な形態の溝212で形成されたものを含む。ヒータープレート110とシャフト120との接合面(当接する面)がリング状の閉ループを形成するのと同様に、エアポケット210はリング状の閉ループを形成する連続した形態の溝212で形成されてもよい。
【0043】
図5Aは、本発明の他の実施例に係るセラミックヒーター200の概略断面図及び接合部191の拡大図である。
図5Bは、
図5Aの接合部191のエアポケット230の他の実施例である。
【0044】
図5A及び
図5Bを参照すると、本発明の他の実施例に係るセラミックヒーター200における、ヒータープレート110とシャフト120とが結合するように当接する接合部191とそれに設けられたエアポケット230の形態及び構成は、
図2における接合部190及びそれに設けられたエアポケット210と多少の相違を有する。本発明の他の実施例に係るセラミックヒーター200における各構成要素の形態及び構成は、
図2における構成要素の形態及び構成と類似である。
図2の接合部190構造を
図5A及び
図5Bの接合部191と組み合わせて用いることもできる。
【0045】
本発明の他の実施例に係るセラミックヒーター200におけるエアポケット230は、ヒータープレート110とシャフト120とが結合するように当接する接合部191に設けられており、閉ループを形成する接合部191の接合面に沿って形成される。ヒータープレート110とシャフト120とが結合するように当接する接合部191の接合面に沿ってリング状の接合物質125(
図4参照)が形成され、ヒータープレート110とシャフト120とを密着結合させる。このような接合物質125がヒータープレート110とシャフト120との接合面に挿入されることが好ましいが、場合によって、ヒータープレート110とシャフト120とがボルト、ナットなどによって機構的に結合する場合には接合物質125が必ずしも必要なわけではない。
【0046】
図5Aに示すように、本発明の他の実施例に係るセラミックヒーター200におけるエアポケット230は、接合部191の接合面に沿ってヒータープレート110に形成されている溝を含む。すなわち、ヒータープレート110の下面に接合部191の接合面に沿って形成されている溝状のエアポケット230は、周囲と厚さが異なるように段差を形成するキャビティ(cavity)(中空の)空間である。
【0047】
本発明の他の実施例に係るセラミックヒーター200におけるエアポケット230は、前記溝の形態が四角形、円形などの断面を有する溝であってよく、熱損失をさらに減らすために、
図5Bのように前記溝の形態をT状の垂直断面を有するようにしてもよい。すなわち、エアポケット230をなすT状溝は、接合面側の狭い幅に比べて、ヒータープレート110側においてより広い幅を有するように形成されてよく、これにより、接合物質125側への熱移動経路が長くなり、熱発散が減少し、熱損失を最小化できる。
【0048】
図6は、
図5A及び
図5Bのヒータープレート110に形成されたエアポケット230を説明するためのヒータープレート110の底面図である。
図6の(a)には、ヒータープレート110に形成されたエアポケット230が断続的な形態の溝231で形成されており、
図6の(b)には、ヒータープレート110に形成されたエアポケット230が連続的な形態の溝232で形成されている。
【0049】
図6の(a)のような断続的な形態の溝231で形成されたエアポケット230をなす溝231の水平断面形状は、円形、四角形、その他多角形などのいずれであってもよく、断続的な形態の溝231同士の間隔は、所定の同一間隔で離隔していることが好ましい。ただし、ヒータープレート110とシャフト120との接合面が不規則な多角形、曲線形などの閉ループを形成する場合には、溝231同士の間隔が同一間隔で一定である必要はなく、適切に真空リーク(leak)がないように溝231同士の間隔が適切な間隔と定められてもよい。
【0050】
また、
図6の(b)のような連続的な形態の溝232で形成されたエアポケット230をなす溝232の水平断面形状は、ヒータープレート110とシャフト120との接合面(当接する面)が閉ループを形成するのと同様に、閉ループを形成する。
【0051】
図7は、本発明の実施例のセラミックヒーター100,200において発熱体114の配置経路に形成されたエアポケット250を説明するための図である。
【0052】
図7の(a)は、ヒータープレート110のセラミック材質内に配置された発熱体114の配置形状の一例である。
図7の(b)は、ヒータープレート110とシャフト120とが接合される接合面に挿入された接合物質125に溝状のエアポケット250が、抵抗線などの発熱体114が配置された経路に沿ってそれに対応する経路上に形成されている様子を示す。
図7の(c)は、
図7の(a)と
図7の(b)を重ねて示す図である。
【0053】
図7で、発熱体114が配置された経路に沿ってそれに対応する経路上に形成されたエアポケット250のように、本発明の実施例のセラミックヒーター100,200におけるエアポケット210,230は、抵抗線などの発熱体114が配置された経路に沿ってそれに対応する経路上に形成されてよい。
【0054】
ここで、エアポケット250は、
図2のように、ヒータープレート110とシャフト120との間に、接合部190の接合面に挿入された接合物質125に沿って形成される場合を含み、また、エアポケット250は、
図5A及び
図5Bのように、接合部191の接合面に沿ってヒータープレート110のセラミック材質に形成される場合を含む。
【0055】
このような抵抗線などの発熱体114が配置された経路は、熱が多く発生する主要発熱部であり、よって、本発明のエアポケット250を置くことにより、ヒータープレート110からシャフト120に移動する熱伝導を減少させ、シャフト120側に発散する熱の損失を減少させることができる。
【0056】
本発明の実施例に係るセラミックヒーター100,200において、ヒータープレート110と接合物質125の熱伝導率は150~170W/m・K程度を示し、シャフト120の熱伝導率は80~170W/m・K程度を示した。これに対し、エアポケット210,230の熱伝導率は0.025W/m・K程度を示した。
【0057】
ヒータープレート110上の加工対象基板に蒸着工程及びエッチング工程などを行うためにセラミックヒーター100,200が用いられるとき、発熱体114によってヒータープレート110で発生する高温の熱は、接合物質125を経てシャフト120に移動する熱移動経路に沿って発散する。したがって、上のようなエアポケット210,230の熱伝導率は、ヒータープレート110とシャフト120に比べて遥かに小さく、よって、ヒータープレート110からシャフト120に移動する熱移動経路に沿って発散する熱の損失を減少させることができる。
【0058】
なお、例えば、エアポケット210,230が
図4の(a)又は(b)、及び(又は)
図6の(a)又は(b)のように断続的又は連続的な形態の溝211,212,231,232からなる場合に、これは、エアポケット210がない従来の場合と比較して、温度差による熱応力を減少させ、接合部190,191周辺のクラック発生を減少させることができる。すなわち、従来の構造では、ヒータープレート110とシャフト120との間において熱伝達及び発散が多く起き、接合部190,191周辺のヒータープレート110とシャフト120との温度差が大きくなって熱応力が増加し、ヒータープレート110とシャフト120におけるクラック発生を増加させることがある。これに対し、エアポケット210,230の熱伝導率は、ヒータープレート110とシャフト120に比べて遥かに小さいので、その分、ヒータープレート110からシャフト120に移動する熱移動が減少し、接合部190,191周辺のヒータープレート110とシャフト120との温度差が小さくなって熱応力が減少し、ヒータープレート110とシャフト120におけるクラック発生を減少させることができる。
【0059】
なお、本発明のエアポケット210,230がない従来の構造における接合面の当接する接合物質面積と、エアポケット210,230のための溝211,212,231,232によってその幅が2部分に分けられた本発明の接合物質125を使用する構造における接合面の当接する接合物質125の面積(2部分に分けられた面積の和)とが同一に設計される時にも、本発明のエアポケット210,230を使用する構造は、ガス漏れが減少するように真空リーク(leak)を減少させることができる。すなわち、半導体装備のチャンバー内でヒータープレート110上の加工対象基板に蒸着工程及びエッチング工程などを行う場合に、シャフト120内部の空間は大気雰囲気であり、チャンバー内のヒータープレート110の周辺は所定の真空雰囲気であるので、ヒータープレート110とシャフト120との接合部190,191で当接する接合面に挿入された接合物質125があっても、ある程度の真空リークが存在する。したがって、本発明のように、エアポケット210,230を適用すると、その分、装備内部のガスが前記接合面の接合物質125やヒータープレート110のエアポケット230を通過する長さ分だけガス漏れ経路は長くなるので、ガス漏れを減少させて真空リークを減少させ、高真空を保持できる効果がある。
【0060】
その他にも、
図5Bの説明でも述べたように、熱損失をより減らすために、エアポケット230をなすT状溝は、接合面側の狭い幅よりも、ヒータープレート110側においてより広い幅を有するように形成されることにより、
図5Bのように接合物質125側への熱移動経路が長くなり、熱発散が減少して熱損失を最小化できる効果がある。
【0061】
上述したように、本発明に係るセラミックヒーター100,200において、エアポケット210,230をヒータープレート110とシャフト120との接合部190,191に置くことによって熱損失を減少させることができる。前記エアポケット210,230は、半導体装備のチャンバー内のリーク(leak)の減少、熱応力の減少によるクラック発生の低減、及び熱損失経路の短縮による熱効率の増大を図ることができる。
【0062】
以上、本発明は、具体的な構成要素などのような特定事項、限定された実施例及び図面によって説明されてきたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲の他、その特許請求の範囲と均等又は等価の変形があるいかなる技術思想も本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
【要約】
本発明はセラミックヒーターに関し、本発明のセラミックヒーターは、発熱体が配置されたセラミック材質のヒータープレート、貫通ホールを有する管状であり、前記ヒータープレートの下面に結合し、前記貫通ホールを通じて前記発熱体に電力を供給するロッドを収容するシャフト、及び前記ヒータープレートと前記シャフトとが結合すように当接する接合部に設けられた連続的又は断続的なエアポケットを含み、前記エアポケットは前記接合部の接合面に沿って形成されている。
【選択図】
図2