IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7352774部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法
<>
  • 特許-部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法 図1
  • 特許-部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法 図2
  • 特許-部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法 図3
  • 特許-部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法 図4
  • 特許-部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法 図5
  • 特許-部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20230922BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20230922BHJP
   H05K 13/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/04 Z
H05K13/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019172406
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021052037
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】納富 亮
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-095586(JP,A)
【文献】国際公開第2017/064774(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
H05K 13/04
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装する部品実装装置において、
前記基板の上に他の部品が落下している可能性がある場合、前記部品を実装する前に、前記基板の上に前記部品を実装する位置に前記他の部品が落下していないかを前記位置を撮像することにより検査する検査手段と、
前記検査手段による検査結果を前記検査手段が撮像した撮像画像と共に表示する表示手段と、
前記部品を前記基板に実装させるか否かを作業者が選択するための選択手段と、
前記可能性がない場合、又は前記作業者が前記部品を前記基板に実装させると前記選択手段で選択した場合に、前記部品を前記基板に実装する実装手段と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記可能性は、前記他の部品を実装する際にエラーが発生したか否かにより判定される、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記他の部品は、前記部品実装装置より前の装置で前記基板に実装されるものである、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
基板に第1の部品を実装する第1の部品実装装置と、
前記第1の部品実装装置から搬出された前記基板に第2の部品を実装する第2の部品実装装置と、
前記基板の上に前記第1の部品が落下している可能性があるか否かを判定する判定手段と、を有し、
前記第2の部品実装装置は、
前記判定手段によって前記可能性があると判定された場合、前記第2の部品を実装する前に、前記基板の上の前記第2の部品を実装する位置に前記第1の部品が落下していないかを前記位置を撮像することにより検査する検査手段と、
前記検査手段による検査結果を前記検査手段が撮像した撮像画像と共に表示する表示手段と、
前記部品を前記基板に実装させるか否かを作業者が選択するための選択手段と、
前記可能性がないと判定された場合、又は前記作業者が前記部品を前記基板に実装させると前記選択手段で選択した場合に、前記第2の部品を前記基板に実装する実装手段と、を備える、部品実装システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第1の部品実装装置で前記基板に前記第1の部品を実装する際にエラーが発生したか否かを示す情報に基づいて前記可能性があるか否かを判定する、請求項4に記載の部品実装システム。
【請求項6】
基板に部品を実装する実装基板の製造方法であって、
基板に第1の部品を実装する工程と、
前記基板の上に前記第1の部品が落下している可能性があるか否かを判定する工程と、
前記可能性があると判定された場合、第2の部品を実装する前に、前記基板の上の前記第2の部品を実装する位置に前記第1の部品が落下していないかを前記位置を撮像することにより検査する工程と、
検査結果を撮像画像と共に表示する工程と、
前記部品を前記基板に実装させるか否かを作業者に選択させる工程と、
前記可能性がないと判定された場合、又は前記作業者が前記部品を前記基板に実装させると選択した場合に、前記第2の部品を前記基板に実装する工程と、を含む、実装基板の製造方法。
【請求項7】
前記基板に前記第1の部品を実装する際にエラーが発生したか否かを示す情報に基づいて、前記可能性を判定する、請求項6に記載の実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装する部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、部品供給装置が供給する部品を吸着ノズルで取り出して基板に実装する部品実装作業を繰り返し、基板に複数の部品を実装した実装基板を製造する。ところで、部品実装作業では、吸着ノズルが部品を基板に実装する前に誤って基板上に部品を落としてしまうことがある。このように落下した部品の上から大型部品を実装すると、部品と基板が正常に接続できない接続不良が発生することがある。特許文献1に記載の部品実装装置では、大型部品など予め指定された部品の実装前に、カメラでその部品の実装位置を撮像して、落下部品などの異物の有無を判別することで、接続不良を未然に防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-60249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1を含む従来技術では、落下部品による接続不良を未然に防止するために全ての基板で指定された部品の実装位置を撮像して異物の有無を判別しているため部品実装作業の時間が増大しており、落下部品の上に後から部品を実装することを防止して実装基板の品質を確保しつつ部品実装作業の効率を向上させるためにはさらなる改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、実装基板の品質を確保して部品実装作業の効率を向上することができる部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装装置は、基板に部品を実装する部品実装装置において、前記基板の上に他の部品が落下している可能性がある場合、前記部品を実装する前に、前記基板の上に前記部品を実装する位置に前記他の部品が落下していないかを前記位置を撮像することにより検査する検査手段と、前記検査手段による検査結果を前記検査手段が撮像した撮像画像と共に表示する表示手段と、前記部品を前記基板に実装させるか否かを作業者が選択するための選択手段と、前記可能性がない場合、又は前記作業者が前記部品を前記基板に実装させると前記選択手段で選択した場合に、前記部品を前記基板に実装する実装手段と、を備える。
【0007】
本発明の部品実装システムは、基板に第1の部品を実装する第1の部品実装装置と、前記第1の部品実装装置から搬出された前記基板に第2の部品を実装する第2の部品実装装置と、前記基板の上に前記第1の部品が落下している可能性があるか否かを判定する判定手段と、を有し、前記第2の部品実装装置は、前記判定手段によって前記可能性があると判定された場合、前記第2の部品を実装する前に、前記基板の上の前記第2の部品を実装する位置に前記第1の部品が落下していないかを前記位置を撮像することにより検査する検査手段と、前記検査手段による検査結果を前記検査手段が撮像した撮像画像と共に表示する表示手段と、前記部品を前記基板に実装させるか否かを作業者が選択するための選択手段と、前記可能性がないと判定された場合、又は前記作業者が前記部品を前記基板に実装させると前記選択手段で選択した場合に、前記第2の部品を前記基板に実装する実装手段と、を備える。
【0008】
本発明の実装基板の製造方法は、基板に部品を実装する実装基板の製造方法であって、基板に第1の部品を実装する工程と、前記基板の上に前記第1の部品が落下している可能性があるか否かを判定する工程と、前記可能性があると判定された場合、第2の部品を実装する前に、前記基板の上の前記第2の部品を実装する位置に前記第1の部品が落下していないかを前記位置を撮像することにより検査する工程と、検査結果を撮像画像と共に表示する工程と、前記部品を前記基板に実装させるか否かを作業者に選択させる工程と、前記可能性がないと判定された場合、又は前記作業者が前記部品を前記基板に実装させると選択した場合に、前記第2の部品を前記基板に実装する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、実装基板の品質を確保して部品実装作業の効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
図3】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装システムにおいて製造される実装基板の一部の例を示す図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成を示すブロック図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置のタッチパネルに表示される検査結果表示画面の例を示す図
図6】本発明の一実施の形態の実装基板の製造方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品実装装置、管理コンピュータの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における上下方向)が示される。
【0012】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を実装して実装基板を製造する機能を有している。部品実装システム1は、複数の部品実装装置M1,M2を連結して構成されている。部品実装装置M1,M2は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。管理コンピュータ3は、部品実装システム1による実装基板の生産を統合管理する他、部品実装装置M1,M2で使用される各種パラメータなどを作成する。なお、部品実装システム1が備える部品実装装置M1,M2は2台に限定されることなく、1台でも、3台以上であってもよい。
【0013】
次に図2を参照して、部品実装装置M1,M2の構成を説明する。部品実装装置M1,M2は同様の構成であり、ここでは部品実装装置M1について説明する。部品実装装置M1において、基台4の中央には、基板搬送機構5がX方向に設置されている。基板搬送機構5は、上流側から搬入された基板BをX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。すなわち、部品実装装置M1から搬出された基板Bは部品実装装置M2へ搬送される。
【0014】
基板搬送機構5の両側方(前後)には、それぞれ部品供給部6が設置されている。両側の部品供給部6には、複数のテープフィーダ7がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ7は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部6の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。
【0015】
図2において、基台4の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル8が配置されている。Y軸テーブル8には、同様にリニア機構を備えたビーム9がY方向に移動自在に結合されている。ビーム9には、実装ヘッド10がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド10は、部品を保持して昇降し、鉛直軸(Z軸)回りに回転可能な複数の吸着ユニット(図示省略)を備える。吸着ユニットのそれぞれの下端部には、部品を吸着して保持する吸着ノズル(図示省略)が装着されている。なお、ここではY軸テーブル8とビーム9はどちらもリニア駆動機構を備えているが、これに限定されるものでない。例えば、少なくとも一方はボールねじ等の駆動機構であってもよい。
【0016】
Y軸テーブル8およびビーム9は、実装ヘッド10を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる実装ヘッド移動機構11を構成する。実装ヘッド移動機構11および実装ヘッド10は、部品供給部6から部品を取り出して基板Bの実装位置に実装する部品実装作業を実行する。部品実装作業において実装ヘッド10は、部品供給部6の上方に移動し、各吸着ノズルで所定の部品をそれぞれピックアップし、基板Bの上方に移動し、各吸着ノズルが保持する部品を所定の方向に回転させ、それぞれの実装位置に実装する一連のターンを繰り返す。
【0017】
図2において、ビーム9には、ビーム9の下面側に位置して実装ヘッド10とともに一体的に移動するヘッドカメラ12が装着されている。実装ヘッド10が移動することにより、ヘッドカメラ12は基板搬送機構5の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。また、ヘッドカメラ12は、部品が実装される基板Bの実装位置付近を撮像し、撮像結果から基板Bの状態が認識される。
【0018】
部品供給部6と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ13が設置されている。部品認識カメラ13は、部品供給部6から部品を取り出した実装ヘッド10が部品認識カメラ13の上方に位置した際に、吸着ノズルに保持された部品を下方から撮像する。実装ヘッド10による部品実装作業では、ヘッドカメラ12による基板Bの認識結果と部品認識カメラ13による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0019】
図2において、部品実装装置M1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル14が設置されている。タッチパネル14は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置M1の操作を行う。部品認識カメラ13の隣には、部品廃棄部15が設置されている。部品廃棄部15には、吸着不良の部品など部品供給部6から供給されるが基板Bには実装されない部品などが廃棄される。
【0020】
次に図3を参照して、部品実装システム1によって製造される実装基板の例について説明する。図3(a)は部品D1,D2が実装される前の基板Bの一部を、図3(b)は部品D1,D2が実装された後の基板Bの一部を示している。部品D1は、小型のチップ部品などである。部品D2は、裏面にバンプDaが形成された大型のBGAである。
【0021】
図3(a)において、基板Bの上面には、部品D1の端子と電気的に接続される複数の電極Baが部品D1の端子の位置に対応させて形成されている。また、基板Bの上面には、部品D2の裏面に形成されたバンプDaと電気的に接続される複数の電極BbがバンプDaの位置に対応させて形成されている。部品実装装置M1,M2は、基板B上の電極Ba,Bbに部品D1の端子や部品D2のバンプDaが位置するように、基板Bに部品D1,D2を実装する。
【0022】
次に図4を参照して、部品実装システム1の構成について説明する。管理コンピュータ3、部品実装装置M1,M2は、通信ネットワーク2を介して相互に接続されている。部品実装装置M1,M2は同様の構成をしており、以下、部品実装装置M2について説明する。
【0023】
部品実装装置M2は、実装制御装置20、基板搬送機構5、部品供給部6、実装ヘッド10、実装ヘッド移動機構11、ヘッドカメラ12、部品認識カメラ13、タッチパネル14を備えている。実装制御装置20は、実装記憶部21、検査処理部22、表示処理部23、実装処理部24、実装通信部25を備えている。実装通信部25は、通信ネットワーク2を介して部品実装装置M1、管理コンピュータ3との間でデータの送受信を行う。
【0024】
図4において、実装記憶部21は記憶装置であり、生産データ21a、検査データ21b、検査結果21cなどが記憶されている。生産データ21aには、実装基板の生産機種名、基板Bに実装される部品を特定する情報(部品番号)毎に部品名(種類)、部品のサイズ、実装位置(XY座標)、実装順序などが記憶されている。
【0025】
検査データ21bには、先に部品実装作業された他の部品が落下している可能性がある場合に、実装位置をヘッドカメラ12(検査手段)で撮像する検査(以下、「落下部品検査」と称する。)を実施する部品(以下、「検査候補部品」と称する。)を部品番号に関連付けて記憶されている。また、検査データ21bには、実装位置に落下した部品などの異物がない正常な状態の画像(以下、「サンプル画像」と称する。)が記憶されている。
【0026】
図4において、検査処理部22は、これから実装する部品(以下、「実装対象部品」と称する。)が検査データ21bにおいて検査候補部品に指定されている場合で、かつ、後述する判定処理部32によって基板Bの上に他の部品が落下している可能性があると判定された場合に、実装ヘッド移動機構11とヘッドカメラ12を制御して落下部品検査を実行させる。
【0027】
ここで「他の部品」とは、実装対象部品よりも前に部品実装作業が行われた部品である。他の部品には、同じ部品実装装置M2で部品実装作業が行われた部品の他、部品実装装置M2よりも上流側の部品実装装置M1で部品実装作業が行われた部品も含まれる。すなわち、他の部品には、部品実装装置M2より前の装置で基板Bに実装されるものが含まれる。また、検査候補部品は、図3に示す部品D2などの大型の部品など、実装位置に落下した他の部品がある状態でその部品を実装しても、その後の外観検査ではその部品の下に他の部品が潜り込んでいる不良を発見することが困難な部品である。
【0028】
落下部品検査では、まず検査処理部22は、ヘッドカメラ12を検査候補部品の実装位置の上方に移動させて電極を含む実装位置を撮像させる。次いで検査処理部22は、撮像画像と検査候補部品のサンプル画像を比較(画像マッチング)して、実装位置に他の部品などの異物が落下していなかを判断する。撮像画像、判断結果は、検査結果21cとして実装記憶部21に記憶される。このように、ヘッドカメラ12と検査処理部22は、基板Bの上に他の部品が落下している可能性がある場合、部品を実装する前に、基板Bの上に部品を実装する位置(検査候補部品の実装位置)に他の部品が落下していないかを検査する検査手段である。
【0029】
図4において、表示処理部23は、落下部品検査が実行されるとタッチパネル14に検査結果を表示し、作業者に次の処理を選択させる検査結果表示画像を表示させる。ここで図5を参照して、タッチパネル14に表示された検査結果表示画面40の例について説明する。検査結果表示画面40には、「検査結果情報」表示枠41、「撮像画像」表示枠42、「継続」ボタン43、「取出し」ボタン44が表示されている。「検査結果情報」表示枠41には、「部品番号(D0123)の実装位置に部品が落下した可能性がある」との旨の検査処理部22による検査結果に基づく警告と、次の処理をボタン操作によって選択する作業指示が表示されている。
【0030】
「撮像画像」表示枠42には、検査結果21cに含まれる検査候補部品の実装位置の撮像画像が表示されている。図5に示す例では、検査候補部品は図3に示す部品D2であり、撮像画像には基板B上に形成された電極Bbの他、実装位置に落下した他の部品である部品D1が写っている。作業者がタッチパネル14の入力機能を使用して「継続」ボタン43を操作すると、検査候補部品(実装対象部品)に対する部品実装作業が継続される。作業者が「取出し」ボタン44を操作すると、部品実装装置M2から基板Bを取り出す一連の処理が開始される。
【0031】
作業者は、「撮像画像」表示枠42の撮像画像を見て、実装位置に他の部品の落下などの異物がなくて問題なしと判断すると「継続」ボタン43を操作する。問題ありと判断すると「取出し」ボタン44を操作して、基板Bを部品実装装置M2から取り出す不良処理を実行する。
【0032】
図4において、実装処理部24は、部品実装装置M2の各部を制御して、生産データ21aに基づいて、部品供給部6から部品を取り出して基板Bの実装位置に実装する部品実装作業を実行させる。実装処理部24は、実装対象部品が検査対象部品でない場合は、通常の部品実装作業を実行する。また、実装処理部24は、実装対象部品が検査候補部品の場合で、かつ、判定処理部32によって他の部品が落下している可能性がないと判定された場合も、通常の部品実装作業を実行する。
【0033】
また、実装処理部24は、落下部品検査が実行された場合は、検査処理部22が他の部品が落下していないと判断した場合、または、作業者が検査結果表示画面40において「継続」ボタン43を操作した場合は、部品実装作業を実行させる。すなわち、実装ヘッド10、実装ヘッド移動機構11、実装処理部24は、他の部品が落下している可能性がない場合、又は検査手段(ヘッドカメラ12、検査処理部22)による検査結果21cが部品を実装する位置(検査候補部品の実装位置)に他の部品が落下していない場合に、部品を基板Bに実装する実装手段である。
【0034】
図4において、実装処理部24は、部品認識カメラ13が撮像した吸着ノズルが保持する部品の撮像画像より、吸着ノズルが部品を保持していなかったり、異常な姿勢で吸着したりする吸着ミスが発生していると認識した場合、その吸着ノズルが保持している部品を部品廃棄部15に廃棄する部品廃棄処理を実行させる。また、実装処理部24は、基板Bに実装した部品を吸着ノズルが持ち持ち帰る実装不良が発生したと認識した場合も、部品廃棄処理を実行させる。実装処理部24は、部品廃棄処理を実行した場合は、再度、実装できなかった部品の部品実装作業を実行する。
【0035】
実装処理部24は、吸着ミスや部品の持ち帰りなどのエラーが発生したエラー情報を含む部品実装作業の履歴データを基板Bを特定する情報(基板番号)と関連付けて管理コンピュータ3に送信する。履歴データに含まれる吸着ミスなどのエラー情報には、エラーが発生した部品を特定する情報(部品番号)と基板番号が関連付けされている。
【0036】
図4において、管理コンピュータ3が備える管理処理装置30は、管理記憶部31、判定処理部32、入力部33、表示部34、管理通信部35を備えている。入力部33は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部34は液晶パネルなどの表示装置であり、記憶部が記憶する各種データを表示する他、入力部33による操作のための操作画面などの各種情報を表示する。管理通信部35は、通信ネットワーク2を介して部品実装装置M1,M2との間でデータの送受信を行う。
【0037】
管理記憶部31は記憶装置であり、実装履歴データ31aなどが記憶されている。実装履歴データ31aには、各部品実装装置M1,M2から送信された吸着ミスなどのエラー情報を含む部品実装作業の履歴データが記憶されている。すなわち、実装履歴データ31aには、部品実装装置M1,M2で基板Bに部品を実装する際にエラーが発生したか否かを示すエラー情報が含まれている。
【0038】
図4において、判定処理部32は、実装履歴データ31aに基づいて、部品実装システム1において実装作業中の基板Bの上に部品が落下している可能性があるか否かを判定する。例えば、部品実装装置M1,M2では、エラー発生後に吸着ノズルが保持している部品を部品廃棄部15に破棄する部品廃棄処理が実行されるが、その前に基板Bの上にその部品を落としている可能性もある。そこで、判定処理部32は、部品を実装作業中に吸着ミスなどのエラーが発生している場合は、その部品が落下している可能性があると判定する。
【0039】
このように、判定処理部32は、基板Bの上に他の部品が落下している可能性は、他の部品を実装する際にエラーが発生したか否かにより判定する判定手段である。判定処理部32は、基板Bの上に部品が落下している可能性があると判定すると、その後にその基板Bに検査候補部品を実装する部品実装装置M1,M2に、その基板Bに他の部品が落下している可能性がある旨の情報を送信する。
【0040】
次に図6のフローに沿って、部品実装システム1において基板Bに部品を実装する実装基板の製造方法について説明する。ここでは、部品実装装置M1(第1の部品実装装置)で基板Bに小型の部品D1(第1の部品)を実装し、部品実装装置M1から搬出された基板Bに部品実装装置M2(第2の部品実装装置)で検査候補部品である大型の部品D2(第2の部品)を実装する例で説明する。
【0041】
まず、部品実装装置M1において、基板Bに部品D1が実装される(ST1)。部品実装装置M1における部品実装作業の履歴データは、管理コンピュータ3に送信されて実装履歴データ31aとして記憶される(ST2)。次いで基板Bが部品実装装置M2に搬送される。また、管理コンピュータ3において、判定処理部32(判定手段)が、実装履歴データ31aに含まれる部品実装装置M1(第1の実装装置)で基板Bに部品D1(第1の部品)を実装する際にエラーが発生したか否かを示すエラー情報に基づいて、基板Bの上に部品D1が落下している可能性があるか否かを判定する(ST3:可能性判定工程)。
【0042】
図6において、可能性があると判定された場合(ST3においてYes)、部品実装装置M2において部品D2を実装する前に、検査手段(ヘッドカメラ12、検査処理部22)が基板Bの上の部品D2を実装する位置(実装位置)に部品D1が落下していないかを検査する(ST4:落下部品検査工程)。次いで表示処理部23は、部品実装装置M2のタッチパネル14に、検査結果表示画面40(図5)を表示させる(ST5:結果表示工程)。検査結果表示画面40において「継続」43ボタンが操作された場合(ST6においてYes)、部品実装装置M2が部品D2を基板Bに実装する(ST7:第2部品実装工程)。
【0043】
また、可能性判定工程(ST3)において部品D1が落下している可能性がないと判定された場合(No)、部品実装装置M2が部品D2を基板Bに実装する(ST7)。すなわち、検査候補部品(部品D2)の実装位置に他の部品(部品D1)が落下している可能性がない基板Bには、落下部品検査工程(ST4)をスキップして第2部品実装工程(ST7)を実行する。なお、検査結果表示画面40は、管理コンピュータ3の表示部34に表示させてもよい。これにより、部品実装装置M2から離れた場所に設置された管理コンピュータ3の前で作業している管理者が、撮像画像を見て「継続」43ボタンを操作する(リモート操作する)ことができるようになる。
【0044】
検査結果表示画面40において「取出し」44ボタンが操作された場合(ST6においてNo)、部品実装装置M2から基板Bを取り出す不良処理が実行される(ST8)。なお、検査手段が基板Bに部品D2を実装する実装位置に部品D1が落下していないと判定した場合(ST6においてYes)、結果表示工程(ST5)をスキップして第2部品実装工程(ST7)を実行するようにしてもよい。この場合、自動的に部品実装作業が継続される。
【0045】
このように、基板Bの上に部品D1が落下している可能性がないと判定された場合(ST3においてNo)、又は検査結果が部品D2を実装する位置(実装位置)に部品D1(他の部品)が落下していない場合に(ST6においてYes)、実装手段(実装ヘッド10、実装ヘッド移動機構11、実装処理部24)が部品D2を基板Bに実装している(ST7)。これによって、実装基板の品質を確保しつつ部品実装作業の効率を向上することができる。
【0046】
また、判定処理部32(判定手段)が基板Bの上に部品D1が落下していると判定した段階で(ST3においてYes)、タッチパネル14や作業者が携帯する端末(図示省略)にその旨の警告を表示するようにしてもよい。また、判定処理部32が基板Bの上に部品D1が落下していると判定した段階で(ST3においてYes)、部品実装装置M2における部品実装作業を停止して、作業者に部品D2の実装位置の検査などの対処を促す表示をタッチパネル14などに表示するようにしてもよい。
【0047】
上記説明したように、本実施の形態の基板Bに部品を実装する部品実装装置M1,M2は、基板Bの上に他の部品D1が落下している可能性がある場合、部品D2を実装する前に、基板Bの上に部品D2を実装する位置(実装位置)に他の部品D1が落下していないかを検査する検査手段(ヘッドカメラ12、検査処理部22)と、可能性がない場合、又は検査手段による検査結果が部品D2を実装する位置に他の部品D1が落下していない場合に、部品D2を基板Bに実装する実装手段(実装ヘッド10、実装ヘッド移動機構11、実装処理部24)と、を備える。これによって、実装基板の品質を確保して部品実装作業の効率を向上することができる。
【0048】
なお、上記の実施形態では、実装履歴データ31aは管理コンピュータ3に記憶され、判定処理部32は管理コンピュータ3に備えられていたが、この形態に限定されることはない。例えば、実装履歴データ31aは各部品実装装置M1,M2が記憶し、判定処理部32は各部品実装装置M1,M2に備えられて、各部品実装装置M1,M2において他の部品が落下している可能性があるか否かが判定されるようにしてもよい。この場合、各部品実装装置M1,M2の履歴データ(エラー情報)は他の部品実装装置M1,M2にも送信される。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の部品実装装置および部品実装システムならびに実装基板の製造方法は、実装基板の品質を確保して部品実装作業の効率を向上することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 部品実装システム
10 実装ヘッド(実装手段)
11 実装ヘッド移動機構(実装手段)
12 ヘッドカメラ(検査手段)
B 基板
D1 部品(第1の部品)
D2 部品(第2の部品)
M1 部品実装装置(第1の部品実装装置)
M2 部品実装装置(第2の部品実装装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6