(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】発光検査装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/54 20200101AFI20230922BHJP
H05B 45/48 20200101ALI20230922BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230922BHJP
【FI】
H05B45/54
H05B45/48
H01L33/00 K
(21)【出願番号】P 2019226095
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和雄
【審査官】坂口 達紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-12463(JP,A)
【文献】特開2005-310997(JP,A)
【文献】特開2015-79732(JP,A)
【文献】特開2011-14274(JP,A)
【文献】米国特許第6396466(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
45/00-45/58
47/00-47/29
H01L 33/00-33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が直列に接続された発光部と、
前記複数の発光素子にそれぞれ並列に設けられ、開閉制御可能な開閉スイッチと、
前記開閉スイッチが並列接続されている前記発光素子に電流を導通させる点灯状態と導通させず非導通状態にさせる消灯状態とを、前記開閉スイッチを開閉制御することによって切り換え可能として、前記複数の発光素子の通電の異常の有無を判定する判定部と、
前記複数の発光素子のうち点灯する発光素子からの発光量を検出値として出力する照度センサと、を備え、
前記判定部は、前記複数の発光素子が全て正常な場合に得られる前記照度センサの検出値である基準検出値から逸脱する前記検出値が観測されると、前記複数の発光素子のいずれかに異常が有るものと判定するものであり、
前記消灯状態をあらわす消灯時間は、前記照度センサの応答波形が安定するまでの時間である静定時間よりも長い、
発光検査装置。
【請求項2】
前記判定部は、回路接続上で隣り合っている前記発光素子同士について、それぞれの前記消灯時間を重複させる、
請求項1に記載の発光検査装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記消灯時間を重複させる時間を、略2分の1だけ互いに重複させる、請求項2に記載の発光検査装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記発光素子を前記消灯状態にした場合に、前記基準検出値から前記検出値を差し引いて算出した差分が前記所定値以上となる前記発光素子に異常があるものと判定する、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の発光検査装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記基準検出値と前記検出値との差分が所定値以上の場合に、前記検出値を発生させた前記発光素子に異常が有るものと判定する、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の発光検査装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記消灯時間の後半の前記基準検出値と、前記消灯時間の後半の前記検出値との差分が所定値以上の場合に、前記検出値を観測させた前記発光素子に異常が有るものと判定する、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の発光検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置の光源の一例に、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)がある。発光ダイオードは、発光素子の一つであり、直流電源に接続されることにより、動作する。このような発光素子を有する発光装置を複数用意し、直列に接続して使用する発光システムがある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された発光装置100は、第1端子142、第2端子144、発光部110、配線130、切換部120、及び制御部150を備えている。発光部110は、第1端子142と第2端子144との間に設けられている。配線130は第1端子142と第2端子144との間に設けられて、発光部110と並列である。切換部120は、第1端子142に発光部110が接続された第1状態、及び第1端子142に配線130が接続された第2状態の一方を、選択して切り替えることによって、発光部110の発光不良を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の発光装置を直列に接続した場合に、どれか一つでも発光部が故障して非導通状態になると、全ての発光部が導通せず、見かけ上、完全に消灯しているように見えるので、故障した発光部を特定して交換する必要がある。そこで、各発光装置の発光部を第1状態と第2状態とに順次切り替えることによって、発光部に発光不良が生じているかどうかを急いで検査していく必要があるが、発光部の数が多くなるほど、検査に要する時間が長くなるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、複数の発光素子を直列に接続させた照明装置について、発光不良である発光素子の特定に要する時間を短縮する発光検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る発光検査装置は、複数の発光素子が直列に接続された発光部と、複数の発光素子にそれぞれ並列に設けられ、開閉制御可能な開閉スイッチと、開閉スイッチが並列接続されている発光素子に電流を導通させる点灯状態と導通させず非導通状態にさせる消灯状態とを、開閉スイッチを開閉制御することによって切り換え可能として、複数の発光素子の通電の異常の有無を判定する判定部と、複数の発光素子のうち点灯する発光素子からの発光量を検出値として出力する照度センサとを備え、判定部は、複数の発光素子が全て正常な場合に得られる照度センサの検出値である基準検出値から逸脱する検出値が観測されると、複数の発光素子のいずれかに異常が有るものと判定するものであり、消灯状態をあらわす消灯時間は、照度センサの応答波形が安定するまでの時間である静定時間よりも長い。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る発光検査装置は、複数の発光素子を直列に接続させた照明装置について、発光不良である発光素子の特定に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係る発光検査装置の構成を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る発光検査装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】実施の形態1に係る発光検査装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図4】実施の形態2に係る発光検査装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る発光検査装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0012】
また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態1)
[1.発光検査装置]
図1は、実施の形態に係る発光検査装置1の構成を示す説明図である。
図1に示すように、発光検査装置1は、発光部10と、開閉スイッチSWと、直流電源11と、判定部12と、照度センサ13とを備えている。
【0014】
発光部10は、複数の発光素子Lが直列に接続されてあって、例えば第1発光素子L1と、第2発光素子L2と、第3発光素子L3と、第4発光素子L4と、第5発光素子L5とが、この順で直列に接続されている。複数の発光素子L(L1、L2、L3、L4、L5)は、例えば発光ダイオード(LED)である。また、本明細書では、発光素子Lは5個であるが、50個であっても100個であってもよく、発光素子Lの数が増加するほど、本発明の効果を奏する。
【0015】
第1発光素子L1は、アノードが後述する直流電源11の正極端子に接続され、カソードが第2発光素子L2のアノードに接続されている。第2発光素子L2は、アノードが第1発光素子L1のカソードに接続され、カソードが第3発光素子L3のアノードに接続されている。第3発光素子L3は、アノードが第2発光素子L2のカソードに接続され、カソードが第4発光素子L4のアノードに接続されている。第4発光素子L4は、アノードが第3発光素子L3のカソードに接続され、カソードが第5発光素子L5のアノードに接続されている。第5発光素子L5は、アノードが第4発光素子L4のカソードに接続され、カソードが直流電源11の負極端子に接続されている。
【0016】
開閉スイッチSWは、複数の発光素子Lにそれぞれ並列に設けられており、開閉制御が
可能であって、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とを有している。
【0017】
第1開閉スイッチSW1は、第1発光素子L1と並列に設けられている。第2開閉スイッチSW2は、第2発光素子L2と並列に設けられている。第3開閉スイッチSW3は、第3発光素子L3と並列に設けられている。第4開閉スイッチSW4は、第4発光素子L4と並列に設けられている。第5開閉スイッチSW5は、第5発光素子L5と並列に設けられている。なお、本明細書では、開閉スイッチSWの数は5個であるが、発光素子Lの数と同じ数だけ設けられていればよい。
【0018】
直流電源11は、複数の発光素子Lを発光させる場合に、これらの発光素子Lに電力を供給する定電流電源であり、出力電圧が基準電圧を超えないようにするリミッターを有している。直流電源11は定電流電源であるため、直列に接続された発光素子Lの数が増えるにつれて、出力電圧が上昇していく。このため、リミッターを設けないと、発光素子Lの数を増やしすぎた場合に、直流電源11が壊れるおそれがある。
【0019】
判定部12は、コンピュータ、PLC(Programmable Logic Controller)などのコントローラで構成される。判定部12は、外部からの入力信号に基づいて、あるいは、内部メモリに格納された制御プログラムを実行することで、開閉スイッチSWを開閉制御する。
【0020】
判定部12は、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とのいずれにも個別に、開閉制御命令を発するものである。
【0021】
判定部12は、開閉スイッチSWが並列接続されている発光素子Lに電流を導通させる点灯状態と、発光素子Lに電流を導通させず非導通状態にさせる消灯状態とを、開閉スイッチSWを開閉制御することにより切り換え可能としており、複数の発光素子Lの通電の異常の有無を判定するものである。
【0022】
判定部12は、発光素子Lが光源として動作する場合に、開閉スイッチSWを開いて、発光素子Lに電流を導通させる点灯状態にする。一方で、判定部12は、複数の発光素子Lに対して個別に発光検査を行う場合、開閉スイッチSWを閉じて、発光素子Lに電流を導通させず非導通状態にさせる消灯状態にする。なお、判定部12は、複数の発光素子Lを光源として動作させる場合、すべての開閉スイッチSWを開いて、発光素子Lに電流を導通させる点灯状態にする。
【0023】
照度センサ13は、複数の発光素子Lのうち、点灯する発光素子Lからの発光量を検出値として出力する。照度センサ13は、第1発光素子L1と、第2発光素子L2と、第3発光素子L3と、第4発光素子L4と、第5発光素子L5とからの光の照度を検出するセンサである。
【0024】
判定部12は、第1発光素子L1から第5発光素子L5を検査した場合、基準検出値SDから逸脱する検出値Dを観測すると、第1発光素子L1、第2発光素子L2、第3発光素子L3、第4発光素子L4、第5発光素子L5のいずれかに異常が有るものと判定する。
【0025】
基準検出値SD及び検出値Dは、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分である。
【0026】
ここで、第1検出値とは、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とを全て開いた場合に得られる、照度センサ13の検出値のことである。
【0027】
また、第2検出値とは、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とをそれぞれ個別に閉じた場合に得られる、照度センサ13の検出値のことである。
【0028】
基準検出値SDとは、第1発光素子L1と、第2発光素子L2と、第3発光素子L3と、第4発光素子L4と、第5発光素子L5とが、全て正常な状態でこれらの発光素子Lを検査した場合に得られる、第1検出値から第2検出値を差し引いた差分のことである。
【0029】
また、検出値Dとは、第1発光素子L1から第5発光素子L5とを検査した場合に得られる、第1検出値から第2検出値を差し引いた差分のことである。
【0030】
以上のように、判定部12は、基準検出値SDから逸脱する検出値Dを観測することによって、発光不良となった発光素子Lを認識することができる。
[2.検査方法]
以上のような構成の発光検査装置1を用いた、本発明の発光検査装置1の検査方法について説明する。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る発光検査装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0032】
発光部10の発光状態を検査する前に、発光検査装置1の基準検出値SDを算出する方法について説明する。基準検出値SDを算出する場合、第1発光素子L1と、第2発光素子L2と、第3発光素子L3と、第4発光素子L4と、第5発光素子L5とは、全て正常に発光する状態である。
【0033】
まず、判定部12は、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とを全て開いて、全ての発光素子Lを発光させる。照度センサ13は、全ての発光素子Lが点灯状態にされた場合の検出値である、第1検出値を検出して、第1検出値を判定部12に送信する。
【0034】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を閉じて、第1発光素子L1を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第1発光素子L1が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0035】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を開いて、第1発光素子L1を点灯状態にさせるとともに、第2開閉スイッチSW2を閉じて、第2発光素子L2を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第2発光素子L2が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0036】
次に、判定部12は、第2開閉スイッチSW2を開いて、第2発光素子L2を点灯状態にさせるとともに、第3開閉スイッチSW3を閉じて、第3発光素子L3を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第3発光素子L3が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0037】
次に、判定部12は、第3開閉スイッチSW3を開いて、第3発光素子L3を点灯状態
にさせるとともに、第4開閉スイッチSW4を閉じて、第4発光素子L4を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第4発光素子L4が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0038】
次に、判定部12は、第4開閉スイッチSW4を開いて、第4発光素子L4を点灯状態にさせるとともに、第5開閉スイッチSW5を閉じて、第5発光素子L5を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第5発光素子L5が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0039】
ここで、基準検出値SDは、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分であり、その差分をhとする。
【0040】
ただし、
図2(a)に示すように、応答速度が低い照度センサ13を使用して、第1発光素子L1を消灯状態とした場合に、消灯状態をあらわす消灯時間tの前半における第1検出値から、消灯状態をあらわす消灯時間tの前半における第2検出値を差し引いた差分は、0(ゼロ)以上で、かつh以下となる。
【0041】
次に、発光部10の発光状態を検査する方法について説明する。
【0042】
まず、判定部12は、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とを開いて、全ての発光素子Lを発光させる。照度センサ13は、全ての開閉スイッチSWが開いている状態において観測される検出値である、第1検出値を検出する。
【0043】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を閉じて、第1発光素子L1を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第1発光素子L1が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0044】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を開いて、第1発光素子L1を点灯状態にさせるとともに、第2開閉スイッチSW2を閉じて、第2発光素子L2を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第2発光素子L2が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0045】
次に、判定部12は、第2開閉スイッチSW2を開いて、第2発光素子L2を点灯状態にさせるとともに、第3開閉スイッチSW3を閉じて、第3発光素子L3を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第3発光素子L3が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0046】
次に、判定部12は、第3開閉スイッチSW3を開いて、第3発光素子L3を点灯状態にさせるとともに、第4開閉スイッチSW4を閉じて、第4発光素子L4を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第4発光素子L4が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0047】
次に、判定部12は、第4開閉スイッチSW4を開いて、第4発光素子L4を点灯状態にさせるとともに、第5開閉スイッチSW5を閉じて、第5発光素子L5を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第5発光素子L5が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0048】
判定部12が第1発光素子L1、第2発光素子L2、第3発光素子L3、第4発光素子L4、第5発光素子L5のいずれか一つを消灯状態とした場合、それぞれの発光素子Lが
正常に発光していれば、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、基準検出値SDと同様に、hに近い値となる。
【0049】
しかし、
図2(b)に示すように、例えば第3発光素子L3に異常がある場合、第3開閉スイッチSW3を開いた状態で観測したときの第1検出値から、第3開閉スイッチSW3を開いた状態で観測したときの第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)以上で、かつh以下となる。
【0050】
具体的には、応答速度が低い照度センサ13を用いた場合、消灯時間tの前半の第1検出値から、消灯時間tの前半の第2検出値を差し引いた差分は、0(ゼロ)以上で、かつh以下となる。また、消灯時間tの後半の第1検出値から、消灯時間tの後半の第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)または0(ゼロ)に近い値となる。
【0051】
消灯時間tの前半とは、判定部12が開閉スイッチSWを開いてから、消灯時間tの略2分の1が経過するまでの時間のことである。消灯時間tの後半とは、消灯時間の略2分の1が経過してから、判定部12が開閉スイッチSWを閉じるまでの時間のことである。
【0052】
図2(a)において、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を開いてから第5開閉スイッチSW5を閉じるまでの照度センサ13の基準検出値SDの変化をあらわす波形(応答波形)を、照度センサ13から取得している。
【0053】
また、
図2(b)において、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を開いてから第5開閉スイッチSW5を閉じるまでの照度センサ13の検出値Dの変化をあらわす波形(応答波形)を、照度センサ13から取得している。
【0054】
図2(a)に示すように、複数の発光素子(第1発光素子L1、第2発光素子L2、第3発光素子L3、第4発光素子L4、第5発光素子L5)が全て正常に発光している場合に算出された基準検出値SDの応答波形は、発光素子Lのいずれか一つが消灯状態にあるときに、照度センサ13の第2検出値が第1検出値に対してhだけ減少している。
【0055】
一方で、
図2(b)に示すように、第3発光素子L3に異常が有る場合、第3開閉スイッチSW3が開いている間は、照度センサ13の第2検出値が増加する。応答速度が高い照度センサ13を用いた場合、消灯時間tの前半及び後半の第2検出値から、消灯時間tの前半及び後半の第1検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)または0(ゼロ)に近い値となる。しかし、応答速度が低い照度センサ13を用いた場合、消灯時間tの前半における第1検出値から、消灯時間tの前半における第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)以上、かつh以下となる。
【0056】
また、発光検査装置1の検査を開始した直後であって、第1開閉スイッチSW1を開いた場合、第1発光素子L1から観測された第1検出値から、第1発光素子L1から観測された第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)以上、かつh以下となる。
【0057】
以上のように、応答速度が低い照度センサ13を用いた場合、消灯時間tが短いと、発光素子Lに異常が有るときの第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分と、発光検査装置1の検査を開始したときの第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分とが近い値となる。そのため、判定部12は、どの発光素子に異常の有無があるのかを正確に判定しにくくなる。
【0058】
以上のことから、発光素子Lを消灯する消灯時間tは、照度センサ13の応答波形が安定するまでの時間である静定時間よりも長くなるようにしている。応答時間が安定するま
での時間とは、第1検出値から第2検出値を差し引いた差分が0(ゼロ)、または0(ゼロ)に近い値となるまで時間のことである。
【0059】
具体的には、
図2(b)に示すように、判定部12は、第3発光素子L3に異常が有る場合、消灯時間tの後半では、第1検出値から第2検出値を差し引いた差分が0(ゼロ)、または0(ゼロ)に近い値となるまで、第3開閉スイッチSW3を消灯状態にさせている。
【0060】
以上のように、判定部12は、基準検出値SDから検出値Dを差し引いた差分が所定値h以上となる場合に、発光素子に異常が有るものと判断する。
【0061】
実施の形態1に係る発光検査装置1では、第3発光素子L3に異常が有る場合の検査方法について説明したが、第1発光素子L1、第2発光素子L2、第4発光素子L4、第5発光素子L5のいずれかに異常が有る場合についても、同様の検査方法を行う。
[第3発光素子、第4発光素子に異常が有る場合]
図3は、実施の形態1に係る発光検査装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0062】
図3に示すように、第3発光素子L3及び第4発光素子L4に異常が有る場合、第3開閉スイッチSW3及び第4開閉スイッチSW4が開いている間は、照度センサ13が検出する第2検出値が増加する。
【0063】
応答速度が低い照度センサ13を用いた場合、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの前半における第1検出値から、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの前半における第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)以上、かつh以下となる。しかし、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの後半における第1検出値から、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの後半における第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)に近い値となる。
【0064】
このとき、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分が所定値h以上となるので、判定部12は、第3発光素子L3に異常が有るものと判断する。ここで、所定値hは基準検出値SDで、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分値としているが、発光素子の個体差等を考慮し、この差分値近傍の値を用いても良い。
【0065】
さらに、第3開閉スイッチSW3を閉じた後、第4開閉スイッチSW4を開いた場合、第4発光素子L4が消灯状態である消灯時間tの前半における第1検出値から、第4発光素子L4が消灯状態である消灯時間tの前半における第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)に近い値となる。
【0066】
このとき、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分が所定値h以上となるので、判定部12は、第4発光素子L4に異常が有るものと判断する。
【0067】
以上のように、回路接続上で隣り合っている発光素子Lの両方に異常が有る場合、一方の発光素子(第4発光素子L4)の消灯時間tの前半における第1検出値から、一方の発光素子(第4発光素子L4)の消灯時間tの前半における第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)に近い値となる。
【0068】
また、実施の形態1に係る発光検査装置1は、複数の発光素子を直列に接続させた照明装置について、発光不良である発光素子の特定に要する時間を短縮できる。
【0069】
(実施の形態2)
実施の形態2の基本的な構成は、実施の形態1と略同じである。よって、同一箇所には同一符号を付して説明を省略し、異なる箇所のみの説明を行う。
【0070】
図4は、実施の形態2に係る発光検査装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4(a)及び(b)に示すように、発光検査装置1は、回路接続上で隣り合っている発光素子L同士について、それぞれの消灯時間tを重複させている。具体的には、消灯時間tを重複させる時間を、略2分の1(t/2)だけ互いに重複させている。
【0071】
発光部10の発光状態を検査する前に、発光検査装置1の基準検出値SDを算出する方法について説明する。なお、第1発光素子L1と、第2発光素子L2と、第3発光素子L3と、第4発光素子L4と、第5発光素子L5とは、全て正常に発光する状態である。
【0072】
図2(a)に示すように、まず、判定部12は、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とを開いて、全ての発光素子Lを発光させる。照度センサ13は、全ての発光素子Lが点灯状態にされた場合の検出値である第1検出値を検出し、第1検出値を判定部12に送信する。
【0073】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を閉じて、第1発光素子L1を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第1発光素子L1が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。照度センサ13は、第2検出値を判定部12に送信する。この場合の第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)以上、かつh以下となる。
【0074】
判定部12は、各発光素子Lを消灯状態にする消灯時間tを記憶してあり、開閉スイッチSWを閉じてから、消灯時間tの2分の1(t/2)の時間が経過したことを判断している。
【0075】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を閉じてから消灯時間tの2分の1(t/2)の時間が経過したと判断すると、第2開閉スイッチSW2を閉じて、第2発光素子L2を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第1発光素子L1及び第2発光素子L2が消灯状態にされた場合の検出値である、第2検出値を検出する。この場合、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、h以上、かつ2h以下となる。
【0076】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第1開閉スイッチSW1を開いて、第3開閉スイッチSW3を閉じる。第3発光素子L3は、消灯状態となる。照度センサ13は、第2発光素子L2及び第3発光素子L3が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。この場合、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、2hに近い値となる。
【0077】
次に、判定部12は、第2開閉スイッチSW2を閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第2開閉スイッチSW2を開いて、第4開閉スイッチSW4を閉じる。第4発光素子L4は、消灯状態となる。照度センサ13は、第3発光素子L3及び第4発光素子L4が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。この場合、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、2hに近い値となる。
【0078】
次に、判定部12は、第3開閉スイッチSW3を閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第3開閉スイッチSW3を開いて、第5開閉スイッチSW5を閉じる。第5発光素子L5は、消灯状態となる。照度センサ13は、第4発光素子L4及び第5発光素子
L5が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。この場合、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、2hに近い値となる。
【0079】
次に、判定部12は、第4開閉スイッチSW4を閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第4開閉スイッチSW4を開く。照度センサ13は、第5発光素子L5が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。この場合、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、h以上で、かつ2h以下となる。判定部12は、第5開閉スイッチSW5を閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第5開閉スイッチSW5を開く。
【0080】
次に、発光部10の発光状態を検査する方法について説明する。
【0081】
まず、判定部12は、第1開閉スイッチSW1と、第2開閉スイッチSW2と、第3開閉スイッチSW3と、第4開閉スイッチSW4と、第5開閉スイッチSW5とを開いて、全ての発光素子Lを発光させる。照度センサ13は、全ての開閉スイッチSWが開いている状態において観測される検出値である、第1検出値を検出する。照度センサ13は、第1検出値を判定部12に送信する。
【0082】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1を閉じて、第1発光素子L1を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第1発光素子L1が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0083】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1が閉じてから消灯時間tのt/2の時間が経過したと判断すると、第2開閉スイッチSW2を閉じて、第2発光素子L2を消灯状態にさせる。照度センサ13は、第1発光素子L1及び第2発光素子L2が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0084】
次に、判定部12は、第1開閉スイッチSW1が閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第1開閉スイッチSW1を開いて、第3開閉スイッチSW3を閉じる。第3発光素子L3は、消灯状態となる。照度センサ13は、第2発光素子L2及び第3発光素子L3が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0085】
次に、判定部12は、第2開閉スイッチSW2が閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第2開閉スイッチSW2を開いて、第4開閉スイッチSW4を閉じる。第4発光素子L4は、消灯状態となる。照度センサ13は、第3発光素子L3及び第4発光素子L4が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0086】
次に、判定部12は、第3開閉スイッチSW3が閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第3開閉スイッチSW3を開いて、第5開閉スイッチSW5を閉じる。第5発光素子L5は、消灯状態となる。照度センサ13は、第4発光素子L4及び第3発光素子L3が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。
【0087】
次に、判定部12は、第4開閉スイッチSW4が閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第4開閉スイッチSW4を開く。照度センサ13は、第5発光素子L5が消灯状態にされた場合に観測される検出値である、第2検出値を検出する。判定部12は、第5開閉スイッチSW5が閉じてから消灯時間tが経過したと判断すると、第5開閉スイッチSW5を開く。
【0088】
判定部12が第1発光素子L1、第2発光素子L2、第3発光素子L3、第4発光素子L4、第5発光素子L5のいずれか二つの消灯時間をそれぞれ重複させたときに、それぞ
れの発光素子Lが正常であれば、第1検出値から第2検出値を差し引いて算出した差分は、2hとなる。
【0089】
しかし、
図4(b)に示すように、例えば第3発光素子L3に異常がある場合、第3開閉スイッチSW3及び第4開閉スイッチSW4を開いた状態で観測した第1検出値から、第3開閉スイッチSW3及び第4開閉スイッチSW4を開いた状態で観測した第2検出値を差し引いて算出した差分は、hに近い値となる。
【0090】
具体的には、応答速度が低い照度センサ13を用いた場合、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの前半の第1検出値から、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの前半の第2検出値を差し引いた差分は、h以上で、かつ2h以下となる。また、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの後半の第1検出値から、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの後半の第2検出値を差し引いて算出した差分は、h、またはhに近い値となる。
【0091】
そのため、第3開閉スイッチSW3の次に開かれる、第4開閉スイッチSW4及び第5開閉スイッチSW5を開いた場合の照度センサ13の第2検出値も、h以上で、かつ2h以下となる。
【0092】
ここで、各発光素子Lが正常である場合、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)に近い値となる。一方で、例えば第3発光素子L3に異常が有る場合、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分は、所定値h以上となる。
【0093】
以上のように、判定部12は、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分が所定値h以上となる検出値を観測させた発光素子Lに、異常が有るものと判断する。
【0094】
判定部12が回路接続上で隣り合っている発光素子L同士の消灯時間tを重複させる時間を、略2分の1だけ互いに重複させることによって、検査時間を短縮することができる。
[第3発光素子、第4発光素子に異常が有る場合]
ここで、第3発光素子L3及び第4発光素子L4に異常が有るものである場合の検査方法について説明する。
【0095】
図5は、実施の形態3に係る発光検査装置1の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0096】
図5に示すように、例えば第3発光素子L3及び第4発光素子L4に異常がある場合、第3開閉スイッチSW3及び第4開閉スイッチSW4を開いた状態で観測した第1検出値から、第3開閉スイッチSW3及び第4開閉スイッチSW4を開いた状態で観測した第2検出値を差し引いて算出した差分は、2hに近い値となる。
【0097】
判定部12は、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分が2hに近い値であるため所定値h以上であると判断すると、回路接続上で隣り合っている発光素子L同士に異常が有るものと判断する。
【0098】
また、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの前半の第1検出値から、第3発光素子L3が消灯状態である消灯時間tの前半の第2検出値を差し引いた差分は、h以上で、かつ2h以下となる。この場合、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分は、0(ゼロ)以上、かつh以下となる。
【0099】
なお、第4発光素子L4が消灯状態である消灯時間tの後半の第1検出値から、第4発光素子L4が消灯状態である消灯時間tの後半の第2検出値を差し引いた差分は、0以上で、かつh以下となる。この場合、基準検出値SDから検出値Dを差し引いて算出した差分は、2hに近い値となる。これは、低い応答速度の照度センサ13を用いた場合、照度センサ13の応答波形が安定するまでに要する時間が長くなるからである。
【0100】
以上のように、本実施の形態に係る発光検査装置1は、複数の発光素子を直列に接続させた照明装置である場合に、発光素子の発光不良の検査に要する時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0101】
1 発光検査装置
10 発光部
11 直流電源
12 判定部
13 照度センサ
L 発光素子
L1 第1発光素子
L2 第2発光素子
L3 第3発光素子
L4 第4発光素子
L5 第5発光素子
SW 開閉スイッチ
SW1 第1開閉スイッチ
SW2 第2開閉スイッチ
SW3 第3開閉スイッチ
SW4 第4開閉スイッチ
SW5 第5開閉スイッチ
t 消灯時間
SD 基準検出値
D 検出値