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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H05K13/08 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020004045
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021111732
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】納富 亮
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-342197(JP,A)
【文献】特開平11-298191(JP,A)
【文献】特開2017-199740(JP,A)
【文献】特開平05-294433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット収納体内に引出収納自在に設けられた複数のパレットのうち部品が収納されたトレイを保持したパレットを前記パレット収納体から引き出して部品を供給するトレイフィーダと、
前記トレイフィーダによって供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、
前記装着ヘッドが一旦ピックアップした部品を前記基板に装着することなく回収部品として前記複数のパレットのうち前記パレット収納体から引き出されたパレットに載置した場合に、前記パレットに載置された回収部品の高さを検出する高さ検出手段と、
前記高さ検出手段により検出された回収部品の高さが予め定められた許容高さを上回っているか否かを判断し、回収部品の高さが前記許容高さを上回っていると判断した場合には、回収部品が載置された前記パレットが前記パレット収納体内に収納される動作を規制する判断規制部とを備えた部品実装装置。
【請求項2】
前記許容高さは、回収部品が載置された前記パレットを前記パレット収納体に収納させた場合に回収部品が前記パレット収納体内の他の部材と干渉しない高さとして定められている請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
回収部品が載置される前記パレットは、回収部品を載置させるための専用の回収用パレットまたは前記回収部品となる部品を供給したパレットである請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記判断規制部によって回収部品の高さが前記許容高さを上回っていると判断された場合に警報を発する警報手段を備えた請求項1~3のいずれかに記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイフィーダが供給する部品を装着ヘッドによりピックアップして基板に装着する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、部品供給部が供給する部品を装着ヘッドによりピックアップして基板に装着する。このような部品実装装置が備える部品供給部としては種々の形態のものが用いられているが、そのうち比較的大型の部品を供給できるものとしてトレイフィーダが知られている。トレイフィーダは、パレット収納体であるマガジンの内部の上下方向に複数のパレットが収納されており、各パレットには部品を個別に収容可能なトレイが保持されている。部品を供給するときは、供給しようとする部品が収納されたトレイを保持したパレットをマガジンから引き出して所定の部品供給位置に位置させるようになっている(例えば、下記の特許文献1)。
【0003】
このようなトレイフィーダを備えた部品実装装置では、装着ヘッドによって部品をピックアップした後、何らかの理由によってその部品を基板に装着できない状況となる場合がある。このような場合には、トレイフィーダは、その部品を回収部品として回収するため、それまで部品を供給していたパレットをマガジン内に収納して回収用のパレット(回収パレット)を引き出し、装着ヘッドによって回収部品を回収用パレットに載置する。そして、部品を載置した回収用パレットをマガジンに収納し、改めて部品供給用のパレットを引き出して部品供給位置に位置させるように動作する。回収用パレットに載置されて回収された回収部品はその後に修理等が施され、改めてトレイにセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-170726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の部品実装装置において、回収用パレットに載置した回収部品が正常な倒伏姿勢とならずに、回収用パレットに先に載置されていた他の回収部品に引っ掛かる等して斜めの姿勢(回収用パレットに対して起仰した姿勢)となっていた場合には、そのまま回収用パレットをマガジン内に収納すると、回収部品がマガジンとパレットとの間に挟まれて破損してしまうおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、パレットに載置された回収部品が正常な倒伏姿勢となっていなかった場合であっても回収部品を破損させるおそれがない部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装装置は、パレット収納体内に引出収納自在に設けられた複数のパレットのうち部品が収納されたトレイを保持したパレットを前記パレット収納体から引き出して部品を供給するトレイフィーダと、前記トレイフィーダによって供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、前記装着ヘッドが一旦ピックアップした部品を前記基板に装着することなく回収部品として前記複数のパレットのうち前記パレット収納体から引き出されたパレットに載置した場合に、前記パレットに載置された回収部品の高さを検出する高さ検出手段と、前記高さ検出手段により検出された回収部品の高さが予め定められた許容高さを上回っているか否かを判断し、回収部品の高さが前記許容高さを上回っていると判断した場合には、回収部品が載置された前記パレットが前記パレット収納体内に収納される動作を規制する判断規制部とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、パレットに載置された回収部品が正常な倒伏姿勢になっていなかった場合であっても回収部品を破損させるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の側面図
図2】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品実装装置が備えるトレイフィーダのパレットとトレイの構成を示す断面斜視図
図3】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダの動作を説明する側面図
図4】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダの動作を説明する側面図
図5】本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダが備える回収用パレットに回収部品が載置されている状態を示すマガジンの一部の断面斜視図
図6】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダが備える回収用パレットに載置された回収部品の載置状態の例を示す図
図7】本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダが回収用パレットをマガジン内に引き込んだ際に回収用パレット上の回収部品がマガジン内の他の部材と干渉した状態を示すマガジンの側面図
図8】本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダの回収用パレットに載置された部品の高さを検出している状態を示す側面図
図9】本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダの回収用パレットに載置された回収部品の計測点の一例を示す図
図10】本発明の一実施の形態におけるトレイフィーダのトレイに戻された部品が傾いた状態となっている様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態における部品実装装置1を示している。部品実装装置1は上流工程側から搬入した基板KBに部品BHを装着して下流工程側に搬出する部品装着作業を繰り返し実行する装置である。ここでは説明の便宜上、部品実装装置1における基板KBの搬送方向(作業者OPから見た左右方向)をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平方向(作業者OPから見た前後方向)をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0011】
図1において、部品実装装置1は、基台11、基板搬送コンベア12、トレイフィーダ13、装着ヘッド14、ヘッド移動機構15、基板カメラ16、部品カメラ17および高さ検出センサ18を備えている。基台11は床面FLに設置されており、基板搬送コンベア12は基台11上をX軸方向に延びて設けられている。基板搬送コンベア12は、上流工程側から送られてきた基板KBを搬入して所定の作業位置に位置決めし、部品実装が施された基板KBを下流工程側へ搬出する。
【0012】
図1において、トレイフィーダ13は部品実装装置1における部品供給部として機能するものであり、予め定められた所定の部品供給位置13Kに部品BHを供給する。トレイフィーダ13は、図1に示すように、基台11に連結される台車21と、台車21上に設けられたマガジン22およびパレット移動機構23を備えている。マガジン22内には複数のパレット収納部22Hが上下方向に並んで形成されており、各パレット収納部22Hにはパレット31が水平方向に挿抜自在に収納されている。
【0013】
マガジン22内を上下方向に並んだ複数のパレット収納部22Hのうち、最上段を除くパレット収納部22Hに収納されたパレット31には、トレイ32が載置されている。トレイ32は、図2(a)に示すように、複数のポケット32Pがマトリクス状に配列された形状を有しており、複数のポケット32Pのそれぞれには、部品BHがひとつずつ収納されている。トレイ32はトレイ固定部材33によってパレット31上に着脱自在に固定されている。
【0014】
図1において、パレット移動機構23は上下方向に延びたボール螺子41を有している。ボール螺子41にはブロックナット42が螺合しており、ブロックナット42にはパレット支持テーブル43が結合されている。ボール螺子41は台車21に設けられた昇降モータ44に連結されている。昇降モータ44がボール螺子41を回転駆動すると、ブロックナット42がボール螺子41上を上下方向に移動し、パレット支持テーブル43がブロックナット42と一体となって昇降する(図1中に示す矢印A)。
【0015】
図1において、パレット支持テーブル43の上面には係止ロッド45が設けられている。係止ロッド45は図2(a),(b)に示すように、X軸方向に延びた形状を有している。係止ロッド45は、図示しないロッド動作機構部によって、パレット支持テーブル43上をY軸方向に移動させることができる(図1中に示す矢印B)。
【0016】
トレイフィーダ13は、部品供給位置13Kに部品BHを供給する場合には、昇降モータ44を作動させてボール螺子41を回転させ、これから供給しようとする部品BHが収納されているトレイ32が保持されたパレット31の高さにパレット支持テーブル43を位置させる。そして、係止ロッド45を前方(作業者OPの側)に移動させ、係止ロッド45の両端部をパレット31の2つの係止部31aに係止させる(図2(a)→図2(b))。係止ロッド45の両端部がパレット31の2つの係止部31aに係止されたら、係止ロッド45を後方(作業者OPから離れる側)に移動させる(図3(a)。図中に示す矢印B1)。これによりパレット31がパレット支持テーブル43に移送された状態となる(図3(a))。
【0017】
トレイフィーダ13は、パレット31がパレット支持テーブル43に移送された状態となったら昇降モータ44を作動させ、パレット支持テーブル43を部品供給位置13Kに上昇させる(図3(b)。図中に示す矢印A1)。これによりパレット31すなわちトレイ32が部品供給位置13Kに位置し、部品供給位置13Kに部品BHが供給された状態となる。
【0018】
トレイフィーダ13は、部品供給位置13Kに位置したパレット31をマガジン22内に戻す場合には、昇降モータ44を作動させてパレット支持テーブル43を下降させ(図4(a)中に示す矢印A2)、そのパレット31がもともと収納されていたパレット収納部22Hの高さに位置させる(図4(a))。そして、係止ロッド45を前方に移動させ、パレット支持テーブル43上のパレット31をマガジン22側に押し出すことによって(図4(b)中に示す矢印B2)、パレット収納部22Hに収納させる(図4(b))。パレット31がパレット収納部22Hに収納されたら係止ロッド45の両端部をパレット31の2つの係止部31aから離脱させたうえで、係止ロッド45を後方に移動させる。これによりパレット31をマガジン22内に戻した状態となる。
【0019】
このように本実施の形態1におけるトレイフィーダ13は、パレット収納体であるマガジン22内に引出収納自在に設けられた複数のパレット31のうち、部品BHが収納されたトレイ32を保持したパレット31をマガジン22から引き出して部品BHを供給する構成となっている。
【0020】
図1において、装着ヘッド14は下方に延びたノズル14Nを備えている。ノズル14Nは装着ヘッド14に対して昇降およびZ軸まわりの回転動作が可能である。装着ヘッド14は、トレイフィーダ13が部品供給位置13Kに供給する部品BHをノズル14Nの下端に吸着させてピックアップすることができる。ヘッド移動機構15は例えばXY移動機構から成り、装着ヘッド14を水平面内方向に移動させる。
【0021】
図1において、基板カメラ16は装着ヘッド14に取り付けられている。基板カメラ16は撮像光軸を下方に向けており、装着ヘッド14とともに移動することによって、基板搬送コンベア12によって作業位置に位置決めされた基板KBを撮像する。
【0022】
図1において、部品カメラ17は基台11上における基板搬送コンベア12の手前側(作業者OP側)の領域に設けられている。部品カメラ17は撮像光軸を上方に向けており、装着ヘッド14がノズル14Nによりピックアップした部品BHを下方から撮像する。
【0023】
図1において、高さ検出センサ18は装着ヘッド14に取り付けられている。高さ検出センサ18は、下方に射出した検出光の反射光を受光することによって、高さ検出センサ18の下方に位置する物体の高さを検出する。
【0024】
図1において、部品実装装置1は制御装置50とタッチパネル51を備えている。制御装置50は動作制御部50aにおいて、基板搬送コンベア12、トレイフィーダ13、装着ヘッド14、ヘッド移動機構15、基板カメラ16、部品カメラ17および高さ検出センサ18それぞれの動作を制御する。タッチパネル51は制御装置50と繋がっており、制御装置50との間の入出力装置として機能する。このため作業者OPは、タッチパネル51から制御装置50へ所要の入力操作を行うことができ、制御装置50はタッチパネル51を通じて作業者OPに所要の指令や報知を与えることができる。
【0025】
部品実装装置1が部品装着作業を行う場合には先ず、制御装置50は基板搬送コンベア12を作動させ、上流工程側から送られてきた基板KBを受け取って作業位置に位置決めする。基板搬送コンベア12によって基板KBを作業位置に位置決めしたらヘッド移動機構15を作動させ、装着ヘッド14を基板KBの上方に移動させて、基板カメラ16に基板KBを撮像させる。制御装置50は基板カメラ16が撮像した画像に基づく画像認識を行って、基板KBを認識する。
【0026】
制御装置50は、基板KBを認識したらトレイフィーダ13を作動させ、これから供給しようとする部品BHが収納されたトレイ32を保持しているパレット31をマガジン22から引き出して部品供給位置13Kに位置させる。これにより部品BHが部品供給位置13Kに供給される状態となったら、制御装置50はヘッド移動機構15と装着ヘッド14とを連動して作動させて、装着ヘッド14に装着ターンを繰り返し実行させる(図1中に示す矢印C)。
【0027】
装着ヘッド14はひとつの装着ターンにおいて、トレイフィーダ13の上方から部品カメラ17の上方を経て基板KBの上方へ移動する。装着ヘッド14は、トレイフィーダ13の上方では、部品供給位置13Kに位置された部品BHをピックアップし、部品カメラ17の上方では、部品BHを部品カメラ17に撮像させ、基板KBの上方では、部品BHを基板KBに装着させる。制御装置50は、部品カメラ17が部品BHを撮像して得られた画像データに基づいて部品BHの認識を行う。そして、装着ヘッド14により部品BHを基板KBに装着するときは、その認識結果を利用して部品の位置補正等を行う。
【0028】
制御装置50は、基板KBに装着すべき部品BHの種類を変える必要が生じたときは、前述の要領でパレット31の収納と引き出しとを行って、部品供給位置13Kに位置させるパレット31を(すなわちトレイ32)を交換する。制御装置50は、基板KBに装着すべき部品BHが全て装着されたら、基板搬送コンベア12を作動させて、基板KBを下流工程側に搬出する。
【0029】
このような部品装着作業において、制御装置50は、上記各装着ターンにおいて、部品カメラ17が何らかの理由によって部品BHを認識できなかった場合や、認識結果に基づいて部品BHに不良箇所を発見したような場合には、その部品BHを回収部品(符号を「BHK」とする)として回収する。回収された部品BHはその後に修理等することで、再使用できるようにする。
【0030】
回収部品BHKを回収する手順を具体的に説明すると、トレイフィーダ13が先ず、部品供給位置13Kに位置しているパレット32(回収部品BHKが収納されていたパレット32)をマガジン22内に収納させる。マガジン22に収納されている複数のパレット31のうち、最上段のパレット収納部22Hには、回収部品を載置させるための専用の回収用パレット31Rが収納されており(図1)、トレイフィーダ13は回収用パレット31Rをマガジン22から引き出して部品供給位置13Kに位置させる。
【0031】
回収用パレット31Rが部品供給位置13Kに位置したら、装着ヘッド14は回収部品BHKを回収用パレット31Rに載置する。回収用パレット31Rにはトレイ32は保持されておらず、回収部品BHKは、回収用パレット31Rの任意の位置に載置することができる(図5)。
【0032】
装着ヘッド14が回収部品BHKを回収用パレット31Rに載置したら、トレイフィーダ13は回収用パレット31Rをマガジン22に収納させる。これにより回収部品BHKの回収は完了する。回収部品BHKの回収が完了したら、トレイフィーダ13は、回収部品BHKの回収前にマガジン22に収納させたパレット31(回収部品BHKが収納されていたパレット31)を再度引き出して部品供給位置13Kに位置させる。パレット31が部品供給位置13Kに位置したら、装着ヘッド14は部品装着作業を再開する。
【0033】
ここで、上記のように、装着ヘッド14が回収部品BHKを回収用パレット31Rに載置した際、回収部品BHKが図6(a)に示すような正常な倒伏姿勢とならずに、回収用パレット31Rに先に載置されていた他の回収部品BHKに引っ掛かったり、回収用パレット31Rの縁部31Fに引っ掛かったりすることによって、傾いた姿勢(回収用パレット31Rに対して起仰した姿勢)となる場合がある(図6(b),(c))。或いは、先に載置されていた他の回収部品BHKの上に載って重なってしまう場合もある(図6(d))。このような場合において、そのまま回収用パレット31Rをマガジン22内に収納すると、傾いた姿勢(或いは他の回収部品BHKに重なった姿勢)となっている回収部品BHKがマガジン22内の他の部材(ここではマガジン22の天井部材22T)と干渉し(図7)、回収用パレット31Rとマガジン22内の他の部材との間に挟まれて破損してしまうおそれがある。
【0034】
このための本実施の形態における部品実装装置1では、装着ヘッド14が一旦ピックアップした部品BHを基板KBに装着することなく回収部品BHKとして複数のパレット31のうちのひとつ(ここでは回収用パレット31R)に載置した場合には、高さ検出センサ18によって、回収用パレット31Rに載置された回収部品BHKの高さを検出するようになっている。具体的には先ず、制御装置50がヘッド移動機構15を作動させて装着ヘッド14を回収用パレット31Rの上方へ移動させ、基板カメラ16によって回収用パレット31Rに載置された回収部品BHKの位置を把握する。そして、図8に示すように、高さ検出センサ18から下方に検出光LTを射出させ、検出光LTが回収部品BHKの表面で反射した光(反射光)を受光するまでの間の時間に基づいて、回収部品BHKの基準位置KJ(例えば部品実装装置1が設置される床面FL)からの高さを「回収部品高さHk」(図6(a)~(d)も参照)として検出する。
【0035】
上記のようにして行う回収部品高さHkを求める具体的な手順の一例を示すと、先ず、回収部品BHKの表面上の4隅のうちの任意の3隅を3つの計測点PKに設定する(図9)。これら3つの計測点PKの設定は、基板カメラ16によって撮像した回収部品BHKの画像を利用して行う。3つの計測点PKを設定したら、各計測点PKの基準位置KJからの高さHt(図8)を検出する。そして、得られた3つの計測点PKそれぞれの高さHtのうちの最大値を、その回収部品高さHkとして求める。
【0036】
ここで、高さ検出センサ18は、図9に示すように、高さ検出センサ18と回収部品BHK上における計測点PKとの間の鉛直方向の距離Hmを計測するのであるが、この距離Hmは、既知である高さ検出センサ18と基準位置KJとの間の鉛直方向距離HSから、計測点PKの基準位置KJからの高さを差し引いた差分(HS-Ht)に相当する(図8)。このため高さ検出センサ18によって、高さ検出センサ18と計測点PKとの間の距離Hmを計測すれば、計測点PKの基準位置KJからの高さHtを求めることができ、3つの計測点PKについての高さHtを求めることで、回収部品高さHkを検出することができる。
【0037】
このように本実施の形態において、高さ検出センサ18は、装着ヘッド14が一旦ピックアップした部品BHを基板KBに装着することなく回収部品BHKとして複数のパレット31のうちマガジン22から引き出されたパレット31に載置した場合に、そのパレット31に載置された回収部品BHKの高さを検出する高さ検出手段となっている。
【0038】
制御装置50は、図1に示すように、判断規制部50bを備えている。判断規制部50bは、高さ検出センサ18により検出された回収部品高さHkを予め定められた許容高さと比較することによって、回収部品高さHkが許容高さを上回っているか否かを判断する。そして、高さ検出センサ18により検出された回収部品高さHkが許容高さを上回っていると判断した場合には、動作制御部50aが回収用パレット31Rをマガジン22内に収納する動作を規制(禁止)する。
【0039】
許容高さは、回収用パレット31Rがマガジン22内に戻された場合に、回収用パレット31Rに載置された回収部品BHKがマガジン22内の他の部材と干渉しない高さとして定められている。ここでは、回収用パレット31Rは最上段のパレット収納部22Hに収納されているので、「マガジン22内の他の部材」とは、具体的には、回収用パレット31Rの直上の部材、すなわちマガジン22の天井部材22T(図7)を指す。
【0040】
このため、回収用パレット31Rに載置された回収部品BHKの高さが許容高さを上回っていなかった場合には、回収用パレット31Rはマガジン22内に収納されるが、回収用パレット31Rに載置された回収部品BHKの高さが許容高さを上回っていた場合には、回収用パレット31Rをマガジン22内に収納されない。従って、回収用パレット31Rに載置された回収部品BHKが正常な倒伏姿勢とならず、傾いた姿勢となっていたような場合であっても(図6(b),(c),(d))、回収部品BHKが回収用パレット31Rとマガジン22内の他の部材との間に鋏まれることはなく、回収部品BHKが破損してしまうことおそれがない。
【0041】
また、本実施の形態において、判断規制部50bは、回収部品高さHkが許容高さを上回っていると判断した場合には、タッチパネル51を通じて、作業者OPに警報を発するようなっている。この警報に接した作業者OPが、回収部品BHKをトレイ32から取り除くと、回収用パレット31Rをマガジン22内に収納させることができる状態になるので、作業者OPがタッチパネル51から所要の操作を行うことで、回収用パレット31Rをマガジン22に収納させることができ、部品実装装置1による部品装着作業を再開させることができる。このように本実施の形態において、タッチパネル51は、判断規制部50bによって回収部品高さHkが許容高さを上回っていると判断された場合に警報を発する警報手段となっている。
【0042】
上述の説明では、回収部品BHKは回収用パレット31Rに載置して回収するようになっていたが、回収部品BHKをその回収部品BHKがもともと収納されていたパレット31(詳細にはトレイ32のポケット32P)に戻して回収することもできる。この場合においても制御装置50は、回収部品BHKが回収用パレット31Rに載置された場合と同様の制御を行う。
【0043】
これにより、装着ヘッド14によってトレイ32のポケット32P内に載置された回収部品BHKがトレイ32の縁部に引っ掛かって図10のように傾いた姿勢(起仰した姿勢)となっていた場合には、パレット31がマガジン22内に収納される動作が規制され、パレット31とマガジン22内の他の部材との間に回収部品BHKが挟まれて破損してしまう事態が防止される。なお、この場合の「マガジン22内の他の部材」は、回収部品BHKが載置されたパレット31が戻されるパレット収納部22Hのすぐ上の他のパレット収納部22Hに収納されている他のパレット31を指す。また、この場合においても、タッチパネル51を通じて作業者OPに警報が発せられるようにすることで、作業者OPが回収部品BHKをトレイ32から取り除くのを待って、部品実装装置1による部品装着作業を再開させることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1では、装着ヘッド14が、一旦ピックアップした部品BHを基板KBに装着することなく回収部品BHKとして複数のパレット31(回収用パレット31Rを含む)のひとつに載置した場合には、そのパレット31に載置された回収部品BHKの高さを高さ検出センサ18が検出するようになっている。そして、判断規制部50bは、高さ検出センサ18により検出された回収部品高さHkが予め定められた許容高さを上回っているか否かを判断し、その結果、回収部品高さHkが許容高さを上回っていた場合には、回収部品BHKが載置されたパレット31がマガジン22内に収納される動作を規制するようになっている。
【0045】
このため本実施の形態における部品実装装置1では、パレット31に載置された回収部品BHKがパレット31に先に載置されていた他の回収部品BHKやパレット31の縁部31Fに引っ掛かるなどして起き上がっていた場合や、先に載置されていた他の回収部品BHKの上に重なっていたりしたような場合等、パレットに対して正常な倒伏姿勢となっていなかった場合であっても、回収部品BHKがパレット31とマガジン22との間に挟まれることがなく、回収部品BHKを破損させるおそれがない。
【0046】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、回収用パレット31Rはマガジン22が備える最上段のパレット収納部22Hに収納されているとしていたが、回収用パレット31Rは、必ずしも最上段のパレット収納部22Hに収納されるのでなくてもよい。この場合、許容高さの基準となる「マガジン22内の他の部材」は、マガジン22の天井部材22Tではなく、そのすぐ上の他のパレット収納部22Hに収納されている他のパレット31を指すこととなる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
パレットに載置された回収部品が正常な倒伏姿勢となっていなかった場合であっても回収部品を破損させるおそれがない部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0048】
1 部品実装装置
13 トレイフィーダ
14 装着ヘッド
18 高さ検出センサ(高さ検出手段)
22 マガジン(パレット収納体)
31 パレット
31R 回収用パレット
32 トレイ
50b 判断規制部
51 タッチパネル(警報手段)
BH 部品
BHK 回収部品
Hk 回収部品高さ(回収部品の高さ)
KB 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10