(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】回転型電子部品、及び回転型電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01C 10/00 20060101AFI20230922BHJP
H01C 10/32 20060101ALI20230922BHJP
H01C 10/34 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01C10/00 Z
H01C10/00 V
H01C10/32 D
H01C10/34 D
(21)【出願番号】P 2019092190
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】定森 秀人
(72)【発明者】
【氏名】大辻 智嗣
(72)【発明者】
【氏名】久宗 弘昌
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-151310(JP,A)
【文献】国際公開第2017/188103(WO,A1)
【文献】特開平09-298106(JP,A)
【文献】特開2000-111309(JP,A)
【文献】実開平03-126004(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 10/00
H01C 10/32
H01C 10/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線の回りに回転可能な回転部材と、前記回転部材を回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に固定された複数の端子と、前記回転部材の回転角度位置に応じて前記複数の端子間の電気的な状態を変化させる機構部と、を備え、
前記回転部材は、第1回転体と、前記第1回転体に対して位置決めされ、軸受又は軸を有する第2回転体と、を含
み、
前記第1回転体及び前記第2回転体の各々は貫通孔を有し、
前記第1回転体の貫通孔は、前記第2回転体の貫通孔よりも大きい、
回転型電子部品。
【請求項2】
前記機構部は、ブラシを有し、
前記ブラシは、前記第1回転体に固定されている、
請求項1に記載の回転型電子部品。
【請求項3】
前記第2回転体は、前記第1回転体の周方向に対して無段階で位置決め可能である、
請求項1又は2に記載の回転型電子部品。
【請求項4】
前記第1回転体又は前記第2回転体の一方が他方に圧入されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回転型電子部品。
【請求項5】
前記第2回転体は、軸受を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の回転型電子部品。
【請求項6】
前記第1回転体及び前記第2回転体は、溶着又は接着されている、
請求項1~5のいずれか1項に記載の回転型電子部品。
【請求項7】
前記第1回転体は、前記第2回転体を位置決めするための位置決め構造を有する、
請求項1~
6のいずれか1項に記載の回転型電子部品。
【請求項8】
前記回転型電子部品は、角度センサである、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の回転型電子部品。
【請求項9】
軸線の回りに回転可能な回転部材と、前記回転部材を回転可能に保持する保持部材と、前記保持部材に固定された複数の端子と、前記回転部材の回転角度位置に応じて前記複数の端子間の電気的な状態を変化させる機構部と、を備え、
前記回転部材は、第1回転体と、前記第1回転体に対して位置決めされ、軸受又は軸を有する第2回転体と、を含む、回転型電子部品を製造するにあたって、
前記回転部材の前記第1回転体と前記第2回転体とを仮固定した後、前記回転部材の回転角度位置と、前記回転角度位置に応じて出力される出力値と、を測定する測定工程と、
前記回転角度位置と前記出力値とが比例関係になければ、前記第1回転体による出力値と、前記第2回転体による回転角度位置とが比例関係となるように、前記第1回転体に対して前記第2回転体を位置決めした後、前記第1回転体と前記第2回転体とを本固定する本固定工程と、を含む、
回転型電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記機構部は、ブラシを有し、
前記ブラシは、前記第1回転体に固定されている、
請求項9に記載の回転型電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記第2回転体は、前記第1回転体の周方向に対して無段階で位置決め可能である、
請求項9又は10に記載の回転型電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記第1回転体又は前記第2回転体の一方が他方に圧入されている、
請求項9~11のいずれか1項に記載の回転型電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記第2回転体は、軸受を有する、
請求項9~12のいずれか1項に記載の回転型電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1回転体及び前記第2回転体は、溶着又は接着されている、
請求項9~13のいずれか1項に記載の回転型電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記第1回転体及び前記第2回転体の各々は貫通孔を有し、
前記第1回転体の貫通孔は、前記第2回転体の貫通孔よりも大きい、
請求項9~14のいずれか1項に記載の回転型電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記第1回転体は、前記第2回転体を位置決めするための位置決め構造を有する、
請求項9~15のいずれか1項に記載の回転型電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記回転型電子部品は、角度センサである、
請求項9~16のいずれか1項に記載の回転型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に回転型電子部品、及び回転型電子部品の製造方法に関する。より詳細には、本開示は、回転部材を備える回転型電子部品、及び回転型電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、回転型可変抵抗器を開示する。この回転型可変抵抗器は、絶縁ケースと、回転体と、調整板と、摺動子と、からなる。
【0003】
ここで、絶縁ケースは、嵌合孔を有し、抵抗素子部及び導電部を上面に備えた抵抗基板を固定保持している。回転体は、第1調整孔が設けられた円板状のフランジ部の下方に突出する軸部が絶縁ケースの嵌合孔に挿通されて回転可能に取り付けられている。調整板は、中央に貫通孔を有した略平板円環状で、第1調整孔と回転中心からの位置が同じで回転方向の幅が細幅に設けられた第2調整孔を第1調整孔に合わせて回転体の軸部に貫通孔が圧入嵌合されて組み合わされている。摺動子は、調整板の下面に備えられた抵抗素子部及び導電部上を摺動する。
【0004】
そして、回転体が回転操作される際は、調整板は回転体と一体となって回転し、かつ第2調整孔に第1調整孔側の外方から加えられる荷重で調整板が回転体とは相対的に回転移動可能なように、調整板の貫通孔が回転体の軸部に圧入嵌合状態で組み合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の回転型可変抵抗器では、所望の回転角度における狙いの抵抗値とのずれの少ない抵抗値出力が得られるが、近年においては更なる精度の向上が求められている。
【0007】
本開示の目的は、回転部材の回転角度位置とその回転角度位置に応じて出力される出力値とが比例関係に近く、精度を高めることができる回転型電子部品、及び回転型電子部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る回転型電子部品は、回転部材と、保持部材と、複数の端子と、機構部と、を備える。前記回転部材は、軸線の回りに回転可能である。前記回転部材は、第1回転体と、第2回転体と、を含む。前記第2回転体は、前記第1回転体に対して位置決めされ、軸受又は軸を有する。前記保持部材は、前記回転部材を回転可能に保持する。前記複数の端子は、前記保持部材に固定される。前記機構部は、前記回転部材の回転角度位置に応じて前記複数の端子間の電気的な状態を変化させる。
【0009】
本開示の一態様に係る回転型電子部品の製造方法は、測定工程と、本固定工程と、を含む。前記測定工程は、前記回転部材の前記第1回転体と前記第2回転体とを仮固定した後、前記回転部材の回転角度位置と、前記回転角度位置に応じて出力される出力値と、を測定する工程である。前記本固定工程は、前記回転角度位置と前記出力値とが比例関係になければ、前記第1回転体による出力値と、前記第2回転体による回転角度位置とが比例関係となるように、前記第1回転体に対して前記第2回転体を位置決めした後、前記第1回転体と前記第2回転体とを本固定する工程である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、回転部材の回転角度位置とその回転角度位置に応じて出力される出力値とが比例関係に近く、精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る回転型電子部品の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の回転型電子部品の斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の回転型電子部品の要部を拡大した断面図である。
【
図4】
図4は、同上の回転型電子部品の要部を拡大した平面図である。
【
図5】
図5は、本開示の他の実施形態に係る回転型電子部品の要部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.概要
本実施形態に係る回転型電子部品1は、各種電子機器において、例えば角度センサ等に用いられる。
図1及び
図2に示すように、回転型電子部品1は、回転部材2と、保持部材3と、複数の端子4と、機構部5と、を備える。回転部材2は、軸線Rの回りに回転可能である。回転部材2は、第1回転体21と、第2回転体22と、を含む。第2回転体22は、第1回転体21に対して位置決めされ、軸受23又は軸24を有する(
図3参照)。保持部材3は、回転部材2を回転可能に保持する。複数の端子4は、保持部材3に固定される。機構部5は、回転部材2の回転角度位置に応じて前記の端子4間の電気的な状態を変化させる。
【0013】
本実施形態に係る回転型電子部品1によれば、回転部材2が少なくとも2つの部材(本実施形態では第1回転体21及び第2回転体22)で構成されているので、回転部材2の回転角度位置とその回転角度位置に応じて出力される出力値との調整が可能である。これにより、回転部材2の回転角度位置とその回転角度位置に応じて出力される出力値とを比例関係に近くすることができ、精度の高い回転型電子部品1が得られる。
【0014】
2.詳細
<回転型電子部品>
図1及び
図2に本実施形態に係る回転型電子部品1を示す。回転型電子部品1は、回転部材2と、保持部材3と、複数(本実施形態では3つ)の端子4と、機構部5と、を備える。本実施形態では、回転型電子部品1が角度センサである場合について説明するが、回転型電子部品1は角度センサに限定されない。
【0015】
以下では、説明の都合上、回転型電子部品1の上下、左右、及び前後の方向を、
図1等に図示されている上下、左右、及び前後の矢印を用いて規定する。これらの矢印は、単に説明を理解しやすくするために図示しているに過ぎず、実体を伴わない。これらの方向は、回転型電子部品1の使用方向を限定する趣旨ではない。
【0016】
上下方向は、軸線Rの軸線方向と平行である。軸線Rの軸線方向を単に軸線方向という場合がある。軸線方向一方側を上側、軸線方向他方側を下側という場合がある。軸線Rの径方向は、軸線Rを中心とした仮想円の径方向を意味する。軸線Rの径方向を単に径方向という場合がある。軸線Rの周方向は、軸線Rを中心とした仮想円の周方向を意味する。軸線Rの周方向を単に周方向という場合がある。
【0017】
左右方向は、3つの端子4が並んでいる方向と平行であり、上下方向に直交する方向である。
【0018】
前後方向は、上下方向及び左右方向に直交する方向である。
【0019】
≪回転部材≫
回転部材2は、軸線Rの回りに回転可能な部材である。回転部材2は、電気絶縁性を有する。回転部材2は、樹脂製の部材である。
【0020】
回転部材2は、少なくとも2つの部材で構成されている。本実施形態では、回転部材2は、第1回転体21と、第2回転体22と、を含む。第1回転体21及び第2回転体22は、軸線方向に並んでいる。第1回転体21は、第2回転体22に対して、上側に配置されている。
【0021】
〔第1回転体〕
第1回転体21は、回転部材2の回転角度位置に応じて出力される出力値(いわば電気的な位置)に関係する部材である。第1回転体21は、本体部211と、貫通孔210と、鍔部213と、位置決め構造25と、を有する。
【0022】
本体部211は、円板状をなしている。本体部211は、軸線方向に対して垂直である。
【0023】
貫通孔210は、本体部211の中央に設けられている。貫通孔210は、軸線方向に貫通している。貫通孔210の一部は、嵌合凹部212である(
図3参照)。嵌合凹部212は、本体部211の中央の下側に設けられている。嵌合凹部212は、円柱状をなす空間である。
【0024】
鍔部213は、本体部211の外周面の上側から径方向外側に突出している(
図3参照)。鍔部213の突出長さは、本体部211の全周に亘って等しい。
【0025】
位置決め構造25は、第1回転体21に対して、第2回転体22を位置決めする際に用いられる構造である。位置決め構造25は、非円形開口部26と、切欠き部27と、凹部28と、を含む。
【0026】
非円形開口部26は、貫通孔210の一部である。非円形開口部26は、軸線方向に沿って嵌合凹部212と並んでいる(
図3参照)。非円形開口部26は、嵌合凹部212に対して、上側に配置されている。非円形開口部26は、軸線方向において、嵌合凹部212と連通している。非円形開口部26の形状は、上から見て、D字状をなしている。非円形開口部26は、内鍔部263で囲まれている(
図3参照)。内鍔部263は、嵌合凹部212の上側において径方向内側に突出している。非円形開口部26の内周面260(つまり内鍔部263の先端面)は、円筒の一部をなす曲面261と、平坦面262と、を有する(
図4及び
図5参照)。非円形開口部26は、嵌合凹部212よりも小さい。より詳細には、非円形開口部26の曲面261を含む仮想円筒の内径は、嵌合凹部212の内径よりも小さい。
【0027】
切欠き部27は、第1回転体21の径方向外側かつ上側に位置する。切欠き部27は、鍔部213の一部が切り取られた部分である。切欠き部27は、側面271と、上面272と、を有する(
図3参照)。側面271及び上面272は、平坦面である。本実施形態では、切欠き部27の側面271は、非円形開口部26の平坦面262と平行であるが(
図4及び
図5参照)、非平行でもよい。
【0028】
凹部28は、本体部211の上面に設けられている。凹部28は、本体部211の中心(軸線R)と本体部211の外周との間に設けられている。凹部28は、上側に開口している。凹部28の形状は、上から見て、円形をなしているが、非円形でもよい。
【0029】
〔第2回転体〕
第2回転体22は、回転部材2の回転角度位置(いわば機械的な位置)に関係する部材である。第2回転体22は、第1回転体21に対して位置決めされる。位置決めは、第1回転体21による電気的な位置と、第2回転体22による機械的な位置と、を調整するために行われる。詳細については後述する。第2回転体22は、本体部221と、貫通孔220と、嵌合部222と、鍔部223と、を有する。
【0030】
本体部221は、軸線方向に延びる円筒状をなしている。
【0031】
貫通孔220は、本体部221の中央に設けられている。貫通孔220は、軸線方向に貫通している。貫通孔220は、非円形孔224と、軸受23と、を有する。非円形孔224は、軸線方向に沿って軸受23と並んでいる。非円形孔224は、軸受23に対して、上側に配置されている。
【0032】
非円形孔224は、軸線方向において、軸受23と連通している。非円形孔224の形状は、上から見て、D字状をなしている。非円形孔224の内周面225は、円筒の一部をなす曲面226と、平坦面227と、を有する(
図4及び
図5参照)。非円形孔224は、第1回転体21の非円形開口部26よりも小さい。より詳細には、非円形孔224の曲面226を含む仮想円筒の内径は、非円形開口部26の曲面261を含む仮想円筒の内径よりも小さい。要するに、第2回転体22の貫通孔220よりも、第1回転体21の貫通孔210が大きい。これにより、第1回転体21及び第2回転体22の周方向における相対的な位置が変わっても、第1回転体21が、第2回転体22の貫通孔220を塞ぎにくくなる。
【0033】
軸受23には、外部の操作部品の軸(図示省略)が挿入される。軸受23は、円柱状をなす空間である。軸受23は、非円形孔224よりも大きい。より詳細には、軸受23の内径は、非円形孔224の曲面226を含む仮想円筒の内径よりも大きい。本実施形態では、第2回転体22は、軸受23を有するが、軸受23の代わりに、軸24を有してもよい。
図3に軸24を想像線で図示する。軸24は、外部の操作部品(図示省略)に連結される。
【0034】
嵌合部222は、第1回転体21の嵌合凹部212に嵌合される部分である。より詳細には、嵌合部222は、嵌合凹部212に圧入される。これにより、第1回転体21に第2回転体22が圧入される。圧入後、第1回転体21及び第2回転体22は仮固定され、一緒に回転させることが可能であるが、両者は完全には固定されていない。すなわち、一方を固定し、他方を回転させることで、両者の周方向における相対的な位置を変更可能である。
【0035】
嵌合部222は、本体部221の上側に設けられている。嵌合部222は、軸線方向に延びる円筒状をなしている。嵌合部222の上面に非円形孔224が開口している。嵌合部222の外径は、本体部221の外径よりもわずかに小さい。嵌合部222の外径は、第1回転体21の嵌合凹部212の内径にほぼ等しい。嵌合部222の外周面には、複数(本実施形態では6つ)のリブ228が設けられている(
図1参照)。6つのリブ228は、嵌合部222の周方向において等間隔で設けられている。各リブ228は、径方向外側に突出している。各リブ228は、軸線方向に延びている。各リブ228の軸線方向の長さは、嵌合部222の軸線方向の長さに等しい。
【0036】
鍔部223は、本体部221の外周面の下側から径方向外側に突出している。鍔部223の突出長さは、本体部221の全周に亘って等しい。
【0037】
第2回転体22は、第1回転体21の周方向に対して無段階で位置決め可能である。上述のように、第2回転体22は、第1回転体21に圧入されて仮固定される。この状態で、例えば第1回転体21を固定して、第1回転体21の周方向に第2回転体22を回転させることができる。このとき、第1回転体21の嵌合凹部212の内周面を、第2回転体22の嵌合部222の外周面(特に6つのリブ228)が摺動する。第1回転体21の周方向における任意の位置で、第2回転体22の回転を停止し、両者を再度、仮固定することができる。仮固定された状態で、両者を一緒に回転させることが可能である。
【0038】
第1回転体21及び第2回転体22は、溶着されている。ただし、溶着は、完成品(製品)としての回転型電子部品1において行われており、未完成品(半製品又は仕掛品)としての回転型電子部品1においては行われていない。すなわち、溶着は、第1回転体21及び第2回転体22の周方向における相対的な位置が調整された後に行われる。溶着により、第1回転体21及び第2回転体22を一体化することができる。溶着方法としては、特に限定されないが、例えば、レーザー溶着及び超音波溶着が挙げられる。レーザー溶着の場合、上から下にレーザーを照射する。これにより、第1回転体21の内鍔部263の下面と、第2回転体22の嵌合部222の上面とを溶着することができる(
図3参照)。第1回転体21の嵌合凹部212の内周面と、第2回転体22の嵌合部222の外周面とは溶着されていなくてもよい。
【0039】
≪保持部材≫
保持部材3は、回転部材2を回転可能に保持する部材である。保持部材3は、電気絶縁性を有する。保持部材3は、樹脂製の部材である。
【0040】
保持部材3は、本体部33と、円筒壁34と、外壁35と、複数(本実施形態では6つ)の柱状部36と、複数(本実施形態では3つ)の露出孔37と、を有する。
【0041】
本体部33は、前後方向に延びる平板状をなしている。本体部33は、第1収容部31と、第2収容部32と、を有する。第1収容部31と第2収容部32とは、前後方向において繋がっている。第1収容部31は、第2収容部32の後方に位置する。第1収容部31には、回転部材2が収容される。
【0042】
円筒壁34は、第1収容部31のほぼ中央に設けられている。円筒壁34は、上側に突出して設けられている。円筒壁34は、上下に貫通する貫通孔340を有する。貫通孔340は、回転部材2を回転可能に保持する軸受として機能する。すなわち、貫通孔340には、第2回転体22の本体部221が挿入される(
図3参照)。貫通孔340の軸線方向の長さは、第2回転体22の本体部221の軸線方向の長さにほぼ等しい。貫通孔340の内径は、第2回転体22の本体部221の外径とほぼ等しい。貫通孔340の内径は、第2回転体22の鍔部223の外径よりも小さい。そのため、鍔部223が、貫通孔340の下側の開口縁部に引っ掛かる(
図3参照)。
【0043】
外壁35は、第1外壁351と、第2外壁352と、を有する。
【0044】
第1外壁351は、第1収容部31に設けられている。第1外壁351は、第1収容部31から上側に突出している。第1外壁351は、円筒壁34の周囲に設けられている。第1外壁351は、円筒壁34と対向している。第1外壁351は、上から見て、円周の一部をなしている。第1外壁351の上面を、第1回転体21の鍔部213が摺動し得る。
【0045】
第2外壁352は、第2収容部32に設けられている。第2外壁352は、一対の壁である。これらの壁は、左右方向において対向している。第2外壁352は、第2収容部32から上側に突出している。第2外壁352は、第1外壁351の両端から前方に延びている。
【0046】
6つの柱状部36は、第2収容部32に設けられている。6つの柱状部36は、上側に突出している。6つの柱状部36は、複数(本実施形態では3つ)の第1柱状部38と、複数(本実施形態では3つ)の第2柱状部39と、を含む。
【0047】
3つの第1柱状部38は、左右方向に並んでいる。各第1柱状部38は、楕円柱状をなしている。
【0048】
3つの第2柱状部39は、3つの第1柱状部38よりも前方に設けられている。3つの第2柱状部39は、左右方向に並んでいる。各第2柱状部39は、円柱状をなしている。
【0049】
3つの露出孔37は、第2収容部32に設けられている。3つの露出孔37は、3つの第1柱状部38よりも後方に設けられている。各露出孔37は、上下に貫通して設けられている。3つの露出孔37は、左右方向に並んでいる。各露出孔37の形状は、上から見て、前後方向に長い矩形状をなしている。
【0050】
≪端子≫
3つの端子4は、保持部材3に固定される。より詳細には、3つの端子4は、保持部材3の第2収容部32に収容される。3つの端子4は、導電性を有する。3つの端子4は、金属製の部材である。例えば、3つの端子4は、長尺状の金属板を折り曲げ加工して形成される。
【0051】
3つの端子4は、左右方向に並んでいる。3つの端子4の隣り合う前端同士の間隔は、後端同士の間隔よりも狭い。各端子4は、固定電極部材41と、接続部材42と、を有する。
【0052】
固定電極部材41は、前後方向に延びる長尺状の部材である。固定電極部材41は、第1孔48と、第2孔49と、を有する。第1孔48は、上下方向に貫通する孔である。第1孔48には第1柱状部38が下から挿入される。第1孔48から上に突出した第1柱状部38の先端は、熱かしめ等によりかしめられる(
図2参照)。第2孔49は、第1孔48よりも前方に位置する。第2孔49は、上下方向に貫通する孔である。第2孔49には第2柱状部39が下から挿入される。第2孔49から上に突出した第2柱状部39の先端は、熱かしめ等によりかしめられる(
図2参照)。
【0053】
接続部材42は、固定電極部材41の後端に接続される。接続部材42は、上から見て、保持部材3の露出孔37内に配置される。下から見て、接続部材42は、露出孔37から露出している(
図3参照)。これにより、接続部材42に伝わる熱を露出孔37から外部に放散させることができる。
【0054】
接続部材42は、固定電極部材41よりも薄い略H字状の金属板で形成されている。接続部材42の前後方向の長さは、固定電極部材41の前後方向の長さよりも短い。接続部材42は、第1突出片43と、第2突出片44と、を有する(
図2参照)。第1突出片43は、一対の突出片からなり、接続部材42の前端に設けられている。第1突出片43を固定電極部材41の後端でかしめることにより、接続部材42を固定電極部材41に固定することができる。第2突出片44は、一対の突出片からなり、接続部材42の後端に設けられている。
【0055】
≪機構部≫
機構部5は、回転部材2の回転角度位置に応じて3つの端子4間の電気的な状態を変化させる。機構部5は、ブラシ50と、基板51と、を有する。このように、機構部5は、接点式とすることができる。
【0056】
ブラシ50は、第1回転体21に固定されている。より詳細には、ブラシ50は、第1回転体21の本体部211の下面に熱かしめ等により固定されている。ブラシ50は、導電性及び弾性を有する。ブラシ50は、金属製の部材である。
【0057】
ブラシ50は、本体部500と、第1接点部501と、第2接点部502と、を有する。本体部500は、第1回転体21に固定される。第1接点部501は、上から見て、反時計回りに本体部500から周方向に突出している。第2接点部502は、上から見て、時計回りに本体部500から周方向に突出している。第1接点部501及び第2接点部502は、上から下に傾斜している。第1接点部501及び第2接点部502の各々の先端は、複数(本実施形態では3つ)に分かれている。
【0058】
基板51は、保持部材3の第1収容部31及び第2収容部32に収容されて固定される。基板51は、電気絶縁性を有する。基板51は、樹脂製の部材である。基板51は、平板状をなしている。基板51の形状は、上から見て、略長方形部分と略円形部分とが前後方向に結合した形状をなしている。
【0059】
基板51は、貫通孔57と、抵抗部52と、電極部53と、複数(本実施形態では3つ)の引き出し線54と、複数(本実施形態では3つ)のランド部55と、複数組(本実施形態では3組)の孔部56と、を有する。
【0060】
貫通孔57は、基板51の略円形部分の中央に設けられている。貫通孔57は、軸線方向に貫通している。貫通孔57の形状は、上から見て、円形をなしている。貫通孔57の内径は、保持部材3の円筒壁34の外径にほぼ等しい。貫通孔57に下から保持部材3の円筒壁34が挿入される。
【0061】
抵抗部52は、貫通孔57の周囲に設けられている。抵抗部52は、例えば、抵抗ペーストをスクリーン印刷することにより形成される。抵抗部52の形状は、上から見て、円弧状(C字状)をなしている。つまり、抵抗部52は、両端を有する。抵抗部52の一端が第1端部521であり、他端が第2端部522である(
図4及び
図5参照)。抵抗部52の上面をブラシ50の第1接点部501が摺動する。
【0062】
電極部53は、抵抗部52よりも径方向内側、かつ、貫通孔57よりも径方向外側に設けられている。電極部53の形状は、上から見て、円環状をなしている。電極部53の上面をブラシ50の第2接点部502が摺動する。
【0063】
3つの引き出し線54の各々は、抵抗部52の第1端部521、第2端部522、及び電極部53とそれぞれ電気的に接続されており、前方に引き出されている。
【0064】
3つのランド部55は、基板51の略長方形部分に設けられている。3つのランド部55は、左右方向に並んでいる。3つのランド部55の各々は、3つの引き出し線54の各々とそれぞれ電気的に接続されている。
【0065】
3組の孔部56の各々の組は、3つのランド部55の各々の位置に設けられている。1組の孔部56は、2つの貫通孔で構成されている。2つの貫通孔は、基板51を上下に貫通している。2つの貫通孔は、左右方向に並んでいる。2つの貫通孔の間にランド部55の少なくとも一部が存在する。3組の孔部56の各々の組の2つの貫通孔に下から、3つの接続部材42の各々の第2突出片44の一対の突出片が挿入され、いわゆる抱きかしめ等でかしめられることにより、接続部材42が基板51に固定される(
図2参照)。これにより、3つのランド部55の各々と、3つの端子4の各々とが電気的に接続される。
【0066】
<回転型電子部品の製造方法>
次に、本実施形態に係る回転型電子部品1の製造方法について説明する。回転型電子部品1の製造方法は、測定工程と、本固定工程と、を含む。端的に言えば、例えば、電気的中点位置を求め(測定工程)、この電気的中点位置に第1回転体21を配置し、さらに機械的中点位置に第2回転体22を配置した後に、第1回転体21と第2回転体22とを溶着等により固定する(本固定工程)。
【0067】
ここで、電気的中点位置とは、例えば、回転型電子部品1がとり得る抵抗値の中央値での位置を意味する。機械的中点位置とは、例えば、回転型電子部品1の回転部材2が周方向に回転し得る範囲内の中央値での位置を意味する。
【0068】
≪測定工程≫
(1)基板51と3つの端子4とをかしめにより固定する。固定電極部材41と接続部材42とを固定した後に、接続部材42と基板51とを固定してもよいし、逆に、基板51と接続部材42とを固定した後に、接続部材42と固定電極部材41とを固定してもよい。特に順番は限定されない。
【0069】
(2)基板51及び3つの端子4を保持部材3に熱かしめにより固定する。
【0070】
(3)第1回転体21にブラシ50を固定する。第1回転体21と第2回転体22とを仮固定する。具体的には、第2回転体22の嵌合部222を、保持部材3の下から貫通孔340に通し、第1回転体21の嵌合凹部212に圧入する。これにより、第1回転体21又は第2回転体22の一方を回転させると、他方も一緒に回転させることができる。このときブラシ50の第1接点部501及び第2接点部502が、基板51の抵抗部52及び電極部53の上面をそれぞれ摺動し、摩擦力が働くが、この摩擦力は、上記の圧入による力よりも弱い。したがって、例えば、第2回転体22を回転させると、上記の摩擦力に逆らって第1回転体21も一緒に回転させることができる。なお、第1回転体21へのブラシ50の固定は、第1回転体21と第2回転体22との仮固定よりも前であればいつでもよい。
【0071】
(4)回転部材2の回転角度位置と、回転角度位置に応じて出力される出力値(本実施形態では抵抗値)と、を測定する。具体的には、回転部材2を回転させることにより、回転型電子部品1がとり得る抵抗値の最小値及び最大値を測定する。例えば、ブラシ50の第1接点部501を、抵抗部52の第1端部521から第2端部522まで摺動させることにより、抵抗値の最小値及び最大値を測定する。そして、抵抗値の中央値を求め、この中央値での位置を電気的中点位置とする。電気的中点位置に第1回転体21を配置する。
【0072】
例えば、
図4及び
図5では、いずれも第1回転体21を電気的中点位置に配置した状態を示している。
図4では、第1回転体21のD字状の非円形開口部26の平坦面262が左右方向と平行である。これに対して、
図5では、第1回転体21のD字状の非円形開口部26の平坦面262が左右方向に対して傾斜している。このように、
図4及び
図5で電気的中点位置が異なるのは、例えば、抵抗部52の厚さ及び幅等が周方向において厳密に等しいと言えない場合があるからである。なお、
図4に対して、
図5は、多少誇張して図示している。
【0073】
≪本固定工程≫
次に、回転角度位置と出力値とが比例関係にあるか否かを判断する。この判断は、例えば、電気的中点位置と機械的中点位置とがずれているか否かを確認することで行うことができる。電気的中点位置と機械的中点位置とがほぼ一致していると、回転角度位置と出力値とが比例関係にあるといえる。逆に、電気的中点位置と機械的中点位置とがずれていると、回転角度位置と出力値とが比例関係にないといえる。
【0074】
上述のように、機械的中点位置とは、例えば、回転型電子部品1の回転部材2が周方向に回転し得る範囲内の中央値での位置を意味する。本実施形態では、回転部材2のうち第2回転体22が外部の操作部品(図示省略)と直接連結されるので、第2回転体22が周方向に回転し得る範囲内の中央値での位置が、機械的中点位置となる。
【0075】
ここで、例えば、第2回転体22のD字状の非円形孔224の平坦面227が左右方向と平行となる位置を、機械的中点位置としている。したがって、
図4及び
図5では、いずれも第2回転体22を機械的中点位置に配置した状態を示している。
【0076】
すなわち、
図4及び
図5では、電気的中点位置と機械的中点位置とがほぼ一致しているので、回転角度位置と出力値とが比例関係にあるといえる。このように、回転角度位置と出力値とが比例関係にあれば、第1回転体21と第2回転体22とを本固定する。つまり、第1回転体21と第2回転体22とを溶着などにより固定する。
【0077】
一方、電気的中点位置と機械的中点位置とがずれている場合には、回転角度位置と出力値とが比例関係にないといえる。このように、回転角度位置と出力値とが比例関係になければ、第1回転体21による出力値と、第2回転体22による回転角度位置とが比例関係となるように、第1回転体21に対して第2回転体22を位置決めする。その後、第1回転体21と第2回転体22とを本固定する。
【0078】
具体的には、例えば、第1回転体21を電気的中点位置に配置して一旦固定し、第2回転体22を機械的中点位置まで回転させて移動させる。第1回転体21に対して、第2回転体22を位置決めする際には、位置決め構造25が利用可能である。これにより、位置決めが容易になる。
【0079】
例えば、非円形開口部26とほぼ同様のD字状の断面を有する軸状の治具(図示省略)を、非円形開口部26に差し込み、この治具を固定することにより、第1回転体21を固定することができる。また、ほぼ直角の出っ張った角を有する治具(図示省略)を切欠き部27に突き当てて、この治具を固定することにより、第1回転体21を固定することもできる。また、凹部28とほぼ同様の円形の断面を有する軸状の治具(図示省略)を、凹部28に差し込み、この治具を固定することにより、第1回転体21を固定することもできる。
【0080】
第1回転体21に対する第2回転体22の位置決めが終了すると、第1回転体21と第2回転体22とを本固定する。つまり、第1回転体21と第2回転体22とを溶着などにより固定する。
【0081】
以上のようにして、本実施形態に係る回転型電子部品1を製造することができる。
【0082】
<回転型電子部品の動作>
次に、本実施形態に係る回転型電子部品1の動作について簡単に説明する。
【0083】
例えば、外部の操作部品(図示省略)が回転部材2を回転させると、その回転に応じてブラシ50が回転移動する。左端のランド部55と中央のランド部55との間には、抵抗部52と第1接点部501との接触角度位置に応じた抵抗値が出力される。中央のランド部55と右端のランド部55との間においても、同様に、抵抗部52と第1接点部501との接触角度位置に応じた抵抗値が出力される。
【0084】
したがって、回転部材2を所定の角度で回転させると、その回転角度に応じて、ブラシ50と抵抗部52との接触位置が移動する。そして、ブラシ50と抵抗部52との接触位置の移動に応じて、回転型電子部品1は、左端のランド部55と中央のランド部55との間の抵抗値と、中央のランド部55と右端のランド部55との間の抵抗値と、が変化する。
【0085】
そして、回転型電子部品1が取り付けられた電子回路(図示省略)がこの抵抗値を検出することで、回転部材2の回転角度位置に応じて、回転型電子部品1が搭載された電子機器(図示省略)が制御される。
【0086】
上述のように、本実施形態に係る回転型電子部品1では、電気的中点位置と機械的中点位置とがほぼ一致しているので、回転部材2の回転角度位置とその回転角度位置に応じて出力される出力値とが比例関係に近い。すなわち、回転型電子部品1は、回転部材2の回転角度位置の変化に対する出力変化が優れた直線性(リニアリティ)を示す。この点において、回転型電子部品1は高精度である。
【0087】
3.変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0088】
例えば、回転型電子部品1は、角度センサに限らず、例えば、ロータリスイッチ、ロータリエンコーダ等でもよい。回転型電子部品1がロータリスイッチの場合、回転部材2の回転量に応じて複数の端子4間の電気的な状態を変化させる機構部5では、複数の端子4間の導通状態、及び非導通状態を変化させる。
【0089】
上記実施形態では、回転型電子部品1は、ブラシ50と基板51とを有する機構部5を備えているが、例えば、発光素子と受光素子とを有する無接点式の機構部を備えていてもよい。
【0090】
上記実施形態では、第1回転体21が、位置決め構造25を有しているが、位置決め構造25を有していなくてもよい。例えば、D字状等の非円形開口部26の代わりに、円形開口部であってもよい。第1回転体21が位置決め構造25を有する場合、位置決め構造25は、非円形開口部26、切欠き部27、及び凹部28の少なくともいずれかを含んでいればよい。
【0091】
上記実施形態では、第1回転体21に第2回転体22が圧入されているが、逆に第2回転体22に第1回転体21が圧入されてもよい。
【0092】
上記実施形態では、第2回転体22は、第1回転体21の周方向に対して無段階で位置決め可能であるが、段階的に位置決め可能でもよい。例えば、第1回転体21の嵌合凹部212の内周面に周方向に周期的な凹凸を設け、この凹凸に噛み合う凹凸を第2回転体22の嵌合部222の外周面に設けるようにしてもよい。これにより、第1回転体21及び第2回転体22の両者を周方向に段階的に位置決めすることができる。
【0093】
上記実施形態では、第1回転体21及び第2回転体22は、溶着されているが、接着されていてもよい。接着に用いられる接着剤は特に限定されない。
【0094】
4.まとめ
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。なお、以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0095】
第1の態様に係る回転型電子部品(1)は、回転部材(2)と、保持部材(3)と、複数の端子(4)と、機構部(5)と、を備える。前記回転部材(2)は、軸線(R)の回りに回転可能である。前記回転部材(2)は、第1回転体(21)と、第2回転体(22)と、を含む。前記第2回転体(22)は、前記第1回転体(21)に対して位置決めされ、軸受(23)又は軸(24)を有する。前記保持部材(3)は、前記回転部材(2)を回転可能に保持する。前記複数の端子(4)は、前記保持部材(3)に固定される。前記機構部(5)は、前記回転部材(2)の回転角度位置に応じて前記複数の端子(4)間の電気的な状態を変化させる。
【0096】
この態様によれば、回転部材(2)の回転角度位置とその回転角度位置に応じて出力される出力値とが比例関係に近く、精度を高めることができる。
【0097】
第2の態様に係る回転型電子部品(1)では、第1の態様において、前記機構部(5)は、ブラシ(50)を有する。前記ブラシ(50)は、前記第1回転体(21)に固定されている。
【0098】
この態様によれば、機構部(5)を接点式とすることができる。
【0099】
第3の態様に係る回転型電子部品(1)では、第1又は2の態様において、前記第2回転体(22)は、前記第1回転体(21)の周方向に対して無段階で位置決め可能である。
【0100】
この態様によれば、第1回転体(21)に対する第2回転体(22)の位置を任意に変更可能である。
【0101】
第4の態様に係る回転型電子部品(1)では、第1~3のいずれかの態様において、前記第1回転体(21)又は前記第2回転体(22)の一方が他方に圧入されている。
【0102】
この態様によれば、第1回転体(21)又は第2回転体(22)の一方を回転させると、他方も一緒に回転させることができ、一方を固定して他方を回転させることもできる。
【0103】
第5の態様に係る回転型電子部品(1)では、第1~4のいずれかの態様において、前記第2回転体(22)は、軸受(23)を有する。
【0104】
この態様によれば、軸受(23)に外部の操作部品の軸を挿入することができる。
【0105】
第6の態様に係る回転型電子部品(1)では、第1~5のいずれかの態様において、前記第1回転体(21)及び前記第2回転体(22)は、溶着又は接着されている。
【0106】
この態様によれば、第1回転体(21)及び第2回転体(22)を一体化することができる。
【0107】
第7の態様に係る回転型電子部品(1)では、第1~6のいずれかの態様において、前記第1回転体(21)及び前記第2回転体(22)の各々は貫通孔(210,220)を有する。前記第1回転体(21)の貫通孔(210)は、前記第2回転体(22)の貫通孔(220)よりも大きい。
【0108】
この態様によれば、第1回転体(21)及び第2回転体(22)の周方向における相対的な位置が変わっても、第1回転体(21)が、第2回転体(22)の貫通孔(220)を塞ぎにくくなる。
【0109】
第8の態様に係る回転型電子部品(1)では、第1~7のいずれかの態様において、前記第1回転体(21)は、前記第2回転体(22)を位置決めするための位置決め構造(25)を有する。
【0110】
この態様によれば、位置決めが容易になる。
【0111】
第9の態様に係る回転型電子部品(1)は、第1~8のいずれかの態様において、角度センサである。
【0112】
この態様によれば、角度センサは、回転部材(2)の回転角度位置の変化に対する出力変化が優れた直線性(リニアリティ)を示す。
【0113】
第10の態様に係る回転型電子部品(1)の製造方法は、第1~9のいずれかの態様に係る回転型電子部品(1)の製造方法である。前記回転型電子部品(1)の製造方法は、測定工程と、本固定工程と、を含む。前記測定工程は、前記回転部材(2)の前記第1回転体(21)と前記第2回転体(22)とを仮固定した後、前記回転部材(2)の回転角度位置と、前記回転角度位置に応じて出力される出力値と、を測定する工程である。前記本固定工程は、前記回転角度位置と前記出力値とが比例関係になければ、前記第1回転体(21)による出力値と、前記第2回転体(22)による回転角度位置とが比例関係となるように、前記第1回転体(21)に対して前記第2回転体(22)を位置決めした後、前記第1回転体(21)と前記第2回転体(22)とを本固定する工程である。
【0114】
この態様によれば、回転部材(2)の回転角度位置とその回転角度位置に応じて出力される出力値とが比例関係に近く、精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 回転型電子部品
2 回転部材
21 第1回転体
210 貫通孔
22 第2回転体
220 貫通孔
23 軸受
24 軸
25 位置決め構造
3 保持部材
4 端子
5 機構部
50 ブラシ
R 軸線