(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-21
(45)【発行日】2023-09-29
(54)【発明の名称】生体情報取得方法、プログラム、及び生体情報取得システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/053 20210101AFI20230922BHJP
【FI】
A61B5/053 ZDM
(21)【出願番号】P 2022509282
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(86)【国際出願番号】 JP2021000724
(87)【国際公開番号】W WO2021192495
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2020059105
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 信之
(72)【発明者】
【氏名】虎澤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 千晶
(72)【発明者】
【氏名】坂本 俊裕
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 大悟
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-208421(JP,A)
【文献】特開2016-087073(JP,A)
【文献】特開2004-049789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/053
A61B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物の筋肉に電気信号を印加する印加ステップと、
前記印加ステップにて印加された前記電気信号のインピーダンスに関する変化率に基づいて、前記生物の筋肉に関する情報を生体情報として取得する取得ステップと、を有
し、
前記電気信号の周波数は、50Hz以上200Hz以下である、
生体情報取得方法。
【請求項2】
前記変化率は、前記電気信号のインピーダンスに関する値の基準値に対する実測値の比率である、
請求項1記載の生体情報取得方法。
【請求項3】
前記基準値は、前記生物の運動開始前の状態での前記電気信号のインピーダンスに関する値である、
請求項2記載の生体情報取得方法。
【請求項4】
前記変化率は、前記電気信号のインピーダンスの位相角の変化率である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の生体情報取得方法。
【請求項5】
前記印加ステップは、前記電気信号としてパルス変調された電圧を前記生物の前記筋肉に印加する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の生体情報取得方法。
【請求項6】
前記電気信号の周波数は、単一である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の生体情報取得方法。
【請求項7】
前記取得ステップは、前記電気信号のインピーダンスに関する変化率に基づいて、前記生体情報を演算し、
前記取得ステップでの演算結果を出力する出力ステップを更に有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の生体情報取得方法。
【請求項8】
前記印加ステップは、一対の電極を介して前記生物の前記筋肉に電気信号を印加する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の生体情報取得方法。
【請求項9】
1以上のプロセッサに、
請求項1~8のいずれか1項に記載の生体情報取得方法を実行させる、
プログラム。
【請求項10】
請求項9のプログラムを実行する前記1以上のプロセッサを備える
生体情報取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に生体情報取得方法、プログラム、及び生体情報取得システムに関する。より詳細には、本開示は、生体に電気信号を印加して生体に関する生体情報を取得する生体情報取得方法、生体情報取得方法を実行するためのプログラム、及び生体に電気信号を印加して生体に関する生体情報を取得する生体情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、生体情報取得装置が開示されている。この生体情報取得装置は、装置本体に乗った被測定者の生体インピーダンスを測定するための4つの電極を備えている。各電極は、被測定者の体組成等を算出するための集積回路を備える電子回路に接続されている。電子回路においては、各電極を用いて被測定者の生体インピーダンスが算出され、算出された生体インピーダンスと、ロードセルを用いて算出された被測定者の体重、及び予め設定された被測定者の性別等に基づいて、被測定者の体組成が算出される。体組成としては、筋肉量を示す筋肉レベル等が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示は、生物の筋肉の変化を把握しやすい生体情報取得方法、プログラム、及び生体情報取得システムを提供することを目的とする。
【0005】
本開示の一態様に係る生体情報取得方法は、印加ステップと、取得ステップと、を有する。前記印加ステップは、生物の筋肉に電気信号を印加するステップである。前記取得ステップは、前記印加ステップにて印加された前記電気信号のインピーダンスに関する変化率に基づいて、前記生物の筋肉に関する情報を生体情報として取得するステップである。前記電気信号の周波数は、50Hz以上200Hz以下である。
【0006】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の生体情報取得方法を実行させる。
【0007】
本開示の一態様に係る生体情報取得システムは、上述のプログラムを実行する前記1以上のプロセッサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る生体情報取得方法の実行主体である生体情報取得システムの概要を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、電気信号のインピーダンスの位相角の説明図である。
【
図3】
図3は、生物に電極を貼り付けた状態を示す概要図である。
【
図4】
図4は、同上の生体情報取得システムにおいて、電気信号のインピーダンスの位相角の時系列変化と、電気信号の周波数との相関の一例の説明図である。
【
図5】
図5は、同上の生体情報取得システムにおいて、電気信号のインピーダンスの位相角及び位相角の変化率と、周波数との相関の一例の説明図である。
【
図6】
図6は、同上の生体情報取得システムにおいて、電気信号のインピーダンスの位相角の変化率の時系列変化の一例の説明図である。
【
図7】
図7は、同上の生体情報取得システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
以下、本実施形態の生体情報取得方法、及び生体情報取得方法の実行主体である生体情報取得システム100(
図1参照)について図面を参照して説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
本実施形態の生体情報取得方法(生体情報取得システム100)は、生物A1(
図3参照)の筋肉A11に電気信号を印加することにより生物A1に関する情報、特に生物A1の筋肉A11に関する生体情報を取得するための方法(システム)である。本実施形態では、生物A1は人間である。もちろん、生物A1は、人間以外の動物であってもよい。また、本実施形態では、筋肉A11は、人間の筋肉全体ではなく、人間の筋肉のうちの一部である特定の筋肉である。本実施形態では、筋肉A11は、一例として腓腹筋である。
【0011】
生体情報取得システム100は、
図1に示すように、印加部21と、取得部22と、を備えている。印加部21は、本実施形態の生体情報取得方法における印加ステップST1(
図7参照)の実行主体である。取得部22は、本実施形態の生体情報取得方法における取得ステップST2(
図7参照)の実行主体である。
【0012】
印加部21は、印加ステップST1として、生物A1の筋肉A11に電気信号Sig1を印加する処理を実行する。本実施形態では、印加部21(印加ステップST1)は、
図3に示すように、一対の電極3を介して生物A1の筋肉A11に電気信号Sig1を印加している。具体的には、印加部21は、一対の電極3間に交流電圧を印加することにより、生物A1の筋肉A11に電気信号Sig1を印加している。
【0013】
取得部22は、取得ステップST2として、印加部21(印加ステップST1)にて印加された電気信号Sig1のインピーダンスZ1(
図2参照)に関する変化率D1(
図4参照)に基づいて、生物A1の筋肉A11に関する情報を生体情報として取得する処理を実行する。本実施形態では、既に述べたように、一対の電極3を介して生物A1の筋肉A11に電気信号Sig1を印加している。したがって、取得部22は、一対の電極3を介して生物A1の筋肉A11に印加された電気信号Sig1を測定することにより、電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1を取得している。なお、「電気信号Sig1」は、一対の電極3間に印加する電圧信号と、電圧を印加することにより生物A1に流れる電流信号と、を含む。そして、「電気信号Sig1のインピーダンスZ1」は、電気信号Sig1の電圧信号と電流信号とから求められる生物A1のインピーダンス(例えば生体インピーダンス)のことである。
【0014】
ここで、生物A1の筋肉A11における筋肉量の増加のメカニズムについて簡潔に説明する。生物A1の筋肉A11は、生物A1が運動することにより負荷が与えられると、負荷の大きさ及び負荷を与える時間に応じて筋繊維が損傷する。そして、損傷した部位にて筋腫脹が発生する。筋腫脹が発生する際には、損傷した部位にて局所的に水分量(細胞外液のうち、特に組織間質液の量)が増大する。その後、時間経過に伴って損傷した筋繊維が元の状態に戻ろうとするが、この際に元の状態よりも筋繊維が肥大する、いわゆる超回復が起こり得る。このようにして、生物A1の筋肉A11の筋肉量は、生物A1の運動に応じて変化し得る。
【0015】
そして、筋肉A11の筋腫脹の度合い(腫脹量)は、電気信号Sig1のインピーダンスZ1(特には、位相角θ1(
図2参照))の変化率D1と、生物A1の運動時間との積に相関があることを、実験により発明者等は見出した。また、筋肉A11の腫脹量と、筋肉A11の筋肉量の増加とには正の相関があることが知られている。したがって、取得部22(取得ステップST2)は、電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1を取得することで、生物A1の筋肉A11に関する情報(ここでは、筋肉A11の筋肉量に関する情報)を生体情報として取得することが可能である。以下、本実施形態では、特に断りのない限り、変化率D1は、電気信号Sig1のインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1(いわゆる、位相シフト率)である、として説明する。
【0016】
上述のように、本実施形態では、生物A1の筋肉A11に電気信号Sig1を印加し、かつ、筋肉A11の筋肉量と正の相関があると知られている電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1を取得している。このため、本実施形態では、この変化率D1に基づいて生物A1の筋肉A11の筋肉量に相関のあるパラメータを取得することができ、結果として生物A1の筋肉A11の変化を把握しやすい、という利点がある。
【0017】
(2)詳細
以下、本実施形態の生体情報取得システム100について
図1を参照して詳しく説明する。本実施形態では、生体情報取得システム100は、一対の電極3と共に測定装置10を構成している、と仮定する。つまり、本実施形態では、測定装置10の筐体に、一対の電極3を除いた生体情報取得システム100の構成要素が収容されている、と仮定する。
【0018】
生体情報取得システム100は、処理部2と、記憶部4と、出力部5と、を備えている。本実施形態では、記憶部4は生体情報取得システム100の構成要素に含まれているが、記憶部4は構成要素に含まれていなくてもよい。
【0019】
一対の電極3は、測定装置10の筐体から延びる一対のケーブル31の一端に設けられている。一対の電極3の各々の一面は、生物A1の表皮に貼り付けることができるように、粘着性を有するパッドとなっている。したがって、
図3に示すように、生物A1において、生体情報の取得対象となる筋肉A11と対向する表皮に一対の電極3を貼り付けることで、一対の電極3を介して筋肉A11に電気信号Sig1を印加することが可能な状態となる。
図3に示す例では、腓腹筋(筋肉A11)と対向する表皮(つまり、ふくらはぎの表皮)に、一対の電極3が貼り付けられている。なお、一対の電極3は、
図3に示すように複数の筋肉に対して横方向(水平方向)に貼り付けられてもよいし、単一の筋肉に縦方向(鉛直方向)に貼り付けられてもよい。縦方向の場合は、単一の筋肉に限局した生体情報を取得できる、という利点がある。
【0020】
上述のように、一対の電極3を用いて筋肉A11に電気信号Sig1を印加する場合、3つ以上の電極3を用いる場合と比較して、筋肉A11に対する電極3の取り付け位置を限局することができる。このため、一対の電極3を用いる場合、3つ以上の電極3を用いる場合と比較して、インピーダンスZ1に関する値(ここでは、位相角θ1)の変化率D1が大きくなるように電極3を筋肉A11に取り付けることができる。また、一対の電極3を用いる場合、3つ以上の電極3を用いる場合と比較して、筋肉A11に対する電極3の密着性が向上したり、測定の簡素化を図ることができたりする等の利点がある。
【0021】
処理部2は、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及びメモリを主構成とするコンピュータシステムである。この処理部2では、メモリに記録されたプログラムを1以上のプロセッサで実行することによって、種々の機能が実現される。プログラムは、処理部2のメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0022】
処理部2は、印加部21と、取得部22と、を有している。
【0023】
印加部21は、印加ステップST1として、生物A1の筋肉A11に電気信号Sig1を印加する処理を実行する。本実施形態では、印加部21は、一対の電極3に電気信号Sig1として交流電圧を印加することで、生物A1の筋肉A11に交流電圧を印加している。より具体的には、本実施形態では、印加部21(印加ステップST1)は、電気信号Sig1として正弦波又はパルス変調された電圧を生物A1の筋肉A11に印加している。ここで、「パルス変調された電圧」とは、例えば正弦波の周波数を基本波とするパルス電圧である。
【0024】
上述のように、生物A1の筋肉A11にパルス変調された電圧を印加すると、筋肉A11の細胞に含まれる電解質(例えば、カリウム、又はカルシウム等)が移動する。この現象は、細胞中の電解質が陽イオンであるため、負電極に引き寄せられることに起因する。したがって、生物A1の筋肉A11にパルス変調された電圧を印加する場合、正弦波の交流電圧を印加する場合と比較して、インピーダンスZ1に関する値(ここでは、位相角θ1)の変化率D1のピークを測定しやすくなる、という利点がある。というのも、電解質を先に移動させて負電極に引き寄せておくことにより、測定中に電解質が移動しにくくなり、電解質の移動が測定を阻害しにくくなるからである。
【0025】
また、本実施形態では、電気信号Sig1の周波数は、単一である。つまり、電気信号Sig1の周波数は、インピーダンスZ1の測定中において変化しない。このように、電気信号Sig1の周波数が単一である場合、周波数を変化させる場合と比較して、測定レンジの簡素化、測定時間の短縮化、測定データの解析の簡素化、及び測定装置10の単純化を図りやすい、という利点がある。
【0026】
また、本実施形態では、電気信号Sig1は、mVオーダの電圧である。つまり、本実施形態では、一対の電極3にmVオーダの交流電圧を印加することにより、生物A1の筋肉A11にmAオーダの電流を流している。これにより、本実施形態では、生体情報を取得する際に、μVオーダの電圧(μAオーダの電流)となる脳波の影響を受けにくくなる、という利点がある。
【0027】
取得部22は、取得ステップST2として、印加部21にて印加された電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1に基づいて、生物A1の筋肉A11に関する情報を生体情報として取得する処理を実行する。本実施形態では、既に述べたように、インピーダンスZ1に関する変化率D1は、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1である。
【0028】
具体的には、取得部22は、印加部21にて印加された電気信号Sig1のインピーダンスZ1を測定することにより、インピーダンスZ1の時系列変化、特にはインピーダンスZ1の位相角θ1の時系列変化を取得する。そして、取得部22は、取得したインピーダンスZ1の位相角θ1に基づいて、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1を演算して取得する。
【0029】
本実施形態では、変化率D1は、電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する値(ここでは、位相角θ1)の基準値に対する実測値の比率である。言い換えれば、変化率D1は、インピーダンスZ1の位相角θ1の実測値を基準値で除した値で表される。そして、本実施形態では、基準値は、生物A1の運動開始前の状態での電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する値(ここでは、位相角θ1)である。
【0030】
ここで、生物A1の運動の開始時点は、例えば、一対の電極3と共に振動センサを生物A1に取り付けておき、振動センサにて閾値以上の振動を検出した時点としてもよい。また、生物A1の運動の開始時点は、例えば測定を開始してからインピーダンスZ1に関する値(ここでは、位相角θ1)に最初に変化が生じた時点であってもよい。その他、生物A1の運動の開始時点は、例えば測定を開始してからインピーダンスZ1に関する値(ここでは、位相角θ1)が最初に閾値に達した時点であってもよい。
【0031】
取得部22にてインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1を取得した結果の一例を
図4に示す。具体的には、
図4は、人間(生物A1)に階段を昇降する運動を12分間実行させた結果を表している。
図4において、縦軸はインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1を表しており、横軸は測定時間を表している。また、
図4において、線L1は電気信号Sig1の周波数が100Hzである場合の結果、線L2は電気信号Sig1の周波数が1kHzである場合の結果、線L3は電気信号Sig1の周波数が10kHzである場合の結果、線L4は電気信号Sig1の周波数が100kHzである場合の結果を表している。
【0032】
図4に示すように、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1は、電気信号Sig1の周波数が低くなる程、時間経過に伴って変化しやすくなっており、特に周波数が100Hzの場合に変化が顕著である。そして、電気信号Sig1の周波数が100Hzの場合、人間の運動の終了時点と、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1のピークとが概ね一致している。つまり、電気信号Sig1の周波数が100Hzの場合、人間(生物A1)の運動と、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1と、の相関が強くなっている。
【0033】
上述のように、電気信号Sig1の周波数は100Hzであるのが特に好ましいが、電気信号Sig1の周波数は、50Hz以上200Hz以下であってもよい。言い換えれば、インピーダンスZ1の位相角θ1、及び位相角θ1の変化率D1を良好に測定し得る周波数は50Hz~200Hzであり、100Hzであればなお好ましい。
【0034】
以下、この理由について
図5を参照して説明する。
図5は、インピーダンスZ1の位相角θ1と電気信号Sig1の周波数との相関の一例、及びインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1と電気信号Sig1の周波数との相関の一例を表している。
図5において、左側の縦軸はインピーダンスZ1の位相角θ1、右側の縦軸はインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1、横軸は電気信号Sig1の周波数を表している。また、
図5において、線L4~L6はそれぞれインピーダンスZ1の位相角θ1の測定結果を表しており、線L4は運動の終了直後、線L5は運動が終了してから30分後、線L6は運動が終了してから60分後の結果を表している。また、
図5において、線L7,L8はそれぞれインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1の測定結果を表しており、線L8は運動が終了してから30分後、線L7は運動が終了してから60分後の結果を表している。
【0035】
図5の線L4~L6に示すように、インピーダンスZ1の位相角θ1は、電気信号Sig1の周波数が50Hzを下回ると急激に低下する。言い換えれば、インピーダンスZ1の位相角θ1は、電気信号Sig1の周波数が50Hz以上になると増大し始める。また、
図5の線L7,L8に示すように、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1は、電気信号Sig1の周波数が200Hzを上回ると変化が抑えられ、変化率D1は概ね1となる。言い換えれば、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1は、電気信号Sig1の周波数が200Hz以下になると増大し始める。したがって、電気信号Sig1の周波数は、50Hz以上200Hz以下であるのが好ましい。
【0036】
そして、取得部22は、電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1(ここでは、位相角θ1の変化率D1)に基づいて、生体情報を取得する。本実施形態では、取得部22(取得ステップST2)は、電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1(ここでは、位相角θ1の変化率D1)に基づいて、生体情報を演算している。
【0037】
以下、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1に基づいて演算し得る生体情報の具体例について、
図6を参照して説明する。生体情報は、生物A1の筋肉A11の活性化率P1、筋肉A11の回復率P2、筋肉A11の運動量J1、及び生物A1の運動の効果量E1を含み得る。
【0038】
図6は、人間(生物A1)に運動(例えば、ジョギング等)を20分間実行させた結果の一例を概念的に表している。
図6において、縦軸はインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1を表しており、横軸は測定時間を表している。また、
図6において、「T0」は人間が運動を実施している運動期間T0、「T1」は後述する活性時間T1、「T2」は後述する回復時間T2を表している。さらに、
図6において、「t1」は、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1が最大値Dmとなる時点、「t2」は、時刻t1後にインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1が1となる時点を表している。
【0039】
筋肉A11の活性化率P1は、人間(生物A1)の運動により目的の筋肉A11がどの程度活性化されたかを表す指標であり、運動強度(つまり、筋肉A11に与えられた負荷、及び筋肉A11に負荷を与えている時間)及び/又は筋肉A11の筋肉量と相関がある。筋肉A11の活性化率P1は、以下の式(1)により表される。
【0040】
【0041】
筋肉A11の活性化率P1は、例えば活性時間T1の範囲で最小二乗法を用いてインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1の傾きを求めることにより、算出される。なお、筋肉A11の活性化率P1は、例えばインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1の最大値Dmから1を減じた値を、活性時間T1で除することで近似的に算出してもよい。
【0042】
活性時間T1は、人間(生物A1)が運動を開始した時点から、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1が最大値Dmとなるまでの期間である。つまり、活性時間T1は、人間が運動している期間ではなく、人間が運動を開始した時点から、人間が運動を終了して暫く経過するまでの期間に相当する。
【0043】
筋肉A11の回復率P2は、人間(生物A1)の運動後に目的の筋肉A11がどの程度回復したかを表す指標であり、筋肉A11の鍛錬度、血流量、及び/又は人間の体調と相関がある。筋肉A11の回復率P2は、以下の式(2)により表される。
【0044】
【0045】
筋肉A11の回復率P2は、例えば回復時間T2の範囲で最小二乗法を用いてインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1の傾きを求めることにより、算出される。なお、筋肉A11の回復率P2は、例えばインピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1の最大値Dmから1を減じた値を、回復時間T2で除することで近似的に算出してもよい。
【0046】
回復時間T2は、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1が最大値Dmから1になるまでの期間である。つまり、回復時間T2は、人間(生物A1)が運動を終了した時点を起点とする時間ではなく、人間が運動を終了した時点から暫く経過した時点を起点とする時間に相当する。
【0047】
筋肉A11の運動量J1は、人間(生物A1)の運動により目的の筋肉A11が活性化された量を表す指標であり、運動強度と相関がある。筋肉A11の運動量J1は、以下の式(3)により表される。
【0048】
【0049】
生物A1の運動の効果量E1は、人間(生物A1)の運動により筋肉A11の状態がどの程度変化したかを表す指標であり、筋肉A11の腫脹量と相関がある。筋肉A11の効果量E1は、以下の式(4)により表される。
【0050】
【0051】
なお、筋肉A11の運動量J1は、例えば以下の式(5)により近似的に算出されてもよい。また、生物A1の運動の効果量E1は、例えば以下の式(6)により近似的に算出されてもよい。
【0052】
【0053】
上述のように、本実施形態では、人間(生物A1)が運動を実施している期間ではなく、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1が最大値Dmになるまでの時間を用いている。これにより、本実施形態では、目的の筋肉A11の運動量、及び/又は運動の効果量を正確に測定しやすく、結果として筋肉A11の状態変化を定量的に把握しやすい、という利点がある。
【0054】
また、本実施形態では、人間(生物A1)が運動を実施している期間ではなく、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1が初期値から最大値Dmになるまでの変化率D1の傾き、及び/又は最大値Dmから初期値になるまでの変化率D1の傾きを用いている。これにより、本実施形態では、目的の筋肉A11の活性化率P1、及び/又は筋肉A11の回復率P2を正確に測定しやすく、運動強度及び/又は筋肉A11の回復期間を適切に設定しやすい、という利点がある。
【0055】
記憶部4は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等を備える。記憶部4は、測定対象の生物A1ごとに、取得部22で取得した生体情報を記憶する。本実施形態では、記憶部4は、取得部22の演算結果、つまり人間(生物A1)の筋肉A11の活性化率P1、筋肉A11の回復率P2、筋肉A11の運動量J1、及び人間の運動の効果量E1を、生体情報として測定対象の人間ごとに記憶する。
【0056】
出力部5は、取得部22で取得した生体情報、又は記憶部4に記憶した生体情報を外部装置に出力する。出力部5は、出力ステップST3(
図7参照)の実行主体である。つまり、出力部5(出力ステップST3)は、取得部22(取得ステップST2)での演算結果を出力する。出力部5は、一例として、情報端末(スマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等)と有線通信又は無線通信することにより、情報端末に生体情報を出力してもよい。また、出力部5は、一例として、測定装置10に備え付けのディスプレイ装置(液晶ディスプレイ、又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等)に生体情報を表示させてもよい。その他、出力部5は、測定装置10に備え付けのスピーカから生体情報を音声により出力させてもよい。
【0057】
(3)動作
以下、本実施形態の生体情報取得システム100の動作、つまり生体情報取得方法の一連の流れの一例について
図7を参照して説明する。以下では、一対の電極3を既に人間(生物A1)の筋肉A11に取り付けている、と仮定する。まず、印加部21は、一対の電極3を介して筋肉A11に電気信号Sig1を印加する(S1)。処理S1は、印加ステップST1に相当する。
【0058】
次に、取得部22は、取得ステップST2に相当する以下の処理S2~S4を実行する。すなわち、取得部22は、筋肉A11に印加した電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する値(ここでは、位相角θ1)を測定する(S2)。そして、取得部22は、電気信号Sig1のインピーダンスZ1の位相角θ1に基づいて、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1を演算して取得する(S3)。その後、取得部22は、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1に基づいて、筋肉A11の活性化率P1等の生体情報を演算して取得する(S4)。
【0059】
その後、出力部5は、取得部22での演算結果、つまり生体情報を出力する(S5)。処理S5は、出力ステップST3に相当する。出力部5は、定期的に生体情報を出力してもよいし、生体情報取得システム100の利用者からの要求に応じて生体情報を出力してもよい。なお、取得部22で取得した生体情報は、記憶部4にも記憶される。
【0060】
上述のように、本実施形態では、生物A1の筋肉A11に電気信号Sig1を印加し、かつ、電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1を取得することで、生物A1の筋肉A11の筋肉量に相関のあるパラメータを取得することができる。その結果として、本実施形態では、生物A1の筋肉A11の変化を把握しやすい、という利点がある。本実施形態は、一例として、以下に列挙する場合に応じて利用することが可能である。以下に列挙する場合では、いずれも生物A1が人間である。
【0061】
第1に、筋肉量の低下は、若年期から加齢に伴って進行する。運動習慣が無い場合、筋肉量の低下により転倒等の日常生活において悪影響を及ぼす事態が生じ得る。そこで、若年期から運動習慣を確立することで、中高年時において十分な筋肉量を確保する、いわゆる筋肉貯金を行うのが好ましい。そして、運動習慣を確立する、つまり定期的な運動を行うモチベーションを維持するためには、筋肉の運動量を視覚化することが望まれている。
【0062】
本実施形態では、上述のように筋肉A11の運動量J1及び/又は効果量E1を生体情報として取得することが可能である。したがって、本実施形態では、取得した筋肉A11の運動量J1及び/又は効果量E1をディスプレイ装置に表示する等して、定期的な運動を行うモチベーションの維持に役立てることが可能である。
【0063】
第2に、プロのスポーツ選手等、運動習慣が既に確立している人においては、日々のトレーニングにおいて適切な負荷を筋肉に与える必要がある。すなわち、筋肉に与える負荷が適切であれば、筋肥大及び/又は筋力の増加が期待できる一方、筋肉に与える負荷が不十分であれば、筋肥大及び筋力の増加はいずれも期待できない。そればかりか、筋肉に与える負荷が過剰である場合、つまりオーバートレーニングを行った場合では、筋疲労及び/又は筋力の低下を招いてしまう可能性がある。上記の問題は、プロのスポーツ選手に限らず、日常的に運動を行っている全ての人に当てはまる。そこで、筋肉に適切な負荷を与えるべく、筋肉の運動量、及び筋肉の回復状況を視覚化することが望まれている。
【0064】
本実施形態では、上述のように筋肉A11の運動量J1、効果量E1、及び筋肉A11の回復率P2を生体情報として取得することが可能である。したがって、本実施形態では、取得した筋肉A11の運動量J1、効果量E1、及び筋肉A11の回復率P2をディスプレイ装置に表示する等して、筋肉A11に適切な負荷を与えることに役立てることが可能である。
【0065】
第3に、例えば病気を患う等して長期間(例えば、2週間以上)、臥床していた場合、筋繊維(速筋繊維及び遅筋繊維)の断面積が数十%減少することが知られている。このように筋繊維が減少した場合、フレイルの状態に陥る可能性がある。そして、フレイルの状態に陥るのを防止するためには、離床後に筋繊維を増大させる、つまり筋肉の回復が必要となる。そこで、筋肉を回復するための運動であって、過大な負担をかけることなく継続しやすい適切な筋肉の運動量及び/又は効果量を視覚化して提示することが望まれている。
【0066】
本実施形態では、上述のように筋肉A11の運動量J1及び/又は効果量E1を生体情報として取得することが可能である。したがって、本実施形態では、取得した筋肉A11の運動量J1及び/又は効果量E1をディスプレイ装置に表示する等して、継続しやすい適切な運動を提示することに役立てることが可能である。
【0067】
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、生体情報取得方法と同様の機能は、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、1以上のプロセッサに、上記の生体情報取得方法を実行させる。
【0068】
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0069】
本開示における生体情報取得システム100は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における生体情報取得システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0070】
また、生体情報取得システム100における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは生体情報取得システム100に必須の構成ではなく、生体情報取得システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、生体情報取得システム100の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0071】
上述の実施形態において、生物A1(ここでは、人間)の筋肉A11は、腓腹筋に限らず、例えばヒラメ筋、大腿二頭筋、大腰筋、又は大殿筋等であってもよい。また、筋肉A11は、人間の下半身の筋肉に限らず、上腕二頭筋、上腕三頭筋、広背筋、又は僧帽筋等の人間の上半身の筋肉であってもよい。
【0072】
上述の実施形態において、印加部21が生物A1の筋肉A11に印加する電気信号Sig1の周波数は、単一でなくてもよく、測定中において変化させてもよい。
【0073】
上述の実施形態において、取得部22が生体情報を取得する際に参照する電気信号Sig1のインピーダンスZ1に関する変化率D1は、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1に限らず、例えばインピーダンスZ1自体の変化率D1であってもよい。
【0074】
上述の実施形態において、インピーダンスZ1の位相角θ1の変化率D1を求める際の基準値は、運動開始前に測定したインピーダンスZ1の位相角θ1に限らず、あらかじめ設定された値であってもよい。
【0075】
上述の実施形態において、生物A1の筋肉A11に取り付ける電極3は、一対に限らず、3つ以上であってもよい。
【0076】
上述の実施形態において、生物A1の筋肉A11に取り付ける電極3は、金属で形成されていなくてもよく、導電性ゴムで形成されていてもよい。
【0077】
上述の実施形態において、生物A1の筋肉A11に取り付ける電極3は、表皮に密着すればよいため、電極3の表皮に対向する一面は粘着性を有していなくてもよく、表皮に貼りついていなくてもよい。
【0078】
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る生体情報取得方法は、印加ステップ(ST1)と、取得ステップ(ST2)と、を有する。印加ステップ(ST1)は、生物(A1)の筋肉(A11)に電気信号(Sig1)を印加するステップである。取得ステップ(ST2)は、印加ステップ(ST1)にて印加された電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する変化率(D1)に基づいて、生物(A1)の筋肉(A11)に関する情報を生体情報として取得するステップである。
【0079】
この態様によれば、生物(A1)の筋肉(A11)の変化を把握しやすい、という利点がある。
【0080】
第2の態様に係る生体情報取得方法では、第1の態様において、変化率(D1)は、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する値の基準値に対する実測値の比率である。
【0081】
この態様によれば、生物(A1)の筋肉(A11)の変化を更に把握しやすくなる、という利点がある。
【0082】
第3の態様に係る生体情報取得方法では、第2の態様において、基準値は、生物(A1)の運動開始前の状態での電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する値である。
【0083】
この態様によれば、生物(A1)の筋肉(A11)の運動前の状態を基準とするので、生物(A1)の筋肉(A11)の運動中又は運動後の変化を更に把握しやすくなる、という利点がある。
【0084】
第4の態様に係る生体情報取得方法では、第1~第3のいずれかの態様において、変化率(D1)は、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)の位相角(θ1)の変化率(D1)である。
【0085】
この態様によれば、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)自体の変化率(D1)に基づく場合と比較して、生物(A1)の筋肉(A11)の変化を更に把握しやすくなる、という利点がある。
【0086】
第5の態様に係る生体情報取得方法では、第1~第4のいずれかの態様において、電気信号(Sig1)の周波数は、50Hz以上200Hz以下である。
【0087】
この態様によれば、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する変化率(D1)を取得しやすくなる、という利点がある。
【0088】
第6の態様に係る生体情報取得方法では、第1~第5のいずれかの態様において、印加ステップ(ST1)は、電気信号(Sig1)としてパルス変調された電圧を生物(A1)の筋肉(A11)に印加する。
【0089】
この態様によれば、正弦波状の交流電圧を印加する場合と比較して、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する値のピーク値を取得しやすくなる、という利点がある。
【0090】
第7の態様に係る生体情報取得方法では、第1~第6のいずれかの態様において、電気信号(Sig1)の周波数は、単一である。
【0091】
この態様によれば、電気信号(Sig1)の周波数を変化させる場合と比較して、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する値を測定する構成の簡素化を図りやすい、という利点がある。
【0092】
第8の態様に係る生体情報取得方法では、第1~第7のいずれかの態様において、取得ステップ(ST2)は、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する変化率(D1)に基づいて、生体情報を演算する。生体情報取得方法は、取得ステップ(ST2)での演算結果を出力する出力ステップ(ST3)を更に有する。
【0093】
この態様によれば、生物(A1)の筋肉(A11)の変化を把握しやすい、という利点がある。
【0094】
第9の態様に係る生体情報取得方法では、第1~第8のいずれかの態様において、印加ステップ(ST1)は、一対の電極(3)を介して生物(A1)の筋肉(A11)に電気信号(Sig1)を印加する。
【0095】
この態様によれば、3つ以上の電極(3)を用いる場合と比較して、電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する値を測定する構成の簡素化を図りやすい、という利点がある。
【0096】
第10の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第1~第9のいずれかの態様の生体情報取得方法を実行させる。
【0097】
この態様によれば、生物(A1)の筋肉(A11)の変化を把握しやすい、という利点がある。
【0098】
第11の態様に係る生体情報取得システム(100)は、印加部(21)と、取得部(22)と、を備える。印加部(21)は、生物(A1)の筋肉(A11)に電気信号(Sig1)を印加する。取得部(22)は、印加部(21)にて印加された電気信号(Sig1)のインピーダンス(Z1)に関する変化率(D1)に基づいて、生物(A1)の筋肉(A11)に関する情報を生体情報として取得する。
【0099】
この態様によれば、生物(A1)の筋肉(A11)の変化を把握しやすい、という利点がある。
【0100】
第2~第9の態様に係る方法については、生体情報取得方法に必須の方法ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0101】
100 生体情報取得システム
21 印加部
22 取得部
3 電極
A1 生物
A11 筋肉
D1 変化率
Sig1 電気信号
Z1 インピーダンス
θ1 位相角
ST1 印加ステップ
ST2 取得ステップ
ST3 出力ステップ